唾を飲み込むたびに、耳の奥で「バリバリ」「パキパキ」と鳴る。痛みは強くないのに気になって、仕事中もふと意識が向いてしまう――そんな状態が続くと、「放っておいて大丈夫なのか」「病院に行くべきか」と迷いますよね。
この症状は、風邪や鼻炎、花粉症などのあとに起こることが多い一方で、聞こえにくさが強い場合は別の原因が関係することもあります。この記事では、耳の仕組みをかみ砕いて説明し、症状の組み合わせから原因の目安を整理したうえで、様子見の目安と受診の判断基準、今日からできるセルフケアまでを具体的にまとめます。
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唾を飲むと耳がバリバリする原因をまず整理する
耳の音は「圧の調整」や「通路の動き」で起こりやすい
唾を飲むとき、喉の筋肉が動きます。この動きに合わせて、耳と鼻の奥をつなぐ通路が一瞬だけ開き、耳の中(中耳)の圧力を外の気圧に近づける働きが起こります。
この調整がスムーズなら、普段は音として意識しません。しかし、通路が狭くなったり、周囲の粘膜が腫れて動きがぎこちなくなったりすると、「こすれる感じ」や「はじける感じ」が音として知覚されやすくなります。
「バリバリ」という表現は人によって幅があります。乾いた音に感じる人もいれば、プチプチ、パキパキ、ミシミシに近いと感じる人もいます。いずれも、耳の奥にある空間の圧の変化や、通路の開閉に伴う感覚が“音っぽく”聞こえている可能性があります。
風邪・鼻炎・花粉症のあとに起きやすい理由
鼻や喉は粘膜で覆われており、炎症が起きると腫れやすい場所です。風邪、アレルギー性鼻炎、花粉症、副鼻腔炎などで鼻の奥が腫れると、耳へつながる通路の入口も影響を受けます。
結果として、圧の調整がうまくいかず、唾を飲む動作のたびに違和感や音が出ることがあります。鼻が詰まっているときに耳が詰まったように感じるのは、こうした連動のためです。
「耳管の不調」だけで決めつけないことも大切
多くは一時的な粘膜の腫れに関連しますが、似た症状は他の状態でも起こりえます。たとえば、耳の中に液体がたまる滲出性中耳炎では、耳が詰まる感じや聞こえにくさが出ることがあります。
また、急な難聴や強いめまいを伴う場合は、内耳の病気など別の評価が必要になることがあります。大切なのは、音そのものだけでなく、「一緒に出ている症状」と「続いている期間」をセットで見ることです。
唾を飲むと耳がバリバリする仕組みをやさしく理解する
耳と鼻の奥をつなぐ通路が「耳の換気」をしている
耳の奥(中耳)は、空気が入った小さな空間です。ここは常に外気と同じ圧であるのが理想ですが、日常生活の中で微妙に圧が変わります。
そこで、耳と鼻の奥をつなぐ通路が、唾を飲んだりあくびをしたりした瞬間に開いて、圧を調整する役割を担います。
この「開いて閉じる」という動きは通常は短時間で、普段は意識しません。ところが、通路が狭い/開きにくい/逆に開きっぱなしになりやすい、といった状態になると、違和感が強くなります。耳管が普段は閉じていて嚥下などで一瞬開く、という基本の説明は公的医療情報でも示されています。
「開きにくい」と「開きっぱなし」で症状が違う
同じ“耳の通路の問題”でも、状態が違うと感じ方が変わります。
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開きにくい(狭窄寄り):耳が詰まった感じ、こもる、気圧変化で悪化しやすい
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開きっぱなし(開放寄り):自分の声が響く、自分の呼吸音が聞こえる、姿勢で変わることがある
たとえば耳管開放症では、自分の声や呼吸音が大きく響くなどが特徴として説明されています。
一方、耳管狭窄症では、耳が詰まった感覚(耳閉感)が主症状として解説されています。
バリバリ音が出るときに起きていること(イメージ)
「バリバリ」は、次のような現象の組み合わせで起こることがあります。
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粘膜が腫れて通路の入口が狭い
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唾を飲む動作で通路が開こうとする
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そのときに
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粘膜同士がこすれる
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圧が一気に変化する
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耳の中の膜(鼓膜)の張りが変わる
