WindowsにUbuntuを入れてみたいと思っても、「Windowsのデータが消えたらどうしよう」「インストール後に起動しなくなったら怖い」と不安になり、手が止まる方は少なくありません。実際、つまずきやすいのはUbuntuの操作そのものではなく、事前準備の不足やUEFI・Secure Boot・暗号化(BitLocker)・高速スタートアップといった“Windows側の落とし穴”です。
本記事では、まずデュアルブート・WSL2・仮想化の違いを整理し、目的に合う方式を迷わず選べるようにしたうえで、Windowsを残したままUbuntuを安全に導入する具体手順をチェックリスト付きで解説します。さらに、GRUBが出ない、Windowsが先に起動する、Secure Boot関連のエラーが出るといったトラブル時も、復旧の順番が分かるようにまとめました。読み終えたころには、「何を先に準備し、どこで分岐し、問題が起きたらどう戻すか」がはっきりし、自信を持ってUbuntu導入に進めるはずです。
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WindowsにUbuntuを入れる前に方式を決める
WindowsにUbuntuを「インストールする」と言っても、実は方法が複数あります。ここを曖昧なまま進めると、目的に合わない方式を選んで遠回りしたり、不要なリスク(起動不能・データ消失)を背負ったりしがちです。この記事では、まず方式を整理し、次に“壊さない準備”を固め、最後にデュアルブートでの共存インストールとトラブル対処までを一続きで解説します。作業の途中で迷わないよう、チェックリストと手順をできるだけ具体的に示します。
デュアルブート・WSL2・仮想化の違いと選び方
方式は大きく次の3つです。選び方の軸は「Ubuntuをどれくらい本気で使うか」「周辺機器や性能要件があるか」「再起動してOSを切り替えることを許容できるか」です。
| 方式 | どんな形でUbuntuを使うか | 主なメリット | 主なデメリット | 向く人 |
|---|---|---|---|---|
| デュアルブート | 起動時にWindows/Ubuntuを選ぶ(PCに直接インストール) | Ubuntuを“素のOS”として使える。GPUや周辺機器のLinux利用がしやすい。 | パーティションやブート設定が絡み、失敗すると起動不能リスクがある。再起動が必要。 | Linuxを日常的に使う/検証・学習を深く行う/WSLでは不足する |
| WSL2 | Windows上でLinux環境を起動(Windowsを落とさない) | 導入が軽い。普段のWindows環境を崩さない。再起動不要。 | 低レイヤー検証、特殊ドライバ、起動周りの検証には不向き。用途によっては制約。 | コマンド・開発環境が目的。OS切替が不要。リスクを最小にしたい |
| 仮想化 | Windows上でUbuntuを仮想マシンとして動かす | スナップショットで戻せる。実験に強い。 | 性能やGPU、周辺機器で制限されやすい。設定が増える。 | 学習や短期検証、壊して戻す前提で使いたい |
迷ったときの判断基準
「Linuxコマンドが使えればよい」「Windowsをメインで使い続けたい」→ WSL2
「実験・学習で壊して戻したい」「そこまで性能要件がない」→ 仮想化
「Ubuntuを本格的に使う」「GPUや周辺機器をUbuntu側で使いたい」「WSLだと要件が足りない」→ デュアルブート
この記事の中心は、最も需要が多い一方で失敗も起きやすいデュアルブートです。ただし、最後のFAQでWSL2で十分なケースも整理します。目的に合わない方式で無理をしないことが、最終的な満足度に直結します。
デュアルブートが向くケース、避けた方がよいケース
デュアルブートは強力ですが、PCの構成・運用条件によっては「やらない方が得」な場合があります。ここを正直に見極めると、後悔が減ります。
デュアルブートが向くケース
Ubuntuを日常的に起動して作業したい(Linux中心の時間が長い)
GPU計算、機械学習、CUDA対応、特定ドライバなど、Ubuntu側でのハード活用が必要
ネットワーク/セキュリティ/OS起動の検証など、WSL2では満たしにくい用途がある
ディスクに十分な空きがある(最低でも50GB以上、できれば100GB以上)
“万一の復旧”に備えた準備(バックアップ・回復メディア)を実行できる
避けた方がよいケース(別方式を検討)
会社支給PCなどで設定変更が制限されている(暗号化・BIOS設定が触れない)
重要データが多く、バックアップを取れない/復旧に時間を割けない
ストレージが小さく、パーティションを増やす余裕がない
Linuxは「少し必要」程度で、主目的が開発ツールやコマンド利用に留まる(WSL2が快適)
