仕事が覚えられない。
同じことを何度も聞いてしまう、メモしているのに再現できない、ミスが続いて自信がなくなる——。
そんな状態が続くと、「自分は仕事に向いていないのではないか」「能力が足りないのではないか」と、強い不安に襲われがちです。
しかし、仕事が覚えられない原因は、決して本人の努力不足や能力の問題だけではありません。
入社や異動直後の情報過多、教え方や指示の出し方といった環境要因、疲労や睡眠不足、さらには“覚え方の型”を知らないことなど、複数の要因が重なって起きているケースが大半です。
本記事では、「仕事が覚えられない」という悩みを感情論で終わらせず、
原因の切り分け → 覚え方の具体的な型 → ミスを減らす仕組み → 相談・支援の判断軸
という流れで、明日から行動に移せる形で詳しく解説いたします。
「自分だけができていない」と一人で抱え込む必要はありません。
この記事を読み終えたとき、何をどう変えればよいのかが明確になり、次の一歩を落ち着いて選べる状態を目指します。
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仕事が覚えられないのは普通か不安なときに知ること
入社・異動直後に覚えられないのはよくある理由
仕事を覚えられないと悩む人の多くは、能力が低いのではなく、環境と状況が「覚えにくい構造」になっています。特に入社・異動・転職直後は、次の要素が同時に押し寄せます。
1つ目は、インプット量が急増することです。
業務手順だけでなく、社内ツール、部署ごとの暗黙のルール、関係者の名前、略語、優先順位の考え方、報告の形式まで、学ぶ対象が多すぎます。学校の勉強のように「今日はここまで」と範囲が区切られていないため、頭が整理できないまま次の情報が上書きされます。
2つ目は、教える側の説明が断片化しやすいことです。
忙しい現場ほど、説明は「これ前も言ったよね」「いつものやつで」になりがちです。教える側に悪意がなくても、前提知識が共有されていないと、受け手は穴の空いた説明をつなぎ合わせる必要が出ます。ここで“聞き返しづらさ”が加わると、抜けが固定化します。
3つ目は、緊張や不安で脳の余力が削られることです。
「ミスしたらどうしよう」「評価が下がるかも」という緊張は、理解力そのものを落とします。集中しているつもりでも、実は「怒られないようにする」に注意が奪われ、細部が抜けます。これは性格の問題ではなく、脳の自然な反応です。
だからこそ、最初に変えるべきは「記憶力」ではなく、覚え方の仕組みです。
覚える=頭に入れる、ではなく、再現できる状態を作ると捉えると、やるべき行動が明確になります。
危険信号になりやすい状態のチェック
一方で、単なる慣れの問題では片付けず、早めに対処したほうが良いサインもあります。以下は「今のまま踏ん張るほど悪化しやすい」チェックです。当てはまる数が多いほど、個人の努力だけに寄せず、環境調整と相談を並行しましょう。
□ 睡眠不足が続き、朝から頭が回らない日が多い
□ ミスの増加とともに、胃痛・動悸・頭痛など身体症状が出ている
□ 休日も回復せず、ずっと疲れている感覚がある
□ 仕事だけでなく、日常でも忘れ物や段取りの失敗が目立つ
□ 怖さから報告が遅れ、結果的にトラブルが大きくなることがある
□ 注意されることが増え、自己否定や涙が出るなど気分の落ち込みが強い
□ 「覚えられない」以前に、教え方・指示の出し方が人によって違い、正解が揺れる
ここで重要なのは、危険信号があっても「自分がダメだから」と結論づけないことです。危険信号は、やり方や環境を変えるべき合図です。次の章で、原因を切り分けて対策の優先順位を決めます。
仕事が覚えられない原因を切り分ける
情報量と教え方が原因のケース
仕事を覚えられない原因は、本人の能力だけではありません。むしろ、新人や異動者ほど「情報の渡され方」が原因になっていることがよくあります。ここを見誤ると、頑張っているのに成果が出ず、自己否定が強くなります。
まず、環境要因が強い典型例を整理します。
口頭指示が多く、記録が残らない(言った/言わないが起きる)
手順書がない、または古くて実態と違う
人によって言うことが違う(AさんはOK、BさんはNG)
仕事の目的や優先順位が共有されず、部分作業だけ渡される
