PS5の性能を引き出したいのに、「4KやHDRは本当に有効?」「120Hzが出ないのはなぜ?」「VRRはオンにすべき?」と迷っていませんか。映像出力は“PS5の設定”だけで決まらず、HDMIケーブルや端子、テレビ・モニター側の入力設定、さらにサウンドバーやAVアンプ、キャプチャーボードなど接続経路の影響も受けるため、手当たり次第に設定を触るほど沼に入りやすい分野です。
本記事では、いま出ている映像信号の確認から始めて、目的別のおすすめ設定テンプレ(4K画質重視/1440pバランス重視/120fps重視)をそのまま当てはめられる形で整理します。さらに「60Hz固定」「映像が映らない」「真っ黒になる」といったトラブルも、直結・ケーブル・HDCP・セーフモードの順で復旧できるようにチェックリスト化。自分の環境に合う正解を、根拠つきで最短で選べるようになります。
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PS5映像出力設定でまず確認すること
PS5の映像出力は、基本的に接続したテレビやモニターの性能を自動検出し、可能な範囲で最適な信号を出すように設計されています。とはいえ、4K・HDR・120Hz・VRR・1440pなどの選択肢が増えたことで、「自動に任せたつもりなのに60Hzのまま」「HDRが効いているのか分からない」「画面が暗い・白飛びする」「途中の機器を挟んだら映らない」といった“よくあるつまずき”も増えています。
最初に大切なのは、いきなり設定をいじり倒すのではなく、①現在どんな信号が出ているかを事実として把握し、②最もシンプルな接続(直結+適切なケーブル)で上限を確認し、③そのうえで目的に合わせて最適化する、という順番で進めることです。順番を守ると、トラブルが起きても「どこで変になったか」を追いやすくなります。
また、PS5の映像出力は「PS5側の設定」だけで完結しません。表示機器(テレビ・モニター)の入力設定、HDMI端子の仕様、ケーブルの規格、さらにサウンドバー・AVアンプ・キャプチャーボードなど“間に入る機器”によって、最終的な映像信号が変わります。まずは確認すべき点を押さえ、迷いを減らしましょう。
いま出ている映像信号を確認する手順
おすすめ設定を決める前に、現在PS5が実際に出している信号を確認します。「設定しているつもり」と「出ている信号」が一致していないことが、混乱の一番の原因だからです。
PS5ホーム画面で「設定」を開く
「スクリーンとビデオ」へ進む
「映像出力」を開く
「現在出力している映像信号」や「接続されているHDMI機器の情報」を確認する
ここで見たいポイントは主に以下です。
解像度:4K(2160p)なのか、1440pなのか、1080pなのか
リフレッシュレート:60Hzか120Hzか(ゲーム中に変動する場合もあります)
HDR:オンになっているか(対応コンテンツ時のみ/常にオンの設定も含む)
色深度・色空間:テレビやモニターの条件によって自動で変わる部分
VRR:対応環境で有効になっているか
この確認を挟むだけで、「自分の環境では今どこがボトルネックか」を推測しやすくなります。たとえば“4Kテレビなのに1080p”なら、テレビ側端子や入力設定、経路、ケーブルの可能性が高い。“120Hz対応モニターなのに60Hz”なら、PS5側設定だけでなくゲーム側設定や経路・端子が疑わしい、といった具合です。
付属HDMIケーブルと直結が基本になる理由
PS5の高機能(4K/120Hz、VRRなど)を狙うほど、HDMIの条件が厳しくなります。ここで最も効果が高く、切り分けにも役立つのが次の2つです。
付属HDMIケーブルを使う
PS5からテレビ/モニターへ直結する
ケーブルは見た目が同じでも対応できる帯域が異なります。古いケーブルや、規格が不足するケーブルを使うと、4Kが出なかったり、4Kは出ても120Hzが出なかったり、画面がブラックアウトしたりすることがあります。付属ケーブルに戻すだけで改善するケースが少なくありません。
また、サウンドバーやAVアンプ、HDMI分配器、キャプチャーボードなどを間に入れると、そこが“最大性能の上限”になったり、HDCPなどの要因で映らなくなったりします。最初は直結で「出せる上限」を確認し、うまくいったら機器を一つずつ戻して原因箇所を特定するのが、最短で失敗しにくい進め方です。
