妊娠中、「お腹の赤ちゃんに障害がないか不安でたまらない」「知恵袋で検索したら、怖い体験談ばかり目について余計につらくなってしまった」というお気持ちを抱える方は少なくありません。
本記事では、そのような不安を抱えている妊婦の方に向けて、
妊娠中に不安になりやすい理由
赤ちゃんの障害リスクと「確率」の考え方
検査で分かること・分からないこと
不安との付き合い方・相談先
知恵袋やSNSとの距離の取り方
もし障害があった場合の生活と支援の概要
を、できるだけ分かりやすく整理してお伝えいたします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の妊娠について診断・評価をするものではありません。必ず主治医・助産師など医療専門職の説明・指示を優先してください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
次回の健診までに、主治医に聞きたいことを3つだけメモする
1週間だけ、妊娠や障害に関する検索を意図的に減らしてみる
お住まいの自治体の「妊産婦相談」「母子保健」窓口の連絡先を調べておく
「最近不安が強くて…」と、パートナーや信頼できる人に一言伝えてみる
不安を完全に消そうとすると、かえって苦しくなることがあります。「不安を抱えたままでも、少しずつ前に進んでいる自分」を、どうか認めてあげてください。
妊娠中に「赤ちゃんに障害がないか不安」になるのは普通のこと?
なぜ妊娠中は不安になりやすいのか(ホルモン・環境・情報の影響)
妊娠すると、体内のホルモンバランスが大きく変化します。これは赤ちゃんを育てるために必要な変化ですが、同時に以下のような心の変化を招きやすくなります。
気分の浮き沈みが激しくなる
些細なことで涙が出やすくなる
将来に対する漠然とした不安が強くなる
さらに、
仕事や家事の負担
お金や将来の生活への心配
夫婦関係や親族との関係の変化
「良い母親でいなければならない」というプレッシャー
など、環境面でも大きな変化が重なります。
そこに、スマートフォンからいつでもアクセスできる大量の情報(知恵袋、SNS、ブログなど)が加わることで、「悪い情報ばかりが目に入る」「怖い体験談が頭から離れない」といった状況になりやすくなります。
ホルモン・環境・情報の三つの要因が重なり、「赤ちゃんに障害があったらどうしよう」「自分に育てられるのだろうか」という不安が強くなりやすいのは、ある意味自然なことだといえます。
妊娠中の不安やうつはどのくらいの人が経験しているのか
さまざまな調査から、妊娠中にうつ病レベルの状態になる方はおよそ10%前後いると報告されています。診断がつくほどでなくとも、「気分が落ち込む」「不安が強い」と感じる妊婦の方はさらに多いと考えられています。
特に、
初めての妊娠で何もかもが分からない
過去に流産・死産などつらい経験がある
不妊治療を経て妊娠した
といった背景がある場合、不安が強くなりやすいことが知られています。
「妊娠中に不安になること」は決して珍しいことではなく、多くの方が経験する心の揺れだと考えていただいて差し支えありません。
「母親失格ではない」ことをまず知ってほしい
「障害があったらどうしよう」「産むべきなのか分からない」と考えてしまう自分を、「母親失格だ」と責めてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、不安になるということは、
赤ちゃんのことを真剣に考えている
何とか守りたい・最善を尽くしたいと思っている
という気持ちの裏返しでもあります。
不安を感じること自体は、決して悪いことでも、弱さの証拠でもありません。「それだけ赤ちゃんを大切に思っているのだ」と、まずはご自身の気持ちを認めてあげていただければと思います。
赤ちゃんの障害リスクと「確率」の基礎知識
そもそも「先天異常」とは何を指すのか
「先天異常」とは、簡単にいえば「生まれつきの体の構造や働き、染色体や遺伝子の違い」などを含む広い概念です。
染色体の数や構造の違い(例:ダウン症候群 など)
心臓や脳、消化管など臓器の形の違い
手足・顔などの形成の違い
など、重いものから比較的軽いものまで、さまざまな状態が含まれます。
中には、生活への影響がほとんどない軽いものや、治療やリハビリ・支援により十分に学校や社会生活を送れるものも多くあります。「先天異常=必ず重い障害」というわけではない点も、頭の片隅に置いていただければと思います。
