PC版SteamやSteam Deckでゲームをしているとき、「せっかく背面ボタン付きコントローラーを買ったのに、“拡張ボタンを有効化”の意味が分からない」「設定してもボタンが反応しない」「そもそも項目が表示されない」といったお悩みはありませんか。
とくに DualSense Edge や Xbox Elite、8BitDo などを使っていると、背面ボタンをうまく活用できるかどうかで操作性や勝率が大きく変わります。
本記事では、Steamの「拡張ボタンを有効化(Enable Extended Buttons)」の役割をわかりやすく整理しながら、PC版Steam・Steam Deck・非Steamゲームそれぞれでの具体的な有効化手順、代表的コントローラー別の注意点、さらに「項目が出ない」「ONにしても勝手にOFFに戻る」といったトラブルへの対処法まで、順を追って解説いたします。
読後には、「とりあえず触ってみる」状態から一歩進んで、自分のプレイスタイルに合わせて拡張ボタンを自在に使いこなせるようになることを目指します。
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ゲームごとに「Steam入力を有効にする」
コントローラレイアウトで「拡張ボタンを有効化」し、割り当てを保存する
不具合が疑われる場合は、環境チェック → 既知のIssue確認 → アップデート待ち
この順番で確認すれば、多くのケースで「拡張ボタンが使えない」「設定が消える」といった悩みを整理できます。
Steamの「拡張ボタンを有効化」とは?
拡張ボタン・背面ボタンの基本概念
Steamの設定画面に登場する「拡張ボタン」「背面ボタンを有効化」は、コントローラーに追加で搭載されている背面パドルやグリップボタンなど、標準ボタン以外の追加ボタンを指す用語です。
たとえば DualSense Edge の背面ボタン、Xbox Elite Series 2 のパドル、8BitDo Ultimate/Pro シリーズのL4/L5・R4/R5などが該当します。
これらのボタンは、ゲームからは通常のボタンと同じように扱えますが、「そのままでは認識されない/別のボタンとして固定されている」ケースもあります。そこで利用するのが、Steam Inputの「拡張ボタンを有効化(Enable Extended Buttons)」機能です。プライムギア+1
このトグルをオンにすると、レイアウト編集画面で拡張ボタンが「L4」「R4」「P1」など、独立したボタンとして表示され、任意のキーやボタンに割り当てられるようになります。
「Steam入力」と「拡張ボタンを有効化」の関係
注意点として、拡張ボタンを扱う前提としてゲームごとに「Steam入力を有効にする」必要があります。
ライブラリでゲームを右クリック
「プロパティ」→「コントローラ」
「Steam入力を有効にする」を選択
この設定を行うことで、Steam Inputによるボタンマッピング機能(キーボード・マウス・ゲームパッドへの割り当て)が有効になり、拡張ボタンも含めた詳細な設定が可能になります。
逆に、Steam入力が無効のままだと、
「拡張ボタンを有効化」の項目がそもそも表示されない
表示されても設定が反映されない
といった状態になりやすいため、まずここを確認することが重要です。
事前準備:対応コントローラーと動作環境を確認する
拡張ボタンに対応しやすい代表的コントローラー
代表的な「拡張ボタン」搭載コントローラーと、Steam側での扱いを簡単に整理します。
| 種類 | 例 | 拡張ボタンの位置 | Steamでの扱いの傾向 |
|---|---|---|---|
| PS系プロコン | DualSense Edge | 背面2ボタン+Fnなど | Steam入力+ベータ版でのサポートが前提になるケースあり |
| Xbox系プロコン | Xbox Elite Series 2 等 | 背面4パドル | ファームウェアによってはパドルが個別ボタンとして公開されない場合もあり |
| マルチプラットフォーム | 8BitDo Ultimate 2, Pro 2 等 | L4/L5・R4/R5 など | DInputモードで拡張ボタンがSteamに公開されるケースが多い |
| ライセンス製品 | ワイヤレスホリパッド for Steam など | 背面ボタン/追加ボタン | メーカー指定手順に従えばSteam入力での割り当てが可能 |
一方で、通常のDualSenseや一般的なXboxワイヤレスコントローラーなど、物理的に背面ボタンが存在しない製品では、拡張ボタン項目を「無効化」にするだけで十分な場合があります。実際、一部の解説では「拡張ボタンが無い場合は、拡張ボタンを無効化でOK」と紹介されています。