デュアルブートを選ぶなら、最優先は「壊れない」ではなく「壊れても戻せる」状態にすることです。次章は、そのための準備を具体的にまとめます。
Windows側で必ず行う安全対策
デュアルブートの失敗は、多くがUbuntuの手順ではなくWindows側の準備不足で起きます。特に多いのは、(1)バックアップがなくて詰む、(2)暗号化や高速スタートアップで作業がこじれる、(3)UEFI/起動順が混乱する、の3つです。ここを“面倒でも最初に”片付けるのが最短ルートです。
バックアップと復旧メディアの準備
最初に、作業を始める前提条件を作ります。「もし起動しなくなったらどうするか」を先に確定させると、落ち着いて作業できます。
1) 重要データのバックアップ(最低ライン)
ユーザーデータ(ドキュメント、写真、動画、研究データ、鍵ファイル、ブラウザの重要データなど)を外付けSSD/HDDやクラウドへ退避
可能なら、プロジェクトフォルダやGitリポジトリはリモートへ push(GitHub等)
ゲームやアプリの設定が必要なら、同期方法(クラウド同期など)も確認
2) システム全体を戻す(できれば)
バックアップソフトでシステムイメージを作ると理想的です
「Windowsが起動しない」「修復しても戻らない」状況の最終手段になります。
3) 復旧メディア(必須)
Windowsの回復ドライブまたはWindowsインストールUSBを用意
これがあるだけで、起動修復やブート修復、最悪の再インストールが現実的になります。
4) “いざという時のメモ”
作業前にメモしておくと、トラブル時に落ち着いて対処できます。
現在のストレージ構成(Cドライブ容量・空き容量)
UEFI設定画面に入るキー(F2/F12/ESCなど)
BitLocker/デバイス暗号化の状態(後述)
重要アカウント(Microsoftアカウント等)のログイン情報の確認
ここまで整ってから次に進むのが、安全の近道です。
BitLockerとデバイス暗号化の確認ポイント
Windows 11では、意図せず暗号化が有効になっていることがあります。暗号化が有効な状態でパーティションや起動構成に変更が入ると、復旧キーを求められたり、起動に影響が出たりすることがあります。
確認手順(代表例)
スタートメニューで「BitLocker」を検索し、「BitLockerの管理」が表示されるか確認
設定画面で「デバイスの暗号化」関連の項目がないか確認
エディション(Home/Pro)でも表示が異なることがあります
どう扱うべきか(基本方針)
会社PC/制限があるPC:無理に触れず、WSL2や別PCを検討するのが安全です
個人PC:作業中は暗号化の影響が出ないよう、状態を把握し、必要なら手順に沿って無効化や復旧キーの確保を行います
暗号化はセキュリティ上のメリットも大きいため、「永久に切る」前提ではなく、作業中の影響をコントロールする意識が重要です。
高速スタートアップを無効にする理由
デュアルブートでありがちなトラブルの一つが、Windowsの高速スタートアップです。高速スタートアップはシャットダウン時に完全終了せず、休止状態に近い形でディスクの状態を保持します。これにより、Ubuntu側から見るとWindowsのNTFSが「安全に書き込みできない状態」と判断され、マウントできなかったり、下手をするとファイル破損の原因になったりします。
こんな症状が起きやすい
UbuntuからWindowsパーティションにアクセスできない(読み取り専用になる)
「休止状態のためマウントできない」といった警告が出る
両OSを行き来する運用で、Windows側のファイルが壊れたように見える
対策の考え方
デュアルブート運用では、高速スタートアップは無効にしておくのが無難です
併せて、休止状態(ハイバネーション)を多用しない運用に寄せると安定します
UEFI起動モードとSecure Bootの方針
現在のPCはUEFIが標準です。ここを取り違えると、インストールが成功しても起動が混乱します。
重要な前提:WindowsとUbuntuで起動方式を揃える
WindowsがUEFIでインストールされているなら、UbuntuもUEFIで起動・インストールします
USB起動時に「UEFI: USB名」のような項目がある場合は、それを選ぶのが基本です
Secure Bootはどうするか
結論としては、原則は有効のまま進めるのが安心です。UbuntuはSecure Boot環境で起動する仕組みを用意しており、多くの環境で有効のまま導入できます。
ただし、環境やISOの古さ、更新状況によってはSecure Boot周りで起動エラーが出ることがあります。その場合は「一時的な切り分け」として無効化を使い、最終的には戻せるなら戻す、という運用が現実的です。
事前チェックリスト(ここまでの総まとめ)
