「それ、死語じゃない?」
何気ない一言に、少しドキッとした経験はありませんか。
昭和に当たり前のように使われていた言葉の中には、いまでは意味が伝わらなかったり、場の空気を微妙にしてしまったりするものが少なくありません。家族との会話では通じるのに、職場や若い世代との雑談では通じず、思わぬ気まずさを生むこともあります。
本記事では、昭和の死語をジャンル別に整理し、意味・時代背景・現代の言い換え・使っても安全な場面までを丁寧に解説します。ただの懐かし語録ではなく、「いま使うならどうするか」「使わないなら何に置き換えるか」まで分かる構成です。
昭和世代の方はもちろん、昭和の言葉が分からず戸惑ったことのある方にも役立つ内容となっています。
世代の違いを気まずさではなく、会話のきっかけに変えるために、まずは昭和の死語を正しく知るところから始めてみましょう。
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昭和の死語とは何かを先に押さえる
死語には二つの意味がある
「死語」という言葉は、日常会話では「昔は流行ったのに、いまはほとんど使われない言葉」という意味で使われるのが一般的です。ただ、辞書的にはもう一つ、「話者がいなくなり、どの社会でも使われなくなった言語」という意味もあります。日常の雑談で言う「それ死語だよね」は、前者の“語彙としての死語”を指していると考えて差し支えありません。
さらにややこしいのは、「死語=誰も使わない」ではない点です。実態としては、次のような段階があります。
完全に消えた:聞いても意味が推測できない(例:特定時代のCM由来が濃すぎる言い回し)
意味は分かるが古い:意味は通るが、言い回しの時点で“昔感”が出る
身内では生きている:家庭内や同世代コミュニティでは普通に使われる
場面限定で復活する:昭和レトロ・番組・SNSのネタとして“わざと”使われる
この記事では、このうち「いまの一般会話では古く感じられやすい」「説明なしだと通じにくい」言葉を、実用上の意味で“昭和の死語”として扱います。完全否定するのではなく、「どう扱えばズレにくいか」を重視していきます。
昭和はいつの時代かを確認する
昭和は1926年12月25日から1989年1月7日まで続いた元号です。ただし「昭和の死語」として話題になりやすいのは、昭和の全期間ではありません。とくに、テレビ・雑誌・広告の影響が強く、若者語や流行語が全国に広がりやすかった昭和後期(1970〜1980年代)に生まれた言葉が中心になりやすい傾向があります。
一方で、昭和末(とくに1980年代後半)はいわゆるバブル期と重なり、平成初期の空気と地続きです。そのため、「昭和の死語」としてまとめられていても、実際には平成初期に流行が定着した語が混ざることがあります。これは間違いというより、「世代感覚として一括りにされやすい」領域がある、という現象です。
この記事では、会話で役立つ形にするため、流行期を厳密な年号で断言するよりも、次のように目安のラベルで扱います。
昭和前期寄り:戦前〜戦後直後の匂いが強い
昭和中期寄り:高度経済成長期、テレビ普及期の色が濃い
昭和後期寄り:70〜80年代の若者文化、バラエティやCMの影響が大きい
昭和末〜平成初期寄り:バブル〜90年代初頭にかかる
この整理を頭に入れておくと、「その言葉、昭和じゃなくない?」と突っ込まれたときにも、落ち着いて説明しやすくなります。
昭和の死語が生まれた背景
昭和の死語が生まれ、そして古びていく背景には、当時の情報環境と生活環境が深く関係しています。代表的な背景を押さえておくと、言葉を覚えるだけでなく、会話のネタとしても扱いやすくなります。
テレビとCMが流行語のエンジンだった
昭和は、家庭にテレビが普及し、同じ番組・同じCMを多くの人が同じタイミングで見ました。結果として、タレントの口癖、番組の決まり文句、CMのフレーズが“全国共通語”のように広がりました。いまのように視聴が分散しない分、流行が集中していたのです。
