「タンクレストイレはやめたほうがいいらしい」──SNSやブログでそんな言葉を目にして、不安になっていませんか。
ハウスメーカーやリフォーム会社からは「空間が広く見える」「掃除が楽」「デザイン性が高い」とタンクレスを強く勧められる一方で、ネット上には「後悔した」「トラブルが多い」という声もあり、どちらを信じてよいか迷ってしまう方は少なくありません。
実際、タンクレストイレは「どの家にもおすすめの万能な設備」ではなく、条件が合う家には大きなメリットがある一方で、条件が合わない家では本当にやめておいたほうがよい設備です。水圧や階数、停電・断水時の備え、家族構成や予算次第で、最適な答えは大きく変わります。
本記事では、タンクレストイレのメリット・デメリットを感覚ではなく「条件ベース」で整理し、あなたの家はタンクレスを選ぶべきか、それともタンク式にしておくべきかを具体的なチェックポイントとともに解説いたします。読み終えるころには、「自分の家にとっての正解」がはっきりと見えるはずです。
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タンクレストイレはやめたほうがいい?
条件が合わない家は「やめたほうがいい」、条件が合う家には大きなメリット
結論から申し上げますと、タンクレストイレは「どのご家庭にも無条件でおすすめできる設備」ではなく、条件が合わない家ではやめたほうがよい一方、条件が合う家では大きなメリットを生む設備です。
特に、次のような条件に当てはまる場合は注意が必要です。
水圧が低い、または2階・高層階で水圧がギリギリの住まい
停電・断水時に利用できる別トイレがなく、非常用トイレも用意しにくい環境
初期費用や修理費用の上振れが家計にとって大きな負担になる場合
一方で、
戸建て1階など水圧に余裕がある
トイレ内か近くに手洗いスペースを設けられる
停電・断水時の備えも含めて計画できる
といった条件を満たす家では、デザイン性・掃除のしやすさ・節水性などのメリットを大きく享受しやすい設備と言えます。
まず押さえたい「向いていない家」の代表例
詳細な説明に入る前に、典型的に「タンクレストイレはやめたほうがいい」家のパターンを簡単に整理いたします。
高層階・2階トイレで、水圧がギリギリまたは不明な家
タンクレストイレは水道直結で洗浄するため、一定以上の給水圧が必要です。水圧が不足すると、洗浄不良や詰まりの要因となります。停電・断水時に利用できるトイレが他にない家
多くのタンクレストイレは電気でバルブを制御しているため、停電時には通常どおり使えない、あるいは強い制限がかかることがあります。初期費用や修理費用の増加が大きな負担となる家
タンクレストイレは本体価格・修理費用ともに高くなりやすく、不測の出費が家計を圧迫する可能性があります。
これらに複数当てはまる場合は、タンクレストイレの採用は慎重に検討し、タンク式との併用やタンク式のみの選択も視野に入れることをおすすめいたします。
タンクレストイレの基本構造とタンク式との違い
タンクレストイレとは?構造と仕組み
タンクレストイレとは、その名のとおり背面に水を貯めるタンクを持たないタイプのトイレです。水道管から直接水を取り込み、電磁弁や電動ポンプなどの電気制御部品によって洗浄水を便器内へ送り出す仕組みになっています。
主な特徴は以下のとおりです。
水道直結のため、タンクに水が溜まるのを待つ時間が不要
電気制御により、洗浄水量やタイミングを細かく調整できる
タンクがないぶん、奥行きが短くなりやすく、見た目がスッキリする
このように、タンクレストイレは電気と水圧に依存する「機械設備寄り」のトイレとイメージしていただくと分かりやすいです。
タンク式トイレとの違い(水の流し方・水圧・電気使用の有無)
タンク式トイレとの違いは、大きく次の3点です。
水の流し方の違い
タンク式:タンクに溜めた水をレバー操作で一気に落とし、重力で流す方式
タンクレス:水道直結で、電磁弁等を使って規定量の水を押し出す方式
水圧への依存度の違い
タンク式:一旦タンクに溜めてから流すため、給水圧が多少低くても影響が出にくい
タンクレス:一定以上の水圧が前提であり、高層階や2階トイレでは水圧不足に注意が必要
電気使用の有無
