「おならだと思ったら下痢が出てしまった」「おならと一緒に少量の便が漏れる」といった相談は、匿名性の高い掲示板や知恵袋系サービスで非常に多く見られる悩みです。恥ずかしさから対面では相談しづらく、まずインターネットで情報収集される方が少なくありません。
本記事では、こうした「知恵袋で相談されがちな悩み」を前提に、考えられる原因や受診の目安、自宅でできる対処法を整理いたします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の症状に対する診断・治療を行うものではありません。症状が気になる場合は、必ず医療機関を受診してください。
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「おならと一緒に下痢・便が出る」という症状は、
一過性の感染性腸炎・食あたり
過敏性腸症候群(IBS)
炎症性腸疾患
便失禁・肛門トラブル
など、さまざまな原因が関与している可能性があります。
高熱・激しい腹痛・血便・脱水が疑われる場合は、自己判断せず早めの受診、場合によっては救急受診が必要です。
軽い症状に見えても、数週間以上続く・繰り返す、生活に支障が出ているといった場合には、一度専門医に相談することをおすすめいたします。
食事・生活習慣の見直しや外出時の備えなど、自宅でできる対策も有効ですが、「市販薬だけで何とかする」ことは避け、改善しない場合には医療機関へつなげることが大切です。
おならや下痢、便漏れといった話題は、知恵袋のような匿名性の高い場で相談されやすい一方、対面では話しづらく、受診が遅れがちなテーマでもあります。
しかし、多くの場合は原因があり、適切な診断と治療・生活改善によって症状が軽くなる可能性があります。「自分だけがおかしい」と思い込まず、必要に応じて専門家に相談し、一人で抱え込まないようにしていただければ幸いです。
よくある症状パターン別の整理
代表的なパターンとして、次のようなものが挙げられます。
おならだと思って力を入れたら、水っぽい下痢が勢いよく出てしまった
おならと一緒に、少量の柔らかい便が漏れて下着が汚れてしまう
お腹がゴロゴロして、おならをするときに下痢が混じることがある
便意をはっきり感じないのに、おならと一緒に便が少し出ていることに後から気づく
このうち、
水っぽい下痢が何度も続く
便が知らないうちに漏れている
といった状態は、単なる食べ過ぎ・飲み過ぎだけでは説明できない場合もあり、注意が必要です。
一方で、数日で自然に治る一過性の腸炎やいわゆる「食あたり」で起こるケースもあります。
一時的な下痢と長引く下痢の違い
「一時的な下痢」と「長引く下痢」には、おおまかに次のような違いがあります。
一時的な下痢の目安
生もの・脂っこい料理・飲み過ぎなど、心当たりのある食事の後に始まった
発症から数日以内に少しずつ回数や水っぽさが落ち着いてきている
高熱や血便がなく、水分や軽い食事がある程度とれている
長引く下痢の目安
はっきりしたきっかけがないまま、数週間〜数ヶ月続いている
下痢と便秘を繰り返す、お腹の張りや痛みを伴うことが多い
体重減少や倦怠感、血便などを伴うことがある
特に、長期にわたる下痢や血便・体重減少を伴う場合は、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など慢性的な病気の可能性もあり、早めの受診が重要です。
考えられる主な原因・病気
ここでは、「おならと一緒に下痢・便が出る」状態と関係しやすい代表的な原因を整理いたします。実際には複数の要因が重なっていることもあります。
過敏性腸症候群(IBS)によるもの
過敏性腸症候群(IBS)は、検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や下痢・便秘、ガスなどが慢性的に続く病気です。
主なタイプ
下痢型
便秘型
混合型(下痢と便秘を繰り返す)
ガス型(おならやお腹の張りが中心)
特に下痢型では、
急に強い便意が起こる
我慢しにくい下痢が出る
おならと一緒に下痢が出てしまう
といった症状がみられることがあります。ストレスや生活リズムの乱れと関係が深く、知恵袋でも「仕事中・通学中にトイレが不安」といった相談として多く見られます。
感染性腸炎・食あたり・薬剤性腸炎
細菌やウイルスによる感染性腸炎、いわゆる「食あたり」でも、おならと区別しにくいほど水っぽい下痢が出る場合があります。
特徴としては、
発熱や吐き気・嘔吐、強めの腹痛を伴うことが多い
生もの・加熱不十分な食品・旅行先での食事など、直前の食事歴とタイミングが重なる
抗生物質など一部の薬の影響で腸内環境が変わり、薬剤性腸炎として下痢が続く場合がある
多くは数日〜1週間程度で改善しますが、血便・高熱・脱水症状がある場合には、自己判断で様子を見るのは危険です。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)の可能性
