接客や受付、電話対応で「少々お待ちください」を英語で言おうとして、とっさに「ジャストモーメント」と口にしてしまった――そんな経験はありませんか。意味は伝わりそうでも、冠詞や言い回しが少し違うだけで、英語では“雑に聞こえる”“命令っぽく聞こえる”ことがあります。特にお客様対応では、伝わるかどうか以上に「感じがよいか」「失礼に聞こえないか」が重要です。
本記事では、「ジャストモーメント(Just moment)」がなぜ不自然に聞こえやすいのかをはっきり整理したうえで、Just a moment, please. を軸に、店頭・レジ・混雑時・電話保留など場面別に“そのまま使える”テンプレをまとめました。さらに、Wait! や Hold on! のように避けたい表現、丁寧度の違いが一目で分かる比較、理由の添え方と戻る宣言のコツまで網羅しています。読み終えたころには、迷いが消え、現場で自然に口から出る「待ってください」の英語が手に入ります。
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ジャストモーメントは英語として正しいのか
「少々お待ちください」を英語で言いたいのに、とっさに口から出たのが「ジャストモーメント」。このカタカナ表現は、英語の感覚としてはかなり“惜しい”ところまで来ています。ただし、英語として自然に成立させるには、いくつか重要なポイントがあります。特に接客や電話対応のように、丁寧さと印象が大事な場面では、ほんの小さな差が「きちんとしている」「失礼に感じない」につながります。
この記事では、構成を変えずに、以下を徹底的に整理します。
「ジャストモーメント」はどこが惜しいのか、英語として何が正解なのか
失礼にならない「待ってください」表現の選び方
店頭・混雑時・レジ・電話など、現場でそのまま使えるテンプレ
NGになりやすい言い方と、その回避策
口から自然に出るようにする練習法
大切なのは、難しい文法を増やすことではなく、「安全で自然な型」を作り、どの場面でも迷わず出せるようにすることです。
ジャストモーメントが指す本来の形はJust a moment
まず押さえておきたいのは、カタカナの「ジャストモーメント」が多くの場合、英語の Just a moment を指しているという点です。英語では「moment(少しの間)」を名詞として成立させるために、通常 a(冠詞)が入ります。
正しい基本形:Just a moment.
さらに丁寧:Just a moment, please.
この a は「1つの短い時間」という感覚を作るための部品です。日本語には冠詞の概念がないため抜けやすいのですが、接客英語ではこの差が意外と目立ちます。「英語が母語ではない人」だと伝わる場面なら通じることもありますが、「丁寧に見せたい」場面ほど、自然な形に寄せるのが得策です。
また、Just a moment は万能ですが、状況によって次のように発展させると、よりプロらしく聞こえます。
Just a moment, please. I’ll check.(確認します)
Just a moment, please. I’ll be right back.(すぐ戻ります)
Just a moment, please. I’ll get someone to help you.(担当を呼びます)
「待ってください」だけで終わらず、次の行動を添えることで、相手の不安が一気に減ります。
Just momentはどう聞こえるか 通じるか
では、問題の「Just moment」はどうでしょうか。これは、英語の感覚では 冠詞が抜けた不自然な言い方 になりやすく、次のような印象につながることがあります。
片言っぽく聞こえる
急いでいて雑に聞こえる
言い慣れていない印象になる
接客の丁寧さより“作業感”が出る
もちろん、相手が状況を察してくれて意味を汲むことはあります。ただし接客や受付では、「意味が通じるか」だけでなく、「感じがよいか」「丁寧か」が重要です。英語における丁寧さは、語彙の難しさよりも 形の整い方 で出ることが多いので、ここを整えるだけで印象がぐっと良くなります。
最小の改善策は次の通りです。
「Just moment」→ Just a moment
さらに安全にするなら → Just a moment, please.
