朝起きた瞬間、片耳だけが詰まったように感じたり、急に聞こえにくくなったり、耳鳴りが強くなったりすると、まず頭をよぎるのは「このまま戻らなかったらどうしよう」という不安ではないでしょうか。突発性難聴が疑われるときは、治療だけでなく、受診までの過ごし方で“回復のチャンス”を取りこぼさないことが重要です。ところが実際には、仕事の電話や会議、入浴、運動、飲酒、移動など、日常のどこに落とし穴があるのか分からず、いつも通り動いてしまいがちです。
この記事では、突発性難聴の急性期に避けるのが無難な行動を「理由→代替案→再開目安」で整理し、当日受診を検討したい赤旗サインや、職場・家庭での調整方法まで具体的にまとめました。読んだ直後から「今日何を止めて、何を優先するか」が明確になり、後悔しない判断ができるようになります。
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突発性難聴で不安なとき最初に知っておくこと
突発性難聴は「急に片耳が聞こえにくい」が典型
突発性難聴は、ある日突然、片方の耳の聞こえが落ちたり、耳が詰まったように感じたり、強い耳鳴りが出たりする状態です。発症のしかたは人それぞれですが、朝起きた瞬間に気づく人もいれば、仕事中に電話が片耳だけ聞き取りづらいことで気づく人もいます。めまい・ふらつき・吐き気が一緒に出ることもあります。
ここで最初にお伝えしたいのは、「しばらく様子を見れば戻るかも」という期待で放置しないことです。突発性難聴は早めの評価と治療が重視される疾患として扱われています。聞こえの異変に気づいたら、できる限り早く耳鼻咽喉科で聴力検査を受け、原因の切り分けをすることが出発点です。
まず確認したいチェック(当日受診・救急の目安)
突発性難聴が疑われる場合、基本は早めの耳鼻咽喉科受診ですが、次のような症状がある場合は「当日中の受診」または「夜間・休日の救急も含めた相談」を強く検討してください。耳の病気に見えて、脳や神経のトラブルなど別の原因が隠れることがあるためです。
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立っていられないほどの強いめまい、歩けない、嘔吐が止まらない
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ろれつが回らない、言葉が出にくい
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片側の手足のしびれ、力が入らない、顔のゆがみ
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ものが二重に見える、視野がおかしい
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今までにない激しい頭痛、意識がぼんやりする
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高熱、強い耳の痛み、耳だれがある
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急速に症状が悪化している気がする
「耳のことだから」と一人で抱えず、医療機関へ早めに相談することが安全です。
受診までの間にやることは「減らす」「記録する」「連絡する」
突発性難聴を疑ったとき、受診までの時間にできることは多くありません。むしろ大切なのは、回復を邪魔しやすい行動を増やさないことです。ポイントは次の3つに集約できます。
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負荷を減らす:予定を削り、睡眠を確保し、耳に強い刺激を入れない
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記録する:発症時刻、症状(片耳/両耳、耳鳴り、めまい)、きっかけ、既往歴、服薬をメモ
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連絡する:当日〜翌日で耳鼻咽喉科を手配し、仕事や家庭の調整を先に入れる
この3つを優先すると、「何をしていいか分からない不安」が行動ミスにつながるのを防げます。
受診までの過ごし方チェックリスト(今日やること)
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できれば当日〜翌日で耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受ける
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発症した時間、どの耳か、耳鳴りやめまいの有無、吐き気の有無をメモする
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直近の体調(睡眠不足、過労、強いストレス、風邪症状)をメモする
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持病(糖尿病・高血圧など)と服用薬を整理する
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イヤホン・ヘッドホン、騒音環境を避ける
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深酒・喫煙は控える(少なくとも診断がつくまで)
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眠れる環境をつくる(早寝、カフェイン摂取の見直し、入浴は短時間)
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仕事は「受診」「安静」「代替連絡先」を短く伝え、調整を始める
突発性難聴でやってはいけないことは急性期の負荷を増やす行動
そもそも「やってはいけない」は絶対禁止ではなく安全側の判断
この章で扱う「やってはいけないこと」は、医師の治療方針や症状の重さで例外が出ることがあります。ここでは、特に迷いやすい「発症直後〜治療初期(急性期)」に、回復の邪魔をしやすい行動を“安全側”で整理します。
判断の基本ルールは次の通りです。
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医師から具体的な指示がある場合は、それを最優先
