「毎月の数字が怖い」「断られ続けて自信がなくなった」「残業や休日対応で心も体も休まらない」――営業職がきついと感じるときは、つらさの原因がひとつではなく、いくつも重なっていることが少なくありません。
ただ、その苦しさを「自分が向いていないから」と片付けてしまうのは危険です。営業のきつさは、ノルマやKPIの設計、営業手法や顧客属性、上司や組織運用など“環境の構造”によって増幅されることが多く、原因を正しく切り分けるだけで取れる選択肢が一気に増えます。
本記事では、営業職がきついと言われる理由を整理したうえで、あなたの状況がどこに当てはまるのかをチェックリストで見える化し、今日からできる対処法、相談の伝え方、きつくない営業の選び方、そして心身が限界に近いときの安全な離れ方までを一本道で解説します。読み終えたときに「次に何をすればいいか」が具体的に決まるはずです。
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営業職がきついと感じる主な理由を整理する
ノルマとKPIがプレッシャーになりやすい背景
営業職の「きつさ」は、単に目標があるから生まれるわけではありません。多くの場合、目標が「評価」「処遇」「社内での立場」と強く結び付いており、未達が続いた瞬間に心理的な逃げ場がなくなる構造が原因です。
たとえば、毎朝の進捗共有、夕方の数字確認、週次会議での詰め、月末の追い込みなど、数字が近づくほど「仕事の時間」より「数字の説明の時間」が増える職場は珍しくありません。すると、成果が出ないことそのものよりも、成果が出ない状態で人前に立つこと、説明すること、反省を求められることが恐怖になっていきます。
さらに、KPIが細分化されている職場では、「売上が足りない」ではなく「架電数が足りない」「訪問数が足りない」「提案数が足りない」など、未達の理由が常に個人の行動に還元されやすくなります。行動量を増やしても結果が出ないと、「行動の質が悪い」「気持ちが弱い」といった精神論に寄りやすく、追い詰められた感覚が強まります。
ここで重要なのは、あなたの努力不足かどうかを急いで結論付けないことです。目標設定が現実と乖離していたり、受注確度の低いリードばかりが配られていたり、そもそも市場環境が変化している場合、どれほど頑張っても届きにくい数字になっている可能性があります。「きつい」の正体を見誤ると、必要以上に自分を責め続けてしまいます。
断られる回数が多く自信が削られやすい
営業は構造的に「断られる仕事」です。断られること自体は職務の一部ですが、問題は断られ方が連続すると、脳がそれを危険信号として学習し、行動するだけで強い負荷を感じるようになる点です。特に新規開拓(テレアポ・飛び込み・紹介依頼)は、短時間で多くの拒否反応にさらされやすく、気力の消耗が激しくなります。
また、「断り=人格否定」と感じやすい状況が重なると、営業は一気に苦しくなります。たとえば、以下のような場面です。
相手の態度が強く、冷笑・怒声・遮りなどの反応を受けた
同期や先輩は取れているのに自分だけ取れない
上司から「断られるのは当たり前」と言われるが、具体的な改善策がない
断られた理由が分からず、同じ失敗を繰り返している気がする
断られる回数が多い環境ほど、必要になるのは「心の強さ」ではなく「構造の理解」と「再現性」です。断られやすい相手に当たりに行っていないか、提案の順番が悪くないか、刺さる課題設定ができているか、決裁者に届いているか。こうした要素を分解できると、断りは「自分が否定された」ではなく「仮説が外れた」に変わり、メンタル消耗が下がります。
残業や休日対応が増えやすい業務構造
営業職は「顧客の時間」と「社内の時間」の両方に合わせる必要があるため、長時間労働が起きやすい構造があります。日中は顧客対応(訪問・商談・電話・メール)、夕方以降は社内対応(報告・資料作成・会議・見積や契約処理)が詰まりやすく、結果として「日中は外、夜は内勤」という形になりがちです。
さらに、営業は想定外が起きやすい職種でもあります。
納期遅れ、仕様変更、見積差し戻し
