Steamでゲームを起動した際に、
毎回サブモニター側でフルスクリーン表示されてしまう
ノートPCの画面にだけ表示され、外部モニターで遊べない
ゲームによって表示されるモニターがバラバラになる
といったお困りごとは、デュアルモニター環境のユーザーに非常によく起こります。
本記事では、
「なぜサブモニターに表示されるのか」→「どうすれば狙ったモニターに表示できるのか」
を、以下の3つのレイヤーに分けて体系的に解説いたします。
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基礎知識:メインモニターとサブモニターの仕組み
Windowsの「メインディスプレイ」とは何か
まず押さえるべきポイントは、Windowsが扱う「メインディスプレイ」の概念です。
メインディスプレイには、通常次のような特徴があります。
タスクバーやスタートメニューが表示される
ログイン画面や一部のダイアログが優先的に表示される
多くのフルスクリーンゲームが、このメインディスプレイを優先して表示される
そのため、「意図しないモニターにゲームが表示される」場合、メインディスプレイの設定が原因であることが非常に多いです。
拡張・複製・表示位置(座標)の考え方
マルチディスプレイ環境には、代表的に次の表示モードがあります。
拡張:
複数のモニターを横に連結し、1つの広いデスクトップとして扱うモード複製:
すべてのモニターに同じ画面を表示するモード
ゲーム+作業、ゲーム+配信などを行う場合は、基本的に「拡張」を使用します。
拡張モードでは、各モニターに「座標」が割り当てられます。例えばフルHDモニターを2枚、横並びで使用している場合:
左モニター:X座標 0〜1919
右モニター:X座標 1920〜3839
といった形で扱われます。
起動オプションで -x 1920 のように指定すると、「右側モニターにウィンドウを出す」というイメージになります。
まず確認したいWindows側のディスプレイ設定
メインディスプレイの確認と変更手順(Windows 10/11 共通)
最初に必ず確認していただきたいのが、メインディスプレイの設定です。
手順は次のとおりです。
デスクトップの何もない場所で右クリックします。
「ディスプレイ設定」をクリックします。
「ディスプレイの配置」で、1・2・3…と表示されたうち、
ゲームを表示したいモニターをクリックします。画面下側にある「これをメインディスプレイにする」にチェックを入れます。
必要に応じて「適用」を押します。
これで、選択したモニターがメインディスプレイになります。
多くのSteamゲームは、このモニターでフルスクリーン表示されるようになります。
メインディスプレイに向いているモニター例
| 条件 | おすすめモニター | 理由 |
|---|---|---|
| ゲームを最優先に遊びたい | 高リフレッシュレートのゲーミングモニター | 入力遅延が少なく、映像が滑らか |
| 作業効率も重視したい | 高解像度モニター | 画面領域が広く、複数ウィンドウを並べやすい |
ノートPC+外部モニターの場合、外部モニターでゲームを行うことが多いなら、外部モニターをメインディスプレイに設定しておくと便利です。
デュアルモニターの配置・解像度・リフレッシュレートを揃える
同じ「ディスプレイ設定」の画面で、次の点も確認してください。
モニターの配置
モニターのアイコン(1・2など)をドラッグして、実際の物理配置どおりに並べる
解像度
各モニターを「推奨」の解像度に設定する
リフレッシュレート
ゲーミングモニターは、120Hz / 144Hz / 240Hz などの設定が有効になっているか確認
これらが極端にアンバランスだと、ゲーム側が特定のモニターを優先してしまう場合があります。
ショートカットでウィンドウをモニター間移動する方法
「とりあえず今表示されているゲームを別のモニターへ移動したい」という場合、
Windowsのショートカットが大変便利です。
代表的なショートカットは以下です。
| 操作 | ショートカットキー | 用途 |
|---|---|---|
| ウィンドウを別モニターへ移動 | Win + Shift + ← / → | ゲームウィンドウを左右のモニターへ即座に移動 |
| フルスクリーン⇔ウィンドウ切替 | Alt + Enter | フルスクリーン解除・再適用(対応タイトルのみ) |
| 表示モード切替 | Win + P | 拡張/複製/セカンドスクリーンのみ等を切り替え |