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指示がない場合は、急性期は負荷を上げない(足さない)
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「再開してよいか」は、症状と聴力の経過で決まるため、再診で確認する
大音量とイヤホンで耳に追加負荷をかける
急性期に避けるのが無難な行動
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イヤホン・ヘッドホンの長時間使用
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聞こえにくさを補うための音量アップ
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ライブ、クラブ、工事現場、混雑した居酒屋など騒音環境で長時間過ごす
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音の大きい動画を寝る直前まで見続ける
なぜ避けた方がよいか
聞こえが落ちた状態では、無意識に音量を上げやすく、耳への負担が積み上がりやすくなります。急性期は「今ある耳のストレスを増やさない」ことが目的なので、音刺激は減らす方が合理的です。
代替案(仕事で困るときの現実解)
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電話は可能ならスピーカー、片耳でなく両耳で小音量、短時間にする
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会議は文字起こし、議事録共有、チャット中心に切り替える
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どうしてもイヤホンが必要なら「小音量・短時間・休憩を挟む」を徹底する
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通勤は静かな車両・ルートを選び、無理に音楽を聴かない
再開目安
急性期(目安として発症からおおむね2週間程度)は避け、再診で「音量」「時間」「頻度」を具体的に確認するのが安全です。
喫煙と過度の飲酒でコンディションを崩す
急性期に避けるのが無難な行動
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喫煙を続ける(本数を減らしただけで安心しない)
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連日の飲酒、深酒、飲み会で就寝が遅くなる
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二日酔いのまま仕事を続け、休息を削る
なぜ避けた方がよいか
突発性難聴は原因が一つに定まりにくい一方で、急性期に大切なのは「回復に必要な体調の土台」を整えることです。喫煙・過度の飲酒は、睡眠の質の低下や体調悪化につながりやすく、結果的に回復を邪魔しやすくなります。
代替案
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会食はノンアルコールに切り替え、短時間で切り上げる
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喫煙は可能なら中断し、禁煙外来や代替療法を使ってでも“急性期だけ”でも止める
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断れない場は「体調不良で耳鼻科に通院中」と短く伝える
再開目安
飲酒は治療内容(薬)によっても変わるため、再開前に医師へ確認しましょう。喫煙は再開しないのが最も安全です。
睡眠不足と過労を続けて回復の土台を壊す
急性期に避けるのが無難な行動
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夜更かし、徹夜、睡眠時間の削減
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残業・夜勤を続ける
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体調が悪いのに予定を詰め込み続ける
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「忙しいから仕方ない」で休めない状態を固定する
なぜ避けた方がよいか
睡眠不足と過労は、回復に必要な体力・集中力を奪い、ストレス反応を増やします。突発性難聴の急性期は、治療と同じくらい「休むこと」を行動として確保する必要があります。
代替案
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まず1週間は予定を削り、残業・会食・遠出を止める
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可能なら時差出勤や在宅勤務で通勤負荷を下げる
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昼休憩に10〜20分の短い仮眠を入れる
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家事は最低限にし、宅配・家族協力・外部サービスを使う
再開目安
聴力の経過と体調が安定してから段階的に戻します。「睡眠最優先」のルールだけは回復期も残すと再燃を防ぎやすくなります。
激しい運動や無理な筋トレで身体負荷を上げる
急性期に避けるのが無難な行動
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息が上がる強度の運動(HIIT、全力ラン、激しい球技)
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重い負荷の筋トレ(高重量スクワット等)
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めまいがある状態での運動(転倒リスクが高い)
なぜ避けた方がよいか
急性期は「治療に集中する時期」です。身体負荷を上げると疲労が増え、睡眠の質が落ちやすくなります。めまいがある場合は、転倒や事故を避ける意味でも運動は控える方が安全です。
代替案