道具の使い方が言葉に直結していた
例として分かりやすいのが、回転式チャンネルの「チャンネルを回す」です。操作の実感がある世代にとって自然な表現でも、ボタン操作しか知らない世代には比喩の起点がありません。生活と道具が変わると、言葉の“根っこ”が切れてしまいます。
若者文化が「分かる人には分かる」内輪から一般へ広がった
仲間内の言い回しやノリが、漫画・雑誌・テレビを通じて一般化し、定着した後に古びる。これは昭和に限らず起きますが、昭和は拡散経路が強く、定着が早かった分、世代差もくっきり出やすくなりました。
言葉遊びが強かった
「〜ちょんまげ」のような語尾遊び、ダジャレ的な響き、リズム重視の言い回しなど、場の空気を軽くする目的で生まれた言葉も多くあります。場面が変わると寒く感じられるのは、その“目的”が変わるからです。
背景を知ると、「古いからダメ」ではなく「当時はこういう環境で、こういう役割があった言葉」として理解でき、世代間の会話も柔らかくなります。
昭和の死語一覧をジャンル別に覚える
ここでは、昭和の死語を「覚えやすい」「会話で困りやすい」ジャンルに分けて整理します。ポイントは、単に意味を知るだけでなく、現代の言い換えと使用安全度(家族・友人・職場など)を一緒に押さえることです。意味だけ暗記しても、使いどころを間違えると事故りやすいからです。
まずは全体を俯瞰できるように一覧表を置き、その後にジャンル別で補足します。
| 用語 | 意味 | 流行期目安 | 由来メモ | 現代の言い換え | 使用安全度 |
|---|---|---|---|---|---|
| アベック | 恋人同士の二人連れ | 昭和中期〜後期 | 「avec」由来の日本独自の用法 | カップル、二人連れ | 家族内は可/職場は注意 |
| ナウい | 今風、イケてる | 昭和後期 | now由来の若者語 | 今っぽい、イケてる | ネタなら可/真面目は不可 |
| 花金 | 金曜の夜を楽しむ | 昭和末〜平成初期寄り | 週休二日や消費文化と相性 | 金曜の夜、華金 | 友人は可/職場は文脈次第 |
| マブダチ | 親友 | 昭和後期 | 俗語として定着 | 親友、相棒 | 友人は可/職場は注意 |
| バッチグー | ばっちり、最高 | 昭和後期 | ノリの良い言い回し | ばっちり、最高 | 友人は可/職場は注意 |
| 許してちょんまげ | 許してほしい | 昭和後期 | 語尾遊びのギャグ | ごめん、許して | 家族・友人向け |
| あたり前田のクラッカー | 当たり前だ | 昭和中期〜後期 | CM由来として知られる | 当然、当たり前 | ネタ限定 |
| アウトオブ眼中 | 対象外、興味なし | 昭和末〜平成寄り | 英語混ぜの俗語 | 対象外、眼中にない | 友人向け/職場は注意 |
| ほの字 | 恋心がある | 昭和中期〜後期 | 当て字表現として広がる | 気がある、好き | ネタ寄り |
| チョベリバ | すごく最悪 | 昭和末〜平成寄り | 「超ベリー…」系 | 最悪、やばい | 友人向け |
| チョベリグ | すごく良い | 昭和末〜平成寄り | 同上 | 最高、めっちゃ良い | 友人向け |
| いかす | かっこいい、良い | 昭和中期〜後期 | 俗語として定着 | かっこいい、良い | 文脈次第 |
| バイビー | じゃあね | 昭和後期 | 別れの軽い挨拶 | じゃあね、またね | 友人向け |
| おニュー | 新品、新しい | 昭和後期 | new由来 | 新しい、新品 | 家族内は可 |
| チャンネルを回す | チャンネルを変える | 昭和後期 | 回転式チャンネル前提 | チャンネル変える | 家族内なら可 |
| A面B面 | 表裏、前後半 | 昭和後期 | レコード・カセット由来 | 表面/裏面、前半/後半 | 家族内なら可 |
