アフターピル（緊急避妊薬）を飲んだあと、
「その日のうちにまた性行為してしまった」
「いつからなら性行為を再開しても大丈夫か」
「知恵袋を見ると大丈夫そうと書いてあるけれど、本当に平気なのか」
と不安になり、慌ててインターネットや知恵袋を検索する方は少なくありません。
本記事では、
医学的な正しい情報
Yahoo!知恵袋などに投稿されている複数の代表的な質問・意見
その内容を医療的観点からどう考えるべきか
を整理し、「アフターピル服用後の性行為」について、一般の方にも分かりやすく解説いたします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の方の診断・治療方針を示すものではありません。個別の状況に応じた判断は、必ず医師・医療機関にご相談ください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
アフターピルは 「過去の性行為」に対する緊急避妊薬 であり、服用後の新しい性行為には避妊効果はありません。
医療的には、次の生理や妊娠検査で陰性が確認できるまで、新たな性行為は控える ことが望ましいとされています。
それでも性行為を行う場合は、必ずコンドームを使用し、妊娠の可能性を常に意識する必要があります。
Yahoo!知恵袋などの体験談は、あくまで「個々の例」であり、自分の状況にそのまま当てはまるとは限りません。医療情報や医師の判断を優先 してください。
繰り返しのアフターピル服用は身体への負担も大きく、通常の避妊方法として用いるべきではありません。低用量ピルやコンドームなど、計画的な避妊 を検討することが重要です。
仕様やガイドラインは、今後、医療制度や薬の承認状況などにより変わる可能性があります。
常に最新の情報を確認し、不安があるときはひとりで抱え込まず、医師・医療機関に相談することをおすすめいたします。
アフターピルとは何か ― 緊急避妊の基本
アフターピルの種類と効果の仕組み
アフターピル（緊急避妊薬）は、避妊に失敗した性行為の「あと」に、妊娠の可能性を下げるために使用する薬です。
代表的な種類は以下の通りです。
| 種類の例 | 有効成分の例 | 服用のタイムリミットの目安 | 特徴の概要 |
|---|---|---|---|
| レボノルゲストレル錠 | レボノルゲストレル | 性行為後72時間以内 | 日本で広く使われる標準的な緊急避妊薬 |
| ウリプリスタル酢酸エステル錠 | ウリプリスタル酢酸エステル | 性行為後120時間以内 | 一部で使用されるが、国内では入手経路が限られる |
主な作用は、
排卵を遅らせる・抑える
子宮内膜の状態を変化させ、受精卵が着床しにくい状態にする
などとされています。
「過去の一度の性行為」に対して使う薬であること
重要なポイントは、アフターピルは 「すでに行った性行為」に対する緊急避妊薬 であり、
その後に行う別の性行為を守る薬ではない
低用量ピルのような「日常的な避妊薬」ではない
ということです。
したがって、服用後に新たな性行為を行った場合、その行為はアフターピルの保護対象外 になります。
服用後すぐの性行為 ― 知恵袋でよく見られる質問と背景
アフターピル関連の Yahoo!知恵袋などを見ていると、以下のような投稿が複数見られます（内容を要約したものです）。
代表的な書き込み例（要約）
「アフターピルを飲んで5時間後にまた性行為しました。妊娠しますか？」
コンドームなし、またはコンドームが外れた／破れた状況での再度の性行為
「薬を飲んだから大丈夫だと思っていた」というコメントも散見されます。
「アフターピルを飲んだ翌日にまた避妊に失敗しました。もう一度アフターピルを飲んだほうがいいですか？」
同じ周期の中で、複数回の性行為があり、それぞれで不安を感じているケース。
「知恵袋で『大丈夫だった』と書いてあったので安心していたのに、生理が遅れています」
体験談を読んで安心していたものの、自分の生理が来ないことで不安がぶり返しているケース。
こうした「体験談頼み」の危険性
知恵袋の回答には、以下のような傾向があります。
「自分は妊娠しなかったから大丈夫だと思う」という 個人の結果に基づく安心材料
「病院でこう言われた」という情報が、正確な文脈や条件を欠いたまま引用されている
医学的な根拠に触れず、「たぶん平気」「心配しすぎ」といった感覚的な回答
これらは「読む人の不安を一時的に和らげる」効果はあっても、医学的に妊娠リスクがゼロになることを保証するものではありません。
