デンタルフロスが歯に挟まって取れなくなるのは、決して珍しいトラブルではありません。特に次のような場面で起こりやすいとされています。
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奥歯の狭いすき間でフロスが引っかかる
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詰め物・被せ物の縁(段差)がある部分で糸がほつれる
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矯正装置やブリッジ・インプラント周りに引っかかる
実際のQ&Aサイト(いわゆる「知恵袋」)では、次のような悩みが多く見られます。
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「フロスが切れて糸だけ挟まった。歯医者に行くのは恥ずかしい」
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「糸ようじでさらにガリガリしてしまったが大丈夫か不安」
つまり、「自分でなんとかしたい」「でも歯を傷めたくない」「歯医者に行くのは少しハードルが高い」という気持ちの中で、スマホ検索をしている方が多い状況です。
本記事では、そのような方に向けて、
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今すぐできる安全な対処法
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歯医者に行くべきサイン
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そもそもなぜ挟まるのか・どう防ぐか
を順番に整理してご説明いたします。
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フロスが挟まる背景には、虫歯・歯石・詰め物の劣化など、歯側の問題が隠れていることが多いです。
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危険サイン(痛み・腫れ・出血・膿・詰め物のグラつきなど)がある場合は、自宅で無理をせず早めに歯科受診することが大切です。
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自宅で対処する際は、
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前後に小さく動かしながら少しずつ抜く
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片側を外して横から引き抜く
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新しいフロスで絡め取る
といった方法を、「やさしい力」で試すようにしてください。
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フロスや食べかすを挟んだまま放置すると、炎症や虫歯・口臭のリスクが高まります。
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今の状態を冷静にチェックする
痛み・腫れ・出血・膿・詰め物の状態を確認し、危険サインがあれば受診を優先してください。 -
本記事の手順に沿って、安全な範囲で自宅対処を試す
無理はしない、痛みが出たらすぐに中止する、というルールを守ることが重要です。 -
フロスや歯間ブラシ、使い方を見直す
細め・切れにくいフロスや、適切なサイズの歯間ブラシを検討し、正しい動かし方を意識してみてください。 -
定期検診を予約し、フロスが挟まる部位を相談する
「ここだけいつも挟まる」と具体的に伝えることで、原因の特定や治療につながりやすくなります。
フロスが挟まる主な原因と放置すると起こりうること
フロスが挟まる背景には、次のような要因が考えられます。
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歯と歯の間に虫歯や段差ができている
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歯と歯の間に歯石がたまり、表面がザラザラしている
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詰め物・被せ物の劣化により、境目に引っかかりやすくなっている
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フロスの太さ・強度がその部位に合っていない
特に、虫歯・歯石・詰め物の劣化などは、フロスが通りにくい・引っかかりやすい原因としてよく挙げられます。
また、フロスや食べかすが歯の間に挟まったまま長時間放置されると、
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その部分に歯垢や歯石がたまりやすくなる
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歯茎に炎症が起こり、腫れ・出血・痛みの原因となる
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口臭や虫歯・歯周病のリスクが高まる
といった悪影響が出る可能性があります。
「少し挟まっただけだから」と長期間放置するのはおすすめできません。できるだけ早めに取り除くか、難しければ歯科医院に相談することが大切です。
まず自分でできる安全な対処手順
対処前に確認したい「危険サイン」チェックリスト
フロスが挟まったとき、対処を始める前に、まず以下の点を確認してください。
次の項目に1つでも当てはまる場合は、自宅で無理に取ろうとせず、歯科医院への受診を強くおすすめいたします。
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強い痛みがある
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歯茎が大きく腫れている
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触れると出血が続く
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膿が出ている、あるいは口の中に変な味がする
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発熱や全身のだるさを伴う
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詰め物・被せ物がグラグラしている、または外れかけている