次を満たしてからUSB作成・インストールに進むと、失敗率が大きく下がります。
重要データを外部へバックアップした
Windows回復ドライブ/インストールUSBを作った
暗号化(BitLocker/デバイス暗号化)の状態を把握した
高速スタートアップを無効にした(少なくともデュアルブート運用中はOFF)
UEFIでUSB起動できることを確認した
可能ならストレージ空き容量を50GB以上(推奨100GB以上)確保した
UbuntuインストールUSBの作り方
ここからは実作業に入ります。USB作成は単純に見えますが、ISOが古い、書き込み方式が合っていない、UEFIで起動していない、といった理由で躓きがちです。ポイントは「新しいISO」「UEFIで起動できるUSB」「余計な設定をいじらない」です。
ISO入手と新しいISOを選ぶ理由
UbuntuのISOは公式サイトから入手します。ダウンロード時には、できるだけ最新のLTS(長期サポート)を選ぶと無難です。理由は次のとおりです。
新しいPCほど、古いカーネルや古いインストーラーだとハード認識でつまずく
Secure Boot関連の更新などにより、古いブートローダーが弾かれるケースがある
インストール直後のアップデート量が減り、初期設定が安定しやすい
すでにUSBを持っている場合でも、数年前のISOなら作り直す価値があります。「インストールはできたのに起動しない」という状況は、ISOの古さが絡むことがあるためです。
Rufus等でUSB作成する手順と注意点
USB作成ツールはいくつかあります。ここではWindows利用者が多い想定で、代表的な流れを示します(細かな画面はツールのバージョンで変わります)。
USB作成の基本手順
UbuntuのISOをダウンロードする
USBメモリ(8GB以上推奨)を用意する
中身は消えるため、必要データがあれば退避します
USB作成ツール(Rufusなど)を起動し、ISOを選択する
書き込みを開始する
完了したら安全に取り外す
注意点(失敗しやすいポイント)
UEFI環境では、UEFI起動できる形式で作成する
「よく分からない項目」は基本的に既定値を優先する
書き込み後にUSBが認識されない場合は、USBポートを変える/別のUSBメモリを試す
USBメモリの相性は意外にあります。どうしても起動しない場合、まず疑うべきは「USBの相性」「書き込み失敗」「UEFIで起動していない」の3点です。
UEFIでUSB起動する手順
USBができたら、UEFIの起動メニューからUSBを起動します。メーカーや機種によりキーが異なりますが、よくある例は以下です。
起動メニュー:F12 / F9 / ESC など
BIOS/UEFI設定:F2 / DEL など
起動時のポイント
起動メニューに「UEFI: USB名」などが出る場合は、UEFIの方を選びます
Legacy/CSM(互換モード)で起動すると、後でブートが混乱しやすくなります
起動できたら、まずは「Try Ubuntu(試用)」でハードが概ね動くか確認してからインストールへ進むと安心です
Wi-Fiが見えるか、キーボードやタッチパッドは動くか、画面が極端に崩れていないか、など
Windowsと共存でUbuntuをインストールする手順
ここが本題です。デュアルブートの要点は「Windowsの領域をWindows側で縮小して未割り当てを作る」「Ubuntuはその未割り当てに入れる」「ブート項目(起動の入口)を整える」です。難所はパーティション操作なので、やることを固定し、余計な変更を避けるのがコツです。
自動の共存インストールで進める場合
Ubuntuインストーラーは環境によって「Windowsと共存する」選択肢を出してくれることがあります。これが出るなら、初心者にとっては最も安全なルートです。
自動共存インストールの流れ
USBからUbuntuを起動し、「Install Ubuntu」を開始
言語・キーボード・ネットワークを設定
インストール形式の画面で「Windowsと共存」系の選択肢を選ぶ
Ubuntuに割り当てる容量を指定する(スライダー等で指定できる場合あり)
インストール実行
再起動後、OS選択画面(GRUB)が出るか確認
よくある注意点
「共存」が出ない場合は、次の手動方式に切り替えます
途中で「暗号化」や「サードパーティソフトウェア」の選択肢が出た場合、目的に応じて選びます
初心者はまず標準構成で導入し、安定動作を確認してから追加設定でも問題ありません
手動パーティションで進める場合(おすすめ構成)
「共存」が出ない、またはパーティションを明確に管理したい場合は手動になります。ここは慎重に進めましょう。手動でも、やることを決めておけば難しくありません。
手順1:Windowsで未割り当て領域を作る(最重要)
