短期間で体重が落ちる、胃腸が休まってスッキリするといった声が広がる一方で、「倒れた」「リバウンドがやばい」「生理が止まった」など、不安をかき立てる体験談も多く見られます。ファスティングは正しく行えば一定のメリットがありますが、方法や体質を誤ると健康リスクが急激に高まる可能性があることも事実です。
本記事では、ファスティングが「やばい」と言われる具体的な理由を、医学的知見や公的ガイドラインに基づき丁寧に整理いたします。そのうえで、どのような人が特に注意すべきか、どこまでが比較的安全な範囲なのか、リバウンドや体調不良を防ぐための実践ポイントを網羅的に解説いたします。
「興味はあるが、本当に自分がやって大丈夫なのか判断できない」「失敗や体調悪化が怖い」という方でも、本記事を読むことで、ファスティングを“やる/やらない”を冷静に判断できる状態になることを目指しております。どうぞ安心してお読み進めください。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。
持病や服薬がある場合は、必ず主治医にご相談ください。
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ファスティングが「やばい」と言われる背景とブームの実態
そもそもファスティングとは?ダイエットで流行している理由
ファスティング(断食)とは、一定時間または一定期間、エネルギー摂取を大幅に減らす、あるいはほぼゼロにする方法です。
近年は、次のようなパターンで広まっています。
完全断食型:水のみ、またはごく少量の飲料だけで数日過ごす
置き換え型:酵素ドリンクやスムージーのみに置き換える
時間制限型(例:16時間断食):1日のうち一定時間はカロリーを摂取しない
週単位の制限(5:2ダイエット等):週2日は摂取カロリーを大きく減らす
「短期間で体重が落ちた」「胃腸が休まってスッキリした」といった声もあり、
SNSや動画配信サービスを通じて人気が高まっています。
一方で、やり方や体質によっては、体調不良やリバウンドなど“やばい”結果を招く可能性も指摘されています。
「やばい」と言われる主なパターン(体調不良・リバウンド・メンタル)
「ファスティングはやばい」と言われる典型的なパターンには、次のようなものがあります。
数日ほとんど食べなかった結果
頭痛・めまい・吐き気・脱力感で仕事や家事が手につかない
手の震えや冷や汗など、低血糖を疑う症状が出る
断食後、急に普通以上の食事に戻して
下痢・腹痛・倦怠感が出る
あっという間に体重が戻り、むしろ前より増えてしまう
極端な食事制限を繰り返すことで
食への執着が強くなり、過食と絶食を行き来してしまう
生理が止まった、周期が乱れたといったホルモントラブルが起きる
これらは、「空腹時間を少し長くする」程度の軽い調整では起こりにくい一方、
自己流の長期ファスティングや極端な方法でリスクが高まります。
医療現場・ガイドラインはファスティングをどう見ているか
日本糖尿病学会や日本肥満学会などの公的ガイドラインでは、
肥満症や糖尿病の治療において、基本となるのは
バランスの取れた食事
適度な運動
行動変容(生活習慣の改善)
とされています。
極端な断食や、長期にわたる飢餓状態を意図的に作る方法は、
標準的な治療としては推奨されていません。
また、長期の飢餓経験が将来の糖尿病リスクに影響し得ること、
近年流行している断続的断食については慎重な姿勢が必要であることも指摘されています。
つまり、医療のスタンダードは「断食ありき」ではなく、
あくまで安全性と持続可能性を重視した減量・生活習慣改善であると理解しておくことが重要です。
ファスティングが本当に「やばく」なる5つのリスク
① 栄養不足・筋肉量低下による基礎代謝ダウン
ファスティングで食事量を大幅に減らすと、
エネルギーだけでなく、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素も不足しがちです。
体は不足したエネルギーを補うために、まず肝臓などのグリコーゲンを消費し、
その後は筋肉を分解してエネルギー源にするとされています。
その結果として、
筋肉量が減り、基礎代謝が低下する
体力や免疫力が落ちやすくなる
ダイエット終了後に太りやすく痩せにくい体質になりやすい
といった悪循環が起こり得ます。
短期間で体重は落ちたように見えても、
