初めてシンガポール行きの航空券を予約し、ワクワクしながら天気予報アプリを開いたら、出発日から帰国日までずらりと並ぶ「雨マーク」――思わず「この期間、ずっと雨なのでは?」と不安になっていないでしょうか。せっかくのマーライオンやマリーナベイサンズも、スコール続きで楽しめないのでは、と計画を立てる手が止まってしまう方も少なくありません。
しかし、シンガポールの「ずっと雨」に見える予報は、そのまま「一日中土砂降り」という意味ではありません。実際には、短時間の激しいスコールと晴れ間がめまぐるしく入れ替わる、独特の熱帯気候が背景にあります。本記事では、シンガポールの年間を通した天候の特徴や、“雨が多い国”ならではの雨の降り方、そして雨マークだらけでも旅を楽しむための具体的なコツを、旅行者・出張者の目線で分かりやすく解説いたします。「本当にこの時期に行って大丈夫?」という不安を、「雨があっても十分楽しめる」に変えるためのガイドとして、出発前の情報収集にぜひお役立てください。
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シンガポールの天気予報が一週間先まで「ずっと雨」に見えるのは、熱帯雨林気候特有の「雨の頻度の多さ」が反映されているからです。たしかに、年間を通じて日本よりも降水量・雨日数は多く、特にモンスーン期には長く降り続く日もあります。一方で、その多くは短時間のスコールや局地的なにわか雨であり、「毎日一日中、外に出られないほどの土砂降りが続く」わけではありません。
大切なのは、「雨だから諦める」のではなく、「雨が前提の国」と理解したうえで準備と計画を整えることです。軽くて乾きやすい服装、折りたたみ傘やレインポンチョ、防水性のあるバッグなどの装備を整え、屋外スポットと屋内施設を組み合わせた二本立てのスケジュールを組めば、天気に振り回されずにシンガポールを満喫できます。また、1時間ごとの予報や雨雲レーダーを活用し、その日の「雨のタイミング」をうまく避けながら動くことで、限られた滞在時間をより有効に使うことができます。
シンガポールの気候の基本を理解する
一年中「夏」で高温多湿の熱帯雨林気候
シンガポールは赤道から約1度北に位置し、熱帯雨林気候(Af)に分類されています。
シンガポール統計庁の長期データによると、1991〜2020年の平均で、
年平均気温:約27.8℃
日中の平均最高気温:約31.6℃
夜間の平均最低気温:約25.0℃
となっており、年間を通じて「常に真夏のような状態」が続きます。
四季は日本のように分かれておらず、気温の変化は小さい一方で、降水量や風向(モンスーン)の変化がシーズンの違いを作っています。
「雨が多い国」であるのは事実
国家環境庁(NEA)のデータや各種気候統計によると、シンガポールの長期平均年間降水量は、
約2,100〜2,200mm程度
とされています。
日本(東京)の年間降水量が約1,500mm前後であることを考えると、
「日本よりも一段階“雨の多い国”」と言って差し支えありません。
さらに、1982〜2020年のデータでは、
雨日数の平均:1年あたり約160~170日(≒2日に1日は雨が降る)
という分析もあります。
この数字だけを見ると、「ほぼ毎日どこかで雨が降っている」と感じても不思議ではありません。
「ずっと雨」は本当?― 雨の本当の降り方と季節パターン
シンガポールに「はっきりした乾季」はない
シンガポール気象局(MSS)は、「明確な雨季・乾季はないが、月ごとの降水量の差は存在する」と説明しています。
ただし、旅行者の体感としては次のように整理すると分かりやすいです。
11月〜1月:北東モンスーンの“雨の多い時期”
2月:年間で最も雨が少ない傾向の月
3月〜10月:スコールは頻繁だが、11〜1月ほどの長雨は少ない時期
特に11〜1月については、MSSのモンスーン・アップデートでも
「雨が多く、モンスーンサージ(季節風の強まり)時には広範囲で長時間の雨」
が発生することが説明されています。
数字で見る「どのくらい雨が降るのか」
海外の気候統計サイトのまとめによると、シンガポールの月別平均降水量・雨日数のイメージはおおよそ以下のとおりです。
※数値は観光・気候サイトによる長期平均の目安であり、年による変動があります。