年齢と染色体異常リスクの関係(ざっくりイメージ)
妊婦の年齢が上がるにつれて、一定の割合で「染色体の数の変化」が起こりやすくなることが知られています。例えばダウン症候群(21トリソミー)などは、年齢とともに発生頻度が徐々に高くなります。
ただし重要なのは、
若い年齢でも、確率はゼロではない
年齢が高くなっても、「ほとんどの赤ちゃんは健康に生まれている」
という二つの事実です。
「年齢=必ず高リスク」「若い=絶対安心」という単純な話ではないことをご理解いただくことが大切です。
「0%にはならない」一方で、過度に怖がりすぎないための考え方
「障害があるかもしれない」という不安が強いと、「少しでも可能性があるなら怖い」と感じてしまうのは当然のことです。
しかし現実には、
どの妊娠でも「リスク0%」にはならない
それは病気や事故など、日常にあるさまざまなリスクと同じ
という側面があります。
だからこそ、
「どのようなことが、どのくらい起こり得るのか」を大まかに知る
そのうえで「自分たちはどこまで検査を受けておきたいか」「どのように準備したいか」を考える
というスタンスが現実的です。
不安を完全になくすことは難しくても、「不安に振り回されすぎないよう、上手に付き合う」ことはできます。そのための情報整理を、本記事で行っていきます。
妊娠中の検査で分かること・分からないこと
通常の妊婦健診・超音波検査でチェックされているポイント
妊婦健診では、妊婦の方と赤ちゃんの健康状態を確認するために、さまざまな検査が行われています。
主な内容は次のとおりです。
妊婦の方の健康状態
血圧
体重
尿検査(蛋白・糖など)
貧血や感染症などの採血検査
赤ちゃんの状態
心拍の有無・リズム
位置(頭位・骨盤位など)
体の大きさ(頭・お腹・手足の長さ)
臓器の形・動き(心臓、脳、腎臓など)
羊水量・胎盤の位置 など
異常が疑われる場合には、より詳しい精密超音波検査や、高度な設備のある医療機関への紹介が検討されることもあります。
ただし、超音波検査にも限界があります。
赤ちゃんの向きや姿勢によって、見えにくい部位がある
妊娠週数が早いと、細かな部分まで見えにくいことがある
染色体や遺伝子レベルの違いは、超音波だけでは分からないことが多い
という点は、知っておく必要があります。
出生前検査(NIPT・母体血清マーカー・羊水検査など)の特徴
出生前検査にはいくつか種類があり、目的や方法、時期が異なります。代表的な検査を、簡単に比較すると次のようなイメージです。
| 検査名 | 分かることの例 | 分からないこと | 実施時期の目安 | 特徴・留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 妊婦健診の超音波 | 体の形の大きな異常、発育の様子など | 多くの遺伝子の病気、軽い発達の違い など | 妊娠全期間 | 妊婦健診で広く行われる。見え方には限界がある。 |
| 母体血清マーカーなど | 染色体異常の「リスクが高いかどうか」の目安 | 確定診断ではない、すべての異常は分からない | 主に妊娠中期 | スクリーニング検査。結果によって追加検査を検討することがある。 |
| NIPT(新型出生前検査) | 特定の染色体異常(例:13・18・21トリソミー)の可能性 | すべての染色体・遺伝子の異常、軽い発達の違い など | 妊娠10週以降 | 母体の血液を利用するスクリーニング検査。陽性でも確定ではなく、確定検査が必要。 |
| 羊水検査などの確定検査 | 染色体の数や構造の異常 など | ごく細かな遺伝子の違いなど一部 | 主に妊娠中期 | 子宮に針を刺し、羊水を採取する検査。ごくわずかな流産リスクなどがある。 |
※検査の対象となる疾患や詳細は、施設・検査方法によって異なります。必ず主治医や検査施設でご確認ください。
NIPTは「精度が高い」とされますが、それでも「陽性=必ずその病気がある」「陰性=絶対に大丈夫」という意味ではありません。陽性となった場合には、羊水検査などの確定検査で診断を確認することが一般的です。
検査には限界があることと、「陰性=絶対安心」ではない理由
どの検査にも、次のような限界があります。
対象としている異常の範囲が限られている
「可能性が高いか低いか」をみる検査(スクリーニング)と、「あるかないか」を調べる検査(確定検査)がある
