「コンタクトの洗浄液を忘れた」「保存液が切れていた」──
そんなとき、Yahoo!知恵袋などを見ると、
「水道水に一晩つけておけば大丈夫」
「目薬や生理食塩水で代用できますよ」
といった、判断の難しい回答がたくさん出てきます。
しかし、コンタクトレンズの自己流ケアは、最悪の場合は失明につながるリスクがあります。
本記事では、公的機関やコンタクトレンズメーカーの情報をもとに、
「洗浄液・保存液がないときに、何をしてよくて、何をしてはいけないのか」
を整理してお伝えします。
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代用しない
水道水・目薬・生理食塩水・洗眼液などで、洗浄液・保存液を代用しない。
保存液の代わりになる安全な代用品は基本的に存在しません。
無理に使い続けない
洗浄液がない状況では、そのレンズは**あきらめる(捨てる)**という選択肢を真剣に検討する。
「もったいない」より「目を守る」ことを優先する。
気になる症状があれば、すぐ眼科へ
痛み・充血・かすみ・異物感などの症状が出たら、
自己判断せず早めに眼科を受診する。
洗浄液・保存液がないときの安全な優先順位
最初に、結論だけ簡潔にまとめます。
コンタクトはできるだけ早く外す
専用の洗浄液・保存液を用意できないなら、そのレンズは基本的にあきらめる(捨ててメガネに切り替える)
水・目薬・生理食塩水などでの「代用」はしない
可能であれば、コンビニやドラッグストアで 使い切りの洗浄液や1dayレンズを購入する のが最も安全です。
店に行ける場合
ドラッグストアやコンビニで以下のいずれかを探してください。
ソフトレンズ用の洗浄・保存液(マルチパーパスソリューション)
使い捨てタイプの1dayコンタクトレンズ
その日のレンズが再利用できない場合でも、1dayレンズを購入して翌日以降を乗り切るという選択肢があります。
店に行けない場合(夜中・山奥・イベント会場など)
レンズを外す
レンズを再利用する前提で保管するのは避ける
(専用液なしでの保存は、安全とは言えません)その日はメガネで過ごすか、視力矯正をあきらめる
「もったいないから」と無理をして 危険な方法でレンズを守るより、目を守ることを優先する 方が、長い目で見て確実に得策です。
やってはいけないこと|水・目薬・生理食塩水の代用はNG
水道水が危険な理由
水道水なら「きれいそうだから大丈夫」と思ってしまいがちですが、
コンタクトレンズの洗浄・保存に水道水を使うことは推奨されていません。
理由として、
水道水には アカントアメーバ という微生物が潜んでいることがあり、
レンズやケースについたアカントアメーバが増殖すると、
アカントアメーバ角膜炎 という非常に重い角膜の病気を引き起こすことがある
といった点が挙げられています。
この病気は、強い痛みや視力低下を伴い、治療が難しく、
最悪の場合、失明につながることもある とされています。
そのため、専門団体やメーカーは一貫して、
コンタクトレンズの保存に水道水は使用しないこと
を強く呼びかけています。
目薬・洗眼液・生理食塩水が保存液にならない理由
「目薬なら目に安全だから、そのまま保存液としても安全では?」
…と考えたくなりますが、保存液や洗浄保存液とは目的も成分も異なります。
目薬・洗眼液・生理食塩水は
レンズを消毒・保存する目的では作られていない
レンズの汚れや細菌を除去する洗浄効果は期待できない
成分の違いから、
レンズが変形・変色する
汚れや雑菌が残り、目のトラブルの原因になる
といったリスクが指摘されています。
複数のメーカー・専門店も、
生理食塩水・目薬・洗眼液などで保存液を代用するのはNG
そもそも、保存液には代替品がない
とはっきり明記しています。
「1〜2日くらいなら水道水でも問題ない?」という回答について
知恵袋などでは、
「1〜2日は保存液の代わりに水道水でも大丈夫」
といった回答が見つかることがあります。
しかし、これは専門家やメーカーの公式見解とは一致していません。
ソフトレンズについては、水道水の使用をはっきり禁止する情報が多数あります。
ハードレンズでも、「すすぎに水道水を使うことはあっても、保存に水道水は使わない」とされます。
個人の経験談がたまたま大丈夫だっただけ という可能性もありますし、
実際にトラブルが起きても、「水道水が原因だった」とは気づかれないケースもあるかもしれません。
「誰かが大丈夫と言っていた」
という理由だけで、自分の目を危険にさらすのは避けるべきです。
レンズの種類別|緊急時の具体的な対処フローチャート
ここからは、レンズの種類ごとに「どう対応するか」の目安を整理します。
あくまで一般的な情報であり、最終的には処方された眼科やメーカーの指示を優先してください。
ソフトレンズ(2week・マンスリー・カラコンなど)の場合
絶対に避けたい行為
水道水・生理食塩水・目薬・洗眼液などで「代用保存」する
いったん外したレンズを、水道水などで洗って再使用する
洗浄液なしでレンズケースに入れて保管し、後でそのまま使う
上記はいずれも、目のトラブルのリスクが高く推奨されません。
フローチャート(ソフト)
今からドラッグストア・コンビニに行けるか?
