「資料を差し替えてください」と言われたものの、どこまで入れ替えるのが正解なのか、迷った経験はありませんか。差し替えは単に新しいファイルを送るだけではなく、旧版を参照されない状態にし、最新版を“正”として関係者全員に行き渡らせるところまでがセットです。ここが曖昧なままだと、旧版が残って会議が混乱したり、Webで反映されずにリンク切れが起きたりと、思わぬトラブルにつながります。
本記事では、差し替えの意味と表記の違いを押さえたうえで、資料・数値・画像・リンクなど対象別の考え方、失礼にならない依頼メールと返信の型、差し替えを確実に完了させる手順、そして事故を防ぐチェックリストまでをまとめて解説します。読んだあとには、「何を確認し、どう伝え、どう完了させればよいか」がはっきりし、差し替えのたびに迷わず対応できるようになります。
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差し替えとは何かを短く理解する
「差し替えとは?」と検索される方の多くは、単語の意味を知りたいだけではなく、仕事の場面で「どこまで入れ替えればよいのか」「相手にどう依頼・返信すればよいのか」「ミスを防ぐには何を確認すべきか」を急いで整理したい状況にあります。差し替えは一見シンプルな言葉ですが、版管理や共有経路が絡むと、旧版が混在してトラブルになりやすいのが実情です。ここではまず、意味とニュアンスを短時間でつかめるように整理し、そのうえで業務に落とし込める判断軸へつなげます。
差し替えの基本の意味とニュアンス
差し替えとは、すでにあるもの(旧)を取り下げて、別のもの(新)に入れ替えることを指します。重要なのは、「いま入っているものが明確に存在していて、それを新しいものに置換する」という動作が前提になっている点です。
たとえば、次のようなケースが典型です。
すでに配布した会議資料の「旧版」を「最新版」に入れ替える
取引先に送った添付ファイルを、正しいファイルに入れ替える
Webページに掲載中の画像を、新しい画像へ入れ替える
申請書の一部(条項や注意書き)を最新の文言に入れ替える
このとき「差し替え」という言葉には、単なる変更よりも「旧版が残ると困る」「正しいものは新しいほうである」というニュアンスが含まれやすいです。つまり、差し替えは“作業”でもありますが、“運用の約束”でもあります。
もう少し具体的に言うと、差し替えの依頼は次の二点を含むことが多いです。
旧版を参照しない状態にしてほしい(旧版の撤去・隔離・回収)
新版を正として扱ってほしい(最新版の位置づけの固定)
逆に、差し替えがうまくいかないときは、「旧版が残っている」「新版がどれか分からない」「反映先が複数ある」という問題が発生します。したがって、差し替えは“入れ替える”だけで完了ではなく、「関係者が新版を正として参照できる状態にする」までを含めて考えるのが安全です。
差替えと差し替えの表記ゆれ
「差し替え」と「差替え」は、意味としては同じものとして扱われることが一般的です。実務では、読み手の理解と文書の統一を優先して選ぶのが合理的です。
メール・チャット・社外文書:読みやすい「差し替え」が無難
見出し・表・スペースが限られる箇所:「差替え」を採用することもある
社内規程・テンプレートがある場合:既存表記に揃えるのが最優先
表記ゆれは小さな話に見えますが、資料内で「差し替え/差替え」が混在すると、作業者が検索置換しづらくなったり、チェック漏れの原因になったりします。とくに長い資料や複数人で編集する資料では、表記統一が実務的に効きます。
なお「差し換え」という表記も見かけますが、一般的なビジネスコミュニケーションでは「差し替え/差替え」に寄せておくと誤解が起きにくいです。迷ったときは、社内の用語ルールや過去のメールの慣習に合わせるのが最もトラブルが少ない選択です。
印刷や新聞での差し替えが指すもの
差し替えは一般語として広く使われますが、印刷・新聞の領域では工程や版の概念と結びつきます。ここを理解しておくと、制作会社・印刷会社・広報担当との会話が噛み合いやすくなります。
印刷の文脈:誤字や組み方の誤り、画像や図版の差異などに対して、指示に従い組版や素材を入れ替える、または組み替える
