Cドライブ直下で「swapfile.sys」を見つけると、思わず不安になります。容量が数GB単位で増えているように見えれば、「これを削除すれば空き容量が戻るのでは」「ウイルスではないのか」と焦るのも無理はありません。
しかし、swapfile.sysはWindowsが安定して動作するために使う仮想メモリ関連のファイルで、意味を理解せずに削除や無効化に進むと、アプリの不調や動作不安定につながる可能性があります。
本記事では、swapfile.sysの役割と作られる理由をはじめ、pagefile.sys・hiberfil.sysとの違いを表で整理し、「削除してよいケース/避けるべきケース」を判断できるようにします。さらに、容量が増えたときの原因の切り分け、まず試すべき安全な容量対策、どうしても必要な場合の設定手順と戻し方まで、迷わない順番で詳しく解説します。読後には「触るべきかどうか」がはっきりし、ストレージ不足を安全に解決する道筋が見えるはずです。
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swapfile.sysとは何か
Windowsでの役割と作られる場所
swapfile.sysは、Windowsが内部で利用する「仮想メモリ関連のシステムファイル」です。多くの環境ではシステムドライブ(一般的にCドライブ)の直下に生成され、標準設定では隠しファイルとして扱われるため、普段は目に入りません。ところが、ストレージ容量の見直しや、エクスプローラーの表示設定変更(隠しファイルや保護されたOSファイルの表示)を行ったタイミングで発見し、「これを消せば空き容量が増えるのでは」と気になりやすいファイルでもあります。
まず押さえるべき前提は、swapfile.sysが「勝手にできた不要ファイル」ではなく、Windowsが安定して動作するための仕組みの一部だという点です。Windowsは、メモリ(RAM)だけで全ての処理を賄えない状況に備え、ディスク領域を補助的に使う機構を持っています。その代表例がpagefile.sys(ページングファイル)ですが、swapfile.sysはそれとは別の目的を含んで導入された経緯があります。特にWindows 8以降で存在が知られるようになり、ストアアプリ(UWP)系の挙動と結びつく形で説明されることが多いのが特徴です。
ファイルの存在そのものは異常ではありません。むしろ、次の条件に当てはまるほど「見える」可能性が高くなります。
Cドライブの空き容量が少なく、容量分析ツールで上位に出てくる
大きいシステムファイルを含めてサイズ順表示した
Windowsの仮想メモリ設定を手動で変更したことがある
Windows Updateや大型アップデート直後で、システム挙動が一時的に変化している
また、ファイルは基本的にWindowsが使用中のため、通常運用中に手動削除しようとしても簡単には消せません。仮に消せたように見えても、再起動や条件の変化で再生成される可能性があるため、「消したら終わり」とは捉えない方が安全です。
pagefile.sysとの関係と別ファイルになった理由
pagefile.sysは、Windowsに古くからある仮想メモリの中心的な仕組みで、メモリが不足したときにディスクへデータを退避(ページング)させることで、アプリやシステムの継続動作を支えます。一方でswapfile.sysは、同じく退避先として使われる局面はありつつも、用途や扱いが分けられている点が重要です。
なぜ「ページングファイルがあるのに、別ファイルが必要なのか」という疑問が出やすいのですが、ここには次のような背景が絡みます。
アプリの種類(従来のデスクトップアプリと、ストアアプリ系)
退避するデータの性質(どの程度再利用されやすいか、戻しやすいか)
OS側のメモリ管理の最適化(退避単位や優先度の調整)
利用者から見ると「どちらもディスクに逃がすなら同じでは」と感じやすい一方、OS内部の設計としては、用途や最適化方針が異なると考えると理解しやすくなります。したがって、pagefile.sysだけを残してswapfile.sysだけを消す、といった単純な発想はおすすめできません。仮想メモリ周辺は相互に影響しやすく、「一部だけを触った結果、別の箇所で不具合が出る」ことが起こり得る領域だからです。