はい
→ 洗浄・保存液、または1dayレンズを購入
→ 専用液でケアし、以後は指示どおり使用いいえ
→ 2へ
今つけているレンズを外せるか?(メガネがある/裸眼で問題ない)
はい
→ レンズは基本的に廃棄
(安全に保管できる専用液がなければ、再利用は避ける)いいえ(どうしても視力が必要で、メガネがない)
→ その場の状況によっては「短時間だけ装用を続ける」以外の選択肢がない場合もありますが、可能な限り早く外す
翌日はレンズを捨てる
目の異常があればすぐ受診
という前提で、最短時間でしのぐ という考え方になります。
※いずれの場合も、「危険な代用保存」をして再使用するよりは、早めに捨ててしまう方が安全というスタンスです。
ワンデー(1day)の場合
1dayレンズは、1日使ったら捨てる前提で設計されており、
「外して洗浄して再使用する」ことを想定していません。
外した1dayは、どのような液体に浸したとしても再使用しないのが原則です。
緊急時でも、「外した1dayを再び装用する」ことは避けてください。
対処の基本
今つけている1dayをその場で外す → 捨てる → メガネに変更
どうしても必要なら、予備の1dayを持ち歩く
旅行やイベント時には、予備を多めに持参する(紛失・破損に備えて)
ハードレンズの場合
ハードレンズについては、
洗浄後に水道水ですすぐ
保存は専用の保存液で行う
といった扱いが、ガイドラインや説明書に記載されていることがあります。
ただし 「保存に水道水を使ってよい」とはされていません。
どうしても洗浄液がないときの考え方(目安)
可能なら、ドラッグストア等でハード用保存液を購入
難しい場合は、
無理に自己流で保存して何度も再使用するのではなく、
一時的にメガネに切り替える
翌日以降、レンズの状態に不安がある場合は眼科で相談する
ハードは高価なことも多く、「どうにかして守りたい」と考えがちですが、
目の健康と引き換えにしてまで守る価値はありません。
シーン別ケーススタディ|こんなときどうする?
ケース1:終電を逃して友人宅に泊まることになった
Aさん(2weekソフトレンズ使用)
終電を逃して、急きょ友人宅に泊まることになった
洗浄液も保存液も持っていない
おすすめの行動
まずはコンタクトを外す
レンズはもったいなくても捨てる
翌日はメガネで帰宅し、家で新しいレンズを使用
「洗顔フォームを薄めて洗う」「水道水で保存する」といった自己流は、
後々のトラブルを考えると割に合いません。
ケース2:出張先ホテルで洗浄液を忘れたことに気づいた
Bさん(ハードレンズ使用)
夜、ホテルに着いてから洗浄液を忘れたことに気づく
おすすめの行動
まだ近くのドラッグストアが開いている場合
→ ハード用洗浄・保存液を購入するすでに閉店時間を過ぎている場合
→ 無理に自己流で保存せず、レンズは外していったん使用を中止
→ 可能なら予備のメガネに切り替える
→ レンズの状態が不安なら、帰宅後に眼科で相談
ケース3:キャンプ・フェスなど屋外イベントでのトラブル
水場はあるが、洗浄液はない
帰宅まで1泊する予定
おすすめの行動
その場でレンズを外し、無理に再使用しない
事前に「キャンプ・フェス用の予備メガネ」「1dayの予備」「携帯用洗浄液」を用意しておく
屋外イベントは、手や水が清潔とは言えない環境になりがちで、
コンタクトトラブルが起きやすいシチュエーションです。事前準備がとても重要です。
知恵袋あるある誤情報と、その“答え合わせ”
ここでは、実際にQ&Aサイトなどで見かける代表的なパターンを取り上げ、
どこが問題なのかを整理します。
パターン1:「1〜2日なら水道水で保存しても問題ない」
NGの理由
ソフトレンズの保存に水道水を使うことは、メーカー・専門家は推奨していません。
アカントアメーバなどの微生物がレンズに付着・増殖するリスクがあるためです。
正しい方向性
水道水でしのぐより、レンズをあきらめる(捨てる)方が安全です。
パターン2:「コンタクトOKの目薬なら保存液の代わりになる」
NGの理由
「コンタクト装用中にも点眼できる」成分設計なだけであり、
レンズを消毒・保存する目的ではありません。目薬には、防腐剤などレンズに長時間触れることを前提としていない成分が含まれていることもあります。
正しい方向性
目薬はあくまで「点眼」に使うものであり、
レンズを浸けて保管する用途には使わないと考えてください。
パターン3:「ハードだから水でジャブジャブ洗ってOK」
注意点
ハードレンズは、洗浄後に水道水ですすぐ使い方が紹介されることがありますが、
保存に水道水を使うことは推奨されていません。また、近年は水道水の使用自体を避けるよう促す情報も増えています。
正しい方向性
取扱説明書どおりに専用液を使う
不明な点は、処方された眼科や販売店に確認する
二度と困らないための“持ち歩きセット”と予防策
「洗浄液がない!」という状況は、準備次第でかなり防ぐことができます。
最低限持っておきたいコンタクト緊急セット
携帯用の小さい洗浄・保存液ボトル
予備の1dayレンズ(普段は2weekでも、緊急用に数枚)
予備のレンズケース(清潔なもの)
メガネ
これらを 常に1セット、職場やカバンに入れておく だけで、
焦って危険な選択をするリスクが大きく下がります。
自宅ストック切れを防ぐ管理のコツ
洗浄液・保存液は「予備が1本ある状態」をキープする
レンズの残り枚数・本数をスマホのリマインダーなどで管理する
ネット通販利用者は、定期便設定やリマインド機能を活用する
定期検診とケア方法の見直し
コンタクトレンズ学会などは、定期的な眼科受診を推奨しています。
つい自己流になっているケア方法を、医師にチェックしてもらう
生活スタイル(残業・出張・イベントなど)に合ったレンズ・ケア用品の提案を受ける
こうした機会を通じて、「洗浄液がないときどうするか?」だけでなく、
普段の使い方から安全性を高めることができます。