クレーム、請求トラブル、契約の解釈違い
担当者変更、決裁者変更、競合参入
こうした事態は、発生した瞬間に対応が必要になることが多く、時間外や休日に食い込む原因になります。
もしあなたが「毎日遅い」だけでなく、「休みの日も頭が仕事から離れない」「寝る直前まで顧客メールを見ている」「休日にトラブル連絡が来る」状態になっているなら、きつさは疲労だけでなく回復不能に近づきます。営業の努力は体力ではなく回復力で決まります。回復の時間が奪われると、同じ能力でも成果が落ち、さらに詰められる、という悪循環に入りやすくなります。
商材や売り方に納得できないと苦しくなる
営業がきついと感じる大きな要因のひとつが、「売ることへの納得感」です。数字が厳しくても、商材が本当に顧客の役に立つと確信できている場合、人は踏ん張れます。しかし、以下のような状況では、契約を取るほど心が削られます。
導入後の不満が多く、解約やクレームが頻繁に起きる
デメリットが大きいのに、説明しにくい雰囲気がある
実態より大きく見せないと売れない
競合より劣っているのに価格が高い
成果が出ないのに「顧客の使い方が悪い」で片付ける文化がある
この状態では、営業は「顧客のため」ではなく「会社のため」だけの行為に感じやすく、心理的な抵抗が強まります。抵抗が強いまま提案すると、声や表情に出てしまい、成約率も下がります。するとさらに追い込まれ、「売りたくないのに売れない」という二重の苦しさになります。
ここでのポイントは、あなたの善悪ではなく「商材・プロセス・ターゲットの整合性」です。納得感が持てない理由を具体化すると、改善できる(売り方、提案先、期待値調整)場合もありますし、環境を変えるべき判断にもつながります。
上司や組織運用がきつさを増幅させるケース
同じ営業でも、組織運用によってきつさは激変します。売れない時期があるのは普通ですが、伸びる組織は「売れない時の支援」が仕組み化されています。具体的には、同行、ロープレ、勝ちパターンの共有、提案書テンプレ、案件レビューなどがあり、個人が抱え込まない設計になっています。
一方で、きつさを増幅させる組織には共通点があります。
未達=人格否定に近い言い方をされる
具体策がなく、気合・根性に寄る
報告だけが増え、改善の時間が減る
失敗が共有されず、同じミスが再発する
優秀な人のやり方が属人化し、再現できない
このタイプの組織で「頑張り続ける」ほど、あなたの心身は削られます。努力の方向が合っていないのに走らされるからです。営業のきつさは、個人の資質よりも「設計」で決まる部分が非常に大きいと理解しておくと、自分を責め過ぎずに済みます。
営業職のきつさを原因別に切り分けるチェックリスト
数字設計が原因のサイン
きつさの原因が「数字設計」にある場合、あなたが頑張っても報われにくい状態になっている可能性があります。以下のチェックで当てはまるものが多いほど、環境側の要素が強いと考えられます。
数字設計チェックリスト
市場やエリアの規模が縮小している(競合増、需要減、予算カット等)
目標が前年比ベースで決まり、現実の変化が反映されていない
受注確度の低いリードが中心で、母数が足りない
成約率を左右する要因(価格、機能、納期)が営業の裁量外にある
過去の実績が「一部の大型案件」に偏っていて再現性が低い
自分の担当領域だけ不利(顧客属性、地域、商品ライン)
目標が途中で上がる、もしくは評価基準がブレる
数字設計の問題は、感情ではなく「データ」に落とすと話が進みます。たとえば、
リード数 → 商談化率 → 提案率 → 受注率 → 単価
このファネルで「どこが詰まっているか」を見える化すると、「努力で埋められる穴」と「構造上無理な穴」が切り分けられます。
営業手法と顧客属性が原因のサイン
営業手法と顧客属性が合っていないと、頑張るほど消耗しやすくなります。以下のサインが多い場合、「営業の才能」よりも「やり方と相性」の問題かもしれません。
手法・顧客チェックリスト
新規比率が高く、断られる体験が日常化している
顧客が価格でしか判断せず、提案が刺さりにくい
