配信を見ていると、こんな会話を耳にすることがあると思います。
「この人、〇〇OTPだからこのマップは頼もしいわ」
「いやでも、構成きついのにそのキャラOTPはやめてほしい…」
このとき出てくる「OTP」という言葉は、ゲームをある程度やり込んでいないと意味が分かりづらく、しかも褒め言葉なのか悪口なのかも文脈で変わります。
さらにややこしいことに、「OTP」は
- ゲーム用語(One Trick Pony)
- セキュリティ用語(One Time Password)
- オタク用語(One True Pairing)
という複数の意味を持つ略語でもあります。
本記事では、主にゲーム用語としての「OTP」に焦点を当てつつ、他分野の意味もあわせて整理します。
ゲーム用語としての「OTP」の意味
OTP=One Trick Ponyの略
ゲーム界隈で「OTP」といえば、基本的にはOne Trick Ponyの略です。
直訳すると「1つの芸しかできない子馬」という意味で、元々は「1つの芸だけで売れている芸人」や「1つの能力にしか取り柄のない人」を指す英語表現です。
これがオンライン対戦ゲームに持ち込まれ、次のような意味で使われるようになりました。
- 特定の1キャラクター(チャンピオン/エージェント/レジェンドなど)だけを集中的に使うプレイヤー
- あるいは特定の1ロールだけをひたすら担当するプレイヤー
日本語スラングで言えば「〇〇専」に近いイメージです。
もともとはネガティブ寄りの言葉だった
もともと「One Trick Pony」は、「芸がワンパターン」「引き出しが少ない」といったニュアンスを含む言葉でした。
チームゲームでは、
- チーム構成を無視していつも同じキャラを出す
- 相性の悪いマップでもお構いなしにピックする
といった状況が起こりがちで、
「あの人は〇〇OTPだから構成が崩れやすい」
といった、批判的な意味合いで使われることが多かったのです。
現在は『職人』としてポジティブに使われる場面も
ところが近年では、
- 1つのキャラを極めている
- どの状況でも安定して強いパフォーマンスを出せる
という意味で、むしろ褒め言葉として使われる場面も増えています。
たとえば、
「このレート帯で〇〇OTPはマジで頼りになる」
「△△OTPと同じチーム引けた、今日は勝てそう」
のように、「職人」「スペシャリスト」のようなニュアンスで使われることもあります。
具体例で理解するOTPプレイヤー
LoL・VALORANT・Apexなどタイトル別のイメージ
代表的なタイトルごとに、OTPプレイヤーは次のようなイメージになります。
LoL(League of Legends)
- 特定チャンピオンOTP例:サポートの一人に絞る、ジャングルで1キャラだけ使い続ける など
VALORANT
- 特定エージェントOTP例:デュエリスト1人を使い続ける、スモーク役を1人だけやり込み続ける など
Apex Legends/Overwatch系
- 特定レジェンド/ヒーローOTP:タンク1体をひたすら使う、特定ロールの1ヒーローに絞る など
いずれも、「そのキャラを見た瞬間に名前が出てくるレベル」で使い続けているプレイヤーを指すことが多いです。
こんなセリフはどういう意味?
実際のゲーム中や配信コメントでは、たとえば次のような使われ方をします。
- 「このジェットOTP、エイムやばいな」
→ ジェットばかり使っているプレイヤーで、腕前を褒めている文脈 - 「構成終わってるのにそのキャラOTPはきつい」
→ チーム構成的にそのキャラが合っていないのに、こだわって出すことへの不満
同じ「OTP」でも、前後の文脈や口調でポジティブ/ネガティブが大きく変わる点がポイントです。
OTPと『メイン』『サブ』の違い
よく似た言葉に「メインキャラ」「サブキャラ」がありますが、ニュアンスは少し異なります。
- メイン:最も得意なキャラだが、他にもある程度使えるキャラがいる
- サブ:メインほどではないが、状況に応じて出せるキャラ
- OTP:ほぼその1キャラで完結しているプレイスタイル
「私はこのキャラしか触りません」というレベルまで振り切れていると、OTPと呼ばれやすくなります。
OTPプレイのメリットとデメリット
メリット:1キャラ専だからこそ得られる強み
OTPプレイには、次のようなメリットがあります。
- キャラ理解がとても深くなる
細かな当たり方、有利不利マッチアップ、立ち位置、スキルの限界など、経験が蓄積しやすいです。 - ランクマッチでの安定感
毎試合「得意キャラ」で戦えるため、安定して自分の力を出しやすくなります。 - 学習コストの集中
いろいろなキャラに手を出さない分、そのキャラの研究・リプレイ分析に集中できます。
上達初期〜中級までの段階では、「一定期間OTP気味にやり込む」ことで急成長するプレイヤーも多く見られます。
デメリット:チームゲーム特有のリスク
一方で、OTPにはチームゲームならではのリスクがあります。
- チーム構成が歪みやすい
必要なロールが足りなくなる、ダメージ配分が偏るなどの問題が起きがちです。 - マップや相手構成との相性問題
どうしても刺さらないマップ・構成があり、その試合だけ極端に弱くなることがあります。 - 味方から『柔軟性がない』と見られる
ピック画面でキャラを譲らない、相談に応じないといった態度が続くと、悪い意味のOTP扱いをされやすくなります。
OTPが特に向いているタイトル・向きにくいタイトル
ざっくりとした目安としては、
向いているケース
- 1人がキャラを極めることでキャリーしやすいタイトル
- ソロランクが主戦場で、味方との事前調整が難しい場合
向きにくいケース
- ロールや構成のバランスが非常に重要で、1人のこだわりがチーム全体の足を引っ張りやすいタイトル
- ロールキュー制で、複数キャラを使えた方がマッチングが円滑になるゲーム
