「また同じ側から鼻血が出た……」
しかも、ネットで調べると「ガンかもしれない」「大丈夫」など正反対の情報が並び、知恵袋の回答もバラバラ——そのような状況では、不安になるのは当然です。
本記事では、次のポイントを中心に整理して解説いたします。
大人で片側から繰り返す鼻血の代表的な原因
「今すぐ病院に行くべきか」「様子を見てよいか」の判断材料
自宅でできる正しい鼻血の止め方と再発予防のコツ
知恵袋を含むネット情報との付き合い方
ただし、本記事はあくまで「一般的な情報」であり、個々の症状を診断するものではありません。少しでも「おかしい」「不安が強い」と感じる場合には、自己判断せず医療機関を受診していただくことをおすすめいたします。
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大人で「片方だけ」「繰り返す」鼻血は、子どもの鼻血よりも背景に病気が隠れている可能性があるため、自己判断で放置しないことが重要です。
多くの場合、鼻の粘膜の傷や乾燥、炎症など治療可能な原因である一方、まれに腫瘍など見逃したくない病気が隠れていることもあります。
「頻度」「出血時間」「出血量」「他の症状」の4つの観点で、救急レベルか・早めに耳鼻科か・経過観察かを考えることがポイントです。
本記事のチェックリストを使い、現在の症状を落ち着いて振り返る
「救急」「耳鼻科受診」「様子見」のどこに当てはまりそうか、客観的に整理する
不安が強い・条件に当てはまる場合は、最寄りの耳鼻咽喉科を調べ、受診の予約を取る
受診前に、
いつから・どちら側から
どのくらいの頻度で
どんな場面で出やすいか
止血にかかる時間・出血量のイメージ
他の症状・飲んでいる薬
をメモしておく
これだけでも診察がスムーズになり、原因の特定に役立ちます。
大人で「片方だけ鼻血が繰り返す」とき、まず押さえたいポイント
子どもの鼻血との違い/大人だからこそ注意したい理由
子どもの鼻血は、成長に伴う血管の脆さや、鼻をいじる癖、アレルギーなどが原因で「よくあること」として扱われる場合が多く、深刻な病気が隠れていることは比較的まれです。
一方で、大人の鼻血は次のような背景が隠れている可能性があります。
高血圧や動脈硬化など、血管自体がもろくなっている
血液が固まりにくい状態(血液疾患・薬の影響など)
鼻や副鼻腔の炎症、あるいは腫瘍(できもの)
このため、「大人」で、なおかつ「繰り返す」鼻血は、子どもの鼻血よりも慎重に評価する必要があります。
「片方だけ」「繰り返す」が意味することとは
特にポイントとなるのが、「片方だけ」かつ「繰り返す」という点です。
右か左、どちらか片側に限定して出血する
数週間〜数カ月にわたって、何度も同じ側から出血する
このような場合、鼻の中の同じ場所から出血している可能性が高く、そこに何らかの異常(血管が集合しやすい部位の変化、炎症、腫瘍など)があることも考えられます。
もちろん、「片方だけ」「繰り返す」からといってすべてが重大な病気であるわけではありませんが、自己判断で「大丈夫だろう」と決めつけるのではなく、一度耳鼻咽喉科で確認してもらう価値が高い症状であることは確かです。
大人の片側から繰り返す鼻血の主な原因
ここからは、「大人の片側から繰り返す鼻血」の主な原因を整理し、「よくある原因」と「見逃してはいけない原因」に分けて解説いたします。
よくある局所的な原因
鼻血の多くは、鼻中隔前方(鼻の入り口付近)の粘膜が傷つくことにより起こるとされています。代表的な局所的原因は以下の通りです。
鼻を強くかむ・何度もかむ
指やティッシュで鼻の中をいじる
エアコンや暖房による乾燥で粘膜が荒れる
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による炎症
一度出血した部位にかさぶたができ、それが剥がれて再出血する
こうした原因による鼻血は、
出血量が比較的少ない
正しい圧迫止血により数分〜10数分程度で止まる
鼻をかんだ・いじった・乾燥していた等の「きっかけ」が思い当たる
といった特徴を持つことが多いです。
全身の病気が関わる場合の例
鼻血は、鼻の中だけの問題とは限りません。全身の状態が影響していることもあります。一般論として、以下のような要因が挙げられます。
高血圧・動脈硬化
