開業準備で最後まで迷いがちなのが「お店の名前」です。おしゃれにしたい一方で、読めない名前は避けたい、検索で見つからないのは困る、SNSアカウントやドメインが取れないと後で詰む――そんな不安が重なるほど、候補は増えても決めきれなくなります。
本記事では、感覚に頼らず「おしゃれ×覚えやすい」を両立する店名の作り方を、手順と型に落とし込んで解説いたします。コンセプトの固め方から、言葉選びのテンプレ、候補を30個まで量産する方法、Google・SNS・ドメイン・商標の確認ポイント、最後に迷わないスコアリングまで、開業前に一気通貫で整理できます。
読み終えたころには、店名候補が3つに絞れ、どれを選んでも理由を説明できる状態になっているはずです。店名を決めて、ロゴ制作やSNS運用、看板・名刺の準備を前に進めたい方は、ぜひこのまま読み進めてください。
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お店の名前をおしゃれにしたい人が最初に決めること
開業準備で意外と長引くのが「お店の名前」です。内装やメニュー、ロゴの方向性は決まってきたのに、店名だけが決まらず名刺も看板もSNSも動かせない――そんな状態に心当たりがある方も多いはずです。店名は、初めて見つけてもらう入口であり、覚えてもらう“鍵”でもあります。しかも一度定着すると変更が難しく、変更するとしても費用だけでなく、口コミや検索の積み重ねが分断される痛手が出やすい領域です。
「おしゃれ」は大切です。ただし、“おしゃれっぽい言葉”を拾い集めるだけでは、後で詰まりがちです。読めない・覚えられない・検索されない・SNSのアカウントが取れない・ドメインが取れない・同名が強すぎる・商標で不安が残る。こうした現実的な壁を避けながら、ちゃんと世界観も作る。そのために最初に整えるべきなのは、センスではなく順番です。
ここでは、店名づくりを「決める前に固めること」→「おしゃれに見せる型」→「候補量産」→「確認」→「最終決定」という流れで、迷いにくく再現できる形に落とし込みます。
店名は世界観より先にコンセプトとターゲットを固定する
店名を決めるとき、最初に「響きがいい」「見た目が可愛い」「英語だとおしゃれ」から入ると、候補が増えるほど迷いが増えます。なぜなら、判断基準が感覚に寄りすぎて、比較できなくなるからです。そこで、先に“言葉選びの土台”を固定します。
おすすめは、コンセプトを一文で言える状態にすることです。難しく考えず、次の枠に当てはめます。
誰に:___に
何を:___(商品・体験)を提供して
どうなってほしい:___(感情・状態)になってもらう
例)
仕事帰りの女性に、短時間で整う施術を提供して、明日が少し楽しみになるサロン
一人で静かに過ごしたい人に、落ち着ける席と飲み物を提供して、気持ちをほどくカフェ
ちょっとした贈り物に迷う人に、上質で小さな雑貨を提案して、選ぶ時間ごと嬉しくなる店
この一文があると、店名の方向性がぶれにくくなります。たとえば「都会的・ミニマル」に振るなら、短い造語やローマ字が合いやすい。一方「ナチュラル・やさしい」に寄せるなら、ひらがなや季節語、丸い音が合いやすい。店名は“世界観の象徴”ですが、その前に「誰のために、何をどう届けたいか」を決めると、象徴としての店名が生きます。
さらに重要なのは、コンセプトが固まると「説明できる店名」になりやすい点です。店名を聞かれたときに由来を言えると、覚えられやすくなり、紹介もされやすくなります。紹介のされやすさは、口コミやSNS拡散に直結します。
おしゃれの方向性を3タイプに分ける
「おしゃれ」の解像度が低いまま進むと、候補が出ても評価が割れます。自分の好み、共同創業者の好み、家族の好み、そして“来てほしいお客さま”の好みが混ざるからです。そこでまず、おしゃれを3タイプに分けて選びます。ここで選ぶのは“自分が好き”ではなく、“来てほしい人が安心する”方向です。
| おしゃれタイプ | 伝わる印象 | 合う業種の例 | 使いやすい言葉の傾向 |
|---|---|---|---|
| 上品・クラシック | 丁寧、落ち着き、特別感 | サロン、焼菓子、レストラン | 柔らかい語感、短め、余白のある字面 |
| ナチュラル・やさしい | 親しみ、温かさ、安心 | カフェ、雑貨、花屋 | ひらがな、自然・季節、丸い音 |
| 都会的・ミニマル | 洗練、速さ、スマート | セレクト、バー、ジム | ローマ字、短い造語、キレのある音 |
