朝起きたときやメイクを落としたとき、目から白い糸のような目やにがスーッと伸びて出てきて、「え、なにこれ……」と驚いたご経験はないでしょうか。
インターネットで調べるうちに不安になり、「目やに 白い糸 知恵袋」と検索して、他の人の質問や回答を読み漁ってしまう方も少なくありません。
白い糸状の目やには、アレルギー性結膜炎をはじめとした目の病気でよく見られる症状の一つです。一方で、コンタクトレンズやメイク、クレンジングなど日常の刺激が関わっている場合もあります。
本記事では、次のポイントを分かりやすく整理いたします。
白い糸状の目やにの正体と、正常な目やにとの違い
考えられる主な原因(アレルギー性結膜炎・細菌性/ウイルス性結膜炎・ドライアイ・涙道の異常など)
「今すぐ受診した方がよい危険なサイン」と「数日以内に受診を検討したいサイン」
受診までに自分でできる正しいケアと、やってはいけないNG行動
知恵袋などのネット情報との、上手な付き合い方
なお、ここでお伝えする内容は一般的な医学情報であり、特定の症状に対する診断や治療方針を決めるものではありません。少しでも不安がある場合や、後述する危険なサインがある場合は、自己判断に頼らず眼科を受診することを強くおすすめいたします。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
白い糸状の目やには、アレルギー性結膜炎やドライアイ、コンタクト・メイクによる刺激、涙道の異常などさまざまな原因で起こりえます。
黄白色〜黄緑色でドロドロした目やに、強い痛み・視力低下・まぶたの腫れを伴う場合は、細菌性結膜炎など重い病気の可能性があり、できるだけ早く眼科を受診すべきです。
症状が軽く見えても、数日以上続く白い糸状の目やにや、子どもの症状は、自己判断せず受診を検討してください。
受診までの間は、目をこすらない・コンタクトやアイメイクを中止する・タオルを共有しないなど、正しいセルフケアとNG行動の回避が重要です。
知恵袋などのQ&Aサイトは、「同じ症状の人がいる」と知る上では有用ですが、最終的な判断をネット情報だけに任せるのは危険です。不安があれば、遠慮なく眼科の専門家に相談しましょう。
白い糸状の目やにの正体とメカニズム(基礎知識)
そもそも目やに(眼脂)とは?
目やには、医学的には「眼脂(がんし)」と呼ばれます。
目の表面の老廃物
涙や結膜からの分泌物
ほこりや花粉などの異物
といったものが混ざり合い、固まったものが目やにです。
健康な方でも、寝ている間に分泌物が少し溜まり、起床時に目頭や目尻に少量の目やにがついているのは正常な現象です。
白い・糸を引く・ネバネバの目やにの特徴
問題になるのは、目やにの量・色・粘り気がいつもと明らかに違う場合です。
白い糸状の目やには、次のような性状を示します。
色:白〜やや透明
状態:ネバネバしており、指でつまむと糸を引くように伸びる
量:まばらに出る場合もあれば、何度も出てくる場合もある
一般的には、白色〜透明で糸を引くようなネバネバした目やには、アレルギー性結膜炎で見られやすい目やにの一つとされています。ただし、同じような見た目でも、細菌性結膜炎など他の病気が隠れていることもありますので、「白い糸=必ずアレルギー」と決めつけることは危険です。
正常な目やにと、受診を考えるべき目やにの違い
目やにの状態を判断する際は、次のポイントを総合的に見ていきます。
量(急に増えていないか)
色(透明/白/黄色/緑色/血が混じる など)
粘り気(サラサラ/ネバネバ/ドロドロ)
におい(強いにおいがするか)
随伴症状(かゆみ・痛み・充血・まぶしさ・視力低下・まぶたの腫れ など)
以下に、ざっくりとした目安を示します。
| 項目 | 正常な目やにの目安 | 受診を検討すべき目やにの目安 |
|---|---|---|
| 出るタイミング | 主に起床時に少量だけ | 一日を通して何度も出る/急に量が増えた |
| 色 | 白〜やや透明で少量 | 黄色・緑色・血が混じる/黄白色で膿のよう |
| 粘り気 | サラサラ〜ややネバネバ | ベッタリとくっつく/糸を引くほど粘り、量も多い |
| 随伴症状 | 特になし | 強いかゆみ、痛み、充血、まぶたの腫れ、視力低下などを伴う |
