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札幌ドームが無能と言われる理由は?赤字と黒字の実態を資料で見抜く

「札幌ドームは無能だ」という言葉をSNSやコメント欄で見かけて、モヤモヤしたまま検索した方も多いのではないでしょうか。ですが、強い評価語ほど事実と印象が混ざりやすく、赤字・黒字のニュースも“どの数字の話か”が分からないまま議論が進みがちです。本記事では、札幌ドームの決算資料と札幌市の指定管理関連資料を起点に、赤字と黒字の実態、命名権の位置づけ、税金・補助の論点を「確認できる形」で整理します。煽りに流されず、自分の判断軸で状況を見抜けるようになることを目指します。

※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。

目次

札幌ドームが無能と言われるのはなぜ

批判が増えた3つの引き金

「無能」という言葉が広がる背景には、主に3つの出来事が連続して起きたことがあります。

1つ目は、プロ野球という大きな収益源が抜けたことによる、収益構造の変化です。特定の大型利用が減ると、施設運営は一気に不安定になり、ニュースも「失敗」「誤算」といった語り口になりやすくなります。

2つ目は、移転後の決算で大幅赤字が示され、「やはり運営が悪いのでは」という印象が強まったことです。札幌ドーム運営会社の決算概要では、2024年3月期(第26期)の当期純損失が約6.5億円と示されています。ここは批判が集中しやすいポイントです。

3つ目は、その後に黒字転換が公表され、「V字回復」とも受け取れる報道が出たことで、今度は「本当に改善したのか」「見かけ上の数字ではないか」「税金が入っているのでは」という不信が生まれた点です。2025年3月期(第27期)の決算概要では、売上高17億87百万円、当期純利益42百万円で黒字とされています。

赤字の衝撃と、黒字の違和感が連続すると、説明不足があるほど評価語が強まりやすくなります。

「無能」は事実ではなく評価語である点

ここで大切なのは、「無能」という言葉は事実ではなく評価だという点です。評価は人によって変わり、同じ数字でも「運営が悪い」と捉える人もいれば、「構造的に厳しい」と捉える人もいます。

評価語が強くなると、議論は「誰が悪いか」へ引き寄せられます。しかし、公共性が高い施設の経営は、個人の能力だけで説明しにくい構造も抱えます。そこで本記事では、評価の押し付けではなく、検証のための土台を作ることを優先します。

まず押さえるべき論点マップ

札幌ドームをめぐる批判は、細部を追うほど論点が増えます。そこで、読み解きの軸を3つに固定します。

  • 構造の問題:多目的ドームという設計・利用モデルは、収益を安定させにくい条件を持っていないか

  • 運営の問題:イベント誘致・価格設計・コスト削減など、経営努力で改善できる部分はどこか

  • ガバナンスの問題:指定管理や第三セクター的な性格により、意思決定や情報公開が分かりにくくなっていないか

この3軸で整理すると、「感情的な断罪」ではなく「改善可能性と未解決点」が見えるようになります。


日ハム移転で何が変わったのか

多目的ドームの制約と収益の偏り

多目的ドームは、野球・サッカー・コンサート・展示会など幅広い利用ができる一方、特定用途に最適化しにくい性質があります。例えば野球専用球場のように、球団が飲食・物販・広告の周辺収益まで含めて設計し、運営と利用が一体化するモデルとは異なります。

多目的施設は「貸館」を中心に収益を組み立てやすく、そこでは利用者側が求める条件(料金、使いやすさ、収益配分)と、施設側の条件(維持費の回収、運営の公平性)がぶつかりやすくなります。ここが“揉めやすい構造”の第一歩です。

交渉がこじれやすい論点は何か

移転の議論は、単に「使用料が高い」「対応が悪い」といった一文で語られがちですが、実際の論点は複合的になりやすいです。代表例は次の通りです。

  • 使用料や追加料金、キャンセル条件など、契約の設計

  • 広告権、売店、物販など“周辺収益”の取り分

  • 改修・投資(座席、設備、導線)の意思決定と費用負担

  • 公共性が高い施設ゆえの手続き、説明責任、意思決定の速度

このうち、どれが決定打だったかを外部から断定することは難しいのですが、少なくとも「単一原因」では理解できない問題であることは押さえておくべきです。

移転後に必要になったのは「穴埋め」ではなく「再設計」

移転後に求められるのは、単にイベントを増やして穴を埋めることだけではありません。施設の価値を、プロ野球中心から「市民利用」「新規イベント」「広告収益」「駐車場・物販など周辺収益」へと再設計する必要が出ます。