といった傾向があります。実際には、タイトルごとのメタやランク帯によっても変化するため、自分がプレイしているゲームのコミュニティでの評価を観察することが重要です。
評価されるOTPになるための実践ガイド
チームから歓迎されるOTPの条件
同じOTPでも、「一緒にプレイしたい」と思われる人には共通点があります。
- ピック前に一言共有する
- 「〇〇メインですが、必要なら他も出します」
とチャットで伝えるだけでも印象は大きく変わります。 - 構成を見て自分から譲る柔軟性
必要なロールが埋まっていないときは、得意ロールが被っていても譲る判断も重要です。 - 苦手マップ・構成ではサブキャラを出す
完全に1キャラだけに固執するのではなく、「どうしても合わない場面」用のサブを1〜2体用意しておくと、チームからの信頼が厚くなります。
OTPとして上達する練習のステップ
OTPを自分の強みにするための、現実的なステップは次の通りです。
- 一定期間はキャラを変えない
例えば100試合など、明確な目標回数を決めて、そのキャラで集中してプレイします。 - リプレイや配信で振り返る
自分の試合だけでなく、同キャラOTPの上位プレイヤーの配信・動画を見て、立ち位置や動き方を比較します。 - ロール全体の役割理解を深める
「自分のキャラだけ」を見るのではなく、そのロールがチーム内で何を求められているのかを理解すると、プレイの質が大きく変わります。 - パッチノート・メタの変化を追う
OTPは環境変化の影響を強く受けるため、弱体化・強化の情報を追っておくことも大切です。
『悪い意味でのOTP』に陥らないためのチェックリスト
次のような行動が続いている場合、周囲からは「悪い意味でのOTP」と見られている可能性があります。
- 構成やロールを一切見ずに、毎回同じキャラを即ピックしている
- 味方が「その構成きつくない?」と指摘しても、聞く耳を持たない
- カウンターを出されても戦い方を変えず、味方にだけ責任を押し付ける
- チャットやVCで感情的になりやすく、建設的な会話ができない
1つでも当てはまると感じたら、プレイだけでなく「コミュニケーションの仕方」も見直してみると、評価がかなり変わってきます。
他分野の「OTP」との違いも整理しておこう
セキュリティ用語としてのOTP(ワンタイムパスワード)
IT・セキュリティ分野でのOTPは、One Time Passwordの略です。
一定時間だけ有効な使い捨てパスワードで、二要素認証・二段階認証などで広く利用されています。
ゲームでも、
- ゲームプラットフォームのログイン
- 課金時の本人確認
などでワンタイムパスワードが使われることがあり、こちらも「OTP」と呼ばれます。
検索で混同しないコツとしては、
ゲーム用語を調べたいとき
- 「otp ゲーム」「otp とは lol」「otp valorant」などタイトル名を足す
セキュリティ用語を調べたいとき
- 「otp 認証」「otp ワンタイムパスワード」「otp 2段階認証」など関連語を足す
といったクエリの工夫が有効です。
オタク・二次創作界隈のOTP(One True Pairing)
アニメやゲームの二次創作界隈では、OTP=One True Pairingという別の意味で使われます。
- 「唯一真実のカップリング」
- 「自分にとって絶対的な推しカプ」
といったニュアンスで、その人が最も推している組み合わせを指すスラングです。
ゲーム作品でも、キャラクター同士の関係性の話題になるとこの意味でのOTPが出てくることがあるため、文脈で判断する必要があります。
3つのOTPを1枚の表で比較
| 種類 | 正式名称 | 主な文脈 | ざっくりした意味 | 一緒に出やすい単語の例 |
|---|---|---|---|---|
| ゲーム用語のOTP | One Trick Pony | オンライン対戦ゲーム | 1キャラ/1ロール専のプレイヤー | LoL, VALORANT, キャラ名, 〇〇専, ランク など |
| セキュリティ用語のOTP | One Time Password | 認証・ログイン | 一度だけ有効なワンタイムパスワード | 二段階認証, SMS, 認証アプリ, ログイン など |
| オタク用語のOTP | One True Pairing | 二次創作・カップリング | 唯一真実の(最推し)カップリング | カプ, ship, 推し, BL, NL, CP など |
このように、同じ「OTP」でも文脈によって意味はまったく異なるため、前後の話題から判断することが大切です。
まとめ — OTPを『強み』に変える
最後に、本記事のポイントを整理します。
- ゲーム用語としての「OTP」は、One Trick Ponyの略で、特定の1キャラや1ロールを集中的に使うプレイヤーを指します。
- もともとはネガティブなニュアンスも強い言葉でしたが、1キャラを極めた職人プレイヤーへの称賛として使われる場面も増えています。
- OTPプレイは、キャラ理解の深まりや安定したパフォーマンスといったメリットがある一方、構成の歪みやカウンターへの弱さなどのリスクも抱えています。
- チームから歓迎されるOTPになるためには、コミュニケーションと一定の柔軟性が重要です。完全に1キャラに固執するのではなく、「ここだけはサブを出す」といったラインを決めておくと良いでしょう。
- 「OTP」は、セキュリティ分野ではOne Time Password、オタク界隈ではOne True Pairingとしても使われるため、文脈と検索クエリでしっかり切り分けることが大切です。
もしあなたがすでに「ほぼこのキャラしか使っていない」のであれば、無理にやめる必要はありません。
周囲に配慮しながら、そのキャラを誰よりも使いこなすことができれば、「頼れるOTP」としてむしろ強みになります。
自分のプレイスタイルと相談しながら、OTPを武器として活かしていってください。