「急ぎで」「とりあえず」など曖昧な指示が多い
質問する時間が取りにくい、質問すると機嫌が悪くなる
このタイプは、努力で覚えるより、情報を固定するほうが効果が出ます。具体的には次の方向です。
口頭指示をチャット・メールで残してもらう
こちらから要点を返して認識合わせする
自分用のチェックリストを作って、正解の揺れを減らす
不明点は「質問の型」で短時間に確認し、聞き漏らしを防ぐ
環境要因の怖い点は、「努力不足」だと思い込むほど、問題が見えにくくなることです。覚えられないのではなく、覚えられない形で渡されているだけかもしれません。次章以降で、環境要因に強いテンプレと頼み方を具体化します。
疲労・睡眠不足・ストレスが原因のケース
覚えられない原因として見落とされがちなのが、疲労と睡眠です。睡眠不足は集中力だけでなく、短期記憶の保持、学習の定着にも影響します。仕事のやり方を変えても、土台が崩れていると改善が鈍くなります。
特に危険なのは、次の悪循環です。
ミスが増える
怖くなる(緊張が強まる)
寝つきが悪くなる/夜中に目が覚める
翌日集中できず、さらにミスが増える
自己否定が強まり、体調も崩れる
この状態では、メモ術を追加しても「実行する気力」が湧きません。まずは回復の確保が最優先です。具体策はシンプルに見えて、効果が大きい順にやるのがコツです。
睡眠時間を最優先に固定する(就寝起床を大きくずらさない)
朝の開始を安定させる(出社後すぐの作業を軽くする)
締切が重なるなら、早い段階で「優先順位の確認」を上司に依頼する
昼休みに5分でも目を閉じて、脳の過熱を下げる
休日に回復しない疲労が続くなら、産業保健や医療機関の相談も視野に入れる
「休むのは甘え」と思いがちですが、長期的には逆です。休めない状態でミスが続くほど、信用の回復にも時間がかかります。回復の確保は、成果を出すための前提条件です。
特性やワーキングメモリが関係するケース
「説明を聞いた直後は分かったのに、席に戻ったら抜ける」「手順を頭の中で保持しながら作業するのが苦手」などの困りごとは、ワーキングメモリ(作業中の情報保持)との相性が影響していることがあります。
このタイプに効く考え方は、頭の中で保持しない設計です。能力を気合で上げるのではなく、外に出して進めることで、同じ人でも成果が大きく変わります。
手順は「覚える」より、見ながら進める(チェックリスト化)
口頭指示は、一言でも記録に残す(チャットで要点だけ)
タスクは小さく分割し、終わるたびにチェックを入れる
「迷うポイント」を先にメモし、判断基準を固定する
また、注意の持続や段取りの苦手さが長期的に続き、仕事以外でも困りごとがある場合は、発達特性の可能性も視野に入れて構いません。ただし大切なのは、診断名を先に決めることではなく、困りごとを減らす手段を増やすことです。
この記事では、まず誰でも実行できる仕組み化を提示し、その上で「相談・受診を検討する目安」も整理します。
仕事が覚えられない人のための覚え方の型
教わる前に準備する質問テンプレ
仕事が覚えられない人ほど、「教わる前の準備」で結果が変わります。準備とは、努力量のことではなく、質問の枠を作ることです。枠があると、聞くべき情報が自動的に揃い、メモの質も上がります。
以下を、自分のメモ帳の最初のページに貼り付けてください。会議でも口頭指示でも、これを埋めるつもりで聞くだけで抜けが減ります。
質問テンプレ(6点セット)
目的:この作業で達成したいゴールは何ですか
成果物:最終的に何を出せば完了ですか(形式・ファイル名・粒度)
期限:いつまでですか(中間期限はありますか)
手順:最初から最後までの順番はどうなりますか
注意:よくあるミス、やってはいけないことは何ですか
判断:迷ったら誰に、どの基準で判断すればよいですか
このテンプレの強みは、「聞き返すのが怖い」を減らせる点です。曖昧なまま進めるほうが、後で大きな手戻りになります。質問は迷惑ではなく、事故防止です。
さらに、短時間で確認したい場合は、次の一言を添えると通りやすくなります。
「手戻りを減らしたいので、目的と期限だけ先に確認させてください」
「認識違いが起きないように、要点だけ確認します」
相手は「責められている」と感じにくく、協力してくれやすくなります。
