Steamゲームを起動するたびに、ライブラリを探してクリックして、ランチャーの待ち時間に付き合って――その数十秒が、毎回積み重なると意外に大きなストレスになります。配信前であれば、さらにDiscordやOBS、配信管理画面の準備まで重なり、「結局いつも同じ作業を繰り返している」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Stream DeckでSteamゲームをボタン一つで起動する方法を、確実性の高い順に「プラグイン」「steamプロトコル」「ショートカット/実行ファイル」の3方式で整理し、手順を具体的に解説いたします。さらに、押しても起動しない場合に備えて、権限・パス・Steam側設定・プラグイン不具合の順で迷わず潰せる切り分けチェックも用意します。
「とにかく最短で動かしたい」「特定のゲームだけ起動しない」「起動と同時に周辺ツールもまとめたい」――その悩みを、今日から“ワンタッチ運用”に変えるための設計図としてご活用ください。
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Stream DeckでSteamゲームを起動する全体像
できることとつまずきやすい点
Stream Deckは、任意のキーに「アプリ起動」「ファイルを開く」「URLを開く」「ホットキー送信」「テキスト貼り付け」「複数アクションの連続実行(マルチアクション)」などを割り当てられる入力デバイスです。Steamゲームの起動に適用すると、よく遊ぶタイトルを“1ボタン”で起動できるようになり、デスクトップ上のショートカット探索やSteamライブラリの検索を省略できます。配信を行う方であれば、ゲームの起動だけでなく、配信関連ツールの起動や、配信開始前のルーティンもまとめられるため、準備時間の短縮効果が大きくなります。
一方で、Steamゲームは一般的なアプリ起動よりもつまずきやすい領域があります。主な理由は次のとおりです。
Steam経由の起動が前提のゲームがある
ゲームの実行ファイル(exe)を直接起動しても、SteamのDRMやランチャー、依存コンポーネントの都合で正常起動しない場合があります。押したのに何も起きない、Steamだけ立ち上がってゲームが起動しない、ゲームが起動してもオンライン機能が使えない、などの症状が出ることがあります。起動対象の指定方法が複数ある
Stream Deck側は「Open(開く)」でexeやショートカット(lnk)を直接指定できますが、Steamゲームの場合は「steamプロトコル」を使ってSteamに起動を委譲する、あるいは「プラグイン」を使ってライブラリから選択して起動する、という別の経路が有効になることがあります。方式の選択を誤ると、動きにくくなります。権限(管理者実行)・フォーカス・起動順の影響が出やすい
Stream Deckソフトウェアの実行権限と、Steamやゲーム本体、関連ツール(アンチチート、ランチャー)の権限が合っていないと起動に失敗することがあります。また「起動したが手前に出ない」「起動後に自動切替が動かない」など、フォーカスや最小化状態が関係するケースもあります。
このため、本記事では「確実に動かしやすい順」で方式を整理し、さらに“動かないときの確認点”を体系化して、再現性のある運用に落とし込めるようにします。単に「こうしたら動きました」で終わらず、読者の環境差を吸収できるよう、判断基準と切り分け手順も含めて解説いたします。
おすすめの選び方
Stream DeckからSteamゲームを起動する方法は、大きく分けて次の3系統です。
プラグインで起動
Steamゲームの一覧から選んで起動できる仕組みが用意されていることが多く、ショートカット管理やパス指定の手間が減ります。運用面も整えやすく、最短で「一発起動」を実現したい場合に向きます。steamプロトコルで起動
steam://で始まるリンクを使って、Steamクライアントに「このゲームを起動して」と指示する方式です。Steam経由で起動しやすく、直exe起動に比べて成功率が上がることがあります。プラグインを増やしたくない場合にも有効です。ショートカット/実行ファイルで起動
最も基本的で、Stream Deck標準の「開く」だけで構成できます。ただしSteamゲームの種類や構成によっては直起動が不安定になりがちです。まずは手早く試したい場合や、動作するゲームだけに適用する割り切り運用で向きます。
迷う場合は、次の順で試すのが現実的です。
最短で安定化したい:プラグイン方式
軽量に構成しつつSteam経由を強めたい:steamプロトコル方式
まず動くかだけ早く試したい:ショートカット/exe方式