| 月 | 月間降水量の目安(mm) | 雨の日数の目安(雨日) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 約250前後 | 約18〜19日 | 北東モンスーン期・多雨 |
| 2月 | 約120〜130前後 | 約10日前後 | 最も「乾燥」傾向の月 |
| 3〜4月 | 150〜200前後 | 14〜16日前後 | 午後のスコールが多い |
| 5〜10月 | 150〜220前後 | 15〜18日前後 | ほぼ毎月「雨の日」が多い |
| 11〜12月 | 250〜320前後 | 約18〜20日 | 最も雨量・雨日数が多い傾向 |
この表からわかるポイントは、
どの月も「雨の日」はそれなりに多い(10〜20日程度)
特に11〜1月は「雨の日の多さ」と「降水量の多さ」が顕著
とはいえ、完全な「雨なし月」は存在しない
ということです。
「雨が降る日が多い」≠「一日中ずっと雨」
ここが旅行者にとって最も誤解しやすいポイントです。
シンガポールでは「短時間の激しいスコール」や「午後〜夕方のにわか雨」が非常に多く、
雨の日でも「一日のうち、ずっと雨が降り続ける」とは限りません。実際、観光情報サイトや気象情報では、
「雨は突然に激しく降るが、短時間で止むことが多い」
「洗い流すようなスコールだが、その後はまた晴れたり曇ったりする」
と説明されることが多いです。
つまり、
天気予報アプリ:雨マークが連続
= 「毎日どこかの時間帯で雨が降る可能性が高い」
であって、
「24時間ずっと雨」「旅行中ずっと土砂降り」
という意味ではありません。
例外的に「ほぼ一日中雨」の日もある
とはいえ、北東モンスーンの時期には、モンスーンサージと呼ばれる現象が起こると、
広い範囲で長時間の雨
風も強く、肌寒く感じられることもある
といった、かなり「本気の雨の日」も数日は発生します。
そのため、11〜1月の長期滞在の場合は、
「短時間のスコール + ときどき“終日雨っぽい日”もある」
という前提で計画しておくと現実的です。
旅行者・出張者にとっての影響はどの程度?
観光そのものは「十分可能」だが、計画の立て方にコツが必要
各種旅行サイトや気候ガイドでは、
年間を通じて旅行可能
雨が多い時期でも、屋内施設や交通網が充実しているため、観光は十分楽しめる
と案内されています。
シンガポールは、
大型ショッピングモール
屋内アトラクション(博物館、室内観光施設、屋内動物園など)
地下道・屋根付き歩道
MRT(地下鉄)やバス網
が非常に発達しているため、「雨=何もできない」にはなりにくいのが特徴です。
屋外アクティビティは「時間帯」と「代替プラン」が鍵
マリーナベイ散策、セントーサ島、ナイトサファリ、動物園など屋外要素が多い観光は、雨の影響を受けやすいため、
午前中や雨の少ない時間帯を狙う
直前に雨雲レーダーや1時間ごとの予報をチェックする
雨の場合に切り替えられる「屋内プラン」をあらかじめ用意しておく
といった工夫が非常に有効です。
シンガポール旅行・出張のベストシーズンと「避けたほうが楽な」時期
雨の観点からみた季節のざっくり整理
先述の降水パターンと観光情報を踏まえると、雨対策のしやすさを軸にした簡易整理は次のようになります。
| 時期 | 雨・気候の特徴 | 旅行難易度(雨視点) |
|---|---|---|
| 11〜1月 | 雨量・雨日数が多く、長雨の日もときどき | ★★★(雨対応の準備が必須) |
| 2月 | 比較的雨が少なく、統計上は「最も乾燥」 | ★(雨のリスクやや低め) |
| 3〜10月前半 | 午後スコールが多いが、長雨は比較的少なめ | ★★(短時間の雨対策は必要) |
※★が多いほど「雨による影響を受けやすい」イメージ
雨だけを避けたいなら「2〜3月」が候補
統計的に2月が最も乾燥している傾向にあること
3月も北東モンスーン明け〜インターモンスーン期で、11〜1月ほどではないこと
から、
「雨をできるだけ避けたい」
「屋外アクティビティ中心で動きたい」
という方は、2〜3月前後の訪問を検討する価値があります。
ただし、気温・湿度は年間を通じて高いため、
「雨が少ない=涼しい・快適」ではない点には注意が必要です。