新聞の文脈:降版後に紙面データを修正し、印刷工程の途中でデータを差し替えて刷り直す、といったニュアンスが含まれる
この領域での差し替えは、単にファイルを変えるだけでなく、次のような要素が密接に絡みます。
どの段階(初校/再校/責了など)での差し替えか
差し替え対象が紙面全体か、一部パーツか
差し替えによる締切・コスト・工程停止の影響
差し替え後の版がどれで、旧版をどう扱うか(混入防止)
つまり、印刷・新聞の差し替えは「工程管理の言葉」でもあります。社内で「差し替え」と言ったときに、受け手が制作・印刷側なら、影響範囲や締切が大きい前提で受け取られることがあります。依頼時は、差し替えの範囲(ページ、面、位置)と期限を明確にするほど安全です。
差し替えが必要になる場面と対象
差し替えが発生する場面は多岐にわたりますが、「何を差し替えるのか」を分類しておくと、依頼内容が具体化し、確認漏れも減らせます。ここでは代表的な対象ごとに、起きやすい落とし穴と安全な進め方を整理します。
資料や添付ファイルの差し替え
最も頻度が高いのは、資料や添付ファイルの差し替えです。発生要因として多いのは次の通りです。
数値の確定が遅れて、最新版を作り直した
会議日程や参加者が変わり、議題やアジェンダを更新した
取引先向けの見積書・提案書で、条件や金額が修正になった
添付するべきファイルを取り違えた(別案件の資料を添付した等)
資料・添付の差し替えで最も怖いのは、「旧版が残り続ける」ことです。たとえば、Aさんは最新版を見ているのに、Bさんは旧版を見て会議に参加してしまう、という混乱が起きます。
この混乱を防ぐための基本は、次の3点です。
最新版(正)がどれかを固定する
ファイル名:例「案件名_会議資料_v3_20260101」
置き場所:共有フォルダの固定パス、または単一のリンク
更新履歴:簡単でよいので差分を記録する
旧版の扱いを決める(残すなら隔離)
削除できない場合は「OLD」や「Archive」へ移動
旧版のファイル名に「旧」「使用禁止」を付与
参照されやすい場所からは撤去する
周知の方法を一つに決める
「最新版はこちら」と、リンクを一本化して案内
添付よりリンク運用のほうが旧版混在を減らしやすい
再送が必要な場合は「旧メール参照の停止」を明示する
差し替え依頼は丁寧であれば失礼になりにくい一方、曖昧だと相手が判断に迷います。したがって、資料差し替えでは「旧版と新版の識別」と「参照先の一本化」をセットで実行するのが効果的です。
数値や文章の差し替え
数値や文章の差し替えは、資料全体の差し替えよりも一見軽く見えますが、実は事故が起きやすい領域です。理由は単純で、「差し替え範囲が小さいほど、指示が曖昧になりやすい」ためです。
たとえば次のような依頼は、受け手が迷います。
「売上の数値を差し替えてください」
「注意書きを差し替えお願いします」
この場合、受け手が確認すべきことは多いです。
どのページの、どの表の、どのセルか
その数値に紐づくグラフや注釈も変わるか
合計・平均・前年差などの計算結果は再計算が必要か
文章の差し替えなら、前後の文脈や改行位置も含むか
体裁(行間、折返し、フォント)も調整が必要か
安全に進めるためには、差し替え指示を「位置の特定」「差し替え前/後の明示」「影響範囲の確認」の3点で構成します。
位置の特定:ページ番号、見出し、表の行列、段落番号
差し替え前/後:旧文言と新文言、旧数値と新数値
影響範囲:関連グラフ、脚注、サマリー、他ページへの反映有無
例として、差し替え依頼を次のように書くと誤解が減ります。
「3ページの表2、行“第3四半期”の売上(旧:1,200)を新:1,350に差し替えください。合計と前年差、右側の棒グラフも再計算して整合をご確認ください。」
「5ページの注意書き(旧:A)を(新:B)に差し替えください。改行位置は現状のレイアウトに合わせて調整をお願いします。」
このように、差し替えは“入れ替える”だけではなく、“整合性を担保する”作業が付随することが多い点を押さえると、トラブルを避けやすくなります。
画像やリンクの差し替え
