「工学部はやめとけ。」
進路相談やネット掲示板で、この言葉を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
「本当にそんなに大変なのか」「理系ならとりあえず工学部で良いのか」「あとから後悔したくない」――そう感じて、このページにたどり着かれたはずです。
確かに工学部には、勉強量の多さ、実験・レポートの負担、留年リスク、女子の少なさ、研究室ガチャなど、「やめとけ」と言われるだけの理由が存在します。一方で、就職の強さや専門性という大きなメリットがあることも事実です。
本記事では、「工学部 やめとけ」という言葉に振り回されるのではなく、データと具体的な実態にもとづき、どんな人は本当にやめておいた方がよいのか、どんな人はむしろ工学部に向いているのかを整理いたします。読み終えるころには、「工学部に行くべきかどうか」を他人の意見ではなく、ご自身の判断で決められる状態になることを目指します。
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工学部はなぜ「やめとけ」と言われるのか?
ネットでよく見る「工学部やめとけ」の主張まとめ
「工学部 やめとけ」で検索すると、次のような声が多数見つかります。
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授業・課題・実験・レポートが多すぎて毎日がしんどい
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留年する人が周りに普通にいる
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男ばかりで女子が少なく、雰囲気が暗い・オタクっぽい
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大学院進学が当たり前で、学費も時間もさらにかかる
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就職で地方工場勤務・転勤が多く、思ったほど自由がない
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ここまで大変なのに、給料はそこまで高くない気がする
このような体験談だけを見ると、「工学部はやめとけ」と言いたくなる気持ちも理解できます。
しかし、これらはあくまで一部の人の経験であり、特定の専攻・大学・研究室に偏った話であることも多いです。本記事では、感情的な印象論だけでなく、データと構造的な視点から「本当にやめとくべき人」と「行ってもよい人」の線引きを整理していきます。
データで見る工学部のリアル(女子比率・就職・進学率など)
まずは、工学部の特徴を大まかに数字で押さえておきます。
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女子比率は全国平均で約15%前後と、明らかに少数派である
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理工系学部全体では、「就職:おおむね6割」「大学院進学:4割程度」という構造がある
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工学部は特に大学院進学率が高く、「修士卒前提」の求人も一定数存在する
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大学全体としての就職率は近年高い水準にあり、工学部だけが極端に不利という状況ではない
つまり、「女子が少ない」「大学院進学が多い」といった特徴は事実として押さえる必要がありますが、「就職が壊滅的に悪いからやめとけ」といった極端な意見は、数字から見る限り正しいとは言えません。
「やめとけおじさん」の時代背景と現在とのギャップ
「工学部はやめとけ」と強く語る人の中には、20〜30年前に大学生活や就職活動を経験した世代も多く含まれます。そのため、当時と現在の違いも理解しておく必要があります。
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産業構造の変化
昔は「工学部卒=製造業・重工業の技術職」というイメージが強く、地方の工場勤務・長時間労働と結びつけて語られることが多くありました。現在は、IT企業やサービス産業、インフラ、コンサルティングなど就職先は多様化しています。 -
働き方・制度の変化
労働時間規制、ハラスメント防止、ワークライフバランスなどの観点から、昔より制度面が整備されてきているのも事実です。ただし、すべての職場がホワイトになったわけではなく、現場ごとの差は依然として大きいです。 -
大学側のサポート体制
キャリアセンターの充実、メンタルサポート、学修支援など、昔に比べて学生を支える仕組みも増えています。
このように、「昔の工学部」「昔の就職環境」だけを基準にしたアドバイスは、現在の状況とはズレている可能性があります。過去の体験談は参考にしつつも、最新の情報を自分でも確認することが重要です。
「やめとけ」と言われる主な理由7つ
勉強量が多く、数学・物理が苦手だと本当に厳しい
工学部の大きな特徴は、数学・物理を土台にした専門科目が多いことです。代表的な科目としては、
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微分積分・線形代数・確率統計などの数学
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力学・電磁気学・熱力学・材料力学などの物理系科目
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回路・制御・情報・材料などの専門基礎科目
が挙げられます。
高校時代に数学・物理が
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テストは毎回赤点レベル
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公式を見るだけで拒絶反応が出る
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最低限の理解すら苦痛で仕方ない
という状態であれば、大学の工学部の授業についていくのはかなり厳しくなります。
一方で、
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定期テストで平均点前後は取れている
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苦手意識はあるが、時間をかければ理解できる
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「分かった瞬間」は少し楽しいと感じる
というレベルであれば、予習・復習や基礎問題の反復で十分にカバーできる可能性があります。
重要なのは、「得意かどうか」よりも「ある程度までは頑張る覚悟があるか」です。
