ビルやオフィス、マンションの設備担当になったものの、「空調設備」「給排水設備」「衛生設備」の違いを明確に説明できず、不安を抱えてはいませんか。
見積書や図面には専門用語が並び、業者との打ち合わせでもなんとなく理解したまま話を進めてしまう――そんな状況が続くと、思わぬトラブルや判断ミスにつながるおそれがあります。
本記事では、建築設備の中核である「空調」「給排水」「衛生」を一度に整理し、それぞれの役割・構成要素・違いを、専門知識がない方でも理解しやすい形で解説いたします。
さらに、更新や改修を検討する際の基本ステップ、費用や寿命の目安、よくあるトラブルと初動対応、関係する法令のポイントまでを体系的にまとめました。
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建築設備は、「空調・換気」「給排水・衛生」「電気」「昇降機」などで構成され、そのうち空調設備・給排水設備・衛生設備は建物の「空気」と「水」を守る中核的な設備です。
給排水設備は衛生設備の一部であり、衛生設備は給水・給湯・排水・通気・衛生器具・消火・ガス・水再利用などを含む上位概念です。
更新・改修・点検は、法令順守だけでなく、安全・衛生・事業継続の観点から中長期計画として検討することが重要です。
すぐに着手できるチェックリストと次のアクション
自社建物の空調・給排水・衛生設備の一覧と築年数・更新履歴を整理する
故障履歴・クレーム内容・法定点検の指摘事項をまとめる
安全・衛生・事業継続への影響を踏まえた優先度評価を行い、短期・中期・長期の更新計画案を作成する
信頼できる専門業者と相談し、技術的な妥当性を確認する
空調設備・給排水設備・衛生設備とは?建築設備の全体像
建物の設備に関わる方であれば、「空調設備」「給排水設備」「衛生設備」という用語を日常的に目にする一方で、その違いや関係性を正確に説明するのは意外と難しいものです。
ここではまず、建築設備全体の中でこれらがどのように位置づけられるのかを整理いたします。
建築設備の4分類と「空調・給排水・衛生」の位置づけ
一般的に、建築設備は次の4つに大別されます。
空気調和・換気設備
給排水・衛生設備
電気設備
昇降機設備
このうち本記事が対象とするのは、建物の「空気」と「水」に関わる以下の2分野です。
空気調和・換気設備(=空調設備に相当)
給排水・衛生設備(=給排水設備・衛生設備の総称)
電気設備や昇降機設備と同様に、空調・給排水・衛生設備も建物の安全・快適性を支える基盤インフラであり、日常的な維持管理が不可欠です。
空調設備・給排水設備・衛生設備の関係と違い(テキスト図解)
用語の関係性は、次のように整理できます。
空調設備:
室内の温度・湿度・空気の清浄度・気流・場合により圧力まで含め、空気環境を整える設備の総称です。
例:業務用エアコン、空調機、熱源機、ダクト、ポンプ、制御盤 など。給排水設備:
「給水設備」と「排水設備」を合わせた総称です。給水設備:水を建物内に供給する設備(給水管・貯水槽・ポンプなど)
排水設備:汚水・雑排水・雨水などを安全・衛生的に排出する設備(排水管・トラップ・通気管など)
衛生設備:
給排水設備を含みつつ、衛生器具・給湯・ガス・消火・排水再利用など、衛生的な生活・業務を実現するための設備全般を指す広い概念です。
概念の関係をテキスト図解すると、次のようなイメージになります。
建築設備
├ 空気調和・換気設備(空調設備)
├ 給排水・衛生設備
│ └ 衛生設備
│ └ 給排水設備(給水設備+排水設備)
├ 電気設備
└ 昇降機設備
すなわち、給排水設備は衛生設備の一部であり、衛生設備はその上位概念である、という整理がポイントです。
空調設備の基礎知識:役割・構成機器・種類
空調設備の役割(温度・湿度・空気清浄・気流の制御)
空調設備の役割は、室内の空気環境を「快適・衛生的・安全」な状態に保つことです。具体的には、以下の要素を制御します。