テレビ・モニター側の設定で詰まりやすい点
PS5側だけを頑張っても、表示機器側が受け取る準備をしていないと、狙った出力が実現しません。特につまずきやすいポイントは次のとおりです。
HDMI入力設定が“拡張(高帯域)”になっていない
メーカーによって名称は違いますが、4K/120HzやHDRを使うために、HDMI入力ごとに拡張モードの切替が必要なテレビがあります。初期状態では互換性重視で帯域が絞られていることがあります。4K/120Hz対応端子が限られている
テレビのHDMI端子が複数あっても、すべてが同じ仕様ではない場合があります。特定の端子だけが高機能対応、ということがよくあります。モニター側の設定(オーバードライブ、応答速度、FreeSync/VRR関連)が影響する
モニターはゲーム向け機能が多い分、設定が複雑です。VRRのオン・オフ、リフレッシュレート表示、入力モードなどで挙動が変わる場合があります。ファームウェアが古い
テレビもモニターも、アップデートでVRRや入力まわりが改善されることがあります。新機能を狙うほど、更新状態の確認が重要になります。
まずは「PS5直結+付属ケーブル+高機能対応端子+入力設定を拡張」に寄せる。ここまで揃えて初めて、PS5側の細かな設定調整が効いてきます。
PS5映像出力のおすすめ設定テンプレ(目的別)
ここからは、目的別に「これを基準にすれば迷いにくい」というテンプレを示します。PS5の映像出力設定は項目が多いですが、実際に触るべきポイントは限られています。全項目を理解しようとするより、目的に合うテンプレを当てはめて、必要なところだけ微調整する方が失敗しにくいです。
目的別おすすめ設定テンプレ比較表
| 目的 | 解像度 | HDR | 120Hz出力 | VRR | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 画質重視(4Kテレビ) | 自動(4K優先) | 対応時のみオン(基本) | 自動 | 自動(対応時) | 映像美を優先、ストーリーやオープンワールド中心 |
| バランス(1440pモニター) | 1440p(テスト後) | 対応時のみオン | 自動 | 対応時にオン | くっきり+軽快、万能型で遊びたい |
| 120fps重視(対戦系) | 1080p〜1440p(安定重視) | 必要ならオフ | 自動 | 対応時にオン | 滑らかさ・遅延重視、FPS/格闘/レースなど |
この表は「迷ったらここから始める」ための土台です。以下のH3で、各テンプレの意図と調整のコツを詳しく説明します。
4Kテレビで画質重視のおすすめ設定
4Kテレビで画質を優先する場合、基本は“PS5に自動でやらせる”のが強いです。理由は2つあります。
1つ目は、テレビ側の受け入れ条件(端子・入力設定・映像モード)によって最適な信号が変わり、固定設定が裏目に出ることがあるため。2つ目は、PS5の自動設定は互換性と安定性を重視しており、まず映像が破綻しにくい土台を作れるためです。
おすすめの出発点は次です。
解像度:自動
4K転送レート:自動(基本)
HDR:対応時のみオン
120Hz出力:自動
VRR:自動(対応時)
ここでのコツは、最初に「現在出力している映像信号」を見て、4Kが出ているか、HDRが効いているかを確認することです。もし4Kにならないなら、PS5側の固定ではなく、テレビ側端子や入力設定、経路、ケーブルが原因の可能性が高いからです。
さらに画質を追い込みたい場合の考え方も整理しておきます。
ゲーム内のグラフィック設定が最重要な場合がある
“解像度優先”“画質優先”“レイトレーシング”など、ゲーム側のモードが画質に直結します。PS5側の映像出力を整えたうえで、ゲーム側の画質モードも確認すると満足度が上がります。テレビのゲームモードは遅延が減るが、画作りが変わることがある
画質重視なら通常モードが好みに合うこともありますが、遅延が気になるならゲームモードが無難です。作品を“映画的に”見たいのか、操作の反応を上げたいのかで選びましょう。
1440pモニターでバランス重視のおすすめ設定