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何度も同じ場所でフロスが切れる・挟まる
これらの症状がある場合、単なるフロスのトラブルではなく、歯茎の深い炎症や虫歯などが隠れている可能性があります。大きなトラブルになる前に、早めに歯科医師に診てもらうことが重要です。
自宅で試せるステップバイステップ対処法
危険サインがなく、軽い挟まり方であれば、次の手順を「やさしく」「少しずつ」試してみてください。
ステップ1:落ち着いて鏡の前で状態を確認する
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洗面台など、明るい場所に移動します。
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口を大きく開け、鏡でどの歯のどのあたりにフロスが挟まっているか確認します。
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歯茎が大きく裂けていたり、出血が強い場合は、ここで無理をせず受診を検討します。
ステップ2:フロスを前後に小さく動かしながら、少しずつ引き抜く
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フロスをピンと張りすぎず、適度なたるみを持たせて持ちます。
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歯と歯の間で、上下ではなく「前後方向」に小さく動かします。
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前後に動かしながら、ほんの少しずつ上(または下)にスライドさせて引き抜いていきます。
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痛みが強く出る、糸がさらに裂けそうな場合は、一旦中止してください。
ステップ3:片側を指から外し、横から引き抜く方法
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指に巻きつけているフロスの片方を外します。
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片側だけを持った状態で、歯と歯の間を通して、ほほ側または舌側へ「横方向」にゆっくり引き抜きます。
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上下に引き上げるよりも抵抗が少ないため、スッと抜ける場合があります。
ステップ4:新しいフロスを使って絡め取る
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新しいフロスを用意し、通常どおり歯と歯の間に通します。
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挟まっている糸の近くで、フロスを軽く左右に動かして絡め取るイメージで動かします。
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絡みついた感触があれば、ゆっくりと抜きます。
ステップ5:それでも取れない場合
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それ以上は無理をせず、そのまま歯科医院に相談してください。
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無理な力で引き抜き続けると、歯茎を深く傷つけたり、詰め物・被せ物を壊してしまうおそれがあります。
「少し糸が残っているだけだから」と放置するのではなく、「取れないものは歯医者さんに任せる」という考え方で問題ありません。
絶対に避けたいNG行動とその理由
次のような自己処置は、歯や歯茎を傷つける危険が高いため、おすすめできません。
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強く一気に引き抜く
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繰り返し、同じ箇所を力任せにゴシゴシこする
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安全ピン・縫い針・クリップなどの金属を差し込む
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爪楊枝を力いっぱい押し込んでこじ開ける
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アルコールや強い薬液で「溶かそう」とする
これらの行為は、
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歯茎に深い傷をつけてしまう
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歯や詰め物の表面に傷を作る
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細菌を押し込んでしまい、炎症を悪化させる
といったリスクにつながります。特に金属製の尖ったものは、わずかな手元の狂いで取り返しのつかない傷になる可能性がありますので、使用しないでください。
歯医者さんに行くべきか迷ったときの判断基準と費用の目安
今すぐ受診したほうがよいケース
次のような場合は、自己判断での対処をやめ、できるだけ早く歯科医院を受診してください。
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強い痛み・ズキズキする痛みが続いている
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歯茎が大きく腫れている、または膿が出ている
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出血がなかなか止まらない
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詰め物・被せ物が外れた、または明らかにグラついている
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何度も同じ場所でフロスが切れる・挟まる
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糸が深い位置に入り込んでいるように見え、自分ではどうにもできない