その場で抜けを減らすメモと復唱のコツ
メモで一番多い失敗は、「綺麗に書こうとして聞けなくなる」ことです。目的はノート作りではなく、再現するための記録です。ポイントは3つです。
1)最初にタイトルと日付を書く
あとで見返したときに「何の話か分からないメモ」は使えません。タイトルは短く、例えば「見積作成の手順」「A社対応 依頼内容」のように、検索できる言葉にします。
2)動詞中心の箇条書きにする
文章で全部書くと、聞く方が崩れます。
例:
「資料確認」
「不備あれば修正」
「17時までに共有」
このように、手が動く単位で短く書きます。
3)最後に復唱して穴を埋める
メモの質を上げる最強の方法が復唱です。上司や先輩に「全部読み上げる」のではなく、要点だけまとめて確認します。
「確認です。目的はA、手順はB→C→D、期限は今日17時、完了したらEに共有、で合っていますか」
「注意点はFとGで、迷ったらHさんに確認、ですね」
復唱は、相手のためでもあります。相手が「伝わっていないこと」に早く気づけるからです。
さらに、メモが追いつかないときは「全部書く」発想を捨て、構造だけ先に作ると立て直せます。おすすめは次の表テンプレです。枠があると、穴が見えるため、あとで補完しやすくなります。
| 項目 | 書く内容(例) |
|---|---|
| 目的 | 申請を通す/不備を解消する |
| 成果物 | 修正版ファイル/メール文面/一覧表 |
| 期限 | 今日17:00(中間:15:00に途中報告) |
| 手順 | 1)確認 2)修正 3)提出 4)報告 |
| 注意 | よくあるミス/別ルール/二重確認 |
| 判断 | 迷ったら誰に/基準は何か |
この表は、紙でもスマホでも構いません。重要なのは「目的・期限・手順・注意・判断」を揃えることです。
終業前15分で定着させる復習手順
覚えられない悩みは、実は「覚えた後に消える」ことが原因である場合が多いです。つまり、業務中の理解ではなく、翌日に再開できる状態を作れていないのが本質です。ここを変えるのが、終業前15分の復習です。
終業前15分ルーティン(毎日)
今日のメモを見返し、明日も使う内容に★を付ける
仕事ごとに「手順を1行」で要約する
例:「A確認→B修正→C提出→D報告」
つまずいた点を「原因→次の一手」で1セット書く
例:「宛先ミス→送信前に宛先と添付を声に出して確認」
明日の最初の1手を書き、開始条件を固定する
例:「9:10に○○フォルダ開く→最新版を確認」
5分だけ“自分用手順書”を更新する(箇条書きでOK)
このルーティンが効く理由は、記憶の問題を「復習の仕組み」に置き換えるからです。毎日15分を確保できないなら、10分でも構いません。大切なのは、毎日同じ時間に同じ順番でやることです。習慣化すると、努力感が減って続きます。
仕事が覚えられない状況でミスを減らす仕組み
チェックリストとダブルチェックの作り方
ミスは「注意力」より「仕組み」で減らせます。注意力は体調や緊張で上下しますが、仕組みは裏切りません。まずは、作業前・作業中・作業後のチェックポイントを固定します。
ミス予防チェックリスト(汎用)
作業前
□ 目的と期限を確認した
□ 成果物の形式(ファイル名・提出先)を確認した
□ 参照する資料が最新版か確認した
□ 手順の順番と“迷うポイント”を確認した
作業中
□ 変更した箇所をメモした
□ 数値・宛先・添付・日付など間違えやすい箇所を一度止まって確認した
□ 途中で仕様が変わったら、指示を記録し直した
作業後
□ 依頼内容と成果物が一致している
□ 送信前に「宛先・件名・添付」を確認した
□ 報告内容が要点(何をした/結果/次)になっている
このチェックリストは、最初から完璧に作る必要はありません。むしろ、ミスした項目を一行ずつ足して育てるのが最強です。チェックが増えすぎたら、頻出ミスだけを残して軽くします。
次に、ダブルチェックの作り方です。毎回誰かに見てもらうのが難しい場合でも、自己ダブルチェックは可能です。
自己ダブルチェックの実装例
時間を空ける:提出直前に5分だけ別作業を挟み、戻って見直す
読み上げる:メール本文や数値を声に出して確認する
逆順で見る:表の合計→内訳の順で確認し、整合を取る
