ICL(眼内コンタクトレンズ)は、「メガネやコンタクトから解放されたい」「強度近視でも裸眼で過ごしたい」という願いを叶えてくれる、非常に魅力的な選択肢です。
一方で、ネット上には「ICLはやめた方がいい」「後悔した」という不安をあおる情報も多く、本当に踏み切ってよいのか迷われている方も少なくありません。
本記事では、ICLのメリットだけでなく、合併症や長期的なリスク、「後悔しやすい人」の共通点まで丁寧に整理し、「自分はICLを選ぶべきか」「やめておいた方がよいのか」を冷静に判断するための材料を提供いたします。
ICLを否定も肯定もしすぎない、中立かつ現実的な視点から、「あなたにとって本当に納得できる答え」を一緒に探っていきます。
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ICLは、「やめた方がいい人」と「選んでもよい人」がはっきり分かれる医療行為です。
強度近視で日常生活に大きな不便を感じており、リスクやメンテナンスを理解したうえで納得して受ける方にとっては、人生の質を大きく高める可能性があります。
一方で、年齢的に老眼や白内障が視野に入ってきている方、夜間の見え方を非常に重視する方、将来的な追加手術や定期検診の負担を受け入れにくい方にとっては、「あのとき焦って決めなくてよかった」という結論になることも十分にあり得ます。
大切なのは、「ICLが世間的に良いか悪いか」ではなく、「自分の目・年齢・ライフスタイル・価値観に照らしてどうか」という軸で考えることです。
医師に確認すべき項目を参考にしながら、信頼できる眼科医と十分に相談し、ご自身が心から納得できる選択をしていただくことをおすすめいたします。
ICLとは — 手術の概要と特徴
ICLの仕組みと他の視力矯正法との違い
ICLは、黒目(虹彩)と元の水晶体の間に、専用の小さなレンズを挿入して近視・乱視を矯正する手術です。角膜そのものを削らないことが大きな特徴です。
主なポイントは以下の通りです。
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角膜を削らず、眼内にレンズを「足す」手術である
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強度近視や乱視など、度数が強いケースにも対応しやすい
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レンズは基本的に眼内に留置し続けるが、摘出・交換が理論的には可能(可逆性があるとされる)
これに対し、レーシックなどの屈折矯正手術は角膜をレーザーで削り、角膜のカーブを変えて屈折力を調整する方法です。角膜の厚みが足りない場合や、角膜形状に問題がある場合は適応外になることがあります。
ICLが向いている人/向かない人
ICLが比較的向いているとされる人の例
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強度近視・強度乱視で、メガネや通常のコンタクトでは矯正しきれない、または不便が大きい人
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コンディションや体質上、コンタクトレンズ装用が難しい人(ドライアイ、アレルギー、装用感の強い不快など)
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角膜が薄く、レーシックなど角膜を削る手術が適応外と判断された人
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まだ老眼が本格的には始まっておらず、長期的に裸眼生活を重視したい若年〜中年層(概ね20〜40代前半)
注意・慎重検討が必要とされる人の例
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45歳前後〜の中高年で、今後の老眼・白内障の進行も視野に入ってきている人
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眼圧や角膜、網膜など、眼の健康状態に気になる点がある人
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「将来的なリスクよりも、今とにかく楽になりたい」という短期目線が強い人
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定期的な眼科受診や長期的なフォローアップに通うことが難しい人
なぜ「ICLはやめた方がいい」と言われるのか — 主なデメリットとリスク
手術リスクと合併症
ICLは角膜を削らないとはいえ、「眼の中に直接レンズを挿入する内眼手術」です。そのため、以下のようなリスクが存在します。
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眼内炎などの感染症
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術中・術後の出血や炎症
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レンズの位置ズレや容量不適合
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術後の眼圧上昇(緑内障のリスク)
発生頻度は極めて低いとされるものもありますが、一度重篤な合併症が起これば視機能に大きな影響を残す可能性があります。そのため、「絶対に安全」とは言い切れない点が、「やめた方がいい」という意見につながりやすい部分です。
視覚の変化(ハロー・グレア、夜間の見えづらさ)
ICL手術後、一部の方は以下のような視覚症状を自覚することがあります。
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夜間、ライトの周りに光の輪(ハロー)が見える
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対向車のライトがぎらついて眩しく感じる(グレア)
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夜間や暗所でコントラストが落ち、見えづらさを感じる
最近のレンズはこれらを軽減する設計が進んでいますが、「まったく出ない」とは限らず、個人差が大きい症状です。特に夜間運転が多い職種の方などは、十分な事前理解が必要です。
長期的なリスク(白内障・老眼との兼ね合い、再手術・レンズ摘出の可能性)
ICLは「入れ替えや摘出が可能な矯正法」とよく説明されますが、実際にレンズを取り出すには再度手術が必要です。以下のような長期的なポイントも考慮する必要があります。
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レンズと水晶体の位置関係によっては、白内障のリスクが高まる可能性が指摘されている
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長期的な経過観察の中で、角膜内皮細胞数の減少が問題になる場合がある
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年齢とともに老眼が進行すると、「遠くは見えるが近くが見えない」状態になり、再度別の対応が必要になる可能性がある
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何らかの理由でレンズの交換・摘出が必要になれば、再手術のリスクを負う必要がある
