交通事故のケガがなかなか良くならず、「後遺障害14級を申請したのに非該当だった」「知恵袋を見ると不安になるばかり…」と悩んでいませんか。
首や腰の痛み、しびれは続いているのに、「画像に異常がない」「事故が軽い」と言われてしまうと、本当に諦めるしかないのか分からなくなってしまいます。
本記事では、後遺障害14級が「認定されない」と判断されやすい典型パターンを整理したうえで、知恵袋などネット上の情報との付き合い方、そして被害者請求や異議申立てでまだできる対処法を、できるだけ分かりやすく解説いたします。
「自分のケースはどう考えるべきか」「今から何を準備すればよいか」を整理したい方は、まずは本記事の内容とセルフチェックを通じて、冷静に状況を見直すきっかけとしてご活用ください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
事故・通院・検査・診断書の状況を紙に書き出す
いつどこでどんな事故が起き、どの病院に、どのくらい通ったのかを整理します。
本記事の観点でセルフチェックを行う
事故態様・通院状況・検査・書類・症状の5つの観点から、不足している点を洗い出します。
必要に応じて、交通事故に詳しい専門家へ初回相談を検討する
非該当通知を受けた直後や、示談を迫られている場合は特に、早めの相談が有効です。
後遺障害認定の運用や、賠償額の目安は、社会状況や裁判例の蓄積などにより少しずつ変化していきます。古い情報に基づいて判断してしまうと、不利な結果を招くこともあり得ます。
情報を確認するときは、必ず「いつ書かれた記事なのか」をチェックする
公式機関・専門家サイトの情報を優先的に参照する
不安なときは一人で抱え込まず、家族や専門家に相談してみる
こうした姿勢を持つことで、納得のいくかたちで手続きや示談を進めやすくなります。
後遺障害14級と「認定されない」問題の全体像
後遺障害等級14級とは何か(自賠責の位置づけと典型例)
交通事故でケガを負い、治療を続けても痛みやしびれなどの症状が残ってしまった場合、「後遺障害等級」という仕組みを通じて、その残った障害が何級に当たるかを判断します。等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど重い障害を意味します。14級は、この中で最も軽い等級です。
14級に該当する典型例としては、次のようなものがあります。
軽度の外貌醜状(小さな傷跡など)
歯の一部喪失
手指や足指の一部機能障害
むちうち・しびれなどの軽度な神経症状 など
14級が認定されると、自賠責保険から後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われ、任意保険や弁護士基準での交渉においても、一定の上乗せが期待できる場合があります。
14級9号「局部に神経症状を残すもの」のイメージ
検索ニーズが特に集中しているのは、14級9号と呼ばれる区分です。これは、「局部に神経症状を残すもの」と定義され、具体的には次のようなケースが想定されます。
追突事故後の頚部痛(首の痛み)・肩こり・頭痛
腰椎捻挫後の腰痛
手足のしびれ・痛み など
ポイントは、被害者自身の自覚症状(痛み・しびれなど)と、それを裏付ける医学的・客観的な資料(検査結果・診察所見・通院状況など)を総合的に見て判断される、という点です。
「MRIなどの画像に異常がないと絶対に認定されない」と誤解されがちですが、実務上は、画像所見がなくても、神経学的検査の結果や継続的な通院状況、症状の一貫性などを踏まえて認定されるケースもあります。
「非該当」とは何を意味するのか(14級と0級の差)
後遺障害の申請をしたにもかかわらず、「後遺障害には該当しません」と判断された場合、これを一般に「非該当」と呼びます。非該当とは、簡単に言えば「どの等級にも当てはまらない=0級」という意味合いです。
非該当の場合、
後遺障害慰謝料は支払われない
逸失利益(将来の収入減に対する補償)も基本的には認められない
という扱いになります。そのため、14級が認定された場合と比べると、慰謝料や賠償金の総額に相応の差が生じる可能性があります。
もっとも、非該当だからと言って、あなたの痛みやしびれの存在自体が否定されたわけではありません。あくまで「自賠責保険の後遺障害等級としては認められなかった」という意味であり、その結果に納得がいかない場合には、異議申立てなど次のステップを検討する余地があります。
なぜ後遺障害14級が認定されないのか|典型的な5つの理由
症状が軽微と評価されるケース(張り・こり・違和感など)
認定されない典型パターンの一つが、「症状が軽微だと評価されるケース」です。診察時に、
「少し張る程度です」
「なんとなく違和感がある程度です」
といった表現で伝えていると、医学的には軽い症状として扱われ、14級に達しないと判断されることがあります。
本来は生活や仕事に支障が出ているにもかかわらず、遠慮や「大げさだと思われたくない」という心理から症状を軽く伝えてしまう方は少なくありません。その結果、診療録や診断書の記載も軽くなり、「軽微な症状」と評価されてしまうのです。
セルフチェックのポイント例
痛み・しびれで、日常生活のどんな動作に支障が出ているか具体的に説明できますか?