医療的に見る「アフターピル後の性行為」 ― いつから安全か？
結論：妊娠の有無が確認できるまでは、性行為は控える前提が安全
多くの医療機関・避妊ガイドでは、アフターピルを飲んだあとは
次の生理がくる
もしくは、妊娠検査薬で陰性が確認できる時期（性行為から約3週間以降）
まで、新たな性行為は控える ことを推奨しています。
理由は以下の通りです。
排卵タイミングがずれ、妊娠しやすい時期の予測が非常に難しくなるため
アフターピルは“過去の1回の性行為”に対する緊急避妊であり、その後の性行為には避妊効果がないため
「飲んだから安心」と思い込むことで、コンドーム等を使わない性行為が増え、かえって妊娠リスクが高まるため
「服用後〇日経てば安全」という一律の基準はない
知恵袋などで、「服用後3日経てば大丈夫」「1週間経っていれば安全」などの書き込みを見ることがあります。
しかし実際には、
個々の排卵タイミング
もともとの生理周期の規則性
どのタイミングで性行為があったか
によって、妊娠リスクは大きく異なります。
そのため、「何日経てば絶対に安全」という一律の基準はありません。
性行為を再開する場合の原則
それでもパートナーとの関係等から性行為を再開する場合は、最低限以下の点を守ることが重要です。
必ずコンドームを使用する（破損・外れに注意）
できれば、低用量ピルなど計画的な避妊方法を導入する
生理が大幅に遅れる、出血が不規則に続くなどの場合は、妊娠検査と婦人科受診を行う
もしアフターピル服用後すぐ性行為してしまったら
再度アフターピルを飲んでもよいのか？
「服用後にまた避妊に失敗した。もう一度アフターピルを飲んだ方がいいか」という質問も多く見られます。
一般的には、
同じ月経周期で複数回のアフターピル服用は、身体への負担や出血の乱れを増やす
長期的な安全性や、周期への影響などの点から、「繰り返し服用」を前提にした使い方は推奨されない
とされています。
ただし、実際に「飲むべきかどうか」は、
最後の性行為のタイミング
その性行為時の避妊状況（完全に避妊なし／コンドーム破損など）
服用済みのアフターピルの種類・タイミング
などによって変わります。
したがって、自己判断で連続服用を繰り返すのではなく、必ず医師に相談することが望ましい です。
パニックになったときの行動ステップ
「もうどうしたら良いかわからない」と感じた場合は、次のように整理して考えるとよいでしょう。
＜行動ステップ＞
性行為の日時と状況をメモする
いつ、どの程度避妊に失敗したのか
すでにアフターピルを飲んでいる場合、その日時と種類
妊娠しうるタイミングかどうかを大まかに確認する
生理周期 28日前後なら、排卵は生理予定日の約14日前が目安
ただし、アフターピル服用後はこの予測が大きく乱れる可能性があります
婦人科やオンライン診療に相談する
メモした情報をもとに、「再度服用した方がよいか」「検査のタイミングはいつか」を確認
今後の性行為について、避妊方法を見直す
コンドームの使い方
低用量ピルの検討
パートナーとの話し合い
今後の安全な避妊方法 ― 継続的な避妊へ切り替える
アフターピルはあくまで「緊急用」であり、通常の避妊手段として使うべき薬ではありません。
今後の性行為に備えるためには、「毎回の性行為で安定した効果を期待できる方法」を選ぶことが重要です。
主な避妊方法の比較
| 避妊方法 | 主な効果の仕組み | 効果の安定性（一般的な使い方） | メリット | 注意点・デメリット |
|---|---|---|---|---|
| コンドーム | 精子の侵入を物理的に防ぐ | 使用方法に左右される | 入手しやすい／性感染症も予防できる | 破れ・外れ・つけ忘れが起こりうる |
| 低用量ピル | 排卵を抑制／子宮内膜変化 | 正しく服用すれば高い | 毎日服用で高い避妊効果／月経痛やPMS緩和も期待 | 飲み忘れに注意／医師の処方が必要 |
| アフターピル | 排卵遅延などで緊急避妊 | 「緊急用」として一定の効果 | 避妊失敗後の最後の手段 | 繰り返し使用は推奨されない／副作用が出やすい |
今後も妊娠を望まない場合は、
コンドーム＋低用量ピル のように、複数の方法を組み合わせる
避妊についてパートナーとよく話し合い、「その場しのぎ」ではなく 計画的な避妊 に切り替える
ことが望ましいです。
知恵袋体験談でよくある誤解と、その医学的な見方
誤解①：「アフターピルを飲んだ直後なら、その日の性行為も守られる？」
