結婚式は一生に一度の大切なイベントですが、その一方で「費用が足りないからブライダルローンを検討している」「けれど本当に借りて大丈夫なのか不安」というお悩みを抱える方は少なくありません。
インターネットで調べると「ブライダルローン やめたほうがいい」という強い言葉も目に入り、何を信じて判断すべきか迷ってしまう方も多いはずです。
本記事では、ブライダルローンのメリット・デメリットだけでなく、返済が家計や将来設計に与える影響、ローンを使わずに結婚式や新生活を乗り切る具体的な方法まで、冷静かつ実務的な視点で解説いたします。
「借りる」「借りない」を感情ではなく根拠をもって選びたい方のために、判断材料を整理し、後悔しない結婚資金の考え方をお伝えいたします。
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結婚資金に“借金”はあり?ブライダルローンとは
ブライダルローンの概要と仕組み
ブライダルローンとは、挙式・披露宴費用や結婚に伴う諸経費(婚礼衣装、新婚旅行、新居の敷礼金・引越し費用、家具・家電購入など)を目的として利用できるローンのことです。
多くは銀行や信販会社、カード会社などが提供しており、申し込み・審査・契約という流れで利用開始となります。借入後は、毎月元金と利息を返済していく仕組みです。
他のローン(フリーローン・カードローン)との違い
ブライダルローンは「使い道が結婚関連に限定されている」点が特徴です。
そのため、旅行やショッピングなど他の用途にお金が流用されにくく、「必要以上の借入をしにくい」という側面があります。
一方で、
資金使途を証明する書類(見積書・契約書など)の提出が必要になる場合が多い
審査~融資実行までに時間がかかりやすい
追加で借入れしにくい
などのデメリットもあります。
フリーローンやカードローンは使い道が自由な一方で、金利がやや高めに設定されていることが多く、総返済額が大きくなりやすい傾向があります。
なぜ「やめたほうがいい」と言われるのか ― 主なリスクと問題点
返済負担が新婚生活を圧迫する可能性
ブライダルローンを利用すると、結婚式が終わった直後から返済が始まります。
新婚生活のタイミングは、家具・家電・引越し費用・新生活の各種契約など、何かとお金がかかる時期です。このタイミングで毎月の返済が重なると、家計に余裕がなくなりやすくなります。
とくに、
共働きからどちらか一方が育休・産休に入る予定
転職や独立など、収入変動の可能性がある
といったケースでは、返済が家計を圧迫し、生活水準の低下や精神的なストレスにつながるリスクがあります。
利息負担で総支払い額が膨らむ
ローンでお金を借りる以上、元金に利息が上乗せされます。
金利が比較的低めに設定されている商品であっても、
借入額が大きい(例:300万円〜500万円)
返済期間が長い(例:7年〜10年)
といった条件が重なると、最終的な総支払い額は当初の結婚費用を大きく上回ります。
結果として、
「現金で支払っていれば◯◯万円安く済んだはずだった」
「利息分を住宅資金や教育資金に回せたのではないか」
といった後悔につながる可能性があります。
将来のローン審査(住宅ローンなど)への影響
結婚後の大きなイベントとして、住宅購入を検討される方も多くいらっしゃいます。
その際、すでにブライダルローンなどの返済が残っていると、
返済比率の観点から、住宅ローンの借入可能額が減る
審査自体が厳しくなる
といった影響が出る可能性があります。
とくに、
ブライダルローンの残高が大きい
返済期間が長く設定されている
場合には注意が必要です。
手続きの手間・審査通過の難しさ
ブライダルローンの利用には、申込書の記入や本人確認書類・収入証明書の提出、結婚式場などの見積書提出が求められることがあります。
また、次のような場合は審査が厳しくなる傾向があります。
転職直後で勤続年数が短い
派遣・アルバイトなどで収入が不安定
他のローンやクレジットの残債が多い
審査に落ちてしまった場合、再度別の金融機関に申込をする必要があり、その間に結婚式の支払い期限が迫ると、精神的な負担も増してしまいます。
心理的負担や夫婦間トラブルのきっかけに
「結婚式のための借金」という性質上、返済するたびに結婚式の費用のことを思い出しやすく、