PC・Steam Deck共通で確認すべき前提設定
拡張ボタンを有効化しても動作しない場合、そもそもの環境要因でつまずいていることが多いです。以下のチェックリストを確認してください。
事前確認チェックリスト
Steamクライアントは最新バージョンに更新されている
コントローラーは有線または安定した無線接続になっている
コントローラーのモード(XInput/DInput)が推奨設定になっている
8BitDoなど:DInputで拡張ボタンを公開するケースもある
「設定」→「コントローラ」で該当デバイスのサポートにチェックが入っている
コントローラーのファームウェアアップデートをメーカーソフトで実施している
これらが整っていないと、拡張ボタン以前に「そもそも追加ボタンがSteamに見えていない」状態になり、後述のトグルも出てこないことがあります。
PC版Steamで拡張ボタンを有効化する基本手順
ゲームごとにSteam入力を有効化する
まずは、拡張ボタンを使用したいゲームに対してSteam入力を有効化します。
Steamクライアントを起動します。
上部メニューから「ライブラリ」を開きます。
対象ゲームを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
左メニューから「コントローラ」を選択します。
「このゲームに対して使用するコントローラレイアウト」を
「Steam入力を有効にする」に設定します。
この段階で、Steam Inputがゲームに対して有効になります。
以降のレイアウト編集で、拡張ボタンを含む詳細な設定が行えるようになります。
コントローラレイアウトから「拡張ボタンを有効化」する
次に、拡張ボタンを個別のボタンとして使えるように、レイアウト編集画面でトグルをオンにします。
ライブラリで対象ゲームを右クリックし、「管理」→「コントローラレイアウト」を選択します。
コントローラレイアウト画面が開いたら、画面内のオプションから
「背面ボタンを有効化」または「拡張ボタンを有効化」という項目を探します。トグルスイッチをオン(有効化)にします。
オンにすると、パッドの図に「L4」「R4」「P1〜P4」などの拡張ボタンが表示されるようになります。
この状態で初めて、各拡張ボタンを自由に割り当てできるようになります。
もしこの項目自体が出てこない場合は、後述のトラブルシューティングを参照してください。
ボタン割り当てを設定する(ゲームパッド/キーボード/マウス)
拡張ボタンを有効化したら、次は何の操作を割り当てるかを決めます。
コントローラレイアウトの画面で、設定したい拡張ボタン(例:L4)をクリックします。
「入力の選択」画面が表示されるので、以下から選びます。
ゲームパッド:A/B/X/Y、○/×/△/□などのボタン
キーボード:Space、Shift、Ctrlなど
マウス:左クリック、右クリック、サイドボタンなど
長押し・同時押し・連射などの高度な設定をしたい場合は、詳細設定を開きます。
設定後、「適用」または「完了」を押して保存します。
FPSの場合の一例:
| 拡張ボタン | おすすめ割り当て例 |
|---|---|
| L4 | ジャンプ(スペースキー/Aボタン) |
| L5 | スライディング・しゃがみ(Ctrl/Bボタン) |
| R4 | リロード(Rキー/Xボタン) |
| R5 | 近接攻撃・格闘 |
視点操作を行う親指をスティックから離さずに済むよう、頻度が高く瞬時に行いたい操作を背面に集約するのが基本方針です。
Steam Deckで拡張ボタンを有効化する手順
ゲーム中のオーバーレイから設定する方法
Steam Deckでは、ゲーム起動中にオーバーレイからコントローラ設定を開き、レイアウトを編集できます。
Steam Deckでゲームを起動します。
本体のSteamボタンを押し、オーバーレイメニューを開きます。
「コントローラ設定」または「コントローラレイアウト」を選択します。
レイアウト編集画面で、「拡張ボタン」「背面ボタンを有効化」などの項目をオンにします。
拡張ボタン(Deck本体背面の4ボタン+外部パッドの拡張ボタン)が一覧に表示されるので、PC版と同様に割り当てを行います。
本体背面ボタン(DeckのL4/L5/R4/R5)と、外部接続したパッド側の拡張ボタンを併用する場合、どちらにどの操作を割り当てるかをあらかじめ決めておくと混乱が少なくなります。
プロファイルの保存と切り替え
Steam Deckでは、ゲームごとに複数のレイアウトを保存しておき、必要に応じて切り替えることができます。
FPS用レイアウト(高頻度操作を背面へ)
MMO用レイアウト(スキル/UI呼び出し重視)
低負荷レイアウト(長時間プレイで指を休める配置)
