「ウィジェットを読み込んでいます」がホーム画面に出たまま消えず、検索バーや天気、ニュースが真っ白なまま動かない――そんな状態が続くと、毎日の操作が一気に不便になります。しかも原因は、通信不良だけでなく、Googleアプリの不整合、ランチャーの一時不具合、省電力設定によるバックグラウンド停止など、複数の要素が重なっていることが多く、「何から試せばよいのか」が分かりにくいのが実情です。
本記事では、表示が消えない状況を最初に整理したうえで、影響の少ない対処から順に、最短で復旧させる手順を詳しく解説いたします。あわせて、キャッシュ削除や再インストールのデータ影響、原因の切り分け方法、再発を防ぐ設定の見直しまで体系的にまとめます。手順どおりに進めれば、無駄な操作を避けながら、いま困っている症状の改善と、同じトラブルの再発防止の両方を目指せます。
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ウィジェットを読み込んでいますが出る状況を整理する
「ウィジェットを読み込んでいます」という表示が消えない場合、原因は1つではなく、通信・アプリ・ホーム画面(ランチャー)・OS・省電力制御など複数の層にまたがって発生していることが多いです。そのため、最初から複雑な操作に進むのではなく、「どこで」「どのウィジェットが」「どの条件で」止まるのかを先に整理すると、復旧までの時間が大きく短縮されます。
ウィジェットは、ホーム画面上にアプリの情報表示や簡易操作を置く仕組みです。多くのウィジェットは、表示のたびにネットワーク通信やバックグラウンド処理を行い、必要なデータを取得してから描画します。その途中で何らかの要因があると、表示が完了せず「読み込み中」のまま固まるように見えます。特に、天気・ニュース・金融・ポイント・検索など、常に最新情報を取得するタイプほど影響を受けやすい傾向があります。
まずは、以下の2点を確認してください。
発生箇所:ホーム画面のウィジェット枠なのか、アプリ内の部品なのか、ブラウザ上の埋め込みなのか
発生範囲:特定ウィジェットのみか、複数ウィジェットに広がっているか
この2点が分かるだけで、「通信の問題なのか」「提供元アプリの問題なのか」「ホーム画面の問題なのか」をかなりの精度で絞り込めます。
どの画面で出ているかを確認する
「ウィジェットを読み込んでいます」が出る場所によって、原因の傾向と対処が変わります。以下のパターンに当てはめてください。
ホーム画面のウィジェット枠に出る
例:天気、ニュース、時計、カレンダー、金融、ポイント、検索バーなど
→ 通信、ウィジェット提供元アプリ、ホームアプリ(ランチャー)、省電力制御の影響を受けやすいです。Google検索バー(検索ウィジェット)だけが出る
→ Googleアプリ、Google Play開発者サービス、アカウント同期、権限・通信制限などの影響が濃厚です。特定のアプリのウィジェットだけが出る
→ 提供元アプリの更新不具合、キャッシュ破損、権限不足(位置情報など)、バックグラウンド制限の可能性が高いです。ブラウザ上の埋め込みウィジェットに出る
例:社内ポータルの検索ボックス、外部サービスの埋め込み部品など
→ 認証、スクリプト読み込み、CSP、ネットワーク制約など「Web側の技術要因」が中心になります。スマホのホーム画面不具合とは別問題として切り分ける必要があります。
この段階で「ホーム画面の問題」か「Web埋め込みの問題」かが分かれば、無駄な手順を踏まずに済みます。
特定のウィジェットだけか全体かを確認する
次に、影響範囲を確認します。これは復旧手順の優先順位を決める上で非常に重要です。
特定のウィジェットだけが止まる
例:A社の天気ウィジェットだけ、B社のポイントウィジェットだけ
→ 「提供元アプリ側の問題」である可能性が高いです。アプリ更新・権限・キャッシュ・ログイン状態を重点的に見ます。複数のウィジェットが一斉に止まる
例:時計も天気もニュースもすべて読み込み中
→ 通信、ホームアプリ(ランチャー)、OSの一時不整合、メモリ逼迫など「端末全体の状態」が原因のことが多いです。Google系だけ止まる
例:Google検索バーとGoogle Discover関連だけが更新されない
→ Googleアプリ、Play開発者サービス、同期、権限、データ通信制限などGoogle周辺の不整合が疑わしいです。
ここまでの整理ができたら、次章の「原因」に沿って、最短で効く手順から順に対応できます。
