Sunless Seaは、選択肢ひとつで航海の運命が変わる、文章量の多い物語型ゲームです。世界観の奥深さが魅力である一方、英語のままだとイベント本文や選択肢の意図を読み取り切れず、「面白そうなのに置いていかれる」と感じやすい作品でもあります。
本記事では、Sunless Seaを日本語で遊ぶために必要な手順を、Steam・GOG・Epicそれぞれの環境に分けて整理しました。まずは失敗しにくい「本文のみの日本語化」から始め、必要に応じてUI側の対応へ進める二段階の流れで解説します。あわせて、導入後に起こりやすい不具合の切り分け方と、元に戻すための復旧手順までまとめています。手順通りに進めれば、最小限の作業で日本語化でき、万一つまずいてもすぐに元の状態へ戻せます。
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Sunless Seaの日本語化でできることと注意点
Sunless Seaは、独特の文体で紡がれる物語と選択肢が魅力の作品です。一方で、テキスト量が非常に多く、英語のままではストーリーや選択の意図がつかみにくくなります。そこで有志が配布している翻訳データを導入すると、ゲーム内テキストを日本語で表示できるようになり、物語の理解度が大きく上がります。
ただし、日本語化と一口に言っても、実際には「どこまで日本語になるか」「どの方式で導入するか」によって体験が変わります。よくある導入方法は次の二段階です。
本文の日本語化:イベント本文や選択肢など、物語を読むために重要なテキストを日本語化する方法
UIなどの日本語化:メニューや一部の表示、用語なども日本語化したい場合に追加で行う方法
この二段階で考える理由は明確で、本文のみの導入は成功率が高く、ゲームの動作に影響しにくい一方、UIまで含める方法は環境によって相性差が出やすく、トラブルの原因になりやすいからです。まずは本文を日本語にして「遊べる状態」を固め、必要があればUI側も検討する、という順番が最も安全です。
注意点として、導入に成功しても英語が一部残ることがあります。これは失敗ではなく、翻訳データ側の範囲や、ゲーム側の仕様(文字列の呼び出し方・UI表示の固定部分など)によって、完全に置き換えられない箇所があるためです。特にメニュー周辺や細かな表示は英語のまま残ることがあり、まずは「本文と選択肢が日本語で読めるか」を成功判定の軸にすると迷いません。
また、導入作業は基本的にファイルのコピーで済みますが、UIに踏み込む場合はゲーム本体のファイルを書き換えることがあります。これは、設定やセーブの破損に直結する作業ではないものの、起動しない、表示がおかしい、進行が不安定になるといった症状が出ることがあります。だからこそ、後述する「バックアップ」と「切り戻し(元に戻す手順)」を最初から前提にしておくことが重要です。
日本語化に必要なファイルと事前準備
日本語化ファイルの入手先を選ぶ考え方
日本語化に必要なのは、一般的に「翻訳データ(フォルダ一式)」です。配布されている翻訳データにはいくつか系統があり、内容も「本文のみ」「UIも含む」「特定ストア向け」などが混在している場合があります。選ぶ際は、次の観点で整理すると安全です。
購入ストア(Steam/GOG/Epic)に合ったものを優先する
まずは本文翻訳のみで導入できる構成を選ぶ
UIまで含む配布物は、注意事項(推奨・非推奨、既知の不具合)が書かれているものを選ぶ
「ストア別に違うのか」と疑問に感じるかもしれませんが、配布形態やインストール先、ゲームファイルの差し替え先パスが微妙に異なるため、配布物の説明がどのストアを想定しているかはとても大切です。特にUI用の差し替えファイルが含まれる場合、別ストアのものを混ぜると不具合の原因になります。最初からストアを揃えるだけで、失敗率は大きく下がります。
事前準備チェック
導入前に、最低限やっておくべき準備があります。ここを飛ばすと「フォルダが見つからない」「コピー先が違う」などでつまずきやすくなるため、短時間でよいので必ず整えてください。
ゲームを一度起動して終了する
初回起動時に、設定ファイルやフォルダ構成が作られることがあります。特に翻訳データの配置先として使われるフォルダは、初回起動後に生成されるケースがあるため、導入作業の前に一度起動してタイトル画面まで確認し、終了しておくのが確実です。隠しフォルダを表示する(Windows)
