Windows10のサポート終了が迫ると、「このまま使い続けても大丈夫なのか」「ネットにつないだ瞬間に危険なのでは」「買い替え以外に現実的な選択肢はあるのか」と不安になりがちです。実際、サポートが終わってもパソコン自体は動き続けますが、セキュリティ更新が止まることで“見た目は同じでも危険度だけが上がっていく”状態になりやすい点が問題です。
そこで本記事では、Windows10を当面使い続けざるを得ない方に向けて、サポート終了後に起きることを最短で整理したうえで、継続利用の判断基準、被害確率を下げる具体的な設定と習慣、ESUで延命する手順、そしてWindows11移行や買い替えの現実解までを、チェックリストと比較表を交えながら分かりやすく解説します。読み終えたときに「自分は何を選び、今日から何をすればよいか」が迷わず決まる内容にいたします。
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Windows10サポート終了後に起きることを最短で整理
Windows 10はサポートが終了しても、翌日に突然起動しなくなるわけではありません。電源は入りますし、ファイルも開けますし、アプリも多くは動作します。
しかし、見た目は変わらないのに「防御だけが弱くなる」のが最大の問題です。特にネットにつながるPCは、攻撃者から見れば“更新されない入口が残る環境”になりやすく、時間が経つほど危険度が上がります。
「使える」と「安全に使える」は別物です。サポート終了後の現実は、次のように整理すると理解しやすくなります。
PCは動くが、OSの穴が塞がれなくなる
使っているソフトや周辺機器が、徐々に“保証外”になりやすい
トラブル時の解決策が減り、復旧コストが上がる
仕事・決済・個人情報など“守るべきもの”があるほどリスクが重くなる
サポート終了日と終了後もPCが動く理由
サポート終了は、OS自体の提供が消えるのではなく、主に次の支援が止まることを意味します。
セキュリティ更新プログラムの提供停止
不具合修正や品質改善の更新停止
公式サポート(問い合わせ対応など)の縮小・終了
つまり、PCが動く理由は単純で、「OSが消えるわけではない」からです。
ただし、サポート期間中は“見つかった問題を塞ぐ仕組み”が継続して回っていました。サポート終了後はその仕組みが止まり、OSの弱点が見つかっても修正されにくくなります。
ここで注意したいのは、サポート終了直後に危険が最大化するというより、「新しい脆弱性が見つかったときに、修正が来ない」という状態が積み重なり、じわじわ危険が増える点です。
更新が止まると困ること
更新が止まる影響は、セキュリティ面だけではありません。困りごとは大きく3系統に分かれます。
セキュリティの困りごと
OSの弱点(脆弱性)が残りやすくなる
攻撃の手口が広まると、未更新のPCが狙われやすい
感染すると、個人情報・写真・パスワード・決済情報が盗まれる可能性がある
ランサムウェア(身代金要求型)でファイルが暗号化され、復旧に高い負担がかかる
互換性の困りごと
新しいアプリや周辺機器が「Windows 10非対応」「動作保証外」になりやすい
ブラウザやセキュリティソフトの対応が先に終わるケースがある
オンラインサービス(銀行・学校・業務クラウド等)が“推奨環境外”になり、問題発生時に自己責任になりやすい
運用の困りごと
不具合が出てもOS側の修正が来ないため、回避策が限定される
影響調査・切り分け・再インストールなど、復旧が重くなる
古い状態に依存するほど、移行が先送りになってさらに大変になる
「今は問題なく動くから大丈夫」と感じやすい一方で、サポート終了後は“事故が起きたときの被害”と“復旧のしにくさ”が増えます。ここを踏まえて次の章の判断基準に進むのが安全です。
Microsoft 365や主要アプリはどうなる
多くのアプリは、サポート終了後すぐに使えなくなるわけではありません。
ただし重要なのは、「動くこと」と「メーカーが安全性・互換性を保証すること」は別である点です。