実験・レポート・課題が重く、時間的自由が少ない
工学部のもう一つの特徴は、実験・演習・レポートの多さです。特に実験系の専攻(機械・電気電子・化学・材料・土木など)では、
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実験で半日〜1日拘束される
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実験後にデータ整理・考察・レポート作成
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グループ作業で他メンバーとの予定調整が必要
といった生活が、3〜4年次にかけて続きます。
その結果、
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アルバイトに使える時間が限られる
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サークル活動や趣味との両立が難しくなる
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長期休暇も研究室に通う必要がある場合がある
といった状況になりやすく、「自由な大学生活」をイメージしていた人ほどギャップを感じやすくなります。
ただし、情報系などPC作業中心の専攻では、実験室に縛られる時間が比較的少ない場合もあります。専攻や研究室によって負荷がかなり異なる点も理解しておく必要があります。
留年・中退リスクと、大学院進学前提のキャリア構造
工学部が「やめとけ」と言われる大きな理由の一つが、留年・中退リスクです。
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必修科目を落とすと、再履修は翌年のみ
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実験科目や演習科目の単位を落とすと、時間割が崩れやすい
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「この科目を落としたら自動的に留年」という重要科目もある
といった構造により、1〜2年次のつまずきがそのまま留年につながるケースもあります。
さらに、工学系では、
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研究開発職・高度技術職の多くが修士卒を前提にしている
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大学院に進学する学生が多く、「4年で卒業して終わり」というパターンが少ない
といった事情があります。すなわち、
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学部4年+修士2年=計6年間
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その間の学費・生活費・機会費用
を考慮する必要があるということです。これを「投資」と見なし、回収できるイメージが持てるかどうかも重要な判断材料になります。
女子が少ない・オタクが多い?人間関係・雰囲気の問題
工学部は、他学部と比べて女子が少ない学部です。女子からすると、
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同性の友達が作りづらい
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グループワークで毎回男子に囲まれる
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トイレや更衣室など、設備面で不便を感じる場合がある
といった不安やストレスを抱えやすくなります。
男子にとっても、
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男子ばかりで華やかさがない
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オタク気質が強い人が多く感じられ、雰囲気が合わない
といった違和感を持つことがあります。
ただし、この問題は「工学部だから」というよりも、
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大学全体の雰囲気
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サークル・部活動の環境
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他学部・他大学との交流の有無
などにも大きく左右されます。工学部に在籍しながら、サークルやインカレ、アルバイトなどを通じて幅広いコミュニティとつながっている学生も多く、工夫次第で環境はいくらでも変えられます。
研究室ガチャ・教授ガチャのリスク
3〜4年次(+大学院)で所属する研究室は、学生生活の質を大きく左右します。研究室によって、
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指導教員のスタイル(放任・手厚い・管理強めなど)
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研究テーマの自由度・おもしろさ
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休日・夜間の拘束度合い
がまったく異なります。
いわゆる「ブラック研究室」の例としては、
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毎日深夜まで研究が当たり前
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長期休暇が取りづらい
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教員のパワハラ・モラハラが強い
といったケースが挙げられます。
完全にリスクをなくすことは難しいですが、
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オープンキャンパスや研究室公開で雰囲気を見ておく
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在学生・卒業生から評判を聞いておく
などの方法で、ある程度は情報収集が可能です。「研究室ガチャ」の存在を理解しておき、そのうえで対策を考えておくことが重要です。
就職の幅は広いが、「思っていたのと違う」ギャップ
工学部卒の就職先は非常に幅広く、主に以下のような業界・職種があります。
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自動車・機械・電機・化学・素材などのメーカー技術職
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IT企業・SIer・Web系などのエンジニア職