特に、
「Alt + Enterで一度ウィンドウにする → Win + Shift + 矢印でモニターを移動 → Alt + Enterでフルスクリーンに戻す」
という操作は、多くのゲームで有効です。
Steam側の設定で表示モニターをコントロールする
Steamクライアントの表示モニター設定(インターフェース)
Steamのウィンドウ自体が表示されるモニターも、ある程度制御できます。
Steamを起動します。
左上の「Steam」メニュー → 「設定」を開きます。
「インターフェース」タブを選択します。
「Steamを起動するモニター」等の項目がある場合、希望のモニターを選択します。
この設定は主として「Steamクライアントのウィンドウ位置」に影響しますが、
環境によっては、ゲーム起動時の挙動にも関係する場合があります。
Big Pictureモードでターゲットモニターを指定する
コントローラー操作向けのBig Pictureモードを利用している場合は、
こちらにも表示モニター設定があります。
Steam右上のアイコンから「Big Pictureモード」を起動します。
右上の歯車アイコン(設定)を開きます。
「ディスプレイ」や「表示」メニューから、ターゲットモニターを選択します。
リビングのテレビなどに接続して遊ぶ場合は、ここでテレビ側を指定しておくと安定します。
ゲームの起動オプションでモニターや座標を指定する
一部のゲームでは、Steamの「起動オプション」でモニターや位置を制御できます。
Steamライブラリで対象ゲームを右クリックします。
「プロパティ」をクリックします。
「起動オプション」欄にオプションを入力します。
代表的なオプション例は以下です。
| オプション | 効果 | よくある用途 |
|---|---|---|
-windowed | ウィンドウモードで起動 | モニター間へドラッグしたい場合 |
-noborder | 枠なしウィンドウ(ボーダーレス風) | 擬似フルスクリーンでマルチモニターを活用 |
-x 1920 -y 0 | ウィンドウ左上の座標を指定 | 右側モニターに最初から表示したい場合 |
-adapter 1 / -monitor 1 | 使用するモニター番号を指定 | 2台目モニターに固定したい(一部ゲームのみ有効) |
-adapter や -monitor は、対応していないゲームも多い点にご注意ください。
試した上で効果がなければ、Windowsやゲーム内設定側で対応する必要があります。
ゲーム内設定から表示モニターを変更する方法
フルスクリーン/ボーダーレス/ウィンドウモードの違い
多くのゲームでは、画面モードとして以下の3種類が用意されています。
| モード | 特徴 | マルチモニターとの相性 |
|---|---|---|
| フルスクリーン | 専用モードで描画。遅延が少ないことが多い | メインモニターに固定されがち |
| ボーダーレス | 枠なしウィンドウ。デスクトップと同じ扱い | Alt+Tabに強く、マルチモニター向き |
| ウィンドウ | 枠付きのウィンドウ表示 | モニター間ドラッグがしやすい |
マルチモニターでの運用には、
「ウィンドウ → ボーダーレス」の組み合わせが扱いやすいケースが多くなります。
「ウィンドウで起動 → ドラッグ → Alt+Enter」でサブに固定する手順
実際の利用者がよく行っている、シンプルかつ汎用性の高い手順をご紹介します。
ゲームを起動し、設定画面から「ウィンドウモード」に切り替えます。
ウィンドウ化されたゲーム画面を、マウスでサブモニターへドラッグします。
サブモニター上で、
Alt + Enterを押してフルスクリーン(またはボーダーレス)に切り替えます。
この状態で終了すると、次回起動時もサブモニター側で立ち上がるゲームも多く存在します。
ただし、位置を記憶しないタイトルもあるため、ゲームごとの差異にはご注意ください。
ゲームオプションで出力ディスプレイを選べるタイトルの例と注意点
近年のPCゲームでは、グラフィック設定に次のような項目が用意されていることがあります。
「ディスプレイ」
「モニター」
「出力先」
ここで、
ディスプレイ1(1920×1080 144Hz)
ディスプレイ2(1920×1080 60Hz)
などの表示がされる場合は、ゲーム内で明示的に出力モニターを選択できます。
注意点としては、
ランチャーとゲーム本体で設定が分かれているタイトルがある