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軽い散歩、ゆっくりしたストレッチ程度に留める
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体を動かしたい場合でも短時間にし、翌日の体調を見て調整する
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めまいがある日は「運動しない」を選ぶ
再開目安
医師の指示がなければ、症状が落ち着いてから低強度→中強度へ段階的に戻すのが無難です。
長風呂やサウナなど強い温熱刺激でのぼせる
急性期に避けるのが無難な行動
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熱い湯の長風呂
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サウナで長時間汗をかく
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入浴後の飲酒で寝落ちする
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ふらつきがあるのに一人で長く入浴する
なぜ避けた方がよいか
温熱刺激は、のぼせ・脱水・疲労につながりやすく、体調を崩す要因になります。急性期は体調の波を作らないことが大切です。
代替案
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ぬるめの短時間シャワー中心にする
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入浴するなら短時間で切り上げ、必ず水分補給
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めまいがある日は家族がいる時間にする、浴室の安全対策をする
再開目安
体調が安定してから「短時間→通常」の順で戻します。治療中の薬やめまいの程度により変わるため、心配なら医師へ相談してください。
飛行機や長距離移動を強行して疲労と不安を増やす
急性期に避けるのが無難な行動
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発症直後の飛行機移動を予定通り強行
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出張・旅行を詰め込み、睡眠が崩れる移動
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長時間の移動中にイヤホンで音量を上げ続ける
なぜ避けた方がよいか
気圧変化そのものはケースにより影響が異なりますが、急性期の移動は「疲労」「睡眠不足」「ストレス増」といった回復を妨げやすい条件が揃いがちです。結果として悪化不安が強まり、休息が取れなくなることが大きなリスクです。
代替案
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出張は延期・オンライン対応を検討する
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どうしても移動が必要なら、休憩を多めにし、到着後は予定を入れない
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静かな環境を選び、音刺激を増やさない
再開目安
重要な移動ほど自己判断せず、主治医に可否を相談してください。
自己判断で受診を先延ばしにする(最重要)
避けるべき行動
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「寝れば治るかも」で数日放置
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市販薬だけで様子見を続ける
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ネット情報だけで治療を決め打ちする
なぜ避けるべきか
突発性難聴は早期評価と治療が重視され、放置は回復機会を逃す可能性があります。まずは耳鼻咽喉科で聴力検査を受け、「突発性難聴なのか」「別の原因なのか」を切り分けることが最優先です。
代替案
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当日〜翌日で耳鼻咽喉科へ。予約が取れなければ別院も含めて検討する
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受診時に「いつから」「片耳か」「めまいの有無」を短く伝える
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赤旗がある場合は救急も含めて相談する
やってはいけないこと早見表
| 急性期に避けるのが無難な行動 | 理由(かんたん) | 代替案(現実解) | 再開目安 |
|---|---|---|---|
| 受診の先延ばし | 回復機会を逃し得る | 当日〜翌日受診、赤旗は救急相談 | 先延ばししない |
| イヤホン・大音量 | 耳への負荷が増えやすい | 字幕/文字起こし/小音量短時間 | 再診で音量・時間を確認 |
| 喫煙 | 体調と睡眠を崩しやすい | 中断、禁煙外来など | できれば再開しない |
| 深酒・連日の飲酒 | 睡眠の質低下、体調悪化 | ノンアル、短時間で切上げ | 医師に確認 |
| 睡眠不足・過労 | 回復の土台が崩れる | 予定削減、在宅/時短 | 段階的に戻す |
| 激しい運動 | 疲労増、めまい時は事故 | 散歩・ストレッチ | 症状安定後に徐々に |
| 長風呂・サウナ | のぼせ・脱水・疲労 | ぬるめ短時間、シャワー | 体調安定後に短時間から |
| 長距離移動・飛行機強行 | 疲労・睡眠崩れ・不安増 | 延期、オンライン、休憩多め | 主治医に相談 |
突発性難聴の治療の流れと回復の見通しをつかむ
耳鼻咽喉科でよく行う検査と診断の流れ
耳鼻咽喉科では、まず「耳の通り道の問題(耳あか、中耳炎など)」なのか、「内耳や聴神経の問題(突発性難聴など)」なのかを見極めます。よくある流れは次の通りです。
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問診:発症時刻、片耳/両耳、耳鳴り、めまい、吐き気、風邪症状、既往歴、服薬