実際、2025年3月期の決算概要では、イベント利用日数の増加、ネーミングライツ契約、広告・駐車場などの増収に触れています。これは再設計が進んでいることを示す材料になります。


赤字と黒字の数字で見る札幌ドームの実態

まず「黒字」の定義を固定する

ニュースで「黒字」と言うとき、何が黒字なのかが混ざりがちです。そこで本記事では、次のように整理します。

  • 当期純利益(最終損益):最終的な利益。ニュースで「黒字」と言う場合、多くはこれ

  • 営業利益(営業損益):本業(施設運営)の力。ここが弱いと持続性に不安が残る

札幌ドームの2025年3月期決算概要では、当期純利益が42百万円で黒字とされています。一方で、営業利益(営業損益)も併記して読み解く必要があります。

2024年3月期に何が起きたのか

2024年3月期(第26期)の決算概要では、当期純損失が約6.5億円と示され、さらに「札幌市への寄付」や「一部固定資産の減損処理」が含まれるため、実質的な運営赤字額は約4.5億円という説明もあります。

ここで重要なのは、赤字が大きく見えるとき、次の2点を分けて考えることです。

  • 運営面の赤字:利用減や収益不足によって生じた赤字

  • 会計上の一時要因:減損処理など、将来費用を前倒しで計上する要素

一時要因が含まれると、「今年だけ見れば大赤字」でも、翌年以降の減価償却費が軽くなるなど、数字の出方が変わります。決算概要はその説明を含んでいるため、ここは“印象”だけで語らない方が安全です。

2025年3月期の黒字転換は何が効いたのか

2025年3月期(第27期)の決算概要では、売上高17億87百万円、当期純利益42百万円で黒字とされています。あわせて、イベント利用日数の増加、ネーミングライツ契約、駐車場・広告事業の増収、コスト削減継続などが言及されています。

ここから読み取れるのは、黒字転換自体は公式に示されている一方で、「黒字の内訳」が複数要因であるということです。つまり、持続性を判断するためには、どの要因が固定化されるのか、来期も再現されるのかを見なければなりません。

年度別主要指標の推移(公式資料ベース)

以下は、公式の決算概要に基づき、議論の焦点になりやすい2期を並べたものです。単位は資料表記に合わせ、売上等は百万円、来場者は人、稼働率は%とします。

期(決算期) 売上高 営業損益 経常損益 当期純損益 稼働率 総来場者数
2024年3月期(第26期) (決算概要で提示) (決算概要で提示) (決算概要で提示) 約▲650百万円 (決算概要で提示) (決算概要で提示)
2025年3月期(第27期) 1,787 (決算概要で提示) 43 42 70.4 1,187,288

※表内で「決算概要で提示」とした項目は、当該PDFの表に掲載されております。Web記事上の転記は、誤転記防止のため“参照先を固定”し、必要に応じて更新する運用が望ましいです(運用設計の観点)。

「黒字ニュース」で誤解が起きる典型パターン

黒字化が報じられるとき、次の誤解が起きやすいです。

  • 当期純利益(最終損益)だけ見て「完全復活」と捉える

  • 営業損益(本業)を見ず、持続性を判断してしまう

  • 一時要因(減損の反動、単発イベント、契約初年度効果)を無視する

  • 補助・減免など公的支援がある場合に、目的と位置づけを混同する

ここから先は、誤解を避けるために「何を見ればよいか」を具体化します。


税金で穴埋めなのかを判断するための見方

まず「税金」と一括りにしない

「税金で穴埋め」という言い回しは強いのですが、実際には複数の形があります。そこで、議論を混乱させないために、最低限次のように分けます。

  • 施設の管理運営に関する枠組み(指定管理の中での業務・収支)

  • 特定目的の補助(例:アマチュア大会の利用料金減免に関わる補助など)

  • 活用促進のための施策(イベント誘致支援など、目的を持った支出)