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は、腸に慢性的な炎症が起こる病気です。
長期間続く下痢(しばしば血便)
腹痛・発熱
体重減少・貧血・倦怠感
といった症状がみられます。若い世代でも起こり得る病気であり、「単なる下痢だと思っていたら、検査で見つかった」というケースもあります。
おならと一緒に粘液や血の混じった便が出ることもあり、放置は禁物です。
便失禁・肛門のトラブルによる漏れ
「おならと一緒に少量の便が漏れる」「気づいたら下着が汚れている」場合は、便失禁や肛門のトラブルが関係していることがあります。
自分の意思どおりにおならや便を我慢できない
軽症では「おならのつもりが、少しだけ便が出ていた」という形で気づく
加齢・出産・肛門手術・神経障害などが背景にあることも多い
肛門括約筋の筋力低下や神経の障害、直腸脱や痔などさまざまな原因があり、専門の大腸肛門外科などで検査と治療を行います。
危険なサインと受診のチェックリスト(トラブルシューティング)
知恵袋の質問でも、「どの程度なら様子見してよいか」「どの症状が危険なのか」がよく話題になります。ここでは、一般的な目安をチェックリストで整理いたします。
すぐ受診・救急受診を検討すべき症状
次の項目に当てはまる場合は、速やかな受診、状況によっては救急受診を検討してください。
危険サインチェックリスト
38度以上の発熱が続いている
我慢できない強い腹痛が続き、トイレに行ってもほとんど軽くならない
血の混じった便、どろっとした血便、黒っぽいタール状の便が出る
水のような下痢が何度も続き、水分がほとんどとれない
めまい・立ちくらみ・尿の量が極端に少ないなど、脱水が疑われる
高齢者・乳幼児、持病(心臓・腎臓・糖尿病など)がある方で同様の症状が出ている
このような状態で、市販の下痢止めのみで様子を見続けることは危険です。
特に血便・高熱・激しい腹痛が揃う場合は、感染性腸炎やその他の重大な疾患が隠れている可能性があるため、自己判断を避け、医療機関を受診してください。
数日経過観察してよい可能性があるケース
次のようなケースは、比較的軽症の可能性がありますが、あくまで一般論です。不安が強い場合や、ご自身で判断が難しい場合は、早めの受診を推奨いたします。
経過観察の目安
下痢はあるが、発熱や血便はなく、腹痛も比較的軽い
水分や経口補水液、軽い食事がとれており、尿量も極端には減っていない
発症から数日程度で、下痢の回数や水っぽさが少しずつ減ってきている
おならと一緒に下痢が出ることはあるが、頻度が高くなく、生活に大きな支障がない
このような場合でも、1〜2週間以上症状が続く・繰り返すときには、念のため医師に相談することをおすすめいたします。
何科を受診する?診療科の選び方と受診の流れ
知恵袋でもよく質問されるのが「内科か消化器内科か、肛門科か、どこへ行けばよいのか」という点です。一般的な目安を整理いたします。
消化器内科に相談したほうがよいケース
次のような場合は、まず消化器内科が候補となります。
主な症状が下痢・腹痛・お腹の張りなど、腸全体の不調である
長期間続く下痢、下痢と便秘を繰り返すなどの症状がある
体重減少や血便、貧血などが心配
過敏性腸症候群・感染性腸炎・炎症性腸疾患などが疑われる
消化器内科では、問診・診察に加え、必要に応じて血液検査・便検査・画像検査・内視鏡検査などを行い、原因を探ります。
肛門科・大腸肛門外科を検討すべきケース
次のような場合には、肛門科・大腸肛門外科が適しています。
おならと一緒に少量の便が漏れる、下着が汚れるなど「便失禁」が疑われる
肛門の痛み・違和感・しこりがあり、痔が心配
直腸脱の疑いがある、または出産や手術歴があり肛門周囲にトラブルが出ている
専門外来では、肛門周囲の筋力や神経の状態、直腸の機能などを評価する検査を行い、リハビリ・薬物療法・必要に応じた手術などを組み合わせて治療します。
受診時に医師へ伝えるとよい情報リスト
診察をスムーズに進めるため、以下の情報を整理しておくことをおすすめいたします。
受診前メモの例
症状が始まった時期(○月○日頃から、何日前から など)
1日の排便回数と、通常と比べた変化
便の状態(色・硬さ・量・におい、血や粘液の有無)
一緒に出ている症状(発熱・吐き気・体重減少・倦怠感など)
直近の食事内容・外食・海外渡航歴
現在服用している薬・サプリメント(市販薬も含む)
糖尿病・心疾患・腎疾患などの持病の有無
仕事や学校・日常生活へどの程度影響しているか
スマートフォンのメモや簡単な日記形式で構いませんので、事前に記録しておくと有用です。
自宅でできる対処法と生活改善(応用・セルフケア)
ここからは、危険なサインがなく軽症と思われる場合に、自宅で取り組みやすい対処法について整理いたします。
食事・飲み物での注意点とおすすめ例