一部の投稿では、
「飲んだその日なら大丈夫と言われた」
「薬が体にあるうちは妊娠しないと思っていた」
といった記述が見られます。
しかし、医療的には
アフターピルは「服用前の性行為」に対する緊急避妊であり、服用後の新しい性行為をカバーするものではない
「薬が効いている間は妊娠しない」という考え方は誤解
と理解すべきです。
誤解②：「何回飲んでも大丈夫。いざというときはまた飲めばいい」
「毎月のように飲んでいるが問題なかった」という体験談も見られますが、これは医学的には推奨されません。
出血パターンが大きく乱れる
ホルモンバランスへ大きな負担になる可能性
本来であれば低用量ピルなどで安定した避妊ができるケースまで、緊急避妊に頼ってしまう
といった問題があります。
「問題が起きなかった人がいる」＝「安全が確認された」という意味ではありません。
誤解③：「他の人が妊娠していなかったから、自分も大丈夫だろう」
妊娠するかどうかは、
そのときの排卵日とのタイミング
精子の生存状態
個々の体質・条件
など、多くの要因が組み合わさって決まります。
他人の結果は、自分の状況にそのまま当てはめることができません。
副作用と心身のケア ― 飲んだあとに注意すべきこと
主な副作用
アフターピル服用後には、以下のような副作用が現れることがあります。
吐き気・嘔吐
頭痛
めまい
眠気
下腹部痛
不正出血（少量の出血が続くこともある）
多くは一時的なもので、数日以内におさまることが一般的ですが、症状が強い・長引く場合は必ず医療機関を受診してください。
生理のズレ・出血に関する注意点
アフターピルの影響で、
生理が早まる・遅れる
通常より出血量が多い／少ない
生理とは別に少量の出血がダラダラ続く
といった変化が起こることがあります。
以下のような場合は、婦人科受診をおすすめします。
出血が非常に多い・レバー状の塊が続く
強い腹痛をともなう
アフターピル服用から 3週間以上経っても生理が来ない（妊娠検査薬の使用も推奨）
アフターピルを飲んだ後のチェックリスト
性行為を行う前後・アフターピル服用後に、以下のチェックリストをご活用ください。
性行為前のチェックリスト
今回の性行為で妊娠を望んでいないことを、パートナーと共有している
コンドームを準備している（サイズ・種類の確認）
コンドームの使用方法を理解している
低用量ピルなど、日常的な避妊方法についても検討している
アフターピル服用後のチェックリスト
いつ・どのアフターピルを服用したか、メモしている
今後の性行為について、基本的には生理や妊娠検査結果が出るまで控える方針を決めている
やむを得ず性行為をする場合は、必ずコンドームを使用するつもりである
強い副作用や、異常な出血がないかを観察している
生理が大幅に遅れた場合は、妊娠検査薬と婦人科受診を検討している
よくある質問（FAQ）
Q1. アフターピルを飲んだ直後に性行為してしまいました。また飲むべきですか？
A. 「すぐにもう一度飲んだ方が良い」とは一概に言えません。
同じ周期での連続服用は身体への負担も大きく、推奨されません。
最後の性行為のタイミングや避妊状況によって判断が変わるため、自己判断で再服用を重ねるのではなく、婦人科やオンライン診療で必ず相談してください。
Q2. 服用から何日経てば、性行為を再開しても安心ですか？
A. 「何日経てば絶対安全」という一律の基準はありません。
一般的には、
次の生理が来る
もしくは性行為から約3週間以上経って妊娠検査薬で陰性確認
までは、新たな性行為を控えることが望ましいと考えられています。
どうしても性行為を行う場合は、必ずコンドームを使用し、かつ妊娠検査や婦人科受診も視野に入れてください。
Q3. 知恵袋で「自分は大丈夫だった」という回答を見ました。信じていいですか？
A. 体験談は、「その人の場合はそうだった」という一例にすぎません。
あなたの排卵タイミング・性行為の日時・体質は異なります。
他人の経験を「自分にも当てはまる」と考えるのは危険 ですので、必ず医学的な情報と医師の判断を優先してください。
Q4. 副作用がつらくて不安です。どの程度まで様子を見てもよいですか？
A. 軽い吐き気・頭痛・倦怠感などは一時的なことが多いですが、
我慢できないほど強い腹痛や頭痛
大量出血が続く
気を失いそうなほどのめまい・息苦しさ
などがある場合は、早急な医療機関受診が必要 です。
少しでも「おかしい」「不安だ」と感じたら、遠慮なく婦人科・救急外来・#7119 などに相談してください。