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スワドルとは?おくるみとの違いと安全ルール、やめどきまで

赤ちゃんが寝たと思った瞬間にビクッとして起きてしまい、抱っこに戻る――そんな夜が続くと、「スワドルがいいらしい」と聞いても、今度は「本当に安全なの?」「いつまで使っていいの?」と不安になりますよね。
この記事では、スワドルの意味とおくるみとの違いを整理しながら、事故リスクを減らすために欠かせない安全ルール(仰向け・過熱回避・股関節のゆとり・寝返りサインで中止)を、チェックリストと手順でわかりやすくまとめます。読み終えたときに「我が家はどうするか」が迷わず決められる内容です。

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目次

スワドルとは赤ちゃんを包む寝かしつけアイテム

スワドルの意味と役割

スワドルとは、赤ちゃんの体をほどよく包み、落ち着いて眠りに入りやすくするためのアイテムです。日本では、布を巻く「おくるみ」と区別して、服のように形ができていて着せやすいタイプ(ファスナーや面ファスナーで固定するタイプ)をスワドルと呼ぶことが多くなっています。

使われる理由の一つが、低月齢の赤ちゃんに見られる「急に手足が動く反射(モロー反射など)」です。赤ちゃんは自分の動きに驚いて目が覚めたり、寝入りばなの浅い眠りで起きやすかったりします。スワドルは、この“急な動き”をやわらげ、安心感を作ることで、寝つきやすさにつながる場合があります。

ただし、スワドルは「必ず寝るようになる道具」ではありません。赤ちゃんの好みや体質、室温、寝る前の流れ(授乳、明るさ、音)などで向き不向きが分かれます。大切なのは、合う子に使うときに「安全の条件」を守ること、そして「やめどき」を誤らないことです。

期待できる変化と向いている時期

スワドルが役立ちやすいのは、一般に新生児〜低月齢で、手足の動きが大きく、眠りが安定しにくい時期です。
一方で、成長して寝返りの準備が始まると、包まれていること自体がリスクになり得ます。ポイントは「寝返りができたら」ではなく、寝返りに向けた動きが出始めた時点で中止することです。米国小児科学会(AAP)系の保護者向け情報でも、寝返りの兆候が出たらスワドルをやめるよう示されています。ある子は2か月頃から兆候が出ることもあるため、月齢で一律に判断しないほうが安全です。


スワドルとおくるみの違い

形状と使い方の違い

スワドルとおくるみは、どちらも赤ちゃんを包みますが、再現性(毎回同じ形でできるか)に差があります。

項目 スワドル おくるみ
形状 服のように成形され固定具があることが多い 大判の布を折って巻く
使い方 着せる・留めるだけで形が決まりやすい 巻き方に慣れが必要
ほどけやすさ 製品次第だが安定しやすい 巻きが緩いとほどけやすい
活用範囲 主に就寝・ねんね目的 掛け物・授乳ケープ等にも使いやすい
注意点 寝返り兆候で中止、過熱と股関節に注意 ほどけ・顔周りへの布寄り、過熱に注意

「巻くのが苦手」「夜中に急いでいると緩みやすい」という場合、スワドルのほうが一定の形を作りやすいことがあります。一方で、おくるみは多用途で便利ですが、就寝時は“ほどけた布が顔周りに来る”リスクを意識する必要があります。

どちらが合うかの判断軸

迷ったときは、次の順で判断すると決めやすくなります。

  • 最優先:安全に管理できるか
    どちらでも、仰向けで寝かせ、過熱を避け、寝返り兆候が出たら(おくるみでも)拘束をやめる、下半身をきつく固定しない——が前提です。

  • 次点:再現性(毎回同じ状態でできるか)
    不器用さの問題ではなく、夜間の疲労や焦りの中で再現できるほうを選ぶのが現実的です。

  • 最後:暮らしの相性(洗濯、季節、外出)
    洗い替えのしやすさ、乾きやすさ、暑い季節の通気性など、生活に合うほど継続しやすくなります。


スワドルのメリットとデメリット

メリット:モロー反射による覚醒を減らしやすい

低月齢の赤ちゃんは、睡眠が浅いタイミングで手足が大きく動くと、それだけで驚いて起きやすくなります。スワドルで腕まわりをほどよく包むことで、急な動きが小さくなり、寝入りや再入眠がしやすくなる場合があります。
また、抱っこから布団に置くと起きやすい子でも、“包まれている感覚”が安心につながり、移行がスムーズになるケースがあります。

ただし、嫌がる子もいます。着せた瞬間に強く泣く、呼吸が苦しそう、汗が増える、顔色が悪いなどがあれば、無理に使う必要はありません。「合わない」判断も立派な安全戦略です。