1440pモニターは、PS5で遊ぶうえで“バランスの良さ”が魅力になりやすいです。4Kほど重くなく、1080pより精細で、モニターのサイズ感(24〜32インチ)とも相性が良いことが多いからです。
おすすめの出発点は次です。
解像度:1440p(ただし、先に1440p出力テストを実施)
HDR:対応時のみオン(モニターがHDRをうたっていても、実用性には差があります)
120Hz出力:自動
VRR:対応時にオン
ここで重要なのが「1440p出力テスト」です。テストで問題が出る場合は、モニター側の受け取り条件や経路・ケーブルの影響を疑うべきです。逆にテストが通れば、PS5側は1440pでの安定運用がしやすくなります。
バランス重視で失敗しないための調整ポイントは以下です。
“解像度固定”が効くのは、出力が不安定な環境での安定化
自動に任せると1080pに落ちる、という場合に1440p固定が効果的なことがあります。一方、テレビや一部の環境では自動の方が上限を引き出せることもあるため、出力信号の確認で判断します。モニターのHDRは過度に期待しすぎない
HDRは性能差が大きい領域です。暗部がつぶれる、眩しすぎる、色が不自然、という場合はHDRを切ってSDRで遊んだ方が見やすいこともあります。テンプレは“対応時のみオン”ですが、好みに合わせて調整して問題ありません。
120fps重視で遅延を減らすおすすめ設定
対戦系ゲームや反応速度が重要なゲームでは、画質よりもフレームレートと入力遅延が満足度を左右しやすいです。120fpsが出ると、見た目の滑らかさだけでなく、操作の追従性が良く感じられることがあります(体感には個人差があります)。
ただし、ここでよくある勘違いが「120Hzモニターに繋げば自動で120fpsになる」というものです。実際には次の条件が揃う必要があります。
表示機器が120Hz入力に対応している
PS5側で120Hz出力が有効(自動)になっている
ゲームが120fpsに対応している
ゲーム内設定で120fps(高フレームレート)をオンにする必要がある場合がある
HDMIの経路とケーブルが帯域条件を満たしている
おすすめの出発点は次です。
解像度:1080p〜1440p(安定重視。4K/120Hzにこだわりすぎない)
HDR:必要ならオフ(視認性が落ちる・眩しいと感じる場合は切る)
120Hz出力:自動
VRR:対応時にオン(フレームの揺れを吸収できる可能性)
ゲームプリセット:パフォーマンス優先(対応タイトルで役立つ場合がある)
コツは、「まず120Hzが出る環境を作る」→「次にゲーム側で120fpsモードを探す」→「それでもダメなら解像度や経路を見直す」です。特にAVアンプやサウンドバーを挟んでいると、そこで120Hzが落ちるケースがあるため、直結で一度確認すると原因特定が速くなります。
HDRは「対応時のみ」と「常にオン」をどう選ぶか
HDRは、対応する映像・ゲームにおいて、明暗の幅や色の表現が豊かになる可能性がある一方で、設定や相性次第で「暗すぎる」「白飛びする」「色が不自然」「目が疲れる」といった不満が出ることもあります。選び方はシンプルで、最初は“事故が少ない設定”から入り、好みに合わせて動かすのが安全です。
対応時のみオン:HDR対応コンテンツだけHDRで表示される。まずはこれが基本。
常にオン:HDR非対応コンテンツもHDR出力へ変換される。好みが合えば便利だが、見え方が変わりやすい。
どちらを選ぶべきかは、次の観点で判断すると迷いにくいです。
表示機器がHDRを得意としているか
高性能なテレビはHDRのメリットが出やすい一方、モニターは“HDR対応”でも得意不得意が大きいことがあります。遊ぶゲームが暗部視認を重視するか
FPSなどで暗部の敵が見えにくくなると不利に感じることがあります。競技寄りならHDRを切る選択も合理的です。長時間プレイで疲れやすいか
眩しさが気になるならHDRの設定やゲーム内の輝度調整を見直し、それでも改善しないならオフも検討します。
HDRをオンにする場合は、PS5側のHDR調整(輝度の合わせ込み)と、ゲーム内のHDR設定(トーンマッピングや最大輝度)が両方効いてきます。片方だけ合わせても違和感が残ることがあるので、「PS5側のHDR調整→ゲーム内HDR設定」の順で追い込むと整いやすいです。