また、方式を選ぶ際に見落としやすい判断材料として、以下も押さえてください。
外部ランチャーの有無:ランチャーが別に立ち上がるゲームは、直exe起動よりSteam経由やプラグインの方が安定しやすい傾向があります。
アンチチートの有無:権限や起動順の影響が出やすいため、切り分け設計を重視してください。
起動後にやりたいこと:ゲーム起動だけでなく、Discord/OBS/ブラウザなども同時に起動するならマルチアクション前提で設計すると、後戻りが減ります。
Stream DeckでSteamゲームを起動する方法
プラグインで起動する方法
プラグイン方式は「起動対象の探索」と「起動の委譲」をプラグイン側が肩代わりしてくれるため、最短で“押せば起動する”状態に到達しやすいのが特長です。特に、Steamゲームを多数登録したい場合は、ショートカットを個別に作成して管理するより運用が軽くなります。
手順(導入から動作確認まで)
Stream Deckソフトウェアを最新版に近い状態へ整えます
プラグインはStream Deckソフトウェアのバージョンに依存する場合があります。導入前に更新しておくと、不要なトラブルを回避できます。Marketplace(またはプラグイン管理)から目的のプラグインを追加します
Steam起動を想定したプラグイン(例:ゲームランチャー系)を追加します。導入後、Stream Deckソフトウェアを再起動すると安定する場合があります。該当アクションを任意のキーへ配置します
“Steamゲーム起動”に相当するアクションをドラッグし、キーに割り当てます。ゲーム選択・表示名・アイコンの調整を行います
プラグインによってはゲーム一覧の選択、アイコン自動取得、表示名の編集が可能です。ここで「見分けやすさ」を優先して整えると、誤操作が減ります。起動テストを行い、失敗する場合は代替案へ切り替えます
ここで重要なのは、うまくいかない場合に“固執しない”ことです。プラグインは環境差の影響を受けることがあります。後述の「切り分け」を使って原因が読めない場合は、steamプロトコル方式に切り替えた方が早いこともあります。
運用上のコツ(プラグイン方式を長く安定して使うために)
キー配置は「カテゴリ→タイトル」の2段構造にする
いきなりタイトルを並べると数が増えたとき破綻しやすいです。1ページ目にカテゴリ(FPS/RPG/作業/配信)を置き、2ページ目以降にタイトルを置くと整理しやすくなります。失敗したら“同じアクションを別キーに置く”
設定が壊れているのか、アクション自体の不具合なのかを切り分ける簡易手段です。コピーして動くなら設定側、動かないならプラグイン側の可能性が上がります。必要以上にプラグインを増やさない
Stream Deckはプラグインが増えるほど競合や更新差分の影響が出やすくなります。Steam起動に使うプラグインは原則1系統に寄せ、ほかは標準アクションで代替する方が安定しやすいです。
steamプロトコルで起動する方法
steamプロトコル方式は、Steamクライアントに対して「指定したゲームを起動する」命令を送る発想です。Steam側が起動処理の中心になるため、直exe起動で起こりやすい“依存関係の抜け”や“Steam経由でないことによる不整合”を避けられる場合があります。プラグインが不安定な環境でも、プロトコルは比較的シンプルに動作することが多い点も利点です。
設計の考え方
Stream Deckは「リンク(URL)」または「開く」対象として
steam://...を呼び出します。Steamクライアントが受け取り、対象ゲームの起動を実行します。
ゲーム側で起動オプションが必要であれば、基本はSteamのゲームプロパティ側で管理します(運用が安定しやすいためです)。
手順(Stream Deck側の作成フロー)
新しいキーを選び、URLを開く系のアクションを配置します
Stream Deckの標準アクションで「URLを開く」「開く」等、リンクを受け付けられるものを選びます。環境によって名称は異なる場合がありますが、要点は「クリックでリンクを呼び出せる」ことです。起動先としてsteamプロトコルを設定します
ここでは具体的なリンク形式が問題になります。重要なのは、まず1つだけ作って動作確認し、動いた形式を自分のテンプレートとして固定することです。形式を増やし始めるのは、動作確認後が安全です。動作確認を行い、Steamが未起動でも起動できるかを見ます
Steam未起動でも起動できる場合、ボタンから起動までが滑らかになります。一方で、環境やSteam設定によってはSteamが先に起動してからゲームが起動する形になることもあります。表示名・アイコンを整え、同様にほかのゲームへ展開します