これらは、目的も評価の仕方も異なります。したがって、「支出がある=穴埋め」と短絡せず、目的・条件・期限・成果指標を見て判断するのが筋になります。

どの資料を見れば確認できるのか

市民が検証する際の起点として最も有用なのは、札幌市が公表する指定管理関連の資料です。例えば「札幌ドーム管理運営業務 事業報告書」には、補助金対象イベント(アマチュア大会)等に関する記載があり、議論の土台になります。

また、業務計画書(令和7年度など)では、自主事業における補助金の扱いについて記載ルールが示されており、「補助があり得る」こと自体を制度として理解する材料になります。

税金論点のチェックリスト

税金・補助の議論で不毛にならないために、次の順番で確認することをおすすめします。

  1. 支出の名称は何か(例:減免補塡、活用促進等)

  2. 目的は何か(市民利用促進、特定競技支援、施設稼働の底上げなど)

  3. 対象は誰か(市民団体、アマチュア大会主催者、施設運営会社なのか)

  4. 条件と期限はあるか(継続か単年度か、達成条件はあるか)

  5. 成果指標は何か(利用件数、参加者、稼働率、地域経済効果など)

  6. 透明性は担保されているか(市資料に明記され、事後報告があるか)

このチェックで「目的が妥当で、透明性があり、成果が検証できる」なら、単純に「穴埋め」と断じるより、政策としての評価に移るべきです。逆に、目的が曖昧で成果が測れないなら、そこが改善要求の焦点になります。


再建策は効いているのか

ネーミングライツの意味と限界

命名権(ネーミングライツ)は、施設にとって比較的分かりやすい固定収益の柱になり得ます。札幌ドーム公式発表では、2024年7月19日にネーミングライツ契約を締結し、愛称が「大和ハウス プレミストドーム」となったこと、契約期間が2024年8月1日から2028年7月31日までの4年間であることが明記されています。

ただし、これで全て解決というわけではありません。限界も整理しておく必要があります。

  • 契約は期限があるため、更新できるかは別問題

  • 命名権は「固定収益」にはなるが、「本業の体力(営業利益)」を必ずしも強くするとは限らない

  • 施設の魅力が落ちれば、次回の条件が悪化する可能性がある

つまり命名権は、“経営の呼吸を整える”効果はあっても、“体力そのもの”を保証する施策ではありません。だからこそ、次に見るべきはイベントの再現性と本業の改善です。

イベント増は「数」より「質」と「再現性」

2025年3月期の決算概要では、イベント利用日数の増加が言及されています。
しかし、イベントを増やすこと自体は手段であって目的ではありません。持続性を判断するなら、次の観点が重要です。

  • 定番イベントが増えているか(毎年の見込みが立つか)

  • 施設の稼働率が安定しているか(特定月だけ埋まっていないか)

  • 収益性の高いイベント比率が上がっているか(同じ来場者数でも単価は異なる)

  • コスト削減が“品質を落とさずに”できているか(長期的な価値毀損を防ぐ)

「イベントが増えた」だけで安心せず、稼働率・営業損益・来場者の安定性とセットで見る必要があります。

黒字が続くかを見抜く検証表

黒字ニュースを見た際に、最低限確認したい項目を表にまとめます(スマホでも読める2列設計を想定)。

チェック項目 見るポイント
当期純利益 黒字/赤字の事実確認(最終損益)
営業損益 本業の体力が改善しているか
稼働率 70%前後など、一定水準を維持できているか
イベント日数 単発に偏っていないか、再現性があるか
広告・駐車場など周辺収益 命名権以外の柱が育っているか
補助・減免の位置づけ 目的・条件・成果指標が明確か(市資料で確認)
投資・修繕の見通し 先送りで“今だけ黒字”になっていないか

この表を使うと、「無能」というラベル貼りではなく、「どこが改善していて、どこがまだ弱いか」を冷静に話せるようになります。


問題は誰の能力だけではなく構造と説明にある

構造問題は「正しさ」ではなく「難易度」の話

多目的ドームの運営は、そもそも採算が難しいと言われがちです。ただし、ここで重要なのは「だから仕方ない」と諦めることではなく、「難しいなら難しいなりに、何を工夫すべきか」を見ることです。

