Steamで購入したゲームが増えるほど、「遊ばないタイトルを売って整理したい」「少しでもお金に戻したい」と感じやすくなります。しかし、Steamはパッケージ版の中古売買と同じ考え方ができるサービスではなく、できることと、できないことの線引きがはっきり存在します。誤った方法を選ぶと、アカウント停止などの重大な不利益につながる可能性も否定できません。
本記事では、記事タイトルの通り「Steamでゲームを売ることは可能か」を軸にしつつ、混同されやすい論点を整理します。
Steamで購入済みゲームを“再販”できるのか
Steam公式の範囲で“損を減らす”方法は何か
Steamキー販売サイトは安全なのか(公式・正規と鍵屋の違い)
開発者としてSteamで販売する場合の入口は何か
なお、本記事は「規約違反になりやすい行為」を避け、安全側の判断ができるように構成しています。読み終えた時点で、読者が「次に何をすべきか」を迷わないよう、表・手順・チェックリストも用意いたします。
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Steamでゲームを売ることは可能か
購入済みゲームが売れない理由
最初に結論から整理いたします。一般的にイメージされる「Steamで買ったゲームを、不要になったので第三者に売る(中古販売のように利用権を移す)」は、Steamの仕組み上、基本的にできません。
理由はシンプルで、Steamのゲームは多くの場合、購入と同時にアカウントに利用権が紐づく設計だからです。物理パッケージのように「ディスクを渡せば終わり」ではなく、購入情報はアカウントの一部として管理されます。そのため、ゲームだけを切り離して第三者に渡す、という操作が前提として用意されていません。
ここで混乱が起きやすいのは、ネット上に以下のような情報が混在している点です。
「Steamで売れる」と書いてある(ただし実際は“アイテム”の話)
「キーなら売れる」と書いてある(ただし出所や規約で危険がある)
「アカウントを売ればいい」と書いてある(ただしこれは強いリスクがある)
したがって、まずは「売る」という言葉を分解し、対象を明確にする必要があります。判断を早めるため、先に早見表を提示いたします。
| 対象 | 例 | Steam上で売れるか | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 購入済みゲーム(ライブラリ) | ライブラリに追加済みタイトル | 原則不可 | 利用権はアカウントに紐づくため分離が困難 |
| アカウントそのもの | アカウントID・ライブラリ丸ごと | 推奨不可 | 規約違反・詐欺・回復申請などのリスクが高い |
| インベントリアイテム | トレカ、スキン等 | 条件次第で可 | マーケット制限、対象外アイテムに注意 |
| Steamキー | 外部ストア購入キー等 | 取り扱い注意 | 出所不明・利用規約・サポートの所在が問題化しやすい |
| 開発者の販売 | 自作ゲームをSteamで配信 | 可 | Steamworks登録や費用が必要 |
本記事では、上記の順で丁寧に説明し、読者が「自分がやりたいのはどれなのか」を見失わないようにいたします。
アカウント売買が危険な理由
「ゲームが売れないなら、アカウントごと売ればよい」と考える方もいらっしゃいますが、これは非常に危険です。危険性は大きく分けて、規約面の問題と取引リスクの問題に分かれます。
規約面の問題
Steamは、アカウントが個人に紐づく前提で設計されています。一般に、アカウントを第三者へ売却・譲渡する行為は規約に抵触しやすく、正当化が困難です。仮に取引が成立しても、後から問題化する余地が大きく残ります。
取引リスクの問題
アカウント売買は、成立したように見えても後から崩れるケースが多いです。代表的なものは以下です。
回復申請で取り戻される:元の所有者が「不正アクセスされた」と主張すると、サポート手続きで元に戻る可能性があります。購入者は支払いだけ失いかねません。
情報が不完全:メールアドレス、電話番号、本人確認情報などが絡むため、完全な引き渡しが難しく、後日ログイン不能になることがあります。
詐欺が起きやすい:匿名取引になりやすく、証拠が弱い場合は被害回復が困難です。
停止・制限の連鎖:不審なログインや取引が検知されると、セキュリティ制限がかかり、ゲームどころではなくなります。
本記事の趣旨は「安全に損失を抑える」ことですので、アカウント売買は選択肢として推奨いたしません。
売れるのはアイテムなど一部に限られる
一方で、「Steamで売れる」要素がまったくないわけではありません。代表例が、Steamコミュニティマーケットでのアイテム売却です。