120Hzが出ないときの設定と原因切り分け
「120Hz対応のモニターに繋いだのに60Hzのまま」という相談は非常に多いです。ここは“原因が一つではない”のが難しさで、PS5側・ゲーム側・表示機器側・HDMI経路のどれが詰まっても120Hzになりません。逆に言えば、手順を固定して潰していけば解決しやすい領域でもあります。
切り分けの鉄則は、条件を満たすものを上から順に確認し、最後に複雑な要因(経路・相性)を疑うことです。
PS5側で必要な設定(120Hz、自動、プリセット)
PS5側で確認すべきポイントは次のとおりです。
設定→スクリーンとビデオ→映像出力
120Hz出力を有効にする:自動
設定→セーブデータとゲーム/アプリ設定→ゲームプリセット
パフォーマンス優先
ここで注意したいのは、「PS5側をパフォーマンス優先にしたら自動で120fpsになる」わけではない点です。これは対応タイトルで“パフォーマンス系モード”を選びやすくする補助であり、最終的に120fpsで動くかどうかはタイトル側の設計に依存します。
また、120Hzの確認はホーム画面だけでなく、ゲーム中に“現在出力している映像信号”を確認するのが確実です。タイトルによっては、メニュー画面は60Hz、ゲームプレイ中に120Hzへ切り替わることもあります。
ゲーム側で120fpsをオンにするポイント
120fps対応タイトルでも、ゲーム内に「120fps」「高フレームレート」「パフォーマンス」「競技設定」などの項目があり、オフのままだと60fpsで動くことがあります。見落としやすいポイントをまとめます。
設定項目の場所が分かりにくい
「ビデオ設定」ではなく、「ゲームプレイ」「グラフィック」「アクセシビリティ」などに紛れていることがあります。モード切替が再起動を要求する場合がある
設定を変えても反映されないときは、タイトルを再起動すると反映されるケースがあります。解像度優先を選ぶと120fpsが無効になる場合がある
“画質モード”を選ぶと60fps固定、というゲームは珍しくありません。120fpsを狙うならパフォーマンス系モードを選びます。
まずは“そのゲームが120fps対応か”を確認し、次に“ゲーム内設定で120fpsを有効化する”という順番で進めると、無駄な疑いを減らせます。
HDMI帯域・端子・経路(アンプ/サウンドバー)で落ちるケース
ここが最もハマりやすいポイントです。PS5と表示機器が高性能でも、間に挟む機器がボトルネックになると、120Hzが出ません。
代表例は次のとおりです。
サウンドバーやAVアンプが4K/120Hzパススルーに非対応
4K/60Hzまでは通るが、120Hzは通らない。結果としてPS5が60Hzで出力する、または映像が不安定になる。HDMI分配器・切替器が帯域不足
安価な切替器ほど、4K/60Hzまでで頭打ちになりがちです。ケーブルが足りない
規格不足のケーブルは、症状が“劣化”ではなく“交渉の失敗”として現れます。つまり4K/120Hzが出ない、黒画面になる、映像が途切れる、などの形で出ます。テレビ側端子が限定されている
120Hz対応がHDMI 3/4のみ、などのケースでは、端子を変えただけで解決することがあります。
切り分けとして最も効果が高いのは、繰り返しになりますが直結です。
PS5→モニター(テレビ)に直結して120Hzが出るなら、間に入っていた機器が原因です。直結でも出ないなら、表示機器側設定・端子・ゲーム側条件・ケーブルの可能性が残ります。
VRRを使うおすすめ条件と注意点
VRR(可変リフレッシュレート)は、ゲームのフレームレートが上下する場面で表示の乱れを抑えたり、体感の滑らかさを上げたりする狙いの機能です。大きく効く場面もあれば、あまり体感が変わらない場面もありますが、「フレームが不安定で気になる」という人にとっては試す価値があります。
一方で、VRRは“対応条件”があり、さらに“非対応タイトルに適用するオプション”も存在するため、設定の考え方を整理しておくと迷いません。
VRRが効く条件(対応テレビ/モニター)
VRRを使ううえでの条件は、ざっくり言うと次の3つです。
表示機器がVRRに対応している(テレビ/モニター側の仕様)
PS5側でVRRが有効になっている