| 持続期間 | 1日〜数日程度で自然に落ち着く | 数日以上続く・徐々に悪化している |
あくまで目安ではありますが、表の右側に当てはまる項目が増えるほど、受診を検討すべき度合いが高まると考えてください。
白い糸状の目やにで考えられる主な原因
ここからは、白い糸状の目やにが出るときに考えられる代表的な原因を整理していきます。
アレルギー性結膜炎・春季カタルなど
花粉・ハウスダスト・動物の毛・コンタクトレンズの保存液成分などが原因で、アレルギー性結膜炎を起こすことがあります。
特徴としては、
白い糸を引くような目やに
強いかゆみ
充血
まぶたの腫れ
などが挙げられます。重症の春季カタルでは、白い糸状の目やにが増え、痛みや強いかゆみを伴うこともあります。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎は、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌、淋菌などの細菌が目に感染することで起こります。
特徴は、
黄白色〜黄緑色でドロッとした目やに
朝、まぶたがくっついて目が開けにくい
充血
まぶたの腫れ
などです。白い糸状に見える目やにでも、よく見ると黄白色が混じっていたり、量が多かったりする場合には、細菌性結膜炎が疑われることがあります。性行為で感染する淋菌による結膜炎では、大量の膿が出て重症化し、放置により角膜潰瘍から視力障害をきたすこともあります。
ウイルス性結膜炎(はやり目など)
いわゆる「はやり目」と呼ばれるウイルス性結膜炎(流行性角結膜炎など)では、
サラサラした水っぽい目やにがたくさん出る
強い充血
まぶたの腫れ
異物感(ゴロゴロ)
などの症状が現れます。感染力が非常に強く、タオルや手指を介して家族や職場・学校に広がる可能性があります。
ドライアイ・コンタクトレンズ・メイク・クレンジングによる刺激
白い糸状の目やにが、クレンジングやアイメイクを落とすタイミングでよく出るという相談も多く見られます。
考えられる要因としては、
クレンジング剤やメイクが目の中に入り、刺激となって分泌物が増える
コンタクトレンズの装用で角膜や結膜が軽く傷つき、分泌物が増える
ドライアイによって涙のバランスが崩れ、ネバネバした粘液が増える
などが挙げられます。
この場合でも、刺激性結膜炎やドライアイの悪化などが背景にあることが多く、長引くようであれば眼科での評価が望ましい状態です。
涙道の異常(鼻涙管狭窄症・涙嚢炎など)
涙の通り道(涙道)が狭くなったり詰まったりすると、涙や分泌物がうまく鼻の方に流れず、目のところに溜まってしまうことがあります。
鼻涙管狭窄症や涙嚢炎などの病気では、
白っぽい目やにがいつも出ている
涙が多く、常にうるんだような状態
まぶたや鼻の横が腫れて痛む(特に急性涙嚢炎)
といった症状が見られることがあります。
乳幼児の場合、先天性鼻涙管閉塞などが原因となることもあり、子どもの白い目やにが目立つ場合は早めの相談が推奨されます。
原因別・白い糸状の目やにの特徴比較表
| 原因の種類 | 目やにの色・状態 | 主な随伴症状 | 感染性 | 受診の目安 |
|---|---|---|---|---|
| アレルギー性結膜炎・春季カタル | 白〜透明、糸を引くネバネバ | 強いかゆみ、充血、まぶたの腫れ | なし | 数日続く/日常生活に支障→受診 |
| 細菌性結膜炎 | 黄白〜黄緑、ドロドロ、膿状 | 充血、痛み、まぶたの腫れ | あり(接触) | できるだけ早く受診 |
| ウイルス性結膜炎(はやり目) | 水っぽい/サラサラの目やに+充血 | 強い充血、異物感、涙目 | 非常に強い | すぐ受診(感染拡大防止が重要) |
| ドライアイ・刺激性結膜炎 | 白〜透明で糸状・ネバネバ | 乾燥感、ゴロゴロ感、疲れ目 | なし | 改善しなければ受診 |
| 涙道の異常 | 白っぽい目やにが慢性的に続く | 涙が多い、涙嚢部の痛み・腫れ等 | 状況による | 早めに眼科または専門医を受診 |
※自己判断で「これはアレルギーだ」「感染ではない」と決めつけるのは危険です。気になる症状が続く場合は、必ず眼科で相談してください。