タンク式:洗浄自体は機械的な仕組みで、電気がなくてもレバー操作で排水が可能
タンクレス:多くの機種で洗浄に電気制御を用いており、停電時には使えない、あるいは制限付きでしか使えない場合がある
これらの違いにより、タンクレストイレには**「水圧にシビア」「停電に弱い」といった性質**が生じます。
節水性能の違いと、どれくらい水道代が変わるのか
節水性能を考える際は、以下の3つの区分で比較するとイメージしやすくなります。
従来型トイレ(約20〜30年前の13Lクラス)
1回あたりの洗浄水量:おおよそ13L前後
最新タンク式トイレ(節水型)
大洗浄で約4.8〜6L程度
タンクレストイレ(超節水型)
大洗浄で約3.8〜4L前後の設計が多い
4人家族を想定し、1人あたり1日4回使用するモデルケースで概算すると、
従来型13L:13L × 4回 × 4人 ≒ 208L/日
最新タンク式5L前後:5L × 4回 × 4人 ≒ 80L/日
タンクレス4L前後:4L × 4回 × 4人 ≒ 64L/日
となり、従来型13L→タンクレスの場合は大幅な節水が期待できます。一方、最新タンク式→タンクレスの場合は、1回あたり1L前後の差となることも多く、節水効果の差はそれほど大きくないケースもあります。
つまり、
「古い13Lトイレから交換する」場合:タンクレス・タンク式いずれにしても大きな節水効果あり
「最新タンク式とタンクレスを迷っている」場合:節水性能の差よりもデザイン性や掃除のしやすさを重視するケースが多い
と整理することができます。
「やめたほうがいい」と言われる主なデメリット・後悔ポイント
手洗い器が別途必要になる問題
タンクレストイレにはタンク上の手洗い器がないため、手洗いをどこで行うかを事前に検討する必要があります。
トイレ内に手洗いカウンターを別途設置する
トイレの外(洗面所など)まで移動して手を洗う動線にする
手洗いカウンターを設置する場合は、
追加の設備費用
手洗い用の給水・排水配管工事
手洗いカウンター分のスペース確保
といった点が必要となります。トイレが狭い場合には、カウンターを設置したことで逆に窮屈になるケースもあるため、図面上でしっかり確認しておくことが重要です。
水圧・階数による設置制限と詰まりリスク
タンクレストイレは水道直結で洗浄するため、一定以上の水圧が確保されていることが前提条件となります。
注意が必要なケースの例としては、
マンションの高層階
戸建て住宅の2階トイレ
高台や給水末端エリアなど、水圧が低くなりがちな地域
などが挙げられます。
さらに、タンクレスは節水のため洗浄水量が少ない=流す勢いも弱くなりやすい傾向があります。以下の条件が重なると、詰まりのリスクが高まります。
横引き配管が長い、勾配が不足している
トイレットペーパーを一度に大量に流す
水に溶けにくいものを流してしまう
設計や施工が適切であれば問題は抑えられますが、建物条件が厳しい場合には「やめたほうがいい」要因となり得る点は押さえておく必要があります。
停電・断水時に使えない/使いにくいリスク
多くのタンクレストイレは、洗浄バルブの開閉や各種機能に電気を使用しています。そのため、停電時には次のような制限があります。
通常のボタン操作では水が流れない機種がある
非常時用の手動レバーがある場合でも、使用方法が特殊で回数に制限がある
長時間の停電時には、タンク式トイレに比べて不便になりやすい
また、断水時にはタンク式でもいずれ使えなくなる点は同じですが、タンクレストイレはもともと水を貯めていないため、バケツの水を流し込んで代用するといった裏技が使いにくいという側面もあります。
災害時の備えという観点では、
別フロアにタンク式トイレを残しておく
非常用トイレ(簡易トイレ)を用意しておく
など、タンクレスの弱点を補う対策をセットで検討しておくことが重要です。
本体価格・修理費用が高くなりやすい
タンクレストイレは、同程度のグレードで比較した場合、タンク式より本体価格が高くなる傾向があります。加えて、故障時の修理・交換費用も高くなりがちです。
本体価格:タンク式と比べて10万円前後高い価格帯になるケースが多い
修理費用:電気系統・基板・センサーなど、部品単価が高くなりやすい