この2段階だけで、ほとんどの場面はカバーできます。
辞書が示すjust a momentの意味と使いどころ
Just a moment は、辞書でも「短い間待って」「ちょっと待って」の定番表現として扱われています。つまり、これはスラングでも特殊表現でもなく、誰にでも通じやすい“標準の待機依頼”です。
使いどころとしては、大きく次の2つがあります。
物理的に少し待たせる(確認、準備、取りに行く、会計処理など)
会話を少し止める(話を遮る、確認してから返事する、相手を制止する)
ただし接客では、2の「遮る」用途で使う場合、トーンが強いとぶっきらぼうに聞こえやすいので注意が必要です。接客での安全運用は、次のコツをセットにすることです。
please を添えて角を取る
理由を短く添えて安心させる
戻る宣言で放置感をなくす
この3点が揃うと、「待たされている」から「対応してもらっている」へ、相手の認識が変わります。
ジャストモーメントを丁寧に言う基本フレーズ集
ここでは、待機依頼の基本フレーズを「丁寧さ」と「使いやすさ」の観点で整理します。接客では、表現を増やしすぎると逆に迷うため、まずは 軸になる2〜3個 を確実にして、必要な場面だけバリエーションを足すのが理想です。
まずはこれだけで安全 Just a moment, please
現場で一番おすすめなのは、迷ったらこれを言うという“安全フレーズ”を固定することです。
Just a moment, please.(少々お待ちください)
短く、丁寧で、どんな場面でも破綻しにくいのが強みです。さらに接客らしくするなら、次の一言を足します。
Just a moment, please. I’ll check that for you.(確認します)
Just a moment, please. I’ll be right back.(すぐ戻ります)
Just a moment, please. I’ll get it for you.(お持ちします)
この「Just a moment, please + 次の行動」は、店頭・ホテル・クリニック受付・観光案内など、業種を問わず通用します。
言い方のコツは、急いでいる時ほどゆっくり言うことです。早口になると命令に聞こえたり、聞き取りづらくなったりします。短い英語ほど、落ち着いたトーンが効果的です。
もう少し丁寧 Please wait a moment
次に、より説明的で丁寧に聞こえるのがこちらです。
Please wait a moment.(少々お待ちください)
Just a moment よりも、「待ってもらう」という動作が明確になります。丁寧にしたい理由がある場面、たとえば「お願いごとを繰り返す時」や「相手が焦っている時」に効きます。
また、次のように “while” を付けると、自然に理由を組み込めます。
Please wait a moment while I check.(確認しますので少々お待ちください)
Please wait a moment while I prepare it.(準備しますので少々お待ちください)
「待ってください」だけよりも、「何をしているのか」が伝わるので、相手が納得しやすくなります。
最も丁寧 Could you wait a moment, please
さらに丁寧にするなら、依頼を柔らかくする Could you の型が便利です。
Could you wait a moment, please?(少々お待ちいただけますでしょうか)
これは、相手に選択の余地を与える言い方になり、丁寧さが上がります。次のような場面で特におすすめです。
クレーム気味で、相手が苛立っている
高齢の方など、丁寧さが安心材料になる
こちらのミスや遅延があり、相手に負担をかけている
電話で保留をお願いする直前
ただし、丁寧な表現ほど長くなるため、常用すると現場で詰まることがあります。実践的には次の使い分けがラクです。
基本:Just a moment, please.
丁寧に上げたい:Could you wait a moment, please?
“上げる時だけCould you” と決めると、迷いがなくなります。
ジャストモーメントの場面別テンプレ 接客でそのまま使える
ここでは、店頭やフロントなど「対面接客」を想定し、状況別にテンプレを用意します。覚え方はシンプルで、すべて次の型に寄せます。
待機依頼(Just a moment, please.)
理由(I’ll check / I’ll get / I’ll confirm.)
戻る宣言(I’ll be right back. / I’ll be with you shortly.)
この型を持っておくと、英語が得意でなくても“丁寧さ”を安定して出せます。
店頭で確認や在庫チェックをする時
在庫確認や仕様確認は、相手が「今どうなっているの?」と不安になりやすい状況です。理由を短く入れるのが最優先です。
基本テンプレ
Just a moment, please. I’ll check the stock.(在庫を確認します)
Please wait a moment while I check.(確認しますので少々お待ちください)
丁寧にする場合
Could you wait a moment, please? I’ll check the stock for you.
戻る宣言を添える
I’ll be right back.(すぐ戻ります)
I’ll be back in a moment.(少ししたら戻ります)
在庫確認が長引きそうなら、時間の目安を言えるとベストです。
It may take a couple of minutes.(2〜3分かかるかもしれません)
Thank you for your patience.(お待ちいただきありがとうございます)
“すみません” ばかりを繰り返すより、「対応している」ことを見せる言葉が効果的です。
レジや包装で手が離せない時
レジや包装中は、対応が“止まって見える”ため、相手のストレスが上がりやすい場面です。ここでは「今すぐは無理だが、必ず次に対応する」ことを明確にします。
基本テンプレ
Just a moment, please. I’ll be with you shortly.(まもなく対応します)
I’ll be with you in a moment.(すぐ伺います)
より丁寧
Thank you for waiting. I’ll be right with you.(お待ちいただきありがとうございます。すぐ対応します)
「待って」の一言だけだと命令に聞こえることがありますが、「対応する宣言」を入れると接客らしさが一気に上がります。
混雑時に順番対応する時
混雑時は、言葉選びよりも 説明の透明性 が重要です。「順番」「目安」「できるだけ早く」を短く入れます。
基本テンプレ
Just a moment, please. I’ll help the next customer.(次のお客様を対応します)
Please wait a moment. I’ll be with you as soon as I can.(できるだけ早く対応します)
目安が言えるなら
I’ll be with you in about two minutes.(2分ほどで伺います)
It will be about five minutes.(5分ほどかかります)
目安が言えない時に無理に言うのは危険です。外すと不信感が出ます。言えないなら「でき次第」型に寄せるのが安全です。
I’ll be with you shortly.