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耳の診察:外耳・鼓膜の確認(耳あか詰まり、炎症の有無)
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聴力検査:どの周波数帯がどの程度落ちているかを把握
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必要に応じた追加評価:めまい評価、画像検査の検討など
「突発性難聴と思うからこの薬が欲しい」という形で決め打ちするより、検査で現状を把握し、治療方針の前提を整えることが重要です。
治療は医師判断が前提だが「自己判断で足さない」が安全
治療は症状の程度や持病によって変わります。一般的に耳鼻咽喉科で治療が検討されますが、自己判断で薬や民間療法を追加してしまうと、治療の妨げになったり、副作用リスクが増えたりすることがあります。
国際的なガイドラインでは、突発性の感音難聴に対して、抗ウイルス薬・血栓溶解薬・血管拡張薬・血管作動薬などを“ルーチンで”用いないことが強く推奨されており、ネットで見かけた薬を自己流で足すことは避けた方が安全です。
また、同ガイドラインでは、回復が不十分な場合の選択肢として、一定の期間内に鼓室内ステロイド療法を検討することなども示されています(適応は医師判断)。
「いつまでが勝負か」を誤解しない:早めの受診と、生活負荷を増やさないこと
学会の一般向け解説では、治療開始が早いことが望ましい一方で、2週間以内に治療を始めても回復が三分の一ずつに分かれる(十分に回復する人、部分的に回復する人、回復しない人がいる)という現実も示されています。
この情報が意味するのは、「早く行けば必ず治る」ではなく、“早く行くことが後悔を減らし、回復の可能性を取りこぼしにくくする”ということです。
だからこそ、急性期の過ごし方で大切なのは次の2点です。
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受診を先延ばしにしない
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回復を邪魔しやすい負荷(睡眠不足、過労、深酒、喫煙、強い音刺激など)を増やさない
フォローの考え方:症状が軽くなっても「聴力の経過」を見て判断する
耳の違和感が薄れてきても、聴力が完全に戻っているとは限りません。仕事上の困りごと(会議、電話、雑音下での聞き取りなど)が残る場合もあります。再診の際は、「聞こえの困りごと」を具体的に言葉にして医師へ伝えると、次の対策(生活調整や補助の検討)につながりやすくなります。
突発性難聴の生活調整は仕事と家庭を止めずに回復を優先する設計
仕事を休むべき目安は「負荷が回復を邪魔するか」で判断する
突発性難聴が疑われる段階で「休むべきか」は最大の悩みになりがちです。判断の軸はシンプルで、休まないことで“睡眠が削られる”“耳への刺激が増える”“ストレスが跳ね上がる”なら、休む(または負荷を下げる)価値が高いということです。
休みや業務軽減を強く検討したい例:
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電話・会議が多く、聞こえない不安で常に緊張してしまう
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接客や現場など騒音が避けにくい
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残業や夜勤が続き、睡眠が確保できない
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めまいがあり、通勤や作業に危険がある
逆に、在宅で静かな環境を確保でき、休憩を挟めるなら「短時間勤務+負荷軽減」で様子を見る選択もあり得ます。いずれにしても、治療初期に無理をして悪化させないことが目的です。
職場への伝え方テンプレ:説明は短く、行動は具体に
病名を細かく説明するより、「急性の耳の症状で受診が必要」「安静が重要と言われる可能性がある」「代替連絡先と引き継ぎ」を短く伝える方が通りやすいです。
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チャット例(短文)
「今朝から片耳の聞こえが急に落ちて耳鼻科を受診します。医師の指示次第で安静が必要になる可能性があるため、本日は休暇(または在宅・業務軽減)をご相談させてください。緊急連絡はチャットで対応可能です。」 -
メール例(やや丁寧)
「本日、片耳の聴こえに急な異常があり、耳鼻咽喉科を受診いたします。医師から安静の指示が出る可能性があるため、本日は休暇(または在宅勤務・業務の一部停止)をご相談させてください。進捗は〇〇まで共有済みで、緊急事項はチャットにて対応いたします。」
ポイントは「理由は短く」「代替手段は具体的」にすることです。
運転・家事・育児のリスクを下げる現実的な工夫
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運転:めまいがある日は運転しない。迷うならタクシー・公共交通・送迎を選ぶ。
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家事:優先順位を落とす。掃除は最低限、食事は宅配・簡単調理へ。
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育児:一人で抱えない。短時間でも家族・親族・支援サービスを入れて睡眠を確保する。
「休むと迷惑がかかる」という罪悪感が強いほど、休息が削られやすくなります。しかし急性期は、短期的に負荷を落とした方が、結果として生活を早く立て直しやすくなります。
食事・水分・睡眠で整える優先順位はこの順番
難しい健康法より、「崩れやすい土台を戻す」ことが効きます。
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睡眠:就寝時刻を固定し、夜更かしを止める
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水分:こまめに水分補給(脱水気味を避ける)
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食事:欠食を避け、極端な制限はしない