さらに、Windowsの更新により内部挙動が変わる可能性がある点も見落とせません。過去の解説記事がWindows 8〜8.1時代の情報を前提にしている場合、Windows 10/11の現行挙動と一致しないケースもあります。そのため、個別の“裏技”よりも、まずはWindowsの設定(仮想メモリ管理)を正攻法で確認し、戻しやすい手順で調整することが安全策になります。
ウイルスではないかを見分けるポイント
swapfile.sysという名前が不穏に見える理由の一つは、「.sys」という拡張子がドライバやシステム関連を連想させ、さらにCドライブ直下にあることで“怪しさ”が増すからです。しかし、名前が似ている別物や、悪意あるファイルが「それっぽい名称」で紛れ込む可能性はゼロではありません。そこで、最低限の見分けポイントを押さえてください。
確認ポイント1:場所
通常のswapfile.sysは、システムドライブ直下(例:C:\swapfile.sys)で見つかることが多いです。これ以外の場所、たとえばユーザーフォルダ配下や一時フォルダ、見慣れないアプリのフォルダ内などで同名ファイルが見つかる場合は注意が必要です。
確認ポイント2:ファイル名の揺れswapfile.sys.exe のように拡張子を二重に見せる手口や、swapfile .sys のように空白や似た文字を使う例があります。エクスプローラーの「既知の拡張子を表示」を有効にし、拡張子を含めた正確な名称を確認してください。
確認ポイント3:削除の挙動
正規のシステムファイルは使用中であることが多く、通常運用中に容易に削除できないのが一般的です。逆に、簡単に削除できたり、動作中にも何度も生成され直したりする場合は、別の仕組みが絡んでいる可能性があります。
確認ポイント4:セキュリティスキャン
不安が残る場合は、Windows セキュリティ(Microsoft Defender)でフルスキャンを行うのが確実です。名称だけで決めつけず、正規の検出手段で判断してください。
swapfile.sysとpagefile.sysとhiberfil.sysの違い
3ファイル比較表(役割・サイズ・消し方・副作用)
混同が最も多いのは、swapfile.sys、pagefile.sys、hiberfil.sysの3つです。容量対策をする場合、「どれに手を入れるのが安全か」「何が起きるか」を整理しないまま削除へ進むと、再起動不能や不安定化などのトラブルにつながりかねません。以下の表で、まず役割と影響を一気に把握してください。
| ファイル | 主な役割 | サイズの傾向 | 代表的な無効化・削減方法 | 主な副作用・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| swapfile.sys | 主にストアアプリ(UWP)系のメモリ退避など | 小さめ〜状況で変動 | 仮想メモリ設定の影響が大きい | UWP系アプリ挙動への影響が出る可能性、単体制御が難しい |
| pagefile.sys | 従来の仮想メモリ(システム全般) | 環境により大きい | 仮想メモリ設定でサイズ調整/移動/無効化 | メモリ不足時に落ちやすくなる、安定性・ダンプ等に影響 |
| hiberfil.sys | 休止状態・高速スタートアップ等で使用 | メモリ量に応じて大きい | 休止機能/高速スタートアップ設定の見直し | 休止が使えなくなる、起動挙動が変わる |
ここで重要なのは、「削減手段の性質が異なる」点です。hiberfil.sysは機能(休止)に直結するため、使っていないなら整理候補になります。一方、pagefile.sysとswapfile.sysは、メモリ不足を吸収して安定性を保つ役割があるため、容量だけを理由に無効化するのはリスクが高くなります。
また、3つは“合計で何GBあるか”だけを見るのではなく、次のように判断すると失敗しにくくなります。
空き容量が極端に少ない(数GB未満):まずはユーザーデータやアプリ整理で即効性を作る
hiberfil.sysが非常に大きい:休止を使うかどうかで整理余地が大きい
pagefile.sysが大きい:移動や自動管理の見直しで改善余地がある