血管にかかる負担が大きくなり、鼻の細い血管から出血しやすくなることがあります。血液疾患(白血病など)・血小板異常
血液が固まりにくくなり、少しの出血が長引くことがあります。肝臓・腎臓の病気
凝固因子の生成や代謝に関わる臓器の働きが低下すると、出血傾向が出ることがあります。抗血小板薬・抗凝固薬などの服用
いわゆる「血をサラサラにする薬」により、出血しやすく・止まりにくくなる場合があります。
このような全身性の要因があると、
鼻血以外の出血(歯ぐき、皮下出血=あざなど)
貧血症状(動悸、息切れ、疲れやすさ)
などを伴うこともあります。これらが複数当てはまる場合は、耳鼻科に加え、内科・血液内科などでの評価が必要になることもあります。
片側の鼻血で特に注意すべき腫瘍や構造の異常
大人で片側からの鼻血が繰り返される場合に、特に慎重に評価されるのが以下のような病変です。
鼻腔内や副鼻腔にできる良性・悪性腫瘍
血管が集まりやすい部位にできた血管腫など
骨や粘膜の構造の異常(弯曲、ポリープ等)
次のような症状を伴う場合は、特に注意が必要です。
片側だけの鼻づまりが長期間続いている
片側の顔面の痛み、違和感、歯の痛みがある
血の混じった鼻水が続く
これらは、必ずしも腫瘍=ガンという意味ではありませんが、「きちんと検査しておきたいサイン」です。耳鼻咽喉科での内視鏡検査や画像検査によって、より詳しい評価が行われます。
危険度イメージ表(軽症〜要注意〜至急受診)
以下は、あくまで「一般的な目安」としての危険度イメージです。実際の対応は、年齢や体調、既往歴などにより異なります。
| 症状・状況 | 危険度イメージ | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 強く鼻をかんだ直後に少量出血し、10分以内に止まる | 低〜中 | 正しい止血+乾燥・刺激を避けて経過観察 |
| 数週間のあいだに、同じ側から週に何度も鼻血が出る | 中〜高 | 数日以内に耳鼻咽喉科を受診 |
| 片側の鼻づまり・顔の痛み・血の混じった鼻水を伴う | 中〜高 | 早めに耳鼻咽喉科受診 |
| 圧迫しても20分以上止まらない・滝のような大量出血 | 高 | すみやかに救急外来・救急要請を検討 |
| 鼻血に加え、発熱・倦怠感・めまい・歯ぐき出血がある | 高 | 早急な医療機関受診(耳鼻科または救急) |
上記の表はあくまで参考であり、「判断に迷ったら受診する」というスタンスが基本です。
今すぐ病院へ?様子を見てよい?受診の目安チェックリスト
ここでは、「救急受診」「数日以内に耳鼻科受診」「しばらく様子見」の3つに分けて、受診の目安をまとめます。
救急受診を検討すべきケース
次の項目に当てはまる場合は、様子見よりも救急外来や救急要請を検討すべきレベルです。
☑ 正しい方法(座ってうつむき、小鼻を強く押さえる)で15〜20分以上圧迫しても止まらない
☑ 出血量が明らかに多く、滝のように流れ続ける
☑ 顔色が悪い、めまい・ふらつき、意識がもうろうとする
☑ 強い頭痛・発熱など、全身状態の悪化を伴う
☑ 転倒・事故などの怪我と同時に鼻血が出ている
これらに該当する場合、「単なる鼻血だから」と自己判断せず、速やかな医療機関受診が重要です。
数日以内に耳鼻咽喉科を受診したいケース
以下のチェック項目のいずれかに当てはまる場合は、「救急レベルではないが、近いうちに耳鼻科で相談したい」ケースといえます。
☑ 同じ側からの鼻血が、1週間に複数回出ている
☑ 数週間〜数カ月にわたって、断続的に同じ側から鼻血が続いている
☑ 片側だけの鼻づまり・顔の違和感・血の混じった鼻水が気になる
☑ 高血圧・血液疾患・肝臓病などの持病がある、または抗凝固薬を服用している
☑ 知恵袋やネットの情報を読み続け、不安で生活に支障が出ている
このような場合、耳鼻咽喉科での診察・必要に応じた検査によって、原因の絞り込みと適切な対処が期待できます。
しばらく様子を見てもよいケース
次の条件をすべて満たしている場合は、セルフケアをしながら短期間の経過観察も選択肢になりえます。
☑ 鼻を強くかんだ・いじった・乾燥していたなど、明確なきっかけがある
☑ 出血量は少なく、正しい圧迫止血で10分以内に止まる
☑ 頻繁な再発はなく、片側の鼻づまり・顔の痛み・発熱など他の症状がない
☑ 高血圧・血液疾患・抗凝固薬服用など、出血しやすくなる要因が特にない