検査の感度や特異度には限界があり、「偽陽性」「偽陰性」という可能性がある
そのため、どれだけ検査を行っても、「絶対に障害はない」と言い切ることはできません。
これは、とても不安を感じさせる事実ではありますが、同時に、
検査を受けるかどうかに「正解・不正解」はない
「自分たちがどの程度の情報を知りたいか」「知ったうえでどうしたいか」を基準に考えることが大切
ということも意味しています。
検査を受けるか迷うときの考え方とパートナーとの話し合い方
「検査を受ける目的」を言葉にしてみる
出生前検査を受けるか迷っているとき、まず意識してみていただきたいのが、「自分はなぜ検査を考えているのか」という点です。
例としては、
「障害があっても産むつもりだが、事前に知って準備したい」
「障害の種類や程度によっては、妊娠継続について考え直すかもしれない」
「とにかく『問題がない』と確認できれば安心できると思う」
などが挙げられます。
目的がはっきりすると、
どの検査が自分たちに合っているか
どこまでの検査を望むのか
が見えやすくなります。
検査を受ける場合・受けない場合それぞれのメリット/デメリット
検査を受ける・受けないには、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 検査を受ける | ・特定の染色体異常について、ある程度の可能性を知ることができる ・結果に応じて、出産後の準備や医療体制を整えやすい | ・結果を待つ間の不安が強くなることがある ・陽性の場合、難しい決断や葛藤を抱える可能性がある ・検査の種類によっては身体的負担やわずかな流産リスクがある |
| 検査を受けない | ・検査による精神的・身体的負担を避けられる ・「どんな子でも受け入れる」という価値観を貫きやすい | ・生まれるまで障害の有無が分からず、不安が続くことがある ・出生後、予期せぬ診断を受けた際のショックが大きく感じられる可能性がある |
どちらの選択にも、良い面と大変な面があります。「どちらが正しいか」ではなく、「自分たちにとって納得できるかどうか」が重要です。
夫婦で話し合うときのポイントと、主治医への質問例
パートナーと話すときには、次の点を意識してみてください。
まずは「自分の気持ち」をそのまま言葉にする
相手の気持ちをすぐに否定せず、「そう感じているのだな」と受け止める
「事実」と「不安」を分けて整理する
そのうえで、主治医に相談するときには、例えば次のような質問が役立ちます。
主治医への質問例
今の妊婦健診・エコーで、「分かっていること」と「分からないこと」を教えてください。
私の年齢や妊娠週数では、一般的にどのようなリスクが考えられますか。
出生前検査にはどのような種類があり、それぞれのメリット・デメリットは何ですか。
もし検査で異常の可能性が高いと分かった場合、この病院ではどのようなサポートがありますか。
緊張しやすい方は、あらかじめノートに質問を書いておき、健診時に見ながら話すと安心です。
妊娠中の不安との付き合い方とセルフケア
一人で抱え込まないための相談先
不安が強いときほど、「こんなことで相談して良いのだろうか」と遠慮してしまいがちですが、妊娠中の心配事は決して特別なものではありません。相談してよい相手は多数存在します。
妊婦健診で関わっている産科の医師・助産師
お住まいの市区町村の保健センター・保健師(妊産婦相談窓口など)
周産期メンタルヘルス外来や、妊婦の方の診療に慣れた心療内科・精神科
妊娠・出産・子育てに関する電話相談・オンライン相談窓口
「こんなことを話してもいいのかな」と思う内容こそ、専門職にとっては日常的に聞いている相談であることが多いです。遠慮せず、早めに相談していただくことをおすすめいたします。
日常でできる不安との付き合い方
不安を完全に消すことは難しくても、「不安に飲み込まれない工夫」を日常に取り入れることは可能です。
| 行動 | 目的 | 今日からできる一歩 |
|---|---|---|
| 情報を見る時間を決める | 不安を煽る情報に触れすぎない | 「検索は1日●分まで」とタイマーを使う |
| 信頼できる情報源だけをチェックする | 情報の質を絞る | 公的機関・医療機関のサイトをブックマークする |
| 気持ちを紙に書き出す | 頭の中を整理する | 寝る前に「今日心配だったこと」を3つだけメモする |