swapfile.sysが気になる:単体での“削除発想”ではなく、仮想メモリの全体設計として捉える
どれを減らすと効果が出やすいかの目安
容量確保を目的にするなら、「触ったときの副作用が少ない順」に手を付けるのが基本です。目安としては次の順になります。
不要ファイル・不要アプリの整理(副作用が最小)
hiberfil.sys(休止を使っていないなら整理しやすい)
pagefile.sys(移動や自動管理の見直しで調整余地がある)
swapfile.sys(単体制御が難しく、影響範囲が読みづらい)
特にswapfile.sysは「見つけたから消す」タイプの対象ではありません。なぜなら、swapfile.sysのサイズが増減する要因は、利用者が普段意識しない領域(アプリの種類、メモリ圧迫状況、OS内部の退避方針)に左右されるためです。削除しても再生成される可能性があり、さらに設定を誤ると安定性を落とすリスクがあります。
したがって、「まず何からやるべきか」が明確でない場合は、次の簡易ルールが役に立ちます。
ストレージが苦しいだけで、PCは安定している:削除系より整理・移動を優先
最近、フリーズや強制終了が増えた:仮想メモリを減らすより原因特定を優先
仕事や学業で安定性が最重要:自動管理を基本とし、安易な無効化は避ける
swapfile.sysを削除・無効化してよいかの判断基準
無効化を避けるべきケース
swapfile.sysを消したい気持ちは「容量不足」という切実な事情から生まれがちですが、無効化や削除へ進む前に、避けるべきケースを明確にしておくことが大切です。次に当てはまる場合、仮想メモリ周辺の無効化は基本的におすすめできません。
メモリ消費が大きい用途がある
例:ゲーム、動画編集、画像編集、開発環境、ブラウザの大量タブ、オンライン会議を複数併用など
メモリが足りなくなったとき、仮想メモリが“最後の受け皿”になります。ここを削ると、突然落ちる・フリーズするなどの形で表面化しやすくなります。PCの不調があり、原因切り分けが必要な状況
例:突然の再起動、ブルースクリーン、アプリクラッシュ
設定をいじることで現象が変わり、原因究明が難しくなることがあります。安定化のために触ったはずが、調査の足を引っ張る例も少なくありません。ストアアプリや標準アプリを日常的に使う
例:メール、フォト、標準の動画再生、Microsoft Store経由のアプリ
swapfile.sysはUWP系と関連して語られることが多く、無効化の影響が出るならこの領域が最初に揺れます。端末が1台しかなく、失敗したときに代替手段がない
設定変更は“戻せる状態”で行うのが鉄則です。バックアップや復旧手段がない場合、無効化は避けた方が安全です。
どうしても容量が厳しいときの優先順位
容量が限界に近いときでも、手順には優先順位があります。最終的に仮想メモリの設定へ触るにしても、先にやるべきことを踏むだけで、リスクを大きく下げられます。
優先順位1:即効性のある整理(副作用ほぼなし)
ごみ箱を空にする
ダウンロードフォルダの整理
不要なインストーラー(.exe/.msi)や重複ファイルを削除
一時ファイルの削除(Windowsのストレージ設定やディスククリーンアップ)
優先順位2:アプリ・ゲームの移動または削除(効果が大きい)
大容量ゲームは別ドライブへ移動(可能なら)
使用していないアプリはアンインストール
画像・動画などユーザーデータは外付けやクラウドへ退避
優先順位3:hiberfil.sysの見直し(条件次第で大きく削減)
休止状態を使っていないなら、休止機能の設定を見直す
高速スタートアップの必要性も含めて検討する
※ただし、使い方によっては利便性が下がるため、生活スタイル(ノートPCの持ち運び等)に合わせて判断します。
優先順位4:pagefile.sysの管理を整える(“無効化”より“最適化”)
自動管理を基本にする
どうしても必要なら別ドライブに移動する(SSD/HDDの速度差も考慮)
サイズを極端に削りすぎない(安定性を維持する)
優先順位5:最終手段として仮想メモリ全体の無効化を検討
影響が読めないため、最後の選択肢にします
戻し方を確保し、設定前後で挙動を確認します
この順序を踏むことで、「本当はアプリの整理で足りたのに、危険な設定変更をしてしまった」という失敗を避けられます。
