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てんさい糖は本当に安全?危険性・メリット・注意点を管理栄養士目線で解説

白砂糖は体に良くないというイメージから、「少しでも健康的な砂糖を選びたい」とお考えの方は多いのではないでしょうか。そんな中で、自然派志向のショップやレシピでよく見かけるのが「てんさい糖」です。「体に優しい」「腸に良い」「子どもにも安心」など、魅力的な言葉と一緒に紹介される一方で、インターネット上では「てんさい糖 危険」といった不安をあおる情報も目に入ってきます。

何が本当なのか分からないまま、「とりあえず白砂糖よりマシそうだから」と何となく選んでいると、気づかないうちに糖質の摂りすぎや、体重増加につながるおそれもあります。本記事では、てんさい糖の原料や成分、健康面でのメリットとデメリットを整理し、「危険」と言われる理由を冷静にひもときます。そのうえで、他の砂糖との違い、適切な摂取量の目安、家族の健康を守りながら上手に甘さと付き合うための具体的なポイントを分かりやすく解説いたします。てんさい糖を「なんとなく」ではなく、「納得して」選べるようになりたい方に向けたガイドです。

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この記事のまとめ

てんさい糖は、甜菜を原料とする含蜜糖であり、オリゴ糖やミネラルをわずかに含むことから、「白砂糖よりも体に優しそうな砂糖」として注目されています。一方で、その主成分はあくまでもショ糖であり、摂りすぎれば血糖値の上昇や肥満リスク、虫歯の原因になりうる点は、他の砂糖と変わりません。「てんさい糖だから安全」「健康的な砂糖だからたくさん使っても大丈夫」といったイメージだけで量を増やしてしまうことこそ、実際の健康リスクにつながる可能性があります。

重要なのは、「どの砂糖を使うか」だけでなく、「どれくらいの量を、どのような食事の中で使うか」という視点です。1日の砂糖摂取量の目安を把握し、飲み物・お菓子・料理に含まれる甘味をトータルで管理することで、てんさい糖の長所を活かしつつ、余分なリスクを抑えることができます。用途や風味の好みに応じて、白砂糖やきび砂糖、黒糖などとも上手に使い分けながら、ご自身やご家族のライフスタイルに合った「甘さとの付き合い方」を設計していくことが、てんさい糖を賢く、安全に活用する最も現実的な方法です。

目次

てんさい糖とは何か — 基本的な特徴

てんさい糖の原料と製造方法

てんさい糖は、甜菜(テンサイ、サトウダイコン)と呼ばれる根菜を原料とした砂糖です。甜菜の根に含まれる糖分を取り出し、煮詰めて結晶化させたのち、蜜分を残したまま乾燥させた「含蜜糖(がんみつとう)」に分類されます。

一般的に、てんさい糖はやや茶色がかった色合いをしており、これは原料由来の成分(ミネラルや色素)が残っているためです。カラメル色素などで着色しているわけではなく、精製度の違いによる自然な色と考えられます。

てんさい糖に含まれる主な成分

てんさい糖の主成分は、通常の砂糖と同じ「ショ糖」です。そのうえで以下のような成分が微量に含まれます。

  • オリゴ糖(一部)

  • カリウム、カルシウムなどのミネラル

  • 原料由来の微量成分

ただし、ミネラルやビタミン類は「含まれているが量は少ない」という程度であり、「栄養補給のために積極的に摂る」というよりは、「白砂糖より少しだけ付加価値がある」程度に捉えるのが現実的です。


てんさい糖が「体に良い」とされる理由

オリゴ糖による腸内環境へのプラス効果の可能性

てんさい糖には、ラフィノースなどのオリゴ糖が一部含まれることが知られております。オリゴ糖は、小腸で吸収されにくく大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌のエサになることで、腸内環境の改善に役立つ可能性があるとされています。