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その感覚が音として意識される
大切なのは、音の有無だけで結論を急がず、次の章のように症状の組み合わせで目安を作ることです。
唾を飲むと耳がバリバリする症状から原因の目安をつける
ここでは「自己診断で断定する」ためではなく、受診の優先度や、セルフケアの方向性を決めるための目安として整理します。
症状から考える主な原因の目安(鑑別表)
| いま感じていること | ありがちな背景・誘因 | 考えられる状態の目安 | 推奨行動 |
|---|---|---|---|
| 唾を飲むとバリバリ/パキパキ。痛みは弱い | 風邪・鼻炎・花粉症のあと、鼻づまり | 耳の圧調整が乱れている状態(耳管の働きの一時的低下など) | 鼻・喉の炎症ケア+1〜2週間の経過観察(悪化なら受診) |
| 耳が詰まる、こもる。気圧変化でつらい | 風邪のあと、飛行機・山・エレベーターなど | 耳管が開きにくい状態(耳管狭窄寄り) | 無理な耳抜きを避け、改善しなければ耳鼻咽喉科 |
| 自分の声が響く/呼吸音が耳に入る | 脱水、体重減少、疲労、立位で悪化しやすい | 耳管が開きっぱなし寄り(耳管開放症など) | 水分補給、生活調整、続くなら耳鼻咽喉科で相談 |
| 聞こえにくい感じが強い、会話がつらい | 風邪のあと、耳閉感が長引く | 中耳に液体がたまるタイプの中耳炎なども鑑別 | 早めに受診し聴力や鼓膜所見を確認 |
| 強い耳の痛み/発熱/耳だれ | 急な症状、夜眠れない痛み | 急性の炎症(急性中耳炎など) | 早めに医療機関へ |
| 強いめまい、突然の片側難聴、神経症状 | 突発的、日常生活が破綻 | 緊急性の評価が必要な状態も含む | 速やかに医療機関へ相談 |
※耳管開放症の特徴(自声強聴・自己呼吸音など)や、耳管が普段は閉じ嚥下で開く基本説明は、医療情報で整理されています。
「痛みがない=安全」とは限らない
痛みがない耳の違和感でも、聞こえの低下が強い場合や長引く場合は、評価する価値があります。
特に「聞こえにくい」「テレビの音量が上がった」「会話が聞き返しがち」などの変化があるときは、早めに耳鼻咽喉科で検査を受けると原因がはっきりしやすくなります。
唾を飲むと耳がバリバリするときの受診目安を決める
受診の判断は、次の2軸で考えると整理しやすくなります。
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緊急性(今すぐ評価が必要か)
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持続性(どれくらい続いているか、生活に支障があるか)
様子見・受診の目安(緊急度表)
| 区分 | 目安となる症状 | 期間の目安 | 推奨行動 |
|---|---|---|---|
| 緊急性が高い | 突然の片側難聴、強いめまいで立てない、激しい耳痛、耳だれ、神経症状 | 数時間〜数日 | 速やかに医療機関へ相談 |
| 早めの受診が安心 | 聞こえにくさがはっきり、耳閉感が強い、繰り返す、日常生活に支障 | 数日〜1〜2週間 | 耳鼻咽喉科で鼓膜所見・聴力検査など |
| 様子見が可能なことも | 痛みが弱く、鼻炎・風邪の改善とともに軽くなる、生活に大きな支障がない | 数日〜1週間程度 | 生活調整・鼻ケア。悪化や長期化で受診へ切替 |
「受診したのに異常なし」と言われたときの考え方
耳の症状は、診察のタイミングによって所見がはっきり出ないこともあります。鼓膜がきれいで聴力検査が大きく崩れていなくても、耳の圧調整に関わる機能の評価が必要なことがあります。
症状が続く場合は、どんなときに悪化するか(鼻づまり時、姿勢、脱水、気圧変化、時間帯など)をメモして再相談すると、原因に近づきやすくなります。
唾を飲むと耳がバリバリする場合に自分でできる対処法
ここでは「安全性が高く、試しやすい順」に整理します。
ポイントは、耳だけをいじるのではなく、鼻・喉の環境を整えて“自然に圧調整が戻る”状況を作ることです。
セルフケア行動表(推奨/注意/避ける)
| 推奨(まずここから) | 注意(条件つき) | 避ける(悪化リスク) |
|---|---|---|
| 水分補給(脱水を避ける) | 耳抜きは“軽く”試す程度 | 痛みが出るほど強い耳抜きの反復 |
| 休養・睡眠を確保 | 鼻をかむときは片方ずつ優しく | 強く両鼻を一気にかむ |
| 室内の乾燥対策(加湿・温かい飲み物等) | 入浴や蒸気で鼻が通るなら活用 | 耳の中に器具を入れる/過度に触る |
| 鼻づまり・アレルギー対策(生活面) | 仕事中の我慢が続くなら早めに受診 | 症状が強いのに長期放置 |