削除すると起きやすい不具合
swapfile.sys単体の削除や、仮想メモリ周辺の無効化で起きやすい問題は、主に次の3系統です。
1)アプリが不安定になる(特にストアアプリ系)
起動しない、動作が重い、バックグラウンド動作がうまくいかないなど、はっきりしたエラーが出ない形で“調子が悪い”状態になる場合があります。
2)メモリ不足時の挙動が急激に悪化する
仮想メモリは、メモリが枯渇しかけたときの“最後の逃げ道”です。これを狭めると、特定作業のタイミングで突然アプリが落ちたり、全体が固まったりするリスクが上がります。
3)トラブル時の復旧や原因特定が難しくなる
設定変更後は、問題が起きても「設定の影響なのか、別の原因なのか」が分かりづらくなります。特に、元の状態へ戻す手順が不十分だと、余計に不安が増します。
容量確保は大切ですが、OSの安定性は一度崩れると復旧コストが高くなります。「何を優先するか」を明確にし、リスクの低い順に打つのが最短ルートです。
swapfile.sysを減らす・消す手順
仮想メモリ設定の確認手順(Windows 10/11)
最初に行うべきは「現状把握」です。仮想メモリ設定が自動管理なのか、手動に変わっているのかで、取るべき方針が変わるためです。Windows 10/11では表示項目が多少違うことがありますが、概ね次の流れで到達できます。
設定を開く
システムを開く
詳細情報(または「バージョン情報」)付近から、システムの詳細設定へ進む
「パフォーマンス」欄の設定を開く
詳細設定タブを選ぶ
「仮想メモリ」欄の変更を開く
ここで最重要なのが、次のチェックです。
「すべてのドライブのページング ファイルのサイズを自動的に管理する」が有効か
有効なら:基本はそのままが安定しやすい
無効なら:過去に手動調整されている可能性があり、サイズやドライブ配置を点検する価値が高い
また、ページングファイルの設定は変更後に再起動が必要になるケースが多いため、変更を行う場合は作業中データの保存・終了を徹底してください。
無効化(ページングファイルなし)を行う手順と戻し方
ページングファイルを「なし」にすると、結果としてswapfile.sysも関係する領域が縮小または変化し、場合によっては見えなくなることがあります。ただし、影響は大きく、特にメモリが少ない端末では不安定化しやすいため、実行するなら“戻す前提”で慎重に行う必要があります。
実行前チェック(必須)
仕事・学業の締切が迫っていない(不調時のリカバリー時間を確保)
大事なデータが保存されている(可能ならバックアップ)
変更点をメモしておく(元の設定に戻すため)
再起動ができる状態(更新や作業中ではない)
無効化の概要手順
仮想メモリ設定画面(「変更」)まで進む
自動管理のチェックを外す
対象ドライブを選び、ページングファイルなしを選択
設定を押して反映
OKで閉じ、再起動
戻し方(推奨:自動管理へ戻す)
同じ画面へ戻る
自動管理にチェックを入れる
OKで閉じ、再起動
自動管理へ戻すのが安全で、Windowsが環境に応じて最適化しやすい状態に戻ります。どうしても手動にしたい場合でも、「なし」に固定するのではなく、システム管理サイズや最小・最大の設定を適度に残す方が無難です。
なお、設定変更は「成功・失敗」ではなく、「運用して問題が出ないか」で判断します。変更直後に問題が出なくても、数日後に特定の作業でクラッシュする場合があります。変更後は、普段の使い方(ブラウザ・会議・ゲーム等)を一通り試し、安定性を確認してください。
別ドライブへ移動したい場合の考え方(注意点含む)
「Cドライブが小さく、Dドライブに余裕がある」という環境では、仮想メモリ(主にpagefile.sys)を別ドライブへ移すことで、Cドライブの圧迫を緩和できる場合があります。ここで大切なのは、“swapfile.sysを無理に動かす”より、仮想メモリ全体の配置を整えるという発想です。
移動の考え方(基本)
Cドライブに最小限を残し、Dドライブへ追加する(構成により)
速度の遅いドライブへ移すと体感が悪化する可能性がある
外付けドライブは切断リスクがあるため、通常は仮想メモリの置き場に向きません
注意点(重要)
ドライブ障害や切断が起きると、起動や安定性に影響する可能性があります
