会社から「自己評価シートを書いて提出してください」と言われても、いざ書こうとすると手が止まってしまう方は多いです。
Yahoo!知恵袋などでも「何を書けばいいのか分からない」「5段階評価の点数はどうつけるべき?」といった相談が多数寄せられています。
本記事では、そうした“知恵袋で聞きたい悩み”を前提に、自己評価の基本から、30分で書き上げる手順、職種別の例文テンプレ、トラブルを防ぐポイントまで体系的に解説いたします。
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自己評価は、「上司との対話の土台」「自分のキャリアの記録」として重要な役割を持つ
評価される自己評価のキーワードは、客観性・具体性・一貫性
5段階評価は「3=期待どおり」を基準にし、根拠がある部分だけ上下させる
30分で書くためには、
事実の棚卸し
成果・工夫・課題への整理
テンプレへの当てはめ
の3ステップが有効
職種別・ケース別の例文は、「そのまま」ではなく「自分の数字・エピソード」に置き換えて使う
まずは、直近3か月〜半年の「うまくいったこと・工夫したこと・大変だったこと」をメモに書き出す
本記事のテンプレをベースに、1つでよいので自己評価コメントを試しに書いてみる
書いた内容を保管し、次回の自己評価のたたき台にする
自己評価の「役割」と「知恵袋で多い勘違い」を整理する
自己評価は誰のためのものか?人事評価での位置づけ
自己評価は、「なんとなく毎年書かされる書類」ではなく、次のような役割を持っています。
あなた自身が、この半年〜1年の仕事を振り返るためのツール
上司があなたの仕事ぶりを理解するための情報源
人事評価(昇給・昇格・賞与)や、今後の目標設定・配置検討の材料
多くの企業では、業績(数字・成果)、プロセス(取り組み姿勢や協調性)、情意(態度・責任感)など、複数の観点から評価を行います。自己評価は、そのそれぞれについて「自分はどう考えているか」を整理して伝えるための欄です。
つまり、
自己評価=評価を一方的に上げてもらうための“お願い文”ではなく、上司との対話と評価のための事実整理シート
という位置づけで捉えると、書くべき内容が見えやすくなります。
知恵袋でよくある3つの勘違い
Yahoo!知恵袋などを見ていると、自己評価について次のような“極端なアドバイス”や勘違いが目立ちます。
「自己評価は全部低めにつけておけ」
「逆に全部高く書いた方が得をする」
「本音(愚痴・不満)をぶつけてもいい場所だ」
しかし、人事・評価者の視点から見ると、どれもリスクがあります。
全て低く書くと
「自分の仕事を客観的に評価できていない」「自信がない」と見られる可能性があります。
上司が「本当はもっとできているのに、自己評価が低すぎる」と感じると、評価面談で余計なすり合わせが必要になります。
全て高く書くと
上司の評価と大きくズレた際に、「自己認識が甘い」「周囲を見ていない」と受け取られることがあります。
愚痴・不満を書くと
評価の場ではなく“クレーム窓口”のように見えてしまい、評価者として扱いづらくなります。
大切なのは、高いか低いかの“点数”そのものより、「なぜその評価なのか」という理由の一貫性と妥当性です。
自己評価が評価・昇給・キャリアに与える影響
自己評価は、評価結果の全てを決めるものではありません。しかし、次のような点で影響します。
評価面談での対話の出発点になる
昇給・昇格の際、「これまで何をしてきたか」を振り返る資料になる
異動や抜擢人事の候補を検討する際の参考資料になる
また、自己評価の内容は、転職活動や社内公募の際、「自分のキャリアの棚卸し」としても活用できます。
一度きりの“その場しのぎの書類”ではなく、将来の自分にも役立つ記録として書いておくことが重要です。
自己評価シートの基本構成と、評価される書き方の原則
自己評価シートによくある項目(成果・取り組み・課題・目標)
多くの会社の自己評価シートには、次のような項目があります。
成果(業績・目標達成度)
