外出先や自宅回線の不調時でも、スマホのテザリングがあればNintendo Switchをインターネットに接続できます。とはいえ、テザリングは「スマホの回線をSwitchへ分ける」仕組みのため、通常の家庭用Wi-Fiと比べて条件が変わりやすく、設定のちょっとした違いで接続に失敗したり、オンライン中に切断したりすることがあります。
この記事では、iPhone・Androidそれぞれのテザリング接続手順を丁寧に整理し、つながらないときの原因と対処を具体的に解説します。最後に、オンライン対戦をできるだけ安定させるコツと、状況に応じた代替案もまとめます。
「今日中にSwitchをネットにつなぎたい」「原因を切り分けたい」という場合に、上から順に確認すれば解決へ近づく構成です。
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Switchをテザリングでつなぐ前に確認すること
テザリングの設定を始める前に、ここだけは先に押さえておくと失敗が減ります。多くのトラブルは、手順そのものではなく「前提条件の不足」や「制限の見落とし」から起きます。
テザリングが契約で使えるか確認する
まず、スマホ側でテザリング機能が利用できる状態か確認します。近年のプランではテザリングが標準で含まれることが多い一方、契約内容や利用している回線によっては、テザリングがオプション扱いになっていたり、一定の条件下で制限がかかったりすることがあります。
確認のポイントは次のとおりです。
スマホの設定画面に「インターネット共有」「テザリング」項目があるか
項目があっても、押すと「契約が必要」などの表示が出る場合があります。キャリアのマイページで、テザリングオプションの有無・上限・制限を確認する
とくに格安SIMや一部プランでは、テザリング自体は可能でも速度制限が強かったり、時間帯で混雑しやすかったりします。会社支給スマホ・学内端末など管理端末の場合
管理ポリシーでテザリングが禁止されていることがあります。設定画面に項目が見当たらない、オンにできない場合は、端末管理側の制限が原因のこともあります。
「テザリングをオンにできるのにSwitchが見つからない」というケースでも、実際にはテザリングが正常に提供されていない(または一時的に制限されている)ことがあるため、先にスマホ同士などで試し、テザリング自体が動作しているか確認すると切り分けが早くなります。
通信量とバッテリーの注意点
テザリングは便利ですが、通信量とバッテリー消費が増えます。Switch側でオンライン対戦をするだけならそこまで大容量にならない場合もありますが、次のような場面では通信量が一気に増えるため注意が必要です。
ソフトや本体の更新データのダウンロード
ゲーム内アップデート(追加データ・パッチ)
ニンテンドーeショップでの再ダウンロード
ボイスチャットや配信、動画視聴(YouTube等)
テザリング中はスマホが「基地局と通信し続けながら、さらにWi-Fiルーターの役割も担う」ため、発熱とバッテリー消費が大きくなります。外出先で長時間使う場合は、次の対策が現実的です。
充電しながら利用する(モバイルバッテリー推奨)
スマホを布団やバッグの中に入れず、放熱できる場所に置く
テザリングを使い終わったら、必ずオフに戻す
オンのままだと、想定外の機器が接続したり、バッテリーが減り続けたりします。
また、データ容量に上限がある場合、上限に達すると速度制限がかかり、オンライン中の遅延や切断につながりやすくなります。オンライン対戦は「速度」よりも「遅延の小ささ」「遅延の安定性(揺れにくさ)」が重要なため、速度制限が入っている状態では体感が急に悪化することがあります。
暗号化方式はWPA2(AES)を前提にする
Switchがテザリングにつながらない原因として、非常に多いのが暗号化方式の相性です。Wi-Fiには暗号化方式(セキュリティ方式)があり、近年はより新しい規格が普及していますが、Switchはすべての方式に対応しているわけではありません。
対策として最も重要なのは、スマホ側のテザリング設定がSwitchの対応範囲に収まるようにすることです。具体的には以下を意識してください。
セキュリティはWPA2(AES)相当が基本
端末によってはWPA3が標準になっていて、古い機器がつながりにくいことがあります
iPhoneには「互換性を優先」など、接続互換性を上げる設定が用意されています
この暗号化方式の問題は、症状が分かりにくいのが厄介です。
たとえば「SSIDは見えるのにパスワードが通らない」「パスワードは合っているはずなのに接続に失敗する」「すぐ切れる」といった形で現れることがあり、単純な入力ミスと見分けがつきません。後半のトラブルシューティングでは、この点を優先して確認する流れで解説します。
iPhoneでSwitchをテザリング接続する手順