| お茶の子さいさい | 簡単 | 昭和中期〜後期 | 慣用句として浸透 | 簡単、余裕 | ネタ寄り |
| がっつり | しっかり、たくさん | 昭和後期〜 | 今も残るが古さが出る場合 | しっかり、たくさん | 普通に可 |
※「昭和の死語」として語られる語の中には、昭和末〜平成初期にかかるものもあります。会話用途では「そのあたりの時代感」として扱い、断定しすぎないのが安全です。
恋愛や人間関係の昭和の死語
恋愛・人間関係の言葉は、価値観の変化が直撃しやすく、古びやすいジャンルです。とくに「当時は普通でも、いまは言い回しが気恥ずかしい」「そもそも使う場面が減った」というタイプが目立ちます。
アベック
「恋人同士の二人連れ」という意味で使われましたが、いまは「カップル」が主流です。若い世代にとっては“聞いたことがない”可能性が高いので、説明なしに使うと会話が止まりやすい言葉です。
うまい使い方は、最初から言い換え込みで出すことです。
例:「今日、駅前でカップル多かったね。昔の言い方だとアベックって言ったりしたよね。」
ほの字
「ほの字だね」のように、恋心があることを匂わせる言い回しです。真面目な恋愛相談で使うより、昭和感を笑いに変える雑談向きです。
例:「あの二人、ほの字っぽいね。いや、今の言い方だと“気がある”かな。」
マブダチ
親友の意味ですが、砕けた響きが強いので職場の上司や取引先の前では避けた方が無難です。同世代の友人同士なら、懐かしさ込みで通じやすい言葉です。
例:「高校のマブダチと久々に会った」→職場なら「高校の親友」で安全。
このジャンルで大事なのは、言葉そのものより「相手との距離感」です。恋愛や人間関係は“からかい”に聞こえやすいため、相手の表情を見て、少しでも引っかかりがあれば即座に言い換えに切り替えるのがコツです。
日常生活と家電由来の昭和の死語
生活道具が変わると、言葉は一気に“説明が必要なもの”になります。昭和の死語の中でも、このジャンルは「意味は推測できても、体感がなくてピンと来ない」タイプが多いのが特徴です。
チャンネルを回す
昔のテレビは、物理的にダイヤルを回してチャンネルを変えるタイプが一般的でした。その体感がある人にとって自然でも、ボタン操作しか知らない世代には比喩の起点がありません。
安全な言い換えは「チャンネルを変える」です。
ただ、家庭内の会話では「回す」でも通じることがあり、ここが“身内では生きている死語”の典型です。
A面B面
レコードやカセットの表裏を指す言い方です。いまは配信で“裏面”の概念自体が薄いため、若い世代ほどピンと来ません。
使うなら「前半・後半」「表の曲・裏の曲」のように補助線を入れると親切です。
このジャンルは、説明がしやすいのが救いです。「昔はこういう機械でね」と、道具の話に繋げると、むしろ会話が盛り上がります。昭和の死語を“文化紹介”として扱えるのが強みです。
仕事と社会の昭和の死語
仕事言葉は、古さが出ても“通じてしまう”ケースがある分、厄介です。通じるからこそ、無意識に多用してしまい、若い世代からは「何か古い」「回りくどい」と感じられることがあります。
仕事・社会系の言葉は、次の観点で整理すると安全です。
意味が曖昧になりやすい言葉
例:「よしなに」
便利ですが、相手によっては“丸投げ”や“曖昧な指示”に見えます。若い世代ほど、指示の明確さを重視する傾向があるため、職場では具体化して言うのが無難です。
言い換え例:「この条件で進めてください」「この点だけ確認してください」
比喩が強く、知らないと置いていかれる言葉
例:「一丁目一番地」
“最重要事項”の比喩として使われますが、知らない人には地名の話に聞こえてしまいます。
言い換え例:「最優先」「まず押さえるべき点」
勢いで押し切るタイプの言葉
例:「気合いで」「根性で」
