「Steam Machineが気になる。でもSteam DeckやPS5、今のゲーミングPCと比べて本当に買う価値があるのか分からない」——本記事は、そんなお悩みをお持ちの方に向けたスペック比較ガイドです。
CPU・GPU・メモリといった数値だけでなく、「フルHDで何fps出せそうか」「Deckから乗り換える意味はあるか」「自作PCとどちらが合理的か」といった“実際のプレイ体験”に直結するポイントを整理し、Steam Machine・Steam Deck・PS5・ミドルレンジPCの4つを用途別に分かりやすく比較していきます。
この記事を読み終えるころには、「自分はどれを選ぶべきか」がはっきり言語化できるはずです。
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Steam Deckユーザー
「Deckで重いタイトルを遊ぶ機会が多い」「リビングの大画面でもPCゲームを楽しみたい」
→ Steam Machine追加は有力な選択肢「インディー中心で外出先プレイがメイン」
→ 当面はDeck継続で十分。Steam Machineは価格やレビューが出揃ってから再検討が妥当
コンソール中心ユーザー(PS5/Switch)
「PCゲームの豊富なラインナップとセールの魅力に惹かれている」
→ Steam Machineは“コンソールライクなPC”として好相性「予算は限られており、今のPS5で十分満足している」
→ まずはPC版ならではのタイトルや、Steam Deckなど他の選択肢も含めて検討すると良い
既存ゲーミングPCユーザー
「すでにミドル〜ハイエンドGPUを搭載したデスクトップがある」
→ 性能面での上積みは限定的な可能性。リビング用セカンドマシンとしての価値を重視すべき「旧世代PCで、そろそろ買い替えを検討している」
→ 自作/買い替え vs Steam Machineのどちらが自分の生活スタイルに合うかを、拡張性
設置スペース
手間の少なさ
の観点から比較して判断するのが合理的です
Steam Machineとは?概要と発売スケジュール
Steam Machineのコンセプトと位置づけ
Steam Machineは、PCゲームプラットフォーム「Steam」を運営するValveが発表した、小型ゲーミングPC兼据え置きゲーム機です。
Steam Deckが「携帯ゲーム機寄りのPC」であるのに対し、Steam Machineはリビングのテレビに接続して使うことを前提とした「コンソールライクなPC」と位置づけられています。
同時に発表されたVRヘッドセット「Steam Frame」、新型「Steam Controller」と合わせて、Valveは以下の3本柱でエコシステムを構築しようとしています。
携帯機:Steam Deck
据え置き機:Steam Machine
VR:Steam Frame
いずれもLinuxベースの「SteamOS」を搭載し、同じSteamライブラリを共有できる点が大きな特徴です。
発売時期と対応地域・販売ルート
Steam Machineは、2026年初頭に出荷開始予定とアナウンスされています。日本を含むアジア地域では、Steam Deckと同様にKOMODO(コモド)を通じて販売される見込みです。
主なポイントは以下のとおりです。
発表日:2025年11月13日(日本時間)
出荷開始予定:2026年初頭
販売地域:
北米・欧州・オーストラリアなどSteam Deck販売地域
日本・韓国・香港・台湾などKOMODO担当地域
日本国内でも公式ルートでの購入が想定されているため、並行輸入ではなく正規保証付きで導入できる可能性が高い状況です。
価格帯の目安とValveの“逆ざやしない”戦略
現時点(2025年11月)では、Steam Machineの正式な価格はまだ発表されていません。ただし、開発者インタビューや専門メディアの分析から、以下のような方向性が見えてきます。
512GBモデルで699〜899ドル程度(日本円で10万円台前半〜半ば)との予想
2TBモデルは1,000ドル超(日本円で14万円以上)の可能性
PS5のように「本体を赤字販売しソフトで回収する」モデルは採用しないと明言
つまり、コンソールのような“破格の安さ”は期待しづらく、「同等性能のミドルレンジ自作ミニPCと近い価格帯」が現実的な着地になると考えられます。
Steam Machineのスペックを整理する
CPU・GPU・メモリ構成
公式・各種メディアの情報を総合すると、Steam Machineのおおまかなスペック像は次のように整理できます(数値は現時点の推定を含みます)。
CPU:AMD Ryzen系Zen 4世代、6コア12スレッドクラス
GPU:RDNA 3アーキテクチャ、28CU(コンピュートユニット)前後のカスタムdGPU
システムメモリ:16GB DDR5
グラフィックスメモリ:8GB GDDR6(専用VRAM)
ここで重要なのは、「CPUとGPUが物理的に分かれ、GPU側に専用のGDDR6 VRAMを搭載している」という点です。一般的なAPU(CPUとGPUを1チップに統合し、システムメモリを共有する方式)と違い、GPU側のメモリ帯域をしっかり確保できるため、フルHD〜WQHDのゲームプレイで安定したフレームレートを期待しやすい構成と言えます。