一体型構造:部分的な交換が難しく、状況によっては本体まるごと交換となる場合もある
その結果、「初期費用+修理・交換費用」のトータルで見るとタンク式より割高になる可能性がある点は、事前に理解しておく必要があります。
電気制御と一体型構造ゆえの故障リスク
タンクレストイレには、
自動開閉機能
自動洗浄機能
温水洗浄・温風乾燥
自動脱臭・節電機能
など、電気を使った機能が多数搭載されています。これらは非常に便利ですが、同時に故障する可能性のある箇所が増えるということでもあります。
一般的には、トイレ設備も10〜15年程度を目安に更新していくことが想定されています。この期間のどこかで故障・部品交換が発生する前提で考え、延長保証やメンテナンス体制も含めて機種を選定することが現実的です。
タンクレストイレのメリットと「向いている人」
トイレが広く見える・デザイン性が高い
タンクレストイレの代表的なメリットが、デザイン性と省スペース性です。
背面にタンクがないため、見た目がスッキリしている
便器の奥行きが10〜20cm程度短くなるケースもあり、体感的な広さが増す
ホテルライク・モダンなインテリアにも合わせやすい
狭めのトイレでも、タンクレスにすることで圧迫感が軽減され、空間にゆとりを感じやすくなることがあります。「トイレも含めて住まい全体のデザインにこだわりたい」という方には、大きな魅力となります。
掃除のしやすさと衛生面のメリット
タンクレストイレは、タンク式に比べて形状がシンプルで凹凸が少ないため、掃除のしやすさという点でもメリットがあります。
タンクまわりのホコリ・水垢がそもそも発生しにくい
便器の外側もスリムな形状で、拭き掃除がしやすい
自動洗浄や自動脱臭などが、日常の衛生管理を助けてくれる
「トイレ掃除のストレスを少しでも減らしたい」「汚れが見えるのが嫌」という方にとって、日々の満足度に直結するポイントです。
節水・節電によるランニングコスト削減
従来型13Lトイレと比較した場合、タンクレストイレは使用水量が約1/3程度になるケースもあり、中長期的な水道料金の削減効果が期待できます。
さらに、最新機種では、
自動で便座の温度を調整する節電モード
人感センサーによるオン・オフ制御
など、電気代削減にもつながる機能が搭載されています。
ただし、最新タンク式との比較では水量の差が小さいことも多いため、「ランニングコストだけ」を決め手とするよりも、デザイン性・掃除性との総合バランスで判断するのが現実的です。
タンクレストイレが向いている家・家庭の条件
タンクレストイレが特に向いているのは、以下のような条件を満たすケースです。
戸建て1階など、水圧に十分な余裕がある
トイレ内またはトイレのすぐ近くに手洗いスペースを確保できる
停電・断水時に利用できる別トイレや非常用トイレを備えられる
トイレの見た目・掃除のしやすさに価値を感じ、そのために追加費用を許容できる
これらを満たす場合、タンクレストイレのデメリットを理解したうえでも、メリットがそれを上回りやすいと言えます。
タンクレストイレを選ぶか迷ったときの判断手順
ステップ1:建物条件(水圧・階数・配管)を確認する
最初に確認すべきは、建物側の物理的条件です。具体的には次の項目です。
給水方式(直結給水・受水槽方式など)
給水圧(メーカー推奨の水圧範囲を満たしているか)
トイレの位置(1階か2階か、高層階か)
排水方式(床排水・壁排水)や配管距離・勾配
これらは、ハウスメーカー・工務店・リフォーム会社に必ず確認する事項です。「この機種のタンクレストイレを入れたいが、水圧・配管条件は問題ないか」と、商品名まで具体的に示して確認することをおすすめいたします。
ステップ2:家族構成・ライフスタイル・災害リスクを整理する
次に、暮らし方や災害リスクの観点から検討します。
小さな子ども・高齢者・介護が必要な家族の有無
在宅時間が長い家族(テレワーク・自営業など)の有無
お住まいの地域で、地震・台風・豪雨などによる停電や断水のリスクがどの程度あるか
近隣でトイレを借りられる環境かどうか
「長時間の停電が発生した時に、タンクレスしかないと困りそうだ」と感じる場合には、タンク式トイレを併設する、非常用トイレを必ず用意するなどの対策も合わせて検討する必要があります。