実際には脂肪ではなく筋肉が多く減っているケースも少なくありません。
② 血糖値の乱高下・低血糖症状
長時間食事をしないことで血糖値が低下すると、次のような症状が出ることがあります。
強い空腹感
だるさ・集中力低下
手の震え・冷や汗・動悸
めまい・ふらつき
これはいわゆる低血糖状態を疑う症状であり、
とくに糖尿病の方や、血糖値に影響する薬を服用中の方は注意が必要です。
さらに、断食明けに糖質の多い食事を一気にとると、
血糖値が急上昇し、インスリンの分泌が過剰になる可能性もあります。
③ ホルモンバランス・自律神経の乱れ(女性の生理不順など)
急激な体重減少や、極端なカロリー制限は、
女性ホルモンの分泌バランスに影響し、以下のような問題を引き起こすことがあります。
無月経(生理が来なくなる)
生理周期が大きく乱れる
経血量の変化 など
また、長時間の空腹や血糖変動は、自律神経の乱れにもつながり、
不眠・寝つきの悪さ
イライラ・情緒不安定
慢性的なだるさ・頭痛
といった症状として現れることもあります。
④ リバウンドと体重サイクルによる長期リスク
ファスティングで急激に体重を落とし、その後短期間で元に戻る、
いわゆる「体重のジェットコースター」は、心血管疾患リスクの増加とも関連が指摘されています。
ファスティング後は
筋肉量が落ちて基礎代謝が下がっている
強い空腹感・飢餓感が残っている
といった状態になりやすく、以前と同じ量を食べても、
前より太りやすい条件がそろってしまうことがあります。
結果として、
短期的には痩せるが
長期的にはリバウンドを繰り返し
体重が少しずつ増えていく
という、本末転倒な状態になりかねません。
⑤ 持病悪化・薬との相性(糖尿病・低血圧など)
以下に該当する方は、自己判断でのファスティングは特に危険です。
糖尿病(インスリン・経口血糖降下薬を使用している)
低血圧・起立性低血圧
心疾患・腎疾患・肝疾患などで通院中
高血圧などで降圧薬を服用中
妊娠中・授乳中
過去に摂食障害を指摘された、または自覚がある
薬の作用と断食による血糖・血圧変動、脱水などが重なると、
重篤な症状につながるおそれがあります。
このようなケースでは、必ず主治医と相談し、
自己流でのファスティングは避けることが重要です。
あなたはやってはいけない?「ファスティングやばい度」セルフチェック
医師相談・原則禁止が望ましい人の条件
以下のセルフチェックで「はい」が一つでもある場合、
自己判断でのファスティングは避け、医師へ相談すべきゾーンとお考えください。
糖尿病・心疾患・腎疾患・肝疾患などで治療中である
高血圧・低血圧の薬を服用している
抗うつ薬・抗不安薬など精神科の薬を服用している
BMIが低め、またはこの数か月で急激に痩せた
妊娠中または授乳中である
成長期(10代〜20代前半)に該当する
過去に摂食障害(拒食・過食)を指摘されたことがある
これらは、専門家の判断なしに断食を行うべきではない典型例といえます。
生活状況・仕事環境から見た危険度チェック
次のような生活環境の場合も、「やばい度」が上がりやすくなります。
一日中立ちっぱなし・重い物を運ぶ仕事が多い
長時間の運転・高所作業など、集中力低下が事故につながる仕事をしている
夜勤・交代制勤務で生活リズムが不規則
小さなお子様の世話を一人で担っている
受験や繁忙期などで強いストレスがかかっている
血糖変動やふらつきが直接安全に関わる環境では、
無理なファスティングは避けることが賢明です。
摂食障害傾向・メンタル面から見た注意点
次のような思考・行動パターンがある場合は、
ファスティングが心身の状態を悪化させる可能性もあります。
少し食べただけで強い罪悪感を抱く
「完璧にできないなら意味がない」と0か100かで考えがち
過食したあとに「帳尻合わせ」として極端な絶食をしようとする
体重計の数字に過度に一喜一憂してしまう
このような場合、ダイエットそのものよりも、
メンタルのケアやストレスコントロールが優先課題であることも多く、
心理面のサポートも検討すべき状態と言えます。
それでも試したい人へ|比較的安全なファスティングの考え方
完全断食より「時間制限食(16時間断食など)」という選択肢
「数日間、固形物を一切とらない」といった完全断食は、
リスクが高く、基本的には医療機関や専門施設の管理下でのみ検討されるべきものです。
どうしてもファスティングを試したい場合は、まずは
