圧迫骨折と診断されてから数ヶ月。「もうそろそろ良くなるはずなのに、まだ痛い……」と、不安な気持ちを抱えながら、Yahoo!知恵袋の体験談を読み漁ってはいませんか。
「半年たっても痛いのは異常」「一生痛みが残ることもある」といった強い言葉を目にすると、頭の中で最悪のパターンばかりが膨らんでしまいます。
しかし、圧迫骨折の痛みの経過は、年齢や骨粗鬆症の程度、骨折の状態によって大きく異なります。「痛みが取れない＝必ず異常」でもなければ、「我慢していればそのうち治る」と言い切れるものでもありません。大切なのは、一般的な回復の目安と、本当に注意すべきサインを正しく知ることです。
本記事では、日本の整形外科領域の情報を踏まえながら、次のポイントを分かりやすく整理いたします。
圧迫骨折の痛みは「どのくらい続くのが一般的」なのか
3ヶ月・半年たっても痛みが取れないときに考えられる原因
すぐに受診すべき危険な症状と、様子を見てもよいケースの違い
自宅でできるリハビリや、家族が行えるサポートの具体例
知恵袋などの体験談と、医師の説明をどう整理して受け取ればよいか
ご自身やご家族の今の状態を、「どこまでが想定内で、どこからが要注意なのか」という視点で整理し、不安を少しでも軽くするための道しるべとしてご活用いただけますと幸いです。
※本記事は一般的な医療情報の解説であり、個々の診断や治療方針の決定は必ず主治医とご相談ください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
圧迫骨折の痛みは、一般的に数週間〜数ヶ月かけて徐々に軽くなっていきます。
3ヶ月以上、ほとんど改善を感じない場合や、しびれ・脱力などの神経症状を伴う場合は、追加の精査・治療の検討が必要になることがあります。
骨そのものの問題だけでなく、筋力低下・姿勢・心理的な不安など、複数の要因が痛みを長引かせます。
知恵袋の体験談はあくまで「一例」であり、最終的な判断は主治医との対話で行うことが重要です。
圧迫骨折の痛みが「取れない」と感じるとき、何が起きているのか
圧迫骨折と診断されてからしばらく経つのに、「まだ痛い」「以前とあまり変わらない」と感じていませんか。
インターネットで「圧迫骨折 痛みが取れない」と検索すると、Yahoo!知恵袋などで同じ悩みの投稿がたくさん見つかります。
よくある悩み（知恵袋に投稿される質問例）
「1ヶ月たっても寝返りや起き上がりで強い痛みがある。普通ですか？」
「3ヶ月以上たっても腰の痛みが取れず、歩くとズキッとします。後遺症でしょうか？」
「骨はくっついたと言われたのに、痛み止めをやめるとまた痛みが出ます。」
「高齢の母が圧迫骨折後もずっと痛がっていて、知恵袋で『一生治らない』という回答を見て不安です。」
こうした悩みは珍しいものではありません。実際、圧迫骨折では痛みが数ヶ月続くこともあり、場合によっては長期化・慢性化することもあります。
圧迫骨折の基礎知識：どのような骨折で、痛みはなぜ出るのか
圧迫骨折とは（背骨がつぶれる骨折）
圧迫骨折は、背骨（椎体）が上下から押しつぶされて変形するタイプの骨折です。多くは胸椎〜腰椎に起こり、以下のような特徴があります。
高齢者・骨粗鬆症のある方に多い
尻もち・転倒・重いものを持ち上げたとき などをきっかけに発生する
「いつのまにか骨折」と呼ばれるように、はっきりしたきっかけがない場合もある
背中・腰の急な痛みで気付かれることが多い
一般的な痛みの経過と回復期間の目安
公的な情報や専門医の解説を総合すると、次のような経過が“典型的”とされています。
受傷〜数週間：
強い痛みのため、寝返りや起き上がりが難しい
コルセットや安静で痛みが少しずつ和らいでくる