ステップ3:予算と10〜15年スパンのトータルコストを比較する
タンクレストイレの判断では、初期費用だけでなく、10〜15年のトータルコストを比較することが重要です。
初期費用:本体価格+工事費
ランニングコスト:水道代・電気代
修理・交換費用:故障時の修理費・最終的な本体交換費用
タンクレス/最新タンク式/従来型の3パターン程度でざっくり試算し、**「総額でどのくらい差が出るのか」**をイメージしていただくと判断しやすくなります。
ステップ4:1階タンクレス+2階タンク式など、折衷案も検討する
タンクレストイレかタンク式かを「どちらか一方」に決める必要はありません。
1階:来客も使用することが多いため、デザイン性・掃除性重視でタンクレス
2階:家族専用・非常時のバックアップとしてタンク式
というように、フロアごとの役割に合わせて組み合わせる選択も非常に有効です。特に2階トイレの水圧が不安な場合は、2階をタンク式とすることでリスクを抑えられます。
費用・ランニングコストをタンク式と比較
本体価格・工事費の目安比較(タンクレス vs タンク式)
※以下はあくまで一般的な価格帯イメージであり、メーカー・グレード・販売ルートによって大きく変動します。
| 項目 | タンクレストイレ | 最新タンク式トイレ | 従来型13Lトイレ(既存) |
|---|---|---|---|
| 本体価格の目安 | 中〜高価格帯(20〜40万円台クラスが中心) | 低〜中価格帯(10〜25万円程度) | 既設のため0(交換しない場合) |
| 工事費 | 標準工事+機種によりやや増加する場合あり | 一般的な標準工事費 | リフォームを行わなければ0 |
| 合計初期費用 | タンク式より数万〜十数万円高くなるケースが多い | タンクレスより抑えやすい | リフォーム内容による |
費用面だけを見ると、タンク式の方が導入しやすい傾向があります。そのうえで、デザイン性や掃除のしやすさをどこまで評価するかがポイントになります。
水道代・電気代などランニングコストの比較
水道代の違いは、基本的に1回あたりの洗浄水量の差によって決まります。
従来型13L → タンクレス(約4L):
大幅な節水効果が期待でき、年間で数千円〜1万円前後の削減となるケースもあります。最新タンク式(約5L) → タンクレス(約4L):
1回あたり1L前後の差であり、節水効果の差はそれほど大きくない場合もあります。
電気代に関しては、タンクレストイレと最新タンク式+温水洗浄便座を比較すると、大きくは変わらない水準になることが多いと考えられます。どちらも節電モードやタイマー機能を活用することで、ランニングコストを抑えやすくなっています。
修理・交換費用と寿命の違い
タンクレストイレ
電気・基板・センサー類など、故障要因となり得る箇所が多い
一体型構造が多く、部分交換ではなく本体交換となるケースもある
タンク式トイレ
便器・タンク自体はシンプルな構造で故障が少ない
温水洗浄便座のみ市販品に交換するなど、部分的に更新しやすい
いずれにしても、10〜15年程度で何らかの更新が必要になると見込んでおくと現実に近い設計になります。
「トータルコスト」で見たときの損得イメージ
従来型13Lトイレから交換する場合、
タンクレスを選ぶ
最新タンク式を選ぶ
のどちらであっても、従来より大きく節水できることが多く、トータルコストでは「どちらも十分メリットがある」ケースが多いです。
一方で、
予算を抑えたい → 最新タンク式+他設備(手すり・収納・壁パネル等)の充実
デザイン・掃除のしやすさを重視 → タンクレスに予算を配分
といったように、どこにお金をかけるかによって最適解は変わります。
よくあるトラブルと予防・対処法
詰まりやすいと言われる原因と予防策
タンクレストイレが「詰まりやすい」と言われる背景には、以下のような要因があります。
節水設計により、水で押し流す力が弱くなりやすい
横引き配管が長い/勾配が不足しているなど、配管条件の問題
トイレットペーパーを一度に大量に流す、流してはいけないものを流すといった使用方法
予防策としては、次のような点を意識するとよいです。
トイレットペーパーはまとめずに、数回に分けて流す習慣をつける