「フロスを詰まらせただけで行っていいのかな…」とためらう方も多いですが、歯科の現場ではよくある相談です。恥ずかしがる必要はありませんので、安心して相談していただいて大丈夫です。
数日様子を見てもよいケースと、その間のセルフケア
一方で、次のような条件を満たす場合は、一時的に様子を見てもよいケースもあります。
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痛み・腫れ・出血がほとんどない
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挟まっているのはごく少量の糸で、深く入り込んでいない
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数時間〜1日程度の経過で、違和感が少しずつ軽くなっている
この場合でも、以下の点に注意してセルフケアを行ってください。
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歯ブラシで優しく丁寧に磨く(特に挟まった部位の近く)
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強くすすぎすぎない程度に、ぬるま湯や洗口液でうがいをする
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歯間ブラシを使う場合は、サイズの合った小さめのものを選び、無理に押し込まない
違和感が続く、痛みが出てきた、同じ部位で再びフロスが挟まるなどの変化があった場合は、早めに受診することをおすすめいたします。
一般的な治療の流れと費用のイメージ(保険診療の場合)
具体的な費用は、地域・医院・症状によって異なりますが、日本の保険診療の範囲内であれば、初診料+簡単な処置で数千円程度の自己負担となるケースが多いとされています(3割負担の場合の一例です)。
一般的な流れのイメージは次のとおりです。
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問診・視診:いつから・どの歯・どのように挟まったかを確認
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状態確認:必要に応じてレントゲン撮影など
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フロスや食べかすの除去:専用器具で安全に取り除く
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原因の説明:虫歯・歯石・詰め物の劣化などがあれば説明と治療提案
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今後の予防指導:フロスの使い方や定期検診の案内
あくまで目安であり、正確な費用は受診前に医院へ問い合わせるか、診察時に確認してください。
自宅ケア・歯科受診・放置の比較表(イメージ)
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自宅ケア:すぐ試せて費用がかからない一方、やり方を誤ると歯や歯茎を傷つけるリスクがあります。
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歯科受診:安全に除去でき、原因の診断と治療も受けられるため、長期的な安心につながります。
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放置:一時的には何もしなくて良いように見えますが、炎症や虫歯が進行し、結果的に大きな治療が必要になる可能性が高く、基本的には非推奨です。
フロスが挟まりやすい・切れやすい根本原因
虫歯・歯石・詰め物の劣化など歯側の問題
フロスが頻繁に挟まる、急に通りにくくなったという場合、歯や歯茎からの「SOS」であることが少なくありません。主な原因としては、以下が挙げられます。
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歯と歯の間に虫歯ができ、段差や穴が生じている
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歯石がたまって表面がザラザラになっている
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詰め物・被せ物の縁が欠けたり、セメントが劣化して段差ができている
このような状態では、フロスが「引っかかる」「ほつれる」「切れる」といったトラブルが起こりやすくなります。フロスの違和感は、早めに歯科医院で相談すべきサインと考えていただくのが安全です。
フロスの種類・太さ・強度が合っていない場合
フロスそのものが原因となっているケースもあります。
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太すぎる糸で無理に通そうとしている
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切れやすい・毛羽立ちやすいタイプを使っている
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狭い歯間に、ふわふわした太いフロスを使っている
このような場合は、
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細めのフロスに切り替える
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切れにくい素材のフロスを選ぶ
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無理に通さず、気になる部位は歯科医院で確認してもらう
といった対応が有効です。
力の入れ方・使い方のクセによるトラブル
フロスは、使い方を誤ると歯茎を傷つけてしまう道具にもなり得ます。例えば、
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勢いよく「バチン」と歯茎に当ててしまう
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斜めに強く引き上げる
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同じ部分を何度も強くこする
といった使い方は、トラブルの原因です。
次のポイントを意識することで、トラブルを減らすことができます。
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歯と歯の間に入れるときは、のこぎりのように小さく前後させながら、ゆっくり入れる