コミュニティマーケットの特徴は以下です。
対象アイテムを出品し、購入者が現れると取引成立
売上は原則としてSteamウォレット残高として受け取る
現金のように外部に自由に出金できる設計ではなく、Steam内での支払いに使う前提
ここで重要なのは、売れる対象が「ゲーム本体」ではなく、あくまでマーケット対象のアイテムである点です。売れそうに見えて売れないケースも多いため、次章で「公式でできる代替策」と合わせて、具体的に整理いたします。
Steam公式でできる代替策
ここからは、Steamで購入済みゲームを「売れない」と理解した上で、損を減らすための現実的な代替策を説明いたします。優先順位としては、一般に次の順が安全です。
返金(条件に合うなら最優先)
ギフト・トレード(対象が限定される)
コミュニティマーケット(売れるのはアイテム中心)
返金で損を減らす手順
「売る」よりも先に検討すべきなのが、Steam公式の返金制度です。返金は、条件を満たしていれば最も簡単に損失を抑えられる可能性があります。
返金を検討すべき典型パターン
購入したが動作しない、パフォーマンスが極端に悪い
想像していた内容と違い、プレイ継続が難しい
誤購入(似たタイトルを間違えた等)
セール直後に買い直したい(※条件次第)
返金の基本手順(迷わないための流れ)
Steamのアカウントにログインします
「サポート」から「購入」を選びます
対象タイトルを選択し、「返金を希望する」を選びます
返金理由を選択し、必要に応じて状況を記載します
返金先(支払い方法への返金、Steamウォレット等)を選びます
申請を送信し、結果通知を待ちます
返金で失敗しやすい注意点
返金は万能ではありません。以下に当てはまる場合、通らない可能性が上がります。
購入から時間が経ちすぎている
プレイ時間が長い(判断材料になりやすい)
返金申請を繰り返している
返金対象外のコンテンツ・条件に該当する
ポイントは、返金を「転売代替」として濫用しないことです。返金が通るかどうかは状況により変わるため、該当しそうなら早めに確認し、必要最低限の説明で誠実に申請するのがよいです。
ギフトとトレードで譲れるケース
次に、ギフトやトレードです。ただし、ここは誤解が非常に多い領域です。一般的に、次の点を押さえておく必要があります。
ライブラリに追加済みのゲームを、あとから別ユーザーへ移すことは基本的に想定されていません
ただし、ギフトとして保持しているものや、状況によっては追加コピーなど、例外的に扱える対象が存在します
ギフトとして渡せる代表例
購入時点で「ギフトとして購入」し、まだ受け取り先へ送っていない
自分で使わない前提で保持しているギフト(※期限や制限がある場合があります)
トレードで扱われやすい代表例
一部の「アイテム」
追加コピー等(ただし常に成立するわけではありません)
ギフト・トレードでトラブルを避けるコツ
「渡したい対象」が、そもそもギフトとして扱えるかを最初に確認する
相手の地域や制限(リージョン、アカウント制限)を事前に確認する
送付後の取り消しが難しいケースがあるため、手順を誤らない
ギフトは一見便利ですが、扱える対象が限定的です。「売る」目的の代替として万能ではないことを理解することが大切です。
コミュニティマーケットで売れる対象と制限
コミュニティマーケットは、Steam内で完結する売買機能であり、規約面・安全面では比較的安心しやすい手段です。ただし、売れるのは主にマーケット対象のアイテムです。
マーケットで売れやすいもの
トレーディングカード
スキン、装飾アイテム
ゲーム内アイテム(タイトルにより対象が異なります)
マーケットで売れない・出品できない例
そのゲームがマーケット非対応
アイテムが取引不可(トレード不可、マーケット不可の属性)
アカウントが制限状態
取引制限がかかっている(購入直後等)
売却の基本手順
Steamクライアントまたはブラウザでインベントリを開きます
出品したいアイテムを選択します
「コミュニティマーケットで出品」を選びます
希望価格を入力し、手数料を確認します
確認を進め、出品を確定します
見落としがちなポイント:手数料と受取形態
コミュニティマーケットでは、手数料がかかります。価格を入力すると、買い手の支払額と売り手の受取額が分かれて表示されます。ここで「思ったより手元に残らない」と感じやすいです。
また、売上は通常Steamウォレットとして受け取るため、次の誤解に注意が必要です。
「マーケットで売ったから現金化できる」は誤解になりやすい
SteamウォレットはSteam内での支払いに使う前提の仕組みです
売る目的が「現金化」なのか「Steam内での整理」なのかで、納得感が大きく変わります。目的を先に決めてから使うと失敗しにくいです。