決裁者に会えず、担当者止まりで失注しやすい
商談が長期化し、案件管理が増える
クレームやトラブルの一次対応が営業に集中する
顧客の要求が過大で、無理な調整が常態化している
競合優位が強く、戦う前から不利
このタイプでは、改善の打ち手が「話し方」だけになりがちですが、本質は別にあります。
ターゲットの絞り方(刺さる業界、規模、役職)
初回の目的設定(売るより課題の合意)
決裁導線(誰に何をどう通すか)
提案の順番(いきなり商品説明に入らない)
これらを整えるだけで、同じ人でもきつさが下がるケースは多いです。
組織運用とマネジメントが原因のサイン
組織運用が原因の場合、あなたの努力が「成果」に変わる前に「消耗」に変わっている可能性があります。次の項目に当てはまる場合は、相談・異動・環境変更が効きやすい領域です。
組織運用チェックリスト
上司が数字しか見ず、案件レビューがない
同行や教育がなく、結果だけ求められる
評価が不透明で、何を頑張れば報われるか分からない
目標未達の際に晒しや吊し上げがある
報告資料が多く、顧客対応の時間が減っている
チームで勝つ設計がなく、個人戦になっている
成功パターンが共有されず、属人化している
こうした環境では、「自分が向いていない」と感じやすくなります。しかし、同じ人でも運用が変われば成果が出ることは珍しくありません。まずは原因を組織側にも置いてよい、という視点を持つことが重要です。
自分のスキル不足と誤認しやすいポイント
営業がきつい時、最も起こりやすい誤認は「全部自分のせいだ」と考えてしまうことです。もちろんスキルが影響する場面はありますが、以下はスキル不足に見えて、実は環境要因が大きい代表例です。
商品知識が追い付かない:教育・資料が整っていない
提案が刺さらない:ターゲットと課題がズレている
受注できない:決裁者に届いていない、競合優位が強い
失注が続く:見込み客の質が低い、価格設計が厳しい
スキルを伸ばすにしても、環境要因を放置したままでは伸びません。まず「自分の努力で変えられる領域」を明確にし、それ以外は相談・交渉・異動・転職で解決する、という切り分けが現実的です。
営業職がきつい時にまずやる対処法
相談の前にやる棚卸しと記録の取り方
相談は、勢いで「きついです」と言うよりも、短い整理があると通りやすくなります。感情は最後に添えるくらいで十分です。まずは事実を固めましょう。
棚卸しの手順(10〜15分でできる形)
直近1か月の活動量(架電数、商談数、訪問数)
進捗のボトルネック(商談化率、受注率、単価、決裁導線など)
きつさの要因(数字設計/手法・顧客/組織運用)
具体的な困りごと(残業、休日対応、詰め、クレームなど)
欲しい支援(同行、担当調整、KPI見直し、業務分担など)
これをメモに落とし、相談時に見せられるようにすると、会話が「根性論」になりにくくなります。
記録テンプレ(そのまま使えます)
目標:売上◯円/受注◯件/粗利◯円
現状:受注◯件、見込み◯件、提案◯件
詰まり:商談化率が低い/決裁者に会えない/単価が出ない
背景:リード質、価格、競合、担当領域、社内承認など
打ち手:ターゲット再設定/初回商談の型変更/決裁導線の設計
依頼:同行、レビュー、担当変更、業務分担、目標調整
上司に伝える順番と言い方テンプレ
上司に伝える時は、相手が判断しやすい順番に並べるのがコツです。「苦しい」は大事ですが、先に出すと感情の議論に寄ることがあります。おすすめの順番は以下です。
伝える順番
現状(数字・事実)
要因(仮説)
具体策(自分の案)
必要支援(上司・組織に依頼したいこと)
期限(いつから変えるか)
言い方テンプレ(例)
「現状、今月は見込みが◯件で、未達の可能性が高いです」
「要因はAとBで、特にAがボトルネックになっています」
「改善策として、①ターゲットを◯◯に絞る、②初回商談の進め方を変える、を試します」
「そのために、今週は◯◯案件のレビューと、来週は同行をお願いできますか」
「2週間で指標を見て、必要なら担当やKPIの調整も相談したいです」