展開時は「同じ作り方・同じ形式」で統一することがポイントです。バラバラにすると、後日トラブル時に原因特定が難しくなります。
steamプロトコル方式が向くケース
プラグイン導入を最小限にしたい
直exe起動だと失敗するタイトルが多い
Steam経由を強めて起動の整合性を保ちたい
起動オプションはSteam側で一元管理したい
ショートカットと実行ファイルで起動する方法
ショートカット/exe方式は、Stream Deckの標準機能だけで完結しやすく、導入コストが低い方法です。まず“動くかどうか”を確認したい場合や、Steam以外のアプリ起動と同じ操作感で揃えたい場合に適します。
ただし、Steamゲームは「実行ファイルを起動すれば終わり」とはいかないことがあるため、基本はショートカット(lnk)を経由し、可能であればSteamに紐づく起動経路に寄せるのが無難です。
手順(Windows想定:再現性を高めるための流れ)
ショートカットを用意します
デスクトップに作る
もしくは「Steamゲーム用」フォルダを作り、そこにまとめる(おすすめ)
フォルダにまとめると、ゲームの再インストールやショートカット再作成の際に管理が楽になります。
Stream Deckの「開く」アクションを配置します
任意のキーへ「開く」を割り当てます。開く対象にショートカット(lnk)を指定します
ここで実行ファイル(exe)を直接指定するより、ショートカットを指定した方が安定するケースがあります。まずはlnkから試す方針が安全です。必要に応じて開始位置(作業ディレクトリ)を設定します
一部のゲームやツールは、開始位置が正しくないと設定ファイルや依存ファイルの読み込みで失敗する場合があります。問題が出た場合は、開始位置の指定を疑ってください。動作確認を行い、問題がある場合は方式を切り替えます
直exe/lnk方式で詰まった場合に、切り分けに時間をかけすぎるのは非効率です。Steamゲームで失敗するなら、steamプロトコル方式やプラグイン方式へ寄せた方が早期に安定化できます。
この方式が向くケース
まずは少数タイトルだけ登録したい
Steamゲーム以外(Discord/OBS/ブラウザ)も同じ設計で統一したい
“動くタイトルだけ”の割り切り運用ができる
プラグインに依存したくない
方式別比較表
| 方式 | 確実性 | 難易度 | 拡張性 | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|---|
| プラグインで起動 | 高め | 低〜中 | 高 | タイトルが多い、整理もしたい、最短で安定化したい |
| steamプロトコルで起動 | 中〜高 | 中 | 中 | Steam経由で起動したい、プラグインを増やしたくない |
| ショートカット/exe起動 | 低〜中 | 低 | 中 | まず試す、少数登録、動くゲームだけ運用 |
※確実性は「一般的な環境での成功率」という観点での目安です。外部ランチャーやアンチチート、OS/権限設定によって上下します。
Stream DeckでSteamゲームを起動できない時の確認
ここでは、実際に起こりやすい症状を想定し、優先度の高い順で確認していきます。ポイントは「一気に全部を疑う」のではなく、戻りやすい箇所から順に潰すことです。これにより、最短距離で原因へ到達しやすくなります。
権限と管理者実行の確認
Steamやゲーム、関連ツールが管理者実行になっている場合、通常権限で動いているStream Deckからの起動が阻害されることがあります。逆に、Stream Deckを管理者実行にすると、通常権限のアプリとの連携に影響が出る場合もあります。したがって、権限は「常時変更」ではなく、切り分けのための一時的な変更として試すのが基本方針です。
確認手順(短い順)
Stream Deckソフトウェアを管理者として実行し、起動できるか
これで改善するなら、権限差が原因の可能性が上がります。
Steam自体が管理者実行になっていないかを確認します
Steamだけ管理者実行、Stream Deckは通常、という差があると問題が出ることがあります。
ゲーム本体やランチャーが管理者実行を要求していないかを確認します
特定のゲームでのみ発生する場合は、ゲーム側の要求が疑わしいです。
チェックリスト(権限周り)
Stream Deckを管理者実行で試した
Steamの実行権限を確認した
ゲーム/ランチャーの実行権限を確認した
セキュリティソフトが起動をブロックしていないか確認した
可能なら“全て通常権限に統一”して挙動を見た
権限はセキュリティに直結しますので、常時の管理者実行に頼るのではなく、最終的には「通常権限で成立する方式(プロトコル/プラグイン等)に寄せる」方が安定しやすい傾向があります。