サポート対象外になると、問題が起きたときに修正や問い合わせ対応が受けられない場合が増える
バージョンアップや仕様変更が続くサービスほど、推奨環境から外れる影響が出やすい
ブラウザ・メール・オンライン会議・クラウドストレージなど“入口になりやすいアプリ”ほど、環境要件の変化を受けやすい
特にMicrosoft 365のように定期的に更新されるサービスは、OSが古いほど“いずれギャップが広がる”と考えておくのが現実的です。
当面の延命を選ぶ場合でも、「いつまで延命し、いつ移行するか」を同時に決めることが重要になります。
Windows10を使い続ける前に決める判断基準
Windows 10を使い続けるかどうかは、「危険か危険でないか」の二択ではなく、用途・データ・ネット接続の有無・運用の丁寧さでリスクが変動します。
ここでは、迷いを減らすために“判断の軸”を先に固めます。
判断のポイントは次の3つです。
守るべき情報(個人情報・仕事データ・決済)があるか
ネットにつながるか(頻度と用途)
代替手段を用意できるか(別端末・分離・バックアップ)
何をしているPCかで危険度は変わる
用途別に見ると、同じWindows 10でも危険度はかなり変わります。以下は目安です。
高リスクになりやすい
ネットバンキング、クレジット決済、証券取引を行う
仕事で顧客情報・個人情報・機密資料を扱う
メール添付ファイルを頻繁に開く
フリーソフトを探してインストールすることが多い
不特定多数のサイト閲覧、広告クリックが多い
家族や複数人が共用し、操作が統一されていない
中リスク
ネット閲覧やYouTube、SNS、通販が中心
写真や書類など大事なデータがPC内に多い
リモート会議や学校の学習サイトを使う
周辺機器(プリンタ等)を使い続けたい事情がある
低リスクに寄せやすい
ほぼオフライン(DVD視聴、文書作成など)
ネット接続が必要でも、用途を限定できる
別端末(スマホや新PC)で決済・メールを完結できる
重要データは外付けやクラウドに退避し、PCに残さない運用ができる
ここでのコツは、「Windows 10を使い続ける=すべてをそのPCで続ける」ではない、という発想です。
たとえば、ネットバンキングやパスワード管理はスマホに寄せ、Windows 10はオフライン作業や限定用途にするだけでも事故確率は下がります。
継続しない方がよいケース
次に当てはまる場合は、延命よりも移行(Windows 11へ上げる/買い替える/環境を刷新する)を優先した方が安全です。
業務で顧客情報・個人情報を扱う(漏えい時の損害が大きい)
会社・学校の規定でサポート対象OSが明確に指定されている
ネットバンキングや決済をそのPCで日常的に行う
パスワードの使い回しが多く、運用改善の習慣化が難しい
PCを共用しており、家族が自由にインストール・クリックできる
すでに動作が不安定で、バックアップや復旧に不安がある
サポート終了後に事故が起きると、“OSの更新で直す”という手段が取れません。結果として、時間と費用が余計にかかります。
「今は使えているから延命」は成立しやすい一方で、「事故が起きたら詰む」用途の人は、先に移行する方が結局安く済むケースが多いです。
期限を決める移行計画の立て方
延命するなら、必ず「期限」を決めてください。期限がないと、気づいたらさらに古い状態になり、移行がより困難になります。
おすすめの決め方は次の通りです。
まず「いつまで延命するか」を決める
例:半年だけ延命して買い替え費用を確保する
例:ESUで1年延命し、その間に周辺機器や業務アプリの更新を進める
次に「移行の条件」を決める
例:次の確定申告までに移行する
例:学校の年度更新のタイミングで移行する
例:プリンタ買い替えと同時に移行する
3か月単位で“やること”を刻む
1~2週目:データ整理、不要アプリ削除、バックアップ方式を固定
1か月目:Windows 11要件確認、代替案の検討
2か月目:移行テスト(外付けから復元できるか、主要アプリの互換性)
3か月目:実行(アップグレード/買い替え/新環境へ移行)