タイトル側がVRRに対応している(または非対応にも適用する設定をオンにする)
最初にやるべきことは、「PS5がVRR対応機器として認識しているか」の確認です。映像出力の情報画面で、接続されているHDMI機器の対応状況が分かる場合があります。ここでVRR対応が出ないなら、表示機器側設定(VRRやFreeSyncのオン・オフ)や端子の対応、経路、ケーブルを疑います。
また、VRRと120Hzは相性が良い一方、機器によっては特定の解像度や入力モードでしかVRRが有効にならないこともあります。迷ったら、まずは“直結+高機能端子+ゲームモード”に寄せ、そこでVRRが認識されるかを確認しましょう。
非対応タイトルでVRRを使うオプションの考え方
非対応タイトルにもVRRを適用できる設定がある場合、便利に見える一方で注意も必要です。非対応タイトルはVRRを前提に作られていないため、状況によっては映像が不自然に見えたり、ちらつきが増えたり、逆に違和感が出る可能性があります。
考え方としては次が安全です。
まずは対応タイトルでVRRの効果を確認し、VRRが自分にとって価値があるか判断する
非対応タイトルに適用する場合は、違和感が出たらすぐオフに戻す前提で試す
競技寄りタイトルで視認性が落ちるなら、VRRよりもフレーム安定(解像度や設定の見直し)を優先する
VRRは“万能の改善”ではなく、“ハマると気持ちいい改善”くらいに捉えると、期待外れになりにくいです。
1440pとVRRの扱いで迷った時の方針
1440pとVRRは、表示機器側の実装や対応範囲によって挙動が変わりやすく、「この設定なら必ずOK」と言い切りにくい領域です。ここは方針で迷いを減らすのが有効です。
おすすめの優先順位は次です。
対戦・反応速度重視:120Hzの安定を優先 → 次にVRR → 解像度は安定する範囲で(1080pも選択肢)
画質と没入感重視:解像度とHDRを優先 → 次にVRR(違和感があればオフ)
万能運用:1440pで安定するなら固定 → VRRは対応状況を見てオン → 問題が出たタイトルだけ切る
どうしても不安定なら、まずは“VRRオフで安定させる”。次に“VRRオンで試す”。この二択で比較し、差が出るかどうかで採用を決めるのが一番シンプルです。
映像が映らない・真っ黒になるときの復旧手順
映像が出ない、真っ黒、突然ブラックアウトする。こういうトラブルは原因が幅広い反面、切り分け手順を固定すれば復旧しやすいです。重要なのは「思いつきでいろいろ変えない」こと。変えたら、どれが効いたか分からなくなるからです。
ここでは、成功率が高い順番に手順を並べます。
まずは直結・入力切替・ケーブルから確認する
最優先は“最も単純な構成に戻す”ことです。
テレビ/モニターの入力切替が正しいか確認(HDMI1/2など)
PS5→テレビ/モニターに直結(サウンドバー、AVアンプ、切替器、キャプチャなどを外す)
HDMIケーブルを付属品(または高帯域対応の確実なもの)に変更
可能なら、テレビ/モニターの別端子へ差し替え
テレビ/モニター側の入力設定(拡張モード等)を確認
ここで映るようになれば、原因は経路・ケーブル・端子・入力設定に寄っています。直結でも映らない場合は、PS5の出力設定が表示機器と噛み合っていない可能性が上がります。
キャプチャーボード利用時はHDCPが最重要
配信や録画でキャプチャーボードを使っている場合、「真っ黒」はHDCPが原因のことが非常に多いです。HDCPは著作権保護の仕組みで、キャプチャ側が受け取れない(または受け取らない)設定だと映像が出ないことがあります。
対処の基本方針は次です。
ゲーム配信・録画が目的:PS5側のHDCPをオフにする運用が必要になることがある
映像アプリ視聴が目的:HDCPが必要なことがある(オフだと見られない場合がある)
つまり、「ゲームを映したいのか」「映像アプリを見たいのか」で求める状態が変わります。使い分け前提で考えると混乱しません。
また、キャプチャーボードを挟むと、解像度やリフレッシュレートの上限がキャプチャ機器側に引っ張られることもあります。4K/120HzやVRRを狙う場合は特に、キャプチャの対応仕様も確認し、必要なら“配信時は設定を落とす”という割り切りも現実的です。
セーフモードで解像度やHDCPを戻す
