iPhoneのSafariやパソコンのブラウザで、
「トラッカーを阻止しました」
「過去7日間に◯件のトラッカーによるプロファイリングが阻止されました」
といった表示を見て、不安になって検索された方が多いと思います。Yahoo!知恵袋にも、同じ悩みの質問が多数投稿されています。
本記事では、この表示の本当の意味と危険性の有無、そして設定の確認方法までを、できるだけ専門用語を使わずに整理してご説明いたします。
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「トラッカーを阻止しました」「トラッカーによるプロファイリングが阻止されました」は、
ブラウザのプライバシー保護機能が正常に働いたことを示す通知であり、ウイルス警告ではありません。
Safariの「サイト越えトラッキングを防ぐ」や、Edgeの「追跡防止」機能によって、サイトをまたいだ追跡が自動的に制限されています。
件数が多く表示されても、「その分ブロックに成功した」と考えるのが基本であり、数字そのものを過度に心配する必要はありません。
「トラッカーを阻止しました」はウイルスではなく“守られているサイン”
「トラッカーを阻止しました」「トラッカーによるプロファイリングが阻止されました」といった表示は、ブラウザ(主にSafari)が、追跡プログラムからあなたの行動を守ったことを知らせる通知です。
これはウイルス感染や不正アクセスの警告ではありません。
表示が出ること自体は正常な動作であり、基本的には安心してよいサインです。
一方で、追跡を厳しくブロックしすぎると、以下のような影響が出る場合があります。
あるサイトでログイン状態がすぐに切れてしまう
ポイントサイトや通販サイトで「購入履歴がうまく反映されない」
一部の動画や広告が表示されにくくなる など
したがって、
「危険な状態だから出る表示」ではなく、「プライバシーを守るために、ブラウザが頑張っている結果として出る表示」
とお考えいただくのが適切です。
そもそも「トラッカー」とは?何をしているのか
Webの世界でいうトラッカーの役割
Webの世界で「トラッカー」とは、ユーザーがどのサイトを見たか、どんな操作をしたかを記録する仕組みの総称です。多くの場合、Cookie(クッキー)や類似技術を使って、アクセス履歴を追跡しています。
代表的な利用目的は次のとおりです。
広告の最適化(興味のありそうな広告を表示する)
アクセス解析(どのページがよく読まれているかを測る)
ECサイトでのカート・閲覧履歴機能 など
どんな情報が追跡されるのか
トラッカーが狙うのは、主に次のような「行動に関する情報」です。
どのWebサイトを、どの順番で見たか
どの商品ページや記事ページを開いたか
どの広告をクリックしたか
ECサイトでどの商品をカートに入れたか など
これらの情報を組み合わせることで、「旅行好き」「家電に関心が高い」といった**興味・関心のプロファイル(人物像)**が作られます。
トラッカー=必ずしも悪ではないが、行き過ぎた追跡は問題
トラッカー自体は、アクセス解析やログイン維持など、Webサイトの便利機能にも使われています。そのため、すべてのトラッカーが悪というわけではありません。
一方で、
多数の広告会社がユーザーの行動を横断的に追跡し、詳細なプロファイルを作る
その情報が第三者に広く共有される
といった状態になると、プライバシー上のリスクが高まります。そのため、ブラウザ側が行き過ぎたトラッキングを自動でブロックする仕組みが整えられてきました。
iPhone・Safariで「トラッカーを阻止しました」と表示される仕組み
Safariの「サイト越えトラッキングを防ぐ」とITP
iPhoneのSafariには、プライバシー保護のために次のような機能があります。
サイト越えトラッキングを防ぐ
複数のサイトにまたがってユーザーを追跡しようとするサードパーティCookieなどを、自動的に制限・削除する機能です。インテリジェントトラッキング防止(ITP)
機械学習などを利用し、「サイトが正常に動作する範囲を保ちつつ、不要なトラッカーを抑止する」仕組みです。
これらの機能が働いた結果として、
「Safariで、◯件のトラッカーによるWebサイト間での追跡が阻止されました」
というようなメッセージが、プライバシーレポート画面やスタートページに表示されます。
プライバシーレポートに表示される内容
Safariの「プライバシーレポート」では、おおまかに次の情報が表示されます。
過去一定期間に、Safariがブロックしたトラッカーの件数
どのWebサイトで、どのトラッカーがブロックされたかの一覧
トラッカーにコンタクトしたWebサイト(広告や解析サービスに利用者情報を渡しているサイト)の一覧
件数が多いほど、
「あなたを追跡しようとする試みが、それだけ多かったが、Safariがブロックした」
という意味合いになります。
「トラッカーによるプロファイリングが阻止されました」との関係
「トラッカーによるプロファイリングが阻止されました」という表示は、
トラッカーがあなたの行動履歴をもとに「人物像(プロファイル)」を作成しようとした
それをSafariがブロックした
といった状況を示しています。
意味としては「トラッカーを阻止しました」とほぼ同じグループの表示であり、いずれもプライバシー保護機能が正常に動作した結果とお考えいただいて差し支えありません。
件数が多い・「プロファイリングが阻止されました」と出たときの不安解消Q&A
「過去7日間で100件以上」と出ても大丈夫な理由
スタートページに、
「過去7日間以内に、106件のトラッカーによるプロファイリングが阻止されました」
といった数字が出ることがあります。
これは、
直近7日間でアクセスした複数サイトの中で
トラッカーによる追跡・プロファイリングが少なくとも100回以上試みられた
そのすべて、または大部分がSafariによってブロックされた