こんな症状があればすぐ眼科へ:危険なサインと受診フローチャート
白い糸状の目やに自体は、緊急性の低いケースもありますが、以下のような症状を伴う場合は早急な受診が必要です。
救急レベル・できるだけ早く受診すべき症状
次のような症状があれば、速やかに眼科(時間帯によっては救急外来)に相談してください。
目が激しく痛む
視界が急にかすむ・視力が落ちた感覚がある
目が開かないほどの強い腫れがある
黄白色の膿のような目やにが大量に出る
高熱や強い倦怠感を伴っている
外傷(目をぶつけた・異物が入った)直後から症状が出た
淋菌性結膜炎など重い細菌感染では、放置すると角膜に穴が開き、失明につながることもあります。少しでも「おかしい」と感じた場合は、早めの受診が非常に重要です。
数日以内に受診を検討したい症状
緊急ではないものの、数日以内の受診をすすめたいケースは以下のとおりです。
白い糸状の目やにが数日以上続いている
かゆみ・充血・異物感が強くなっている
片目だけに症状が集中している
目やにの量が徐々に増えてきている
市販の点眼薬を使っても良くならない、むしろ悪化する
症状が軽く見えても、原因が感染症かどうかは自分では判断が難しいため、長引く場合は眼科で診てもらうことが安心です。
セルフチェック用チェックリスト
以下のチェックリストで、ご自身の状況を確認してみてください。
1つでもYESがあれば、眼科受診を強くおすすめいたします。
□ 目やにの量がここ数日で明らかに増えた
□ 目の痛み・しみる感じ・まぶしさがある
□ 視界がかすんだり、ものが見えにくく感じる
□ 目やにが原因で、朝目が開けにくい
□ まぶたやその周囲が腫れている
□ 家族・職場・学校など、周囲にも同じような症状の人がいる
□ コンタクトレンズを外しても症状が改善しない
□ 症状が出ているのが乳児・子どもである
受診までに自分でできる正しいケアとNG行動
清潔に保つための基本ケア
眼科を受診するまでの間、目の周りを清潔に保ちつつ、刺激を最小限にすることが大切です。
清潔なティッシュやガーゼで、目やにをそっと拭き取る
こすらず、そっと押さえるように
洗顔のときは、目をゴシゴシこすらず、ぬるま湯でやさしく流す
使い捨てのティッシュやコットンを使い、何度も同じ面を使い回さない
ただし、自己判断で目の中を洗浄したり、強い水流やシャワーを直接目に当てるのは避けてください。
やってはいけないこと
次のような行動は、症状の悪化や感染拡大の原因になります。
目を強くこする
炎症が悪化したり、角膜に傷がつくおそれがあります。
症状があるのに、コンタクトレンズを装用し続ける
アイメイク(アイライナー・マスカラ・ラメなど)を続ける
家族とタオル・ハンカチを共有する
以前処方された点眼薬を、自己判断で使い回す
特に感染性結膜炎の場合は、家族全員が同じタオルを使っていると、あっという間に広がる可能性があります。タオル・枕カバー・ハンカチなどは、しばらく「個別使用+こまめな洗濯」を意識しましょう。
コンタクト・メイクユーザー向けの注意点
症状がある間は、コンタクトレンズの使用を中止してください
アイメイクも一時的に控え、症状が落ち着くまで目を休ませることが重要です
レンズケースやメイク道具(ブラシ・チップなど)は、一度しっかり洗浄・交換を検討することをおすすめします
コンタクトやメイクの再開タイミングは、症状が完全におさまってから、できれば眼科医の確認を得たうえで決めていただくのが安全です。
知恵袋とどう付き合う?ネット情報の見方と注意点
知恵袋でよく見られる回答傾向
知恵袋には、実際に白い糸状の目やにを経験した方の生の声が多く集まっています。
「自分も同じように白い糸が出ましたが、数日で治りました」
「アレルギー性結膜炎でした。病院で点眼薬をもらったら楽になりました」
といった回答が並び、「自分だけじゃない」と感じられる点は大きなメリットです。
一方で、回答者は医師とは限らず、「様子見で問題ないと思います」といった根拠がはっきりしない助言も見られます。
ネット情報を鵜呑みにしないためのチェックポイント
ネットで目の症状を調べるときは、次のポイントを意識してください。
情報の発信者は誰か?