たとえば、上品・クラシックは「落ち着いて選びたい」「少し背伸びしたい」という感情に合います。ナチュラル・やさしいは「緊張せずに入りたい」「話しかけやすい」などの安心感に合います。都会的・ミニマルは「効率よく」「センスが良いものを」などのスマートさに合います。
どれが正解ではなく、店の立地や価格帯、客層によって“強い型”が違います。駅前で初見が多いなら、読める・言える・検索できる方向が強い。予約制で既に導線があるなら、やや尖った名前でも成立しやすい、という現実的な差もあります。
店名で誤解を生まないための注意点
おしゃれを追うときに見落としがちなのが、「店名は情報でもある」ということです。初めて見る人は、店名だけで店のイメージを補完します。その補完がズレると、来店前から機会損失が起きます。
典型的なズレは次のようなものです。
和の雰囲気なのに英語だけで、洋風だと思われる
価格帯が高めなのに可愛すぎる字面で、カジュアルだと思われる
静かに過ごしてほしい店なのに元気な語感で、賑やかな店と思われる
専門性が強いのに抽象的すぎて、何の店か分からない
もちろん、あえてズラす戦略もあります。ただし開業初期は“認知がない”状態から始まるため、ズラしは難易度が上がります。まずは「伝わる」ことを土台にして、そこに“おしゃれ”を乗せるほうが安全です。
さらに、誤解は検索にも影響します。たとえば「サロン」なのに店名からサロンだと分からない場合、検索されるキーワードとずれて見つけてもらいにくくなります。後でショルダーネーム(店名の補足)を使う、SNSのプロフィールで補うなどの工夫はできますが、最初から“伝わる要素”を一部入れておくと導線が強くなります。
お店の名前をおしゃれに見せる言葉の型
おしゃれな店名の作り方は、センスに見えて実は“型”があります。型があると、発想が枯れたときに戻れるため、迷いが減ります。ここでは「短さ」「字面」「音」「読みやすさ」という4つの観点から、再現できる形に整理します。
短さは武器になる(7文字前後・略称まで設計)
店名は、看板やロゴに載り、SNSのユーザー名になり、口コミで口に出され、地図で検索されます。つまり「読む」「書く」「言う」「打つ」すべての場面に出てきます。そこで効いてくるのが短さです。
短い店名のメリットは明確です。
覚えやすい
看板やロゴのデザインに余白が出る
口コミで言いやすい
SNSのユーザー名が取りやすい(長いと既に取られていることが多い)
検索で打ち間違いが起きにくい
目安としては7文字前後が扱いやすいことが多いですが、業態によってはもう少し長くても成立します。大切なのは、長い場合でも自然な略称が作れることです。略称は、こちらが狙って作るか、ユーザーに勝手に作られるかのどちらかです。勝手に作られると、思わぬダサさや被りが起きます。
たとえば、公式名が長い場合は次のように設計します。
公式名:〇〇〇〇〇〇〇
呼び名(口頭):〇〇
ハッシュタグ:#〇〇
SNSユーザー名:@〇〇(取れない場合は@〇〇_shopなど)
略称を決めるときは「言いやすいか」「他と被っていないか」「その略称でも店の印象が崩れないか」を必ず確認します。
字面と音のルール(表記の使い分け)
おしゃれは“視覚情報”が大きいので、同じ意味でも表記で印象が変わります。店名を見た瞬間の空気感は、ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字で大きく動きます。
ひらがな:やわらかい、親しみ、入りやすい、温度が低すぎない
カタカナ:軽快、現代的、ポップ、視認性が高い
漢字:信頼、重厚、老舗感、和のニュアンス
ローマ字:ミニマル、都会的、ブランド感、余白が作りやすい
ここで重要なのは「店の入口で誰にどう見えてほしいか」です。ナチュラル系の雑貨店がローマ字だけになると、少し冷たく感じることがあります。反対に都会的なバーがひらがなだけになると、狙う雰囲気から外れることがあります。
もう一つの軸が「音」です。音は、口コミのときに決定的です。たとえば、
口に出したときに噛む
似た音が多くて聞き取りづらい
濁音が多くて重たい
伸ばし棒や記号が多くて説明が必要
こうした要素は、紹介の場面でストレスになります。店名は、紹介されて初めて強くなります。音がスムーズだと、紹介の回数が増えます。
表記と音を合わせて考えると、たとえば「上品・クラシック」なら、短い文字列+余白のある字面+やわらかい音が相性が良い。「都会的・ミニマル」なら、短い造語+ローマ字+キレのある音が相性が良い、といった判断がしやすくなります。