ウィンドウモードとフルスクリーンモードで、設定が別々に保存される場合がある
といった点が挙げられます。両方を確認することを推奨いたします。
目的別:よくある3つのケースと最適な解決ルート
ケース1:勝手にサブモニターで起動するのをメインに戻したい
最も多いケースがこちらです。
推奨する対処の順番
Windowsで「メインディスプレイ」をゲーム用モニターに設定する
ゲームをウィンドウ化し、メインモニター上でフルスクリーンに戻す
Steamの起動オプションに、モニター指定が残っていないか確認する
チェックリスト
ゲーム用モニターに「これをメインディスプレイにする」が設定されている
ゲームがボーダーレスウィンドウで、サブ側に固定されていない
起動オプションに
-adapter/-monitorなどが残っていない
これらを順に確認することで、多くのケースは解決可能です。
ケース2:サブモニターで常にゲームを起動したい
「作業用がメイン、ゲームはサブで遊びたい」というニーズも多くあります。
代表的な方法
方法A:サブモニターを一時的にメインディスプレイに設定する
方法B:起動オプションで座標やモニターを指定する(対応タイトルのみ)
方法C:Big Pictureモードでサブモニターをターゲットに設定する
簡易比較表
| 方法 | 手軽さ | 安定性 | 他アプリへの影響 |
|---|---|---|---|
| A | 高い | 非常に高い | タスクバーなどもサブ側に移動してしまう |
| B | 中 | ゲーム依存 | 他アプリへの影響は小さい |
| C | 中 | 高い | Big Picture利用時に有効 |
作業時にはメインモニターを戻したい場合、
「ゲーム時だけサブをメインにする」運用+ショートカットツールなどの併用も有効です。
ケース3:ゲームごとに起動するモニターを分けたい
「Aのゲームはメイン、Bのゲームはサブ」といった使い分けをしたい場合は、
次のような考え方がおすすめです。
Steamの起動オプションをゲームごとに設定する
ゲーム内でディスプレイ選択が可能なタイトルは、そこで明示的に設定
どうしても制御できないゲームのみ、Windowsのメインディスプレイ切り替えで対応
頻繁に遊ぶタイトルだけ詳細な設定を行い、
それ以外は「メインディスプレイに従わせる」と割り切ると管理が容易になります。
トラブルシューティングとチェックリスト
それでも直らないときに確認したい5つのポイント
上記の方法でも改善しない場合は、下記を順にご確認ください。
グラフィックドライバ(NVIDIA / AMD / Intel)が最新になっているか
モニター側の入力切替(HDMI / DisplayPortなど)が正しく選ばれているか
各モニターの解像度・リフレッシュレートが極端な組み合わせになっていないか
USB-Cドック・変換アダプタ使用時に、他のポート・ケーブルで改善しないか
ゲームの設定ファイルを初期化しても同じ現象が出るか
これらを確認することで、「設定の問題」か「機器やドライバの問題」かを切り分けやすくなります。
よくある失敗パターンとリセット方法
典型的な失敗例と、復旧方法は次のとおりです。
すべてのモニターが真っ暗になった
→ キーボードで
Win + Pを押し、「PC画面のみ」「拡張」などを順に選択して戻す
ゲーム内で非対応解像度を選んでしまい、画面が映らない
→ ゲームの設定ファイルを削除して初期化、もしくはセーフモード起動を利用する
起動オプションを入れすぎて起動しなくなった
→ Steamプロパティ画面で、起動オプション欄を空欄に戻す
問題が起きたら、「どこを変更したか」を思い出し、そこから1つずつ戻すことが重要です。
ゲームやドライバ更新時に再発したときの対処フロー
アップデート後にモニター挙動が変わるケースもよくあります。
その場合の簡易フローは以下です。
Windowsのメインディスプレイ設定を確認
ゲームの画面モード(フルスクリーン/ボーダーレス/ウィンドウ)を確認
Steamの起動オプション・Big Picture設定を再確認
グラフィックドライバの更新履歴・再インストールを検討
この順番で見直せば、原因の多くは特定できます。
応用:デュアルモニターでゲーム+作業・配信を快適にするコツ
サブモニターに攻略サイト・ブラウザ・Discordを表示する
デュアルモニターの大きなメリットは、
「ゲーム画面を消さずに他の情報を確認できる」点にあります。
例えば、次のようなレイアウトが便利です。
