家具家電付き賃貸は本当にやめとけ？損する人・得する人の違いとチェックポイント

一人暮らしや単身赴任の部屋探しをしていると、必ずと言っていいほど目に入る「家具家電付き物件」。
「スーツケース一つで新生活スタート」「初期費用を大幅カット」など魅力的な言葉が並ぶ一方で、ネットやSNSでは「家具家電付きはやめとけ」「思ったより損だった」という声も多く見かけます。

家賃は本当に割高なのか、自分で家具家電を買った方が良いのか、何年住むならどちらが得なのか──。
さらに、備え付けの家具家電が「汚い」「すぐ壊れた」「退去時に高額請求された」といった体験談を目にすると、「本当に契約して大丈夫なのか？」と不安になるのは当然のことです。

本記事では、こうしたモヤモヤを数字と具体例で一つずつ整理しながら、「家具家電付きはやめておくべきケース」と「むしろ選んだ方が良いケース」を明確に切り分けます。家賃と購入費の簡易比較はもちろん、内見・契約時にチェックすべきポイント、トラブルを防ぐための実務的なコツまで、初めての一人暮らしの方でも迷わず判断できるよう丁寧に解説いたします。

「なんとなく不安だからやめておく」のではなく、「自分の条件ならこう判断できる」と胸を張って選べるようになることが、本記事のゴールです。家具家電付き物件に少しでも興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

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家具家電付き賃貸とは？やめとけと言われる背景

家具家電付き賃貸の基本的な仕組み

家具家電付き賃貸とは、入居時点で生活に必要な主要な家具・家電があらかじめ備え付けられている賃貸物件のことです。多くの場合、通常の賃貸物件と比べて「スーツケース一つで生活を始められる」ことを売りにしています。

一般的な家具家電付き物件では、以下のようなものがセットになっていることが多いです。

• ベッド・マットレス

• テーブル・椅子

• 冷蔵庫

• 洗濯機

• 電子レンジ

• 照明器具

• カーテン

ただし、何がどこまで含まれているかは物件によって大きく異なります。掃除機や炊飯器、細かなキッチン用品などは付いておらず、自分で用意する必要があるケースも多いです。

一般的についている家具・家電の種類

具体的には、次のように分類できます。

家具の例

• ベッド（シングルベッド＋マットレス）

• テーブル・デスク

• 椅子

• 収納棚、クローゼット用ラック

• カーテン

家電の例

• 冷蔵庫

• 洗濯機

• 電子レンジ

• IHコンロまたはガスコンロ

• エアコン（これは通常物件でもほぼ標準）

• 照明器具

「家具家電付き」とあっても、テレビや掃除機、炊飯器などが必ずしも付いているとは限りません。内見や募集図面で「どれが備え付けで、どれが自分で用意する必要があるのか」を必ず確認しておくことが重要です。

「やめとけ」という口コミが多い主な理由

インターネットやSNSで「家具家電付きはやめとけ」という声が多い理由は、主に次のようなポイントに集約されます。

• 通常物件より家賃が割高になりやすい

• 家具家電の性能・デザインを自分で選べない

• 中古品が多く、汚れや衛生面が気になる場合がある

• 故障時の修理費や対応でトラブルになりやすい

• 長く住むとトータルコストが高くなりやすい

つまり、「必ず失敗する物件」というわけではなく、条件や選び方によって損をしやすい物件タイプであることが、「やめとけ」という強い表現につながっていると考えられます。

家具家電付きは本当に損？費用と家賃の仕組み

通常物件より家賃が高くなる理由

家具家電付き物件は、同じエリア・間取り・築年数の通常物件と比べて、家賃が1〜3割程度高く設定されていることが一般的です。これは、

• オーナー・管理会社が家具家電を購入する費用

• 故障や破損に備えた修理・交換費用

• 入退去のたびのクリーニングや入れ替えの手間

といったコストが、あらかじめ家賃に上乗せされているためです。

そのため、家賃だけを見ると「高い」と感じられやすい一方で、初期費用や処分費まで含めて考えると、短期〜中期では必ずしも割高とは言い切れないケースもあります。

居住期間別：何年住むと割高になりやすいか

ざっくりとした目安としては、以下のように考えられます。

• 半年〜1年程度の短期滞在：家具家電付きが有利なことが多い

• 1〜2年程度の中期滞在：条件によってはどちらもあり得るゾーン

• 3年以上の長期滞在：自前で家具家電を購入した方が安くなることが多い

家具や家電にはある程度の耐用年数がありますので、3〜4年以上使う前提であれば、購入した方が結果的に安く済むケースがほとんどです。

家具家電を自前で揃えた場合とのざっくり費用比較（例）

一例として、以下のようなケースを考えます。

• 通常物件の家賃：月5.5万円

• 家具家電付き物件の家賃：月6.5万円（差額1万円）

• 自前で揃える家具家電一式：15万円程度（ベッド、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど）

