「Windowsセキュリティのパスワードを入力してください」という画面が突然表示され、「これはいったい何のパスワードなのか?」と戸惑われたことはないでしょうか。
本記事では、Windowsセキュリティのパスワードの正体と、忘れてしまった場合の確認・復旧方法、さらに資格情報マネージャーやWindows Helloを使った安全で便利な設定方法まで、順を追って解説します。
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「Windowsセキュリティのパスワード」という単独の設定があるわけではなく、画面ごとに異なるアカウントのパスワードが求められていることを理解することが出発点です。
パスワードを忘れた場合は、Microsoftアカウント/ローカルアカウント/社内アカウントなど、アカウントの種類ごとに適切な復旧手順を選ぶ必要があります。
Windowsの資格情報マネージャーを活用することで、保存されたパスワードの整理やトラブル解消が可能です。
さらに、Windows Helloやパスワードレスサインインを組み合わせることで、安全性と利便性の両立を図ることができます。
「Windowsセキュリティ」のパスワードとは何か
Windowsサインインパスワードとの違い
まず押さえておきたいのは、「Windowsセキュリティのパスワード」という単独の設定が存在するわけではないという点です。
Windowsでは、次のような場面でパスワードが求められます。
パソコン起動時のサインイン(ログイン)
ネットワーク上の共有フォルダーやプリンターへの接続
社内やクラウド上のWebシステムへのアクセス
メールソフト(Outlookなど)のサーバー認証 など
これらの多くの場面で、認証画面のタイトルとして「Windowsセキュリティ」が使われています。
そのため、画面の見た目は似ていても、「何のパスワードか」はケースごとに異なります。
一方、パソコン起動時のサインイン画面では、Microsoftアカウントやローカルアカウントのパスワード、またはWindows Hello(顔認証・指紋認証・PIN)などのサインイン方法を選択できます。
「Windowsセキュリティ」ダイアログが表示される主な場面
代表的な例として、次のようなケースがあります。
ネットワーク共有フォルダーに接続するとき
「サーバーがユーザー名とパスワードを要求しています」と表示され、接続先のコンピューター名やサーバー名が併記されることがあります。
社内Webシステムやプロキシサーバーへのアクセス時
ブラウザで特定のサイトを開くたびにWindowsセキュリティが表示されるケースがあります。
メールソフト(Outlookなど)のアカウント認証
メールサーバーのユーザー名・パスワードが必要な場合、Windowsセキュリティダイアログが表示されることがあります。
保存した資格情報を利用しているアプリケーション
過去に保存したユーザー名・パスワードが無効になっている場合に、再入力を促されることがあります。
画面パターン別「どのパスワードか」早見表
おおまかには、次のように考えると整理しやすくなります。
| 画面の特徴の例 | 入力すべきパスワードの種類 |
|---|---|
| サインイン画面で、メールアドレスやユーザー名の下にパスワード入力欄がある | Microsoftアカウントまたはローカルアカウントのサインインパスワード |
「サーバー \\SERVERNAME がユーザー名とパスワードを要求しています」などと表示される | そのサーバーにアクセスするためのアカウント(社内ADアカウントなど)のパスワード |
| 特定のWebサイトURLが表示される | そのサイトにログインするためのアカウントのパスワード |
| メールアドレスとサーバー名(IMAP/POP/SMTPなど)が表示される | メールサーバーのメールアカウントのパスワード |
まずは画面の文章・サーバー名・URLなどをよく確認し、「どのサービスにサインインしようとしているのか」を特定することが重要です。
パスワードを忘れた・分からないときの確認・復旧ステップ
この章では、「パスワードを忘れてしまった」「どのパスワードか分からない」場合に、何から確認すればよいかを整理します。
まず確認したいポイント(画面の文言・サーバー名・アカウント種別)
画面タイトル
「Windowsセキュリティ」なのか、「サインイン」画面なのかを確認します。
表示されているメールアドレスやユーザー名
xxx@outlook.jpなどのメールアドレス → Microsoftアカウントの可能性PC名\\ユーザー名やドメイン名\\ユーザー名→ ローカルアカウントや社内ドメインアカウントの可能性
サーバー名・URL
https://・・・のURL → Webサービスの認証\\SERVERNAMEや\\NASなど → ネットワーク共有やNASの認証
会社支給のパソコンかどうか
会社の管理下にある場合は、勝手にパスワードを変更せず、必ずシステム管理者に確認することをおすすめします。
Microsoftアカウントのパスワードをリセットする方法
パソコンへのサインインやMicrosoft 365などで使用しているMicrosoftアカウントのパスワードを忘れた場合は、Microsoft公式の手順に従ってリセットします。
代表的な流れは次のとおりです。
ブラウザで「パスワードのリセット」ページを開きます。
パスワードを忘れたアカウントのメールアドレスや電話番号を入力します。
表示される手順に従い、登録済みメールアドレスや電話番号、認証アプリなどに送信されたセキュリティコードを入力します。