ウィジェットを読み込んでいますが消えない主な原因
原因は大きく6つに整理できます。読者の方が混乱しやすいのは、同じ症状に見えても原因の層が違う点です。例えば、通信が不安定でも「読み込み中」になりますし、アプリが固まっていても「読み込み中」に見えます。したがって、原因を分類し、それぞれに対して適切な対処を当てるのが近道です。
通信が不安定で更新できない
ウィジェットの多くは、表示のたびにネットワーク経由でデータを取得します。通信が不安定だと、データ取得がタイムアウトしたり、途中で切断されて再試行を繰り返したりして、結果として「読み込み中」が長時間続くことがあります。
特に次の状況では再現しやすいです。
Wi-Fi電波が弱い場所(ルーターから遠い、遮蔽物が多い)
混雑した回線(地下鉄、イベント会場、昼休みの混雑帯)
VPN・プロキシ利用中(通信経路が不安定になることがあります)
低速モード・通信制限中(データ取得が極端に遅くなる)
DNS不具合(名前解決が遅延し、読み込みが進まない)
見分け方は「Wi-Fiとモバイル通信の切り替えで挙動が変わるか」「他のWebページやアプリ通信は正常か」を確認することです。
ウィジェット提供アプリの不具合や更新待ち
ウィジェットは「アプリの一部の機能」です。提供元アプリが不具合を抱えていれば、端末側の設定を変えても改善しない場合があります。特に、アプリ更新直後にウィジェットの描画処理が変わり、特定端末・特定OSで不具合が発生することがあります。
典型的な兆候は以下です。
特定アプリのウィジェットだけ止まり続ける
アプリ本体を開くと正常だが、ウィジェットだけ更新されない
ログインが切れているのにウィジェット側で再認証できない
提供元が「削除して再配置」や「最新版へ更新」を案内している
この場合の基本方針は、「更新」「キャッシュ」「再配置」「再ログイン」の順で復旧を狙い、改善しない場合は提供元の告知・障害情報を確認することです。
Google検索ウィジェットとGoogleアプリの不整合
Google検索バーは見た目が「検索窓のウィジェット」ですが、実体はGoogleアプリと強く結びついています。そのため、Googleアプリ側の状態(更新、キャッシュ、アカウント、同期、権限、バックグラウンド制限)が崩れると、検索バーだけが読み込み中のままになったり、タップしても反応しなかったりします。
よくある背景としては次が挙げられます。
Googleアプリ更新直後の一時不整合(内部データの移行中など)
Google Play開発者サービスとの整合性問題
アカウント同期が停止している、またはエラーを抱えている
省電力設定が強く、Googleアプリのバックグラウンド処理が止まっている
位置情報や通知など、必要な権限が拒否されている(ウィジェットの種類によります)
このケースは「Googleアプリを起点に対処」すると成功率が上がります。
ランチャーやホーム画面の一時不具合
ランチャー(ホームアプリ)は、ウィジェットの表示土台です。ここが一時的に不調になると、ウィジェット表示だけが固まることがあります。特に以下のタイミングは要注意です。
ホームアプリを変更した直後(標準→別ランチャー、またはその逆)
アイコンパックやテーマ適用直後
フォント変更や表示サイズ変更直後
大量のウィジェット配置を変更した直後
OS更新後の初回起動直後
この場合、端末再起動やホームアプリの再起動(強制停止)、ウィジェットの再配置が有効になりやすいです。
省電力やバックグラウンド制限で停止している
省電力設定は、バックグラウンド更新を抑制するため、ウィジェットに影響しやすい要因です。特に、メーカー独自の「最適化」が強い端末では、ユーザーが気づかないうちにバックグラウンド処理が止められてしまうことがあります。
よくある状況は以下です。
バッテリーセーバーを常時ONにしている
「バックグラウンドでのデータ使用」が制限されている
「自動起動」「バックグラウンド実行」が制限されている
端末が長時間アイドル状態で、更新が止められている
この場合、ウィジェット提供元アプリに対して必要最小限の例外設定を行うと再発が減ります。
ストレージ不足やメモリ圧迫で初期化できない
ストレージが不足すると、キャッシュ生成や一時ファイル作成に失敗し、ウィジェットが描画できないことがあります。また、メモリが逼迫している場合も、ウィジェットのプロセスが途中で落ち、読み込みが完了しないことがあります。
兆候としては以下が挙げられます。