この条件で、居住期間ごとの費用差を比較すると次のようになります。

実際には家賃差額や家具家電の価格は物件や選ぶ商品によって変わりますが、「居住期間」と「家賃差額」を掛け合わせて、ざっくりと損得をシミュレーションしておくことが大切です。

「やめとけ」と言われる主なデメリット7選

家賃が2〜3割高くなりやすい

先述の通り、家具家電付き物件は、同条件の通常物件と比べて家賃が2〜3割高いケースが一般的です。短期なら「家具家電のレンタル料」と割り切れますが、2年以上住むと割高感が強くなる傾向があります。

家具家電の性能・デザインを選べない

備え付けの家具家電は基本的に「選べない・替えられない」前提です。

• 洗濯機の容量が足りない

• ベッドのサイズや硬さが合わない

• 冷蔵庫が小さく、自炊派には不便

• インテリアのテイストが好みとかけ離れている

といった不満を感じる可能性があります。「最低限使えれば良い」という割り切りができない方にはストレスになりやすいポイントです。

中古品が多く、汚れ・衛生面が気になるケース

家具家電付き物件の家具・家電は、多くの場合、何人もの入居者が使い回している中古品です。

特に注意したいのは、

• マットレスのシミ・ヘタリ・ニオイ

• 冷蔵庫の中のカビ・ニオイ

• 洗濯機のカビや黒ずみ

• カーテンのカビやシミ

などです。内見時には、可能な限り目視で確認し、「気になるレベルかどうか」を自分の基準でチェックしておくことが重要です。

故障時の修理費・対応でトラブルになりやすい

家具家電が壊れた場合に、

• 誰が修理費を負担するのか

• どこまでが経年劣化で、どこからが入居者の過失なのか

といった点がトラブルになりやすいです。

契約書上、家具家電が「設備」として記載されていれば、通常はオーナー負担で修理・交換されます。一方「貸与」「無償貸与」といった扱いの場合、入居者負担と定められている契約もあります。

また、オーナー負担であっても、

• 連絡してから修理完了まで日数がかかる

• その間、冷蔵庫や洗濯機が使えない

といった実務的な困りごとが発生しやすい点も押さえておく必要があります。

レイアウト自由度が低く、模様替えしづらい

最初から家具が配置されているため、レイアウトの自由度が下がるというデメリットもあります。

• ベッドを別の位置に置きたいがスペース的に難しい

• 不要な家具をどかしたくても、撤去してもらえない

• 自分の家具を追加したら、部屋が狭くなった

インテリアやレイアウトにこだわりたい方にとっては、満足度が下がる要因となります。

ネット回線や設備仕様が固定されがち

家具家電付き物件では、インターネット回線も「建物一括導入」のような形で固定されている場合があります。その場合、

• 回線速度が遅くてもプロバイダ変更ができない

• 自分で好きな回線を契約できない

といった制約が出ることがあります。テレワークやオンライン授業が多い方は、事前に回線種別や速度の目安を確認しておくことが望ましいです。

長期居住だとトータルコストが割高になりやすい

家具家電のコストが家賃に含まれている以上、長く住めば住むほど差額が積み上がります。3〜4年以上の長期居住を前提とする場合、トータルで見ると自前で揃えた方が安くなるケースが大半であり、結果として「やっぱりやめておけばよかった」と後悔に繋がりやすくなります。