朝食を少し遅らせる
夕食を早めに終える
など、1日の中で「食べない時間帯」を少し長くする時間制限食から検討する方法があります。
ただし、時間だけ調整しても、
食事内容が極端に偏っている
摂取カロリーが少なすぎる/多すぎる
といった場合には、体への負担が残ることに注意が必要です。
安全ラインの目安(日数・頻度・禁止事項)の一般論
安全面を考えるうえでの一般的な目安として、次のようなポイントが挙げられます。
自己流で複数日連続の完全断食を行うことは避ける
実施するとしても、まずは「日数」ではなく1日の時間帯の調整から
毎日のように極端な制限を行うのではなく、体調を見ながら頻度を決める
水分を一切とらない断食(ドライファスティング)は行わない
あくまで一般論であり、個々の健康状態によっては
「この範囲でもなお危険」である場合もあります。
絶対に守りたい3つのルール(無理をしない・水分・中止基準)
無理をしないこと
頭痛・めまい・動悸・強い倦怠感などが出たら、続行しない方向で検討する
水分と電解質の管理
汗をかきやすい時期や環境では、適切な水分・電解質補給を意識する
中止基準を事前に決める
「この症状が出たら即中止」「○日以上体調不良が続いたら医療機関へ」といったラインを、始める前に明確にしておく
「我慢すればそのうち慣れるだろう」と考えてしまうと、
本来は中止すべきサインを見逃す危険があります。
回復食を甘く見ると本当にやばい|安全な食事再開のポイント
なぜ回復食が重要なのか(消化管機能・血糖値の観点)
ファスティング中は、胃腸の活動が一時的にゆるやかになります。
その状態でいきなり普段以上の量や、脂質・糖質の多い食事をとると、
消化不良・腹痛・下痢
強い眠気・だるさ
血糖値の急上昇
などのトラブルを招きやすくなります。
断食そのものよりも、回復食の失敗で体調を崩すケースも少なくありません。
具体的な回復食の例とNG例
回復食として適した例(初日〜数日)
おかゆ(少量から徐々に)
よく煮込んだ野菜スープ
具が少なめの味噌汁
白身魚や豆腐など、消化に優しいタンパク質を少量から
避けたいNG例(特に断食明けすぐ)
揚げ物・フライ・ラーメンなど脂質が多いもの
ケーキ・菓子パン・ジュースなど糖分が多いもの
アルコール飲料
量だけでなく、内容とスピードを意識して、少しずつ通常食に戻していくことが大切です。
回復期に起こりやすいトラブルと対処の目安
軽い腹痛やお腹の張り
食事量を少し減らし、消化に良いものへ一時的に戻す
軽度の下痢
脂っこいもの・冷たい飲み物・アルコールを避け、様子を見る
一方で、
強い腹痛
発熱・嘔吐を伴う
下痢が長く続く
といった場合には、自己判断で様子を見続けるのではなく、
医療機関への受診を検討する必要があります。
ファスティングより現実的?標準的ダイエット療法との比較
公的ガイドラインが推奨する減量スピードと目標
肥満症や生活習慣病に関するガイドラインでは、「体重の3〜5%程度の減量」でも健康リスクを下げ得ること、また、1か月あたり0.5〜1kg程度の減量を目安とすることが多く示されています。
これは、
「短期間に10kg痩せる」といった極端な目標ではなく
健康を損なわず続けやすい範囲
を重視した考え方です。
ファスティング vs 緩やかなカロリー制限・運動の比較表
| 項目 | ファスティング(断食) | 緩やかなカロリー制限+運動 |
|---|---|---|
| 減量スピード | 短期で体重が落ちやすいが、筋肉減少のリスク大 | 緩やかだが、脂肪を中心に減りやすい |
| リバウンドリスク | 高くなりがち | 適切に行えば比較的低い |
| 安全性 | 体質・持病・方法によりリスクが大きく変動 | ガイドラインで推奨される標準的な方法 |
| 医療ガイドラインでの推奨度 | 一般の減量法としては慎重な扱い | 第一選択として推奨されることが多い |
| 続けやすさ | 空腹感・生活への負担が大きく、継続は難しいことが多い | 習慣化しやすく、長期的な継続が期待しやすい |
ファスティングは「短期間のきっかけ」として用いられることがありますが、
長期的な体重管理・健康維持の観点では、
食事内容の見直しと運動習慣の確立が主役であると考えられます。
どんな人にどの方法が向きやすいか
ファスティングが比較的向きやすいケース(あくまで医師相談のうえ)
短期集中で生活リズムや食習慣をリセットしたい