Steamキー販売サイトの基本と注意点
この章は、記事タイトルの「公式とキー販売サイトを紹介」に対応する部分です。ただし重要な前提として、ここで扱う「キー販売サイト」は、Steamで買ったゲームを売る話ではなく、Steamキーを買う話が中心になります。
つまり、読者の疑問は次の2種類に分かれます。
「Steamで買ったゲームを売りたい」→基本的に難しい、代替策へ
「Steamキー販売サイトは使ってよいか」→正規と非正規の見極めが重要
本章では後者を、できるだけ安全側に倒して説明いたします。
正規販売店と鍵屋の違い
キー販売サイトには大きく分けて2系統があります。
正規販売店(正規の流通・販売契約を前提としているストア)
鍵屋(マーケットプレイス型を含み、出所が不透明になり得るストア)
一般に、正規販売店はパブリッシャーや正規卸と契約し、正規にキーを供給される前提で運営されます。一方、鍵屋は第三者出品者が混在しやすく、キーの出所が見えにくい構造になりやすいです。
鍵屋が問題になりやすい理由(仕組みの観点)
キーの出所が第三者に依存し、販売店側が十分に保証できないケースがある
不正取得キーやチャージバック由来など、後から無効化・回収のリスクが生じ得る
トラブル時に「出品者」「サイト」「決済手段」の責任分界が複雑になりやすい
もちろん、すべてのケースで被害が起きるとは限りません。ただし、初心者が「安さ」だけを根拠に選ぶと、事故率が上がりやすい構造です。本記事では、少なくとも初回は正規販売店側を推奨いたします。
安全なサイトを選ぶ判断基準
安全性を判断する際は、「雰囲気」ではなく、確認項目を固定すると失敗しにくくなります。以下は、最低限の判断基準です。
判断基準1:販売形態が自社販売か、マーケットプレイスか
自社販売:ストア自身が販売主体
マーケットプレイス:第三者出品者が混在し得る
マーケットプレイス型は、出所のばらつきやサポートの複雑さが増えやすいです。
判断基準2:返金条件とサポート窓口が明確か
返金可能な条件が具体的に書かれているか
問い合わせ窓口(フォーム、メール等)が整備されているか
日本語対応の有無(必須ではないが、初心者には重要です)
判断基準3:地域制限・プラットフォーム表記が明確か
「Steam版」であることが明記されているか
日本のアカウントで有効化できるか(リージョンロック)
付属DLCや版の違いが説明されているか
判断基準4:安全な候補に絞るためのリストを活用する
個人で全ストアの正当性を調べ切るのは現実的ではありません。そのため、authorized(正規)ショップのみを扱う方針を示している比較サイト等をフィルターとして使うのは合理的です。
「絶対安全」を保証するものではありませんが、少なくとも危険なストアを踏みにくくなります。
購入前後のトラブル回避ポイント
外部キー購入は、購入手順そのものは簡単でも、トラブルが起きると解決が難しくなりやすいです。ここでは、購入前と購入後に分けて対策をまとめます。
購入前に確認すべきポイント
その商品はSteamキーか(アカウント提供型ではないか)
そのキーは日本で有効化できるか
返金条件が明確か
サポート窓口が機能しているか
支払い方法に不安がないか(できれば追跡可能な決済)
購入後にすぐやるべきポイント
受領したキーを、案内通りにSteamで有効化する
有効化に成功した時点で、注文番号・領収情報・やり取りを保管する
エラーが出た場合、むやみに再試行せず、エラー文言を控えて販売店へ連絡する
よくある失敗例
リージョンロックの表示を見落とす
Steam用ではない商品を買ってしまう
「最安」優先で販売形態を確認しない
サポートに連絡する前に、手当たり次第に有効化を試して状況を悪化させる
外部キー購入は「慣れると便利」ですが、初心者ほど手順を固定し、確認項目を省かないことが重要です。
開発者がSteamでゲームを販売する方法
ここまでの内容は主に購入者向けでしたが、記事タイトルの「steamでゲーム売ることは可能?」は、開発者が「Steamで売る」意味にも読み取れます。そこで本章では、開発者向けに入口だけを整理いたします。
Steamworks登録とSteam Direct料金
Steamで自作ゲームを販売するには、Steamworks(パートナー)を通じて登録・準備を進めます。この工程では、本人確認や税務情報など、ビジネス面の入力が必要になりやすいです。
また、一般にSteam Directでは、アプリ(作品)ごとに登録費用が発生します。費用は国や税の扱い等で見え方が変わる場合がありますが、少なくとも「無料で無制限に出せる」仕組みではありません。企画段階で費用と回収計画をセットで考えることが重要です。