端末が全体的に重い、アプリ切替で頻繁に再読み込みが起きる
空き容量が極端に少ない(写真・動画・ダウンロードが多い)
再起動していない期間が長い
常駐アプリが多く、通知も大量
この場合は、空き容量の確保と再起動が特に有効です。
ウィジェットを読み込んでいますを直す手順
ここからは「影響が小さい」「短時間で試せる」「成功率が高い」順に手順を示します。途中で改善した場合は、そこで止めて問題ありません。重要なのは、いきなり最終手段へ飛ばず、段階的に進めることです。
まずは、対処の全体像を比較表で把握してください。
| 対処法 | 期待できる効果 | 目安時間 | データ影響 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 機内モードON/OFF | 通信の再確立、DNSや回線状態のリセット | 1分 | なし | 低 |
| 端末再起動 | 一時不具合、メモリ逼迫、プロセス不整合の解消 | 3分 | なし | 低 |
| ウィジェットの削除→再配置 | 表示の再生成、内部状態のリセット | 3〜5分 | 原則なし(設定は再調整が必要な場合あり) | 低 |
| 提供元アプリの強制停止→再起動 | アプリの固まり、バックグラウンド停止状態の解消 | 3分 | なし | 中 |
| キャッシュ削除 | 表示系の破損、読み込みループの解消 | 5分 | 原則なし | 中 |
| アプリ更新/OS更新 | 既知不具合の修正、互換性の回復 | 5〜15分 | なし | 中 |
| アプリ再インストール | データ構造の破損解消、再初期化 | 10〜20分 | ログイン等が必要 | 高 |
| 端末初期化 | 端末環境の根本刷新 | 1〜2時間 | 大 | 最終 |
※ウィジェット削除は「ホーム画面から外す」操作であり、アプリのアンインストールとは別です。アプリ自体は通常残ります。
まず試す即効手順
以下は「データ影響がなく、短時間で終わる」順です。最初の10分で復旧する可能性が十分にあります。
機内モードをON→10秒→OFF
通信スタックが再確立されます。Wi-Fi接続が不安定な場合でも、回線再接続のきっかけになります。ここで直る場合:通信状態が原因だった可能性が高いです。
端末を再起動する
ウィジェット関連の一時的不整合は再起動で解消することがよくあります。再起動後は、数十秒〜数分程度はウィジェットが再読み込みに入るため、少し待ってから状態を確認してください。ここで直る場合:ランチャーの一時不具合、メモリ逼迫、プロセスの固まりが原因だった可能性が高いです。
ウィジェットを削除して再配置する
もっとも効果が出やすい手順の一つです。表示の“枠”自体を作り直すことで、内部状態がリセットされます。一般的な操作例
ホーム画面で該当ウィジェットを長押し
「削除」「ホームから削除」「取り除く」などへドラッグ
ウィジェット一覧から同じものを再配置
ここで直る場合:ウィジェット枠の状態破損、ランチャーとの不整合が原因だった可能性が高いです。
通信環境を切り替える(Wi-Fi⇄モバイル通信)
Wi-Fiが原因なのか、モバイル回線が原因なのかを切り分ける狙いもあります。Wi-Fiでのみ不調:ルーターやWi-Fi品質の問題、VPN設定などを疑います。
両方不調:アプリや端末側の可能性が上がります。
ここまでで改善しない場合、次の「原因を切り分ける手順」に進み、再現条件に合わせて対処を当てます。
原因を切り分ける手順
切り分けは「特定ウィジェットのみ」「Google検索バーのみ」「複数ウィジェット一斉」の3パターンで進めるのが効率的です。
A. 特定ウィジェットだけ止まる場合(提供元アプリが疑わしい)
提供元アプリを強制停止→再起動
設定 → アプリ → 該当アプリ →「強制停止」
その後、アプリ本体を一度起動してからホーム画面へ戻り、ウィジェットが更新されるか確認します。
目的は「固まっているプロセスの再起動」です。
アプリ更新の確認
Playストアで更新が残っていないか確認します。ウィジェット不具合は更新で解消されることが少なくありません。更新後は端末再起動を挟むと安定しやすいです。権限の確認(特に位置情報・通知・バックグラウンド)
天気や地図系は位置情報がないと更新できない場合があります。通知やバックグラウンド権限が制限されていると、更新が止まることがあります。キャッシュ削除
表示の破損が原因の場合に効果があります。キャッシュ削除は次の章の注意点を確認のうえ実施してください。再インストール