ウェットティッシュ・おしりふき・生理用品など、水に溶けにくいものは流さない
「節水のために流す回数を減らしすぎる」ことを避け、必要な回数はきちんと流す
設計・施工と使い方の両面から対策することで、詰まりのリスクを抑えやすくなります。
電気系統の故障が起きたときの考え方
タンクレストイレでは、電気系統のトラブル(ボタン反応なし、自動開閉しない、温水が出ないなど)が発生する可能性があります。
その際の基本的な流れは次のとおりです。
取扱説明書の「故障かなと思ったら」の項目を確認する
ブレーカー・コンセントの抜き差し・本体のリセット操作など、ユーザーができる範囲の確認を行う
解決しない場合は、メーカーのサポート窓口や取付業者に連絡する
タンクレストイレを選ぶ場合は、延長保証の有無やアフターサポート体制も含めて検討しておくと安心です。
停電・断水時に備えておくべきこと
タンクレストイレを採用する場合、停電・断水時への備えはセットで考えるべきです。
簡易トイレ・非常用トイレ(袋タイプなど)を家族人数分・数日分用意しておく
可能であれば、もう一つのトイレはタンク式とし、非常時にそちらを使えるようにしておく
飲料用とは別に、生活用水としての水をある程度備蓄しておく
これらを準備しておくことで、タンクレストイレの「非常時の弱さ」をある程度カバーできます。
タンクレストイレを選んだ場合の日常的なメンテナンス
タンクレストイレの性能を長く維持するには、日常のメンテナンスも大切です。
便器内は、メーカー推奨の洗剤・ブラシで定期的に清掃する
温水洗浄便座のノズル部分をときどき掃除する
給水フィルターなど、取扱説明書に記載のメンテナンス箇所を定期的に確認する
汚れが固着する前に、気づいたときにサッと拭き取る習慣をつける
取扱説明書に沿ってメンテナンスを行うことで、故障リスクの低減や衛生面の向上につながります。
失敗を防ぐチェックリスト
導入前チェックリスト(建物条件編)
以下の項目を確認し、どれだけ「はい」と答えられるかチェックしてみてください。
メーカーが指定する最低水圧を満たしていると、業者から説明を受けた
トイレの設置階(特に2階・高層階)について、水圧に問題がないと確認済みである
排水方式や配管経路について、「タンクレスでも問題ない」と説明を受けている
トイレ付近に電源コンセントを問題なく設置できる
「いいえ」が多い場合は、タンクレス採用を急がず、条件の再確認やタンク式の検討も視野に入れることをおすすめいたします。
導入前チェックリスト(暮らし方・家族編)
小さな子どもや高齢者にとって、操作しやすいトイレになっているか確認した
手洗いスペースの位置が、家族全員にとって使いやすいと感じられる
停電・断水時にも使える別トイレ、または簡易トイレを備える予定がある
トイレ掃除の手間を軽減したいというニーズが自分たちにある
トイレのデザインや空間づくりを重視している
こちらも「いいえ」が多い場合は、最新タンク式でも十分な満足度が得られる可能性が高いと考えられます。
導入前チェックリスト(費用・トラブル編)
タンクレストイレの本体価格がタンク式より高いことを理解している
故障時の修理・交換費用が高くなる可能性があることを理解している
10〜15年スパンで見たときに、トイレにどのくらい予算をかけるか決めている
メーカーの延長保証や設備保証の内容を確認し、必要に応じて加入するつもりがある
これらを踏まえたうえで「それでもタンクレスにしたい」と思えるなら、ご家庭にとってタンクレストイレは十分に投資価値のある選択肢となります。
タンクレストイレに関するよくある質問
タンクレストイレは本当に詰まりやすいのですか?
タンクレストイレが「詰まりやすい」と言われることはありますが、その原因はタンクレスだからというより、水量・配管条件・使い方が組み合わさった結果であることが多いです。
節水設計による水量の少なさ
横引き配管の長さや勾配不足といった構造的要因
トイレットペーパーの使いすぎや、流してはいけないものを流す使用方法
これらを適切に管理すれば、極端に詰まりやすいとは限りません。水圧・配管条件を満たしているか、業者にしっかり確認したうえで、日常の使い方にも注意することが大切です。
停電時でも使えるタンクレストイレはありますか?