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インフラ(電力・ガス・通信・鉄道など)の技術職
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公務員・インハウスエンジニア・技術職
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コンサルティング・金融の一部専門職 など
このように、「就職先の選択肢が広い」という意味では工学部は有利な側面があります。
一方で、
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デスクワーク中心を想像していたが、現場作業が多かった
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転勤・出張が想像以上に多かった
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研究開発をしたかったのに、保守・運用中心だった
といったミスマッチが起こる場合もあります。これは工学部に限らずどの学部でも起こり得ることですが、専門性が高い分、「合わない仕事」に就いたときのストレスも大きくなりやすい点には注意が必要です。
そもそも「モノづくり」「技術」に興味がない人の地獄
最後に、最も重要なポイントです。
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「就職に強いと言われたから」
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「先生や親に勧められたから」
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「理系の中で何となく無難そうだから」
といった理由だけで工学部を選び、
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技術そのものには興味がない
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ものがどう動くか、なぜ動くかに全く関心がない
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実験や作業よりも、人と話す・文章を書くほうが圧倒的に好き
という場合、工学部の授業・実験・研究はただの苦行になりがちです。
このタイプの人にとっては、工学部は本当に「やめとけ」と言わざるを得ない選択肢になります。逆に言えば、
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そこまで得意でなくても、仕組みを知ることは少し楽しい
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自分で工夫してものを作るのは嫌いではない
という人にとっては、工学部は辛さもありつつ大きなやりがいが得られる場になり得ます。
工学部に進むメリットと「行ってよかった」と感じるポイント
高い就職率と、専門性を生かしたキャリアの取りやすさ
工学部の大きな強みは、「専門性を持った就職先が多い」という点です。
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メーカーの設計・開発・生産技術・品質保証
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ITエンジニア・インフラエンジニア・データエンジニア
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技術営業・プリセールス・カスタマーエンジニア
など、工学系の知識を直接・間接的に活かせる職種が多数存在します。
新卒で技術職としてスタートした後、
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マネジメント職
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企画・事業開発
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コンサルティング
といった、よりビジネス寄りのポジションに移っていくキャリアパスも一般的です。「技術×ビジネス」の両方を理解している人材は、市場価値が高く評価されやすくなります。
ものづくり・問題解決で社会に貢献できるやりがい
工学部で身につけるのは、「現実の問題を技術的にどう解決するか」という発想です。
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自動車・鉄道・航空機などの輸送インフラ
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電力・ガス・通信・上下水道といったライフライン
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スマホ・家電・PC・医療機器などの製品群
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再生可能エネルギー・環境技術・安全技術
これらはすべて工学的な取り組みの成果です。
「自分が関わった製品や仕組みが社会で使われている」という実感は、工学系の仕事ならではのやりがいと言えます。
IT・DX時代における工学系スキルの汎用性
工学部では、専攻を問わず次のようなスキルに触れる機会が多くなります。
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プログラミング言語(C、C++、Python、Javaなど)
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シミュレーション・数値計算・データ処理
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センサー・制御・ネットワーク技術
これらは、IT・DXが進む現代社会においてほぼすべての業界で求められているスキルです。
そのため、工学部で身につけた基礎は、
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製造業のDX推進
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ITサービス・Webサービス開発
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データ分析・機械学習
といった領域でも強力な武器になります。工学部出身でITエンジニアやデータサイエンティストとして活躍している人も数多くいます。
【セルフ診断】工学部に向いている人・やめておいた方がいい人
工学部に向いている人チェックリスト
以下の項目のうち、いくつ当てはまるか数えてみてください。