翻訳データの配置先に「AppData」が含まれる場合、標準設定では見えません。エクスプローラーで隠しフォルダを表示できるようにしておくと、導入作業が格段に楽になります。
例:Windows 11の場合は、エクスプローラーの表示設定から隠しファイルの表示を有効にします。バックアップを取る(特にUI導入をする場合)
本文のみの導入であれば、基本的に“追加する”作業なので戻しやすいのですが、UI導入でゲーム本体のファイルを置き換える場合は、必ず元ファイルをバックアップしてください。
バックアップは難しくありません。対象ファイルをコピーして別名で保存する、あるいは別フォルダに退避するだけです。戻すときに「どれが元だったか」が分かるよう、ファイル名に_backupなどを付けると安心です。コピー先パスをメモしておく
本文翻訳の配置先としてよく使われるのが、次のような場所です。C:\Users\(ユーザー名)\AppData\LocalLow\Failbetter Games\Sunless Sea\addon
このパスは頻繁に参照するため、メモ帳に一度貼り付けておくと迷いません。
準備は以上です。次からは、ストア別に手順を分けて説明します。基本の考え方は共通ですが、開くべきインストール先の場所が違うため、ご自身の環境に合わせて該当の章を読み進めてください。
Steam版の日本語化手順
1)本文のみを日本語化する
Steam版でまずおすすめしたいのは「本文のみの日本語化」です。トラブルが起きにくく、作業も非常にシンプルです。導入は次の流れで行います。
日本語化ファイルをダウンロードして解凍する
ダウンロードしたファイルは、圧縮形式(zipなど)で配布されていることが多いです。右クリックから解凍し、フォルダの中身が見える状態にします。japanese_translationフォルダを確認する
解凍した中に、翻訳データ本体のフォルダが含まれています。名称がjapanese_translationなど分かりやすい場合もあれば、配布物によって多少表記が異なる場合もあります。基本は「翻訳データ一式がまとまったフォルダ」をそのままコピーします。
ここで大切なのは、フォルダの“中身”ではなくフォルダごとコピーすることです。中のファイルだけをばらして配置すると、ゲームが読み込めないことがあります。コピー先の
addonフォルダを開く
典型的な配置先は次の通りです。C:\Users\(ユーザー名)\AppData\LocalLow\Failbetter Games\Sunless Sea\addonaddonフォルダが無い場合は、まずゲームを起動して終了したか確認し、それでも無ければSunless Seaフォルダの近くに同名のフォルダを作成して良いケースもあります。ただし配布物の説明に従えるなら、それが最優先です。addon内に翻訳フォルダをコピーするaddonフォルダの中に、japanese_translationフォルダを置きます。
結果として、次のような構造になります。...\Sunless Sea\addon\japanese_translation\(翻訳ファイル群)ゲームを起動して確認する
起動後、イベント本文や選択肢が日本語で表示されるか確認します。確認は、最初のイベントやヘルプ表示など、文章量がある箇所で行うと分かりやすいです。
なお、ここでUIが英語のままでも問題ありません。本文が読める状態になっていれば、第一段階は成功です。
この段階で「遊ぶ上で十分」だと感じる方も多いはずです。プレイを優先したい場合は、本文のみで運用するのが最も安定します。
2)UIも日本語にしたい場合はdllを導入する
本文だけでは物足りず、メニューや表示まで日本語にしたい場合は、追加でUI側の導入を検討します。一般的には、ゲーム本体の特定ファイルを置き換える方式が紹介されていることがあります。ただし、ここからは失敗時に戻せるようにすることが最重要です。
作業の大まかな流れは次の通りです。
Steamのゲームフォルダを開く
Steamクライアントから該当ゲームを選び、ローカルファイルを表示する機能でインストール先を開きます。手作業で探すより確実です。Sunless Sea_Data→Managedへ移動する