とはいえ、「様子見」に不安を感じる場合、あるいは状況が変化してきた場合は、躊躇せず医療機関を受診してください。
何科に行く?耳鼻科と内科・血液内科などの役割
鼻血の診療の入口としては、まず「耳鼻咽喉科」が基本となります。
どの部位から出血しているのか
粘膜に傷や腫瘍、ポリープなどがないか
片側の鼻づまり・痛みなどの随伴症状がないか
といった点を、視診・内視鏡などで確認します。
その上で、
貧血が疑われる
歯ぐきからの出血やあざが増えた 等、他の出血傾向がある
高血圧や全身疾患の関与が強く疑われる
と判断された場合には、耳鼻科から内科・血液内科などの専門診療科へ紹介される流れになることもあります。
自分でできる正しい鼻血の止め方とNG行動
正しい応急処置の手順
一般的に推奨されている鼻血の止め方は、以下の通りです。
姿勢を整える
椅子に座り、上体を少し前に傾けて「ややうつむき」の姿勢をとります。
血が喉に流れ込まないよう、仰向けには寝ないようにします。
血を飲み込まない
口の中に回ってきた血は、飲み込まずにティッシュなどに吐き出します。
飲み込むと、気持ち悪さや嘔吐の原因となるためです。
小鼻をしっかりつまむ
鼻の柔らかい部分(小鼻)を、親指と人差し指で強くつまみます。
鼻の付け根ではなく、小鼻部分をしっかり押さえることがポイントです。
10〜15分間は押さえ続ける
少なくとも10分程度は、指を離さずに圧迫を続けます。
「止まったかどうか」が気になって何度も離すと、かさぶたが剥がれ再出血しやすくなります。
それでも止まらない場合は医療機関へ
15〜20分以上しっかり押さえても止まらない場合は、医療機関の受診を検討してください。
やってはいけない対処法(NG行動)
次のような対応は、鼻血の止血法としては推奨されていません。
首の後ろを叩く
上を向いて寝転ぶ(血が喉に流れ込む)
ティッシュや綿を奥深くまで詰め込む
数十秒ごとに指を離して出血を確認する
これらは、
止血がうまくいかない
血を大量に飲み込んで気分が悪くなる
気道に血が回るリスクがある
といった問題につながる可能性があるため、避けていただいた方が安全です。
再発を減らすための日常ケア
再発を減らすためには、次のような日常的な工夫も有効です(一般的な例です)。
室内の湿度を適度に保ち、エアコンや暖房による極端な乾燥を避ける
鼻をかむときは、片方ずつ優しくかみ、強く勢いよくかまない
鼻をほじる・いじる癖がある場合は、意識的に控える
就寝前などに、医師から指示された保湿用軟膏を少量塗布する場合もある
高血圧を指摘されている方は、血圧のコントロールをきちんと行う
自己判断で市販薬や軟膏を長期間使い続けるより、気になる場合は耳鼻咽喉科で相談したうえで指示を受ける方が望ましいです。
受診すると何をされる?検査・治療の流れと費用目安
耳鼻科診察の流れ(一般例)
耳鼻咽喉科を受診した際の一般的な流れは、次の通りです。
問診
鼻血が出始めた時期
どちら側から出るか(右/左)
頻度(週に何回、月に何回程度)
どのような状況で出やすいか(起床時、入浴後、仕事中など)
止血にかかる時間・出血量のイメージ
鼻づまり、痛み、発熱、倦怠感など他の症状の有無
服用中の薬(特に血をサラサラにする薬)の有無
視診・内視鏡検査
鼻鏡やライトで鼻の中を観察し、出血部位や粘膜の状態を確認します。
必要に応じて、細いカメラ(内視鏡)を用いて鼻の奥や副鼻腔を観察することもあります。
これらによって、「どこから・なぜ出ていそうか」の見当をつけていきます。
必要に応じて行われる検査のイメージ
診察の結果に応じて、次のような検査が追加されることがあります。
画像検査(CT・MRIなど)
副鼻腔や鼻腔内の腫瘍・ポリープ・骨の異常などを詳しく確認するために行われることがあります。血液検査
貧血の有無、炎症反応、血液の凝固機能、血小板などを調べる目的で実施される場合があります。
どの検査を行うかは、症状・年齢・既往歴などを含め、医師が総合的に判断します。
保険診療の一般的な費用感の目安
費用は医療機関や検査内容によって異なるため、ここではあくまで目安にとどまります。
耳鼻科初診+診察・簡単な処置のみ
→ 数千円程度(3割負担の場合)のことが多い内視鏡検査や血液検査、画像検査を追加した場合
→ 検査の種類に応じて、そこからさらに数千円〜程度加算されることがあります