外国語・造語の作り方と「読めない」問題の回避
外国語や造語は、おしゃれに見えやすい一方で、失敗の原因にもなりやすい領域です。失敗パターンはだいたい次の通りです。
読み方が複数あり、口頭で伝わらない
スペルが想像できず、検索で詰まる
“それっぽい”が意味がなく、由来を説明できない
似たスペルの店が多く、埋もれる
発音しづらく、口コミで避けられる
回避策はシンプルで、「読める」「打てる」「説明できる」を守ることです。
1)読みを固定する
カタカナ読みを前提にする(例:ローマ字でも読みが想像できる単語を選ぶ)
どうしても難しい場合は、ロゴや看板、SNSプロフィールに読みを添える(開業初期は特に有効)
2)スペルの難しい単語を避ける
綴りが直感的な短い単語に寄せる
“見ただけで打てる”範囲を超えない
3)造語は「2語の合成→短縮」で作る
ゼロからの造語は説明が難しくなりがちですが、2語の合成なら由来が作れます。例として、店の価値観(Calm、Bloom、Soraなど)と業態や素材(Cafe、Salon、Berryなど)を掛け合わせ、短く整えます。短縮後も読みが割れないかをチェックするのがポイントです。
4)意味の方向性が店と合っているか
外国語はニュアンスがずれることがあります。意味を調べ、コンセプトと矛盾しないか確認します。矛盾すると“言葉の薄さ”が出やすくなります。
おしゃれは「難しさ」ではなく「気持ちよさ」です。読めないおしゃれは、入口で離脱が起きやすいという前提で設計すると失敗しにくくなります。
お店の名前を候補30個まで量産する手順
店名づくりが止まる理由は、大きく2つです。ひとつは「候補が出ない」、もうひとつは「候補が出ても決められない」。どちらも、手順と評価軸を用意すると解決しやすくなります。ここではまず“出す”ことに集中して、候補を30個まで量産する手順を示します。30個も出すと、共通する“自分の好みの軸”も見えてきます。
ステップ1 コンセプトを一文にする
ここは前半で触れた通り、土台です。もう一度テンプレを置きます。
「誰に:___に、何を:___を通じて、どんな気分:___になってもらう店」
この一文は、店名の方向性だけでなく、後でロゴ制作や内装の言語化にも使えます。開業準備を前に進めるためにも、店名を考える段階で言語化しておく価値があります。
ステップ2 キーワードを採集する(商品・体験・場所・価値観)
次に、言葉の材料を集めます。ここでのコツは「オシャレな単語を探す」のではなく、「自分の店を構成する要素を全部出す」ことです。材料が増えるほど組み合わせが増え、候補が増えます。
紙を4列に分けて、各10語ずつ埋めます(合計40語)。
1)商品・提供(何を売る/提供するか)
例:コーヒー、焼菓子、紅茶、香り、髪、爪、花、器、古着、ワイン など
2)体験・感情(どう感じてほしいか)
例:ほっとする、整う、満たす、澄む、軽くなる、やさしくなる、集中する など
3)場所・時間(どんな場面で使われるか)
例:朝、夕方、路地、窓辺、雨、月、灯り、海、森、坂 など
4)価値観(店が大切にする姿勢)
例:丁寧、余白、上質、素直、手仕事、季節、静けさ、遊び心 など
この作業は、店名のためだけでなく、SNS投稿の言葉づかい、メニューや説明文のトーンにも効いてきます。
ステップ3 テンプレで組み合わせて量産する(例:名詞+名詞、色+場所、造語)
材料が揃ったら、テンプレに当てはめて量産します。重要なのは、ここでは「採用」しないことです。採用しようとすると手が止まります。まずは出す。
テンプレA:名詞+名詞
例:月+窓辺 → 「月窓」「月の窓辺」
例:森+余白 → 「森の余白」
名詞同士は雰囲気が出やすく、世界観が伝わりやすい組み合わせです。
テンプレB:形容+名詞
例:静かな+路地 → 「静かな路地」
例:やさしい+灯り → 「やさしい灯り」
形容詞を入れると、来店前の期待感が作りやすくなります。
テンプレC:場所+体験
例:窓辺+ほっとする → 「窓辺でほっと」→短縮して「窓辺ほっと」など
体験が入ると「何が得られる店か」が伝わりやすくなります。
テンプレD:色+名詞
例:白+余白 → 「白い余白」
例:青+路地 → 「青い路地」
色は視覚イメージを強く持てるため、ロゴや内装の方向性とも揃えやすいです。
テンプレE:造語(2語合成→短縮)
例:Calm+Luna → 「Caluna」
例:Bloom+Berry → 「Bloom&Berry」