WindowsのCドライブを縮小し、Ubuntu用の空き(未割り当て)を作ります。ここをLinux側ツールで強引に動かすと、Windowsが起動しなくなるリスクが増えるため、縮小はWindowsの「ディスクの管理」で行うのが基本です。
縮小の流れ(概略)
Windowsで「ディスクの管理」を開く
Cドライブを右クリック →「ボリュームの縮小」
縮小する容量を入力し、未割り当て領域を作成
その未割り当て領域には、Windows側で新しいボリュームを作らない(Ubuntuに使うため)
容量の目安
最低ライン:50GB
開発・学習をしっかり:100GB以上
Dockerイメージや大きなデータを扱う:150GB以上あると安心
手順2:Ubuntuインストーラーで手動割り当てをする
Ubuntuインストーラーで「それ以外」「手動(Something else)」に近い選択肢を選びます。そこで、先ほど作った未割り当て領域にパーティションを作ります。
おすすめ構成(基本)
| マウント先 | 目安 | ファイルシステム | 目的 |
|---|---|---|---|
| /(ルート) | 30〜60GB | ext4 | OS本体とアプリ |
| /home | 残りの大部分 | ext4 | ユーザーデータ |
| swap | 4〜16GB程度 | swap | メモリ不足対策(休止利用は要調整) |
なぜ /home を分けるのか
Ubuntuを再インストールする時に、設定やデータを残しやすい
使い込むほどメリットが出ます(もちろん単一構成でも動きます)
swap の考え方
メモリが少ないPC(8GB以下)なら、swapがあると安定しやすい
メモリが十分(16GB以上)なら最小でもよいケースがあります
休止(ハイバネーション)をUbuntu側で使いたい場合は、より慎重な設計が必要です(初心者は休止に依存しない運用が無難です)
手順3:ブートローダーのインストール先を確認する
UEFI環境では、Windowsが使っているEFIシステムパーティション(ESP)があります。多くの場合、Ubuntuはそこへブート項目を追加します。
ここで重要なのは「よく分からない場合は、インストーラーの推奨や既定の提案を尊重する」ことです。無理に別の場所に入れると、後で起動順が読めなくなりがちです。
手順4:インストール完了→再起動→起動確認
インストールが終わったら再起動します。次を確認します。
GRUB(OS選択画面)が表示されるか
Ubuntuが起動するか
Windowsも選択して起動できるか
この3点が揃えば、まずは成功です。ここでWindowsが起動できない場合は、パニックにならず次章の「起動OSの切り替えとトラブル対処」へ進んでください。
インストール完了後の初期設定
Ubuntuを起動できたら、最初にやるべきことは「更新」「ドライバ」「基本設定」の3つです。導入直後は、更新によって不具合が解消されることも多いので、先に最新化してから細かい調整をする方が結果的に楽です。
1) 更新(最優先)
まずソフトウェアアップデートを適用し、再起動が必要なら再起動
カーネルやSecure Boot関連パッケージが更新されることもあります
2) ドライバ(必要に応じて)
NVIDIA GPUなどは、ドライバの選択で体感が大きく変わります
画面がちらつく、解像度が変、外部モニターが不安定などがあれば、ドライバ周りを見直します
3) デュアルブート運用の基本
Windows側の高速スタートアップが無効になっているか再確認
両OSを行き来する場合、Windowsは「再起動」や「完全シャットダウン」を意識するとトラブルが減ります
Ubuntu側でWindowsパーティションを扱う場合、無理に書き込みしない(マウント警告が出たら原因を先に解消)
起動OSの切り替えとトラブル対処
ここは“詰みポイント”になりやすいので、症状別に整理します。大事なのは、いきなり難しい修復をするのではなく、UEFIの起動順・起動項目という「入口」を整えることです。多くのトラブルは、入口を正すだけで解決します。
GRUBが出ない・Windowsが先に起動する時
症状
再起動してもGRUBが表示されずWindowsが起動する
Ubuntuを入れたはずなのに、OS選択ができない
まず確認すること(最優先)
起動時に起動メニュー(F12等)を開けるか
起動メニューに「ubuntu」「UEFI: ubuntu」「Ubuntu」などがあるか
UEFI設定で、起動順序にUbuntu関連が存在するか
対処の基本
Ubuntuの起動項目が存在するなら、起動順でUbuntuを上にする
存在しないなら、インストールがUEFIで行われていない、またはブート項目作成が失敗している可能性があります
その場合、USBから起動して修復(ブート修復)を検討します
“起動できる方を先に確保”する
トラブル時は焦って両方壊しがちです。優先は次の順番です。
