夜中にふくらはぎや太ももが痛くて、何度も目が覚めてしまう。
スマホで「夜中 足が痛い 寝れない」と検索し、知恵袋の質問を読みあさっている──。
この記事は、そんな状況の「今まさに困っている方」に向けて、
考えられる主な原因の「ざっくりした違い」
今すぐできる範囲のセルフケア
受診した方がいい危険なサイン
を、医療機関などの公開情報をもとに整理したものです。
※この記事は一般的な情報提供が目的であり、診断や治療方針を決めるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。
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夜中の足の痛みには、「一時的な筋肉の問題」から「血管・神経などの病気」まで、さまざまな原因が考えられます。
痛みの場所・痛み方・頻度・危険なサインの有無を整理することで、自分の状況を客観的に見やすくなります。
知恵袋やSNSの体験談は心の支えになりますが、医学的な根拠が不明な情報も混ざっています。
「もしかして自分は…?」と強い不安を感じているなら、検索を続けるより、一度医療機関で相談することが何よりの近道です。
夜中の足の痛みは「一時的なもの」と「病気のサイン」がある
夜中の足の痛みには、大きく分けて次のようなパターンがあります。
一時的なもの
日中の筋肉疲労や運動後の筋肉痛
脱水やミネラル不足、冷えが関係するこむら返り(足がつる)
成長期の子どもの成長痛 など
背景に病気が隠れている可能性があるもの
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
末梢動脈疾患(足の動脈硬化)などの血管の病気
糖尿病性神経障害などの神経の病気
「どちらか一方」ではなく、両方の可能性を頭に置きながら、「危険なサインがないか」を確認していくことが大切です。
夜中に足が痛くて眠れないとき、まず確認したい3つのポイント
夜中に痛みが出たときは、次の3点をざっと整理してみてください。
1. 痛む場所・痛み方
場所
ふくらはぎ/すね/太もも/足の裏/つま先 など
痛み方
「つった」ような急激な激痛(こむら返りタイプ)
ジーン、ズキズキ、重だるい
むずむずする・虫が這うような気持ち悪さ など
痛み方が分かるだけでも、原因の大まかな見当がつきやすくなります。
2. 痛みの続く時間と頻度
数秒〜数分でおさまり、たまにしか起きない
数十分〜数時間、何度も繰り返す
ほぼ毎晩、あるいは週に何度も続く
頻度が多いほど、単なる疲れではない可能性も考えていく必要があります。
3. 危険なサインの有無
次のような場合は、自己判断せず受診を検討してください。
足先が冷たい・白い・紫色に変色している
少し歩いただけで強い足の痛みが出て、休むとまた歩ける状態を繰り返す
安静にしていても強い痛みが続く、足に傷や潰瘍ができて治らない
足先のしびれ・感覚の鈍さが左右対称に出ている(糖尿病などがある場合は特に)
高熱・強い腫れ・赤みを伴う
夜中の足の痛みで多い主な原因
ここからは、代表的な原因について特徴を整理していきます。
一時的な筋肉疲労・こむら返り(足がつる)
こんな特徴が多いです
ふくらはぎや足の裏が、突然ギューッと縮こまるように痛む
数秒〜数分でピークは過ぎるが、その後しばらく筋肉痛のような痛みが残る
日中にたくさん歩いた・立ちっぱなしだった・運動した日の夜に起きやすい
寝ているとき、足を伸ばしたタイミングで起こることが多い
関係しやすい要因
脱水・発汗・お酒などで水分や電解質が不足している
足や体が冷えている
加齢による筋力低下や、運動不足
頻度が少なく、「たまに起きる程度」であれば、多くは一時的なものと考えられます。ただし、
最近急に回数が増えた
生活を変えていないのに頻繁につる
といった場合は、血管や神経の病気が隠れていないか、医療機関で相談しておくと安心です。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
どんな病気?