パスとショートカットの確認
ショートカット/exe方式で動かない場合、原因は“指定ミス”が最も多いです。Steamゲームは再インストールやライブラリ移動でパスが変わることも多いため、固定パス前提の運用は壊れやすくなります。
よくある原因
ショートカットがリンク切れになっている
Steamライブラリの移動で実行ファイルの場所が変わった
exeを直接指定しており、起動時に必要な引数や起動経路が欠けている
開始位置(作業ディレクトリ)が適切でなく、起動直後にクラッシュする
チェックリスト(パス周り)
Stream Deckで指定したファイルは実在する
ショートカットをダブルクリックすれば起動する
できればexe直指定ではなくlnk指定で試した
開始位置を設定/未設定で比較した
Steamを先に起動した状態と、未起動の状態で比較した
ここで重要なのは「ショートカット単体が動くか」を先に確認することです。ショートカット単体が動かないなら、Stream Deckの設定以前の問題であり、修正箇所が明確になります。
Steam側の設定と起動オプションの確認
起動オプション(例:言語、レンダラ指定、VR関連、起動パラメータなど)を利用している場合、オプション自体が原因で起動に失敗している可能性があります。特に、環境を変えた直後(GPU更新、解像度変更、MOD導入など)に問題が出た場合は疑う価値があります。
確認の進め方
まず起動オプションを一時的に空にして起動できるか確認します
これで起動できるなら、起動オプションが原因である可能性が高いです。オプションを1つずつ戻して再現性を確認します
まとめて戻すと原因特定が困難になります。オプションを積み上げる運用は、トラブル時の切り分けが容易です。Steam側で管理するか、Stream Deck側で渡すかを統一します
「Steam側に書いたのか、Stream Deck側の引数なのか」が混ざると、後日修正が難しくなります。基本はSteam側のゲームプロパティで一元管理し、Stream Deckは“起動トリガー”に徹する設計が分かりやすいです。
チェックリスト(Steam側)
起動オプションを外すと起動する
オプションを1つずつ戻して再現確認した
Steamのゲームファイル整合性チェック等、基本的な復旧手段を試した
Steamクライアント自体を再起動して比較した
プラグイン側の不具合切り分け
プラグイン方式が動かない場合、原因が「プラグイン設定」「Stream Deck本体/ソフト」「Steam側」「OS側」と多岐にわたります。そのため、闇雲に設定を触るより、再現性のある“切り分け”が重要です。
切り分けの基本手順
同じプラグインの別アクション(別キー)で再現するか確認します
これで再現するなら、キー単位の設定破損よりもプラグイン側の問題が疑われます。Stream Deckソフトウェアを再起動します
プラグイン周りは再起動で復旧することがあります。まずは最短で試せる手段から実行します。Steamを先に起動してから試します
Steam未起動状態でプラグインが期待通りに動かない場合、先にSteam起動で回避できることがあります。プラグインを再インストールします
設定を控えたうえで再インストールし、挙動が改善するか確認します。代替方式へ切り替えます(steamプロトコル)
プラグイン固有の不具合や環境依存が疑われる場合、粘り過ぎるよりプロトコル方式へ切り替えた方が、全体として早く安定します。
チェックリスト(プラグイン)
別キーでも同様に失敗する
Stream Deckソフトを再起動した
Steam先起動で改善するか確認した
プラグイン再インストールを試した
それでも不安定ならsteamプロトコルへ切り替えた
Stream DeckでSteamゲーム起動を便利にする運用
この章では「起動できる」状態から一段進めて、使い続けても破綻しない運用設計を作ります。タイトル数が増えるほど、整理術と自動切替の有無が快適性を左右します。
プロファイル自動切替の設計
プロファイル自動切替は、アクティブなアプリ(フォーカス)に応じてStream Deckの表示やボタン割り当てを切り替える運用です。Steamゲームの起動ボタンは“起動前”に使い、ゲーム中は“ゲーム中に必要な操作”に切り替えることで、ページ移動や探し物が減り、操作ミスも減ります。
設計例(配信も想定)
起動用プロファイル
Steamゲーム起動、配信ツール起動、ブラウザ起動、Discord接続など「開始前」操作を集約。ゲーム中プロファイル
マイクミュート、BGM、シーン切替、録画開始/停止、スクリーンショット、チャット定型文など「プレイ中」操作を集約。休憩・雑談プロファイル