画像やリンクの差し替えは、Web運用だけでなく、PowerPoint、社内ポータル、メール署名、PDF資料など幅広く発生します。ここでは特にWebで起きやすい論点を整理しますが、考え方は他の媒体にも応用できます。
画像差し替えの方式は、大きく分けて次の二つです。
参照先を変える:HTMLやCMS側で、画像URL(参照先)を新しいものへ更新する
同じ場所で置き換える:同じファイル名・同じパスの画像ファイルを上書きして置換する
後者は更新が簡単になりやすい一方、運用ルールが崩れると事故になりやすいです。特に注意したいのは次の点です。
ファイル名が変わる:旧URLを参照している箇所が残り、表示されない
保存場所が変わる:パスが合わずにリンク切れになる
サイズや比率が変わる:ページレイアウトが崩れ、表示品質が落ちる
キャッシュが残る:差し替えたのに古い画像が見える
リンク差し替えも同様で、リンク先URLの変更は単純に見えて、次のような事故が起きます。
旧リンクがSNSや外部サイトに残り、ユーザーが迷う
リダイレクトが必要なのに設定されていない
UTMなど計測用パラメータの付け替えが漏れる
画像・リンクの差し替えは、「見た目が合っていればOK」で終わらせると危険です。差し替え後は次の観点で確認すると堅牢になります。
主要ブラウザで表示が更新されているか
スマートフォンでも崩れていないか
クリック導線(リンク先)が正しいか
反映が遅れる仕組み(キャッシュ、配信網)がないか
社内で差し替えを依頼するときは、「どのページのどの位置の画像/リンクか」「差し替え後のURLは何か」「公開タイミングはいつか」を一度で伝えるほど、手戻りが減ります。
差し替えの依頼と返信で失礼にならない言い方
差し替えは相手に作業をお願いする場面が多いため、言葉遣いに不安を感じやすい領域です。ただし、適切な敬語と、必要情報を添えるだけで、失礼にならず、むしろ丁寧で分かりやすい連絡になります。ここでは「依頼」「返信」「言い換え」の3点で、すぐ使える型を用意します。
よく使う依頼文の型
依頼文で最も大切なのは、相手が迷わず作業できる情報を、簡潔に一通で渡すことです。差し替え依頼に最低限含めたい要素は次の5点です。
差し替え対象(何を)
差し替え箇所(どこを)
新版(何に)
期限(いつまでに)
確認観点(何を確認してほしいか)
この5点を、状況に応じて組み合わせたテンプレートを示します。
依頼文テンプレ1:添付ファイル差し替え(社外向け)
「先ほどお送りいたしました(資料名)につきまして、(誤りの内容)が判明いたしました。恐れ入りますが、添付の最新版へ差し替えていただけますでしょうか。最新版は(ファイル名)で、主な更新点は(更新点)です。」
依頼文テンプレ2:共有フォルダ差し替え(社内向け)
「共有フォルダの(パス/リンク)にある(ファイル名)を最新版へ更新しました。お手元に旧版を保存されている場合は、最新版へ差し替えをお願いいたします。更新点は(更新点)です。」
依頼文テンプレ3:差し替え範囲が限定的(ページ・箇所指定)
「(資料名)の(ページ番号)ページ、(見出し名)セクションの(対象:表/数値/文言)を、以下の内容に差し替えをお願いいたします。差し替え後、関連する合計値とグラフの整合もご確認ください。期限は(日時)です。」
依頼文テンプレ4:Web画像差し替え(公開タイミングあり)
「(ページURL)のファーストビュー画像を新バナーに差し替えお願いします。差し替え後画像は(ファイル/URL)です。公開は(日時)に合わせたいので、反映確認(PC/スマホ)までお願いいたします。」
丁寧さは「恐れ入りますが」「お手数ですが」などのクッション言葉で出せますが、情報が不足するとかえって失礼に感じられることがあります。依頼文は“丁寧さ”より“明確さ”が先です。
受けた側の返信文の型
差し替え依頼を受けた側の返信は、「受領」「作業予定」「完了」「確認事項」のいずれかを短く伝えれば十分です。ここでも、相手が安心できるように“状態”を言語化します。
返信テンプレ1:受領・対応予定
「承知いたしました。(対象)につきまして、(期限)までに最新版へ差し替えのうえご連絡いたします。」
返信テンプレ2:確認が必要(範囲不明)