「張り・こり」といった表現で済ませていませんか?
症状の程度を10段階で表すとどのくらいか、医師に伝えていますか?
事故態様が軽微・因果関係が疑われるケース
次に多いのは、「事故態様が軽微だ」と評価されるケースです。たとえば、
バックでのごく軽い接触
ミラー同士の接触
低速での追突で、車両にほとんど損傷がない
といった場合、調査側から見ると「後遺障害が残るような強い衝撃だったのか?」という疑問が生じやすくなります。
このようなときは、単に「追突された」「当てられた」という説明だけでなく、
車両の損傷写真
修理見積書
事故当時の状況メモ など
を用意して、実際にはどの程度の衝撃だったのかを具体的に示していくことが重要になります。
画像所見・検査所見が不足しているケース
レントゲン・CT・MRIなどの画像検査や、ジャクソンテスト・スパーリングテストなどの神経学的検査は、症状の裏付けとなる重要な資料です。
そもそも検査を受けていない
レントゲンのみで、MRIなど詳しい検査を行っていない
神経学的検査の記録が残っていない
といった場合、痛みやしびれが訴えられていても、「客観的な資料が不足している」と見なされ、認定が難しくなることがあります。
もっとも、画像で明確な異常が出ていなくても、検査の有無や結果・通院状況などから総合判断される余地はあります。その意味でも、治療中の段階から医師と相談し、必要な検査を適切なタイミングで受けておくことが重要です。
通院期間・通院頻度が足りないケース
むちうち・しびれなどの神経症状で14級認定を目指す場合、一般に半年程度の通院期間が一つの目安とされることが多いとされています。
通院期間が極端に短い(数週間〜2〜3か月程度)
通院の間隔が空きがち(1か月以上空くなど)
症状が強いと主張しつつ通院がほとんどない
といったケースでは、「症状は軽く、すでに改善しているのではないか」と判断されやすくなります。
保険会社から治療費の打ち切りを打診され、やむを得ず短期で通院終了となっているケースも少なくありません。そのような場合には、
健康保険や労災保険を利用して通院を継続する
主治医と相談のうえ、必要な期間は通院を続ける
など、治療の実態がきちんと記録に残るよう工夫することが望ましいとされます。
後遺障害診断書など書類の不備・記載不足
後遺障害の審査は、最終的には「提出された書類」に基づいて行われます。中でも、主治医が作成する後遺障害診断書は、最も重要な資料の一つです。
自覚症状欄が簡単な一文のみで終わっている
医学的所見欄に検査結果が具体的に記載されていない
予後欄に将来への影響がほとんど書かれていない
実際の症状と診断書の内容にズレがある
といった場合、実際には症状が続いていても、「書類上は軽い」と評価されてしまうリスクがあります。
診断書はあくまで医師の裁量に属するものですが、
日常生活での支障(家事・仕事・育児等)を具体的に伝える
症状の程度や頻度を数値や具体例で説明する
記載内容に明らかな誤りがある場合は、丁寧に修正をお願いする
といった形で、診断書に症状が正確に反映されるようコミュニケーションを取ることが大切です。
知恵袋でよく見る誤解と、専門家から見た注意点
「14級はほとんど認定されない」は本当か
Yahoo!知恵袋などを見ていると、
「14級はほとんど認定されない」
「画像に異常がなければまず無理」
「運がよければ通るレベル」
といった投稿も少なくありません。そのため、「自分は最初から無理だったのでは」と落ち込んでしまう方も多いようです。
実務上、14級9号の認定は確かに簡単ではありません。しかし、だからと言って「ほとんど認定されない」というわけではなく、適切な検査・記録・書面が整っていれば認定されている事例も数多く存在します。
大切なのは、匿名の体験談をそのまま一般論と受け止めるのではなく、