| 軽いストレッチや散歩をする | 体を動かして気分を切り替える | 体調の許す範囲で10分だけ外を歩いてみる |
| パートナーや信頼できる人に話す | 一人で抱え込まない | 「ただ聞いてほしいだけ」と前置きして話してみる |
また、「また不安になってしまった」「弱い自分が嫌だ」という考えが浮かんできたときには、「それだけ赤ちゃんのことを真剣に思っているのだ」と、意識的に別の言葉に置き換えてみることも有効です。
受診を検討した方がよいサイン(うつ・不安障害・パニックなど)
次のような状態が続いている場合には、妊娠中のメンタルヘルスに詳しい医療機関や、心療内科・精神科への相談を検討してください。
専門家への相談・受診を考えたいサインの例
ほとんど毎日、不安や落ち込みが続き、2週間以上改善しない
夜なかなか眠れない・早朝に目が覚める・悪夢が続く
食欲が極端に落ちた、または過食が止まらない
何をしても楽しく感じられない、興味が持てない
自分には価値がないと感じる、自分を過度に責めてしまう
突然の動悸・息苦しさ・めまいなどがあり、「死んでしまうのでは」と感じる発作的な症状がある
「死んでしまいたい」「消えてしまいたい」と考えることがある
特に最後のような思いが出てきた場合は、妊娠中かどうかにかかわらず、早急な支援が必要なサインです。産科の医師、精神科・心療内科、自治体の相談窓口、24時間対応の電話相談などをすぐに利用してください。
知恵袋やSNSとの上手な付き合い方
知恵袋で安心できるケース/不安が悪化しやすいケース
Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトには、次のようなプラスの側面があります。
自分と似た悩みを持つ人の投稿を見つけられる
「自分だけではない」と感じ、気持ちが少し軽くなることがある
一方で、次のようなリスクもあります。
医学的に正確とはいえない情報が含まれていることがある
非常に重いケースやつらい体験談が、感情を込めて書かれているため、強く心に残りやすい
不安が強いときほど、「悪いケース」ばかり目に入る
知恵袋が安心材料になるのは、「自分と状況が似ていて、かつ無事だったケースを知りたい」ときなどです。一方、体験談に引きずられて不安が増すと感じる場合は、距離を取ることも大切です。
ネット情報を読むときにチェックしたいポイント
ネット上の情報に触れるときには、次のポイントを意識してみてください。
発信元は誰か
医療機関、公的機関、学会などなのか、個人ブログや匿名の投稿なのか。いつ書かれた情報か
医療情報は更新されます。古い記事は、現状と異なる場合があります。根拠や出典が示されているか
ガイドラインや研究、公的資料などへの言及があるか。極端な表現が多くないか
「絶対」「100%」「必ずこうなる」といった表現が多い情報には注意が必要です。
知恵袋などの体験談は、「その人にとっての真実」ではありますが、「すべての人に当てはまる真実」ではありません。あくまで「一つの例」として参考にし、不安が強くなる場合には閲覧を控えることも選択肢に入れてください。
不安が強い時期の「情報断ち」のすすめ
どうしても不安が強い時期には、思い切って「情報断ち」をしてみるのも一つの方法です。
例えば、
寝る前の検索やSNSチェックをやめる
検査結果待ちの間は、妊娠・障害に関する検索を控える
特定のワード(「障害」「ダウン症」など)での検索を一時的にしない
といった、自分なりのルールを決めてみてください。
その分の時間を、
パートナーや家族とゆっくり話す
気分転換になるドラマ・映画・音楽などを楽しむ
体調が許す範囲で軽い散歩・ストレッチをする
といった、「心を休める時間」に使えると良いでしょう。
もし障害のある赤ちゃんだったら…生活と支援制度のイメージ
障害のある子どもと家族の暮らしの実際(概要)
「もし障害のある子どもだったら」と考えると、
経済的な負担
育児の大変さ
きょうだいへの影響
親の老後
など、さまざまな不安が一度に押し寄せてくるかもしれません。
実際には、障害のある子どもと家族の暮らし方は多様です。
地域で普通に暮らしながら、療育や通所施設を利用しているご家庭
保健師・療育のスタッフ・ヘルパー・学校の先生など、多くの支援者と一緒に子育てしているご家庭
など、「家族だけで抱え込まず、社会の仕組みを活用しながら暮らしている」事例が数多くあります。