「承知いたしました。差し替え対象は(ページ/箇所/ファイル名)で相違ございませんでしょうか。確認でき次第、最新版へ差し替えいたします。」
返信テンプレ3:完了報告(証跡を添える)
「(対象)は最新版へ差し替えいたしました。最新版は(場所/リンク/ファイル名)です。更新点は(更新点)で、表示・体裁も確認済みです。」
返信テンプレ4:できない/遅れる可能性がある
「承知いたしました。差し替え対応は可能ですが、(理由)により(完了予定時刻)が最短となります。問題なければ進めますのでご確認ください。」
差し替えは「旧版がどこかに残って混乱する」ことが多いので、完了報告では「どれが最新版で、どこにあるか」を明示するのが最重要です。
言い換え表現と使い分け
「差し替え」は便利ですが、状況によっては言い換えたほうが正確な場合があります。ここでは混同しやすい言葉を、判断しやすいように表で整理します。
| 表現 | 何をするか | 向いている場面 | 伝えるときのコツ |
|---|---|---|---|
| 差し替え | 旧→新に入れ替える | 添付、資料、画像、部品、条項など対象が特定できる | 旧と新の識別(ファイル名・版)を必ず書く |
| 修正 | いまの内容を直す | 誤字脱字、数値訂正、文言調整など | 修正後の成果物を「差し替え」まで含めると安全 |
| 更新 | 新情報を反映し最新版にする | 価格表、マニュアル、Webページ全体など | 影響範囲が広いので周知と期限が重要 |
| 置き換え | 特定要素を別のものに変える | 用語統一、画像の差替、設定変更など | 置き換え対象と条件(完全一致など)を明確にする |
使い分けで迷うときの実務的な結論はシンプルです。
対象が明確で、旧版が残ると困る → 「差し替え」
内容の誤りを直す行為そのもの → 「修正」
全体を最新版にする流れ → 「更新」
特定条件で要素を変える操作 → 「置き換え」
なお、敬語については「差し替え」は名詞でも動詞でも使えるため、表現の幅が広いです。
「差し替えをお願いいたします」
「最新版に差し替えていただけますでしょうか」
「差し替えいたしました」
このあたりを基準にすると、過剰に難しい敬語へ寄せずに、自然で丁寧な文面になります。
差し替えの手順を失敗しない形に落とす
差し替えを“確実に”行うには、作業そのものよりも、作業前後の確認が重要です。差し替えの失敗は、手順が分からないというより「前提が揃っていない」「確認が足りない」「関係者が新版に切り替わっていない」ことで起きます。ここでは、差し替えを再現性のある手順に落とします。
差し替え前に確認する5項目
差し替えを依頼するときも、受けるときも、まずこの5項目が揃っているかを確認してください。揃っていなければ、差し替えは“作業”ではなく“推測”になってしまいます。
差し替え対象
例:会議資料全体、3ページの表2、Webのトップバナー、リンクボタン
「対象」を曖昧にしないために、ページ番号・見出し名・URLなどで特定します。
正となる版(新版)
例:v3、2026/01/01更新、ファイル名、更新履歴
新版の置き場所が一つであるほど、事故が減ります。
反映先(影響範囲)
例:共有フォルダ、メール再送、社内ポータル、印刷入稿データ、PDF化後データ
反映先が複数あるほど、旧版混在が起きやすいです。
期限と優先度
例:会議前、公開時刻、入稿締切、対外発表前
「いつまでに」を言語化するだけで、相手の動きが揃います。
承認者・確認者
例:上長が最終確認、広報が表現確認、経理が数値確認
差し替え後の“正”を誰が確定するかを明確にします。
この5項目が揃うと、差し替えはスムーズに進み、手戻りが激減します。逆に、揃っていない差し替えは、後から必ず確認が発生し、期限が迫るほど事故になりやすいです。
差し替え作業の標準ステップ
差し替えの標準ステップは、媒体が違っても基本構造は同じです。以下の流れで進めると、再現性が高く、引き継ぎもしやすくなります。
旧版の洗い出し
どこに旧版があるか(共有、メール添付、ローカル保存、掲載ページ)
誰が参照している可能性があるか(関係者、部署、外部)
参照経路(リンク、QR、ブックマーク)があるか
新版の確定と識別
ファイル名・版・更新日時を確定し、紛れのない状態にする