デメリット:寝返り期の窒息リスクと過熱

スワドルの最大の注意点は、寝返りが近づいた時期に使い続けることです。寝返りをしようとする力が出てくると、包まれていることで体勢の調整が難しくなり、うつ伏せ方向へ回った場合に窒息リスクが上がり得ます。AAP系の安全睡眠情報でも「寝返りの兆候が見えたら中止」が明確です。また、2026年の安全睡眠ガイドでは、重り付き(weighted)のスワドルや重りの使用を避ける注意も示されています。

もう一つが過熱(暑くしすぎ)です。赤ちゃんは体温調整が未熟で、着せすぎ・包みすぎが負担になります。安全睡眠の啓発でも、睡眠環境を整え、窒息につながり得る要因を減らす重要性が繰り返し示されています。

股関節に配慮が必要な理由(下半身は“ゆとり”が正解)

スワドルは上半身の落ち着きを目的にする一方、下半身をきつく固定すると股関節に負担がかかる可能性があります。国際股関節形成不全研究所(IHDI)は、股関節が健やかに発達するためには、脚が曲がって外に開ける(膝が外へ動く)余裕が必要だと説明しています。
さらに整形外科系の声明でも、脚を伸ばしてそろえたまま強く固定するような“きつい巻き方”はリスクになり得る点が示されています。

ここは誤解が多いポイントです。上半身は“ほどよく”、下半身は“ゆとり”。「下をきつくすればよく寝る」という発想は、安全面と発達面の両方で避けたほうが良い方向です。


スワドルを安全に使うためのルール

まず押さえる安全睡眠の前提(スワドル以前の土台)

スワドルの話に入る前に、睡眠の安全の土台があります。ここが整っていないと、道具の工夫だけで不安は消えません。

  • 寝かせるときは基本的に仰向け
    こども家庭庁のSIDS啓発では、医学的理由でうつ伏せ寝を勧められている場合以外は、顔が見える仰向けで寝かせることが推奨され、発症率が低いことが研究で示されています。

  • 寝具環境をシンプルにする
    日本小児科学会も、乳児の安全な睡眠環境の整備が窒息事故やSIDS予防に寄与するという観点から見解を示しています。細部の表現は社会実装上の配慮が必要だとしても、「事故を減らすために環境を整える」という方向性は共通しています。

つまり、スワドルを使う・使わない以前に、「仰向け+余計なものを置かない+暑くしすぎない」を守ることが核になります。

ルール1:寝かせ方は仰向けが基本

スワドルを使う場合も、寝かせる姿勢は仰向けが前提です。
「横向きで寝るから大丈夫」「すぐ戻すから大丈夫」といった運用は、夜間の疲労や一瞬の隙で崩れやすく、再現性の観点で危険です。仰向けを基本にし、赤ちゃんの顔と呼吸が確認しやすい状態を優先します。

また、寝る場所には柔らかいものや顔にかかる可能性のあるものを置かないことを意識します。枕、ぬいぐるみ、ふわふわの毛布、ゆるい布は、事故のリスクを増やし得ます。

ルール2:締めすぎない(“きついほど安心”ではない)

締めすぎは避けます。目安としては、胸やお腹まわりに指が入る程度の余裕を確保し、顔や首の近くに布がずり上がらない状態にします。
「泣く→締める→さらに泣く→さらに締める」というループは起きがちですが、ここで無理をすると安全性が下がります。泣く場合は、スワドルが合わない可能性も含めて見直します。

ルール3:下半身は“動ける余裕”を残す(股関節セルフ点検)

股関節の観点で重要なのは、「脚が曲がって外に動ける」ことです。家庭でのセルフ点検として、次を使うと判断しやすくなります。

OKの目安

  • 脚が自然に曲がり、膝が外へ少し開ける

  • 腰回りがすぼまらず、脚が軽く動く

  • お尻から太ももにかけて圧迫感が少ない

見直しサイン(NG寄り)

  • 脚がピンと伸びたまま固定される

  • 膝が閉じたまま動かしにくい

  • 下半身が細くすぼまって、脚をまとめて縛る形になる

IHDIや整形外科系情報が示す方向性は「脚を伸ばしてそろえて固定しない」。ここを守ると、製品選びも迷いにくくなります。

ルール4:暑くしすぎない(数字より“観察指標”で判断)