「すべてを自分たちだけで背負う」という発想から、「支援者と一緒に子育てしていく」というイメージに、少しずつ視点を広げていただければと思います。
利用できる主な支援制度・サービスの例
制度の名称や対象、条件は自治体によって異なりますが、例えば次のような支援があります。
医療費に関する支援
乳幼児医療費助成
重度心身障害児の医療費助成 など
日常生活・発達を支える支援
児童発達支援(未就学児の療育)
放課後等デイサービス(学齢期の放課後支援)
訪問ヘルパー・ショートステイ(家族の休息・支援)
経済的な支援
障害児福祉手当
特別児童扶養手当 など
これらの制度により、「家族だけでは対応しきれない部分」を社会全体で支える仕組みが整えられています。妊娠中の段階では、ここまで詳しく覚える必要はありませんが、「もしものときに頼れる制度がある」というイメージだけでも持っておくと、不安がやや和らぐことがあります。
「今は決めなくていいこと」もたくさんある、という視点
妊娠中の今の段階で、
「どんな障害でも必ずこうする」「こうしない」と全て決めておく
将来の進学や就労、自分たちの老後まで詳細にシミュレーションする
必要はありません。
障害の種類や程度、地域の支援状況、ご家族の体調や仕事の状況などによって、現実的な選択肢は変わります。「もしそうなったときに、その時点で得られる情報や支援者と一緒に考えていく」というスタンスでも良いのです。
「今は、『不安を抱えながらも、今日を何とか過ごす』ことに集中してよい」という視点も、ぜひ大切にしていただければと思います。
よくある質問(FAQ)
エコーで「順調」と言われているのに不安が消えません
エコーで「順調です」と言われているのは、とても大きな安心材料です。医師は、赤ちゃんの大きさや臓器の形、心拍など多くの項目を確認したうえで、そのように説明しています。
ただし、どの検査にも限界があるため、「順調=すべての先天異常が完全に否定された」という意味ではありません。そのことが、かえって不安を強めることもあるかもしれません。
それでも、
現時点で見える範囲では大きな問題がない
追加検査が必要であれば、医師から説明がある
という事実は、確かな安心材料です。
どうしても不安が消えない場合、「順調と言われたとき、具体的にどういう点が問題ないと判断されたのか」を主治医に聞いてみると、少し受け止め方が変わることがあります。
知恵袋で怖い体験談を見てしまい、頭から離れません
ショッキングな体験談は、感情を伴って強く記憶に残りやすく、「自分も同じ状況になるのでは」と感じてしまいがちです。
まずは、「それはその方個人のケースであり、すべての妊婦さんに起こることではない」と意識してみてください。
「怖いと感じた」「ショックだった」という気持ちを、信頼できる人や助産師などに話してみると、少し気持ちが整理されることがあります。
それでも頭から離れない場合には、一度「知恵袋やSNSを見るのをやめる期間」を決めてみるのも有効です。
不安が赤ちゃんに悪影響になると聞いて、さらに不安です
「妊娠中のストレスや不安が赤ちゃんに影響する」という話を聞くと、「不安になってはいけない」と自分を追い詰めてしまう方も多いです。
研究では、強いストレスやうつ状態が長く続くと、早産や低出生体重などのリスクがやや高まる可能性が示されていますが、これは「必ずそうなる」という意味ではなく、「リスクが少し上がり得る」というレベルの話です。
「不安になってしまったこと」そのものよりも、
つらい状態が続いているのに誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまうこと
のほうが問題になりやすいとされています。
「最近つらい」「涙が止まらない日が多い」と感じたら、それは「誰かに相談してよいサイン」と考えていただき、早めに産科のスタッフや専門機関に相談されることをおすすめいたします。
検査を受けない選択をした自分は無責任でしょうか?
検査を受ける・受けないは、どちらも簡単な決断ではありません。検査を受けない選択をした場合でも、
情報を集めたうえで
パートナーなどと話し合い
自分たちなりの価値観に基づいて決めた
のであれば、それは「真剣に考えた結果の選択」であり、無責任とはいえません。
ただ、「本当はまだ迷いが残っている」「パートナーと十分に話し合えていない」と感じる場合には、主治医や遺伝カウンセリングなど専門家を交えて、改めて整理する機会を持つことも可能です。