性能面では、3DMark Time Spy Graphicsスコアで11,000〜12,000程度と推定されており、これは据え置きゲーム機で言えばPS5とPS5 Proの中間程度に相当するとされています。
ストレージ・拡張性・インターフェース
ストレージ構成は、現時点で以下のようなラインナップが予想されています。
内蔵SSD:
512GBモデル
1TB〜2TBモデル(上位構成)
拡張手段:
M.2 NVMeスロット(換装・増設の可否は要正式情報)
最大2TBのmicroSDカードをサポート
ValveはSteam Deck・Steam Frame・Steam Machineの3機種に共通で、microSDカードによるライブラリ共有を推奨しており、ゲームデータをmicroSDに入れて持ち運ぐことで、デバイスをまたいで同じタイトルをプレイできる設計を採用しています。
インターフェースについては、USBポートやHDMI/DisplayPort、2.5G有線LAN、Wi-Fi 6Eあたりが想定されますが、細かな仕様は正式スペック公開を待つ必要があります。
消費電力・静音性・筐体サイズのイメージ
Steam Machineは、PS5や一般的なタワー型ゲーミングPCよりも小型の筐体に、ミドルハイ級のGPU性能を詰め込んだミニPCに近い製品です。
そのため、想定されるポイントは次のとおりです(あくまで現行ミニPCの相場からの推定です)。
消費電力:
最大時は350〜450Wクラスの電源ユニットが搭載される可能性
実ゲームプレイ時は200〜300W程度の消費と推定
静音性:
小型筐体ゆえ、フルロード時はPS5同等かやや上の騒音になる可能性
リビングでのテレビ視聴と両立できるかは、冷却設計次第
日本の住宅事情では、テレビラック内の通気性やコンセント数も重要です。Steam Machineを導入する場合は、
「テレビ+AV機器+ゲーム機+Steam Machine」を同時に接続したときの電源タップ容量や、熱のこもりやすさも事前に確認しておくことをおすすめいたします。
Steam Machine vs Steam Deck vs PS5 vs ゲーミングPC:スペック比較
Steam Deck(LCD/OLED)との比較
まず、Steam MachineとSteam Deckの関係性を整理します。Steam Deck(新型LCD/OLEDモデル)は以下のAPU構成です。
CPU:Zen 2 4コア8スレッド
GPU:RDNA 2 8CU(最大1.6TFlops前後)
メモリ:16GB LPDDR5をCPU/GPUで共有
これはノートPC向けRyzen APUやGTX1050クラスと同等の性能とされており、FHD高設定ではやや厳しいものの、中設定程度で多くのタイトルを動かせる水準です。
一方で、Steam MachineはRDNA 3 28CU+専用GDDR6 VRAMという構成で、Valve自身が「Steam Deckの6倍以上の性能」と説明しています。
実際のプレイ体験ベースで見ると、おおよそ次のような違いが想定されます。
Steam Deck:
解像度:1280×800(Deck本体)
設定:中〜低設定中心
フレームレート:30〜60fpsをタイトルごとに調整
Steam Machine:
解像度:1920×1080(FHD)〜2560×1440(WQHD)
設定:中〜高設定中心
フレームレート:多くのタイトルで60fps安定を狙える
つまり、携帯性と省電力を優先したDeckに対し、Steam Machineは「リビングの大画面で、PCに近いクオリティで遊ぶための据え置き機」という位置づけだと考えやすいです。
PS5・Xbox Series X|Sとの比較
PS5はRDNA 2世代のGPUを36CU、16GB GDDR6メモリと組み合わせた構成で、4K解像度でのゲームプレイを前提に設計されています。
Steam MachineはCU数で見るとPS5より少ないものの、世代の新しいRDNA 3アーキテクチャを採用しており、FHD〜WQHDであればPS5相当かそれ以上のパフォーマンスが期待される、という評価が多く見られます。
整理すると、次のようなイメージです。
FHD(1920×1080):
Steam Machine:多くの最新ゲームで高設定60fpsを狙える水準(タイトルにより差あり)
PS5:60fpsモードが用意されているタイトルが多い
4K(3840×2160):
Steam Machine:アップスケーリングや画質調整で60fpsを狙う運用が現実的
PS5:内部解像度の可変レンダリング+アップスケーリングが標準的
純粋な4Kコンソールとして見るとPS5に軍配が上がる可能性がありますが、PCゲームの豊富な設定項目を活かし、FHD〜WQHDで快適さを優先する使い方であればSteam Machineは非常に魅力的な選択肢となります。
同等性能帯のミドルレンジ自作PCとの比較
Steam Machineに近い性能の自作PCを考える場合、ざっくりとした構成例は以下のようなイメージです(目安)。
CPU:Ryzen 5 7600〜7700クラス
GPU:Radeon RX 7600 / GeForce RTX 4060クラス