といった形で用途別にプロファイルを作っておくと、ゲームのジャンルが変わっても背面ボタンの直感的な使い分けがしやすくなります。
非Steamゲームで拡張ボタンを使う
非Steamゲームをライブラリに追加する
非Steamゲームでも、Steamを経由して起動することでSteam Inputと拡張ボタン設定を利用できます。
Steamクライアントで「ゲーム」メニューを開きます。
「非Steamゲームを追加」を選択します。
一覧から対象ゲーム(.exe)にチェックを入れ、「選択したプログラムを追加」をクリックします。
ライブラリに追加されたゲームを右クリックし、通常のSteamゲームと同じように
「プロパティ」→「コントローラ」で「Steam入力を有効にする」を設定します。以降は、コントローラレイアウト・拡張ボタンの有効化・割り当てを、Steamゲームと同様に設定できます。
これにより、ランチャー経由で起動するタイトルや他社プラットフォームのゲームでも、拡張ボタンを活用した共通操作感を実現できます。
コントローラレイアウトの共有・テンプレート活用
一度作成したレイアウトは、別タイトルにも流用できます。
レイアウト画面から「テンプレートとして保存」
別ゲームのレイアウト編集時に、「テンプレートから読み込み」
とすることで、FPS系タイトル全般で同じ背面ボタン配置を使う、といった運用が可能です。
基本的には、
ゲーム内設定でボタン配置を大まかに決める
Steamの拡張ボタンで「頻度が高い操作だけを背面に引き出す」
という役割分担にすると、トラブルが少なくなります。
「拡張ボタンを有効化」が表示されない・勝手にOFFになるときのトラブルシューティング
項目自体が表示されない場合のチェックリスト
「拡張ボタンを有効化」や「背面ボタンを有効化」という項目が画面に存在しない場合、たいていは以下の条件が満たされていません。
チェックリスト
対象ゲームで「Steam入力を有効にする」がオンになっているか
コントローラーに物理的な拡張ボタンが存在するか
コントローラーの接続モード(XInput/DInput)がメーカー推奨になっているか
コントローラーのテスト入力画面で、拡張ボタンを押したときに何かしらの入力反応があるか
メーカー公式ソフト側で、拡張ボタンが別ボタンとして割り当て済みか(プロファイル設定)
特に8BitDoや一部のXbox系コントローラーでは、DInputモードに切り替えると拡張ボタンがSteamに個別ボタンとして認識されるケースが報告されています。
トグルがONにしてもすぐOFFに戻る場合
現在、「拡張ボタンを有効化」のトグルをオンにしてレイアウトを編集し、画面を戻ると自動的にOFFに戻ってしまうという不具合が複数のコントローラーで報告されています。
代表的な報告例:
8BitDo Ultimate 2 / Ultimate 2C などで、L4/R4/L5/R5を設定した後にトグルがOFFになる
Victrix Pro BFG Wireless Controller で、編集完了後にトグルがOFFへ戻り設定が消える
一部環境(Linux・Steam Deckなど)で再現しやすい
現時点での一般的な暫定対処としては、
Steamクライアントを最新バージョンに更新する
必要に応じてベータ版 ↔ 安定版を切り替えて挙動を確認する
有線接続に切り替えて試す
他のタイトルでも同様か確認し、特定タイトル依存ではないかを切り分ける
といった方法があります。
ただし、GitHubのIssueやコミュニティ投稿を見る限り、クライアント側やドライバー側のバグの可能性が高いケースも多く、ユーザー側だけで完全に解決できない場合もあります。
その場合は、Issueを追跡しつつ、修正が入るまで上記の暫定策や、拡張ボタンをメーカーソフト側で別ボタンに割り当ててからSteamで再マッピングする、といった回避策を検討してください。
コントローラー別のよくある原因と対処
DualSense Edge
Steamベータクライアントが必要とされるケースがある
設定が不安定な場合、「デバイス入力をリセット」やconfigファイルの一部削除で改善した事例が報告されている
Xbox Elite Series 2
最新ファームウェアではパドルがSteam Inputに正しく公開されないことがあり、特定バージョン(例:4.8系)へのダウングレードが推奨されるケースがある
「Xboxアクセサリー」アプリを完全に終了したうえで、デフォルトプロファイルを使用すると安定しやすい、という報告もあります。
8BitDo系コントローラー
DInputモードで拡張ボタンを認識するが、「Enable Extended Buttons」トグルが保存されないバグが複数報告されています。