温度(冷房・暖房)
湿度(加湿・除湿)
空気の清浄度(粉じん・花粉・微細粒子などの除去)
外気導入・換気
気流(ドラフト感の抑制、温度ムラの低減)
用途によっては室内外の圧力差(クリーンルーム・手術室など)
一般に「エアコン」と呼ばれる機器も空調設備の一部ですが、ビル全体を対象とする空調設備は、熱源機・空調機・ダクト・配管・制御などを組み合わせた「システム」として設計されます。
代表的な構成要素(熱源機・空調機・ダクト・ポンプ・制御)
空調設備は主に以下の要素から構成されます。
熱源機
ボイラ、チラー、吸収式冷温水機、ヒートポンプなど
冷水・温水・蒸気などをつくり、空調機へ供給します。
空調機(エアハンドリングユニット・ファンコイルユニットなど)
室内空気または外気を取り込み、熱源から供給される冷温水と熱交換し、フィルタで清浄化したうえで室内に送風します。
ダクト・配管・ポンプ
ダクト:空調機から各室へ空気を届けるための経路
冷温水配管:熱源機と空調機をつなぎ、水を循環させる配管
ポンプ:冷温水などを循環させるための機器
制御・監視設備
温度・湿度センサ、バルブ、制御盤、中央監視装置など
自動制御により、省エネと快適性の両立を図ります。
主な方式と適用建物の例(個別方式・中央熱源方式 など)
空調方式は大きく以下に分けられます。
個別方式(パッケージエアコンなど)
1室〜数室単位で設置する方式です。
主な適用:小規模オフィス、店舗、住宅 など
特徴:初期費用が比較的低くレイアウト変更にも柔軟。一方、台数が増えると保守管理が煩雑になりがちです。
中央熱源方式(中央空調)
建物全体またはフロア単位で熱源・空調機を集約する方式です。
主な適用:大規模オフィスビル、病院、工場、商業施設 など
特徴:大規模建物で省エネ性や集中管理に優れますが、初期投資が大きく、更新時には大規模工事となる傾向があります。
給排水設備の基礎知識:給水設備と排水設備
給水設備の役割と構成要素(給水管・受水槽・高置水槽・ポンプなど)
給水設備の目的は、「必要な量の水を、必要な圧力で、衛生的に供給すること」です。代表的な構成要素は次のとおりです。
給水管
上水道本管から建物に水を引き込み、各階・各室へ分配する配管です。
受水槽(貯水槽)
上水道から供給された水を一時貯留し、安定した給水を行うための槽です。
高置水槽
屋上など高所に設置し、重力を利用して下階に給水するための水槽です。
揚水ポンプ・加圧ポンプ
受水槽から高置水槽へ水をくみ上げる揚水ポンプ、または直結増圧方式で必要圧力を確保する加圧ポンプなどがあります。
建物の規模・高さ・水道圧によって、これらの組み合わせや給水方式は異なります。
排水設備の役割と構成要素(排水管・トラップ・通気管など)
排水設備は、使用済みの水や雨水を安全かつ衛生的に建物外へ排出するための設備です。主な構成要素は以下です。
排水横枝管・排水立て管・排水管
器具から排水を集めて下階・屋外に導く配管です。
排水トラップ
排水口付近に設置される水封装置で、配管内の臭気や害虫が室内に逆流するのを防ぎます。
通気管・通気立て管
排水時の圧力変動を緩和し、トラップの封水が抜けてしまう「トラップ破封」を防ぐために設けられます。
配管計画が不適切であったり、通気が不十分であったりすると、悪臭や逆流などのトラブルが発生しやすくなります。
給排水設備の故障がもたらすリスクと衛生・事業継続への影響
給排水設備のトラブルは、目に見えにくい部分から突然顕在化し、大きな影響を及ぼすことがあります。
天井裏・壁内での漏水による、テナント・住戸・設備への被害
排水詰まり・逆流・悪臭による衛生問題・クレーム
水質悪化や貯水槽の管理不良による健康リスク
特にビル・商業施設・病院・工場では、給排水トラブルがそのまま営業停止・操業停止に直結する場合もあります。
更新・改修の優先度を検討する際には、これらのリスクを踏まえて総合的に判断することが重要です。