iPhoneのテザリングは、設定さえ揃えば比較的スムーズにつながります。ただし、機種やiOSの状態によっては「互換性を優先」を使う必要が出ることがあります。ここでは「まずは基本手順 → うまくいかないときの追加手順」の順に進めます。
iPhone側でインターネット共有をON
iPhoneで「設定」を開きます。
「インターネット共有」を開きます。
(見当たらない場合は「モバイル通信」内にあることもあります)「ほかの人の接続を許可」をオンにします。
画面内に表示される「Wi-Fiのパスワード」を確認します。
ここで表示されるパスワードは、Switchで入力するものです。
ここでのコツは、接続操作をする間、iPhoneの画面をしばらく開いたままにしておくことです。機種や省電力状態によっては、画面を閉じるとテザリングが安定しづらいことがあります。まずは接続が完了するまで、iPhoneを操作できる状態にして進めると失敗が減ります。
また、以下の点もあわせて確認します。
モバイルデータ通信がオンになっているか
インターネット共有は、モバイル通信を経由して提供されるため、モバイルデータがオフだと成立しません。圏外・電波が弱い場所では成功率が下がる
テザリングそのものはオンにできても、元回線が不安定だとSwitch側は接続後に通信エラーになりやすいです。
Switch側でSSIDを選んで接続する
次にSwitch側の操作です。初めてつなぐ場合も、過去につないだSSIDが残っている場合も、基本は同じです。
SwitchのHOME画面から「設定」を開きます。
「インターネット」を選び、「インターネット設定」を開きます。
表示されたネットワーク一覧(見つけたネットワーク)から、iPhoneのテザリングSSIDを選びます。
多くの場合、SSIDはiPhoneの名前になっています。パスワードの入力画面になったら、iPhone側で確認したWi-Fiパスワードを入力します。
接続テストが走り、成功すれば完了です。
入力ミスを減らすためのポイントは次のとおりです。
パスワードは英数字の大文字・小文字を区別します
0(ゼロ)とO(オー)、1(イチ)とl(エル)など、見間違いが起きやすい文字に注意します
入力後すぐにつながらない場合でも、数十秒待つと成功することがあります(とくに電波が弱い場所)
ここまでで接続できれば基本は完了です。つながらない場合は次の「互換性を優先」の判断に進みます。
「互換性を優先」を使う判断基準
iPhoneの「インターネット共有」には、接続互換性に関する設定が用意されている場合があります。Switchが見つからない、または接続できない場合は、次の基準で試すと効率的です。
「互換性を優先」を試すべき症状
Switch側のネットワーク一覧に、iPhoneのSSIDが出ない
SSIDは出るが、パスワードを入力しても接続できない
一度つながっても、すぐ切れる/通信が極端に不安定
同じiPhoneで、他の機器はつながるのにSwitchだけ失敗する
試し方はシンプルです。
iPhoneの「設定」→「インターネット共有」を開く
「互換性を優先」をオン
いったんテザリングをオフ→オンし直す(またはSwitch側で再検索)
SwitchでSSIDを選び、接続を試す
なお、互換性を優先にすると、接続方式が変わるため、環境によっては速度や安定性が変化する場合があります。まずは「つながる状態を作る」ことを優先し、安定して遊べるかを確認してください。問題が解決したら、必要に応じてオンのまま運用するか、元に戻して再検証するとよいでしょう。
AndroidでSwitchをテザリング接続する手順
Androidは機種やメーカーによって設定名称や配置が異なりますが、流れは共通しています。重要なのは「Wi-Fiテザリング(アクセスポイント)を使う」「セキュリティ設定が調整できる場合は互換性重視にする」の2点です。
Android側でWi-FiテザリングをON
Androidの「設定」を開きます。
「ネットワークとインターネット」または「接続」などを開きます。
「テザリング」/「アクセスポイント」/「モバイルホットスポット」の項目を探して開きます。
「Wi-Fiテザリング」(または「モバイルアクセスポイント」)をオンにします。
SSID(ネットワーク名)とパスワードを確認・設定します。
このとき、可能であれば以下も確認します。
周波数帯(2.4GHz / 5GHz)
端末によっては選べることがあります。環境次第ですが、電波の到達性を優先するなら2.4GHzが有利なことが多いです。セキュリティ方式(WPA2 / WPA3 など)
設定できる端末では、Switchとの相性を考えてWPA2相当を選べると成功率が上がります。
Androidの設定で項目が見当たらない場合は、設定画面の検索欄で「テザリング」「ホットスポット」「アクセスポイント」と入力すると見つかりやすくなります。
Switch側で接続し直すコツ
Android側のホットスポットをオンにしたら、Switchで接続します。