1〜3ヶ月：
骨が固まり始める時期
動作による痛みは残るものの、日常生活は少しずつ楽になってくる
3〜6ヶ月：
多くの人で骨癒合が完了し、日常生活の支障はかなり減る
ただし、重い物を持つ・長時間立つ・前かがみ などで痛みが出ることはあり得る
あくまで目安であり、「必ずこの通りになる」わけではありません。
年齢・骨粗鬆症の程度・骨折の重症度・他の病気の有無などによって、経過は大きく変わります。
保存療法と手術療法の基本
圧迫骨折の治療は大きく分けて次の2つです。
保存療法（手術をしない方法）
コルセットやギプスによる固定
安静・痛み止め・骨粗鬆症の治療
痛みが落ち着いた段階でのリハビリ・運動療法
手術療法（BKPなど）
背骨にセメントを入れる「経皮的椎体形成術（PVP/BKPなど）」
著しい変形・強い痛みが長期に続く・神経の圧迫がある などの場合に検討
多くのケースでは、まず保存療法が選択されます。
しかし、痛みが長引いて日常生活に大きな支障がある場合や、神経症状を伴う場合には、手術を含めた検討が必要になることがあります。
圧迫骨折の痛みが取れない主な原因5パターン
ここからは、「なぜ痛みが取れないのか」を原因別に整理します（実際には複数が重なっていることも多いです）。
骨癒合の遅れ・偽関節がある場合
本来、骨折部は時間とともに固まりますが、うまく骨がくっつかない状態を「骨癒合遅延」や「偽関節」といいます。
症状の特徴
動作時の鋭い痛みが長期間続く
横になっていても、体位変換で強い痛みが出る
痛みの場所が比較的はっきりしている
考えられる要因
骨粗鬆症が強い
早期に十分な固定・安静が保てなかった
骨折の形態が不安定（つぶれ方が大きい）
この場合、追加の画像検査（CT・MRIなど）や治療方針の見直し（装具変更・手術検討など）が必要になることがあります。
背骨の変形や脊柱管狭窄など、神経の圧迫がある場合
圧迫骨折で背骨がつぶれて前かがみ（猫背）が強くなると、脊柱管（神経の通り道）が狭くなったり、骨片が神経を圧迫することがあります。
症状の特徴
腰や背中の痛みに加え、足のしびれ・脱力がある
少し歩くと足が重くなり、休むと楽になる（間欠性跛行）
排尿・排便の異常が出ることもある（重症）
こうした場合は、放置すると神経障害が進行する恐れがあり、早急な専門医受診が必要です。
安静による筋力低下・姿勢悪化が続いている場合
骨折後に長期間安静が続くと、体幹の筋力低下や姿勢の悪化が起こり、「骨はくっついているのに、周囲の筋肉や関節が痛い」という状態になることがあります。
症状の特徴
長時間立つ・歩くと疲れて痛い
朝より夕方の方が痛みが強い
動き始めが痛いが、しばらく動くと少し楽になる
この場合は、適切なリハビリ・運動療法が非常に重要です。
もともとの腰痛・他の病気（内臓・腫瘍など）が隠れている場合
圧迫骨折と診断されたからといって、痛みの原因が100％それだけとは限りません。
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症
腎臓・膵臓など内臓疾患からくる背部痛
ごくまれに、がんの骨転移 など
圧迫骨折と別の原因が重なっている場合、痛みがなかなか治まらないことがあります。
心理的な不安・痛みへの過敏さが影響している場合
長期の痛みは、睡眠・気分・活動量の低下を招き、「また痛くなるのでは」という不安が痛みの感じ方を強くしてしまうこともあります。
痛みそのものだけでなく、「この痛みは危険なのでは」という不安に目を向けることも大切です。
不安が強いときは、主治医やリハビリスタッフに率直に伝え、必要に応じて心療内科・精神科的なサポートを検討することもあります。