メモリ:DDR5 16〜32GB
ストレージ:1TB NVMe SSD
このクラスの自作またはBTOマシンと比較した場合、Steam Machineの強み・弱みは次のように整理できます。
強み
小型筐体でリビングに置きやすい
SteamOS前提の設計で、サスペンド/レジュームやリモコン的操作など“コンソールライク”な体験
Deck・Frameとのエコシステム連携(microSD共有など)
弱み
Windows前提のゲーム・アプリ利用には別途工夫が必要(デュアルブート・外部PC活用など)
パーツ換装・拡張の自由度は一般的な自作PCより低くなる可能性
価格は「同等性能の自作ミニPCと同等かやや高め」になる見込みで、純粋なコスパで勝てるとは限らない
どのユーザーにSteam Machineが向いているか
Steam Deckユーザーの場合
Steam Deckユーザーにとって、Steam Machineは「自宅用の据え置きハイパワー版」として最も分かりやすい選択肢です。
特に以下のようなニーズがある方には相性が良いと考えられます。
Deckでは重く感じる最新AAAタイトルを、リビングのテレビで高画質かつ60fps前後で遊びたい
通勤・外出時はDeck、自宅ではSteam Machineという二刀流で使いたい
microSDでライブラリを共有し、インストールの手間を減らしたい
逆に、インディーゲーム中心で、携帯性が最優先の場合は、Steam Deck単体のままでも十分というケースが多いでしょう。
コンソール中心ユーザー(PS5/Switch)の場合
PS5やSwitchを主に使っており、「そろそろPCゲームにも手を伸ばしたい」と考えている方にとって、Steam Machineは次のようなメリットがあります。
世界最大級のPCゲームプラットフォームであるSteamライブラリにアクセスできる
セール時にゲームを比較的安価に購入できる
コンソールライクなUI・操作感で、いきなり自作PCに飛び込む必要がない
一方で、以下のような点は注意が必要です。
本体価格はPS5よりも高くなる可能性が高い
一部のマルチタイトルは、コンソール版に比べてローカライズ・最適化状況が異なる場合がある
PCゲーム特有の「設定項目の多さ」に戸惑う可能性
「コンソール感覚で遊びたいが、PCゲームの豊富なタイトルとセール価格に魅力を感じる」という方には、Steam Machineはかなり噛み合う選択肢です。
既存ゲーミングPCユーザーの場合
すでにデスクトップのゲーミングPCを持っている方にとって、Steam Machineは「リビング用のセカンドマシン」という位置づけになります。
この場合のポイントは次のとおりです。
メインPCがRTX 3070以上なら、純粋な性能ではSteam Machineを大きく上回る可能性が高い
メインPCが旧世代(GTX 1060〜1660クラス)の場合、Steam Machineへの世代アップとしての価値が出てくる
配線・騒音・消費電力など、リビングで使いやすい形にまとまっている点がメリット
「PCは書斎にあって、リビングのテレビでも快適にPCゲームをやりたい」というニーズがあるかどうかが、Steam Machine導入の分かれ目になるでしょう。
購入前に確認したいチェックポイント
予算・電気代・周辺機器を含めた総コスト
Steam Machine本体の価格に加え、以下のコストも想定しておく必要があります。
ゲーミング向けコントローラー(新型Steam Controller含む)
必要に応じたキーボード・マウス
追加のmicroSDカードや大容量外付けSSD
長時間プレイを想定した電気代
特に4Kテレビでの長時間プレイを前提とする場合、消費電力はノートPCより確実に高くなるため、1日数時間プレイする前提で、月の電気代インパクトもざっくり試算しておくと安心です。
遊びたいタイトルの対応状況(Proton/SteamOS)
Steam MachineはWindowsではなく、LinuxベースのSteamOSを採用しています。Windows向けゲームは、Valveが開発した互換レイヤー「Proton」を通じて動作する仕組みです。
現状、Steam上の新作ゲームの多くは問題なく動作するとされていますが、以下の点には注意が必要です。
一部のオンライン対戦ゲームや独自ランチャーを用いるタイトルでは、動作が不安定・非対応の場合がある
MOD文化の強いタイトルでは、Windows前提のMODが動作しないケースがある
どうしてもWindows環境が必要な場合は、別途WindowsPCを用意するか、デュアルブートなどの上級者向け対応が必要
購入前には「ProtonDB」や各種コミュニティで、自分が遊びたいタイトルの対応状況を事前に確認しておくことを推奨いたします。
設置スペース・騒音・家族との兼ね合い
リビング導入を前提とする以上、スペックだけでなく生活面のフィット感も重要です。
テレビラック内に十分な空間と排熱スペースがあるか
深夜のプレイ時に、ファンノイズが家族の睡眠を妨げないか
有線LANを引くのか、Wi-Fiで妥協するのか
これらはスペック表には現れにくいポイントですが、長期的な満足度を大きく左右します。設置イメージを具体的に描いたうえで検討することをおすすめいたします。