衛生設備とは何か:給排水設備との違いと範囲
衛生設備の定義と対象(衛生器具・給湯・ガス・消火・水再利用など)
衛生設備は、建物内・敷地内で衛生的な生活・業務環境を実現するための設備を幅広く含む概念です。主な対象は次のとおりです。
給水設備・給湯設備
排水設備・通気設備
便器・洗面器・浴槽・シャワー・流しなどの衛生器具
ガス設備(調理・給湯など)
消火設備(スプリンクラー・屋内消火栓など)
排水処理設備・排水再利用設備・雨水利用設備 など
「水を運ぶ配管」だけでなく、「水やガスを使う器具」や「消火・再利用まで含めた衛生システム」全体が衛生設備というイメージです。
「給排水設備は衛生設備の一部」という考え方
整理すると、概念の包含関係は次のようになります。
衛生設備
├ 給水設備
├ 給湯設備
├ 排水設備
├ 通気設備
├ 衛生器具
├ 消火設備
└ ガス設備 など
したがって、「給排水設備」は衛生設備の中核をなすサブセットであり、衛生設備 ⊃ 給排水設備という関係になります。
実務上は「給排水衛生設備」という一体の呼び方も広く用いられています。
住宅・オフィス・病院・工場での衛生設備の違いとポイント
衛生設備に求められる要件は、建物用途によって異なります。
住宅・マンション
快適性・意匠性・収納・掃除のしやすさなど、居住性の観点が重視されます。
オフィス・商業施設
利用者数が多いため、耐久性・清掃性・バリアフリー性(多目的トイレなど)が重要です。
病院・福祉施設
感染対策・バリアフリー・清潔性が特に重要であり、自動水栓や非接触機器の採用が進んでいます。
食品工場・研究施設
業界ごとの衛生基準・ガイドラインに基づく洗浄・排水・防汚対策が求められます。
設備担当者は、自社用途にとって特に重要な観点がどこにあるのかを把握しておくことが重要です。
導入・更新・点検の基本ステップ(発注側視点)
現状把握と課題整理:不具合・老朽化・法令適合性の確認
空調・給排水・衛生設備の導入・更新・大規模改修に着手する前に、まず「現状把握と課題整理」を行います。
各設備の築年数・更新履歴
故障・不具合・クレームの内容と頻度
保守費用・エネルギーコストの推移
建築基準法・建築物衛生法等に基づく法定点検・報告の実施状況
点検報告書に記載された指摘事項と是正状況
これらを一覧にまとめることで、どの設備にどの程度のリスクが潜在しているか、全体像を把握しやすくなります。
調査・計画・見積取得の流れとよくある失敗
現状把握の次は、調査・計画・見積取得のステップです。
現地調査・ヒアリング
更新・改修方針案の検討(全体更新/部分更新/方式変更など)
概算見積と予算枠の検討
詳細設計・正式見積の取得
よくある失敗としては、次のようなものが挙げられます。
故障した箇所だけを場当たり的に修理し続け、結果としてライフサイクルコストが増大する
長期計画を持たず、年度ごとの予算に合わせて最低限の対処に終始してしまう
見積比較の際に、仕様・保証条件・保守条件の違いを十分に比較しない
こうした点を避けるために、早期段階から将来を見据えた計画づくりが重要となります。
施工・試運転・引き渡し・保守までのチェックポイント
工事実施時には、次のようなポイントをチェックする必要があります。
工事中の安全対策・仮設設備の確保
テナント・利用者との調整(断水・空調停止の時間帯など)
試運転時の性能確認(温度・風量・水量・圧力・騒音など)
竣工図・取扱説明書・点検マニュアルの受領
保守契約内容(点検頻度・緊急対応・部品供給など)の確認
これらをチェックリスト化しておくことで、担当者が変わっても一定の品質でプロジェクトを進めやすくなります。
設備別:費用目安と更新サイクル・優先度の考え方
空調設備の更新費用の目安と寿命イメージ
空調設備の一般的な寿命の目安は、運転時間や環境条件にもよりますが、次のように考えられます。
個別エアコン(パッケージなど):10〜15年前後