実際の金額は医療機関ごとに異なりますので、受診前に問い合わせるか、受診時に確認していただくのが確実です。
よく行われる治療法(一般的な例)
局所処置(止血・焼灼など)
出血点を確認し、薬剤を染み込ませた綿やスポンジで圧迫止血します。
再発を防ぐ目的で、電気や薬剤、レーザーなどで粘膜を焼灼する治療が行われる場合もあります。
薬物療法
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などがある場合、抗アレルギー薬、抗菌薬、ステロイドスプレー等が処方されることがあります。
高血圧やその他の全身疾患が背景にある場合は、内科などでの薬物療法が重要になります。
生活指導
鼻をいじらない、乾燥対策をする、血圧を管理するなど、生活上の注意点について説明を受けることも多いです。
知恵袋の情報はどこまで信じていい?ネット情報との付き合い方
知恵袋でよくある誤解・極端な意見の例
Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトは、「同じような悩みを持つ人の声」を知るには便利ですが、その回答は必ずしも医学的な根拠に基づいたものとは限りません。
具体的には、次のような傾向が見られます。
「自分はこうだったから、あなたも大丈夫/危険」と、個人の経験を一般化してしまう
科学的根拠の乏しい原因を断定する(ストレスや特定の食べ物だけに原因を求める 等)
「片側の鼻血は全部ガン」「鼻血ごときで病院に行くな」など、極端な安心・極端な不安をあおる投稿
これらは、不必要な不安を増幅させたり、逆に受診を遅らせてしまったりする可能性があります。
医療情報として信頼できるサイトを見分けるポイント
医療情報として参考にする場合は、次の点を目安にしてください。
公的機関、学会、医療機関、製薬会社などが運営しているか
記事の執筆者や監修者として「医師」「専門家」が明記されているか
掲載日・更新日が記載されており、明らかに古すぎないか
データやガイドラインなど、根拠となる出典が記されているか
これらの条件を満たす情報は、個人の体験談よりも医学的な信頼性が高いと考えられます。
不安になりすぎないための情報との距離感
体調に不安があるときほど、検索結果を次々と読みたくなります。
しかし、検索を続けるほど、不安をあおる情報ばかりが目につきやすくなります。
「ある程度情報を集めたら、それ以上は医師に質問する」と決めておくことで、ネット情報に振り回されにくくなります。最終的な判断は、あくまで対面診察した医師に委ねることが重要です。
よくある質問(FAQ)
毎日少量の鼻血でも受診した方がいいですか?
毎日、あるいは週に何度も同じ側から鼻血が出る場合は、出血量が少なくても一度耳鼻咽喉科で相談されることをおすすめいたします。
出血している場所がいつも同じかどうか
粘膜に傷や腫瘍がないか
全身疾患の影響がないか
といった点を、医師の目で確認してもらうことで、安心材料にもなりますし、必要な場合には早期に対応が可能です。
片側だけでも、すぐ止まるなら放置して大丈夫ですか?
「片側だけ」「繰り返す」という条件がある以上、「必ず放置してよい」とは言い切れません。
きっかけがはっきりしている(強くかんだ、乾燥など)
頻度が少ない
他の症状がない
という場合には、短期間の経過観察も選択肢になり得ますが、「続いていること自体が不安」「知恵袋を見て余計に心配になった」という場合は、一度耳鼻咽喉科で相談した方が安心です。
市販薬や漢方で様子を見るのはアリですか?
市販の鼻炎薬や漢方などで症状が軽減する場合もありますが、次のようなリスクがあります。
原因が分からないまま、薬だけでごまかしてしまう
本来受診すべき鼻血を見逃してしまう
まずは耳鼻科で大まかな原因を把握した上で、必要に応じて薬物療法や漢方について医師と相談する方が安全です。
どのくらい続いたら“繰り返している”と考えるべきですか?
明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、
1週間に3回以上出る
数週間〜数カ月にわたって、断続的に同じ側から鼻血が続いている
といった場合、「繰り返す鼻血」として耳鼻咽喉科受診を検討すべきラインと考えて良いでしょう。特に他の症状を伴う場合は、早めの受診が望ましいです。