期限とタスクが決まると、「延命しながら準備を進める」が実際に回り始めます。これが最も大切なポイントです。
Windows10を使い続けるなら被害確率を下げる設定と習慣
ここからは、Windows 10を当面使い続ける人が“今すぐ実行できる減災策”をまとめます。
重要なのは、単発の設定よりも「事故が起きても致命傷にならない仕組み」を作ることです。
入口を減らす(攻撃されにくくする)
侵入されても被害を小さくする(権限・分離)
事故後に復旧できるようにする(バックアップ)
この3段構えで考えると、対策がブレません。
まずやるべき更新とバックアップ
最優先は「最新状態にしてから延命する」ことです。古い更新が残っている状態で延命すると、サポート終了前から危険を抱えたままになります。
手順:更新を終わらせる
Windows Updateを開く
更新の確認を実行し、出てくる更新をすべて適用する
再起動を求められたら必ず再起動し、再度更新を確認する
“更新がありません”になるまで繰り返す
手順:バックアップを二重化する
バックアップは「1つだけ」では不十分です。ランサムウェアや故障では、同じ場所のバックアップも巻き込まれます。最低でも二重化を意識してください。
1つ目:外付けHDD/SSDへのバックアップ
2つ目:クラウド(または別の外付け/別PC)へのコピー
バックアップ設計の目安は次の通りです。
毎日変わるデータ(書類・写真):週1回以上
大事なデータ(家計・確定申告・仕事):作業のたび
アプリ設定やパスワード:別媒体に控える(紙や安全な保管)
チェックリスト:バックアップが“使える”状態か
外付けにコピーできている
その外付けを抜いて保管している(常時接続しない)
1つ前の状態に戻せる(上書きだけでなく世代管理がある)
実際に1ファイル復元して開けることを確認した
「バックアップは取っているつもり」でも、“復元できない”ケースが一番多いです。最低でも月1回は復元テストをしてください。
権限とアカウントの見直し
次に効くのが権限の見直しです。感染や誤操作の被害は、「管理者権限のまま使っている」ことで拡大しやすくなります。
具体策
普段使いは標準ユーザーにする
管理者アカウントは“必要な時だけ”使う
パスワードは使い回さない(特にメールと同一は避ける)
不要なアカウントを削除・無効化する
共有PCなら「子ども用」「来客用」の制限アカウントを作る
ありがちな落とし穴
“面倒だから”管理者のまま使い続ける
家族全員が同じアカウントで使い回す
パスワードを短くしてしまう/同じものを使う
ここを改善するだけでも、被害が“PC全体が壊れる”から“限定的に済む”へ変わりやすくなります。
ブラウザとメールの安全運用
サポート終了後のPCで特に注意したいのが、ブラウザとメールです。攻撃の入口になりやすく、日常的に触れるからです。
ブラウザの基本方針
1つのブラウザに統一して常に最新に保つ
拡張機能は最小限にする(入れすぎない)
「広告ブロック」等は便利ですが、入れた拡張が安全とは限りません。用途が不明な拡張は削除するのが無難です。
“ダウンロードした実行ファイル”はすぐ開かない(右クリックでプロパティ確認、提供元を確認)
メールの基本方針
添付ファイルは「知っている相手でも」油断しない
パスワード付きZIPが届く運用は、むしろ危険が増える場合がある
URLが書かれていても、クリック前に送信元や文面の違和感を確認する
可能なら、メールの閲覧や二要素認証設定はスマホに寄せる
“やってはいけない”運用
怪しいポップアップに従ってソフトを入れる
「ウイルスが見つかりました」系の偽警告に反応して電話・購入する
無料ソフトを検索して、よく分からないサイトから入れる
サポート終了後に限らず、ここで事故が起きると復旧が大変です。Windows 10を延命するなら、ブラウザとメールの運用を“守り寄り”に切り替えるのが最優先です。
ルーターとネットワーク分離
OSをすぐに変えられないなら、ネットワーク側で守るのが効果的です。特に家庭では、ルーターが最前線になります。
ルーターで必ずやること