取り組み内容・工夫した点
課題・反省点
今後の目標・改善策
それぞれ、次のような観点で書くと整理しやすくなります。
成果
売上・件数・処理数・プロジェクト完了数などの数値
期初に設定した目標との比較(何%達成したか 等)
取り組み内容・工夫
業務効率化の工夫、マニュアル整備、後輩への指導、他部署との連携など
課題・反省点
達成できなかった目標、ミスが多かった場面、その原因
今後の目標・改善策
課題に対して、今後どのように取り組むか(具体的な行動)
この4つを意識すると、自己評価の内容に抜け漏れが少なくなります。
人事・評価のプロが見ているポイント(客観性・具体性・一貫性)
人事や評価者が「良い自己評価」と感じる文章には、共通点があります。
客観性
「頑張りました」「意欲的に取り組みました」といった主観だけでなく、事実・数字・第三者の評価が示されていること。
具体性
「残業を減らす工夫をしました」ではなく、「月平均20時間だった残業を、業務の優先順位付けを見直すことで15時間に削減しました」のように具体的な内容が書かれていること。
一貫性
期初の目標、途中の取り組み、期末の自己評価がつながっており、「なぜこの評価なのか」が納得できる流れになっていること。
逆に言えば、抽象的な形容詞だけの文章は評価しづらいということです。
例
NG例:
「日々の業務を前向きに頑張りました。これからも努力していきたいです。」改善例:
「受発注入力の処理件数を、1日平均50件から60件に増やしました。
そのために、入力パターンのテンプレートを作成し、よく使用するコードをショートカット登録しました。」
このように、「何を・どのように・どのくらい」行ったかが分かる文を意識します。
5段階評価の点数とコメント欄の考え方
5段階評価の場合、一般的には次のような考え方が多いです。
3:期待どおり(標準的な成果・行動)
4:期待を上回る
5:期待を大きく上回る、または明確な高水準の成果
2:期待をやや下回る
1:期待を大きく下回る
まずは 「3=期待どおり」を基準 とし、そこから上下させて考えると極端になりにくくなります。
重要なのは、
点数よりも、その点数をつけた理由をコメント欄で説明できているかどうかです。
自己評価「4」なら
「期初目標120%に対して130%を達成」「チーム横断の業務改善プロジェクトを主導した」など、期待を上回った根拠を書く。
自己評価「2」なら
「新システム導入に習熟できず、処理時間が増加した」「ミスが多く二重チェックが必要だった」など、事実と原因・改善策を書く。
30分で自己評価を書くための3ステップ
ステップ1:この半年・1年の事実を箇条書きで棚卸しする
いきなり“きれいな文章”を書こうとすると、手が止まります。
まずは、事実を箇条書きで書き出しましょう。
カレンダー・スケジュール、日報、メール・チャット履歴をざっと見返す
次の観点でメモする(1つのメモにつき1行でOK)
達成した仕事・プロジェクト
数字で表せる成果(売上・件数・時間削減 等)
上司や同僚、顧客から感謝された出来事
大きなミス・反省点
自分なりに工夫したこと
ここまでは「良い・悪い」は考えず、素材を集めるイメージで構いません。
ステップ2:事実を「成果」「工夫」「課題と改善」に整理する
次に、書き出したメモを次の3つに分類します。
成果・実績(数字・達成したこと)
工夫・取り組み(プロセス・改善・他者への貢献)
課題と改善(うまくいかなかったことと、その対応)
それぞれのカテゴリで、重要だと思うものを1〜3個程度選びます。
この「3つ前後」に絞る作業が、後の文章を読みやすくします。
ステップ3:テンプレートに当てはめて文章に仕上げる
最後に、次のテンプレートに当てはめて文章を作ります。
成果
その成果に向けた工夫・取り組み
課題の振り返り
今後の目標・改善策
事務職の例を簡易的に示すと、以下のようになります。
成果:
「受発注業務において、月間の処理件数を昨年同月比で約15%増加させました。」
工夫:
「よく使用する入力パターンをテンプレート化し、ショートカット登録を行うことで、1件あたりの処理時間を短縮しました。」
課題:
「一方で、月末の繁忙期には確認漏れによる修正が数件発生しました。」
改善:
「今後は、繁忙期前に早めに件数をさばくとともに、チェックリストを用いて二重確認の仕組みを整え、ミス防止に取り組みます。」
このように、事実 → 工夫 → 課題 → 改善 の流れができていれば、評価者としても内容を理解しやすくなります。
職種別・ケース別の自己評価例文テンプレ
※以下の例文は、そのままではなく、ご自身の数字やエピソードに置き換えてご利用ください。
事務職の自己評価コメント例(無難/アピール/反省重視)
無難パターン
「受発注業務・請求書発行・電話対応など担当業務を、期日を守って正確に遂行しました。
特に、月末月初の繁忙期にはタスクの優先順位付けを行い、他部署との連携を意識することで、納期遅延を発生させずに対応することができました。」
アピールパターン
「受発注業務において、処理件数を昨年同月比で約15%増加させることができました。
よく使用する入力パターンのテンプレート化や、マニュアルの改訂を自ら提案・実行したことで、チーム全体の処理時間短縮にも貢献できたと考えています。
今後は、後輩への指導を通じて、チーム全体のスキル向上にも取り組んでいきたいです。」
反省重視パターン
「日次の受発注処理については概ね期日どおりに対応できましたが、月末の繁忙期に確認漏れによる修正が数件発生しました。
原因としては、件数増加に伴う焦りから、チェック手順を一部省略してしまったことが挙げられます。
今後は、繁忙期に備えた前倒し対応と、チェックリストの整備に取り組み、同じミスを繰り返さないよう改善していきます。」
営業・接客職の自己評価コメント例
営業職の例
「新規開拓営業において、年間目標120件に対し、135件の受注を達成しました。
既存顧客への定期訪問に加え、オンライン商談を積極的に提案することで、移動時間の削減と提案回数の増加につなげました。
一方で、大口案件のクロージングに時間を要するケースもあったため、上長との事前相談を増やし、提案内容の質を高めることが今後の課題です。」
接客・販売職の例
「来店されたお客様一人ひとりのご要望を丁寧に伺い、商品説明やコーディネート提案を行うことで、客単価向上を意識して接客しました。
特に、リピーターのお客様には前回のご購入内容を踏まえた提案を行い、『相談しやすい』というお声をいただく機会が増えました。
ただし、ピークタイムにはお待たせしてしまう場面もあったため、周囲と声を掛け合いながら、よりスムーズな応対ができるよう改善していきます。」
5段階評価のつけ方サンプル(3を基準に考える)
たとえば「業務知識」の自己評価をつける際のイメージです。
3:担当業務に必要な知識を身につけ、指示通りに業務を遂行できている
4:担当業務に加え、関連業務の知識も自ら学び、周囲から質問を受ける立場になっている
5:部署内での教育・マニュアル整備を主導し、新人教育にも積極的に関わっている
自分の状況を上記イメージと照らし合わせ、もっとも近い数字を選びます。
その上で、コメント欄に「なぜその数字なのか」を具体的に記載すると、説得力が増します。
知恵袋でよくある悩みへの具体的な回答(Q&A形式)
Q. 高めに書くべき?それとも謙虚に低め?
結論から言うと、極端に高くも低くもせず、「3=期待どおり」を基準に、根拠がある部分だけ少し上下させることをおすすめします。
全項目を2以下にすると
「自己評価が厳しすぎる」「自信がなさすぎる」と受け取られる可能性があります。
全項目を5にすると
「自己評価が甘い」と見られ、上司評価が3〜4の場合にギャップが大きくなります。
目安としては次のようなイメージです。
| 書き方 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 全体的に低め | 謙虚に見える | 自己評価能力が低い印象。評価者とのすり合わせが増える |