ここまでで改善しない場合、アプリ内部データの破損が疑われます。ただし、再ログインや2段階認証が必要になることがあるため、実施前にログイン方法を確認してください。
B. Google検索バーだけ止まる場合(Googleアプリ周辺が疑わしい)
Googleアプリの強制停止→再起動
まずはプロセスを立て直します。その後、Googleアプリを開いて検索が普通にできるかも確認してください。Googleアプリの更新
更新が保留になっていると、ウィジェットと内部APIが噛み合わず不調になることがあります。更新後は再起動を推奨します。Googleアプリのキャッシュ削除
検索ウィジェットの表示が崩れている場合に有効です。データ削除ではなくキャッシュ削除を優先してください。同期・通信制限の確認
省電力やデータセーバーでバックグラウンド通信が止まると、ウィジェットが更新できません。Googleアプリに限って例外設定を検討してください。
C. 複数ウィジェットが止まる場合(ランチャー/端末状態が疑わしい)
ストレージ空き容量の確認
まずは空き容量を確保してください。写真・動画・ダウンロードフォルダの整理が効果的です。空き容量が増えると、ウィジェットのキャッシュ生成が通りやすくなります。ホームアプリ(ランチャー)の強制停止→再起動
設定 → アプリ →(ランチャー名)→「強制停止」
その後ホームに戻ると、ランチャーが再起動します。
※端末によってはランチャーが「システム」扱いで表示名が異なります。
OS更新の確認
大型アップデート直後は不具合が出ることもありますが、修正アップデートで改善する場合もあります。更新適用後は再起動を推奨します。省電力設定の確認
多数のウィジェットが一斉に止まる場合、強い省電力制御が背景にあることがあります。後述の再発防止の観点で調整してください。
データ影響がある手順を実行する前の注意
復旧手順の中で、読者の方が最も不安になりやすいのが「キャッシュ削除」「データ削除」「再インストール」です。ここを誤ると「直ったがログインできない」「設定が消えた」という二次トラブルが起きます。以下の整理を必ず押さえてください。
キャッシュ削除
一時的なファイル(画像・読み込み済みデータなど)を削除します。多くの場合、ログイン情報は保持され、データ本体も消えません。ただし、次回起動時に再ダウンロードが発生するため、通信量が増えることがあります。データ削除(ストレージ削除)
アプリの設定・ログイン状態・ダウンロード済みデータなどが初期化されることがあります。実施すると「初回起動と同じ状態」になる可能性があるため、原則として最後の方に回すべき手段です。再インストール
アプリを削除して入れ直すため、ログインが必要になります。2段階認証を設定している場合、認証アプリやSMS受信が必要になることもあります。業務アプリの場合は会社側の認証が必要な場合もあります。
安全な順番としては、キャッシュ削除 →(必要なら)データ削除 → 再インストールです。迷った場合は「キャッシュ削除」で止めるのが無難です。
どうしても直らない場合の最終手段
ここまで試して改善しない場合、原因は以下のいずれかに寄っている可能性が高いです。
端末固有(メーカー独自機能、OSの特定バージョン、端末の状態)
アプリ固有(提供元の不具合、サーバー側障害)
制限(MDMや業務端末のポリシー、プロファイル設定)
最終手段は段階を踏んでください。
別のホームアプリ(標準ランチャー)に戻して検証
ランチャー相性が原因かどうかを短時間で判定できます。標準に戻した瞬間に改善するなら、ランチャー側の設定や互換性が原因です。セーフモードで検証
セーフモードでは追加アプリが無効化されるため、干渉しているアプリ(クリーナー系、バッテリー最適化系、広告ブロック系など)の影響を切り分けできます。セーフモードで直る:追加アプリが原因の可能性が高いです。
セーフモードでも直らない:OSや提供元アプリ、通信の問題を疑います。
サポートへ連絡(提供元アプリ/Google/端末メーカー/通信会社)
連絡時に伝える情報を整理すると、解決が早まります。以下をメモしておくことを推奨します。端末名(機種名)
Androidバージョン
発生しているウィジェット名(Google検索バー、天気など)
発生開始時期(いつから)
再現手順(ホームに戻ると発生、再起動後に発生など)
実施済みの対処(再起動、再配置、更新、キャッシュ削除 等)
端末初期化(最終手段)