Windowsが起動できる(仕事・データを守る)
Ubuntuが起動できる(導入の目的を達成する)
GRUBで快適に選べる(運用の完成)
Windowsが起動できるなら、次の手当てが落ち着いてできます。
Secure Boot関連エラーやSBATエラーの回避
症状の例
“Security Policy Violation”
“Verifying shim SBAT … failed”
Secure Boot有効時だけ起動できない
起きやすい原因
ISOやブート周りが古い
Secure Bootの失効リスト更新や関連更新で、古いブートローダーが弾かれている
更新・構成の組み合わせで、起動チェーンが噛み合っていない
対処の考え方(安全な順)
まずUSBやISOを最新にする
古いUSBで何度も試すより、最新ISOで作り直した方が早いケースがあります
一時的な切り分けとしてSecure BootをOFFにして起動できるか確認
起動できるなら、Ubuntu側で更新を適用し、Secure Boot ONで起動できる状態へ戻す
Ubuntu側で更新後にSecure BootをONに戻して再検証
それでも解消しない場合は、機種固有のUEFI挙動や設定が絡む可能性があるため、メーカーのサポート情報や既知問題情報を確認しながら進める
Secure Bootは「ずっと切る」より、「必要なら切り分けで使い、戻せるなら戻す」方が安心です。特に普段使いのPCでは、セキュリティと運用のバランスが重要です。
Ubuntuを削除したい時にWindowsを起動不能にしないコツ
将来「やっぱりUbuntuをやめたい」となることは珍しくありません。ここでよくある事故は、Ubuntuの領域を消したらWindowsも起動しなくなった、というものです。理由は、デュアルブートではブートローダー(GRUB)や起動項目が絡むためです。
安全な手順の考え方
先にWindows単体で起動できる状態を確保してから、Ubuntu領域を消す
つまり、削除は最後です
守るべき順番(概念)
Windowsの起動入口(Windows Boot Manager)を主にする
その状態でWindowsが起動するのを確認する
Ubuntuのパーティションを削除し、必要ならWindowsの領域へ拡張する
不安がある場合は、Ubuntuを消す前に必ずWindows回復メディアを用意し、最悪でも修復できるルートを残してください。
よくある質問
Windowsの更新で起動しなくなることはある?
あり得ます。特にSecure Boot周りは、更新により起動の条件が変わることがあります。対策として効果が高いのは次の3つです。
できるだけ新しいISOで導入する(古いブート関連を避ける)
Ubuntu導入後、早めに更新を適用して状態を最新に寄せる
“Secure Boot有効時だけ起動できない”などの症状が出たら、慌てずに切り分け(USB作り直し/一時的OFF/更新)を行う
また、Windows更新のタイミングで起動順が変わってWindows優先に戻るケースもあります。その場合はUEFIの起動順を再調整すると解決することがあります。
別ドライブに入れるのは有利?
多くの場合、有利です。理由は明確で、OS同士が同じパーティション領域を触る機会が減り、復旧が比較的単純になるからです。
別ドライブのメリット
WindowsとUbuntuの領域が物理的に分かれ、誤操作の影響範囲が小さくなる
片方を消したい時に手順が分かりやすい
容量管理がしやすい(WindowsのCを無理に削らなくてよい)
注意点
それでもUEFIの起動項目は共通に管理されるため、起動順や起動項目の理解は必要です
ノートPCでは増設が難しい場合がある(外付けSSDに入れる運用は相性が出ることがあります)
可能なら、2台目SSDにUbuntuを入れる構成は“安全側”になりやすい選択です。
Secure Bootは切るべき?
原則は切らずに進める方が安心です。UbuntuはSecure Boot環境で起動する仕組みを備えており、多くのPCで有効のまま導入できます。
ただし、起動エラーが出る場合は切り分けのために一時的にOFFにし、Ubuntu側の更新やUSB作り直しで解消できるかを確認し、可能ならONへ戻す、という流れが現実的です。
WSL2で十分なケースは?
次に当てはまるなら、まずWSL2を試す方が満足度が高いことが多いです。特に「OSを入れ替えるリスクを取りたくない」人には強い選択肢です。
Ubuntuを主に「開発ツール」「コマンド環境」として使いたい
OS起動を切り替える必要がない(再起動が面倒)
起動不能などのリスクを極小化したい
LinuxのGUIや低レイヤー検証が必須ではない
WSL2で足りなくなった時点で、デュアルブートに進むのでも遅くありません。段階的に移行するのが、心理的にも安全です。