管理画面のパスワードを初期値から変更する
ルーターのファームウェア更新を確認する
不要な機能(外部からのリモート管理等)が有効なら無効にする
ネットワーク分離の考え方
Windows 10機を“家の重要端末と同じ網”に置かないだけで、事故時の横展開を抑えやすくなります。
ゲストWi-Fiがあるなら、Windows 10はゲスト側へ
ルーターでSSIDを分けられるなら、Windows 10専用のSSIDを作る
仕事用PCやNAS、重要なスマホと同じネットワークに置かない
さらに踏み込むなら、Windows 10の役割を限定し、次のように“ネットに出る行為”を別端末に移すと安全性が上がります。
決済・銀行:スマホ
メール:スマホ/新しいPC
書類作成:Windows 10(オフライン中心)
印刷:Windows 10(限定用途)
「Windows 10を使う=全部そのPCでやる」という思い込みを外すだけで、実際のリスクは大きく下がります。
ESUで延命する方法 個人でもできる登録手順
どうしてもWindows 10を使い続ける事情がある場合、ESU(拡張セキュリティ更新)を検討する価値があります。
ESUは、サポート終了後も一定期間、重要度の高いセキュリティ更新を受け取れる仕組みです。ただし万能ではありません。できること・できないことを理解したうえで、減災策と併用するのが前提です。
ESUでできることとできないこと
ESUの理解を一言でまとめると、「最低限の安全性の下支えをするが、最新OSと同等にはならない」です。
できること
重要度の高いセキュリティ更新を受け取りやすくなる
サポート終了直後の“更新が来ない状態”よりは、防御力を維持しやすい
移行までの“準備期間”を現実的に確保できる
できないこと
新機能追加
すべての不具合修正
互換性の保証(アプリが動かない、周辺機器が使えない等の解決)
使い方が危険なままでも安全になる、という魔法
つまり、ESUは「移行の先送り」ではなく、「移行のための時間を買う」ものとして使うのが適切です。
ESUの前提条件 22H2など
ESUを検討するなら、まずは“受け取れる状態にあるか”を整える必要があります。
一般的には次のような条件が重要になります。
Windows 10が最新(少なくとも最終的な機能更新の範囲)になっている
Windows Updateが正常に動作する(更新に失敗し続けない)
Microsoftアカウントが必要になる場面があるため、ログイン情報が整っている
PCの時刻や証明書、ネットワークが正常である(更新が通らない原因になりやすい)
ESUは登録や導線が環境により異なる場合があるため、まず「Windows Updateを完全に最新にする」「エラーがない状態にする」を先に済ませてください。これができていないと、登録以前で止まりがちです。
Windows Updateからの登録手順
ESUの登録は、基本的にWindows Updateの案内に沿って進めるのが最も確実です。画面表示が異なる場合があるため、ここでは“つまずきやすいポイント”も含めて手順化します。
手順:登録まで
設定を開く
更新とセキュリティを開く
Windows Updateを開く
更新の確認を行い、保留中の更新をすべて適用する
再起動を挟み、更新が出なくなるまで繰り返す
ESUの案内・登録リンクが表示されていれば、案内に従って進める
必要に応じてMicrosoftアカウントでサインインする
指示された選択肢(登録、条件確認、支払い方法など)を完了する
つまずきやすいポイントと対処
ESUのリンクが出ない
→ 更新が残っていないか確認し、Windows 10のバージョンや更新エラーがないか点検します。段階展開や対象条件の差で表示されない場合もあるため、焦って不明な手段に走らないのが重要です。更新が失敗し続ける
→ ストレージ不足、セキュリティソフトの干渉、システム破損などが原因のことがあります。まずは空き容量確保(不要ファイル削除)と再起動を試し、それでも駄目ならバックアップを取ったうえで修復手順(システムの整合性チェック等)を検討します。Microsoftアカウントが分からない