メインモニター:ゲーム画面(ボーダーレスウィンドウ)
サブモニター:
攻略サイトやWiki
Discord / チャットツール
音楽プレーヤー
ゲームをボーダーレスウィンドウにしておけば、Alt+Tabを多用しても画面が乱れにくく、
マルチタスクとの相性が良くなります。
配信ソフト(OBS等)との組み合わせ方の基本
配信を行う場合は、下記のような構成が分かりやすく一般的です。
メインモニター:ゲーム画面(キャプチャ対象)
サブモニター:OBS、コメントビューアー、音量ミキサーなど
この構成では、次の点に注意すると安定しやすくなります。
配信中にディスプレイ設定を大きく変更しない
ゲームの画面モードを、事前に安定するものに決めておく(例:ボーダーレス)
起動オプションなどは、配信前にテストしておく
一度安定した構成が決まったら、その状態をメモやスクリーンショットで残しておくと再現しやすくなります。
マルチモニター運用時の負荷と快適性のバランス
モニターの枚数や解像度が増えるほど、GPUやPCへの負荷は高くなります。
特に以下の場合は注意が必要です。
4Kモニター+フルHDモニターなど、高解像度を複数接続している
144Hz以上の高リフレッシュレートを複数モニターで使用している
フレームレートを優先したいゲームでは、
不要なウィンドウを閉じる
サブモニターのリフレッシュレートを下げる
解像度を少し下げる
といった調整で、快適性とパフォーマンスのバランスを取ることが重要です。
FAQ:よくある質問
すべてのSteamゲームで起動モニターを指定できますか?
いいえ、すべてのゲームで完全に指定できるわけではありません。
-adapterや-monitorオプションが有効なものゲーム内からディスプレイを選択できるもの
など、対応しているタイトルについては細かく制御できますが、そうでないゲームは「メインディスプレイに従う」挙動になることが多いです。
そのため、どうしても制御できない場合は、Windows側でメインディスプレイを切り替える方法が現実的です。
ノートPC+外部モニターの場合の優先順位は?
ノートPCと外部モニターを併用する場合、次の2点を優先して考えると分かりやすくなります。
ゲームを表示したいのはどちらの画面か?
日常的な作業(ブラウジング・メール等)はどちらで行いたいか?
ゲームを主に外部モニターで行う場合は、外部モニターを「メインディスプレイ」に設定し、
ノートPCの内蔵画面をサブとして扱う運用がおすすめです。
ケーブルや端子の違い(HDMI / DisplayPort)で挙動は変わりますか?
基本的には、端子の違いだけで「メインになるかどうか」が決まるわけではありません。
ただし、
GPUやモニターによって、特定のポートが内部的に優先される場合がある
高リフレッシュレートや高解像度が、端子の種類によって制限される場合がある
といった要素から、結果的に挙動が変わるケースはあります。
問題が疑われる場合は、別のケーブルやポートを試すことで改善する可能性があります。
まとめ:自分の環境に合った「モニター切り替え術」を身につける
本記事の要点のおさらい
ゲームがサブモニターに表示されてしまう原因の多くは、
「Windowsのメインディスプレイ設定」と「ゲームの画面モード」の組み合わせにあります。設定を確認する際は、
Windows
Steam(起動オプション・Big Picture)
ゲーム内設定
の3レイヤーで整理して考えることが重要です。
キーボードショートカットや起動オプションを活用することで、
一時的な移動から恒久的な固定まで、柔軟な運用が可能になります。
次に取るべき具体的なアクション
ディスプレイ設定を開き、メインディスプレイがどのモニターか確認する
問題のゲームを起動し、
画面モード(フルスクリーン/ボーダーレス/ウィンドウ)
ウィンドウ位置(ドラッグ+Alt+Enter)
を試す
さらに制御したい場合は、Steamの起動オプションやBig Pictureの設定で微調整する
この3ステップを実施いただくことで、
多くの「Steamゲームがサブモニターに表示されてしまう」問題は解決に近づきます。
環境変更・アップデート時の注意点
モニターの増設・交換や、OS・ドライバ・ゲームのアップデート後には、
設定がリセットされる場合があります。
その際は、
メインディスプレイ設定
ゲームの画面モード
Steamの起動オプション・Big Picture設定
の3点を、あらためて確認していただくことをおすすめいたします。