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物事の仕組みや構造を知るのが好きだ
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パズルやロジック問題、図形問題などを解くのはそれほど苦ではない
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「なぜそうなるのか」を考え始めると、つい深追いしてしまう
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手を動かして試行錯誤するのは嫌いではない
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新しい技術やガジェット、ITの話題に自然と興味が向く
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数学・物理は得意ではないが、努力すれば何とかなる手応えはある
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一つのことをコツコツ積み上げる作業をそこそこ続けられる
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将来、何かしらの「専門性」を武器に働きたいと感じている
4個以上当てはまる場合
→ 工学部は十分に検討する価値がある選択肢です。専攻や大学を慎重に選べば、負荷とやりがいのバランスが取れた学生生活を送れる可能性が高いです。
2〜3個当てはまる場合
→ 専攻選びと進路のイメージをより具体的にしてから判断することをおすすめします。「何となく理系だから」「何となく就職に強そうだから」という理由だけで決めるのは危険です。
1個以下の場合
→ 工学部にこだわる理由があまり見当たらない状態かもしれません。文系・他の理系(理学、医療系、農学など)も含めて、広めの視野で検討してみる価値があります。
工学部はやめとけ(別ルートを検討した方がよい)な人の特徴
次のような特徴が複数当てはまる場合、工学部はかなり慎重に検討した方がよいです。
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数学・物理が「嫌い」ではなく「見ただけで気分が悪くなるレベル」
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実験やレポートなど、地道な記録・分析作業を強く苦痛に感じる
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長時間机に向かって黙々と作業するのがどうしても耐えられない
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将来やりたいことが、明確に「人と話す・文章を書く・デザインする」など技術とは別の方向にある
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「大学生活ではできるだけ楽をしたい」「勉強より遊びを優先したい」という気持ちが非常に強い
このような場合、工学部のカリキュラムはストレス要因になりやすく、別の学部・学科を検討した方が長期的に幸せなケースが多いです。
工学部に迷う女子・文系寄り理系が確認すべきポイント
女子や、いわゆる「文系寄りの理系」の方は、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
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志望大学の工学部における女子比率
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女子学生向けの奨学金・メンター制度・コミュニティの有無
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サークルや他学部との交流がしやすいキャンパス構造かどうか
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情報系・建築系・デザイン系など、文系要素が強い工学分野があるかどうか
「数学は好きだが、実験はあまり得意ではない」「文章を書くのもそこそこ好き」というタイプであれば、
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情報工学
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建築・都市工学(デザイン寄りの分野を含む)
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経営工学・システム工学
のような、理系と文系の中間的な専攻を検討するのも一つの選択肢です。
工学部と他学部の比較:どれくらい違う?
忙しさ・課題量・拘束時間の比較
代表的な学部のイメージを一つの表にまとめると、次のようになります。
| 項目 | 工学部 | 理学部 | 情報系 | 文系(経済・法・文など) |
|---|---|---|---|---|
| 授業コマ数(1〜2年次) | 多め(必修が多い) | 普通〜多め | 普通〜多め | 普通 |
| 実験・演習 | 多い(特に3〜4年) | 分野によるが比較的多い | 少なめ〜中程度 | 少なめ |
| レポートの量 | 実験レポート中心で多い | 理論レポート・レジュメなど | プロジェクト・課題で変動 | レポート・論述試験が中心 |
| 授業外の学習時間 | 試験前・課題前は多くなりがち | 研究テーマにより変動 | 課題の重さにより変動 | 自主性次第 |
| 長期休暇中の拘束 | 研究室により拘束あり | 研究室により拘束あり | 比較的自由な場合も多い | インターンなど個人の選択による |
あくまで一般的な傾向ですが、「実験・レポートの有無」「長期休暇の拘束」あたりが工学部と文系の大きな違いとして意識されやすいポイントです。
就職先・職種・年収レンジのざっくり比較
| 学部 | 主な就職先・職種の傾向 |
|---|---|
| 工学部 | メーカー技術職、開発職、ITエンジニア、インフラ、技術営業など |
| 理学部 | 教員、研究職、公務員、IT・メーカーの一部専門技術職など |
| 情報系 | ITエンジニア、Webエンジニア、データサイエンティストなど |
| 文系 | 営業、企画、事務、金融、コンサル、人事・総務など |
どの学部にも幅広い進路はありますが、工学部・情報系は技術職比率が高く、文系は人・組織・お金を扱う職種が多い、というざっくりしたイメージを持っておくと比較しやすくなります。
大学院進学の前提度合いと学費・時間コスト
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工学部
→ 修士進学率が高く、「修士卒が当たり前」という雰囲気の専攻もあります。研究開発職などは修士卒が前提の求人も多いです。 -
理学部