「あのときもう少し節約しておけばよかった」
「見栄を張らなければよかった」
といった後悔の気持ちが生まれることもあります。
さらに、
誰がどの割合で返済を負担するか
家計が苦しくなったときに何を削るか
といった点で意見が割れると、夫婦間のトラブルに発展するおそれもあります。
実際に借りたらどのくらい?返済シミュレーションで見る家計インパクト
ケース別モデル(借入額/金利/返済期間別)
以下は、あくまで一例のシミュレーションです。実際の金利・条件は金融機関や商品によって異なります。
| 借入額 | 金利(年) | 返済期間 | 毎月の返済額の目安 | 総返済額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 3% | 5年 | 約 53,900円 | 約 323万円 |
| 300万円 | 5% | 7年 | 約 43,000円 | 約 361万円 |
| 500万円 | 4% | 10年 | 約 51,000円 | 約 612万円 |
たとえば、共働きで手取り世帯月収が30万円前後の場合、
毎月4〜5万円の返済は、家賃・食費・光熱費・保険料・通信費などを考えると、家計をかなり圧迫しうる水準です。
収入に対する返済割合の目安と注意ライン
一般的に、無理のないローン返済の目安として「手取り月収の20〜25%以内」と言われることが多いです。
手取り月収 25万円 → 返済額の目安:5万円〜6万円程度
手取り月収 30万円 → 返済額の目安:6万円〜7.5万円程度
ただし、これは住宅ローンや自動車ローンなども含めた「すべての借入の合計返済額」を指すことが多いため、ブライダルローン単体でこの水準に近づいてしまうと、将来の住宅ローン余力が小さくなる点に注意が必要です。
それでも借りるなら ― “使ってもいい人”“慎重になるべき人”の条件
安定収入がある/返済計画に余裕がある場合
ブライダルローンの利用を検討する際は、まず
現在の収入・支出・貯蓄状況
今後の収入見通し(昇給・転職・出産などの予定)
を具体的に洗い出すことが重要です。
次のような条件を満たす場合は、比較的リスクを抑えながら利用できる可能性があります。
正社員等で収入が安定している
毎月の収支に明確な「余剰」がある
突発的な出費に備えた生活防衛資金(緊急予備資金)が別途確保されている
将来の計画(住宅購入など)が先でない人
すでに数年以内に住宅購入を考えている場合は、ブライダルローンがマイナスに働く可能性がありますが、
住宅購入は10年近く先に考えている
ローン完済後に本格的な住宅ローン検討を行う予定
といった場合は、影響を比較的軽減できる可能性があります。
使う金額を絞り、返済期間を短くできる人
ブライダルローンを利用する場合は、
「自己資金+ご祝儀+援助」で不足する“本当に必要な最低額”だけを借りる
返済期間を必要以上に長くしない
という姿勢が重要です。
借入額を抑え、なるべく短期で完済できる計画であれば、総利息も少なく済み、家計への影響も限定的になります。
ローンを使わずに結婚式・新生活を乗り切る方法
ご祝儀・親族からの援助を現実的に見積もる
結婚式の費用の一部は、ご祝儀や親族からの援助によって賄われるケースが多くあります。
事前に、
招待客の人数・年齢層
一般的なご祝儀相場(友人3万円・親族5〜10万円など)
親・親族からの援助の有無・見込み額
を現実的に見積もり、「自己負担が最終的にどの程度になりそうか」を把握しておくと、借入額を減らす判断材料になります。
結婚式費用を抑える/演出や規模を見直す
結婚式の費用は、プランや演出次第で大きく変わります。たとえば、
招待人数を絞る
昼の披露宴にして料理・飲み物の単価を調整する
映像演出・装花・ペーパーアイテムなどのオプションを整理する
衣装の点数を減らす/レンタルプランを活用する
といった工夫で、総額を数十万円〜100万円以上抑えられることもあります。
新婚旅行や家具購入のタイミングをずらす
結婚式・披露宴・新婚旅行・新居の家具家電をすべて同時期に準備しようとすると、一時的な支出が急増します。
新婚旅行は時期をずらして「記念旅行」として改めて行く
家具・家電は最低限にとどめ、数年かけて少しずつグレードアップしていく