それでも家具家電付きが向いている人・やめた方がいい人

家具家電付きが向いている人の特徴

次のような条件に当てはまる方は、家具家電付き物件との相性が良いと言えます。

• 半年〜2年程度の短期〜中期滞在がほぼ確定している

• 初期費用をできるだけ抑えたい（進学したての学生・新社会人・留学生など）

• 引越しの準備や家具家電選びに時間をかけたくない

• インテリアへのこだわりはそこまで強くない

• 退去時の処分や売却の手間を極力減らしたい

特に、地方から都市部に出てくる学生や、期間が決まっている単身赴任者などにとっては、有力な選択肢となり得ます。

やめた方がいい人の特徴

一方、次のようなタイプの方は、家具家電付き物件は避けた方が無難なケースが多いです。

• 3年以上住む可能性が高い

• 家具・インテリアに強いこだわりがある

• 大容量冷蔵庫やドラム式洗濯機など、性能にこだわりたい

• 清潔さ・衛生面に非常に敏感

• 将来的に手持ちの家具を長く使い続けたいと考えている

このような場合は、通常物件を選び、自分で家具家電を揃えた方がコスパも満足度も高くなりやすいです。

ケース別の判断フローチャート（文章イメージ）

• 「2年以内に必ず引っ越す予定がある」
  → 家具家電付きも積極的に検討。家賃差額と購入費を比較し、有利な方を選ぶ。

• 「2〜3年くらい住むかもしれないがはっきりしない」
  → 家賃の差額 × 想定年数 と、家具家電購入費用をざっくり比較し、「どちらを選んでも大きな損にはならないライン」を狙う。