※耳管開放症では脱水や体重変化などが関与することがあり、基本説明として「耳管が普段は閉じ、嚥下で開く」点も含め医療情報で整理されています。
鼻づまりを軽くする生活上の工夫
鼻づまりが強いと、耳の圧調整が乱れやすくなります。次のような工夫が役立つことがあります。
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温かい蒸気を吸う(入浴、蒸しタオル)
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室内を乾燥させない(加湿、暖房の当て方)
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就寝時の姿勢を少し工夫(枕を調整して鼻が通りやすい角度を探す)
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アレルギーが明らかな時期は対策を早めに(花粉シーズンなど)
薬の使用は、持病や状況で適否が変わります。市販薬を使う場合でも、長引く・繰り返す場合は耳鼻咽喉科で相談すると安心です。
耳抜きは「やるなら最小限」にする
耳抜きは状況によっては役立つことがありますが、力任せに繰り返すと痛みや不快感が増すことがあります。
「痛みが出るほど強くしない」「何度も連続で行わない」を守り、基本は鼻・喉の環境を整える方を優先するのが安全です。
唾を飲むと耳がバリバリするのを悪化させやすい行動と注意点
症状が気になると、つい耳に意識が向き、いろいろ試したくなります。ですが、悪化を防ぐためには「やらないほうがよいこと」を押さえるのが重要です。
強い鼻かみ・強い耳抜きが負担になる理由
鼻の奥と耳はつながっています。強い圧をかける行動を繰り返すと、耳の中の圧の変化が大きくなり、違和感が増す場合があります。
また、症状の背景に炎症がある場合、無理な刺激は回復を遅らせることがあります。
「鼻をすする癖」がある人は要注意
耳管開放症では、症状を軽くするために鼻をすする癖がつくことがあり、別の中耳のトラブルにつながる可能性が指摘されています。
自分の声が響く・呼吸音が聞こえるタイプの症状がある場合は、自己流でこじらせず、相談して方針を決めるのが近道です。
唾を飲むと耳がバリバリする症状で耳鼻咽喉科では何をするのか
受診を迷う人が多い理由は、「行っても何をされるか分からない」「検査が怖い」という点にあります。実際には、状況に応じて段階的に確認していきます。
問診で重視されるポイント
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いつから始まったか、急に起きたか
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片耳か両耳か
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風邪・鼻炎・花粉症の有無
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自分の声が響くか、呼吸音が聞こえるか
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気圧変化(飛行機、山、エレベーター)で悪化するか
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めまい、耳鳴り、聞こえにくさ、痛み、耳だれの有無
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姿勢で変化するか(立位で悪化、前屈で軽くなる等)
この情報だけでも、鑑別の方向性がかなり整理されます。
代表的な検査のイメージ
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鼓膜の観察(腫れ、液体の疑いなど)
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聴力検査(聞こえの変化の確認)
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必要に応じて、耳の圧や動きをみる検査(施設による)
耳管機能は検査・所見・問診を組み合わせて評価され、専門文献でも耳管機能評価の重要性が述べられています。
「異常なし」と言われた場合でも、症状が続くなら再評価の価値があることもあります。
唾を飲むと耳がバリバリする症状に関するよくある質問
痛くないのにバリバリ鳴ります。放置で大丈夫ですか
風邪・鼻炎の直後で、日ごとに軽くなっているなら様子見で良いこともあります。ただし、1〜2週間改善しない、聞こえにくさが増える、生活に支障が出る場合は、耳鼻咽喉科で評価を受けると安心です。