安静にしているときに脚の不快感・むずむず感が出て、「じっとしていられない」状態になる神経の病気です。
夕方〜夜に症状が強くなり、寝ようとすると悪化しやすい
脚を動かしたり歩いたりすると、いったん楽になる
ポイント
痛みというより「むずむず」「ほてる」「虫が這う感じ」と表現されることもあります。
日本では成人人口の数%が悩んでいるとされますが、単なる疲れと誤解され、受診していない人も多いとされています。
「眠ろうとするほどつらくなる」「脚を動かしたい衝動で寝付けない」といった場合は、一度、内科や心療内科・神経内科などで相談してみる価値があります。
子どもの成長痛の可能性
お子さんが夜中に足が痛いと泣く場合、「成長痛」がよく話題になります。
典型的な成長痛の特徴
3〜12歳くらいに多い
夕方〜夜間に、膝やすね・ふくらはぎなどの痛みを訴える
さすったり抱っこしていると落ち着くことが多い
翌朝にはケロッとしている(歩き方も普段どおり)
発熱や腫れはない
成長痛が疑われる場合は、無理に我慢させるよりも、
足を優しくさする
温めてあげる
「大丈夫だよ」と安心させてあげる
といったケアが推奨されています。
一方で、
片足だけ強く痛がる
足を引きずる・歩きたがらない
腫れ・赤み・高熱を伴う
などの場合は、別の病気も考えられるため、小児科や整形外科を受診してください。
血管・神経・内科的な病気が隠れているケース
夜間の足の痛みが、次のような病気のサインになっていることもあります。
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)などの血管の病気
動脈硬化で足の血管が細くなり、血流が悪くなる病気です。
ある程度歩くと足が痛くなり、休むとまた歩ける(間欠性跛行)が典型。
進行すると安静時、特に夜間に足の痛みが強くなる段階があり、潰瘍や壊疽につながることも。
糖尿病性神経障害などの神経の病気
糖尿病の合併症の一つで、足先のしびれや痛み・ジンジンした感覚が左右対称に出ることが特徴とされています。
夜間・安静時に症状が強く出やすく、「何となく痛い」「焼けるように熱い」などの訴えもあります。
高血圧・糖尿病・高コレステロール血症などをお持ちの場合、夜間の足の痛みが続くときは、かかりつけ医や循環器内科・血管外科・神経内科などで一度相談すると安心です。
今すぐできるセルフケアと、やってはいけないこと
ここでは、比較的安全と考えられる一般的なセルフケアを紹介します。
ただし、強い痛み・変色・しびれ・腫れなどがある場合は、まず受診を優先してください。
その場の痛みを少し楽にするための工夫
こむら返りや筋肉の張りがつらいときの一例です。
やさしくストレッチする(無理に伸ばしすぎない)
ふくらはぎの場合、つま先を体の方にゆっくり引き寄せるイメージで伸ばす
温めて血行を良くする
温かいタオルを当てる、足湯などでじんわり温める
寝具や姿勢を見直す
足元にクッションを入れて、少し高くして寝ると楽になる人もいます
痛みが強いときは、無理に立ち上がったり、力任せにストレッチをするのは避けましょう。
寝る前にできる予防ケア(ストレッチ・水分・生活習慣)
こまめな水分補給
寝る前にコップ1杯程度の水分を目安にする(飲みすぎは別の問題になるため適量で)
軽いストレッチやマッサージ
ふくらはぎ・太ももを中心に、痛みが出ない範囲でほぐす
冷え対策
靴下やレッグウォーマーなどで足を冷やしすぎない
日中の運動量を調整
運動不足の人が急に激しい運動をすると、こむら返りが起きやすくなるとされています。
知恵袋や口コミの民間療法と、うまく付き合うコツ
知恵袋などでは、
特定の飲み物・サプリを強くすすめる
極端なストレッチやマッサージ方法
「病院に行かなくても大丈夫」といった断定的な回答
など、様々な情報が混在しています。
ポイントは、「自分に当てはまりそうか」「医学的な説明や根拠があるか」を冷静に見ることです。
不安な場合は、その情報をそのまま実践する前に、医療機関や薬剤師に相談してください。
こんなときは早めに病院へ行きましょう
すぐに受診してほしい危険なサイン
次のような場合は、救急外来や当番医などへの相談を検討してください。
足が突然強く痛くなり、冷たく・白っぽく・紫色になっている
安静にしていても耐え難い痛みが続く
足に傷や潰瘍があり、黒く変色してきた
高熱・強い腫れ・赤みを伴う
近いうちに一度相談したいケースと、受診する診療科の目安
こむら返りが頻繁に起こる/急に回数が増えた
休まず歩くと足が痛くなり、休むとまた歩ける状態を繰り返す
夜間・安静時に足のしびれや痛みが続く(糖尿病などがある)
むずむず・不快感でどうしても眠れない(むずむず脚症候群が疑われる)
受診先の目安
まず相談しやすい:かかりつけの内科
血管の病気が疑われる:循環器内科・血管外科
神経の病気が疑われる:神経内科
筋肉・関節が気になる:整形外科
子どもの場合:小児科、必要に応じて小児整形外科
知恵袋でよく見るお悩みQ&Aを整理しました
ここでは、知恵袋でよく見かけるタイプの質問を、一般的な情報として整理します。
Q1. 「歩きすぎた日だけ足が痛くて眠れない」のは大丈夫?
考えられること
日中の運動や立ち仕事による筋肉疲労
翌日に出てくる筋肉痛
疲労や脱水に伴うこむら返り
一般的な目安
痛みが1〜2日で落ち着き、日常生活に支障がなければ、一時的な筋肉疲労であることが多いと考えられます。
ただし、強いこむら返りが頻繁に起きる・歩けないほどの痛みがある場合は、一度受診を検討してください。
Q2. 「特に運動していないのに足が痛い・しびれる」のは要注意?
ポイント
運動や疲労とは関係なく、夜間・安静時にも痛みやしびれが出る場合、
血管の病気(末梢動脈疾患)
神経の病気(糖尿病性神経障害 など)
が関係している可能性もあります。
糖尿病・高血圧・脂質異常症などがある方は、早めにかかりつけ医に相談してください。
Q3. 子どもが夜だけ足が痛いと泣く…成長痛と病気の見分け方は?
成長痛の可能性が高いと言われる目安
3〜12歳くらい
夜だけ痛がり、翌朝には普通に歩ける
さすると落ち着き、発熱や腫れはない
受診を検討したいサイン
片足だけ強く痛がる
歩き方がおかしい・びっこを引く
腫れ・赤み・高熱がある
迷う場合は、まず小児科で相談すると、必要に応じて専門科を紹介してもらえます。
Q4. 病院に行っても「原因不明」と言われた…。どう考えればいい?
現在の医療では、検査をしてもはっきりした原因が分からない「原因不明の痛み」も存在します。
別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くのも一つの方法です。
痛みが続くことで気分が落ち込む・不安が強い場合は、心のケアも含めて相談できる医療機関(心療内科など)に相談してもよいでしょう。