新しいパスワードを設定します。
注意
Microsoftアカウントのパスワードを変更すると、そのアカウントを利用している他のサービス(OneDrive、Outlook.comなど)でも同じ新しいパスワードが必要となります。
ローカルアカウント(ローカルユーザー)のパスワードを変更・リセットする方法
インターネット接続と無関係に、パソコン単体で使用する「ローカルアカウント」のパスワードを忘れた場合は、状況によって対処方法が異なります。
別の管理者アカウントでサインインできる場合
管理者アカウントから「設定」>「アカウント」>「家族とその他のユーザー」などを開き、対象アカウントのパスワードを変更できます。
他に管理者アカウントがない場合
Windowsのバージョンや設定によっては、回復ドライブやパスワードリセットディスクが必要になるケースがあります。
メーカー提供のリカバリ手順に従い、最悪パソコンを初期化してアカウントを再作成する必要が出る場合もあります。
重要
ローカルアカウントのパスワードリセットは、環境によって取れる手段が大きく異なります。誤った操作でデータを失うおそれがありますので、メーカーの公式FAQやサポート窓口の案内に従ってください。
企業ネットワークや共有フォルダーのパスワードが分からない場合
会社のネットワークや共有フォルダーにアクセスした際にWindowsセキュリティが表示される場合、そのパスワードは社内ドメインアカウントや業務システム用アカウントであることが一般的です。
この場合は、勝手にパスワードをリセットせず、システム管理者・ヘルプデスクに確認することが最善です。
資格情報マネージャーで保存されたパスワードを整理・削除
資格情報マネージャーとは?確認できる情報の種類
Windowsには、「資格情報マネージャー」という機能があり、次のような情報を保存・管理しています。
Webサイトのユーザー名・パスワード(Web資格情報)
ネットワーク共有やアプリケーションのユーザー名・パスワード(Windows資格情報)
これらの情報は、保存しておくことで次回以降のパスワード入力を省略できますが、誤った情報が保存されたままになると、何度もWindowsセキュリティが表示される原因になります。
Web資格情報とWindows資格情報の違い
Web資格情報
EdgeやInternet Explorerなどのブラウザで保存したWebサイト用のアカウント情報が対象です。
Windows資格情報
ネットワークドライブ、共有フォルダー、業務システムクライアントなど、Windowsの機能やアプリケーションが利用するアカウント情報です。
どちらに保存されているかによって、トラブルの原因も変わります。
保存された資格情報の確認・削除・再登録の手順(概要)
資格情報マネージャーを開く一般的な手順は次のとおりです。
画面左下の検索ボックスに「資格情報マネージャー」と入力します。
表示された「資格情報マネージャー(コントロールパネル)」をクリックします。
「Web資格情報」または「Windows資格情報」タブを選択します。
問題が起きていそうな項目をクリックし、詳細を確認します。
不要または誤っていると思われる資格情報は「削除」を実行します。
必要に応じて、次回接続時に正しいユーザー名・パスワードを入力し直し、「資格情報を記憶する」にチェックを入れて保存し直します。
注意
資格情報の削除や表示には、パソコンのサインインパスワードやPINの入力が求められる場合があります。自分が正当に利用しているアカウント以外の情報にはアクセスしないでください。
共用パソコンで資格情報を保存しない方がよい理由
メーカーの公式FAQでも、複数人で利用するパソコンにパスワードを保存することは推奨されていません。
他の利用者があなたのアカウントでネットワークやWebサービスにアクセスしてしまう可能性がある
退職や部署異動時に、どこまで削除すべきか分からなくなり、情報漏えいのリスクになる
共用端末の場合は、毎回パスワードを入力する運用、もしくは個別アカウントでサインインして利用する運用を検討してください。
Windowsセキュリティのパスワード入力が何度も出るときの対処法
この章では、Windowsセキュリティが繰り返し表示される代表的なケースと、確認すべきポイントを整理します。
ブラウザやメールソフトで毎回パスワードを要求される場合
次のような原因が考えられます。
保存されているパスワードが間違っている
アカウントのパスワードを変更したが、古い情報が保存されたままになっている
ブラウザやメールソフト側のアカウント設定が古いままになっている
対処の流れ(一例)
現在有効なパスワードが正しいかを別の経路(公式サイトなど)で確認する。
メールソフトやブラウザのアカウント設定画面を開き、ユーザー名やサーバー名が正しいかを確認する。
Windowsの資格情報マネージャーで、関連するWeb資格情報/Windows資格情報を一度削除し、正しい情報を入力し直す。
ネットワークドライブ/共有フォルダー接続時に繰り返し聞かれる場合
ネットワークドライブや共有フォルダーに接続する際にパスワードを繰り返し求められる場合、次の点を確認してください。
入力しているユーザー名の形式(
ドメイン名\\ユーザー名かPC名\\ユーザー名か)接続先サーバー側でアカウントのパスワードが変更されていないか
Windows資格情報に古い情報が残っていないか
基本的な対処手順
資格情報マネージャーで、問題の共有フォルダーやサーバー名に関連する資格情報を削除する。