「いつまで続くと要注意？」期間別チェック表
以下は「一般的な目安」であり、自己判断の材料の一つとしてお読みください。
受傷〜1ヶ月：急性期に見逃してはいけないサイン
強い痛みでほとんど動けないのは、ごく一般的な急性期の姿です。
ただし次のような場合は早めの再受診が必要です。
高熱・咳・息切れなど、感染症を疑う症状がある
日ごとに痛みが明らかに悪化し、安静でも耐えがたい
胸の圧迫感・息苦しさが強い
1〜3ヶ月：痛みが徐々に軽くなるかどうかのポイント
この時期は、多くの方で「まだ痛いが、最初よりは動ける」と感じ始める時期です。
望ましい経過の例
起き上がり・歩行はゆっくりなら可能
痛み止めの量を少しずつ減らせる
要注意のサイン
まったく楽になっている実感がない
新しくしびれ・脱力が出てきた
痛みで夜眠れない状態が続いている
3ヶ月以降：『痛みが取れない』と感じたときの考え方
3ヶ月たっても痛みが残るケースは珍しくありませんが、原因の整理が必要な時期です。
「骨はくっついているが、動かすと痛い」 → 筋力低下や姿勢の問題の可能性
「じっとしていてもズキズキする」 → 偽関節・炎症の残存などの可能性
「足のしびれ・脱力もある」 → 神経圧迫の可能性（要再評価）
半年以上続く痛み：検査・治療方針の見直しの目安
半年以上、生活に支障が出るレベルの痛みが続く場合は、
画像再評価（レントゲン・CT・MRI）
骨粗鬆症治療の見直し
リハビリ内容の再検討
手術療法（BKP等）を含めた選択肢の確認
などを、主治医と相談する段階と考えられます。
今すぐ受診すべき危険な症状チェックリスト
緊急で病院に行くべき症状
次のような症状がある場合は、救急外来も含め、できるだけ早く医療機関を受診してください。
□ 両脚の急なしびれ・力が入りにくい
□ 排尿・排便がうまくできない、または急に漏れてしまう
□ 高熱や強い悪寒を伴う背中・腰の痛み
□ 胸の押しつぶされるような痛みや強い息苦しさ
これらは、神経への強い圧迫や感染症、心肺の病気などが隠れている可能性があります。
近日中に整形外科・脊椎専門医を受診すべき症状
□ 3ヶ月以上経っても、痛みの程度がほとんど変わらない
□ 歩行距離が日に日に短くなっている
□ 背中の変形（急な前かがみ）が目立ってきた
□ 夜間痛（夜目が覚めるほどの痛み）が続いている
受診時に医師へ伝えたいポイント
痛みが一番強い場所（指で示せるように）
痛みが強くなる動作（起き上がり・前かがみ・長時間立位など）
いつから、どのように痛みが変化しているか
使用中の薬（痛み止め・骨粗鬆症薬など）
自宅でできるリハビリ・生活上の工夫
※以下は一般的な例です。実際は主治医・リハビリスタッフの指示を優先してください。
動いてよい範囲の目安と基本姿勢
長時間のベッド上安静は、筋力低下・肺炎・認知機能低下などのリスクがあるため、医師から許可が出たら、できる範囲でこまめに体を動かすことが推奨されます。
基本のポイント
背筋を軽く伸ばした「楽な姿勢」を意識する
急な前かがみ・ひねり動作を避ける
痛みが強くなる動作は無理に続けない
痛みを悪化させない起き上がり・立ち上がり・歩行のコツ
起き上がり（ベッドから）
仰向けから、まず横向きになる
膝を軽く曲げ、両足をベッドの外に少し出す
腕の力で上半身を押し上げながら、同時に足を床へ下ろす
立ち上がり
椅子に浅く腰掛け、足を肩幅に開く
少し前かがみになり、ひざに手を置くか、ひじ掛けをつかむ
「1、2、3」で膝を伸ばしながら立ち上がる
歩行
歩行器・杖の指示がある場合は必ず守る
「少し余裕がある距離」で止め、疲労や痛みが増す前に休む
筋力低下を防ぐための簡単エクササイズ
（痛みの程度により、医師・理学療法士の指示の範囲で実施）