控えたほうがよいもの(例)
脂っこい料理(揚げ物・こってりした肉料理など)
アルコール全般(特にビールや炭酸酒)
香辛料の強い料理(辛味の強いカレー・激辛料理など)
よく冷えた飲み物の一気飲み
カフェインの多い飲み物を大量に摂る場合(コーヒー・エナジードリンク等)
一時的に取り入れやすい食事の例
おかゆ・やわらかく炊いたご飯
うどん(脂分の少ないあっさりした汁で)
消化しやすい具を少量入れた味噌汁・スープ
よく煮込んだ野菜(根菜など)を少量ずつ
経口補水液・スポーツドリンク(糖分の取り過ぎには注意)
乳製品や食物繊維は、体質により下痢を悪化させる場合もあるため、ご自身の体調を見ながら少量ずつ調整することが重要です。
仕事・学校・外出時の「もしもの備え」
外出先での「万が一」が心配で行動範囲が狭くなってしまうと、生活の質が下がってしまいます。次のような備えをしておくと、心理的な負担を軽減できます。
外出時にあると安心なもの
替えの下着(場合によっては靴下やストッキング等も)
生理用ナプキン・尿漏れパッド(便漏れのときにも使える)
おしりふき・ウェットティッシュ
ビニール袋(汚れた衣類を入れる用)
ポケットティッシュ・小型の消臭スプレー
可能であれば、薄手のズボンやスカートなど、かさばらない着替え
また、初めて行く施設や職場・学校では、事前にトイレの場所を把握しておくことも安心材料になります。
ストレス・生活リズムの整え方
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、ストレスの影響を受けやすい臓器です。過敏性腸症候群では、ストレスや緊張がきっかけとなって症状が悪化することが知られています。
就寝・起床時間をできる範囲で一定に整える
軽い運動(散歩・ストレッチなど)で血行を促し、リフレッシュする
入浴・趣味・好きな音楽など、自分なりのリラックス方法を持つ
不安や緊張が強く、日常生活に支障が出ている場合は、心療内科や精神科での相談も検討する
「お腹の症状だから内科だけ」と考えず、心と体の両面からアプローチすることで改善するケースもあります。
費用や治療のイメージ(ざっくり比較)
ここでは、受診を迷っておられる方のために、あくまで一般的なイメージとして費用や治療期間を簡単にご紹介いたします。
初診・検査の一般的な費用感の目安(概略)
以下は、保険診療(自己負担3割)のごくおおまかなイメージです。実際の金額は医療機関や検査内容により大きく変動します。
初診料+基本的な診察:数千円程度
血液検査・便検査などを追加した場合:数千〜1万円前後の追加になることもある
大腸内視鏡などの精密検査を行う場合:検査内容により数万円程度となる場合がある
詳細は、受診予定の医療機関にお問い合わせいただくのが確実です。
主な治療法と期間のイメージ
感染性腸炎などの場合
水分・電解質補給、整腸剤、必要に応じて抗菌薬など
多くは数日〜1週間程度で改善することが多い
過敏性腸症候群(IBS)の場合
下痢や便秘を調整する薬、整腸剤、場合により抗不安薬等
生活習慣・ストレスケアも含め、数ヶ月単位で経過をみていくことが多い
便失禁・肛門トラブルの場合
肛門括約筋のトレーニング(体操)、排便習慣の調整、薬物療法
必要に応じて手術や医療機器を用いた治療が検討されることもある
あくまで一般的なイメージであり、個々の治療内容や期間は担当医とご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. おならと一緒に下痢が出るのは、大腸がんなどのサインでしょうか?
A. この症状だけでただちに大腸がんを強く疑う必要は必ずしもありませんが、
次のような場合は念のため検査を受けておくと安心です。
血便や黒い便が続いている
明らかな体重減少がある
貧血を指摘されている
家族に大腸がん等の既往が多い
「大丈夫だろう」と決めつけるよりも、不安がある場合は一度消化器内科で相談されることをおすすめいたします。
Q. 若くても「おならと一緒に下痢が出る」症状は起こりますか?
A. はい、年齢にかかわらず起こり得ます。
過敏性腸症候群(IBS)は10〜20代を含む若年層にも多い疾患です。
感染性腸炎や食あたりは、年齢を問わず誰にでも起こり得ます。
「若いから大丈夫」と自己判断して放置することは避け、症状が長引く・悪化する場合には年齢に関係なく受診をご検討ください。
Q. 市販薬だけで様子を見てもかまいませんか?
A. 軽い症状で短期間の場合、市販の整腸剤などで様子をみることが許されるケースもあります。ただし、
高熱・血便・激しい腹痛がある
水分がほとんどとれず、脱水が疑われる
高齢者・乳幼児・持病のある方の症状である
このような場合に、市販の下痢止めだけで対処し続けることは危険です。
市販薬はあくまで一時的なサポートと位置づけ、改善しない・悪化する場合には速やかに医療機関を受診してください。