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タンパク質は一度に30gまでの嘘を検証|吸収と筋合成、最適な摂り方がわかる

「タンパク質は1回30gまでしか吸収できない」「それ以上は全部ムダ」――そんな情報を見て、食事やプロテインの摂り方に自信がなくなっていませんか。忙しい毎日の中で筋トレや体型管理を続けたいのに、回数を増やすべきなのか、夕食にまとめて食べるのは損なのか、判断が難しく感じるのは当然です。

実は、この“30g限界説”は吸収と**筋肉に使われる量(筋タンパク合成)**を混同したことで広まりやすい誤解のひとつです。大切なのは「1回で何gまで吸収できるか」ではなく、1日の総量をどう確保し、どんな配分で取りこぼしを減らすかという設計です。

本記事では、よくある誤解を根拠とともに整理したうえで、筋肥大・減量・健康維持など目的別に「1日量→1食量→食品量」へ落とし込むテンプレまでまとめます。最小の手間で、今日から迷わず実行できる形に整えていきましょう。

※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。

目次

タンパク質は一度に30gまでしか吸収できないは嘘なのか

吸収と利用を混同すると30g限界説が生まれる

まず最初に、言葉の整理をします。30g限界説が強く見えるのは、「吸収」と「筋肉に使われる」を同じだと思ってしまうからです。人体の中では、同じ“タンパク質”でも段階が分かれています。

用語 何が起きているか 誤解されやすいポイント
消化 食事のタンパク質が分解される(胃〜小腸) 「量が多いと分解できない」
吸収 分解されたアミノ酸などが小腸から体内へ入る 「一定量を超えると吸収されず捨てられる」
利用 体内で材料・機能成分・エネルギーとして使われる 「筋肉に行かなければ全部ムダ」
筋タンパク合成(MPS) 筋肉の修復・合成が進む反応 「増やせば増やすほど無限に上がる」
酸化・他用途 余剰の一部がエネルギー化、別の化合物の材料へ 「酸化=悪、全部脂肪になる」
排出 主に窒素が尿素などとして排出される 「食べたタンパク質がそのまま尿に出る」

査読レビューが強調するのは、「吸収できる上限」よりも、「筋合成を最大化するための摂り方(総量と配分)」です。つまり、30g限界説の核心は“吸収上限”ではなく、“MPSがどの摂取量で頭打ちに近づくか”という話が、言葉の置き換えでねじれたものだと理解すると整理がつきます。

30gを超えたら全部ムダではなく追加効果が逓減し得る

「ムダ」という言葉が強すぎるのも誤解の原因です。筋トレをしている人にとって大切な指標の一つはMPSですが、MPSは摂取量に対してどこかで“頭打ちに近づく(追加効果が小さくなる)”ことがあります。ここから一部の情報が「それ以上は吸収できない」にすり替わりやすいのです。

査読レビュー(Schoenfeld & Aragon)では、筋合成を最大化する実用目安として、0.4 g/kg/食を少なくとも1日4回に分け、合計で1.6 g/kg/日(上限側の例として2.2 g/kg/日を4回に分けるなら0.55 g/kg/食)という提案を示しています。
これは「30g以上は無意味」という話ではなく、「総量と配分で“筋合成を取りこぼしにくくする”」という整理です。


30g限界説が広まった背景を5分で理解する

研究の話題は吸収ではなく筋タンパク合成の最適化に寄りやすい

「20〜25gでMPSが最大化する」といった表現は、特定条件(若年・高品質タンパク・状況が揃う等)で語られた文脈から切り出されることがあります。レビュー論文の要旨にも、若年成人での“ある程度の量で最大化する”という議論が触れられます。
ここで注意したいのは、研究が扱うのは「筋合成の反応」であり、SNS的に「吸収できる量の上限」として言い換えると意味が変わってしまう点です。

1日総量と配分の話が“1回上限”の話に変換されて拡散しやすい

学会声明やレビューが示すのは、基本的に「総量(g/kg/日)」「条件がある場合の上振れ」「配分の考え方」です。たとえばISSNのポジションスタンドでは、運動者の総量として1.4〜2.0 g/kg/日が多くのケースで十分で、減量期などではさらに高い摂取が必要になり得る、という整理が示されています。
このような“設計の話”が、短い投稿では「1回は30gまで」などの“単純ルール”に変換され、広まりやすいのが実態です。


目的別に最適なタンパク質量を決める早見表

まず結論は総量が先で次に配分が来る

タンパク質の悩みは、ほとんどが次の順番で解決します。

  1. 目的に合う1日総量を決める

  2. 実行できる回数に分ける

  3. 食品で満たし、足りない分だけ補助(プロテイン等)