一部のタンクレストイレには、停電時に手動で水を流せる機能や、電池・内蔵バッテリーで最低限の動作が可能なタイプもあります。
ただし、
使用できる回数に制限がある
操作方法が通常時と異なり、少々手間がかかる
といった制約があるため、「停電時も普段どおりに使える」と考えるのは現実的ではありません。停電時には、別トイレや簡易トイレを活用する前提で考えることをおすすめいたします。
将来タンク式に戻したくなった場合、リフォームは可能ですか?
多くの場合、タンクレストイレからタンク式トイレへのリフォームは可能です。ただし、
排水位置(床排水か壁排水か)
配管の取り回しや勾配
壁・床仕上げの補修範囲
などにより工事内容や費用が変わります。将来的な変更の可能性が気になる場合は、事前にリフォーム会社に相談し、「将来タンク式に戻す場合のイメージ」も共有しておくと安心です。
高齢になったときに不便になることはありませんか?
タンクレストイレ自体が高齢者に不向きというわけではありませんが、次の点には配慮が必要です。
手洗い器の高さ・位置が高齢者にとって使いやすいか
操作パネルのボタンが分かりやすいか、文字が小さすぎないか
自動開閉・自動洗浄がかえって驚きやストレスを生まないか
手すりの位置や操作パネルの取り付け高さを含めて、将来の身体状況をイメージした計画にしておくと、高齢になってからも使いやすいトイレになります。
結局、予算が限られているならタンクレスとタンク式どちらを選ぶべき?
予算が限られている場合は、最新タンク式トイレを選び、浮いた費用を「汚れにくい壁材・床材」「手すり」「収納」「照明」などに回すという考え方が有力です。
最新のタンク式トイレも十分に節水・節電性能が高い
空間全体の使い勝手・安全性・掃除のしやすさを向上させることで、満足度が上がることが多い
一方で、「どうしてもタンクレスのデザインが好み」「トイレを家の見せ場の一つにしたい」という場合は、タンクレスに投資する価値があります。ご家庭として何を優先したいかを整理したうえで決めていただくのがよい判断につながります。
まとめ:タンクレストイレを「やめる/選ぶ」の判断基準
「やめたほうがいい家」の条件おさらい
タンクレストイレをやめたほうがよい代表的な条件を整理すると、次のとおりです。
高層階・2階トイレなどで、水圧がギリギリまたは不明なまま採用しようとしている
停電・断水時に使える別トイレや非常用トイレを用意する予定がない
初期費用や故障時の修理・交換費用の増加が、家計に大きな負担となる
トイレ空間が非常に狭く、手洗い器の設置スペースが確保しにくい
これらに複数当てはまる場合は、タンクレストイレではなくタンク式を基本線として検討する方が無難です。
「選んでも良い/おすすめできる家」の条件おさらい
反対に、タンクレストイレを選んでも良い・むしろおすすめできる条件は次のとおりです。
戸建て1階など、水圧に余裕があることが確認できている
トイレ内または近くに手洗いスペースを無理なく確保できる
停電・断水時に利用できる別トイレや簡易トイレを備える計画がある
トイレのデザイン性・掃除のしやすさを重視し、それに対する追加費用を許容できる
これらを満たす場合、タンクレストイレのメリットがデメリットを上回りやすく、満足度の高い選択となる可能性が高いと言えます。
後悔しないために今チェックしておきたいこと
最後に、後悔を防ぐためにぜひ実践していただきたいポイントをまとめます。
建物条件(水圧・階数・配管)を必ず業者に確認する
停電・断水時のシナリオを具体的にイメージし、別トイレや非常用トイレの備えを検討する
初期費用だけでなく、10〜15年のトータルコストをタンクレス/タンク式で比較する
本記事内のチェックリストを活用し、家族で「本当にタンクレスにするべきか」を話し合う
これらを押さえておけば、「タンクレストイレにして失敗した」「やめておけばよかった」と感じるリスクを大きく減らすことができます。