温度は地域差・住宅差が大きく、数字だけで断定するとかえって事故につながります。家庭では、次の観察が実用的です。

  • 首の後ろや背中が汗で湿っている → 着せすぎ・包みすぎを疑う

  • 顔が赤い、呼吸が荒い、いつもより落ち着かない → 過熱の可能性

  • 手足が少し冷たいだけで厚着にしない(体幹の熱さを優先)

  • スワドルを使うなら、掛け物を重ねない方向で調整する

「寒いかも」で増やすより、「汗をかいたら減らす」を優先したほうが安全に寄ります。

ルール5:寝返りの兆候が出たら中止(“できたら”では遅い)

やめどきは最重要です。AAP系の安全睡眠情報では、赤ちゃんが寝返りをしようとする兆候が見えたらスワドルを中止し、うつ伏せになったときの窒息リスクが高まる点が示されています。寝返りは一般に3〜4か月頃と言われますが、早い子はもっと前から“準備の動き”が出ます。

兆候の例

  • 体を強くひねる、横向きになろうとする

  • 足で蹴って体の向きが変わる

  • 肩が浮いて上体が回り始める

  • 寝姿勢が以前より不安定で、移動が増える

兆候が出たら「今夜だけ」は作らず、卒業へ切り替えます。

ルール6:重り付き(weighted)スワドルは避ける

近年、重り付きの商品が話題になることがありますが、AAP系の安全睡眠情報では重り付きスワドルや重りの使用を避ける注意が示されています。眠りのために“重さ”を足すのではなく、寝る前の流れ(暗さ・静かさ・一定の声かけ)や、スリーパーなどの代替で安全に整えるほうが望ましいです。

すぐ使える安全チェックリスト

  • 仰向けで寝かせる

  • 顔の周りに布・ぬいぐるみ・枕などを置かない

  • 首元がずり上がらず、呼吸を妨げない

  • 胸・お腹を締めすぎない(指が入る余裕)

  • 下半身はゆとり(脚が曲がって外に動く)

  • 汗・体幹の熱さで過熱をチェック

  • 寝返りの兆候が出たら中止

  • 重り付き(weighted)は避ける

  • 不安や基礎疾患がある場合は専門家へ相談


スワドルはいつまで?やめどきと卒業の進め方

やめどきは寝返りの兆候が出たら(観察で決める)

「何か月まで?」に答えを求めたくなるのは自然ですが、月齢だけで決めると個人差でズレます。安全の観点では、「寝返りを“しそうな動き”が出たら中止」が最も再現性が高いルールです。
寝返りが“できた日”を境にすると、その前の数日〜数週間が空白になりやすいからです。兆候を見たら卒業へ切り替える。これが迷いを減らします。

卒業の基本手順(段階移行)と、うまくいかない時の戻り方

卒業は、急にやめるより段階的に進めたほうがスムーズな子もいます。代表的な流れは次の通りです。

段階 何をする 目安 コツ
ステップ1 片腕を出す 数日〜1週間 寝る前の流れを固定する
ステップ2 両腕を出す 数日〜1週間 起きやすい日は早寝を意識
ステップ3 スワドルをやめてスリーパーへ 1週間〜 掛け物を足しすぎない

ここで大切なのは「戻り方」です。寝つきが崩れると、つい元に戻したくなりますが、寝返りの兆候があるならスワドル自体に戻らないほうが安全です。
代わりに、「段階を一つ戻して固定する(例:両腕出しで荒れたら片腕出しに戻す)」という戻り方を取ると、事故リスクを上げずに調整できます。

卒業後の代替:スリーパー(スリーピングバッグ)という選択

卒業後に困るのは、「手足が動いて起きる」「布団を蹴って冷える」「掛け物が顔にかかりそうで怖い」です。ここで役立つのがスリーパー(スリーピングバッグ)です。着るタイプなので掛け物がずれにくく、寝具環境をシンプルにしやすいのが利点です。
スワドルの代わりに“動きを止める”のではなく、“安全に温度を保つ”方向へ切り替えるイメージを持つと、卒業が楽になります。


スワドル選びで失敗しないポイント

タイプ別の特徴(買う前に知っておきたい違い)

スワドルにはいくつかのタイプがあります。目的は同じでも、家庭の運用と相性が違います。

タイプ 特徴 向く家庭 注意点
ブランケット型 布で巻く/自由度が高い 巻き方に慣れている ほどけ・顔周りへの布寄りに注意
ファスナー型 着せやすく再現性が高い 夜間対応が多い サイズ不一致で首元がずれないか
面ファスナー型 調整しやすい 体格差がある 留め方で締めすぎになりやすい
腕出し移行型 卒業を段階化しやすい 移行期の不安が強い 兆候が出たら拘束は減らす方向へ