休憩画面、BGM切替、タイマー、SNS投稿、クリップ作成など。
つまずきを減らすポイント
自動切替が効かない場合、Stream Deckソフトが“前面”に残っていることが原因になる場合があります。設定時と運用時で状態(最小化等)を揃えると、安定しやすくなります。
対象アプリ(ゲームexe、ランチャー、Steamなど)をどれに紐づけるかで切替のタイミングが変わります。まずは「確実に前面になるアプリ」に紐づけて成立させ、慣れてから最適化すると安全です。
マルチアクションで起動手順をまとめる
Steamゲーム起動を“便利”にする最大の手段がマルチアクションです。ゲーム単体の起動はもちろん、配信やボイスチャット、録画、BGM、照明制御なども一括で整えると、起動のたびに同じ操作を繰り返す必要がなくなります。
代表的なマルチアクション例
ゲーム起動 → Discord起動 → OBS起動 → ブラウザで配信管理画面を開く
ゲーム起動 → 一定時間待機 → 必要なホットキー送信(ウィンドウ操作)
Steam起動 → 待機 → ゲーム起動(Steam未起動対策)
設計のコツ(安定性を優先)
起動順を固定します
依存関係があるもの(Steam→ゲーム、OBS→プラグイン連携等)は前に置きます。待機(Delay)を適切に入れます
起動直後のCPU/ディスク負荷が高いと、次のアクションが失敗することがあります。数秒の待機で安定するケースは多いです。失敗しても被害が小さい並びにします
例えば「配信開始」相当の操作を最後に置くなど、誤爆や失敗時の影響を下げます。“停止ボタン”も用意します
起動ボタンが便利になるほど、逆に「終了」「ミュート解除」「BGM停止」などの復旧ボタンが重要になります。運用の安全装置として、同じページに配置するとよいです。
アイコンとページ構成の整理術
タイトル数が増えると、快適性は「起動方式」よりも「整理」に左右されます。ここでは破綻しない設計を提示いたします。
ページ設計の基本
1ページ目は“頻出”に限定します
すべてを並べると探す時間が増えます。1ページ目は直近で使う5〜10個に絞るのが現実的です。カテゴリページを設けます
“FPS”“RPG”“パーティ”“作業”“配信”など、自分の利用実態に合わせたカテゴリを作り、2ページ目以降にタイトルを配置します。フォルダを使いすぎない
フォルダは便利ですが、階層が深いと逆に遅くなります。階層は1段までを目安にすると迷いが減ります。
アイコンとラベルの考え方
見分けやすさを最優先:公式ロゴにこだわり過ぎず、似たアイコンが並ぶ場合は色や記号で差を付けます。
ラベルは短く:長い文字は読みにくく、誤操作の原因になります。
起動方式を揃える:同一カテゴリ内のタイトルは、可能な範囲で同じ方式(プラグイン/プロトコル/ショートカット)に統一すると、後日の保守が楽になります。
Stream DeckでSteamゲームを起動する際の注意点
セキュリティと権限の注意
Stream Deckは「ボタン1つで多くのことができる」ため、便利さと引き換えにセキュリティ・権限面の設計が重要になります。特に注意したいのは次の点です。
管理者実行の常用は避ける
切り分けとしては有効ですが、常用すると、通常権限のアプリとの整合性やセキュリティリスクが増える可能性があります。最終的には通常権限で成立する方式へ寄せるのが安全です。機密性の高い操作を割り当て過ぎない
パスワード入力、決済操作、重要な管理画面への直接アクセスなどをボタンに集約すると、誤操作や第三者操作のリスクが上がります。割り当てる場合は、ページを分ける、誤爆しにくい位置に置く等の対策が必要です。プラグインは必要最小限にする
プラグインは便利ですが、更新や互換性、環境差の影響を受けます。Steamゲーム起動に関しては、プラグインに寄せるか、プロトコルに寄せるか、方針を決めて統一すると安定します。
外部ランチャーとアンチチートの注意
Steamゲームは、ゲーム本体以外に外部ランチャーやアンチチートが介在することがあります。これらは起動順や権限の影響を受けやすく、次のような現象が起きがちです。
Steamは起動するがゲームが起動しない
ランチャーは出るが、その先に進まない
ゲームは起動するがオンライン機能が正常に動かない
起動後に画面が前面に来ない、プロファイル自動切替が効かない
この領域は「直exe起動で解決する」よりも、「Steamに起動を委譲する」方式(プラグイン/steamプロトコル)が有利になりやすいです。どうしても直起動が必要な場合は、起動順・待機・権限統一を軸に調整し、再現性が出るまで“変更点を1つずつ”試すことが重要です。
Stream DeckでSteamゲーム起動のよくある質問
AppIDの調べ方は?