総量の目安は、運動者であればISSN声明の整理(1.4〜2.0 g/kg/日)が出発点として使いやすく、減量期など条件があれば上振れも検討します。
一方、一般の健康維持では、日本の公的基準(日本人の食事摂取基準)を土台に置くのが安全です。

目的別早見表(総量・配分・1食目安)

※以下は「決めるための目安」です。体格、活動量、年齢、トレーニング量、食欲、胃腸の強さで調整してください。

目的 1日総量の目安 分け方の基本 1食目安の決め方 注意点
筋肥大・筋力アップ 体重×1.4〜2.0 g/日 3食+間食(計4回が作りやすい) 0.4 g/kg/食×4回(必要に応じて0.55 g/kg/食まで) 摂りすぎより“継続できる設計”が最重要
減量期(筋量維持) 体重×1.4〜2.0 g/日を下回らない、状況で上振れ 空腹が出るなら間食で分散 “朝昼が不足しない”配分を優先 カロリー不足で疲労が強いなら設計見直し
健康維持(一般) 公的基準を土台に不足を防ぐ 毎食に少しずつ 「毎食で不足を作らない」を優先 まずは総量不足の解消
高齢・フレイル予防 公的基準+食の細さに応じて補食 3食+補食(少量を追加) 1回量より回数で稼ぐ 噛む力・食欲・胃腸に合わせる

1分で決まる計算テンプレ(体重→1日量→1食量)

ステップ1 目的を選ぶ

  • 筋肥大:トレ週2回以上、筋肉を増やしたい

  • 減量:脂肪を落としつつ筋量を守りたい

  • 健康:不足を防ぎたい、体調を整えたい

  • 高齢:食が細い、筋力低下が気になる

ステップ2 体重から1日総量を出す

  • 例:体重70kg、筋肥大目的
    → 1日総量:70×1.6=112g/日(範囲は1.4〜2.0 g/kg/日が目安)

ステップ3 実行できる回数で割る

  • 3食しか無理:112g÷3=約37g/食

  • 3食+間食1回:112g÷4=28g/食
    忙しい人は「3食+間食」が最も続きやすい落としどころです。

ステップ4 食品で満たし、不足分だけ補助する

  • 食事で25g取れているなら、間食で15〜25g補う

  • プロテインは「毎回固定」より「不足分の穴埋め」で考えると失敗が減ります


配分は本当に意味があるのか 夕食にまとめると損か

均等配分が有利になり得る根拠

同じ総量でも、各食で中程度のタンパク質を摂ったほうが、夕食に偏らせるより24時間のMPSが高かったという研究があります(Mamerowら)。
ただしこれは「夕食まとめ=無意味」という話ではなく、筋合成の観点で“取りこぼしにくい”配分がある、という整理です。

夕食まとめが向く人と向かない人

  • 向かない人:朝昼が軽く、空腹で間食が増える/夕食後に胃もたれする

  • 向く場合がある人:朝に食欲が出にくく、まず総量確保が最優先/食事回数がどうしても増やせない
    結論としては、総量が確保できる範囲で、できるだけ分散が無難です。


1食量を増やしすぎるデメリットと安全チェック

胃腸負担と継続性が一番の落とし穴

「吸収できないからムダ」ではなく、現実の問題は一度に多いと胃腸がつらくて続かないことです。
食後の膨満感、眠気、下痢・便秘、胃もたれが出るなら、1食量を下げて回数を増やすほうが成功率は上がります。

治療中・持病がある人は自己判断で増量しない

腎疾患、糖尿病、肝疾患、透析など治療中の場合は、目標たんぱく質量が医療的に決まっていることがあります。該当する場合は、主治医または管理栄養士に「g/日」の目標を確認した上で調整してください(ここは一般論で押し切らないのが安全です)。

安全チェックリスト(当てはまれば設計を軽くする)

  • 食後に胃もたれ、吐き気、強い眠気が出る

  • 下痢/便秘が増えた

  • 治療中で食事制限の指示がある

  • 高たんぱくにしたら主食・野菜が減り、疲れやすい

  • 体重が急に落ちた(カロリー不足の可能性)


食品で迷わないためのタンパク質量の目安表(公的データ準拠の考え方)

食品量は成分表の考え方で見るのが最も安全

食品のたんぱく質量は、部位・加工・水分量・調理で変わります。したがって「絶対にこの量」と断定するより、公的データ(食品成分データベース/成分表)を根拠に“目安”として扱うのが正しい使い方です。

10g 20g 30gを作る組み合わせ例(実装重視)