Unity系タイトルでよく見かける構造で、Managedフォルダ内にゲームの重要ファイルが入っています。置き換え対象ファイルをバックアップする
例としてSunless.Game.dllを置き換える場合、必ず元のSunless.Game.dllを別名でコピーして退避します。
例:Sunless.Game.dll→Sunless.Game.dll_backup日本語化配布物に含まれるdllで上書きする
配布物側にUI対応のdllが用意されている場合、それをManagedフォルダへコピーし、上書きします。起動確認を行う
タイトル画面まで到達するか、UI周辺の表示が改善されているかを確認します。起動直後は読み込みが長く感じられる場合もあるため、数十秒は様子を見ると判断しやすいです。
もし、この段階で起動しなくなったり、挙動が不安定になったりした場合は、無理に原因を追い続けるより、まずはバックアップから元のdllに戻して復旧を優先してください。復旧後に「本文のみ」に戻せば、多くの場合は安定して遊べます。
GOG版の日本語化手順
1)本文のみを日本語化する
GOG版でも、基本となる「本文のみ日本語化」は同じ考え方で進められます。ポイントは、翻訳データの配置先がユーザーフォルダ配下であることが多い点です。
日本語化ファイルを解凍し、翻訳フォルダを確認する
japanese_translationなど、翻訳データがまとまったフォルダを探します。addonフォルダを開く
代表的な場所は次の通りです。C:\Users\(ユーザー名)\AppData\LocalLow\Failbetter Games\Sunless Sea\addon
GOG版でも同様の場所が使われることがあります。addon内へ翻訳フォルダをコピーする
重要なのは、Steam版と同じく「フォルダごと」コピーして、構造を崩さないことです。ゲームを起動し、本文が日本語になっているか確認する
最初のイベント、ログ、選択肢など、文章が出る部分でチェックします。
GOG版はインストール先がSteamと異なるため「ゲーム本体の場所」を探すところで迷う方がいますが、本文翻訳の導入先は多くの場合ユーザーフォルダ側にあるため、ここを押さえると作業はスムーズです。
2)UIを日本語にする場合
UI側を日本語にしたい場合、GOG版でもゲーム本体のフォルダに対してファイルの置き換え作業が発生することがあります。ここで重要なのは、次の三点です。
置き換え対象ファイルのバックアップを必ず取る
配布物がGOG版を想定しているか確認する
不具合が出たら即座に切り戻す
手順の骨子はSteam版と似ています。
GOGのインストール先(ゲームフォルダ)を開く
Sunless Sea_Data配下のManagedを探す置き換え対象のdllをバックアップする
配布物に含まれるdllで上書きする
起動確認を行う
GOG版はクライアント管理の仕組みがSteamと異なるため、復旧時に「整合性チェック」で自動修復できない場合があります。そのため、バックアップがより重要です。バックアップさえ確保しておけば、トラブルが起きても数分で元の状態に戻せます。
Epic版の日本語化手順
Epic版は、無料配布などで入手した方も多く、日本語化ニーズが特に高い傾向があります。一方で、環境差が出やすいケースもあるため、まずは本文のみを強くおすすめします。
1)本文のみを日本語化する
本文翻訳の導入は基本的に次の通りです。
日本語化ファイルを解凍し、翻訳フォルダを取り出す
addonフォルダを開く
例:C:\Users\(ユーザー名)\AppData\LocalLow\Failbetter Games\Sunless Sea\addonaddon内に翻訳フォルダをコピーする起動して本文が日本語になっているか確認する
Epic版でも、本文翻訳の導入先はユーザーフォルダ側であることが多いため、「ゲームをどこにインストールしたか分からない」という状態でも導入できるケースがあります。まずはこの方法で成功させ、確実に遊べる状態を作ってください。
2)dllを導入する場合は「切り戻し前提」で試す
Epic版でUIまで日本語にしたい場合、ゲーム本体のファイル差し替えを試したくなるかもしれません。ただし、ここは最初から「試すなら戻す前提」と割り切っておくのが安全です。理由は次の通りです。
ストアやビルド差によって、置き換えファイルとの相性が変わる場合がある