エクスプローラーから再度共有フォルダーにアクセスし、正しいユーザー名・パスワードを入力する。
「資格情報を記憶する」にチェックを入れ、再度保存する。
誤った資格情報が残っているときの解消パターン
誤った資格情報が原因の場合、一度削除してから正しい情報を再登録するのが基本です。
何度も同じ画面が出る
正しいパスワードのはずなのに通らない
このような場合は、資格情報マネージャーを見直すことで解決するケースが多くあります。
それでも解決しない場合に確認したい設定・管理者への相談ポイント
以下に該当する場合は、個人での対応ではなく、専門家や社内管理者に相談することをおすすめします。
会社支給のパソコンで、ドメイン参加や各種制限が設定されている
Windows Updateや構成変更の直後から多数のサービスで認証エラーが出るようになった
自分でパスワードをリセットできないポリシーになっている
この場合、ネットワーク全体の設定やセキュリティポリシーが関係している可能性があります。無理に個人で設定を変更せず、管理者やサポート窓口の指示に従ってください。
安全で便利なサインインのための設定
最後に、パスワードに関するトラブルを減らしつつ、セキュリティを高めるための設定について紹介します。
Windows HelloとPINの基本(パスワードとの違い)
Windows Helloは、顔認証・指紋認証・PIN(数字などの暗証番号)を使ってサインインする仕組みです。
顔認証・指紋認証・PINはいずれもそのパソコン専用の情報として扱われます。
Microsoftアカウントのパスワードそのものよりも、盗まれにくく、使い回されにくい仕組みになっています。
特にPINは、その端末の中だけで使用される認証情報であり、インターネット上に送信されることはありません。
サインインオプションの確認と変更手順(Windows 10 / 11)
Windows 10 / 11では、「設定」アプリのサインインオプションから、サインイン方法を確認・設定できます。
一般的な流れは次のとおりです。
「スタート」>「設定」>「アカウント」を開きます。
左メニューから「サインイン オプション」を選択します。
「Windows Hello 顔認証」「Windows Hello 指紋認証」「PIN(Windows Hello)」など、利用可能な方法を設定します。
注意
一部の環境では、セキュリティ向上のため「Windows Helloによるサインインのみを許可」する設定が有効になっている場合があります。その場合、通常のパスワードでのサインインが制限されることがあります。
パスワードレスサインインのメリット・注意点
メリット
長いパスワードを毎回入力する必要が減り、利用者の負担が軽くなる
肩越しにのぞき見されるリスクが減る
パスワードの使い回しを減らすきっかけになる
注意点
デバイス紛失時には、Microsoftアカウントのパスワードや他の認証手段を利用して保護する必要がある
会社のポリシーによっては、パスワードレスサインインの利用が制限されていることがある
強いパスワードを作るための基本ルール
パスワードレス化を進める場合でも、パスワード自体を安全に保つことは依然として重要です。
一般的に推奨されるポイントは次のとおりです。
12文字以上を目安に、英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
誕生日や名前、よくある単語の組み合わせは避ける
サービスごとに異なるパスワードを設定し、使い回さない
パスワードマネージャー(管理アプリ)の利用も検討する
よくある質問
Q1. Windowsセキュリティのパスワードはどこで確認できますか?
A. 「Windowsセキュリティのパスワード」という単独の一覧は存在しません。
どの画面で、どのアカウントに対する認証が求められているかによって、確認方法が異なります。
Microsoftアカウント → Microsoft公式サイトのパスワードリセット手順から再設定
ローカルアカウント → 別の管理者アカウントやリカバリ手順が必要な場合あり
ネットワーク共有や社内システム → システム管理者へ確認
保存された情報については、資格情報マネージャーで確認・削除が可能です。
Q2. 保存されたパスワードを表示するのは安全ですか?
A. 自分だけが利用するパソコンで、かつ画面を第三者に見られない環境であれば、資格情報マネージャー経由でパスワードを表示することができます。ただし、他人の目や画面の録画などに十分注意する必要があります。
共用パソコンや、会社のポリシーで制限されている環境では、パスワード表示や保存自体を避けるべきです。
Q3. パスワードを忘れてサインインできない場合はどうなりますか?
A. Microsoftアカウントの場合は、公式のパスワードリセット手順で復旧できるケースが多くあります。
一方、ローカルアカウントの場合や、他の管理者アカウントが存在しない場合、
パソコンの初期化(再セットアップ)が必要になるケースもあり、その際には保存していないデータが失われる可能性があります。
日頃から、重要なデータのバックアップをとっておくことを強くおすすめします。
Q4. 会社支給PCで自分で設定を変えてよい範囲は?
A. 会社支給パソコンでは、社内のセキュリティポリシーが最優先です。
パスワードの変更方法や有効期限
Windows Helloやパスワードレスサインインの可否
資格情報の保存可否 など
これらは組織ごとにルールが定められていることが多いため、必ずシステム管理者やヘルプデスクに確認した上で操作してください。