→ 研究職・教員を目指す場合、修士・博士まで進むケースが多くなります。 -
文系
→ 多くは学部卒で就職しますが、法曹・会計・専門職などでは大学院進学が必要なケースもあります。
修士2年間にかかる学費・生活費・機会費用をどう考えるかは、非常に重要なポイントです。「時間とお金を投資しても、その分得られるものがある」と感じられるかどうかが、工学部進学を判断するうえでの一つの基準になります。
後悔しないための工学部・専攻選び3ステップ
ステップ1:自分の「得意・興味・将来像」を棚卸しする
まずは、志望校を見る前に「自分がどういう人間か」を整理します。具体的には、次のような観点で書き出してみることをおすすめいたします。
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好き・得意な科目(数学・物理・化学・情報・国語・英語など)
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嫌い・苦手な科目(どこまでなら努力できるか)
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興味のある分野(自動車、ロボット、IT、建築、環境、医療など)
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将来やりたくない仕事(例:営業、夜勤が多い仕事、肉体労働、単純作業など)
紙に書く、スマホのメモにまとめる、マインドマップで整理するなど、形は何でも構いません。「なんとなく理系」「なんとなく工学部」から一歩踏み込んで、自分の性格や価値観を言語化しておくことが大切です。
ステップ2:専攻ごとのリアルを調べる(カリキュラム・卒業後の進路)
次に、気になっている大学・学科の「中身」を具体的に調べます。
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大学公式サイトのカリキュラム表
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授業シラバス(授業ごとの詳細説明)
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就職・進学実績(どの企業・職種に何人ぐらい行っているか)
これらを確認することで、
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その学科で4年間(+大学院)何を学ぶことになるのか
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卒業後、どのような進路に進んでいる人が多いのか
が、具体的にイメージできるようになります。
同じ「情報系」「機械系」といった名前でも、大学によってかなり内容が異なることがあります。名前だけで判断せず、中身をしっかりと比較することが重要です。
ステップ3:オープンキャンパス・OB訪問・在学生インタビューで「生の声」を聞く
最後に、実際にその学科に在籍している人・卒業した人から話を聞くステップです。
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オープンキャンパスで教員・在学生に質問する
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学園祭や研究室公開などのイベントに参加する
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SNSやOB訪問サービスを使って卒業生に話を聞く
質問例としては、
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1週間の平均的な生活リズム(授業・実験・バイト・サークル)
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「ここがつらい」「ここが楽しい」と感じるポイント
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就職活動の実際のスケジュールと大変さ
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研究室の雰囲気や指導スタイル
などが挙げられます。ネット上の匿名の声だけでなく、「顔の見える人」の話を聞くことで、より現実に近いイメージが持てるようになります。
もし「合わなかった」と感じたときの選択肢(トラブルシューティング)
学内での転学部・文転・学科変更という選択肢
工学部に入学したものの、「どうしても合わない」と感じた場合、まず検討されるのが学内での転学部・転学科です。
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工学部内での学科変更(機械 → 情報 など)
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工学部から経済・経営・文系学部への転学部
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逆に、理学部・情報系への移動
などが、大学によっては可能です。
一般的に、
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一定以上の成績(GPA)
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規定単位の取得
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面接・書類審査
などが条件になることが多いです。早ければ早いほど選択肢が広いので、「本当に合わない」と強く感じる場合は早めに情報収集を行うことをおすすめします。
他大学への編入・再受験・専門学校へのルート
学内の転学部だけでなく、
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他大学への2年次・3年次編入
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一度退学・休学してからの再受験
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専門学校・短大への進路変更
といった選択肢も存在します。
当然ながら、
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時間的なロス
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学費や受験費用の負担
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周囲の理解を得るための説明
などのハードルはありますが、「一度入ったら二度と抜けられない」というわけでは決してありません。
大切なのは、
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現状を続けた場合のリスク