実践編1 ― 「ずっと雨」に備える服装・持ち物チェックリスト
「ずっと雨」に見える予報でも、準備次第で快適さは大きく変わります。
以下に、旅行者・出張者向けのチェックリストを整理いたします。
服装の基本方針
各種旅行・パッキングガイドでも共通して、
軽くて通気性のよい服
速乾性のある素材
汗と雨の両方に対応できる服装
が推奨されています。
服装チェックリスト
□ 半袖の速乾Tシャツやポロシャツを複数枚
□ 通気性のよいパンツ(薄手のチノ、リネン、速乾パンツなど)
□ 女性はワンピース・スカートなど、風通しが良く動きやすい服
□ 室内の冷房対策用の薄手カーディガンやパーカー(長時間のモール・MRT乗車時に便利)
□ 足元は濡れても乾きやすいサンダルやメッシュスニーカー
雨具・バッグ類
雨の日対策を案内する現地・ホテル系ブログなどでは、
コンパクトな折りたたみ傘
使い捨てポンチョ
防水性のあるバッグ
などを勧めています。
雨具・バッグのチェックリスト
□ コンパクトな折りたたみ傘(常にバッグに入れておけるサイズ)
□ スコール時用の軽量レインポンチョ(風が強い日にはこちらが便利)
□ 貴重品や電子機器を守るジップロック・防水ポーチ
□ PC・タブレットを持ち歩く出張者は防水インナーバッグ
□ 濡れても良い布製トートやバックパック
小物・健康対策
高温多湿+スコールという環境では、
汗と雨で体が冷える
室内外の温度差が大きい
といったストレスもあります。
小物チェックリスト
□ 汗をふくためのハンカチ・タオル(吸水性の高いもの)
□ 替えのマスク(雨で濡れた場合の交換用)
□ 塩分・水分補給用のタブレット・ペットボトル飲料
□ 必要に応じて常備薬(頭痛薬、胃薬など)
実践編2 ― 雨を前提にした観光・出張スケジュール設計
一日の流れを「雨の時間」を想定して組む
シンガポールでは、午後〜夕方にスコールが発生しやすい傾向があると各種気候ガイドで説明されています。
そのため、典型的には次のような組み立てが有効です。
午前中:屋外スポットを優先
植物園やセントーサ島、マリーナベイ散策など
気温は既に高いものの、午後よりは雨リスクが低め
午後:屋内観光・ショッピング中心
大型モール、ミュージアム、水族館等
雨が降ってきたらすぐに屋内へ避難できるルートを確保
夜:天気次第で柔軟に決定
雨が弱まれば夜景鑑賞(マリーナベイ、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ)
雨が強い場合は、屋内レストランやバーでゆっくり過ごす
出張の場合の「雨を踏まえた」注意点
移動時間に余裕を持つ
スコール時は一時的に視界が悪くなり、タクシーの捕まりにくさや交通渋滞が起きることがあります。外回りのアポイントは午前〜昼に集中
午後に雷雨が予想される日は、重要なオフライン会議は午前中に組んでおくと安心です。オンライン会議のバックアップ
大雨で移動が難しくなった場合に備えて、オンライン参加が可能か事前に確認しておくとリスクを下げられます。
天気予報アプリが「ずっと雨」に見える理由と賢い使い方
「一日中雨」ではなく「一日に雨が降るタイミングがある」の意味
多くの天気予報アプリでは、
その日のどこかの時間帯で雨が降る見込みが高いと、日アイコンが「雨マーク」になる場合が多いです。
シンガポールのように
一日のどこかで短時間でも雨が降る確率が高い
雷雨・スコールを伴う降水が頻発する
地域では、どうしても「7日間ずっと雨マーク」といった表示になりやすくなります。
シンガポールでの天気予報のチェックポイント
シンガポール気象局(MSS)の公式ページや各種予報サービスを使う際は、
以下のポイントに着目すると、体感に近い情報を得やすくなります。
見るべきポイント
1時間ごとの予報:
「午前は曇り、午後だけ雷雨」など、時間帯別の傾向を把握する
雷雨・スコールの予報:
“thundery showers” などの表現がある場合、短時間の激しい雨を想定
雨雲レーダー:
直近数時間の雲の流れを確認し、「今から出て大丈夫か」を判断
モンスーン情報(11〜1月):
モンスーンサージが予想される場合は、長雨の可能性を考慮
よくある質問(FAQ)
Q1. シンガポールでは本当に「毎日雨が降る」のですか?