SwitchのHOME画面から「設定」を開く
「インターネット」→「インターネット設定」へ進む
表示されたネットワーク一覧からAndroidのSSIDを選ぶ
パスワードを入力して接続する
ここでつまずきやすいポイントと、効果が出やすい対処をまとめます。
SSIDが一覧に出ない場合
Switch側でネットワークを再検索(一覧を更新)
Androidのホットスポットをオフ→オン
スマホとSwitchを近づける(距離・障害物の影響を排除)
以前つないだSSIDが残っている場合
以前の設定が不整合を起こすことがあります。該当SSIDの接続設定を削除し、作り直すと改善することがあります。
パスワード入力後に失敗する場合
入力ミスのほか、セキュリティ方式の相性が原因のことがあります。Androidのホットスポット設定でセキュリティを見直せるか確認します。
Androidはカスタマイズが多様なため、同じ症状でも原因が複数あります。後半の「原因と対処」の項目で、症状別に最短ルートで切り分けられるよう整理します。
Switchがテザリングに接続できないときの原因と対処
ここからは「うまくいかないとき」に、どこから確認すべきかを症状別にまとめます。ポイントは、順番に確認することです。いきなり設定をあちこち変えると、原因が見えなくなりやすいため、優先度が高いものから手順化します。
SSIDが表示されない
「Switchのインターネット設定を開いたのに、スマホのSSIDが出てこない」場合は、次の順で確認します。
スマホ側のテザリングが本当にオンか確認する
iPhoneは「ほかの人の接続を許可」がオンになっているか、Androidはホットスポットがオンになっているかを再確認します。スマホとSwitchの距離を近づける
まずは同じ机の上など、数十センチ~1m程度に近づけます。壁や家具などの障害物を避け、電波条件を単純化します。Switch側でネットワーク一覧を更新する
一覧が古いままの場合があります。いったん画面を戻して入り直すのも有効です。スマホのテザリングをオフ→オンにする
テザリング機能が一時的に不安定な場合、オンにし直すだけで見えるようになることがあります。スマホを再起動する
テザリングがうまく配信できていない状態が解消することがあります。(iPhoneの場合)互換性を優先をオンにする
Switchが古い方式でしか拾えない状態になっている場合に改善することがあります。
それでもSSIDが出ない場合は、次の可能性が上がります。
ステルス設定(SSID非公開)になっている
一般的なホットスポット設定では少ないですが、端末や設定によってはSSIDが非公開になります。非公開の場合、Switch側で「手動で設定」からSSIDとパスワードを入力する必要があります。周波数帯やチャンネルの相性
5GHzのみで発信している、またはSwitchが拾いにくい設定になっていることがあります。Androidで周波数帯が選べる場合は、2.4GHz側で試すと改善することがあります。スマホ側の省電力・発熱による制御
発熱やバッテリー低下でホットスポットが制限される場合があります。充電しながら、風通しの良い場所で試します。
パスワードが合っているのに接続できない
SSIDは見えるのに、パスワード入力後に「接続できませんでした」「設定が対応していません」などで失敗する場合、優先順位は次のとおりです。
パスワードの入力ミスを疑う
大文字小文字、記号、似た文字(0/O、1/l)を丁寧に見直します。
可能であれば、スマホ側でパスワードを一度シンプルなものに変更し、再入力して切り分けるのが有効です。暗号化方式(セキュリティ方式)の相性を疑う
これが最重要ポイントです。新しい暗号化方式が有効になっていると、Switch側が対応できず接続に失敗することがあります。iPhone:互換性を優先をオンにして試す
Android:ホットスポットのセキュリティ設定が変更できる場合、互換性重視(WPA2相当)へ変更して試す
一度接続情報を消して作り直す
以前の接続情報が残っていると、設定が衝突して失敗することがあります。Switch側で該当SSIDの情報を削除し、新規に接続し直します。スマホのテザリングをオンにし直す/端末再起動
パスワードは正しいのに認証が通らない状態が解消することがあります。
とくに「パスワードは絶対に合っているのに通らない」というときは、入力ミスよりも暗号化方式の相性が疑わしいです。ここを後回しにすると、同じ入力を何度も繰り返すことになり、時間を消耗しやすいです。
エラーコードが出る・すぐ切れる
接続はできるものの、オンライン中に切断したり、通信テストで失敗したり、エラーコードが出る場合は「電波の不安定」「回線の混雑」「スマホ側の制御」が原因になりやすいです。対策は次の順で試すと効率的です。
スマホとSwitchを近づけ、遮蔽物を減らす
まずは物理条件を改善します。テザリングは小型ルーターを即席で作るようなものなので、距離の影響が強く出ます。スマホの置き場所を変える