ストアページ作成から公開までの流れ
開発者としての流れは、概ね次のように整理できます。
Steamworksで登録(アカウント・税務・支払い情報等)
アプリを作成し、ストアページの基本情報を整備する
ビルド(ゲーム本体)をアップロードし、動作確認を行う
必要な審査・確認を経て公開する
ポイントは、ゲームを作るだけではなく、ストアページ(説明文、画像、トレーラー、対応言語、年齢レーティング等)を含めた「販売の準備」が必要になることです。特にストアページの品質は、ユーザーの購入判断に直結します。
外部キー配布と販売の考え方
開発者は、プロモーションやレビュー配布などでキーを発行することがあります。しかし、キー配布は便利な反面、次の課題を伴います。
転売・不正流通が起きやすい
サポート負担が増える(誰が購入者か追いにくい)
正規販売と価格差が大きいと、ユーザーの不満につながる
そのため、キー配布は「配布先」「数量」「目的」「追跡可能性」を設計し、無制限にばらまかないことが重要です。購入者側としても、出所が不明なキーはトラブルの原因になりやすいため、正規販売店での購入が無難です。
Steamで損しないためのチェックリストとFAQ
最後に、この記事の要点を「行動」に落とし込みます。Steamは便利な一方で、思い込みで動くと損をしやすいです。以下のチェックリストを、判断の最終確認にお使いください。
やってよいことチェックリスト
返金条件に当てはまりそうなら、早めに返金申請を検討する
ギフトとして保持しているものは、送付前に相手の制限(地域等)を確認する
コミュニティマーケット対象アイテムは、手数料と受取形態(Steamウォレット)を理解して出品する
外部キー購入は、販売形態とサポート条件を確認し、正規寄りのストアを優先する
不明点がある場合は、スクリーンショットや注文情報を保管し、販売店へ丁寧に問い合わせる
やってはいけないことチェックリスト
Steamアカウントを売る・譲る(規約違反や詐欺の温床になりやすいです)
「最安だから」という理由だけで、販売形態や返金条件を確認せずに購入する
出所不明なキーを扱うサイトで、常用する前提の購入をする
マーケットの制限を無視し、制限回避の手段を探す(結果的にアカウントに不利益が出やすいです)
トラブル時に焦って手当たり次第に操作を繰り返す(エラーが複雑化しやすいです)
よくある質問
Steamウォレットは出金できますか
Steamウォレットは、基本的にSteam内での購入に使う前提の仕組みです。コミュニティマーケットで売却して増えた残高も、同様の扱いになります。したがって「マーケットで売れば現金化できる」と短絡的に考えると、期待と現実がズレやすいです。目的が「現金」なのか「Steam内の整理」なのかを先に決めることをおすすめいたします。
マーケットで売れないのはなぜですか
主な原因は次のいずれかです。
そのアイテムがマーケット非対応
アイテム属性が「取引不可」
アカウントに制限がある
取引制限期間中である
まずはアイテムの表示(取引可否)と、アカウント状態(制限の有無)を確認してください。焦って操作しても解決しないケースが多いため、原因の切り分けが先です。
余ったSteamキーは売ってよいですか
キーの転売は、キーの入手経路、販売元の条件、利用規約などの影響を受けます。特に、出所が不透明なキーを流通させると、購入者側のトラブルだけでなく、開発者側の不利益にもつながりやすいです。安易に売買を前提にせず、どうしても扱う必要がある場合は、規約・条件を十分に確認することが重要です。
返金が通らない典型例は何ですか
返金が通らない理由は状況により異なりますが、一般に以下のような場合は通りにくくなります。
購入から時間が経過している
プレイ時間が長い
返金対象外の条件に該当している
返金申請の頻度が高い
返金は「困った時の救済」ではありますが、万能ではありません。購入直後に違和感があれば、早めに判断することが損失を抑えるコツです。
まとめ
Steamで「ゲームを売る」と言う場合、購入済みゲーム(ライブラリ)を中古のように再販することは基本的に難しいです。その代替としては、まず返金を検討し、次にギフト・トレードの対象範囲を確認し、それでも整理したい場合はコミュニティマーケットで売れるアイテムがあるかを確認するのが安全です。
また、キー販売サイトに関しては「正規販売店」と「鍵屋」を同列に扱わず、販売形態・返金条件・サポート窓口・リージョン表示といった観点で、事故率が下がる選び方を徹底することが重要です。
最後に、Steamの仕様や規約は更新される可能性があります。大きな判断をする前に、Steamのヘルプや規約の最新情報も確認し、常に安全側で運用することをおすすめいたします。