「便利さ」は大事ですが、最優先は安全条件を満たしやすいかです。首元がずれにくい、下半身にゆとりがある、過熱しにくい素材——この順で見ると失敗が減ります。

サイズとフィット感(大きめで長く使う、は危険になりやすい)

大きめを買って長く使いたくなるのは自然ですが、スワドルは“サイズ不一致”が安全性に直結しやすい道具です。大きすぎると首元がずれたり、余った布が顔周りに寄るリスクが上がります。小さすぎると胸・お腹・股関節が圧迫されやすくなります。

購入前は次を確認すると実用的です。

  • 推奨身長・体重レンジが今の体格に合う

  • 首元が浮きにくい設計か(レビューで“ずり上がり”が多くないか)

  • 下半身がすぼまらず、脚が曲げやすい形か

素材と季節(暑い季節ほど“軽さ”が安全)

暑い季節や暖房の効いた室内では、通気性や吸湿性が重要です。
触った感じが気持ちよくても、熱がこもりやすい素材だと過熱につながります。汗をかきやすい子は、薄手・通気性の良い素材、洗ってすぐ乾くものを選ぶと運用が安定します。


よくあるつまずきと対処(トラブルシューティング)

着せると泣いてしまう

泣く理由は「合わない」「暑い」「締めすぎ」「眠いのにうまく入眠できない」など複数あります。まずは安全側に倒して確認します。

  • 首元が当たっていないか、布が顔に近づいていないか

  • 胸・お腹が締まりすぎていないか

  • 背中の汗、顔の赤さなど過熱サインがないか

  • そもそも抱っこや音、暗さが不足していないか

改善しても泣くなら、無理に続けず、スリーパー等の代替へ切り替えるのも合理的です。

夜泣きが増えた気がする(卒業期)

卒業期は一時的に眠りが崩れることがあります。その場合は「戻す」のではなく「整える」を優先します。

  • 寝る前の流れ(暗くする→静かに→同じ声かけ)を固定

  • 昼間の覚醒時間と刺激を適度に確保

  • 過熱・寒さを観察指標で微調整

  • 段階移行なら、段階を一つ戻して数日固定(ただし寝返り兆候があるなら拘束に戻らない)

おくるみと併用してもいい?

就寝時は“布が顔周りに来る可能性”があるものを増やすほど、管理が難しくなります。基本はシンプルにし、保温はスリーパーなど“ずれにくい方法”で行うのが安全寄りです。迷う場合は自治体の保健師や助産師に相談し、家庭環境に合った方法を決めるのが確実です。


よくある質問

腕は出すべき?出さないべき?

寝返りの兆候がない低月齢では、腕を包むことで落ち着く子もいます。ただし、兆候が出てきたら拘束は減らす方向で考えたほうが安全です。腕出し移行型や片腕出しなどで段階的に進めると、赤ちゃんも親も負担が減ります。

スワドルに慣れて、やめられなくなりませんか?

成長とともに自己調整が進むため、多くの場合は卒業できます。重要なのは、やめどきを“兆候”で判断し、安全側に切り替えることです。卒業が不安なら、スワドルからスリーパーへ「安心感の形を変える」移行が役立ちます。

いつから使ってよい?

低月齢から使われることが多い一方、赤ちゃんの体調や医療的背景で配慮が必要な場合もあります。早産・持病・呼吸や筋緊張の問題などがある場合は、小児科や助産師に相談してからのほうが安心です。

使ってはいけないケースはありますか?

一般論として、寝返りの兆候があるのに続ける、重り付き(weighted)を使う、下半身をきつく固定する、過熱が起きているのに続ける——は避けるべきです。判断に迷う場合は専門家へ相談してください。


参考にした情報源

こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」

https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids

日本小児科学会「乳児の安全な睡眠環境の確保について(ガイドライン/見解)」

https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=160

米国小児科学会(AAP)系:HealthyChildren.org「How to Keep Your Sleeping Baby Safe(安全睡眠)」

https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/sleep/Pages/a-parents-guide-to-safe-sleep.aspx

米国小児科学会(AAP)系:HealthyChildren.org「Swaddling: Is it Safe for Your Baby?」

https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/diapers-clothing/Pages/Swaddling-Is-it-Safe.aspx

International Hip Dysplasia Institute(IHDI)「Hip-Healthy Swaddling」

https://hipdysplasia.org/infant-child/hip-healthy-swaddling/

Pediatric Orthopaedic Society of North America(POSNA)「Swaddling Position Statement(PDF)」

https://posna.org/POSNA/media/Documents/Position%20Statements/Swaddling-Position-Statement_2015a.pdf