かかと上げ：
椅子につかまり、かかとを上げ下げする（10回×2〜3セット）
もも上げ：
座った状態で片脚ずつ伸ばし、数秒キープして下ろす
軽いお尻締め運動：
仰向けでお尻に力を入れて数秒キープ → 脱力
日常生活で避けたい動作・やってはいけないこと
□ 重い物を持ち上げる（特に前かがみで）
□ 布団の上での深い前屈・ひねり運動
□ 長時間座りっぱなし・立ちっぱなし
□ 独自判断での激しいストレッチ・整体
家族・介護者のためのサポートガイド
本人の不安を和らげる声かけ・情報の伝え方
避けたい声かけ例
「もうそのくらい我慢して」
「年なんだから仕方ない」
「ネットではすぐ治るって書いてあったよ」
望ましい声かけ例
「まだ痛いよね、どんなときに一番つらい？」
「次の受診で先生に一緒に聞いてみよう」
「少しでも楽になるように、起き上がり方を一緒に工夫してみよう」
介護負担を軽くする住環境の整え方
ベッドや椅子の高さを調整し、立ち座りをしやすくする
手すり・歩行器などの福祉用具を検討する
かがむ動作が多い家事（床掃除など）を減らす工夫
主治医とのコミュニケーションの取り方と質問例
診察前にメモしておくと、短い診察時間を有効に使えます。
「痛みが一番強いのはどの動作か」
「いつから痛みの種類や場所が変わったか」
「次にどの程度まで回復する見込みがあるか」
「リハビリでどこまで動かしてよいか」
「手術を検討する目安は何か」
知恵袋との付き合い方：体験談と医療情報をどう整理するか
知恵袋で不安が強くなりやすい理由
痛みが強かった人・経過が悪かった人ほど、投稿・相談しやすい
「たまたまの一例」が、あたかも一般的なケースのように感じられてしまう
医学的な背景や他の病気の有無が分からないまま、結論だけ読んでしまう
参考にしてよい情報・注意すべき情報
参考にしてよいポイント
「こんなことを医師に聞いてみた」など、質問の仕方の例
家族としての心配や葛藤など、気持ちの面での共感
注意が必要なポイント
「〇ヶ月続く痛みは絶対に異常／正常」といった断定的な表現
手術・薬の是非について、個別の事情を無視した判断
医師や医療機関を一方的に否定するような投稿
不安になったときに取るべき3つのステップ
「これはあくまで一例」と自分に言い聞かせる
公的機関や専門医サイトの情報で、基本的な知識を確認する
気になる点をメモし、次回診察で主治医に直接相談する
よくある質問（FAQ）
圧迫骨折の痛みは「完治」するのか、それとも一生残るのか
多くの方は数ヶ月〜半年ほどで、日常生活に大きな支障がない程度まで痛みが軽減するとされています。
ただし、骨の変形や筋力低下などにより、天候・疲労・姿勢によって痛みがぶり返す方もいます。
コルセットはいつまで続けるべきか
一般的には骨折後数ヶ月間（2〜3ヶ月程度）が目安とされますが、骨折の程度・年齢・筋力などで大きく異なります。
自己判断ではなく、定期的な診察・画像評価にもとづき、主治医の指示に従ってください。
整体・接骨院・鍼灸は受けてもよいのか
骨折の急性期（受傷直後〜数週間・骨が不安定な時期）は、独自判断での強いマッサージや矯正は避けるべきです。
骨癒合が進んだ時期に、主治医が許可した範囲で利用するのは一つの選択肢になり得ますが、必ず事前に医師へ相談してください。
痛み止めを飲み続けることが心配なときはどうすべきか
長期の鎮痛薬使用では、胃腸障害・腎機能への影響などが問題となることがあります。
「痛みがあるから飲み続けるしかない」と自己判断せず、
鎮痛薬の種類の変更
外用薬・ブロック注射など別の方法
骨粗鬆症治療・リハビリの強化
など、“痛みの元”に対するアプローチも含めて主治医に相談することが大切です。