→ 先にアカウントの確認と復旧(パスワード再設定)を行い、二要素認証の設定も合わせて見直します。
ESU登録前に必ず確認したいこと
バックアップが取れている(最重要)
更新が最新になっている
復旧用の手段(回復ドライブ、重要アプリの再インストール方法)がある
使い方を見直す前提(決済や機密用途を別端末へ)ができている
ESU利用中に併用したい減災策
ESUを使っても、普段の使い方が危険なら事故は起きます。特に次の4つは、ESUの有無に関係なく効果が大きいです。
外付けとクラウドの二重バックアップ(外付けは普段抜く)
標準ユーザー運用(管理者を常用しない)
ネットワーク分離(ゲストWi-Fiなど)
用途限定(決済・メール・パスワード管理は別端末へ)
ESUを導入したら安心、ではなく、「ESU+運用改善」で初めて“当面の延命が成立しやすくなる”と捉えてください。
Windows11へ移行する手順と要件未達の現実解
延命策は、あくまで一時的な選択です。長期的に見れば、どこかでWindows 11移行またはPC買い替えが必要になります。
ここでは「要件を満たす場合」と「満たさない場合」に分け、最短で現実解にたどり着く考え方を解説します。
Windows11要件の確認方法
Windows 11には、CPU世代やTPM、セキュアブートなどの要件があります。
確認の手順は次の流れで進めると迷いにくいです。
自分のPCが何年頃のモデルか把握する
購入年が新しければ要件を満たす可能性が上がります
2017年以前のPCは満たさないことも珍しくありません(目安)
公式の確認ツール・メーカー情報を使う
メーカーのサポートページで対象モデルか確認する
ツールで互換性チェックを行う(表示結果を鵜呑みにせず、何が足りないかを見る)
“足りない理由”を切り分ける
TPMが非搭載なのか、搭載だが無効なのか
UEFI/セキュアブートが無効なだけなのか
CPU世代が要件外なのか
メモリ・ストレージの不足なのか
特にTPMやセキュアブートは、搭載されていても無効化されているだけ、というケースがあります。この場合はBIOS/UEFI設定の変更で要件を満たせる可能性があります。ただし設定変更はリスクもあるため、事前バックアップと手順確認が必須です。
要件を満たす場合のアップグレード手順
要件を満たすなら、最もコスト効率が良いのは「Windows 11へアップグレードして延命」することです。
ただし、アップグレードは“失敗しても戻せる準備”が最初に必要です。
手順:安全にアップグレードする
バックアップを二重化する(外付け+クラウド)
ストレージ空き容量を確保する(目安として20GB以上あると安心)
主要アプリの互換性を確認する
会計ソフト、年賀状ソフト、業務アプリ、プリンタドライバなど
周辺機器の対応状況を確認する
プリンタ、スキャナ、古いUSB機器は要注意
Windows Updateからアップグレードを実行する
アップグレード後にWindows Updateを実行し、最新状態にする
主要アプリと周辺機器の動作確認を行う
問題がある場合に備え、数日は旧環境のバックアップを保持する
失敗しやすいポイント
空き容量不足で途中停止
セキュリティソフトの干渉で更新失敗
古い周辺機器が動かない(ドライバがない)
業務アプリが想定通りに動かない
アップグレードは“やってみてから考える”では遅いことがあります。重要用途がある場合は、先に互換性を調べ、代替策(新しいプリンタにする等)まで考えておくのが安全です。
要件を満たさない場合の選択肢 買い替えと代替OS
要件未達の場合、現実的な選択肢は次の4つです。重要なのは「自分の用途に合うものを選ぶ」ことです。
PC買い替え
最も確実で、長期的には手間が減ります
初期費用はかかりますが、事故・復旧・延命の負担が小さくなることが多いです
仕事や決済が絡む人は、買い替えの優先度が高めです
ESUで期限付き延命
すぐ買い替えられない場合の“準備期間”として有効
ただし万能ではないため、運用改善が必須です