AppIDはSteam側でゲームを識別するための番号で、steamプロトコル方式を整理する際に役立つ場合があります。一般的には、SteamストアページのURLやゲーム情報から確認できます。
ただし、本記事の方針としては「AppIDが必要な方式に寄せる前に、まず動く方式を1つ確立する」ことを推奨いたします。AppIDの調査に時間をかけるより、プラグイン方式や既存のショートカット方式で成立させ、必要に応じて整理段階でAppID方式へ移行する方が、全体の工数が少なくなることが多いです。
起動オプションはどこに書く?
起動オプションは、基本的にSteam側のゲームプロパティで管理するのが分かりやすく、運用も安定しやすいです。Stream Deck側で引数として渡す方法もありますが、方式が混在すると「どこで設定したか」が追いにくくなります。
したがって、次のルールで統一すると保守性が上がります。
起動オプション(ゲーム固有のパラメータ)=Steam側で一元管理
起動トリガー(押して起動する動線)=Stream Deck側で統一
起動後の周辺ツール起動=Stream Deckのマルチアクションで管理
クリックしても反応しない時は?
反応がない場合は、原因が「指定ミス」「権限差」「起動経路不適合」「プラグイン不調」に大別されます。次の順で確認すると、最短で原因に近づきやすいです。
ショートカット単体が動くか(ダブルクリックで起動するか)
Steamを先に起動してから押すと変化があるか
Stream Deckを管理者実行で試すと変化があるか(切り分け目的)
方式を切り替える(ショートカット→プロトコル、プラグイン→プロトコル等)
特に、Steamゲームは“方式を変えたら即解決”することが珍しくありません。設定の深追いをする前に、代替方式で成立させる判断が有効です。
ゲーム起動後に別アプリも起動したい
この要件は、マルチアクションでまとめるのが最適です。設計は「依存関係」と「待機」を意識してください。おすすめの並び例は次のとおりです。
Steam(未起動対策として必要なら)
ゲーム起動(プラグインまたはプロトコル)
Discord起動(ボイスチャット)
OBS起動(配信/録画)
ブラウザで管理画面を開く
待機(数秒)
必要ならホットキー送信(シーン切替等)
最後に、復旧用として「全部終了」「BGM停止」「マイク状態リセット」などのボタンも同ページに置くと、運用事故が減ります。
まとめ
Stream DeckからSteamゲームを起動する方法は、主に「プラグイン」「steamプロトコル」「ショートカット/実行ファイル」の3方式に整理できます。安定性と再現性を重視する場合は、まずプラグイン方式で最短起動を作り、環境差や不安定さが出る場合はsteamプロトコル方式へ切り替えるのが合理的です。ショートカット/exe方式は導入が簡単ですが、ゲーム構成によっては失敗しやすいため、動作するタイトルに限定して使う、または起動経路をSteamに委譲できる方式へ寄せるのが無難です。
また、起動できない場合は「権限」「パス」「Steam側設定」「プラグイン不具合」の順で切り分けると、短時間で原因へ到達しやすくなります。成立後は、Smart Profiles(プロファイル自動切替)とマルチアクションを前提に運用設計を行い、ゲーム起動だけでなく周辺ツール起動や配信準備まで一括化すると、Stream Deckの投資対効果が大きくなります。
次に取るべき行動としては、以下をおすすめいたします。
まずは1タイトルで「確実に動く方式」を確立する(プラグイン→プロトコル→ショートカットの順)
動いた方式をテンプレート化し、同じ作り方で横展開する
起動しないタイトルは深追いし過ぎず、方式を切り替えて成立させる
運用が増えたら、ページ設計と自動切替で“探す時間”を削減する
仕様変更やアップデートで挙動が変わる可能性があるため、更新後は代表キーで動作確認する