Thank you for your patience.
ジャストモーメントの電話対応 保留と戻る宣言
電話は顔が見えない分、「放置されている」と感じさせるリスクが高いです。そのため、対面以上に 保留の許可 と 戻った合図 が重要になります。電話対応の品質は、英語力よりも“型があるか”で決まります。
保留依頼 Could you hold for a moment, please
電話での「少々お待ちください」は、次のどれかに固定すると強いです。
Could you hold for a moment, please?(少々お待ちいただけますでしょうか)
Please hold for a moment.(少々お待ちください)
ここで大事なのは、いきなり保留にしないことです。日本語でも「少々お待ちください」と言ってから保留にするのと同じで、英語でもワンクッションがあるだけで印象が変わります。
さらに、保留理由を短く足すと丁寧さが上がります。
Could you hold for a moment, please? I’ll check that.(確認します)
Please hold for a moment. I’ll transfer your call.(おつなぎします)
相手が急いでいそうなら、時間の目安も効果的です。
It will take about a minute.(1分ほどです)
Thank you. I’ll be right back.(すぐ戻ります)
担当へ取り次ぐ I’ll connect you now
「担当へ回す」場面では、相手が不安になりやすいポイントが2つあります。
本当に担当につながるのか
どれくらい待つのか
そこで、短くでも“つなぐ宣言”を入れます。
基本テンプレ
Just a moment, please. I’ll connect you now.(おつなぎします)
Please hold. I’ll transfer your call.(転送します)
相手が部署名や担当名を言った場合は、復唱すると丁寧です。
Certainly. I’ll connect you to the reservations team.(予約担当につなぎます)
Let me transfer you to Mr. Tanaka.(田中におつなぎします)
復唱は、英語が完璧でなくても信頼を作ります。
戻る宣言 Thank you for waiting
保留から戻った瞬間が、電話の印象を決めます。ここを丁寧にすると、多少時間がかかっても不満が出にくくなります。
戻る時の定番
Thank you for waiting.(お待たせしました)
続けて「結果」や「次のアクション」を言うとスムーズです。
Thank you for waiting. I’ve confirmed it.(確認できました)
Thank you for waiting. I’ll connect you now.(おつなぎします)
Thank you for waiting. Unfortunately, we don’t have it in stock.(残念ながら在庫がありません)
ここで謝るより、「情報を持ち帰った」ことを示す方がプロらしく伝わります。
ジャストモーメントの言い換え 丁寧度比較とNG例
「少々お待ちください」には似た表現が多く、場面によっては同じ意味でも印象が変わります。ここでは、迷いやすい表現を“安全度”で整理し、避けたい言い方も明確にします。
One moment と Just a second の違い
どちらも「ちょっと待って」ですが、ニュアンスは異なります。
One moment, please.
丁寧で標準的。接客でも安心して使えます。短いのに整っているのが強みです。Just a second. / Just a sec.
かなりカジュアルで、仲の良い相手向けの響きがあります。接客で使うと「軽い」「雑」と取られる可能性があるため、基本は避け、親しみが許される場面だけに限定するのが無難です。
使い分けが不安なら、接客では One moment, please を採用し、Just a second は封印しておくくらいでも問題ありません。
Wait と Hold on は避けた方がよい場面
よくある失敗が、命令形の Wait! を使ってしまうことです。意味は伝わっても、接客では強く聞こえやすいです。特に、相手が目上、顧客、初対面の場合は避けた方が安心です。
避けたい:Wait!
置き換え:Just a moment, please.
さらに丁寧:Could you wait a moment, please?
また、Hold on は日常会話ではよく使われますが、仕事ではカジュアル寄りになります。電話対応では、次の方が安定します。
推奨:Please hold. / Could you hold for a moment, please?