代替OSへの移行
ブラウザ中心なら、代替OSでの延命が成立することがあります
一方で、慣れやアプリ互換性の壁があるため、用途が限定できる人向きです
分離運用の徹底
Windows 10機はオフライン中心にし、ネットに出る行為は別端末へ
特に「印刷専用」「古い機器制御専用」など役割を固定できる場合に有効です
比較の目安(再整理)
| 選択肢 | すぐの費用 | 安全性 | 手間 | こんな人に向く |
|---|---|---|---|---|
| 買い替え | 高い | 高い | 中 | 仕事・決済・重要データがある |
| Windows 11へアップグレード | 低い~中 | 高い | 中 | 要件を満たすPC |
| ESUで延命 | 中 | 中 | 中 | 準備期間が必要 |
| 分離運用 | 低い | 中 | 高い | 用途固定できる |
| 代替OS | 低い~中 | 中~高 | 高い | ブラウザ中心、学習できる |
要件未達のPCを“何となく”使い続けるのが一番危険です。選択肢のどれかに寄せ、運用を変えることが前提になります。
よくある疑問とトラブル対策
最後に、サポート終了前後でよく出る疑問と、実際に困りがちなポイントへの対処をまとめます。ここを読めば、「自分は何を避け、何を優先すべきか」が明確になります。
サポート終了後にネットにつなぐのは本当に危険か
危険度は上がります。ただし、重要なのは「ネットにつなぐ=即アウト」ではなく、つなぎ方と用途で差が出る点です。
危険が上がりやすい例
不特定サイト閲覧、広告クリックが多い
フリーソフトを探して入れる
メール添付を頻繁に開く
そのPCで決済や銀行を行う
比較的安全に寄せやすい例
閲覧先を限定する
役割を固定し、余計なインストールをしない
ネットワーク分離をして重要端末と切り離す
決済やメールは別端末に寄せる
完全に危険をゼロにはできませんが、運用で事故確率を下げることはできます。延命するなら“ネットの使い方を変える”のが核心です。
セキュリティソフトだけで足りるか
足りません。セキュリティソフトは重要ですが、OSの更新停止を埋めるものではありません。
セキュリティソフトは「怪しいものを検知・隔離する」助けにはなりますが、OSの弱点を塞ぐ更新が止まれば、攻撃の土台が残りやすくなります。
最低限、次のセットで考えてください。
バックアップ(二重化)
標準ユーザー運用
ネットワーク分離
用途限定(決済・メールは別端末へ)
可能ならESUの検討
「ソフトを入れたから安心」ではなく、「事故が起きても致命傷にならない仕組み」を優先してください。
仕事や学校で使う場合の注意
仕事や学校で使う場合、家庭利用よりも“許容されるリスク”が小さいことが多いです。特に次の点は確認が必要です。
規定・ガイドラインでサポート対象OSが指定されていないか
個人情報・顧客情報・成績情報などを扱う場合、要件が厳しくなりやすい
VPNや認証方式の更新で、古いOSが弾かれる可能性がある
事故が起きた場合、責任の所在が個人に来る可能性がある
業務・学業が絡む場合は、延命よりも移行の優先度を上げるのが安全です。どうしても延命するなら、ネットワーク分離とデータ持ち出し制限を徹底し、重要作業は別端末へ寄せてください。
まずい状態を避ける最終チェック
延命を選ぶなら、少なくとも次のチェックを通してからにしてください。ここを満たせない場合は、延命より移行を優先した方が安全です。
Windows Updateを回し、保留中の更新がない
バックアップが二重化されている(外付けは普段抜いている)
管理者権限を常用していない(標準ユーザーで運用できている)
ブラウザと拡張機能が整理され、最新版を維持している
ルーターの管理パスワードが初期値ではない
ネットワーク分離または用途限定ができている
決済・銀行・重要メールは別端末へ寄せられている
期限付きの移行計画(いつ・何をする)が決まっている
延命の成功は、設定よりも“運用の継続”で決まります。無理なく続けられる形に落とし込み、期限を切って移行準備を進めてください。