“最後に見る場所”を固定する:宛先・添付・期限など、必ず同じ順番で見る
コツは「やり方を固定する」ことです。毎回違う見直しは、抜けが出ます。固定すると、脳が自動的に違和感を検知しやすくなります。
ミスの再発防止メモの書き方
ミスの後に落ち込み続ける人は多いですが、再発防止に必要なのは反省ではなく、次回の行動を変える一手です。深い原因分析より、軽くて確実な対策が効きます。
ミスしたら、1分で次のフォーマットに書きます。紙でもスマホでも構いません。
再発防止メモ(1分版)
いつ:〇月〇日、どの作業で
何が起きた:宛先ミス/手順飛ばし/版違い
直接原因:確認省略/資料が古い/焦って送った
次の一手:送信前に宛先・添付を声出し確認/最新版リンクを固定
仕組み化:チェックリストに一行追加/テンプレに項目追加
重要なのは、「次の一手」を具体的で小さくすることです。
例として、ありがちなミスと小さな対策を並べます。
宛先ミス → 送信前に宛先欄を指で追いながら読み上げる
添付漏れ → 件名入力の前に添付をする順番に変える
版違い → 参照元リンクをメモの先頭に固定し、そこからしか開かない
期限勘違い → 期限をカレンダーに入れ、前日にリマインドを出す
このように、努力ではなく手順に落とすと、再発防止が現実的になります。落ち込む時間を「仕組みの更新」に変えるほど、回復は早くなります。
口頭指示を減らす環境調整の頼み方
口頭指示が多い職場では、「覚えられない」のではなく「残らない」ことが問題です。ここを変えるには、相手の負担を増やさず、目的を添えて頼むのがポイントです。
頼み方の基本は、品質と手戻りを理由にすることです。
以下は、そのまま使える言い回しです。
「抜けが起きないように、重要な依頼はチャットで要点だけ残していただけますか。こちらで復唱して確認します」
「手戻りを減らしたいので、期限と成果物の形式だけ最初に確認させてください」
「最初の数回はチェックリストを作って進めたいです。確認観点があれば教えてください」
さらに強力なのが、「こちらから要点を返す」運用です。相手に書かせるだけではなく、こちらがまとめて返します。
「承知しました。目的A、手順B→C、期限D、完了後Eへ共有します。違っていれば教えてください」
この1往復で、認識違いが大幅に減ります。
もし「チャットで残すのは無理」と言われた場合でも、こちらが「今の要点をチャットで送ってよいですか」と提案すると通りやすくなります。相手が入力するのではなく、こちらが代わりに記録する形です。
環境調整は、遠慮すると損をします。ただし攻める必要はありません。「手戻りを減らしたい」「ミスを防ぎたい」という目的に沿って、淡々と仕組みに寄せるのが最も現実的です。
仕事が覚えられない状態が続くときの相談先と判断軸
上司に相談するときの伝え方台本
相談が怖いのは自然です。けれど、覚えられない状態が続くほど、黙って抱えるほうがリスクが上がります。相談を通すコツは、「できません」ではなく、改善計画と協力依頼にすることです。以下の台本を、状況に合わせて少し変えて使ってください。
相談台本(例)
現状:「業務を覚える途中で、口頭指示の抜けと手順ミスが続いています」
影響:「手戻りが発生しており、確認に時間がかかっています」
原因仮説:「情報量が多い場面で抜けやすいです。記録が残らないと再現が難しいです」
実施中:「メモのテンプレ化と終業前15分の復習、チェックリストを始めました」
協力依頼:「重要な依頼はチャットで要点を残す形にできると助かります。こちらから要点を返します」
期限:「まず2週間この運用で改善を見ます。途中で状況共有します」
この台本が有効なのは、上司が判断しやすくなるからです。上司が困るのは「何が問題で、何をしてほしいのか」が曖昧な相談です。逆に、改善案と期限があると、上司は協力しやすくなります。
また、相談の場では「自分が悪い」話に寄せすぎないことも大切です。焦点は評価ではなく、業務品質と再現性です。感情は否定せず、事実と対策に寄せるほど、話が前に進みます。
医療・支援につなぐ目安と窓口
「医療に行くのは大げさでは」と迷う人は多いですが、医療や支援は、困りごとを減らすための選択肢です。次に当てはまる場合は、検討する価値があります。
仕事だけでなく、日常でも段取りや忘れ物の困りごとが強い