「支援してほしい」ではなく「支援があれば改善の検証ができる」という形にすると、建設的な会話になりやすいです。
業務量と目標の調整で交渉できる代表例
営業のきつさは、業務設計の変更で大きく下げられます。交渉の軸は「成果に直結しない負荷」を減らすことです。
交渉しやすい代表例
新規の一部を反響・紹介に寄せる(ターゲットの変更を含む)
重点顧客を絞り、提案の質に振り切る
KPIを「量」から「質」へ変更(決裁者アポ、提案同席など)
事務作業の分担(見積、請求、契約、日程調整の支援)
クレーム一次対応の切り分け(CS・上長同席のルール化)
会議と報告の削減(頻度、資料量、フォーマット統一)
交渉のポイントは、「楽をしたい」ではなく「成果が出る設計に戻したい」という言い方を徹底することです。数字を上げるための調整である、と説明できると通りやすくなります。
1人で抱えないための社内外の相談先
営業がきつい時、最も危険なのは「相談できない状態」に陥ることです。相談には段階があります。
社内の相談先(順番の例)
直属上司(まずは状況共有)
上司の上司(支援が得られない時)
人事(配置や制度の相談)
産業医・保健師(会社にいる場合。体調面の相談)
社外の相談先
家族・友人(生活の支えとして)
医療機関(睡眠不調、強い不安、抑うつ感が続く場合)
公的相談窓口(自治体の心の健康相談など)
転職エージェント(環境比較の情報源として)
「相談=弱さ」ではなく、状況を客観視するためのツールです。特に体調が崩れ始めている場合、仕事の議論より先に健康を守る判断が必要になります。
営業職の向き不向きを見極める判断軸
向いていないのではなく環境が合っていない場合
「向いていない」と感じる時でも、実は「今の型の営業が合っていない」だけ、というケースは非常に多いです。次の特徴があるなら、職種を変える前に「営業の型」を変える余地があります。
関係構築はできるが、新規の初動が極端に苦しい
丁寧に聞き取って提案を組み立てるのは得意
単発で売り切るより、継続的に伴走する方が合う
相手の反応が穏やかな環境だと力が出る
この場合、たとえば「新規開拓中心→既存深耕中心」「BtoC→BtoB」「短期決着→長期伴走」「単発→サブスク更新」など、型を変えるだけで働きやすくなる可能性があります。
向いていない可能性が高い状態と行動パターン
一方で、環境を整えても強い苦痛が続くなら、職種転換が合理的なこともあります。次の状態が長く続く場合は、無理に粘らず選択肢を広げた方が安全です。
顧客対応の前に強い身体症状(動悸、吐き気)が出る
断られる体験から回復できず、行動が止まる
人と話すこと自体に強い消耗があり、休日も回復しない
「売る」行為が価値観と合わず、罪悪感が消えない
改善の試行そのものが苦痛になり、学習が回らない
ここで重要なのは、「向いていない=ダメ」ではないことです。合わない靴で走り続けると怪我をします。合う靴に変えるのが合理的です。
伸ばせるスキルと相性の良い営業タイプ
営業の経験は、タイプを選べば武器になります。自分に合う形へ寄せるためのヒントを整理します。
関係構築が得意:既存深耕、ルート営業、代理店営業
聞き取りと整理が得意:法人向け提案営業、インサイドセールス
スピードと量が得意:短期決着の商材、反響営業
丁寧さが得意:更新・継続中心のサブスク、保守契約
調整が得意:アライアンス、営業企画、プロジェクト推進
「営業がきつい」を抜けるには、努力量を増やすよりも、努力が成果に変わる型へ寄せる方が効果的です。
きつくない営業職を選ぶための比較ポイント
新規より深耕が多い営業の特徴
きつさを下げたい場合、最初に見るべきは新規比率です。新規が高いほど、断られる回数・初動の負荷・精神的な摩耗が増えやすいからです。
深耕中心の営業で起きやすい良い変化
断られる回数が減り、会話の質が上がる
顧客理解が積み上がり、提案が再現しやすい
更新や追加提案で数字が積み上がる
“ゼロからの関係構築”の負荷が減る
ただし深耕にも、担当顧客トラブルが重い、関係が固定されて成長機会が少ない、という側面があります。重要なのは「深耕の負荷を支える体制(CSやサポート)」があるかどうかです。