「可逆性があるから安心」と言われがちですが、完全に元の状態に戻るとは限りません。この点は、事前に冷静に理解しておく必要があります。
費用とメンテナンス(初期費用、定期検診、将来的コスト)
ICLは、メガネやコンタクトはもちろん、多くのレーシックよりも高額になることが一般的です。
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両眼で数十万円台〜場合によってはそれ以上の費用
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術後の定期検診(眼圧測定・角膜内皮細胞チェックなど)が必要
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将来レンズ交換や摘出が必要になれば、再度まとまった費用とリスクが発生
「一度お金を払えばそれで終わり」というよりは、「長期的な医療行為のスタート」と考える方が現実的です。この感覚を持てないと、「こんなにメンテナンスが必要ならやめた方がよかった」という後悔につながりやすくなります。
誰がICLで「後悔しやすい」のか — 向き不向きチェックリスト
年齢・ライフステージ別の注意点
以下は、年齢やライフステージごとの大まかな注意ポイントです。
| 年齢・状況 | 後悔につながりやすいポイントの例 |
|---|---|
| 20〜30代前半 | 将来の視力変化・老眼などをあまり想像していないまま「勢い」で決めると後悔リスク |
| 30代後半〜40代前半 | 数年〜十数年で老眼が本格化する可能性があり、「思っていたほど楽にならない」ことがある |
| 45歳以上・老眼自覚あり | 遠くは見えるが近くが見えにくい状態が強くなり、手元作業・読書で不満が出やすい |
| 白内障が将来的に気になる年齢 | 先々白内障手術を検討する場合、ICLを行うメリットと手間・費用のバランスをとる必要 |
「若いから大丈夫」「まだ先のことは考えない」という判断は、結果として「数年後の自分」が後悔する可能性もあります。
目の状態・健康状態で注意すべき点
以下に該当する場合は、特に慎重な検討が必要です。
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角膜形状、前房の深さ、眼圧などで医師から「ギリギリ適応」と言われている
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過去にぶどう膜炎・角膜疾患・強いアレルギーなど、眼のトラブルを経験している
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緑内障の疑いがある、または家族に強い緑内障歴がある
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糖尿病など、全身状態が眼の健康に影響しうる持病がある
このような場合、「やめた方がいい」という医師の意見が出ることもあり得ますし、自分から積極的にリスクを取りに行くべき状況ではない場合もあります。
生活スタイルの観点からの判断
以下のような生活スタイルの方は、ICLの特性とマッチしているかをよく検討する必要があります。
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夜間運転が多い職種(運送業、タクシー運転、夜勤など)
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ハロー・グレアが職務に支障をきたす可能性があります。
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デスクワーク中心で、近くを見る時間が非常に長い人
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老眼期に入ると、「遠くは見えるが手元の負担が増す」ことへのギャップを感じる場合があります。
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海や山、激しいスポーツなどアウトドアが多い人
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外傷リスクやドライアイ、日焼けなど、眼に負担がかかりやすい環境である点に注意が必要です。
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定期検診に通う時間や手間をできるだけかけたくない人
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長期フォローを前提とするICLには、考え方が合わない可能性があります。
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ICLと他の視力矯正法の比較(メガネ・コンタクト・レーシック)
メガネ・コンタクトのメリット・デメリット
メガネのメリット
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手術を伴わず、最も安全な矯正手段である
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視力の変化に応じて度数を柔軟に変更できる
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装用をやめれば元に戻る、完全な可逆性がある
メガネのデメリット
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強度近視ではレンズが厚く重くなりやすい
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視界の端が歪む、レンズ越しの視野が限定される
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スポーツやマスク生活など、ライフスタイルと相性が悪い場合がある
コンタクトレンズのメリット
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視界が広く、自然な見え方になりやすい
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強度近視でも比較的良好な矯正が可能
コンタクトレンズのデメリット
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装用やケアの手間が毎日発生する
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ドライアイ・アレルギー・慢性的な不快感の原因となることがある
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装用ルールを守らないと角膜感染症などのリスクが上がる
レーシックの特徴とICLとの比較
レーシックの主な特徴
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角膜を削って屈折力を変える手術
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手術時間が比較的短く、費用もICLより低いことが多い