造語は独自性が出ますが、読みやすさのチェックが必須です。
このテンプレを回すだけで、材料が40語あれば相当数の組み合わせが作れます。30個出すのが目的なので、1テンプレで10個×3テンプレくらいの感覚で十分です。
ステップ4 ダメ候補を落とす一次フィルタ(読めない/長い/説明できない)
30個出たら、次は削ります。一次フィルタは“迷いを減らす工程”です。ここで残すのは「なんとなく好き」ではなく、「最低ラインをクリアしている候補」です。
一次フィルタの基準は次の通りです。
読めない(読みが割れる)
長い(10文字以上で、略称が不自然)
意味を聞かれて説明できない(由来が作れない)
口に出すと噛む(音が悪い)
書けない・打てない(記号が多い/スペルが難しい)
店の雰囲気と誤解が起きそう(業態が逆に伝わる等)
ここで半分以上落ちても普通です。むしろ落ちないと後で決められません。一次フィルタ後に10個残れば成功。ここまで進むと「自分の店が目指すおしゃれの軸」も見えてきます。
お店の名前で失敗しない確認リスト(SNS・検索・ドメイン・商標)
候補が10個まで絞れたら、次は“現実の壁”を越えられるかを確認します。おしゃれでも、被り・検索性・SNS・ドメイン・権利で詰まると、後から変えるコストが一気に大きくなります。特に看板やパッケージを作った後に問題が見つかると痛いので、順番に確認します。
Googleで被りチェック(同業・同地域・表記ゆれ)
まずは検索で、同名・類似名がどれだけ存在するかを確認します。ここで見るのは「完全一致」だけではありません。表記ゆれや読みが近いものまで含めて、ユーザーが混乱しないかを見ます。
検索の型(候補ごとに実施)
「店名」
「店名+業態」(カフェ/サロン/雑貨/バー など)
「店名+地域名」
「ひらがな」「カタカナ」「ローマ字」など表記別
可能なら「読み方」でも確認(読みが複数ありそうなら特に重要)
判断の目安
同業・同地域に強い同名がある:避けるほうが無難
同業だが遠方に点在:成立することもあるが、将来の展開やSEOを考えると注意
表記ゆれで別の店が出る:混乱しやすいので改善余地あり
この時点で“危ない候補”は落としていきます。店名は、広告費をかけずに積み上げていく資産なので、検索で迷子が起きる設計は避けたいところです。
SNSの略称・ハッシュタグの被りチェック
SNSは店名の影響が大きい領域です。ユーザー名が取れない、ハッシュタグが別の意味で埋まっている、略称が有名コンテンツと被る――こうした問題は、投稿の伸びやすさ以前に「見つけてもらえるか」に影響します。
確認するもの
Instagram・X・TikTokなどで「店名」「略称」で検索
ハッシュタグ:#店名、#略称
ユーザー名:@店名 が取れるか(取れない場合の代案も含む)
代案の作り方(取りやすく、ブレにくい)
@店名_shop
@店名_cafe / @店名_salon
@店名_地域名(移転の可能性が低い場合)
ここで注意したいのは、略称が被るケースです。公式名は被っていなくても、略称が既に別ジャンルで強く使われていると埋もれやすくなります。略称は口コミでも使われるので、被りは早めに見つけて回避します。
ドメインが取れるか確認(Whoisの使いどころ)
Webサイトを作る予定があるなら、店名と近いドメインが取れるかは重要です。ドメインは名刺や看板にも載り、口頭で伝える場面も出てきます。短くて分かりやすいドメインは、それだけで信頼感にもつながります。
ドメイン候補の考え方
第一候補:店名そのまま(短いほど強い)
第二候補:店名+業態(cafe / salon / shop など)
第三候補:略称(ただし略称の被りに注意)
ドメインは「取れないから即アウト」とは限りませんが、店名が一般名詞に近いほど取れない可能性が高く、代案が増えるほど“覚えやすさ”が落ちます。店名が決まる前の段階で確認しておくと、後戻りが減ります。
商標を最低限チェック(J-PlatPatの使いどころ)
店名に関して不安が大きくなりやすいのが商標です。ここでは法的判断を断定するのではなく、少なくとも「見ないまま決める」リスクを避ける、という目的で最低限チェックの考え方を押さえます。
チェックの基本は、「同じ(または似た)名前が、同じ(または近い)領域で使われていないか」を見ることです。特に注意したいのは、表記が違っても読みが近いケース(称呼が近い)です。ユーザーが同じように呼ぶ名前同士は混同されやすく、トラブルの芽にもなり得ます。