いまは合理性・再現性を求める場面が増えているので、指示として使うと反発を招くことがあります。
言い換え例:「手順を整理しよう」「一回分解しよう」
仕事と社会の死語は、笑いよりも“誤解リスク”が先に立ちます。職場では、昭和語を使うなら雑談に限定し、業務の指示・評価・謝罪では避けるのが安全策です。
リアクションと決まり文句の昭和の死語
このジャンルは、うまく使えば場を和ませますが、失敗すると「自分だけが楽しい」になりやすい領域です。ポイントは、短く・軽く・引きずらないことです。
許してちょんまげ
親しい関係なら通じますが、職場の謝罪で使うと軽く見られる可能性が高い言葉です。家庭や友人間での小さなミスに留めるのが無難です。
例:「遅刻しちゃった、許してちょんまげ」→友人同士なら成立しやすい
バッチグー
「ばっちり」「最高」のニュアンスで、勢いがあります。テンション高めの場では成立しますが、真面目な評価や報告の文脈では幼く見えることがあります。
言い換えは「ばっちり」「問題ない」「完璧」など。
あたり前田のクラッカー
昭和感が強く、説明なしだと置いていかれやすい代表格です。だからこそ、昭和ネタを共有している場では強い一撃になります。
使うなら「いや、昭和のCMネタだけど」と一言添えるだけで、寒さが一気に減ります。
このジャンルで失敗しないコツは、相手の反応が薄いときに「ごめん、今の古かったね」と自分で回収して、すぐ普通の言葉に戻すことです。回収が早いほど、むしろ“気が利く人”に見えます。
昭和の死語を今使うなら安全な出し方を選ぶ
昭和の死語は、完全に封印するものではありません。問題は「使うかどうか」より「どう出すか」です。場面を選び、言い換えを準備し、通じなかったときの逃げ道を用意すれば、世代差はむしろ会話の面白さになります。
安全にウケる場面と滑る場面
まず大前提として、昭和の死語は“共通認識”が薄い相手ほどリスクが上がります。安全度の目安を、具体的に整理します。
ウケやすい場面
同世代が多い飲み会、同窓会など、共有の記憶がある場
家族の団らん、親戚の集まりなど、関係性が近い場
昭和レトロ番組・昔のアイドル・歌謡曲など、昭和ネタが既に出ている場
「わざと昭和っぽく言う」ことが暗黙に許されている空気
滑りやすい場面
初対面、取引先、面接など、相手の許容範囲が読めない場
若いメンバーだけの空間に“説明なし”で投げる
叱責、評価、謝罪など、言葉の重みが必要な場
会議など、目的が明確な場(冗談の余白が少ない)
特に職場は、言葉が“ノリ”ではなく“情報”として処理される場面が多いので、昭和語は慎重に扱う方が安全です。「伝わるか」だけでなく「軽く見えるか」「上から目線に見えるか」も含めて判断します。
言い換えフレーズで会話をつなぐ
昭和の死語を“使っても大丈夫な人”は、だいたい共通しています。言い換えをセットにできる人です。おすすめは次の3つの型です。
型1:昭和語を言ってから即言い換える
例:「それ、ナウいね。今で言うと“今っぽい”ってこと。」
これなら、相手が知らなくても「意味が分からない」が起きません。
型2:現代語を言ってから昭和語を添える
例:「金曜の夜ってテンション上がるよね。昔は“花金”って言ったんだよ。」
主語が現代語なので、昭和語は“補足情報”として処理され、相手の負担が少なくなります。
型3:クイズ化して場を作る
例:「突然だけど“アベック”って分かる?……正解はカップルね。」
相手が知らなくても恥をかきにくく、会話のゲームになります。
重要なのは、昭和語を“主役”にしないことです。主役は会話そのものです。昭和語はスパイスに留めると、世代差が心地よい笑いに変わります。
相手が若いときの確認の聞き方
相手が若いとき、昭和語を投げて反応を見るやり方は、試されているように感じさせることがあります。代わりに、相手が安心して参加できる聞き方を選ぶと、会話が柔らかくなります。
「これ、昔の言い方なんだけど、伝わるかな?」
「今の言い方だと何て言うんだっけ?教えて」