その人の事故態様・通院状況・検査・診断書の内容はどうだったのか
自分のケースとどこが似ていて、どこが違うのか
といった点を冷静に見極めることです。
「画像異常がなければ絶対無理」という誤解
知恵袋などで特によく見られるのが、「MRIで異常がないと言われたから終わりだ」という声です。
確かに、骨折や椎間板ヘルニアなど画像で明確な異常が示されるケースは、認定上有利になります。一方で、14級9号については、画像異常がなくても、
神経学的検査で異常所見が認められる
治療中から症状の一貫した訴えが続いている
通院状況が継続的である
などを総合的に評価して認定されることがあります。
「画像が正常=絶対に無理」と決めつけてしまうと、本来取り得たはずの手段を自ら封じてしまうおそれがあります。画像所見の有無は大きな要素ではありますが、それだけで結論を出さず、全体の状況で判断する必要があるとお考えいただくのが適切です。
知恵袋の体験談を参考にするときの3つの注意点
知恵袋などの体験談は、他の被害者の声を知る上で参考になる部分もありますが、次のような注意が必要です。
前提条件が分からない
事故態様(追突なのか、側面衝突なのか)
通院期間・頻度
検査の有無 などが不明なまま書かれていることが多い
情報の更新性に限界がある
古い投稿の場合、現在の運用や実務傾向とずれている可能性があります。
制度や基準が改定されている可能性もあります。
感情が強い投稿ほど、極端なケースであることが多い
特に辛い結果に終わった方ほど、投稿する動機が強くなりがちです。
平均的なケースではなく、例外的なケースである可能性もあります。
体験談はあくまで「一つの事例」として参考に留め、公式情報や専門家による解説と必ずセットで確認することをおすすめいたします。
信頼できる情報源を見分けるポイント
ネット上の情報を参照する際には、次のポイントを確認するとよいでしょう。
発信元が公式機関(国交省・自賠責関連機関等)かどうか
弁護士・行政書士など、専門資格者が執筆・監修しているか
更新年月日が明記されているか
具体的な事例や根拠(法令・通達等)への言及があるか
これらを満たす情報ほど、一般論として信頼できる可能性が高いと考えられます。
自分のケースを整理するセルフチェックシート
事故態様・衝撃の大きさを整理する
まずは、事故がどのように起こったのか、次のような項目を整理してみてください。
事故の類型(追突・正面衝突・側面衝突・バック時など)
相手車両の大きさ(乗用車・トラック等)
速度や衝撃の感覚(停止中に後方から衝突、等)
車両の損傷程度(バンパーのみ/骨格まで損傷/全損等)
事故直後の自覚症状(その場で痛みが出たか)
この整理をもとに、物損写真や修理見積書などと合わせて提出すると、事故の大きさがより伝わりやすくなります。
通院状況・治療経過を振り返る
次に、通院状況を時系列で確認します。
事故から初診までの期間(日数)
通院開始から症状固定までのおおよその期間
1か月あたりの通院回数の目安
通院が途切れた期間(ブランク)があれば、その理由
ブランクがある場合は、
仕事が忙しかった
家事・育児で通院が難しかった
症状が一時的に軽くなったと感じた
など、その背景をメモしておくと、後で説明がしやすくなります。
検査・診断書・症状の一貫性を確認する
検査や診断書の状況も整理しましょう。
受けた検査の種類(レントゲン/CT/MRI/神経学的検査など)
検査結果の有無・内容(異常あり/特に異常なし)
後遺障害診断書が作成されているか
医師に伝えた症状と診断書の記載内容にズレがないか
「診断書には『軽度の違和感』と書かれているが、実際にはもっと重かった」というような齟齬がある場合、そのままでは不利になりかねません。可能であれば、早めに医師に相談し、実情を踏まえた記載になっているか確認することが望ましいといえます。