初期化は効果が高い一方で影響が最大です。実施する場合は、必ず以下を先に実施してください。Googleアカウント同期の確認
写真・動画・連絡先のバックアップ
2段階認証の移行手順確認(認証アプリ、SMS、バックアップコード)
業務端末の場合はIT部門に事前相談(MDM再登録が必要な場合があります)
再発を防ぐための設定と運用
復旧ができても、根本原因が「設定」や「運用」にある場合は再発します。特に省電力制御は「ユーザーが意図せず強化している」ことが多く、再発の温床になります。ここでは、効果が大きい順に、必要最小限の対策を整理します。
更新を安定させる設定
以下を見直すだけで、ウィジェットの読み込み停止が減ることがあります。
ウィジェット提供元アプリとGoogleアプリを最新版に保つ
更新の保留が続くと、ウィジェットの描画処理と端末側の挙動が噛み合わなくなる場合があります。可能であれば自動更新を有効にしてください(通信量が気になる場合はWi-Fi時のみ更新などの設定を検討します)。データセーバーの例外設定を検討する
データセーバーを有効にしていると、バックグラウンド通信が制限されます。ウィジェットが重要なアプリ(天気、仕事の通知、カレンダー等)に限って例外設定を検討すると安定します。VPN・プロキシ利用時の挙動を把握する
業務用VPNなどが原因で外部サービスへの通信が遅くなり、ウィジェットが読み込み続けることがあります。VPNを一時的に切って改善するか確認しておくと切り分けに役立ちます。
省電力設定の見直し
再発防止として最も効きやすいのが省電力周りです。以下のチェックリストで確認してください。
バッテリーセーバーを常時ONにしていない
アプリごとの「バッテリー最適化」が強制されていない
バックグラウンドでのデータ使用が制限されていない
ウィジェット提供元アプリの通知・権限が必要分だけ許可されている
端末メーカー独自の省電力機能で「自動停止」対象になっていない
調整する際のポイントは、「すべてを例外にする」のではなく、必要なアプリだけ例外にすることです。例外を増やしすぎると、バッテリー消費が増え、端末が重くなるなど別の問題が生じる可能性があります。
ウィジェットを増やしすぎない整理術
ウィジェットが多いほど、端末はバックグラウンド更新の負荷を受けます。結果として、メモリ圧迫や省電力制御の強化が起き、読み込み停止が起こりやすくなることがあります。整理のコツは以下です。
情報ウィジェットは「必要なものだけ」に絞る
例:天気+カレンダー+検索程度に抑える同系統は重複させない
ニュース系を複数置くより、1つに絞った方が安定します。更新頻度の高いウィジェットは1画面に集約しない
1画面に負荷が集中すると描画が遅くなることがあります。使っていないウィジェットは削除する
ホーム画面の長押しで削除し、必要になったら再配置する運用が安全です。
Webの埋め込みウィジェットで表示される場合の確認ポイント
この章は、スマホのホーム画面ではなく、Webページや社内ポータルなどに埋め込まれたウィジェットが「ウィジェットを読み込んでいます」から進まない場合を対象にします。ここは原因の構造が異なるため、端末の省電力設定などをいくら調整しても改善しないことがあります。
Web埋め込み型の「読み込み中」停止は、主に次の3系統で起こります。
スクリプトが読み込めない(ネットワーク、CSP、拡張機能)
読み込み順序が崩れて初期化が完了しない(実装・設定)
認証が成立しない(SSO、Cookie制限、権限)
読み込みフェーズと依存ライブラリ
埋め込み型ウィジェットは、多くの場合「ブートストラップ」→「依存ライブラリロード」→「初期化」→「描画」という段階を踏みます。どこかの段階で止まると、画面上はずっと「読み込み中」に見えます。
確認の基本は、ブラウザの開発者ツールです。
Networkタブ:スクリプトやAPIの取得が失敗していないか
404/403/500などが出ていないか
タイムアウトが多発していないか
Consoleタブ:JavaScriptエラーが出ていないか
「未定義」「初期化できない」などのエラー
CORS/CSP関連のブロック表示
依存ライブラリが読み込めない場合、原因は「社内ネットワークで外部ドメインが遮断されている」「CSPで許可されていない」「広告ブロック拡張が止めている」などが典型です。
認証とネットワーク制約
認証が必要なウィジェットは、認証に失敗すると初期化が止まります。よくある原因は次のとおりです。
SSOが別ドメインで完結せず、埋め込み内で認証できない