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進路変更した場合のリスク
を冷静に比較し、自分にとって納得感のある選択をすることです。
工学部で学んだことを活かしつつキャリアチェンジする方法
たとえ工学部の内容が「完全にドンピシャで好き」というわけではなかったとしても、
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論理的に物事を考える力
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数量データを扱う力
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プログラミング・ITリテラシー
などは、他分野でも大いに活かせるスキルです。
具体的には、
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IT企業のエンジニア・コンサルタント
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技術営業・セールスエンジニア
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企画・プロダクトマネージャー
など、「技術理解」を強みにしながら、より文系寄りの業務にシフトしていくキャリアパスも多く存在します。「工学部に行ったから、一生ガチガチの技術職しか選べない」というわけではありません。
工学部進学の応用的な活かし方(応用事例)
メーカー以外の進路:コンサル・金融・IT・スタートアップなど
工学部出身者が活躍しているフィールドは、メーカーだけにとどまりません。
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コンサルティングファーム
システム導入や業務改善、デジタル戦略など、技術とビジネスをつなぐ役割で評価されやすいです。 -
金融業界
リスク管理、クオンツ、システム部門など、数理・ITに強い人材が求められる領域で工学系のバックグラウンドは有利になります。 -
IT・Web・スタートアップ
サービス開発、プロダクトマネジメント、技術寄りの事業開発などで、工学系の問題解決能力が武器になります。
このように、「工学部=メーカーの設計職」といったイメージに縛られず、幅広い選択肢が存在します。
海外大学院・研究職・起業など、高度なキャリア事例
工学部で得た基礎をさらに発展させて、
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海外大学院への進学
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大企業・公的研究機関での研究職
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テクノロジー分野での起業
といった高度なキャリアを歩む人もいます。
これらを目指す場合、
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英語力(論文・プレゼン・日常会話)
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専門分野の深い知識
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研究実績・プロジェクト経験
などが重要になります。学部段階から少しずつ準備しておくことで、将来の選択肢を広げることができます。
文系的な強みと掛け合わせたキャリア(企画・営業・プロダクトマネージャーなど)
工学部で学びながら、
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コミュニケーションが得意
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文章を書くのが好き
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人の話を聞き、課題を整理するのが得意
といった「文系的な強み」を持っている人も多くいます。そのような方は、
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プロダクトマネージャー(技術とビジネスをつなぐ役割)
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セールスエンジニア・技術営業(顧客と技術部門の橋渡し)
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IT・技術系コンサルタント
など、技術とビジネスの間をつなぐポジションで活躍しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
数学がそこまで得意でなくても工学部でやっていけますか?
「テストで常に上位」というレベルでなくても、次のような状態であれば十分に可能性があります。
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定期テストで平均点前後は取れている
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教科書レベルの問題であれば、時間をかければ解ける
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授業をきちんと聞けば、少なくとも何を言っているかは理解できる
一方で、
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どれだけ勉強してもまったく理解できない
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数学・物理の授業そのものが苦痛で仕方ない
という場合は、無理に工学部を目指すよりも、自分に合った別の道を探した方が良い可能性が高いです。
女子が工学部に進んでも浮きませんか?
女子比率が低いのは事実ですが、「必ず浮く」というわけではありません。
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サークル・部活動・インカレを通じて他学部・他大学の女子とつながる
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学外のコミュニティ(バイト・趣味・オンラインコミュニティ)を持つ
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女子支援が手厚い大学・学科を選ぶ
といった工夫により、環境はいくらでも変えられます。実際に工学部で活躍している女子学生・卒業生も多くいますので、オープンキャンパスなどで「先輩に直接話を聞く」ことを強くおすすめいたします。
Fラン工学部はやめといた方がいいって本当ですか?