「意味が違ってたらごめんね。昔はこう言ったんだよ」
こう聞くと、相手は“正解を当てる側”ではなく“教える側”になれます。結果として、世代差が上下関係ではなく、相互理解のきっかけになります。
昭和の死語が通じない理由と世代差の埋め方
「通じない」こと自体を嘆くより、通じない理由を知っておくと、必要以上に傷つかずに済みます。言葉が古びるのは自然な現象です。ここでは、昭和語が通じにくくなる構造と、世代差を埋める具体策を整理します。
生活様式が変わって消えた言葉
生活様式の変化は、言葉の寿命に直結します。代表的なのが、物理操作が前提の言葉です。
回転式の操作が消えた → 「チャンネルを回す」が比喩として成立しにくい
レコード・カセット文化が薄れた → 「A面B面」が実感を伴わない
公衆電話・ポケベルなどの文化が薄れた → それに関連する言葉が説明前提になる
世代差を埋めるコツは、言葉だけで済ませず、背景を一言で添えることです。
「チャンネル回すって言っちゃうけど、昔ダイヤル式だったんだよね」
「A面B面って、カセットの表と裏みたいなもの」
背景説明は長くする必要はありません。むしろ一言で十分です。相手の頭に“絵”が浮かぶだけで、通じやすさが大きく変わります。
メディアと流行の速度が変わった
昭和は、流行がテレビや雑誌を中心に広がりました。全国の多くの人が同じコンテンツを同時期に消費しやすかったため、流行語が“全国一斉”で共有されることが多かったのです。
一方いまは、SNS・動画・コミュニティごとに流行が分散し、しかも変化が速い。つまり、現代は「同じ世代でも共有語がズレる」時代です。昭和語が通じないのは、若い世代のせいというより、共有の仕組みが変わった結果です。
この認識があると、「知らないの?」ではなく「知らなくても当然だよね」と自然に言えます。言葉を共有する姿勢が柔らかくなるほど、世代差は埋まります。
家族と職場で温度差が出るポイント
同じ言葉でも、家庭と職場では意味合いが変わります。理由は、会話の目的と関係性が違うからです。
家族の会話
目的:雑談・感情共有が中心
関係性:近く、多少の誤解が許される
結果:昭和語が“ノリ”として成立しやすい
職場の会話
目的:情報共有・意思決定・責任分担が中心
関係性:上下・利害・評価が絡む
結果:昭和語が“曖昧”や“軽さ”に見えやすい
だから職場では、昭和語を使うなら「雑談の一瞬」に留め、業務の中核では使わないのが基本です。どうしても使うなら、必ず言い換えを併記し、伝達精度を落とさないことが重要です。
昭和の死語を調べる方法と根拠の取り方
昭和の死語は、由来や流行期が“なんとなく”で語られやすい分野です。会話のネタとしては十分でも、説明しようとすると曖昧さが露呈しがちです。ここでは、調べ方を押さえ、言葉の確度を上げる方法を紹介します。
辞書で定義と用例を確認する
まず、「死語」という言葉自体の定義を確認しておくと、議論がブレにくくなります。辞書で「死語」がどう説明されているかを見ると、語彙としての死語と言語としての死語の違いが整理されます。
また、個別の言葉を調べるときも、辞書や用例集は強力です。SNSの断片情報よりも、「どういう意味で、どういう文脈で使われたか」がまとまっているため、会話に落とし込みやすくなります。
調べるときのコツは、意味だけで終えないことです。
どんな文で使われたか(用例)
どの年代の雰囲気か(語感)
似た言葉との違い(ニュアンス)
この3点が揃うと、相手に説明する際に“ふわっとした解説”になりません。
語源は一次に近い解説で裏取りする
昭和語は、語源が盛られやすい傾向があります。「〜が元ネタらしいよ」という噂は面白い反面、断定すると危険です。語源を語るなら、できるだけ信頼度の高い説明に当たるのが無難です。
語源を扱うときは、次のように確度の言い方を変えるだけでも安全になります。
確度が高いとき:
「由来は〜と言われている(根拠が明確)」諸説あるとき:
「諸説あるけど、よく聞くのは〜という説」根拠が弱いとき:
「そういう話もあるみたいだけど、確かなところは分からない」
会話は学術発表ではありませんが、断定口調だけは避けると、信頼感が保てます。
流行期はデータで当たりを付ける
「いつ流行ったか」を正確に言い当てるのは意外と難しいものです。地域差もありますし、テレビ発の流行と学校内の流行ではタイムラグが生まれます。
そこで役立つのが、データで“当たり”を付ける視点です。出版物の出現頻度や、新聞・雑誌のアーカイブ検索などを使うと、「この頃に多かったらしい」という傾向が見えます。会話用途なら、年号まで断言せず、次のように言うだけで十分です。
「昭和後期の若者語として有名」
「バブル期あたりのノリが強い」
「昭和末〜平成初期にかかる感じ」
この言い方なら、細部がズレても会話が破綻しません。重要なのは、相手に“時代の空気”が伝わることです。
昭和の死語に関するよくある質問
ここでは、「昭和の死語」を調べる人がつまずきやすい疑問をまとめます。言葉は正解を当てるより、相手との認識を揃える方が大切です。ズレやすいポイントを先回りして押さえておくと、会話でも説明でも困りません。
昭和の死語と平成の死語はどう区別する
実務的な(※この表現は避けます)区別としては、生活背景とメディア背景で判断するのが分かりやすいです。
昭和寄り:テレビ・雑誌・CMの影響が強い、家電の物理操作が前提、レトロな生活背景
平成寄り:携帯電話・ネット・プリクラ・ギャル文化など、デジタル寄りの生活背景
ただし、昭和末はバブル期で、平成初期とカルチャーがつながっています。そのため「花金」や「チョベリバ」など、“昭和末〜平成初期寄り”として揺れる語が出ます。厳密に線を引くより、「そのあたりの時代感」として扱う方が会話では安全です。
アベックはなぜ通じにくいのか
理由はシンプルで、現代では「カップル」という語が一般化し、置き換わったからです。さらに、言葉の響き自体が“古い言い回し”として定着しているため、知らない人にとっては推測もしにくい側面があります。
通じにくい言葉ほど、言い換え込みで出すのが正解です。
「カップル多いね。昔はアベックって言ったんだよ」
この形なら、相手が知らなくても会話が止まりません。
ナウいは今でも使うと痛いのか
「ナウい」は、昭和の若者語の象徴として扱われやすく、真面目に使うと“わざとらしさ”が出やすい言葉です。つまり、痛いかどうかは言葉そのものより、文脈で決まります。
痛く見えやすい:真顔で褒め言葉として使う(例:「その服ナウいね」)
痛く見えにくい:昭和ネタとして自覚的に使い、即言い換える(例:「ナウい、って言いたくなる。今っぽいよね」)
「わざと昭和っぽく言う」ことが共有できる相手なら、むしろ会話が弾みます。共有できない相手には、言い換えを優先した方が無難です。
家族には通じるのに職場で危ないのはなぜ
家族は関係性が近く、背景共有が多いため、言葉が多少ズレても笑って済ませやすいからです。一方で職場は、言葉が情報伝達や評価に直結します。
職場で危ない理由は次の3つです。
通じないと、情報が落ちる
軽く見える可能性がある
世代差が上下関係に見えてしまうことがある
対策は単純で、職場では標準語を基本にし、昭和語は雑談に限定し、使うなら必ず言い換えを添えることです。
最後に、昭和の死語を使う前の確認として、次のチェックだけ押さえておくと安心です。
相手の年代や許容範囲が読めない場では使わない
仕事の指示・評価・謝罪では使わない
使うなら言い換えをセットにする
通じなかったら即回収して標準語に戻す
由来や年代は断定しすぎず、「〜くらいの時代感」として話す
昭和の死語は、封印するものではなく、使い方次第で“世代をつなぐ道具”になります。意味と言い換え、そして場面選び。この3点を押さえて、気まずさよりも懐かしさが残る会話にしていきましょう。