評価制度が個人主義かチーム主義か
同じ営業でも、評価制度が個人主義だとプレッシャーが強く、チーム主義だと支援が得やすい傾向があります。
見分ける視点
個人目標が売上のみか、プロセスも評価するか
未達時に支援(同行、レビュー)があるか
案件共有が促進される仕組みがあるか
情報共有の文化があるか(勝ちパターンの言語化)
個人主義が必ず悪いわけではありません。ただ、いま「きつい」と感じているなら、チーム支援がある環境の方が立て直しやすいことが多いです。
商材のリピート性と粗利構造で負荷が変わる
営業の負荷は「売る難しさ」だけでなく、「売った後の世界」でも決まります。リピート性や粗利構造は、働きやすさに直結します。
リピート性が高い:更新・継続で数字が積み上がりやすい
粗利が高い:値引き勝負になりにくく、提案が成立しやすい
解約率が低い:売った後の罪悪感やクレームが減りやすい
導入効果が明確:顧客の納得感が高く、紹介が生まれやすい
逆に、解約が多い、クレームが多い、売った後にトラブルが起きやすい商材は、営業の精神的負荷を増幅させやすいので注意が必要です。
業界名より求人票で見るべき項目
「この業界は楽そう」といったイメージで選ぶと外れやすいです。求人票や面接で確認するべきは、構造の部分です。
求人票チェックリスト(重要度順)
新規:既存比率(何割か)
リード獲得方法(会社供給か、自己開拓か)
目標の種類(売上だけか、更新率や満足度も含むか)
評価制度(プロセス評価の有無、透明性)
教育体制(同行、研修、ロープレ、ナレッジ共有)
チーム体制(分業、CS、事務サポート)
残業の実態(平均、繁忙期、直行直帰の運用)
顧客属性(決裁者に会えるか、価格感度が高いか)
商材特性(解約率、導入効果、アップセルの余地)
面接では「御社の営業で成果が出る人の共通点は何ですか」「未達の時はどのように支援されますか」と聞くと、運用のリアルが見えやすくなります。
比較表:営業タイプ別のきつさが出やすい点
以下は、営業タイプごとの“きつさが出やすいポイント”を整理したものです。あなたがいま苦しい理由と照らし合わせると、次の環境選びが具体化します。
| 営業タイプ | きつさが出やすいポイント | きつさを下げやすい工夫 |
|---|---|---|
| 新規開拓中心 | 断られ続ける、行動量が過多、短期数字圧 | 反響比率が高い会社、分業(IS/FS)、ターゲット絞り |
| 既存深耕中心 | 担当顧客トラブルが重い、関係が固定化 | CS・サポート体制、担当分散、更新設計の明確化 |
| BtoC個人営業 | 感情労働、クレーム、土日対応 | 来店・紹介中心、教育の厚さ、対応範囲の線引き |
| BtoB法人営業 | 商談長期化、社内調整、提案難度 | 決裁導線の型、提案支援、ナレッジ共有 |
| 低単価大量販売 | 件数勝負で疲弊、値引き圧 | 単価アップ、既存比率アップ、プロセス短縮 |
| 高単価ソリューション | 学習負荷、提案設計、失注の痛さ | 伴走型教育、プリセールス支援、チーム提案 |
営業職が限界のサインと安全に離れる手順
体調とメンタルの危険サイン
「きつい」は我慢できても、「危険」は我慢してはいけません。次のサインが出ている場合、優先順位は数字より健康です。
危険サインチェックリスト
寝つけない、途中で何度も起きる、悪夢が増える
出社前に動悸・吐き気・腹痛が起きる
休日も不安が抜けず、回復しない
食欲が落ちる、体重が急に減る(または増える)
涙が出る、気分が落ち込む日が続く
集中力が続かず、ミスや物忘れが増える
「消えてしまいたい」など極端な思考がよぎる
この段階では、仕事の改善だけで解決しないことがあります。医療機関の受診や休職を含めた「退避行動」を早めに検討した方が、回復は早くなりやすいです。
残業時間の上限規制と注意点
残業が増えている場合、体感だけでなく「事実」を把握することが大切です。勤怠が実態を反映していないケースもあるため、可能であれば以下を整理しましょう。
勤怠記録(打刻)