| 全体的に高め | アピールにつながる可能性 | 根拠がないと逆効果。上司からの信頼を損ねることも |
| 3を基準に上下 | バランスが良く、理由を説明しやすい | 少し考える手間はかかる |
「どのくらいが妥当か分からない」場合は、まず自分なりに点数を決めた上で、評価面談で上司の考えも確認すると良いでしょう。
Q. 目標を達成できなかった場合、どう書けばいい?
目標未達の場合でも、事実を隠さず、その理由と改善策まで書くことが大切です。
NGに近い書き方
「目標を達成できませんでした。申し訳ありません。」
良い書き方の例
「新規顧客獲得数の目標30件に対し、実績は24件でした。
主な要因は、既存顧客対応に時間を要し、新規訪問件数が計画より20%少なかったことです。
今後は、既存・新規の時間配分を週単位で見直し、上長と相談しながら優先順位を調整することで、新規開拓の時間を確保していきます。」
このように、
事実 → 要因 → 改善策 の流れになっていれば、未達でも前向きに評価されやすくなります。
Q. ミスやトラブルはどこまで書くべき?
重大なミスやトラブルを自己評価で完全に隠すのは、信頼の観点からおすすめできません。
一方で、細かな失敗を全て列挙する必要もありません。
ポイントは次の通りです。
会社やチームに与えた影響が大きいミス
同じ種類のミスを何度か繰り返してしまった場合
これらについては、
起こった事実(いつ・何が・どの程度)
原因(自分の行動・環境要因双方)
対応(そのときどう対処したか)
再発防止(今後どうするか)
を簡潔に書きます。
ミスそのものではなく、ミスにどう向き合ったか、そこから何を学んだかが評価されることも多いためです。
トラブルを防ぐための注意点とNG例
やりがちなNG自己評価コメント例と人事側の受け取り方
| 項目 | NGコメント例 | 人事から見た印象 |
|---|---|---|
| 抽象表現 | 「日々の業務を前向きに頑張りました。」 | 具体的な内容が分からず、評価材料にならない |
| 他責的表現 | 「他部署の対応が遅く、自分の業務が遅れました。」 | 責任転嫁に見え、協調性に疑問を持たれる |
| 愚痴 | 「人手不足で大変でした。もっと人を増やすべきです。」 | 評価シートが不満の吐き出しになっている |
これらの例は、以下のように改善できます。
抽象表現 → 具体化
他責 → 事実+自分の対応を中心に
愚痴 → 課題+建設的な提案に変換
自己評価と上司評価が大きくズレたときの向き合い方
自己評価と上司評価が大きくズレると、ショックを受けることもあります。
その際は、評価面談で次のような点を確認するとよいでしょう。
具体的にどの行動・成果の部分をどう評価しているのか
期待している役割や基準が、自分の認識とどう違っていたのか
次回の評価で「4」や「5」を目指すには、何が必要と考えているのか
感情的な反論ではなく、事実と期待のすり合わせの場として捉えることが重要です。
そのうえで、次回の自己評価に今回のフィードバックを反映させれば、「学びのあるズレ」に変えることができます。
会社の評価制度・文化を踏まえた“書き方のさじ加減”
会社によって、評価の重視ポイントは異なります。
数字・成果を重視する会社
プロセス・協調性を重視する会社
顧客満足度や品質を重視する会社
自社の評価文化は、次のようなところから推測できます。
評価面談で、上司がよく口にする言葉
評価シートの項目の比率(数字系が多いか、人間性・姿勢系が多いか)
昇格している人が、どのような仕事ぶりを評価されているか
これらを踏まえ、
自社で大事にされているポイントを、自己評価の中でも少し多めに説明する
という意識を持つと、評価者に伝わりやすくなります。
自己評価を「キャリアの棚卸し」に変える活用法
転職・異動・昇格に活かすために残しておきたい記録
自己評価は、次のような形で将来のキャリアにも役立ちます。
過去のプロジェクト・担当業務の一覧
達成した目標(数字・規模感)
工夫したこと・改善したこと
ミスやトラブルと、その克服経験
これらは、そのまま 職務経歴書の実績・自己PRのネタ になります。
自己評価を書いたら、個人用に保存しておき、必要に応じて抜き出せるようにしておくと便利です。
日頃からメモしておくと自己評価が楽になるポイント
自己評価を書くのが毎回大変なのは、振り返る材料が手元にないからでもあります。
次のようなことを簡単にメモしておくと、半年後・1年後の自己評価がぐっと楽になります。
「うまくいった日」:数字がよかった・顧客に感謝された 等
「工夫したこと」:業務効率化・チーム内で共有したノウハウ 等
「大変だったこと」:トラブル・クレーム・繁忙期の対応 等
スマホのメモアプリや、日報の最後の一行に書き足すだけでもかまいません。
次回以降も使えるマイテンプレートの作り方
今回、この記事を参考に作成した自己評価は、そのまま「マイテンプレート」にできます。
構成(成果 → 工夫 → 課題 → 目標)
自分が書きやすい定型フレーズ
数字やエピソードだけ差し替えれば良い部分
これらを意識して保存しておくと、次回からは 「前回との差分」を書くだけ で済むようになります。
毎年少しずつアップデートすることで、「自分の成長が見える自己評価ファイル」になっていきます。
よくある質問(FAQ)
手書きとPCどちらがよい?
会社がフォーマットや提出方法を指定している場合は、それに従うことが最優先です。
指定がない場合には、
手書き
メリット:温かみ・丁寧さが伝わりやすい
デメリット:書き直しが大変、誤字が残りやすい
PC入力
メリット:読みやすく、修正・保管が容易
デメリット:印刷環境が必要な場合がある
といった特徴があります。
読みやすさと修正のしやすさを考えると、PC入力+印刷 を許可している会社であれば、PCでの作成がおすすめです。
文章が苦手で短くなってしまう場合の対処法
長文を書く必要はありません。
次の「3点セット」を意識すると、短くても伝わる自己評価になります。
結論(何をしたか)
理由(なぜ・どのように)
具体例(数字やエピソード)
例
「受発注処理の件数を昨年比で約15%増やしました。(結論)
入力パターンをテンプレート化し、ショートカットキーを活用することで、一件あたりの処理時間を短縮したためです。(理由)
その結果、月末の残業時間を昨年同時期より約5時間削減できました。(具体例)」
このように、短くても「何・なぜ・どうなった」が書かれていれば十分です。
新卒・入社1年目でアピール材料が少ないときの考え方
入社1年目の場合、数字の大きな成果よりも、次の点が重視されるケースが多いです。
基本業務を正確に覚え、ミスなく遂行できているか
指示の理解・報告・連絡・相談が適切か
学ぶ姿勢・周囲からのフィードバックを素直に受け止めているか
そのため、
「●●業務の一連の流れを一人で担当できるようになった」
「日々の業務で不明点があった際には必ず確認し、同じミスを繰り返さないようメモを取っている」
といった、成長プロセスや姿勢に焦点を当てて書くと良いでしょう。