電波は場所で大きく変わります。窓際に寄せる、金属棚の近くを避ける、床に置かず高さを確保するなどで改善することがあります。スマホを充電しながら使う
バッテリー残量が少ない状態では省電力が強く働き、ホットスポットが不安定になることがあります。発熱対策をする
発熱で性能が落ちると、通信が不安定になりやすいです。ケースを外す、直射日光を避ける、放熱できる場所に置くと改善することがあります。不要な通信を止める
同じスマホで動画再生や大きなダウンロードをしていると、帯域や処理が圧迫されます。テザリング中は不要なアプリを閉じ、更新を止めるだけでも安定します。再起動と再接続
Switch・スマホ双方を再起動し、接続設定を作り直します。通信機器は一時的な状態不良が起きるため、再起動は侮れません。
「すぐ切れる」場合、Switchとスマホの距離が少し離れているだけでも症状が出ることがあります。まずは極端に近づけて試し、安定するなら「距離・障害物」が原因です。近づけても切れるなら、回線混雑やスマホ側の制御(発熱・省電力)を疑う流れが適切です。
オンライン対戦を安定させるコツと代替案
テザリングでオンライン対戦ができるかどうかは、「つながるか」だけでなく「安定するか」が重要です。ここでは、テザリング環境でもできるだけ遊びやすくするコツと、限界を感じたときの現実的な代替案を整理します。
置き場所と電波を見直す
テザリングが不安定になる最大の理由は、電波条件が変わりやすいことです。家庭用ルーターは出力やアンテナ設計が比較的安定している一方、スマホのホットスポットは携帯性を優先しており、周囲環境の影響を受けやすい傾向があります。
安定させるために効果が出やすい見直しポイントは以下です。
スマホとSwitchの距離を縮める
可能なら同じ机の上に置きます。離すほど不安定になりやすいです。障害物を減らす
壁、家具、人体、金属ラック、家電の近くは電波が乱れやすい場合があります。スマホを手で握り続けない
人の手や体で電波が弱くなることがあります。置いて使うほうが安定しやすいです。電波の良い場所に移動する
テザリングは元回線(携帯回線)が不安定だとどうにもなりません。屋内で弱い場合は窓際、可能なら場所を変えるだけで改善することがあります。
また、混雑しやすい時間帯(夜間など)では回線品質が落ちやすく、遅延が増えることがあります。これは端末の不具合ではなく回線側の特性であるため、場所や時間帯を変える工夫が効果的です。
速度よりPingが乱れない環境を作る
オンライン対戦で重要なのは、単純なダウンロード速度よりも、操作の反映に影響する「遅延(Ping)」と「遅延の揺れ(ジッター)」です。テザリングでは以下の要因で遅延が揺れやすくなります。
基地局までの電波状態が変動する
回線混雑の影響を受けやすい
スマホが同時に複数の処理を行い、負荷が高いと通信が不安定になる
省電力や発熱による性能制御がかかる
遅延を安定させるためにできる工夫は次のとおりです。
テザリング中はスマホで重い操作をしない
動画視聴や大きなダウンロード、バックアップ同期などは避けます。Switch側で大きなダウンロードを走らせない
対戦中に更新が入ると体感が悪化します。更新はプレイ前に済ませます。バッテリー残量を十分に確保し、発熱を抑える
端末性能が落ちると遅延が揺れやすいです。可能なら電波の良い場所へ移動する
端末設定の工夫より、電波条件の改善のほうが効果が大きいことが多いです。
「速度は出ているのにラグい」という場合、遅延の揺れが原因になりやすいです。速度測定の数字だけでは判断しづらいため、実際の体感(瞬間的なカクつき、入力遅れ、瞬間ワープなど)を重視して環境を整えるのが現実的です。
どうしても不安定な場合の選択肢
テザリングは万能ではありません。とくにオンライン対戦を継続的に快適に遊ぶ場合、環境として不利になりやすいことも事実です。どうしても不安定な場合は、目的に応じて次の選択肢を検討すると納得感が高まります。
自宅での利用が中心なら:固定回線+家庭用Wi-Fiを優先する
工事が必要な場合でも、長期的には安定性が上がりやすいです。自宅回線の代替が必要なら:ホームルーターやモバイルルーターを検討する
テザリングより安定しやすく、同時接続台数や発熱の面でも有利な場合があります。外出先で短時間だけ必要なら:テザリングで割り切る
ただし、アップデートや大容量ダウンロードは避け、対戦よりもログイン・軽いプレイに寄せるとトラブルが減ります。大容量更新はできるだけ自宅回線で行う
テザリングでの大容量更新は通信量と時間の負担が大きく、速度制限の引き金にもなりやすいです。
テザリングで「つながる」状態を作ることは十分可能ですが、「常に快適」を求めるほど難易度は上がります。まずはこの記事の手順で確実に接続し、安定性に課題が残る場合は、利用シーンに合った回線手段へ切り替えるのが最もストレスが少ない選び方です。