PCログ(起動・終了、VPN)
メール送信時刻
チャット履歴の時刻
カレンダー(会議・商談)
「自分の働き方が危険ラインに近いか」を判断する材料になります。会社に相談する際も、事実があると対話が進みます。
休職・受診・異動・転職を並行する進め方
限界が近い時ほど、感情で動くと後悔しやすいので、手順を固定するのが安全です。次の流れを目安にしてください。
安全に離れる手順
記録する:残業時間、体調、詰め、トラブルをメモ(短文でOK)
相談する:上司→人事→産業保健(可能なら)の順で支援を求める
受診する:睡眠不調や強い不安が続くなら、早めに医療機関へ
退避策を並行する:担当変更、業務調整、異動、在宅、休職の可能性確認
転職準備を始める:再発しない条件(新規比率、評価制度、支援体制)を言語化
退職判断をする:改善見込みがない/健康が守れないなら、離脱を選ぶ
ポイントは「どれかひとつ」に賭けないことです。相談が通らないこともありますし、転職がすぐ決まるとも限りません。複線化することで、追い詰められにくくなります。
退職前にやるべき手続きチェックリスト
退職は悪いことではありませんが、準備なしに辞めると、経済的・心理的に不利になりやすいです。最低限、以下を押さえてください。
退職前チェックリスト
雇用契約書・就業規則・評価制度の確認(控えを手元に)
有休残日数と消化計画
引き継ぎ範囲の整理(顧客連絡、案件状況、データの所在)
社内貸与物(PC、スマホ、IDカード、名刺)の返却準備
退職後の手続き(保険・年金・住民税)をざっくり把握
次の環境に求める条件を明文化(新規比率、目標運用、支援体制、残業)
退職理由を言語化(転職面接用に整える)
「辞める」ことが目的になってしまうと、次の職場でも同じ構造に入りやすくなります。辞める前に、何がきつかったのか、何が必要だったのかを必ず言葉にしておくと、再発が防げます。
よくある質問
営業職がきついのは最初だけですか
最初だけきつく、その後は楽になるケースはあります。理由はシンプルで、経験が増えると「勝ちパターン」が見え、断られる回数が減り、案件の見極めができるようになるからです。
ただし、数字設計が無理、組織運用が危険(詰め・長時間・放置)といった構造が原因の場合、慣れてもきつさが下がりません。この場合は、努力の前に環境要因を切り分け、相談・交渉・異動などの選択肢を検討した方がよいでしょう。
営業を辞めたら年収は下がりますか
短期的に下がる可能性はあります。特にインセンティブ比率が高い営業から、固定給中心の職種へ移る場合は差が出やすいです。
一方で、長時間労働やメンタル消耗が減り、生活が整うことで中長期のパフォーマンスが上がり、結果的に年収が伸びる人もいます。年収だけでなく、継続可能な働き方・健康コスト・伸びしろ(スキルの積み上がり)まで含めて比較するのが現実的です。
営業経験はどんな職種に活かせますか
営業経験は「話せる」だけではなく、課題を聞き出して整理し、関係者を動かし、成果につなげた経験として評価されます。活かしやすい職種は以下です。
カスタマーサクセス(導入後の定着・活用支援)
インサイドセールス(商談創出・ナーチャリング)
マーケティング(リード育成、顧客理解の言語化)
営業企画(仕組み化、KPI設計、改善推進)
企画・推進系(社内調整、プロジェクト推進)
転職で強くするコツは、「売った」よりも「どうやって成果を再現したか」を語ることです。たとえば、ターゲットを絞った、決裁導線を設計した、提案の型を作った、失注理由を分析して改善した、などの要素に分解すると説得力が上がります。
ノルマがない営業職は本当にありますか
「個人ノルマが明確でない」会社はあります。ただし、目標や期待値がゼロという意味ではないことがほとんどです。見えにくい形で目標が存在する場合もあります。
確認すべきは、個人目標の強さ、評価の透明性、未達時の運用、チーム支援の有無です。求人票チェックリストの項目(新規比率、リード供給、教育体制、評価制度、残業実態)を使って、構造として“きつくなりにくいか”を見極めるのが確実です。