システムの修復・更新・復元時に想定外の挙動が出ることがあります
“シンボリックリンク等の小技”は切り分け難度が上がるため、一般用途では避けた方が安全です
どうしてもCドライブの空きが確保できない場合でも、まずは「不要データ整理」「大容量アプリの移動」「hiberfil.sysの検討」を先に行い、それでも足りないときに「pagefileの移動」を検討する、という順番が失敗しにくい方針です。
swapfile.sysの容量が増えたときの原因と対処
よくある原因チェックリスト
swapfile.sysのサイズが増えたように見えるとき、原因は必ずしも「異常」ではありません。まずは典型的な要因をチェックして、切り分けの方向性を決めてください。
見間違いがないか:実際に増えているのはswapfile.sysか。pagefile.sysや他の大容量ファイルと混同していないか。
最近の更新:Windows Updateや大型アップデートの直後ではないか。
再起動不足:シャットダウン中心で、再起動を長期間していない(高速スタートアップの影響で内部状態が継続することがあります)。
メモリ圧迫:最近、ブラウザタブが増えた、ゲームや重いアプリを長時間起動している、同時起動が増えた。
仮想メモリの手動設定:自動管理を外している、または過去にサイズを固定した。
Cドライブの空きが極端に少ない:空きが少ないと、システムが退避先を確保しようとして変動が目立つ場合があります。
このチェックで重要なのは、「増えた=消す」ではなく、「なぜ増えたのか」を先に掴むことです。特に、再起動不足やメモリ圧迫は見落とされがちで、改善が容易な割に効果が出やすいポイントです。
設定の自動管理を見直すときのポイント
仮想メモリ設定は、特別な理由がない限り自動管理が安定しやすい選択です。手動設定は自由度がある反面、環境変化(アップデート、アプリ追加、メモリ使用傾向の変化)に追従しづらくなります。
自動管理に戻す価値が高いケースは次のとおりです。
以前に「容量を減らす目的」で手動設定にしたが、今は用途が変わった
最近アプリを追加し、メモリ使用が増えた
Windows 10/11への移行後も古い設定のまま引き継いでいる
何となく固定サイズにしたが、根拠が曖昧である
一方で、どうしても手動にしたい場合は、次の原則を守ると事故が減ります。
0にはしない:完全無効化は最後の手段
急に削りすぎない:段階的に調整し、数日運用して観察する
用途に合わせる:ゲーム中心、作業中心、持ち運び中心などで最適は変わる
空き容量を確保する:仮想メモリ以前に、Cドライブ自体の空きが少なすぎると不安定化しやすい
また、サイズの変動を抑えたい一心で固定化した結果、必要な瞬間に不足して不具合が出る例もあります。体感の不安定さが少しでも出たら、早めに自動管理へ戻す判断が有効です。
不調がある場合の追加切り分け(イベント/メモリ不足感)
swapfile.sysが目立つタイミングで、PCの不調(重い、固まる、落ちる)が出ている場合、原因は「swapfile.sysがあること」ではなく、メモリ不足やストレージ負荷が高まっていることにある可能性が高いです。ここを取り違えると、「症状(遅い)」を「原因(swapfile.sys)」と誤認し、対処が逆効果になり得ます。
追加で切り分ける際は、次の見方が役立ちます。
1)タスクマネージャーでメモリの傾向を確認する
何もしていないのにメモリ使用率が高い
特定アプリ起動で一気に上がる
会議ツールやブラウザで常時メモリが張り付く
2)ディスク使用率が異常に高いか
使用率100%が続く
アプリの切り替えで固まる
常にディスクアクセスランプが点きっぱなし
3)ストレージの空き容量が少なすぎないか
空きが数GB未満
更新の一時領域が確保できず動作が不安定
一時ファイルが増えては消えるを繰り返す
このような状況では、swapfile.sysを減らすのではなく、むしろ「メモリを圧迫しているアプリを減らす」「不要な常駐を整理する」「ストレージの空きを増やす」といった方向が先です。症状が続く場合は、イベントビューアーのエラー確認や、ストレージ診断(SMART、メーカー診断ツール)など、より上流の調査も検討してください。
よくある質問
swapfile.sysは消しても復活する?