ということを示すに過ぎません。
日常的にニュースサイトや通販サイトを利用していれば、この程度の件数は珍しくありません。
数字が多いからといって、iPhoneが危険な状態になっているわけではありません。
数が急に増えたときに確認したいポイント
ただし、件数が極端に増えた・いつもと傾向が違うと感じた場合は、次の点を軽く振り返ってみてください。
最近、新しい通販サイトや海外サイトを多く閲覧していないか
無料アプリやSNS内ブラウザから、多数の外部サイトを開かなかったか
ポイントサイトやアフィリエイトリンク経由での買い物が増えていないか
これらの利用が増えると、トラッカーの接触回数も増えやすくなります。
心当たりがあれば、それが主な原因と考えて問題ありません。
本当に危険が疑われるのはどんなときか
「トラッカーを阻止しました」という表示自体は危険ではありませんが、次のような状況が同時に起きている場合は注意が必要です。
覚えのないアプリやプロファイルがインストールされている
iPhoneが極端に熱くなる・勝手に広告ページが頻繁に開く
Apple IDや各種サービスから、身に覚えのないログイン通知が届く
クレジットカードの利用明細に不審な決済がある
このような場合は、「トラッカー」問題とは別に、フィッシングや不正ログインなどが疑われます。早めにカード会社や公式サポートに相談してください。
Edgeなど他ブラウザの「トラッカー」表示との違い
Microsoft Edgeの「追跡防止」とトラッカー表示
Windowsの標準ブラウザであるMicrosoft Edgeにも、「追跡防止」という機能があります。設定画面から「基本」「バランス」「厳格」などのレベルを選び、トラッカーをどの程度ブロックするかを調整できます。
Edgeでも、ブロックされたトラッカーの数を確認できる画面があり、Safariと似た考え方で動作しています。
Safariとの考え方の共通点と違い
共通点としては、
どちらも「ユーザーをサイト越えで追跡するトラッカーを制限する」ことが目的
ブロックされた件数を可視化し、ユーザーにプライバシー保護の状況を示す
という点が挙げられます。
違いとしては、
SafariはAppleのITPを中心とした独自のアルゴリズムで制御している
EdgeはMicrosoft独自の追跡防止リストや保護レベル設定を用いている
といった実装上の差があり、表示文言や設定箇所もそれぞれ異なります。
複数ブラウザを使っている人が意識すべきこと
複数ブラウザをお使いの場合は、
それぞれのブラウザで「トラッキング防止」や「サイト越えトラッキング」の設定を確認する
同じサイトで挙動が違う場合は、トラッキング防止レベルが影響している可能性を考える
程度を意識していただければ十分です。
iPhoneでの設定確認・見直し手順
ここからは、iPhoneのSafariで設定を確認する基本的な流れを整理します。
「サイト越えトラッキングを防ぐ」のオン/オフを確認する
iPhoneの「設定」アプリを開く
下へスクロールして「Safari」をタップ
「サイト越えトラッキングを防ぐ」のスイッチがオン(緑)になっているか確認
この項目がオンであれば、Safariがサイト越えトラッキングをブロックしています。
原則として、この設定はオンのままを推奨いたします。
プライバシーレポートの見方と、気にしなくてよいポイント
プライバシーレポートは、Safariのページメニューやスタートページから開くことができます。ここでは、
ブロックされたトラッカーの件数
トラッカーにコンタクトしたWebサイト
どのトラッカーがどれくらい活動していたか
などを確認できます。
重要なポイントは、「件数が多い=危険」ではないという点です。
日常的な利用であれば、二桁〜三桁程度の数字は十分想定される範囲です。
機能をオフにするときのデメリット
ポイントサイトや一部の広告連携サービスでは、トラッキング防止機能が強すぎると「成果が記録されない」「ポイントがつかない」といった案内が出ることがあります。
このような場合に一時的にオフにする選択肢もありますが、
オフにするのは、必要な作業を行う間だけにとどめる
作業が終わったら、再びオンに戻す
という運用をおすすめいたします。プライバシー保護と利便性のバランスを取りつつ、必要以上に追跡されない状態を保つことが大切です。
まだ不安なときにチェックしたい「本当に危ないサイン」
「トラッカーを阻止しました」という文言だけではなく、以下のような状況が同時に起きていないかを確認してみてください。
フィッシング・詐欺サイトの典型例
有名企業や宅配業者を装い、「アカウントが停止されました」「再配達はこちら」といったSMSから不自然なURLに誘導される
ログイン画面のURLが公式ドメインと違う
画面の日本語が不自然、誤字が多い
こうしたケースは、トラッカーとは別問題であり、フィッシング詐欺への対策が必要です。
ウイルス・マルウェアに感染した可能性がある症状
操作していないのに勝手にブラウザが開く・勝手に広告が表示される
バッテリーの減りが異常に早くなった
常に怪しいポップアップが表示され続ける
これらは、悪質なサイトやアプリが関与している可能性があります。心当たりがある場合は、
不要なプロファイルやアプリの削除
iOSの最新バージョンへのアップデート
Apple公式サポートやキャリアショップへの相談
などを検討してください。
不安なときの相談先と、最低限やっておきたい対策
不安が強い場合は、以下のような窓口に相談すると安心です。
各キャリアショップ(ドコモ・au・ソフトバンク等)のスマホサポート
Appleサポート(チャット・電話)
信頼できる家電量販店のサポート窓口
あわせて、次の基本対策だけでも実施しておくと良いでしょう。
iOSとアプリを常に最新の状態に保つ
公式ストア以外からアプリを入れない
不審なSMS・メールのリンクを安易に開かない