※以下は「組み合わせの作り方」を覚えるための例です。細かな数値は製品や調理で変動します。

目標 例(家庭で作りやすい) 例(コンビニで作りやすい)
約10g 卵1〜2個、豆腐少量、ヨーグルト ヨーグルト、ゆで卵、豆腐系惣菜
約20g 魚の切り身+小鉢、鶏肉少量+納豆 サラダチキン半分+卵、ツナ+豆腐
約30g 鶏肉/魚を主菜にして副菜で追加 サラダチキン+ヨーグルト+卵 等

この表の価値は「20gを単体で狙う」より、「主菜+副菜で積み上げる」発想に切り替えられることです。


忙しい人のための配分テンプレ 3食で無理なら間食1回だけ足す

テンプレA 3食+間食(最も現実的)

  • 朝:20〜30g

  • 昼:25〜35g

  • 間食:15〜25g(不足分だけ)

  • 夜:25〜40g
    合計が目標に届けばOKです。「毎回きっちり」ではなく「日合計で帳尻」を合わせるほうが続きます。

テンプレB 3食のみ(間食が難しい人)

  • 朝:25〜35g(ここを軽視しない)

  • 昼:30〜40g

  • 夜:35〜45g
    3食のみは1食量が上がりやすいので、胃腸がつらいならテンプレAへ戻すのが現実解です。

テンプレC 2食+間食(どうしても朝が無理な人)

  • 昼:35〜50g

  • 間食:20〜30g

  • 夜:40〜55g
    この型は“総量確保”には役立ちますが、夕食の胃腸負担が出やすいので、合わなければ2食を“昼+夕の2回”ではなく“昼+早めの夕+軽い夜”に分割してください。


外食とコンビニで迷わない組み立てルール

コンビニの基本ルールは主菜を固定して足りない分を埋める

  • 主菜:肉・魚・卵・大豆のどれかを必ず入れる

  • 追加:ヨーグルト/牛乳/豆腐惣菜/ゆで卵で積み上げる

  • プロテイン飲料:不足分の穴埋めとして使う(“必須”にしない)

外食の基本ルールは定食化する

  • 丼・麺の単品は不足しやすい

  • 定食にして、足りない分は小鉢(豆腐・納豆・卵)で足す

  • 「たんぱく質だけ」より、野菜・主食を落としすぎない


よくある誤解をここで完全にほどくFAQ

1食で50g摂ったら脂肪になるのか

脂肪増加は“タンパク質単体”というより、総摂取カロリーが上回ることが主因です。タンパク質が余れば一部は酸化・他用途に回り得ますが、それが即「脂肪になる」と短絡しないでください。まずは目標総量と総カロリーのバランスを見直すのが先です。

夕食にまとめても無意味なのか

無意味ではありません。ただ、筋合成の観点で均等配分が有利になり得ることは示されています。
生活上どうしても偏るなら、せめて朝昼に“少量でも”足して、偏りを緩和するのが現実的です。

プロテインは毎回同じ量を飲むべきか

最適解は「不足分を埋める」です。食事で十分な日まで固定で足すと、胃腸負担やカロリー過多になりやすいからです。逆に忙しい日だけ補助として使えば、継続性が上がります。

高齢者は1回量を増やすべきか回数を増やすべきか

食が細い場合は、1回量を無理に増やすより、補食で回数を増やすほうが成功しやすい傾向があります。公的基準を土台にしつつ、食べやすい形(乳製品・卵・大豆など)で積み上げるのが現実的です。


まとめ

  • 「タンパク質は1回30gまでしか吸収できない」は、吸収と利用(特にMPS)を混同した誤解として整理すると理解が早くなります。

  • まずは1日の総量を目的別に決め、次に実行できる回数に分けるのが最短ルートです。運動者の総量目安はISSN声明(1.4〜2.0 g/kg/日)が出発点になります。

  • 配分は「夕食まとめ=無意味」ではありませんが、均等配分が24時間のMPSで有利になり得ることが示されています。

  • 食品量の目安は、公的データ(文部科学省の食品成分データ)を土台に“目安として”使うのが安全です。

  • 治療中・持病がある場合は、自己判断で増量せず、主治医または管理栄養士に「g/日」の目標を確認してください。


参考にした情報源

International Society of Sports Nutrition(ISSN)Position Stand: protein and exercise
https://link.springer.com/article/10.1186/s12970-017-0177-8

Schoenfeld, Aragon(2018)How much protein can the body use in a single meal for muscle-building?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29497353/
https://link.springer.com/article/10.1186/s12970-018-0215-1

Mamerow et al.(2014)Dietary protein distribution positively influences 24-h muscle protein synthesis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24477298/
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022316622009087

厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)関連PDF
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf

文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)・食品成分データベース
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
https://fooddb.mext.go.jp/