更新点(差分)を短く箇条書きで用意する
新版の置き場所を固定し、一本化する
差し替えの実行
共有:旧版を隔離、新版を正の場所へ
メール:必要なら再送し「旧版破棄」を明示
Web:参照先更新または同名上書きで反映
印刷:版・工程・締切を意識し、差し替え範囲を明確に
差し替え後の確認
内容:数値、文言、日付、固有名詞、リンク先
体裁:レイアウト崩れ、改行、画像比率
整合:合計値、図表と本文、脚注との一致
表示:デバイス差(PC/スマホ)、キャッシュ影響の有無
完了連絡と証跡の保存
完了時刻
最新版の場所(リンク/パス/ファイル名)
更新点(差分)
必要に応じて、旧版の扱い(アーカイブ場所)
「差し替えが終わったかどうか」は、作業者の感覚ではなく、関係者が“最新版を参照できる状態”になっているかで判断するのが安全です。
差し替え後の確認と証跡の残し方
差し替え後にトラブルが起きると、「いつ」「誰が」「何を」「どこで」差し替えたかが曖昧になり、原因調査に時間がかかります。そこで、最低限の証跡を残すだけで、後の混乱を大きく減らせます。
おすすめの証跡パターン
更新履歴(1行ログ)
例:「2026/01/01 10:30 会議資料v2→v3差し替え(売上数値修正、注意書き更新)/担当:山田」
差分メモ(箇条書き)
例:
売上:Q3 1,200→1,350
日付:1/5→1/6
注意書き:表現統一
スクリーンショット/PDF保存(必要な場合)
対外資料や公開前後のWebなど、証跡が重要な場合に有効です。
証跡を残すことは、責任追及のためではなく、次に同じミスをしないための“保険”です。差し替えが頻発するチームほど、テンプレ化して淡々と残す運用が効いてきます。
差し替えのトラブルと防止策
差し替えのトラブルは、内容の誤りよりも「旧版混在」「反映漏れ」「確認不足」で起きます。ここでは、よくあるトラブルを原因別に分解し、再発防止の観点で対策をまとめます。チェックリストも用意しますので、そのまま運用に組み込めます。
旧版が残る、反映されない
「差し替えたはずなのに、まだ古いものが見える/使われている」という相談は非常に多いです。原因は主に次の3つに集約されます。
配布経路が複数ある(旧版がどこかに残る)
メール添付、チャット添付、共有フォルダ、ローカル保存が混在
結果として、人によって参照する版がバラバラになります。
参照先が統一されていない(リンクが旧を指す)
共有リンクが複数ある
ブックマークや過去のURLが残っている
社内ポータルのリンクが更新されていない
反映にタイムラグがある(キャッシュ等)
Webや社内システムは、更新してもすぐ反映されない場合があります。
利用者側の環境で古い表示が残ることもあります。
防止策(実務で効く順)
「最新版はここ」と参照先を一本化する(リンク運用に寄せる)
旧版は“見つけにくい場所”へ移し、「参照禁止」を明記する
再送が必要な場合は、旧メールへの追記や再送時の明示で旧版停止を促す
Webやシステムは、反映確認の手順(別端末・別ブラウザ)まで含めて完了とする
旧版混在の問題は、差し替え作業そのものよりも、情報の流れ(参照経路)を整理するほうが効果的です。
ファイル名違い、リンク切れ
差し替えで次に多いのは、「参照が外れて表示されない」「リンク切れになる」問題です。これは特に、Webやフォルダ運用で起きやすいです。
起きやすい原因
ファイル名を変えてしまい、参照している側が追従していない
保存場所(フォルダ階層)を変えてしまい、パスが変わった
同名上書き運用の前提(同じパス・同じファイル名)が崩れた
画像の縦横比や容量が変わり、表示が崩れた
防止策
差し替え前に「参照されている場所」を控える(URL、パス、埋め込み箇所)
同名上書きの場合は、ルールを固定する(同名、同階層、想定サイズ)
置き場所を変えるなら、参照先(リンク・埋め込み)もセットで更新する
差し替え後は、リンククリックと表示の両方を確認し、端末差も見る
「差し替え=上書き」と思い込むと、参照がどこで起きているかの把握が抜けやすくなります。表示されないときは、まず“参照の一致”を疑うのが定石です。
印刷入稿で差し替え漏れが起きる