耳の中に水が入った感じもあります
水が入った感じ(耳の詰まり感)は、耳管が開きにくい状態でも起こりますし、中耳に液体がたまる状態でも起こります。聞こえの低下が強い場合や長引く場合は、鼓膜や聴力を確認したほうがよいでしょう。
自分の声が響きます。バリバリ音と関係ありますか
自分の声が響く(自声強聴)や呼吸音が聞こえる場合は、耳管が開きっぱなし寄りの状態(耳管開放症など)が関係している可能性があります。特徴は医療情報でも整理されています。
脱水や体重減少、疲労などで悪化しやすい人もいるため、水分や生活調整で変化を見ることがありますが、続く場合は相談が近道です。
何をすると悪化しやすいですか
強い耳抜きの反復、強い鼻かみ、耳を過度に触る行動は避けたほうが安全です。症状をこじらせやすい人ほど「早く何とかしたくて刺激を増やす」方向へ行きがちなので、まずは鼻・喉の環境を整える方針が無難です。
仕事が忙しくて受診できません。最低限の見分け方はありますか
次のいずれかがある場合は、可能な範囲で早めの相談を優先してください。
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突然の片側難聴
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強いめまいで立てない/吐き気が強い
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激しい痛み、耳だれ、発熱
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顔の動かしにくさ等の神経症状
それ以外でも、1〜2週間改善しない、聞こえの不便が続く場合は、受診で原因が整理できることが多いです。
唾を飲むと耳がバリバリする症状を繰り返さないための予防
鼻と喉のケアが、耳の不調予防につながる
耳の症状は、鼻・喉の炎症と連動して出ることが多いです。つまり、鼻炎や風邪のケアを丁寧に行うことが、結果的に耳の違和感を減らします。
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花粉の時期は早めに対策を始める
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乾燥を避け、粘膜を守る
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体調が落ちたときは睡眠を優先する
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鼻づまりが長引くときは自己判断で放置しない
気圧変化に弱い人は、予定に合わせて準備する
飛行機や登山、長距離移動などが予定されている場合、直前に風邪をひくと症状が出やすくなります。体調管理に加え、鼻づまりが強いときは無理をしない計画にすることも大切です。
まとめ
唾を飲むと耳がバリバリ鳴る症状は、耳の圧を調整する仕組みがうまく働かないときに起こりやすく、風邪や鼻炎、花粉症のあとに出ることがあります。
ただし、耳の詰まり感や聞こえにくさが強い場合、長引く場合は、別の原因が関係していることもあるため、音だけで決めつけず「一緒に出ている症状」と「期間」で判断するのが安全です。
強いめまい、突然の難聴、激しい痛みや耳だれがあるときは、様子見をせず医療機関へ相談してください。
それ以外でも、1〜2週間改善しない場合は、耳鼻咽喉科で評価を受けることで原因が整理され、不安も軽くなります。
参考情報
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医療法人社団恩賜財団済生会「耳管開放症」
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/patulous_eustachian_tube/ -
メディカルノート「耳管開放症」
https://medicalnote.jp/diseases/%E8%80%B3%E7%AE%A1%E9%96%8B%E6%94%BE%E7%97%87 -
メディカルノート「耳管狭窄症」
https://medicalnote.jp/diseases/%E8%80%B3%E7%AE%A1%E7%8B%AD%E7%AA%84%E7%97%87 -
J-STAGE(専門文献)「耳管機能不全の診断と治療(PDF)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/122/10/122_1361_1/_pdf -
JPOC(臨床向け情報)「耳管機能不全(耳管開放症、耳管狭窄症)」
https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=1779