仕事や家事を調整できる期間が確保できる
緩やかなカロリー制限+運動が向きやすいケース
仕事や家庭の予定が詰まっており、倒れるわけにはいかない
持病や服薬がある
ダイエットだけでなく、長期的な健康維持が目標
多くの方にとっては、後者の「緩やかな制限+運動」をベースにするほうが、
現実的かつ“やばくない”選択になりやすいといえます。
よくあるトラブルとQ&A(トラブルシューティング)
頭痛・めまい・吐き気が出た場合
軽い頭痛やだるさは、血糖値や血圧の変動、カフェイン摂取の変化などにより起こることがありますが、
立っていられないほどのめまい
冷や汗・動悸・手の震え
強い吐き気や繰り返す嘔吐
といった症状が出た場合は、低血糖や脱水などの重い状態の可能性があります。
その際は、
ファスティングを中止する
水分・糖分の補給を検討する
症状が強い・改善しない場合は医療機関に相談する
といった対応が必要です。
生理が遅れた・止まった場合
ファスティングや極端なダイエットのあとに、
生理が来ない
周期が大きく乱れた
といった変化がある場合、女性ホルモンのバランスが崩れている可能性があります。
3か月以上生理がない、明らかにおかしいと感じる場合には、
婦人科での受診を検討すべき状態です。
ファスティングを含む過度な食事制限は一旦中止し、
医師の指示に従った体調管理を優先することが重要です。
ファスティング後に暴食してしまう場合
ファスティング後に暴食が続いてしまう場合、
強い空腹による反動
「我慢したご褒美」という心理
ストレス発散としての過食
などが重なっていることが多く、
ファスティングの方法自体が自分に合っていないサインともいえます。
この状態を放置すると、
体重の増減を繰り返す
自己嫌悪が強まり、心の負担が増える
摂食障害のリスクが高まる
といった悪循環につながりかねません。
その場合は、
ファスティングを中止し
食事内容の見直しや、ストレスケア、睡眠改善など
より穏やかな方法へ切り替えることが望ましいです。
やめた後も体重が増え続けるのはなぜ?
ファスティング後に体重が増え続ける背景としては、
筋肉量が減り、基礎代謝が落ちている
空腹感や「解放感」から食事量が増えている
甘いものや脂っこいものが増えている
などが考えられます。
このような場合には、
現在の食事内容と量を1〜2週間記録する
体重・体調の変化と合わせて振り返る
必要に応じて栄養士や医師に相談する
といったステップで、仕切り直しをすることが重要です。
まとめ|「やばい」情報に振り回されないための考え方
この記事の要点のおさらい
ファスティングは、「やり方」「体質」「持病」によっては本当に“やばい”結果を招き得ます。
主なリスクは、栄養不足・筋肉量低下・血糖値の乱高下・ホルモンバランスの乱れ・リバウンド・持病の悪化などです。
医療ガイドラインの基本は、ファスティングではなく、バランスの良い食事と運動・生活習慣の改善です。
どうしても試したい場合でも、
完全断食より時間制限食など緩やかな方法から
水分補給と回復食、中止基準を徹底する
「自分はやってはいけない条件に当てはまらないか」を事前に確認する
ことが大切です。
やる/やらないの判断フレーム
ファスティングをするかどうか迷ったときは、次の順番で考えることをおすすめいたします。
自分の体・持病・生活環境を客観的にチェックする
公的ガイドラインや医師監修情報に目を通す
「断食以外の選択肢」(食事改善・運動・睡眠など)も横に並べて比較する
それでも行う場合は、最小限・短期間から始め、中止基準を先に決めておく
「おかしい」と感じたら続けない・受診を検討する
このフレームに当てはめることで、
「なんとなく流行っているから」「インフルエンサーが推しているから」といった理由だけで、
自分にとって危険な方法を選んでしまうリスクを減らせます。
これから情報収集するときのチェックポイント
今後、ファスティングやダイエット情報を調べる際には、次の点を確認すると安心です。
発信者は誰か(医師・栄養士・公的機関か、それとも個人か)
研究やガイドラインなど、根拠となる情報源への言及があるか
メリットだけでなく、リスクや「やってはいけない人」についても触れているか
「絶対に安全」「必ず痩せる」など、極端な表現が多くないか
本記事が、「ファスティング やばい」と不安を感じている方の判断材料となり、
健康を損なわないダイエット選びの一助となれば幸いです。