「Fランだから絶対にダメ」「有名大だから絶対に安心」という単純な話ではありません。重要なのは、
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カリキュラムの中身と、教員の指導体制
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研究設備・研究室の充実度
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キャリアセンターなど就職支援の手厚さ
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卒業生がどのような企業・職種に就いているか
といった点です。
とはいえ、企業とのつながりや知名度が採用に影響する場合もあるため、複数の大学を比較し、「自分が納得できるライン」を見極めることが大切です。
中退や留年は就職にどれくらい影響しますか?
中退・留年があると、就職活動で理由を聞かれる可能性は高くなります。しかし、
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納得感のある理由
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その経験から何を学び、どう行動したか
をきちんと説明できれば、必ずしも致命的なマイナスになるとは限りません。
一方で、理由があいまいなまま複数回留年している場合や、中退後の期間に何もしていない場合などは、選考で厳しく見られる傾向があります。早い段階でキャリアセンターや教員に相談し、計画的に動くことが重要です。
情報系に行くなら工学部情報と情報系単科大、どちらが良いですか?
どちらが良いかは、次の観点で比較して判断することをおすすめいたします。
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カリキュラム:理論寄りか、実務寄りか
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数学の比重:工学部情報は数学・物理色が強いことが多い
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就職実績:どの業界・どの職種への就職が多いか
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自分の興味:ハードウェア寄りか、ソフトウェア寄りか、ビジネス寄りか
工学部情報は「工学×情報」の色が強く、情報系単科大学・学部はより広く情報分野(メディア・デザイン等)を扱うこともあります。自分が将来やりたいことに近いカリキュラムを選ぶことが何より重要です。
まとめ:工学部は「やめとけ」ではなく「人を選ぶ」学部
要点の整理:工学部に向く人・向かない人
本記事の内容を簡潔にまとめると、次のようになります。
工学部に向いている人
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仕組みや構造を考えるのが嫌いではない
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数学・物理に強烈な拒否感はなく、ある程度なら努力でカバーできる
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ものづくり・技術そのものに、少なからず興味や好奇心がある
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将来、何らかの専門性を武器に働きたいという意識がある
工学部はやめておいた方がよい人
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数学・物理が心底嫌いで、勉強する気もほとんどない
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実験やレポートなど地道な作業がどうしても耐えられない
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将来は、人や言葉・お金を扱う仕事に強いこだわりがある
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「楽な大学生活」を最優先したい
工学部は、「誰にとっても最高の選択肢」ではありませんが、「ハマる人には非常に強力な武器になる学部」と言えます。
この記事を読んだあとに取るべき次のアクション
最後に、この記事を読み終えた後に実行していただきたいアクションを整理いたします。
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自分の得意・不得意・興味・価値観を書き出して、自己分析を行う
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志望候補の大学・専攻のカリキュラムと就職実績を、公式情報で確認する
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オープンキャンパスや説明会で、在学生・教員に直接質問する
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それでも迷う場合は、学校の先生・予備校の先生・キャリアカウンセラーにも相談する
こうしたプロセスを踏むことで、「なんとなく工学部」「なんとなくやめとけ」といった曖昧な判断から一歩進んだ、納得度の高い進路選択がしやすくなります。
最終的には「自分の意思」で選ぶために意識してほしいこと
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ネット上の体験談は、極端な成功例・極端な失敗例が目立ちやすいこと
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他人の「つらい」「楽しい」は、自分にとっての評価と一致するとは限らないこと
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進路は一度決めたら終わりではなく、その後も軌道修正が可能であること
これらを踏まえたうえで、自分の頭で考え、自分の意思で選んだ進路であれば、たとえ途中で方向転換が必要になったとしても、その経験は必ず将来の糧になります。