工夫しても改善が乏しく、自己否定や不安が強まっている
不眠・食欲低下・動悸など、心身の不調が続いている
子どもの頃から似た困りごとがあり、複数場面で支障がある
仕事のミスが怖くて、外出や人間関係にも影響が出ている
受診する場合は、いきなり結論を出す必要はありません。相談がスムーズになるよう、次のメモを用意すると役に立ちます。
相談用メモ(持参すると良い)
困る場面:会議、電話、作業、片付け、メールなど
頻度:毎日/週数回/繁忙期だけ など
具体例:どんな抜けやミスが起きたか
これまでの工夫:メモ、復唱、チェックリスト等
変化:睡眠、体調、気分の落ち込みの有無
また、医療だけでなく、地域の支援機関に相談できるケースもあります。どこに相談すればよいか分からない場合は、「困りごとを整理して相談先を案内してもらう」こと自体が目的になります。
ここで大切なのは、ラベル付けではなく、生活と仕事の困りごとを減らすことです。
労働相談を使うべきケース
仕事が覚えられない悩みの背景に、職場環境の問題が絡むこともあります。たとえば、次のようなケースです。
そもそも業務量が過大で、覚える時間が与えられていない
指示が頻繁に変わり、責任だけ押し付けられる
叱責が強く、質問や確認ができない雰囲気がある
いじめ・嫌がらせ、パワハラが疑われる
配置転換や評価が不合理で、相談しても改善しない
この場合、「自分の努力」で解決しようとするほど消耗します。社内での相談が難しい、もしくは不利益が怖いときは、外部の相談窓口を知っておくだけでも安心材料になります。
労働相談は、いきなり大ごとにするためではありません。「状況を整理して、選択肢を知る」ことに価値があります。記録(日時・内容・メール等)を残しながら、相談の導線を持つと、自分を守りやすくなります。
仕事が覚えられない悩みでよくある質問
メモしても覚えられないのはなぜ?
メモしても覚えられない理由は、よくあるパターンが3つあります。
1)メモが“再現”の形になっていない
単語だけ並んでいて、翌日見ても手が動かない状態です。目的・期限・手順・注意・判断の枠で書くと、再現性が上がります。表テンプレにするのが効果的です。
2)メモを見返していない
メモは記録で終わると定着しません。終業前15分の復習で、要約して明日の最初の1手に落とすと、「覚えたのに消えた」が減ります。
3)頭の中で保持する負荷が高い
聞いたことを保持したまま作業するのが苦手な人はいます。その場合、覚える力を責めるより、外部化(チェックリスト・チャット記録)に寄せるほうが合理的です。
メモは万能ではありません。「メモ+復唱+復習+チェックリスト」でセットにしたとき、初めて強力になります。
仕事が向いてないと感じたらどうする?
「向いてない」は、疲労・環境・手順不足が重なると誰でも感じます。判断を誤らないために、次の順番で切り分けるのがおすすめです。
入社・異動直後の情報過多ではないか
睡眠不足・疲労・ストレスで能力が落ちていないか
教え方や指示の出し方など環境要因が強くないか
覚え方の型(テンプレ・復唱・復習)を回しているか
ミス予防の仕組み(チェックリスト)が機能しているか
それでも改善が乏しければ、配置調整・相談・転職も含めて検討する
ポイントは、期限を切ることです。例えば「2週間、テンプレとチェックリストで運用して改善を見る」と決めると、気持ちが整理しやすくなります。感情の勢いで辞めるより、打てる手を打った上で選ぶほうが後悔が減ります。
発達障害かもと思ったら最初に何をする?
最初にやるべきは、自己診断で決めつけることではなく、困りごとを具体化することです。次の順で整理すると、相談先で話が通りやすくなります。
最初のステップ
困る場面を特定する(会議、電話、作業、片付けなど)
頻度を記録する(毎日/週数回/繁忙期だけ)
具体例を書く(何が抜け、どう困ったか)
工夫と結果を書く(メモ・復唱・チェックで改善したか)
体調・睡眠・気分の変化も添える
そのうえで、医療機関や支援機関に相談する選択肢を持つと安心です。診断名が目的ではなく、困りごとを減らす手段を増やすことが目的です。環境調整や仕事の進め方の工夫だけで改善する人もいれば、専門家の助言で一気に楽になる人もいます。どちらも「自分を守るための行動」です。