セルフチェックの結果から見える「打てる手」の方向性
上記の内容を整理すると、
不足しているのは「検査」なのか
「通院期間・頻度」なのか
「診断書など書類」なのか
あるいは「事故態様の説明」が足りないのか
といったことが見えてきます。
今からでも補える部分がある場合(追加検査、診療情報提供書の取得、陳述書の作成など)は、それを具体的なアクションに落とし込みます。セルフチェック結果を整理しておくと、専門家に相談する際にも、状況を短時間で正確に伝えやすくなります。
非該当でもまだできること|被害者請求と異議申立ての基本
事前認定と被害者請求の違い
後遺障害の申請には大きく分けて、
保険会社任せの「事前認定」
自ら資料を揃える「被害者請求」
の二つの方法があります。
事前認定
相手方保険会社が必要書類を集め、自賠責に提出してくれる方式
被害者側の手間は少ないが、どのような資料が出されたか分かりにくい
必ずしも被害者に有利な資料・主張が尽くされているとは限らない
被害者請求
被害者自身(または代理人)が、必要書類を揃えて自賠責に直接請求する方式
手間はかかるものの、どのような資料を提出するか自分で選べる
自分の症状や事故状況を詳しく説明する資料を添付でき、手続きの透明性が高い
事前認定で非該当となったケースでも、被害者請求に切り替えて異議申立てを行うことで、内容の充実した資料を提出し直すことが可能な場合があります。
異議申立ての流れと必要書類
「非該当」の結果に納得がいかない場合、原則として異議申立てを行うことができます。一般的な流れは次のとおりです。
非該当の理由を確認する(理由書・照会書の内容)
不足していたと考えられる資料・検査・説明を洗い出す
必要に応じて追加検査・診断書の追記を依頼する
異議申立書を作成し、新たな資料とともに提出する
自賠責側で再審査が行われ、結果が通知される
必要書類の例としては、
後遺障害診断書
画像や検査結果の報告書
通院経過が分かる診療報酬明細書など
事故状況・症状の経過をまとめた本人の陳述書
物損資料(写真・修理見積書など)
が挙げられます。異議申立ては一度きりと決まっているわけではありませんが、同じ内容を繰り返し提出しても結果が変わる可能性は高くありません。どこを補強するのかを明確にしたうえで行うことが重要です。
医師に協力を依頼する際の伝え方
異議申立てを行うにあたっては、医師の協力が欠かせません。ただし、
「このように書いてください」と具体的な文言を要求する
認定のためだけに症状を強調してほしいと頼む
といった方法は、医師の立場からすると受け入れがたい場合が多く、信頼関係を損ねるおそれもあります。
望ましい伝え方としては、
日常生活で困っている具体的な場面を、冷静に・事実ベースで説明する
症状の程度や頻度を数字(10段階など)で伝える
診断書の記載内容に事実と違う点があれば、そのズレを丁寧に説明し、修正の可否を相談する
といった形が挙げられます。あくまで「事実に基づいて正確な記載をお願いする」というスタンスが大切です。
自分で行う場合と専門家に依頼する場合の比較
異議申立てや被害者請求は、法律上は被害者本人が行うことも可能です。ただし、
どの資料が重要なのか
どのように主張を組み立てるか
どのタイミングでどこに提出するか
といった点は、どうしても専門的な知識が必要になります。
自分で行うメリット
費用負担を抑えられる
自分のペースで準備できる
自分で行うデメリット
情報収集・書面作成に多くの時間と労力がかかる
重要なポイントを見落としてしまうリスクがある
専門家に依頼するメリット
多数の事例に基づくノウハウを活用できる
必要資料の整理・書面作成を任せられる
保険会社との交渉も含めて一括でサポートしてもらえる場合がある
専門家に依頼するデメリット