上書きにより起動不良や進行面の不具合が出る可能性がある
不具合が起きたとき、原因切り分けに時間がかかりやすい
試す場合の鉄則は、以下の三点です。
先に本文のみで運用できる状態を作る
対象dllのバックアップを必ず取る
症状が出たら即座に切り戻す
作業自体は、他ストアと同様にManagedフォルダへ差し替える流れになることが多いですが、Epic版では安定性を最優先し、「本文のみ」で満足できるなら無理にUIを追わない判断が結果的に賢明です。
日本語化で起きがちな不具合と戻し方
日本語化に挑戦すると、いくつか典型的なつまずきが起こります。ここでは、よくある症状ごとに「どこを疑うべきか」「どう戻すべきか」を整理します。原因を特定しようとして迷子になるより、まずは復旧して遊べる状態に戻すことが最優先です。
症状別の切り分け
本文は日本語になったが、UIが英語のまま
これは多くの場合、正常です。本文翻訳は成功しています。UIの英語が気になる場合だけ、UI導入を検討してください。焦って追加導入すると、かえって不具合を招くことがあります。一部の文章だけ英語が残る
翻訳範囲の問題、またはゲーム側の仕様により、完全置換できない箇所が残ることがあります。まずはイベント本文と選択肢が十分に日本語で読めるかを基準に評価すると、無用な導入や差し替えを避けられます。起動しない、すぐ落ちる、画面が崩れる、動作が不安定
UI導入としてdll差し替えを行った直後に発生した場合は、まずdllを疑います。翻訳データ(addon)よりも、ゲーム本体ファイル(dll)の方が影響範囲が大きく、症状も派手に出やすいからです。
この場合、原因究明より先に「元へ戻す」ことが最短ルートになります。導入後に挙動が変で不安、どこが変更されたか分からない
変更点が多くなればなるほど、復旧が難しくなります。本文のみ→UI導入という順番を守り、変更した箇所をメモしておくと、こうした不安は減らせます。
元に戻す手順(基本)
基本の考え方は「影響が大きい変更から戻す」です。つまり、まずdllを戻し、次にaddonを外すが鉄板です。
Managedフォルダのdllを元に戻す
置き換えたdll(例:Sunless.Game.dll)を、バックアップしておいた元ファイルに差し戻します。バックアップを
Sunless.Game.dll_backupのように残している場合は、上書きして元の名前に戻します。バックアップを別フォルダに退避している場合は、退避した元ファイルを戻します。
ゲームを起動して改善したか確認する
ここで起動が通れば、原因はほぼdll差し替えにあったと判断できます。UI導入は一旦諦めて、本文のみで運用するのが安全です。改善しない場合は、
addonの翻訳フォルダを外す...\AppData\LocalLow\Failbetter Games\Sunless Sea\addon内の翻訳フォルダを、別の場所へ移動(またはフォルダ名変更)して読み込まれない状態にします。削除より「退避」の方が復旧確認がしやすくおすすめです。それでも不具合が続く場合の手段
Steam版:整合性チェックで修復できる場合があります。
GOG/Epic版:再インストールが確実なことがあります。
ただし、再インストールに進む前に「本当に元ファイルへ戻せているか」「翻訳フォルダが残っていないか」を確認してください。手順の途中で同名ファイルが複数残っていると、意図しないファイルが読み込まれているケースがあります。
安全に運用するコツ
最後に、日本語化を長く安定して使うためのコツをまとめます。ここを守るだけで、トラブルの多くは避けられます。
二段階導入を徹底する
最初からUIまで一気に導入すると、どこが原因か分からなくなります。本文のみで成功確認→必要ならUI、の順番が最も安全です。バックアップは“作業の一部”と考える
dll差し替えをするなら、バックアップ無しで進めないでください。手間は数十秒ですが、復旧できるかどうかはこの一手にかかっています。ストア違いのファイルを混用しない
同じゲームでも、ストアによって導入説明やファイル構成が異なることがあります。配布物の想定環境に合わせるだけで、相性問題は減ります。困ったら“本文のみ”へ戻す
UIを追いかけるほど、安定性は下がりやすくなります。物語を楽しむ目的に立ち返ると、本文のみ日本語で読める状態が最も価値が高い、という結論に落ち着きやすいはずです。