印刷物の差し替えは、工程・締切・版が絡むため、漏れたときの影響が大きくなりがちです。典型的な事故は次の通りです。
仮画像(アタリ)が本番画像に差し替わっていない
校正指示の差し替えが一部だけ反映されている
差し替えたつもりが、別の版(古い版)に適用していた
直前の差し替えで全体の体裁崩れが出たが見落とした
防止策
差し替え対象を「ページ」「段」「位置」「要素(図版・本文)」で特定する
版管理を徹底する(ファイル名に版数、日付、担当を含める)
入稿前チェックに「仮素材が残っていないか」を必須項目として入れる
差し替え後の最終確認は、印刷用PDFなど“最終形”で行う
印刷では、差し替えの一つひとつが工程に影響します。依頼時は「どの版に差し替えるか」を明示し、完了時は「どの版が正か」を固定することが重要です。
差し替え事故防止チェックリスト(コピペ可)
差し替え対象(ファイル/ページ/箇所/画像/リンク)が特定できている
新版(正)のファイル名・更新日時・更新点が明確で、置き場所が一本化されている
旧版の置き場所・配布先・参照リンクを把握し、撤去または隔離できている
反映先(共有/メール/ポータル/Web/入稿データ)が列挙され、漏れがない
差し替え後に内容(数値/文言/日付/固有名詞)と体裁(崩れ/改行/画像比率)を確認した
Webやシステムの場合、別端末・別ブラウザでも反映を確認した
完了連絡で「最新版の場所」と「更新点」を伝えた
更新履歴や差分メモなど、最低限の証跡を残した
差し替えのよくある質問
差し替えと修正の違いは?
違いを一言で整理すると、次の理解が分かりやすいです。
修正:内容の誤りを直す行為(誤字訂正、数値訂正、表現調整)
差し替え:旧版を新版に入れ替えて、参照されるものを新しいものに切り替える行為
実務では、この二つはセットで発生しやすいです。たとえば「資料を修正したので、最新版に差し替えてください」という流れです。このとき、修正だけが完了しても、差し替えが行われない限り、関係者は旧版を参照し続けてしまいます。したがって、チーム運用としては次のように捉えるのが安全です。
修正=中身を直す
差し替え=参照される版を切り替える
会議や入稿など締切がある場面では、「修正済み」より「差し替え完了」のほうが重要になることも多いです。
差し替え依頼はいつまでに言うべき?
原則として、差し替えのコストは締切に近づくほど増えます。理由は、関係者の手元に旧版が広がり、差し替えの周知・回収・確認が難しくなるためです。媒体別の考え方は次の通りです。
会議資料
理想:参加者が読み始める前(前日まで)に差し替え完了
当日差し替えの場合:開始前に「最新版の場所」を明示し、旧版参照停止を強く促す
社外への提出資料
提出前:差し替えに伴う再提出が必要かを確認
提出後:差し替えではなく「訂正版の送付」や「差分説明」が必要になる場合もある
Web更新
公開タイミング:アクセスが集中する時間帯やキャンペーン開始時刻に合わせる
反映確認の時間:差し替え後に最低限の確認時間を確保する
印刷入稿
差し替えが工程に直結し、締切直前ほど影響が大きい
「どの版で差し替えるか」「締切への影響」を早めに共有する
結局のところ、差し替えが必要だと分かった時点で早めに共有し、対象と期限だけでも先に出すことが最も安全です。内容の確定は後からでも、周知が早いほど混乱が少なくなります。
差し替えの敬語で二重敬語にならない?
「差し替え」は名詞・動詞どちらでも使えるため、丁寧表現を組み立てやすい言葉です。二重敬語を避けつつ自然にするなら、次の型を基準にしてください。
依頼(社外向け)
「恐れ入りますが、最新版に差し替えていただけますでしょうか。」
「お手数ですが、添付の最新版へ差し替えをお願いいたします。」
依頼(社内向け)
「最新版に差し替えをお願いします。」
「(箇所)をこの内容に差し替えてください。」
完了報告
「最新版へ差し替えいたしました。」
「差し替え完了しました。最新版は(リンク)です。」
不自然に丁寧にしすぎると、かえって読みにくくなり、要点が伝わりません。クッション言葉(恐れ入りますが/お手数ですが)+明確な情報(対象・新版・期限)をセットにするほうが、相手への配慮としても実務としても優れています。