費用負担(着手金・成功報酬など)が発生する
事務所選びを誤ると、期待したほどのサポートが得られない可能性もある
中間案として、「書類のチェックだけ専門家に依頼する」「初回面談で見通しだけ聞き、方針を決める」といった使い方も考えられます。
14級認定の有無でいくら変わる?慰謝料・賠償金の比較
自賠責基準における14級の目安額
自賠責保険における後遺障害の支払限度額は等級ごとに定められており、14級は、重い等級と比べると金額は小さいものの、非該当と比べれば明確な上乗せがあります。
ここでは具体的な金額の数字そのものよりも、
14級が認定されるかどうかで、後遺障害慰謝料が「あるか・ないか」が変わる
場合によっては、逸失利益(将来の収入減に対する補償)も加わり得る
という構造を押さえていただくことが重要です。
弁護士基準を踏まえた賠償金イメージ
弁護士が示談交渉や訴訟で用いる「弁護士基準」(裁判例をベースとした基準)では、自賠責基準よりも後遺障害慰謝料の金額が高く設定される傾向にあります。
自賠責基準:最低限の補償
弁護士基準:裁判所が認める水準に近い補償
というイメージで捉えると分かりやすいでしょう。
14級が認定された場合には、
後遺障害慰謝料
逸失利益
それ以外の損害(治療費・休業損害・通院慰謝料など)
を総合した賠償金の合計額が、非該当の場合より増加する可能性があります。
非該当のまま示談した場合のリスク
非該当のまま示談してしまうと、基本的には「後遺障害がない前提」で示談金が計算されます。つまり、
今後も続くであろう痛みやしびれ
仕事・家事への長期的な影響
に対する補償が十分になされないまま、最終的な合意をしてしまうおそれがあります。
一度示談が成立すると、原則として後から「やっぱり後遺障害があった」と言っても、やり直すことは難しいのが実務上の運用です。そのため、非該当通知を受けた直後に示談を急がされている場合は、特に慎重な判断が求められます。
費用対効果の視点で「どこまで争うか」を考える
もっとも、どのケースでも必ず異議申立てを行うべきかというと、そうとは限りません。
追加で用意できる資料がほとんどない
症状がかなり改善しており、後遺障害として主張するか迷っている
時間や精神的負担を大きくかけられない事情がある
といった場合には、「一定の条件で妥協する」選択肢も現実的です。
大切なのは、
14級認定で期待できる増額幅(おおよそのレンジ)
異議申立てや交渉に要する時間・労力・費用
を比較し、ご自身とご家族の状況に照らしてどこまで取り組むかを決めることです。その判断材料を得るためにも、一度専門家に「このケースならどの程度のメリットが見込めるか」を確認してみる価値があります。
専門家に相談すべきケースとタイミング
早めに相談した方がよいサイン
次のような場合には、比較的早めの段階で専門家への相談を検討する価値があります。
保険会社から治療費の打ち切りを急かされているが、痛み・しびれが残っている
非該当通知を受けたが、理由書を読んでも納得できない・内容が理解できない
主治医とコミュニケーションがうまくいかず、診断書の内容に不安がある
知恵袋などの情報を読みすぎて、何を信じてよいか分からなくなっている
これらに心当たりがある場合は、一人で抱え込むよりも、早めに事情を説明して方針の提案を受ける方が、結果的に負担が小さくなることも少なくありません。
相談前に整理しておきたい情報・資料
専門家相談を有意義なものにするために、事前に次のような事項を整理しておくとよいでしょう。
事故日・事故の場所・事故態様(簡単なメモで構いません)
通院した病院名・診療科・通院期間
受けた検査の種類(レントゲン/CT/MRI/その他)
後遺障害診断書の有無
非該当通知の有無・日時
仕事や家事への具体的な支障内容