そのため、

  • 便通のサポート

  • 腸内フローラのバランス維持
    などを期待して、てんさい糖やてんさい由来オリゴ糖を選ぶ方もいらっしゃいます。

ただし、含有量はそれほど多くはないため、「オリゴ糖の効果だけを目的とするなら、専用のオリゴ糖製品のほうが効率的」という見方もできます。

ミネラルを含む含蜜糖としての特徴

てんさい糖は、精製度の高い白砂糖に比べ、カリウムやカルシウムなどを微量ながら含むことが多く、含蜜糖ならではの風味とコクが特徴です。

  • 味にまろやかさが出る

  • コクのある甘さになる

  • 焼き菓子や煮物との相性が良い

こうした点から「自然でやさしい甘さ」と感じられ、健康志向の方や自然志向の方に選ばれやすい砂糖です。

血糖値の上昇が比較的緩やかとされる点

一部の情報では、てんさい糖は白砂糖よりも血糖値の上昇がやや緩やかであると説明されています。これは、精製度や含まれる他成分の違いによるものと考えられています。

ただし重要な点として、

  • てんさい糖も「糖質」であることに変わりはない

  • 摂りすぎれば血糖値は上昇し、エネルギー過多になる
    という基本性質は、白砂糖と同じです。

「白砂糖より少しマシかもしれない」程度であり、「いくら食べても太らない・血糖値に影響しない」といった魔法の食品ではない点に注意が必要です。


てんさい糖は「危険」なのか — リスクと注意点

砂糖としての糖質・カロリーリスク

てんさい糖の主成分はショ糖であり、体内でブドウ糖と果糖に分解されます。これは、白砂糖やきび砂糖など他の砂糖と同じ仕組みです。

そのため、

  • 過剰摂取 → 体重増加、肥満リスク

  • 血糖値の急上昇・乱高下 → 生活習慣病リスクの一因

  • 血糖コントロールが必要な方にとっての負担
    といった点は、他の砂糖と共通する「危険性」といえます。

「てんさい糖だからたくさん摂っても大丈夫」という考え方は、むしろ健康リスクを高める可能性があります。

虫歯や口内環境への影響

てんさい糖も甘味料ですので、口の中に残れば、虫歯菌のエサとなり、虫歯や口内環境の悪化につながる可能性があります。

  • 間食や甘い飲み物が多い

  • だらだら食べ・飲みをする

  • 歯磨きの回数が少ない

といった生活習慣と組み合わさることで、虫歯リスクはさらに高まります。「自然志向の砂糖だから虫歯になりにくい」ということはありませんので、歯のケアは従来通り重要です。

農薬や原料に関する不安について

インターネット上では、「てんさい糖は農薬が多くて危険」「遺伝子組み換えだから危ない」といった表現も見受けられます。

しかし、一般に流通しているてんさい糖は、食品衛生法などの基準に基づいて生産されており、「てんさい糖だから特別に危険」という明確な科学的エビデンスは現時点で乏しいといえます。

気になる場合は、

  • 国産原料使用

  • 農薬使用や栽培方法を公開しているメーカー

  • 有機JAS認証商品
    などを選ぶことで、安心材料を増やすことができます。

「健康に良い」と思い込みすぎることの危険

てんさい糖に限らず、「健康によさそう」というイメージを持つと、無意識に摂取量が増えてしまうことがあります。

  • 白砂糖より良いからと、量を意識せず使う

  • スイーツや飲み物にたっぷり使ってしまう

  • 他の食生活の見直しを後回しにしてしまう

このような状態こそが、実際の健康リスクになります。あくまで「砂糖の一種」であることを踏まえ、総摂取量のコントロールが重要です。


他の砂糖との比較 — てんさい糖はどんな位置づけか

砂糖の種類と成分の違い

代表的な砂糖を、特徴とともに整理いたします。

種類原料特徴ミネラル・成分風味・使い勝手
てんさい糖甜菜含蜜糖。やや淡い茶色カリウム・カルシウムなど微量 ミネラル、オリゴ糖を一部含むまろやかな甘さ。煮物や焼き菓子に合う
白砂糖(上白糖・グラニュー糖など)サトウキビ・甜菜高精製の分蜜糖ショ糖ほぼ100%。ミネラルはほぼなしクセのない甘さ。どんな料理にも使いやすい
きび砂糖サトウキビ含蜜糖。ややコクがあるミネラルを一部含むコクのある甘さ。煮物・炒め物に向く
黒糖サトウキビ含蜜糖。色が濃いミネラル・ビタミンなどを比較的多く含む強い風味とコク。和菓子や沖縄料理向き

いずれも「糖質であること」に変わりはなく、カロリーも大きくは変わりません。違いは、

  • 精製度(どれくらい不純物を取り除いたか)

  • ミネラルの量

  • 風味・香り
    といった点が中心です。

血糖値への影響とGI値の考え方

GI値(グリセミックインデックス)は、食品を摂取した後の血糖値上昇の速さを示す指標です。てんさい糖は、白砂糖よりやや低いとされることがありますが、低GI食品というほど大きな差ではないと考えられます。

大切なのは、

  • 「GIが低い=たくさん食べてよい」ではない

  • 総糖質量と食事の組み合わせが血糖コントロールに影響する
    という点です。

同じ砂糖であっても、

  • 食物繊維が多い食事と一緒に摂る

  • 食後の血糖を意識して量を調整する
    といった工夫のほうが、種類の違いよりも効果的な場合があります。

用途や好みによる使い分け

砂糖は「どれが絶対に良い・悪い」ではなく、用途や好みに応じて選ぶのが現実的です。

  • 味を一定にしたい洋菓子:白砂糖が扱いやすい

  • コクを出したい煮物・和食:きび砂糖・黒糖・てんさい糖など

  • 優しい甘さで腸活も意識:てんさい糖を少量取り入れる

このように、「目的」と「全体の食事バランス」を考えたうえで、てんさい糖をひとつの選択肢として活用するのが賢明です。


てんさい糖の賢い使い方 — 適量と向き・不向き

1日あたりの砂糖摂取量の目安

世界保健機関(WHO)などのガイドラインでは、「遊離糖(砂糖・蜂蜜・シロップ・果汁など)」の摂取量を、総エネルギーの10%未満、できれば5%未満に抑えることが推奨されています。一般的な成人の場合、