眼科医・医療機関・公的機関か、それとも一般の個人か
情報はいつ書かれたものか?
古い記事や回答は、現在の医療常識と合わないことがあります
医学的な根拠が示されているか?
「〜と書いてありました」だけで、元情報が不明なものは注意が必要です
知恵袋やSNSは、「同じような体験者がいる」という安心材料としては役立ちますが、最終的な判断は専門家(眼科医)の診察に委ねるべきです。
不安が強いときこそ専門家に相談すべき理由
目の病気の中には、放置すると視力障害や失明につながるものもあるため
本人の自覚症状だけでは、軽い炎症なのか重い病気なのかを見分けにくいため
結果として「特に重大な病気ではなかった」という確認も、大きな安心材料になるため
白い糸状の目やにが続いて不安なとき、「病院に行くほどではないかも」「恥ずかしい」と感じる必要は一切ありません。早めに相談することで、治療がシンプルで済むケースも多くなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 白い糸状の目やにだけで、他に症状がない場合も受診すべきですか?
痛みや強い充血、視力低下などがなければ、緊急性は低い可能性がありますが、数日以上続く場合は一度眼科で相談することをおすすめいたします。
原因が軽いドライアイや一時的な刺激であっても、アレルギー性結膜炎や涙道の異常が隠れている場合もあり、自己判断だけでは切り分けが難しいためです。
Q2. 子どもの目から白い糸のようなものが出るときの注意点は?
子どもの場合は、症状の進行が早いこともあり、大人より低いハードルで受診を考えるべきです。
目やにが多く、目が開けにくそう
白っぽい目やにが何度も出てくる
涙が多く、常にうるんだような目になっている
といった場合、先天性鼻涙管閉塞や感染性結膜炎などが関与している可能性もあるため、早めに眼科に相談してください。
Q3. 目やにが減ってきたら、もう受診しなくてもよいですか?
症状が完全に消え、視力や見え方に問題がなければ、緊急性は下がります。ただし、
症状がぶり返す
家族や周囲に同じ症状の人が出始めた
目の違和感が残っている
といった場合は、感染性結膜炎がきちんと治りきっていない可能性もあります。周囲への感染防止の観点からも、迷ったら眼科での確認をおすすめいたします。
Q4. 市販の目薬で様子を見てもいいのはどんなときですか?
一般的には、次のような条件を全て満たす場合に限り、「短期間、市販の人工涙液などで様子を見てもよい」と考えられることがあります。
軽い乾燥感や疲れ目程度で、痛み・強い充血・視力低下がない
目やにの量は少なく、色も白〜透明で、短期間で改善傾向がある
高熱や体のだるさを伴っていない
ただし、これはあくまで一般論であり、自己判断に頼りすぎるのは危険です。数日たっても改善しない、少しでも不安があれば眼科受診を優先してください。
Q5. コンタクトレンズはいつから再開してよいですか?
原則として、症状が完全になくなり、医師からの許可が出てから再開するのが安全です。
症状が残っている状態でコンタクトを再開すると、
症状の長期化・悪化
角膜炎や角膜潰瘍のリスク増大
などにつながるおそれがあります。特に感染性の結膜炎の場合は、医師と相談のうえ再開タイミングを決めるようにしてください。