この段階でできることは、“危険信号”を減らすことです。危険信号が多い候補は、早めに落とすか、表記や語を変えて再設計します。開業後に店名が育つほど、名前の変更は難しくなるので、開業前に不安を潰しておく価値は大きいです。
必要なら出願・費用の当たりを付ける(特許庁の料金表)
商標の話になると「出願すべきかどうか」で止まりがちですが、まずは費用感や優先度の当たりを付けるだけでも前進です。開業初期は、内装・設備・仕入れ・広告など出費が重なります。だからこそ、名前を守ることにどれだけ投資するかを、感情ではなく判断材料で考えられる状態にしておくと落ち着きます。
判断の軸の例
将来フランチャイズやEC展開など、名前が資産になる計画がある
店名を商品ラベルやパッケージに大きく載せる
既に同名・類似名が多く、差別化が難しい
予約や会員制など、ブランドの一貫性が重要
こうした要素が強いほど、早めに検討する価値が上がります。
決定前チェックリスト(コピペ用)
読みが一つに定まる
7〜9文字程度(長くても略称が自然)
略称・ハッシュタグが被っていない
Google検索で同業・同地域の強い同名がない
ドメイン候補が確保できそう
商標の簡易チェックで危険信号が少ない
家族・友人5人に口頭で伝えて、1回で復唱できた
このチェックを通すと、見た目のおしゃれさだけでなく、「使い続けて強い店名」に近づきます。
お店の名前を最終決定するスコアリングと決め方
候補が3〜5個に絞れたら、最後は“事業として強い”名前を選びます。最終局面で迷うのは普通です。迷うのは、どれも一定水準を超えた証拠でもあります。だからこそ、感覚だけでなく、比較できる形に落とし込みます。
評価軸(覚えやすさ/世界観/検索性/拡張性/法務リスク)
最終決定におすすめなのがスコアリングです。5点満点で評価し、合計点で比較します。スコアリングの良いところは、第三者に説明しやすい点と、議論が感情論に流れにくい点です。
| 評価軸 | 5点の基準 | 点数 |
|---|---|---|
| 覚えやすさ | 一度聞けば言える・書ける | |
| 世界観 | 店の雰囲気が一言で伝わる | |
| 検索性 | 表記ゆれが少なく探しやすい | |
| 拡張性 | 将来、商品や業態が広がっても耐える | |
| リスク | 被り・権利・誤解の懸念が少ない |
評価のコツ
1人で点をつけない(複数人の平均にすると偏りが減る)
覚えやすさは「5人テスト」で測る(言える/書ける/検索できる)
検索性は実際に検索して、上位に何が出るかを見る
拡張性は「3年後に何をやっているか」を想像して矛盾がないかを見る
リスクは“違和感の芽”を拾う(読みが割れる、同名が強い、誤解が起きそう等)
点数が僅差でも、どの軸で差がついているかが見えると、納得して決めやすくなります。
3候補に絞るまでの会議の回し方(投票+理由)
共同で決める場合、揉めない進め方があります。ポイントは「好き嫌いを言う前に、評価軸で話す」ことです。
おすすめ手順
それぞれが“推し候補”を1つ選ぶ
推す理由を評価軸で説明する(例:検索性が高い、拡張性がある 等)
全候補をスコアリングして、上位3つを残す
残った3つで追加テストをする(口頭で伝える、ロゴにしたときの見え方、略称の自然さ)
会議でありがちな失敗は、「なんか違う」「こっちのほうが可愛い」と感想が先に出て、議論が終わらなくなることです。評価軸を先に置くと、感想が出ても最後は比較に戻せます。
決定後にやること(ロゴ、Googleビジネスプロフィール、表記統一)
店名は、決めた瞬間より「使い始めた瞬間」に差がつきます。開業初期は情報が散らばりやすいので、表記統一を最優先にします。表記が揺れると、検索でも口コミでも迷子が発生します。
決定後にやること(優先順)
表記ルールを決める(全角半角、大小文字、スペース、記号の扱い)
略称・読み・ハッシュタグの基本セットを決める
SNSアカウントの取得(可能な限り早いほうが良い)
ロゴ制作(表記ルールに沿って設計)
Googleビジネスプロフィールなど、地図・検索に出る情報の登録と統一
名刺、看板、メニューなど制作物への反映
特に「読みの表記」「略称」「ハッシュタグ」は初期に固定しておくと、投稿が積み上がったときに強い資産になります。ここを後回しにすると、後で直すときに過去投稿を直せず、導線が分散しがちです。
お店の名前に関するよくある質問
最後に、店名検討でよく出る疑問をまとめます。ここを読むと、最終決定の迷いが一段減るはずです。
地域名や業態名は入れるべき?