A. 統計的には、1年のうち約160〜170日程度が「雨日」とされており、
「2日に1回は何らかの雨が降る」イメージです。
ただし、ほとんどが短時間のスコールやにわか雨であり、
「朝から晩までずっと降り続ける」日は、特に雨季を除けば多くありません。
Q2. 雨季(11〜1月)に旅行しても大丈夫ですか?
A. 旅行自体は問題なく可能です。屋内施設や公共交通が発達しているため、
スケジュールと装備を工夫すれば十分楽しめます。
ただし、
スコールに備えて折りたたみ傘+レインポンチョ
雨で変更できるように屋内プランを常に用意
など、雨を前提にした計画づくりが重要です。
Q3. 雨の日におすすめの観光スポットはありますか?
A. 雨の日でも楽しみやすいのは、例えば以下のようなスポットです。
大型ショッピングモール(ION Orchard、VivoCity、Marina Bay Sands 等)
国立博物館、美術館、サイエンスセンターなどの屋内施設
水族館や一部テーマパークの屋内エリア
フードコートやホーカーセンター(屋根付きのところ)
屋外中心の「ナイトサファリ」「動物園」などは、日をずらせるように旅程を組んでおくと安心です。
Q4. 服装は日本の真夏と同じイメージで大丈夫ですか?
A. 基本的には「日本の真夏+湿度アップ」のイメージで問題ありません。
ただし、
室内冷房が非常に強い場合がある
雨で体が冷えた状態で冷房に当たる
ことを考えると、薄手の羽織りものを1枚持っておくと快適です。
Q5. 子連れでも大丈夫?雨で困ることはありますか?
A. 子連れの場合も、基本的には大きな問題はありませんが、以下に注意すると安心です。
ベビーカー利用時:
濡れにくいルート(地下道・モール内)を選ぶ
ベビーカー用レインカバーを準備
小さな子ども:
着替えを多めに持ち、濡れた際にすぐ着替えられるようにする
アクティビティ:
屋内アトラクションを中心に計画し、天気に合わせて屋外・屋内を切り替える
まとめ ― 「シンガポール 天気予報 ずっと雨」とどう付き合うか
本記事の要点おさらい
シンガポールは年間を通して高温多湿の熱帯雨林気候で、
長期平均で年間約2,100〜2,200mmの降水があり、雨日は年160〜170日程度と「雨の多い国」です。特に11〜1月の北東モンスーン期は、雨量・雨日数ともに増え、モンスーンサージ時には長時間の雨になることもあります。
一方で、多くの雨は短時間のスコールやにわか雨であり、
「予報が一週間すべて雨」だからといって毎日24時間ずっと雨が降り続けるわけではありません。室内施設や交通網が発達しているため、
雨が多くても観光・出張は十分に可能です。服装や持ち物、スケジュール設計を雨前提にしておくことが重要です。
次に取るべき具体的なアクション
渡航予定月の「雨の傾向」を把握する
11〜1月は特に雨が多い前提でプランニング
服装・持ち物チェックリストをもとに準備する
折りたたみ傘、ポンチョ、速乾・通気性のよい服、薄手の羽織りもの
屋外と屋内の「二本立てプラン」を作る
屋外が難しい場合の代替案を、事前に1〜2パターン用意
現地では1時間ごとの予報・雨雲レーダーをこまめに確認
特に午後〜夜のスコール予測を見ながら、行動を柔軟に調整