可能であれば、メーカーの最新ファームウェアに更新しつつ、Steamクライアント側のアップデートを待つ必要があります。
Hori・その他ライセンス製品
メーカー公式カスタマイズツールで、背面ボタンを既存ボタン(例:A/B/X/Yなど)にマッピングしてから、Steam側で再マッピングする方式を推奨している場合があります。
応用設定例:ゲーム別おすすめ拡張ボタン配置
FPS向けおすすめ配置
FPSでは、右スティックから親指を離さずに行いたい操作を背面ボタンに集約するのが基本です。
| 拡張ボタン | 典型的な割り当て | 理由 |
|---|---|---|
| L4 | ジャンプ | エイムしながらジャンプできる |
| L5 | しゃがみ/スライディング | スライディング撃ちなどに対応しやすい |
| R4 | リロード | 親指を離さずに弾込め可能 |
| R5 | 近接攻撃/リーン | 緊急時の反応を早くする |
この他、
グレネード投擲
武器切り替え
特殊アビリティ(タクティカル/アルティメット)
など、頻度が高く咄嗟に押したい操作を背面に割り当てると、指の負担を減らしつつ操作性を上げられます。
アクションRPG・MMO向けおすすめ配置
アクションRPGやMMOでは、
クールタイムの短いスキル
回避・ダッシュ
よく開くUI(マップ、インベントリ)
などを拡張ボタンに割り当てると快適です。
例:
L4:回避/ローリング
L5:ダッシュ(押している間だけ)
R4:メインスキル1(高頻度)
R5:マップ/ターゲットロック
ゲーム内のホットバーやショートカットと合わせて設計することで、「左手キーボード+右手パッド」スタイルでも使いやすいレイアウトを構築できます。
リスク・注意点:連射・マクロとルール順守
連射機能やマクロを使う際の注意
Steam Inputや一部コントローラーの設定では、連射や複数キーの同時押しなど、高度な入力を拡張ボタンに割り当てることが可能です。
しかし、
オンライン対戦ゲーム
eスポーツ大会・公式イベント
などでは、こうした機能が規約やルールで禁止されている場合があります。
設定する前に、
対象ゲームの利用規約
大会・イベントのルール
を必ず確認し、「自動連射」「1ボタンで複数行動」などが禁止されていないかどうかをチェックしてください。
連射・マクロ設定前のチェックリスト
利用規約やルールを一度は読み、入力デバイス制限を確認した
ランクマッチ・公式大会では、連射/マクロをオフにしている
不正と疑われる挙動が出た場合、すぐに設定を見直せるようバックアップを取っている
トラブル時に確認したい公式情報・サポート窓口
「どうしても解決しない」「特定コントローラーだけ挙動がおかしい」といった場合は、以下を確認してください。
Steamサポート(入力周りの既知の問題)
コントローラーメーカーのFAQ・サポートページ
GitHub(Steam for Linux など)や公式フォーラムのIssue
既に同様のバグが報告されている場合、修正予定などの情報が得られることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 「拡張ボタン」と「背面ボタン」は同じ意味ですか?
A. 実質的にはほぼ同じ意味で使われています。SteamのUI上では「拡張ボタン」「背面ボタン」と表記が揺れることがありますが、いずれも背面パドルや追加ボタンを指すと考えて問題ありません。
Q. DualSense(通常版)でも『拡張ボタンを有効化』をオンにする必要はありますか?
A. 通常版DualSenseには背面ボタンが無いため、基本的には拡張ボタンを無効化で問題ありません。DualSense Edgeなど背面ボタン付きモデルを使用する場合のみ、拡張ボタンを有効化して活用します。
Q. 非Steamゲームでも拡張ボタン設定は使えますか?
A. はい。非Steamゲームを「非Steamゲームを追加」からライブラリに登録し、そこから起動すればSteam Inputと拡張ボタン設定を利用できます。
Q. 連射やマクロを使ってもBANされませんか?
A. ゲームや大会のルール次第です。Steamやコントローラー側で設定できても、オンライン対戦では禁止されている場合があります。必ず利用規約や大会ルールを確認し、グレーな設定は避けるようにしてください。
Q. 「拡張ボタンを有効化」が勝手にOFFになるのは自分だけですか?
A. いいえ、8BitDo Ultimate 2 や一部のXbox互換パッドなどで同様の事象が複数報告されています。現在はクライアント側やドライバー側の不具合の可能性が高く、アップデートやベータ版/安定版の切り替え、有線接続への変更などで一時的に改善するケースがあります。