復活する可能性があります。swapfile.sysはWindowsのメモリ管理に関連するファイルであり、条件が整えばOSが必要に応じて再生成する場合があります。手動で削除して一時的に消えたように見えても、再起動や更新、アプリの利用状況によって戻ることがあるため、「削除=根本解決」とは考えない方が安全です。
また、無理に削除を繰り返すと、別の領域に負担が移ったり、設定の整合性が崩れたりして、安定性に悪影響が出る可能性があります。容量目的であれば、まずは“再生成されない状態を作る”のではなく、“安全に空きを増やす”方向(整理・移動・休止設定の見直し)で解決する方が現実的です。
swapfile.sysが数GB〜十数GBは正常?
環境によっては起こり得ますが、「正常か異常か」をサイズだけで断定するのは危険です。まず、以下の順番で確認してください。
本当にswapfile.sysか(見間違いがないか)
仮想メモリ設定が自動管理か
最近の使い方が変わっていないか(重いアプリ、同時起動の増加)
再起動を最近しているか
ストレージの空きが少なすぎないか
特に、空き容量が少ない状態では、システムファイルの増減が目立ちやすくなります。swapfile.sysだけを犯人扱いせず、PC全体の資源状況(メモリとディスク)から判断してください。
pagefile.sysも0にしてよい?
基本的にはおすすめしません。pagefile.sysは、メモリ不足を吸収してシステムを安定させる役割があり、これを0にすると、メモリを使い切った瞬間にアプリが落ちたり、フリーズしたりするリスクが上がります。特にメモリ容量が少ないPCや、ブラウザや会議ツールなどを併用する使い方では、影響が顕著になりやすいです。
どうしても容量を確保したいなら、いきなり0にするのではなく、次のような方針を優先してください。
自動管理へ戻す
可能なら別ドライブへ移動する
サイズを段階的に調整し、安定性を確認しながら進める
クラッシュダンプに影響する?
影響する可能性があります。クラッシュダンプ(不具合時の記録)は、構成や設定によってはページングファイルが関係する場合があります。頻繁に不具合が起きて原因調査が必要な状況では、仮想メモリの無効化や極端な縮小は、調査材料を減らしてしまうことがあります。
もし「最近ブルースクリーンが出る」「再起動を繰り返す」などの症状があるなら、容量対策より先に安定化と原因切り分けを優先した方が結果的に早く解決しやすいです。
SSDの寿命に影響する?
仮想メモリはディスクへの書き込みを伴うことがあるため、理屈としてはSSDへの書き込み量に影響し得ます。ただし、現代のSSDは一定の書き込み耐性を前提に設計されており、寿命だけを理由に仮想メモリを無効化するのは、得られるメリットより安定性低下のリスクが上回ることが少なくありません。
寿命が心配な場合に優先すべきは、次のような“副作用の少ない対策”です。
不要な常駐アプリを減らし、メモリ圧迫を抑える
ブラウザのタブや拡張機能を整理する
ストレージの空きを増やし、システムの余裕を確保する
必要ならメモリ増設や、容量の大きいSSDへの換装を検討する(可能な機種の場合)
まとめ
swapfile.sysは、Windowsの仮想メモリ周辺に関わるシステムファイルで、見つけたからといって不要扱いして削除する対象ではありません。容量確保の目的で触りたくなる場面は多いものの、仮想メモリの領域は相互に影響しやすく、安易な無効化はアプリ不調や不安定化につながる可能性があります。
安全に進めるための要点は、次のとおりです。
swapfile.sys単体の削除発想ではなく、仮想メモリ全体の設計として捉える
まずは仮想メモリ設定が自動管理かどうかを確認する
いきなり無効化せず、整理・移動・休止設定の見直しなど副作用の少ない手段から試す
どうしても設定変更する場合は、戻し方を確保し、段階的に調整して安定性を確認する
Windowsの設定画面や内部挙動は更新で変化することがあります。容量が苦しいときほど焦って削除に走りがちですが、「リスクの低い順に対処する」ことが、結果として最短で安心につながります。