設定変更後に映らなくなった場合、PS5のセーフモードが強い味方になります。画面が出ないと設定画面に戻れないため、セーフモードから解像度や出力関連を“安全な状態”へ戻すことで復旧できることがあります。
よく使う考え方は次です。
解像度が合わない疑いがある → 解像度を下げる方向で戻す
HDCP関連が疑わしい(キャプチャや途中機器) → HDCP設定を見直す
とにかく映像を出したい → 安全寄りの設定へ戻す(まず映る状態を作る)
セーフモードを使うと、「何を触ったか分からない」「設定画面に戻れない」という状況でも脱出できる可能性が高まります。映像出力の調整を攻めるほど、セーフモードの存在を知っているだけで安心感が違います。
映像トラブル切り分けチェックリスト
以下の順番でチェックすると、原因を絞り込みやすくなります。
テレビ/モニターの入力切替が正しい(HDMIの選択が合っている)
PS5→テレビ/モニターへ直結している(途中機器を外した)
HDMIケーブルを付属品、または確実な高帯域対応品にした
テレビ側の高機能対応端子に挿した(端子の仕様を確認した)
テレビ側のHDMI入力設定が拡張(高帯域)になっている
サウンドバー/AVアンプ/切替器を戻すなら“1つずつ”戻して再発箇所を特定した
キャプチャ利用ならHDCPのオン・オフ運用が目的と一致している
それでもダメならセーフモードで解像度や出力関連を安全な状態に戻した
このチェックリストを“儀式化”すると、トラブル時に焦って迷走しにくくなります。
よくある質問
自動設定のままで損しませんか?
大半のケースで損しにくいです。PS5は接続機器を検知し、互換性と安定性を優先して映像信号を出します。特に4Kテレビで画質重視の場合は、解像度を無理に固定せず自動に任せた方が「テレビ側の条件に合わせて上限を引き出す」動きになりやすいです。
ただし、自動の弱点もあります。経路や端子の条件が悪いと、PS5が安全側に倒れて1080pや60Hzに落とすことがあります。その場合は「現在出力している映像信号」を確認し、原因がPS5側ではなく、ケーブル・経路・端子・入力設定にあるのかを切り分けるのが先です。自動を活かすべきか、固定して安定させるべきかは、“出ている信号”を見て決めるのが確実です。
4Kと120Hzは同時に出せますか?
環境が揃えば可能ですが、ハードルは高めです。4K/120Hzは表示機器側の対応、HDMI端子の仕様、ケーブルの帯域、さらに途中機器のパススルー対応など、条件が一気に厳しくなります。
実現の基本方針は次です。
まずPS5を表示機器へ直結する
高機能対応端子を使う
入力設定を拡張(高帯域)にする
付属ケーブル、または確実な高帯域対応ケーブルを使う
ゲーム側が120fps(または120Hz出力)に対応しているか確認する
この条件を満たしても、タイトルによっては4K/120fpsではなく、解像度を下げた120fpsを採用している場合もあります。対戦重視なら、4Kにこだわらず120fpsを優先する方が満足度が高いことも多いです。
HDRを常にオンにすると何が起きますか?
HDR非対応のコンテンツもHDR出力へ変換されるため、見え方が変わります。良い方向に転ぶこともありますが、暗すぎる/眩しすぎる/色が不自然など、好みや相性の影響が出やすくなります。
迷ったら、まずは「対応時のみオン」で運用し、特定のゲームや用途で「常にオン」を試すのがおすすめです。HDRはPS5側のHDR調整と、ゲーム内のHDR設定(輝度やトーンマッピング)の両方で最終的な見え方が変わるため、違和感がある場合は“オフにする前に調整を試す”のも有効です。
8K出力は誰に必要ですか?
8K出力を活かせるのは、8K対応の表示機器を持ち、さらに8K出力のメリットを明確に得たい人です。現実的には、多くの人にとって優先度が高いのは、4K・HDR・120Hz・VRR・1440pといった領域です。特に体感の差が出やすいのは、フレームレートや遅延、視認性に関わる設定です。
もし「自分に8Kが必要か分からない」という段階なら、まずは現在の出力信号を確認し、4K/HDR/120Hz/VRRが狙いどおりに出せているかを整える方が満足度につながりやすいでしょう。最適化の順番としては、土台(安定表示)→目的別テンプレ→微調整、という流れが安全です。