要するに、「親しい相手」以外には、“please + 標準表現”に寄せるのが安全です。
失礼にしないコツ 理由と時間目安を添える
同じ「待ってください」でも、印象が良くなるかどうかは、次の2点で決まります。
理由を添える
戻る宣言をする(または時間目安を出す)
この2点が入るだけで、相手は「ただ待たされている」ではなく「対応のプロセスを待っている」と感じます。
丁寧度比較表(推奨度つき)
| 表現 | 丁寧度 | 推奨度 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| Just a moment, please. | 高 | ◎ | ほぼ万能 | できれば理由を添える |
| One moment, please. | 高 | ◎ | 受付・店頭・電話 | 短いが丁寧 |
| Please wait a moment. | 高 | ◎ | 丁寧に依頼したい時 | while を付けると強い |
| Could you wait a moment, please? | とても高 | ○ | クレーム・重要顧客 | 長いので“上げる時だけ” |
| I’ll be with you in a moment. | 高 | ◎ | レジ・混雑・順番待ち | 対応宣言に向く |
| Please hold for a moment. | 高 | ◎ | 電話の保留 | いきなり保留にしない |
| Hold on. | 低〜中 | △ | 親しい相手 | 接客だとカジュアル |
| Wait! | 低 | × | できれば使わない | 命令に聞こえやすい |
| Just moment. | 不自然 | × | 避けたい | a を入れて整える |
すぐ使える「理由」フレーズ集
I’ll check.(確認します)
I’ll confirm.(確認します/確かめます)
I’ll get it for you.(お持ちします)
I’ll ask my manager.(上長に確認します)
I’ll find out.(調べます)
すぐ使える「戻る宣言」フレーズ集
I’ll be right back.(すぐ戻ります)
I’ll be with you shortly.(まもなく対応します)
I’ll be right with you.(すぐ対応します)
Thank you for waiting.(お待たせしました)
これらを組み合わせるだけで、接客の英語は安定して“丁寧に聞こえる”ようになります。
ジャストモーメントが口から出るようになる練習法
知っていても出ない、が一番もったいないポイントです。接客英語は、試験の英語と違って「記憶」よりも「反射」が重要です。ここでは、短時間で反射を作る方法を紹介します。
発音の要点と区切り方
発音が完璧でなくても、次の点を守るだけで十分通じます。
Just a moment, please は、焦ると一塊になって聞こえづらくなります。
「Just / a / moment / please」と、4つに分けて言うイメージを持つと安定します。
特に moment は、日本語の「モーメント」よりも短く、語尾が軽く終わる感じです。ただし無理にネイティブっぽくするより、「聞き取りやすい速度」で言うことの方が重要です。
おすすめの練習:
勤務前に3回、次を“同じテンポ”で言うだけで、口が慣れてきます。
Just a moment, please.
Just a moment, please. I’ll check.
Just a moment, please. I’ll be right back.
3秒で出す型 一言+理由+戻る宣言
最短で強くなるのは、型を固定することです。以下を“完成形”として暗記してください。
Just a moment, please.
I’ll check that for you.
I’ll be right back.
このセットが口から出れば、ほとんどの現場トラブルは回避できます。理由の部分だけ差し替えれば応用も簡単です。
差し替え例
I’ll check the stock for you.(在庫)
I’ll confirm the reservation.(予約)
I’ll ask my manager.(上長確認)
I’ll get the menu.(メニューを取りに行く)
さらに混雑時は、戻る宣言を次に変えるだけでOKです。
I’ll be with you shortly.(まもなく対応します)
電話対応なら、この型に置き換えます。
Could you hold for a moment, please?
I’ll check that.
Thank you for waiting.
“場面ごとに完成形を1つ持つ”のが一番迷いません。
よくある言い間違いチェックリスト
最後に、現場で起きがちなミスをチェックリストにします。英語が苦手でも、ここだけ守れば印象が安定します。
「Just moment」になっていない(a を入れる)
迷ったら please を付ける(丁寧さを底上げ)
できるだけ 理由を一言 添える(I’ll check / I’ll confirm)
放置感をなくすために 戻る宣言 を入れる(I’ll be right back)
混雑時は「対応宣言」に寄せる(I’ll be with you shortly)
電話は “hold” 系を優先し、戻ったら必ず一言(Thank you for waiting)
仕上げのセルフテスト(30秒)
次の3つを詰まらず言えたら、現場でほぼ困りません。
Just a moment, please.
Just a moment, please. I’ll check that for you.
Could you hold for a moment, please? Thank you for waiting.