構造問題は、個人の能力評価とは別で、次の問いに置き換えられます。

  • 収益源が特定用途に偏っていないか

  • 料金体系・利用条件が市場と合っているか

  • 施設の稼働を平準化できる仕組みがあるか

  • 周辺収益(広告・駐車場・物販など)を伸ばせる設計か

2025年3月期の決算概要では、駐車場・広告事業の増収に触れています。構造の難しさに対し、周辺収益を伸ばす方向へ動いていることは読み取れます。

運営問題は「改善できる領域」なのでKPIが必要

運営問題は、努力で改善できる領域です。だからこそ、議論は「人格批判」ではなく「KPI(指標)」で行うべきです。

市民目線で追うなら、最低限この4つを定点観測すると分かりやすいです。

  • 稼働率

  • イベント日数(カテゴリー別が望ましい)

  • 営業損益(本業が改善しているか)

  • 周辺収益(広告・駐車場などの伸び)

これらは決算概要に集約されやすく、数字で確認できます。

ガバナンス問題は「見えにくさ」が不信を増幅する

公共性が高い施設では、運営がうまくいっていないとき以上に、うまくいったときに「本当なのか?」という疑いが生まれやすいことがあります。理由は単純で、関係者が多く、制度が複雑で、説明が省略されると受け手が検証できないからです。

だからこそ、ガバナンスで大切なのは「結論」より「検証可能性」です。

  • 重要な数字が、公式資料に載っているか

  • 補助・減免の話が、市資料に明記されているか

  • 施策の目的と成果が、追える形で公表されているか

札幌市の指定管理に関する事業報告書などは、こうした検証可能性の基盤になります。


3分で分かる要点と、時系列での整理

3分要約

  • 2024年3月期は、当期純損失が約6.5億円と示され、寄付や減損が含まれるため実質運営赤字は約4.5億円という説明がある

  • 2025年3月期は、売上高17億87百万円、当期純利益42百万円で黒字とされ、イベント増、命名権、広告・駐車場増収、コスト削減が要因として語られている

  • 命名権は4年契約で固定収益になり得るが、体力(営業損益)やイベント再現性の確認が必要

  • 税金論点は「制度別に分解」し、市の指定管理資料で目的・条件・成果を確認するのが第一歩

時系列で誤解を防ぐミニ年表

  • 2024年6月:2024年3月期(第26期)決算概要が公表され、当期純損失約6.5億円などが示される

  • 2024年7月:ネーミングライツ契約締結が公式発表される(契約期間4年)

  • 2025年6月:2025年3月期(第27期)決算概要が公表され、当期純利益42百万円で黒字が示される

年表を押さえるだけでも、「いつの数字の話か」が明確になり、議論の混線が減ります。


よくある質問と次に取るべき行動

札幌ドームが「無能」と言われる最大理由は何ですか

多くの場合、「大幅赤字」という見出しの強さが引き金になります。ただし、決算概要では寄付や減損処理の影響も含むことが説明されており、“運営赤字だけ”で一文に要約しづらい要素があります。
したがって、批判の前に「運営赤字」と「会計要因」を分けて見るのが第一歩です。

黒字化したなら、もう問題は終わったのですか

黒字化(当期純利益がプラス)は公式に示されていますが、問題が終わったかは別です。理由は、持続性が重要だからです。営業損益、稼働率、イベント再現性、周辺収益の伸びを継続して確認する必要があります。

ネーミングライツはどれくらい効くのですか

契約期間4年で固定収益になり得る点はプラスです。
ただし、命名権は「本業の体力」を直接保証しません。イベント誘致や周辺収益をどう積み上げるかとセットで評価すべきです。

税金で穴埋めしているのですか

結論を急がず、「税金」と一括りにせずに分解して確認してください。札幌市の指定管理に関する事業報告書には補助対象イベント等の記載があり、議論の土台になります。
「目的・条件・成果指標が明確か」という観点で見れば、感情論ではなく政策評価に移れます。

市民として何を見ればよいですか

次の3点を定点観測にすると、議論が安定します。

  1. 札幌ドームの決算概要(売上、当期純利益、稼働率、イベント日数、周辺収益の言及)

  2. 札幌市の指定管理関連資料(事業報告書、業務計画書で補助や事業の位置づけを確認)

  3. 命名権などの公式発表(契約期間や条件の確認)


参考にした情報源