  • 推奨上限の目安:1日あたり約25g前後(砂糖大さじ約2杯程度)
    と考えるとイメージしやすいです。

てんさい糖もこの範囲に含まれますので、

  • 飲み物に入れる砂糖の量

  • お菓子やデザートからの糖分

  • 調味料に含まれる砂糖
    などを合計して、「一日のトータル」でコントロールすることが重要です。

てんさい糖が向いている人・控えたほうが良い人

てんさい糖が比較的向いている方の例

  • 精製度の低い砂糖を好む方

  • 腸内環境を意識し、オリゴ糖も少し取り入れたい方

  • まろやかな自然な甘みを料理やお菓子に使いたい方

控えめにすべき、または慎重に扱うべき方の例

  • 糖尿病や血糖値異常と診断されている方

  • 厳格な糖質制限を行っている方

  • 肥満やメタボリックシンドロームで医師の指導を受けている方

  • 虫歯が多く、歯科から糖分摂取を制限されている方

このような場合は、「てんさい糖なら安心」と考えず、医師や管理栄養士の指導のもと、砂糖全般の量を見直すことが大切です。

てんさい糖を使う前に確認したいチェックリスト

  • □ 「白砂糖より健康」と思い込みすぎていないか

  • □ 1日あたりの砂糖の量(飲み物+お菓子+料理)を把握しているか

  • □ 子どもや家族の摂取量も含めて管理できているか

  • □ 甘さの強さではなく「風味」を楽しむよう意識できているか

  • □ 野菜・たんぱく質・食物繊維もしっかり摂れているか

これらを意識することで、てんさい糖を「体に優しそうだから」ではなく、「食生活全体のバランスの中で」上手に活用しやすくなります。


FAQ — よくある質問

Q1. てんさい糖は本当に「低GI砂糖」なのですか?

A. てんさい糖は、白砂糖よりやや血糖値の上昇が緩やかとされる場合がありますが、依然として糖質を多く含む砂糖です。「低GIだからいくらでも食べてよい」というものではありません。血糖値を気にされる方は、砂糖の種類よりも「量」と「食事全体の組み合わせ」を重視する必要があります。

Q2. 糖質制限中でもてんさい糖なら使ってもよいですか?

A. 厳格な糖質制限を行っている場合は、てんさい糖であっても糖質とカロリーの摂取につながりますので、基本的には控えることが望ましいです。制限の程度にもよりますので、医師や専門家の指導に従ってください。

Q3. 子どもにてんさい糖を使っても問題ありませんか?

A. 適量であれば、てんさい糖であること自体が問題になることは通常ありません。ただし、子どもは体が小さい分、糖質の影響を受けやすく、虫歯リスクも高いため、「量」と「回数」に注意する必要があります。おやつの内容やタイミングも含めて、全体でバランスを取ることが大切です。

Q4. てんさい糖は白砂糖より明らかに健康的と言えますか?

A. ミネラルやオリゴ糖を一部含む点、精製度の違いなどから、「白砂糖より付加価値がある」と言うことはできますが、「明らかに健康的」「たくさん摂っても安全」とまでは言えません。どの砂糖であっても、摂りすぎれば健康リスクは高まります。


まとめ — てんさい糖を「安全かつ賢く」使うために

てんさい糖は、

  • 甜菜を原料とする含蜜糖であること

  • オリゴ糖やミネラルを一部含むこと

  • まろやかで自然な甘さが特徴であること
    から、白砂糖とは異なる魅力を持つ砂糖です。

一方で、

  • 主成分はショ糖であり、糖質とカロリーを多く含む

  • 過剰摂取すれば肥満や血糖値悪化などのリスクは他の砂糖と同様
    であることも事実です。

「てんさい糖=危険」という極端な見方も、「てんさい糖なら安心してたくさん使える」という過度な期待も、どちらもバランスを欠いています。大切なのは、

  • 砂糖全般の総摂取量を意識すること

  • 食事全体の栄養バランスを整えること

  • 用途や好みに応じて賢く選び分けること
    です。

てんさい糖を上手に取り入れながら、ご自身やご家族のライフスタイルに合った、無理のない「甘さとの付き合い方」を見つけていただければ幸いです。