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歯の側面に沿わせるようにして上下に動かす
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抜くときも、勢いよく引っ張らず、少しずつスライドさせる
フロスが挟まらないための予防と選び方
正しいフロスの動かし方・力加減のポイント
フロスを安全かつ効果的に使うための基本ポイントは、次の通りです。
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フロスを歯の側面に「C字型」に沿わせるイメージで当てる
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歯と歯茎の境目まで優しく入れ、上下に小刻みに動かす
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歯茎に強く食い込ませない、痛みを感じるほど力を入れない
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抜くときは、前後に動かしながらゆっくり引き上げる(必要に応じて横から抜く)
また、1日1回、就寝前など比較的時間に余裕があるタイミングで行うと、習慣として続けやすくなります。
フロスと歯間ブラシの使い分けと併用のコツ
フロスと歯間ブラシは、それぞれ得意とする場面が異なります。
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フロス:歯と歯の間が狭い部分、若い方のきゅっと締まった歯間など
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歯間ブラシ:歯間が広い部分、詰め物・被せ物の周り、歯周病で歯茎が下がった部分など
使い分けのポイントは以下の通りです。
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歯間ブラシは、少し抵抗を感じる程度のサイズを選び、無理に押し込まない
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フロスがどうしても通らない部位は、無理をせず歯科医院で状態を確認してもらう
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「フロス+歯間ブラシ+歯ブラシ」の3つを組み合わせることで、より高い清掃効果が期待できる
定期検診・クリーニングでフロスの通りをチェックしてもらう
定期的な歯科検診やクリーニングには、次のようなメリットがあります。
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専用の器具で歯石を除去してもらえるため、フロスの通りが良くなる
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詰め物・被せ物の劣化や段差を早期に確認してもらえる
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「ここだけフロスが引っかかる」といった具体的な悩みを相談できる
フロスが挟まりやすい、通りにくい部位がある場合は、定期検診の際に遠慮なく相談していただくことをおすすめいたします。
よくある質問(FAQ)
フロスで詰め物が取れたけれど、フロスのせいですか?
「フロスをしたら詰め物が取れた。フロスを使うのが怖い」という相談はよくあります。
しかし、通常、しっかり接着されている詰め物が、フロスだけで突然外れることはあまり考えにくいとされています。多くの場合、
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セメント(接着材)が経年劣化していた
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詰め物の縁から二次虫歯が進行していた
といった問題がすでに存在し、フロスは「外れるきっかけ」になっただけであることが多いです。
詰め物が取れたときは、フロスを悪者にするのではなく、「問題に早く気づけて良かった」と捉えていただき、速やかに歯科医院を受診することが大切です。
矯正中・インプラント・ブリッジの場合はどうすれば良い?
矯正装置やブリッジ、インプラントが入っている場合、構造が複雑なため、自己判断で強くこするとトラブルの原因になります。
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糸の先が固くなっているスレッドタイプのフロス
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ブリッジ下専用のフロス
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矯正用の補助器具
など、専用の清掃用具を使うのが一般的です。
ただし、装置の種類や位置によって適切なケア方法は異なりますので、必ず担当の歯科医師・歯科衛生士に具体的な方法を確認するようにしてください。
子どもの歯にフロスが挟まったときの注意点
子どもの仕上げ磨きでフロスを使っている場合、糸が切れて挟まると親御さんも不安になると思います。基本的な考え方は大人と同じですが、特に次の点に注意が必要です。
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子どもが痛がる・怖がる場合は、無理に引っ張らない
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長時間口を開けさせておくと負担になるため、早めに判断する
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強い痛みや出血がある場合は、早急に歯科医院へ連れて行く
「嫌な経験にしてしまうくらいなら、早めに歯医者さんに取ってもらう」という選択も十分に合理的です。
何日くらい様子を見ても大丈夫?
一般論として、症状がなく、ほんのわずかな糸が残っているだけという場合でも、長期間そのままにしておくことは推奨されません。
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数日〜1週間程度様子を見ても違和感が残る
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同じ場所で繰り返しフロスが挟まる・切れる
といった場合は、早めに歯科医院で相談することをおすすめいたします。
なお、具体的な許容期間は、歯や歯茎の状態によって変わります。本記事の内容はあくまで一般的な目安であり、最終的な判断は実際に口腔内を診察した歯科医師によるべきである点にご留意ください。