• 「3年以上は住む可能性が高い」
  → 原則として家具家電付きは避ける方向で検討。どうしても魅力がある物件の場合は、差額とメリットを冷静に天秤にかける。

失敗しない物件選び：内見・契約時のチェックリスト

内見時にチェックすべき家具家電のポイント

内見時には、次のチェックリストを手元に持ちながら確認すると安心です。

内見チェックリスト

• 冷蔵庫の中・パッキン部分にカビやニオイがないか

• 洗濯機の槽やゴムパッキンが黒ずんでいないか

• 電子レンジの内部に焦げ付きがないか

• マットレスにシミ・ヘタリ・異臭がないか

• カーテンにカビ・シミ・破れがないか

• 家電の年式・メーカー・型番が確認できるか

• エアコン・照明などは実際に電源を入れて動作確認できたか

気になる点があれば、その場で担当者に

• 入居までにクリーニングしてもらえるか

• 交換可能か

• どこまで対応してもらえるのか

を確認し、可能であればメールなどでやりとりを残しておくと安心です。

契約書で必ず確認すべき「設備」「貸与」「保証」

契約時には、以下のポイントを必ずチェックしてください。

• 家具家電が「設備」として記載されているか、「貸与」「無償貸与」となっているか

• 故障時の修理・交換費用は誰が負担するのか

• 経年劣化の場合、入居者負担になるのかどうか

• 交換・修理の対応フロー（どこに連絡するのか、何日程度かかるのか）

特に「設備」か「貸与」かによって、費用負担の考え方が大きく異なりますので、分からない場合は遠慮なく仲介会社や管理会社に質問することをおすすめいたします。

入居前にやっておくべき記録・写真の残し方

入居直後の状態をしっかり記録しておくことで、退去時のトラブルを大きく減らせます。

入居時の記録ポイント

• 備え付け家具家電の全体写真（傷や汚れが分かる距離で）

• 気になる傷・シミ・ヘコミなどのアップ写真

• 壁・床・天井・窓枠などのキズや汚れも撮影

• 撮影日が分かる状態でスマホに保存

• 「入居時点で存在していた傷・汚れ」として、写真を添付して管理会社にメールで共有

これにより、「あなたが汚した（壊した）」という誤解を防ぎやすくなります。

よくあるトラブルと対処法（トラブルシューティング）

入居直後に家電が壊れた／動作がおかしい場合

1. まずはコンセントが抜けていないか、ブレーカーが落ちていないかなど基本を確認する。

2. 不具合の状況を写真・動画で記録する。

3. 契約書で家具家電の扱い（設備／貸与）を確認する。

4. 管理会社・オーナーに連絡し、状況と記録を共有する。

5. 自分で修理業者を手配する前に、必ず指示を仰ぐ。

自己判断で業者を呼んでしまうと、費用負担を巡ってトラブルになる可能性がありますので注意が必要です。

汚れやニオイがひどかった場合の相談・交渉方法

• 汚れやニオイの状態を、なるべく分かりやすい写真・動画で記録する。

• 「どれくらい生活に支障があるのか」を具体的に伝える。

• 希望する対応（クリーニング・交換・家賃の一部減額など）を整理した上で相談する。

強く感情的に訴えるよりも、「どの部分がどの程度困っているのか」を冷静に説明した方が、相手も対応しやすくなります。

退去時に高額な修理費を請求された場合

• 請求内容の内訳と根拠（見積書・写真など）を必ず確認する。

• 入居時に撮影した写真やメールの記録を提示し、「既存の傷・汚れ」であることを説明する。

• 明らかに不当だと感じる場合は、消費生活センターなど公的な相談窓口も検討する。

ポイントは、感情論ではなく「記録」と「事実」に基づいて冷静に話し合うことです。

応用編：家具家電付きを上手に活用するコツ

必要なものだけ追加購入して快適度を上げる方法

家具家電付き物件でも、少しの工夫で快適度を高めることができます。

• 既存マットレスの上に、自分用のマットレスやトッパーを敷く

• 好みの照明や間接照明を追加して、部屋の雰囲気を変える

• 電気ケトル・炊飯器・掃除機など、小型家電を自分好みのものにする

「全てを一から揃えるのは大変だけれど、こだわりたい部分だけこだわる」というバランスの取り方も有効です。

サブスク家具・家電レンタルとの組み合わせ方

近年は、家具・家電を月額でレンタルできるサービスも増えています。家具家電付き物件と組み合わせることで、

• 標準の洗濯機に不満があれば、サブスクで高性能なものを追加

• テレビやオーディオ、ワークチェアなど、こだわりたいものだけレンタル

といった柔軟な選択が可能です。引越し時の処分や運搬の手間も抑えられるため、短期〜中期の滞在には相性が良い方法です。

次の引越しを見据えた契約期間・プランの考え方

家具家電付き物件を選ぶ際は、「次の引越し」のこともある程度イメージしておくと判断しやすくなります。

• 単身赴任の場合：会社の赴任期間や異動ルールを可能な範囲で確認

• 学生の場合：卒業時期、留学の予定、実家に戻るかどうかなどを考慮

• 契約条件：更新料の有無、中途解約時の違約金の有無をチェック

「最低でも何年はここにいるだろう」というざっくりした見通しが立つだけでも、家具家電付きが妥当かどうかを判断する大きな材料になります。

FAQ：家具家電付き賃貸でよくある質問

よくある質問と回答

Q1. 家具家電付きでも火災保険や家財保険は必要ですか？
A. 多くの物件で加入が必須です。備え付け家具家電とは別に、ご自身の衣類・パソコン・貴重品などは「家財」として補償対象に含める必要があります。

Q2. 付いている家具家電が不要な場合、撤去してもらえますか？
A. 物件や管理会社によって異なります。撤去不可のケースも多いため、不要な家具がある場合は、申込前・契約前に確認しておくことが重要です。

Q3. 故障が経年劣化か自分の過失か、どう判断されますか？
A. 使用年数や状態、故障状況などを総合的に見て判断されます。入居時の写真や、通常使用であることを説明できる材料があると、自身の過失ではないと主張しやすくなります。

Q4. 家具家電の型番や年式はどこまで確認できますか？
A. 内見時に型番ラベルや取扱説明書を見せてもらうことで確認できます。スペックが気になる方は、遠慮せず担当者に質問するとよいでしょう。

Q5. 家具家電付き物件でインターネット回線を自由に選べますか？
A. 建物一括導入の回線が入っている場合など、自由に選べないケースもあります。テレワークやオンライン授業が多い方は、申込前に「どの回線か」「速度の目安」は必ず確認しておくべきポイントです。

まとめ：『やめとけ』に振り回されず、自分の条件で判断しよう

記事の要点おさらい

• 家具家電付き賃貸は、家賃が1〜3割ほど高くなる代わりに、初期費用や手間が軽減される物件タイプです。

• 半年〜2年程度の短期〜中期滞在ではメリットが出やすく、3年以上の長期居住では割高になりやすい傾向があります。

• 「やめとけ」と言われる理由の多くは、家賃の割高感に加え、中古家具家電の汚れ・故障リスク、契約内容の理解不足によるトラブルに起因します。

今日からできる具体的なアクション

• 自分の「想定居住期間」をざっくりと数字で書き出してみる。

• 候補物件の家賃差額と、家具家電を自前で揃えた場合の費用を簡単に計算してみる。

• 内見・契約に行く際、本記事のチェックリストをメモして持参する。

こうした準備をしておくだけでも、感覚だけに頼らず、数字と具体的な条件に基づいて判断しやすくなります。

仕様変更や相場変動への注意喚起

家賃相場や家具家電の価格、サブスクサービスの料金、原状回復をめぐる実務運用などは、今後も変化していく可能性があります。

物件を選ぶ際には、不動産会社や公式サイトで最新の情報を確認しつつ、

• どのくらいの期間住む予定か

• どこまでインテリアや性能にこだわりたいか

という軸で冷静に比較検討していただくことをおすすめいたします。

本記事が、「家具家電付きはやめとけ」という言葉に振り回されず、ご自身にとって納得のいく住まい選びを行うための一助となれば幸いです。