といった方法を取ることで、ブライダルローンに頼らずに済むケースも少なくありません。
家計を見直し、貯金と段階的準備をする
結婚が決まりそうな段階から、
月々の固定費(通信費・サブスク・保険料など)の見直し
外食や娯楽費の一部を「結婚資金」に振り替え
といった形で、計画的に貯金していくことも有効です。
時間を味方につけることで、ローンを組まなくても必要資金に近づける可能性が高まります。
夫婦で話し合うべきポイント・同意が必要な項目
借入額・返済期間・負担割合の決め方
ブライダルローンを利用するかどうかは、夫婦双方にとって重要なテーマです。
次のような点を、必ず二人で確認・合意しておく必要があります。
いくらまでなら借りてもよいか(上限額)
返済期間は何年に設定するか
毎月の返済額をどちらがどの割合で負担するか
ボーナス返済を利用するかどうか
これらが曖昧なまま借入に踏み切ると、返済が始まってから「そんなつもりではなかった」という認識のズレが生じやすくなります。
収入変動や生活変化に備えるチェックリスト
今後のライフイベントや収入変動も見据えて、以下のような点も話し合っておくと安心です。
どちらかが育休・産休に入る予定はあるか
転職や独立の予定・希望があるか
将来的に「専業主婦(夫)」を希望しているか
子どもを持つ時期・人数のイメージ
これらを踏まえることで、「今このタイミングでブライダルローンを組むのが本当に適切か」を冷静に判断しやすくなります。
将来のライフプラン共有の重要性
住宅購入の希望時期
車の購入予定
教育費にどの程度かけたいか
など、将来的な大きな支出のイメージを共有しておくことで、
「ブライダルローンの返済があることで、どの選択肢が狭まるのか」
「逆に、どの程度の借入なら将来の計画に大きな支障がないと言えそうか」
といったポイントが見えるようになります。
よくある質問(FAQ)
ブライダルローンを使うと住宅ローンは組みにくくなりますか?
ブライダルローンに限らず、現在返済中のローンがあると、住宅ローン審査では「返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)」が高くなり、借入可能額が下がる可能性があります。
借入額が大きい・返済期間が長い場合ほど影響しやすくなるため、住宅購入を数年以内に検討している場合は慎重な判断が必要です。
ご祝儀や援助で返済できますか?
ご祝儀や親族からの援助を返済原資にする考え方もありますが、「想定より少なかった」というケースもあり得ます。
ご祝儀や援助は「プラスになればラッキー」程度に考え、あくまで「自身の収入・貯蓄だけでも返済を完了できる計画」を前提とすることをおすすめいたします。
返済が厳しくなった場合はどうすればよいですか?
まずは家計の見直しを行い、固定費や変動費の削減余地を洗い出します。そのうえで、
繰上げ返済や返済額変更の相談
返済期間の再設定が可能かの確認
などを、早めに金融機関に相談することが重要です。返済が滞る前に相談する方が、柔軟な対応を得られる可能性が高くなります。
ローンの審査に通りやすくするポイントはありますか?
一般的には、
安定した勤務先・勤続年数
安定した収入
クレジットやローン返済の延滞がない信用情報
が重要視されます。
また、借入希望額を必要最低限に抑えることで、審査ハードルが下がることもあります。
まとめ ― 結婚式資金は“人生のスタート”として慎重に考える
ブライダルローンは、理想の結婚式を実現するための一つの手段ではありますが、
新婚生活を圧迫する返済負担
利息による総支払額の増加
将来の住宅ローンなどへの影響
心理的な重圧や夫婦間トラブルの火種
といったリスクも抱えています。
そのため、本ツールとしては、
まずは貯金・ご祝儀・親族からの援助・結婚式費用の見直しなど、ローン以外の選択肢を最大限検討する
それでも借入が必要な場合は、「必要最低限の金額」「無理のない返済期間」「夫婦での十分な話し合い」という条件を満たしたうえで慎重に判断する
という二段階のアプローチを強く推奨いたします。
結婚式は人生のスタートラインであり、ゴールではありません。
「今だけ」ではなく、「結婚後の数年〜十数年」のライフプランを見据え、後悔のない形で資金計画を立てていただくことが何より重要です。