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中程度の近視・乱視までであれば、十分な矯正が可能なケースが多い
レーシックとICLの主な違い
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レーシック:角膜を削るため、一度行うと「完全な意味での可逆性」はない
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ICL:角膜を削らず、レンズの追加で矯正するため、理論上はレンズ摘出によりある程度元に戻せる
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強度近視・角膜が薄い人はレーシックが適応外となることがあり、その場合ICLが候補になる
どちらが優れているかではなく、「自分の度数・角膜・生活スタイルにどちらが適しているか」で考えることが重要です。
ライフスタイル別のおすすめ傾向
あくまで一般的な傾向ですが、以下のように整理できます。
| ライフスタイル・条件 | 検討しやすい選択肢の例 |
|---|---|
| 度数がそこまで強くなく、費用を抑えたい | レーシック(適応があれば)+メガネ・コンタクト併用 |
| 強度近視・強度乱視で、角膜が薄くレーシックが難しい | ICLを検討(ただしリスクと長期メンテナンスを十分理解した上で) |
| 夜間運転が多く、ハロー・グレアが許容しづらい | 医師とよく相談のうえ、レーシック/メガネ・コンタクトも含めて慎重検討 |
| 将来の老眼・白内障を強く意識したい中高年 | 無理に手術を選ばず、メガネ・コンタクトや白内障手術時の矯正なども視野に入れる |
ICLを検討する際に医師へ確認すべきポイント
自分の目に関する確認事項
医師に必ず確認しておきたい項目の一例です。
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私の角膜の厚み・形状、前房の深さなどのデータはどうか
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緑内障や網膜の異常など、ICLに不利になりうる要素はないか
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「ICLも可能だが、他の選択肢でも問題ない」のか、「ICLでないと矯正が難しい」のか
このあたりを明確にすることで、「なぜICLなのか」を自分なりに説明できるようになります。
レンズの寿命・交換・摘出について
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使用するレンズの種類と想定寿命はどのくらいか
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何年・何十年後に交換が必要になる可能性があるか
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もしレンズを取り出す場合、どの程度のリスク・費用・ダウンタイムが想定されるか
「一生もの」と聞いている場合でも、将来の医学的変化や自身の体の変化を前提に、現実的な見通しを確認しておくことが重要です。
術後フォロー体制とトラブル時の対応
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術後の定期検診の頻度・期間・費用
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もし合併症や違和感が出た場合、どのような対応が可能か(緊急対応の有無・他院連携など)
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遠方から来院する場合、長期フォローをどのように行うか
「手術当日までがゴール」ではなく、「術後何年も続く付き合いになる」という視点でクリニックを選ぶことが大切です。
ICLに関するよくある質問(FAQ)
Q1:ICLは一度入れたら一生そのままですか?
A:基本的には長期間の使用を前提としていますが、「絶対に一生そのまま」とは限りません。白内障やレンズ位置の問題、度数変化などにより、将来的に交換・摘出が必要になる可能性があります。
Q2:ハロー・グレアは必ず出ますか?どのくらい続きますか?
A:全員に必ず出るわけではありませんが、多かれ少なかれ感じる方もいます。数ヶ月で慣れる方もいれば、長期的に残る方もおり、個人差が大きい点です。夜間運転が多い場合は特に慎重な検討が必要です。
Q3:手術は痛いですか?入院は必要ですか?
A:通常は点眼麻酔などを用いるため、強い痛みを感じることは少ないとされています。多くの場合、日帰り手術で、数日〜1週間程度の安静・点眼治療が必要です。
Q4:老眼になったときの見え方はどうなりますか?
A:ICLは主に遠くのピントを合わせるための手術のため、老眼になれば、遠くは見えるが近くはメガネが必要になるケースが多いです。老眼を完全に防ぐ手術ではないことを理解しておく必要があります。
Q5:もし合わなかった場合、元に戻せますか?
A:レンズを摘出することで、理論上ある程度元の状態に戻すことは可能とされています。ただし、完全に術前と全く同じになるとは限らず、再手術に伴うリスクも発生します。
結論 — ICLは「やめた方がいい人」と「選んでもよい人」がはっきり分かれる
ICLは、強度近視やコンタクトの不調に悩む方にとって、非常に魅力的で有力な選択肢になり得る一方、
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内眼手術としてのリスク
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長期的な合併症・老眼や白内障との兼ね合い
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高額な初期費用と長期的なフォローの必要性
といった理由から、「やめた方がいい」と感じる人がいることも事実です。
特に、
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将来のメンテナンスやリスクをあまり考えず、「今楽になりたい」だけで決めてしまう人
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年齢的に老眼・白内障が見えてきている中高年
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夜間視力や繊細な見え方が仕事・生活の質に直結する人
こうした方にとっては、「慎重に検討した結果、ICLはやめておく」という判断が合理的な場合も少なくありません。
一方で、
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若年〜中年で強度近視・乱視があり、
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メガネ・コンタクトに大きな不便を感じ、
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リスクと長期フォローを理解したうえで、納得して受ける
という条件を満たす方にとっては、ICLが生活の質を大きく高める手段となる可能性があります。
最も重要なのは、「ICLが良いか悪いか」ではなく、
「自分の目・年齢・生活スタイルにとってICLは本当に最適か?」
という問いに、医師と対話しながら向き合うことです。