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嗜好:深酒と喫煙は控え、カフェインは摂りすぎない
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刺激:音刺激・騒音環境を減らす
急性期は「全部完璧に」ではなく、「悪化要因を足さない」だけでも十分に価値があります。
突発性難聴と似た症状があるため自己判断の落とし穴を避ける
耳あかや中耳炎でも「詰まった感じ」は起こる
耳が詰まった感じ、聞こえにくさは、耳あかの詰まりや中耳炎でも起こります。突発性難聴と症状が似るため、自己判断で決めつけるのは危険です。だからこそ、耳鼻咽喉科で鼓膜を確認し、聴力検査で状態を把握することが重要です。
メニエール病など「めまいを繰り返すタイプ」との違い
めまいを伴う病気はいくつかあり、経過や治療方針が異なります。「めまいがある=突発性難聴」とは限りませんし、逆に突発性難聴でもめまいを伴うことはあります。症状の組み合わせと経過の観察が必要なので、迷ったら早めに受診して切り分けるのが安全です。
脳の病気が疑われるサインは赤旗に戻って確認する
ろれつ、麻痺、激しい頭痛などがある場合は、耳の病気だけとは限りません。少しでも当てはまれば、ためらわず医療機関へ相談してください。安全側で動くことが後悔を減らします。
突発性難聴のよくある質問で不安を潰しておく
自然に治ることはありますか
自然に改善する可能性は否定できませんが、「自然に治るかもしれない」と放置するのはおすすめできません。学会の一般向け解説でも、早期の治療開始が重要である一方、早く治療しても回復が十分でないケースがあることが示されています。だからこそ、取りこぼしを防ぐために早めに受診し、治療の選択肢を確保することが大切です。
入浴やお酒はいつから再開できますか
入浴は、急性期は「のぼせること」を避け、短時間のシャワー中心が無難です。めまいがある場合は転倒リスクもあるため、一人で長く入るのは避けましょう。
飲酒は薬との相性や体調で判断が変わります。治療中は特に、自己判断で再開せず医師に確認するのが安全です。
イヤホンやライブはいつから大丈夫ですか
急性期は避け、再診で聴力の経過を確認したうえで再開するのが基本です。再開するときは「小音量・短時間・休憩を挟む」から始め、耳鳴りの増悪や疲労感が出るならすぐに引き返してください。ライブなど強い音刺激は負荷が大きいため、再開前に医師へ相談するのがより安全です。
再発はありますか、予防はできますか
再発が心配なときほど、まず優先したいのは「今回の回復を最大化すること」です。そのうえで、予防として現実的に取り組みやすいのは、睡眠不足・過労・強いストレス・深酒・喫煙・大音量など、体調を崩しやすい要因を減らすことです。完璧を目指すより、「睡眠の固定」と「負荷を増やさない」だけでも安心感は大きく変わります。
受診時に医師へ伝えるとよいことは何ですか
診断と方針決定が早くなりやすい情報は次の通りです。
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発症した日時(いつから急に?)
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どちらの耳か(片耳/両耳)
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耳鳴り、めまい、吐き気の有無
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直近の体調(睡眠不足、過労、風邪症状)
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持病と服用薬
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仕事・生活で困っている具体例(電話が聞こえない、会議が困る等)
「言い忘れた」となりやすいので、受診前にスマホのメモへ短く書いておくと安心です。
まとめ:突発性難聴で後悔しないための行動は2つだけ覚える
突発性難聴が疑われたときに、最も避けたいのは「受診の先延ばし」と「急性期に負荷を足すこと」です。受診の先延ばしは回復の機会を逃し得ますし、睡眠不足・過労・深酒・喫煙・強い音刺激・激しい運動・のぼせる入浴・無理な移動といった負荷は、急性期の体調を崩しやすくします。
迷ったら、次の2つを最優先にしてください。
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赤旗があれば当日中に相談(夜間は救急も含む)
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赤旗がなくても、できるだけ早く耳鼻咽喉科で聴力検査を受ける
そして受診までの間は、予定を削り、睡眠を確保し、耳への刺激を避ける。これだけで「悪化させない」確率を上げられます。医師の指示が出たらそれを最優先に、焦らず回復に集中してください。
参考情報
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日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 難聴啓発プロジェクト「突発性難聴」
https://owned.jibika.or.jp/suddendeafness -
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「診療ガイドライン/手引き・マニュアル INDEX」
https://www.jibika.or.jp/modules/guidelines/index.php -
AAO-HNS(米国)「Sudden Hearing Loss: Update(Fact Sheet)」
https://www.entnet.org/resource/aao-hnsf-updated-cpg-shl-press-release-fact-sheet/ -
PubMed:Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update)(2019)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31369359/ -
日本聴覚医学会 関連ガイドライン案内
https://audiology-japan.jp/guideline/