入れるメリットは「伝わりやすさ」と「検索されやすさ」です。たとえば地域名が入ると、地域で探している人に刺さりやすく、業態名が入ると初見でも何の店か分かります。一方でデメリットは「将来の自由度が下がる」ことです。移転や業態拡張をすると、名前が足かせになる場合があります。
おすすめは折衷案です。
店名はブランド寄りに短く
伝える情報はショルダーネームで補う
例)
店名:〇〇
ショルダーネーム:焼菓子とコーヒー/ヘアと頭皮ケア/花と贈り物 など
この形なら、検索性とブランド性を両立しやすく、将来の変更もショルダーネーム側で柔軟に対応できます。
英語・フランス語は本当におしゃれ?読めない問題は?
英語やフランス語は、おしゃれに見えやすいのは事実です。ただし、読めない・打てない・検索できない問題が起きやすいのも事実です。特に開業初期は、口コミや紹介が重要なので「読みが割れる」名前は不利になりがちです。
対策として有効なのは次の3つです。
読みが想像できる短い単語を選ぶ
スペルが難しい単語を避ける
ロゴやプロフィールで読みを固定する(カタカナ併記など)
「おしゃれ」と「伝わる」は両立できます。むしろ両立した店名は、長く強くなります。
商標が怖いが、最低限どこまで見ればよい?
不安が強い場合でも、最低限としては「最終候補が3つに絞れた段階」で簡易チェックを入れるのが現実的です。早い段階で全候補を厳密に見ると時間がかかりすぎますし、逆に何も見ずに決めると後戻りのコストが大きくなりがちです。
見るべきポイントは「同じ(または似た)名前が、近い領域で使われていないか」です。表記だけでなく、読みが近い場合も注意します。危険信号が多い候補は落とす、または語を変えて再設計する。これだけでも不安は大きく減ります。
店名変更は避けるべき?どうしても変える場合は?
基本的には避けたほうが良いです。店名は検索・口コミ・SNS投稿・地図情報など、積み上げで強くなる資産です。名前を変えると、資産が分断されやすくなります。
ただし、どうしても変えざるを得ないケースもあります。例えば同名問題が深刻、誤解が大きい、事業転換で名前が合わなくなったなどです。その場合は、混乱を減らすために「一定期間の旧店名併記」と「導線の統一」を徹底します。
実施例
SNSプロフィールに「旧〇〇(旧店名)」を併記する
固定投稿で変更理由と新名称を案内する
看板や店頭POPで旧名からの変更を周知する
Googleビジネスプロフィール、地図情報、各種予約サイトの表記を同日に揃える
可能ならURLやSNSアカウント名は維持して、表示名だけ変更する(混乱が減る)
店名変更は“手続き”より“周知の設計”が重要です。情報が揃うほど、顧客の迷子が減ります。
ここまでの流れで進めれば、「おしゃれだから選ぶ」ではなく「おしゃれで、覚えられて、見つけられて、長く使えるから選ぶ」という状態に持ち込めます。最後は、チェックリストとスコアリングで背中を押し、表記統一まで一気に進めてください。そうすることで、店名が“悩みの種”から“集客資産”へと変わっていきます。