これらが整理されていると、専門家側も短時間で状況を把握し、より的確なコメントをしやすくなります。
弁護士・行政書士に依頼するメリット・デメリット
弁護士や行政書士に依頼する主なメリットは次のとおりです。
多数の事例に基づく経験から、認定の可能性・方針を具体的に示してもらえる
必要な資料の洗い出しや、医師への依頼方法など、実務的なアドバイスが得られる
書面作成・保険会社との折衝を任せられるため、精神的負担が軽くなる
一方で、
費用(着手金・成功報酬・実費等)が発生する
事務所によって得意・不得意分野があり、選定には注意が必要
といったデメリットもあります。費用面については、初回相談時に必ず具体的な説明を受け、納得したうえで契約することが大切です。
費用の考え方とトラブルを避けるポイント
費用に関するトラブルを避けるために、少なくとも次の点を確認しておくべきです。
着手金・報酬金・実費の有無と、その金額又は計算方法
成功報酬の対象となる「成功」とは何か(等級認定だけか、増額幅も含むか)
途中解約の際の費用
見込みと異なる結果になった場合の取り扱い
これらは通常、委任契約書や重要事項説明書に記載されますので、口頭説明だけでなく書面でも確認し、疑問点があればその場で質問しておくことをおすすめいたします。
よくある質問(FAQ)
一度非該当でも、どのくらいの確率で覆りますか?
「どのくらいの確率で認定されますか?」というご質問をよく耳にしますが、実務上、一律の数字を示すことは困難です。
事故態様
通院状況
検査結果
診断書の内容
追加で提出できる資料の有無
などによって、結果は大きく変わるためです。
重要なのは、「非該当であれば必ず諦めるべき」というわけでも、「異議申立てをすれば必ず覆る」というわけでもないことです。セルフチェックや専門家の助言を通じて、自分のケースでどの程度の可能性があるのかを個別に評価してもらうことが現実的なアプローチとなります。
主治医が非協力的な場合はどうすればよいですか?
主治医も多忙であり、また、後遺障害認定を前提とした診断書作成には一定の負担が伴うため、
診断書をなかなか書いてもらえない
記載内容が簡略になってしまう
といったケースは珍しくありません。
そのような場合でも、
現在困っていることを具体的な事実として冷静に説明する
「認定のために」というより、「自分の症状を正確に伝えたい」というスタンスを共有する
ことで、コミュニケーションが改善することがあります。
どうしても難しい場合は、
別の医療機関でセカンドオピニオンを受ける
専門家に間に入ってもらい、ポイントを整理したうえで医師に依頼する
といった方法も選択肢となります。
地方在住でもサポートを受けられますか?
近年は、オンライン会議や電話相談、メール・チャット等を活用して、遠方の被害者をサポートする事務所も増えています。
初回相談のみオンライン
書類のやり取りは郵送・メール
医療機関への通院は地元で行い、書類作成や戦略立案を遠隔で依頼
といった形で、地方在住の方でもサポートを受けやすい環境が整いつつあります。
痛みが軽くなってきているが、それでも申請すべきですか?
症状が事故当初より軽くなってきていると、「もう申請するほどではないのでは」と迷われる方も多くいらっしゃいます。
後遺障害の考え方では、
完全に治った=治癒
一定程度症状が残っているが、それ以上の改善が見込めない状態=症状固定
と整理されるのが一般的です。痛みが軽減していても、
同じ姿勢を続けると強く痛む
天候や疲労により症状がぶり返す
特定の動作に制限が残っている
といった場合には、後遺障害として評価される余地があり得ます。
もっとも、申請すること自体が時間や労力を要する手続きであるため、
残存症状の程度
日常生活・仕事への影響
将来への不安の程度
などを総合的に考え、専門家の意見も踏まえて判断することが望ましいと言えます。