サードパーティCookie制限によりセッションが保持できない
社内プロキシやTLSインスペクションにより認証フローが破綻している
権限(スコープ、アプリ登録)が不足している
切り分けの基本は「別ブラウザで試す」「シークレットウィンドウで試す」「拡張機能を無効化して試す」「社外回線で試す(可能なら)」です。これで挙動が変わる場合、環境要因の可能性が高くなります。
ブラウザ設定とセキュリティポリシー
セキュリティポリシーが厳しい環境では、埋め込みスクリプトがブロックされます。代表例がCSP(Content-Security-Policy)です。CSPは「どのドメインからスクリプトを読み込んでよいか」を制限します。
確認ポイントは以下です。
CSPの
script-srcに必要なドメインが含まれているかframe-srcやconnect-srcが適切か(iframeやAPI通信の許可)CORS(クロスオリジン)でブロックされていないか
混在コンテンツ(httpsページでhttpを読み込む)になっていないか
技術担当者に引き継ぐ場合は、開発者ツールのエラー内容(スクリーンショットやログ)を添付すると解決が早まります。
よくある質問
再起動で直るのはなぜか
再起動は、見た目以上に多くの状態をリセットします。具体的には、通信スタック、メモリ状態、バックグラウンドのプロセス、ホームアプリ(ランチャー)の一時データなどが再初期化されます。ウィジェットは「アプリ+ランチャー+通信+権限」の組み合わせで動くため、どこかが一時的に不整合を起こすだけで読み込みが止まります。再起動はこの不整合をまとめて解消できるため、有効になることが多いです。
ただし、再起動で直っても根本原因が省電力制御や通信品質であれば再発します。再起動で改善した後は、再発防止の章のチェックリストを一度確認することを推奨します。
キャッシュ削除で何が消えるのか
キャッシュ削除で消えるのは、主に「一時的な表示データ」「読み込み済みの画像やレスポンス」「一時ファイル」です。多くのアプリではログイン状態は保持されます。ただし、アプリによっては次回起動時に再読み込みが必要になり、初回表示が遅くなる、通信量が増えるなどの影響が出ることがあります。
注意点として、設定画面で「キャッシュを削除」と「データを削除」が並んでいる場合があります。安全なのはキャッシュ削除であり、データ削除は影響が大きいため、順序を誤らないようにしてください。
ウィジェットを消してもアプリは消えないか
通常、ウィジェットの削除はホーム画面から「表示を外す」操作であり、アプリのアンインストールとは異なります。したがって、ウィジェットを削除してもアプリ本体は残ります。再配置すれば元に戻せます。
ただし、ウィジェットによっては、再配置時にログイン状態や表示設定(地点設定、口座選択など)を再設定する必要がある場合があります。再配置前に、設定項目が多いウィジェットかどうかだけ把握しておくと安心です。
何度も再発する場合は故障か
故障の可能性がゼロではありませんが、再発するケースの多くは次の要因です。
省電力・バックグラウンド制限が強く、更新が止められている
アプリ更新が滞っている(不具合修正版が適用されていない)
通信環境が不安定(Wi-Fi品質、VPN、混雑帯)
ランチャーや最適化アプリが干渉している
ストレージやメモリが慢性的に不足している
まずは「どのウィジェットが再発するのか」を記録してください。特定アプリだけ再発するなら提供元の不具合の可能性が高く、複数が再発するなら端末環境側の問題が濃厚です。切り分けができた段階で、必要に応じて提供元やメーカーサポートに連絡するのが最短です。
まとめ
「ウィジェットを読み込んでいます」が消えない原因は、通信/提供元アプリ/Googleアプリ/ランチャー/省電力制限/端末状態のいずれか、または複合であることが多いです。
復旧は、影響の小さい順に 機内モード切替 → 再起動 → ウィジェット削除と再配置 → アプリ強制停止 → キャッシュ削除 → 更新 の流れで進めると安全です。
再発防止として、省電力・バックグラウンド制限の見直しとウィジェットの整理が有効です。
ブラウザ上の埋め込みウィジェットで同様の表示が出る場合は、スマホのホーム画面問題とは別に、スクリプト読み込み、認証、CSP、ネットワーク制約を中心に確認してください。
以上を踏まえ、まずは「即効手順」を上から順に実施し、改善しない場合のみ切り分け手順へ進めていただくのが最も確実です。