熱源機・大型空調機:15〜20年前後
動作はしていても、老朽化に伴い故障リスクやエネルギー消費が増加し、結果的にランニングコストが膨らむケースも多くあります。
費用レンジのイメージとしては、
中小規模の室内機更新:数十万〜数百万円
大規模ビルの熱源更新:数千万円〜規模により億単位
といったレベルとなるため、中長期の更新計画に組み込んで検討することが重要です。
給排水設備・衛生設備の更新費用の目安と寿命イメージ
給排水・衛生設備の代表的な寿命イメージは次のとおりです(あくまで目安)。
衛生器具(便器・洗面器など):15〜20年程度
給水・排水配管:材質・施工状況によるが、おおよそ30年前後で全体更新を検討するケースが多い
受水槽・高置水槽・ポンプ:10〜20年程度で更新または大規模改修の検討
配管更新は建物全体に関わる大規模工事となることが多いため、建物の外装・内装リニューアル計画と合わせて検討することが一般的です。
予算が限られる場合の優先順位付けの考え方(リスクベース)
限られた予算の中で優先度を決める際には、次の観点を組み合わせた「リスクベース」の評価が有効です。
安全・衛生への影響(人命・健康への影響の大きさ)
事業継続への影響(営業・操業停止につながるかどうか)
故障頻度・修繕費用の推移
エネルギー・水道などランニングコストへの影響
設備ごとにこれらを5段階評価などで一覧表にし、
優先度A:早急に対応すべき設備
優先度B:中期的に計画を立てる設備
優先度C:将来計画に織り込む設備
といった区分で社内共有すると、合意形成がスムーズになります。
よくあるトラブルと初動対応・業者への相談目安
空調設備のトラブル(冷えない・異音・水漏れなど)と初動チェック
空調設備でよく見られるトラブルと、利用者側での初動チェック例です。
「冷えない/暖まらない」
運転モードや設定温度が適切かを確認
フィルタの汚れ・目詰まりの有無を確認
吸込口・吹出口が家具や什器でふさがれていないか確認
「異音がする」
一時的な異物混入かどうか確認
大きな異音が継続する場合、または焦げ臭いにおいを伴う場合は即時停止し、専門業者へ連絡
「室内機から水漏れ」
ドレンパンやドレン配管の詰まりが疑われる
電気・冷媒系統には手を触れず、速やかに業者へ相談
不要な分解や無理な作業は、かえって故障を悪化させたり感電・漏電などの危険を伴うことがあるため、注意が必要です。
給排水設備・衛生設備のトラブル(詰まり・漏水・悪臭など)と初動チェック
給排水・衛生設備では、次のようなトラブルが典型的です。
「詰まり・逆流」
トイレットペーパー以外の異物投入がなかったか確認
排水口やグリーストラップ周辺の清掃状況を確認
複数箇所で同時に不具合が出ている場合は、系統的なトラブルの可能性が高いため、業者へ連絡
「漏水」
漏水箇所(天井・壁・床・器具周り)を特定
止水栓で該当系統の水を一時停止
電気設備や重要機器への二次被害がないか確認
「悪臭」
長期間使っていない排水口でトラップの封水が切れていないか確認
排水口周りの清掃状況、床目地等の汚れを確認
通気不良や配管破損が疑われる場合は、専門業者による調査が必要
自社で行うべき対応と、速やかに専門業者へ任せるべきケース
自社(日常)対応の範囲の例
フィルタ清掃・簡易な清掃
目視点検(漏れ・異音・異臭・振動の有無など)
取扱説明書に記載された範囲の操作・設定変更
専門業者に任せるべき例
電気・ガスに関わる作業全般
高所・危険物を伴う作業
配管・機器内部の分解・溶接・ろう付けなど
法定点検・検査業務
安全面・保証面・法令面を踏まえ、無理な自社対応は避けることが重要です。
法令・基準と安全・衛生のポイント
建築基準法・建築設備関連の基準の概要(給排水・排水・通気など)
建築基準法およびその施行令では、建築設備が満たすべき最低限の安全・衛生基準が定められています。概要は次のとおりです。
給水設備:必要な水量・水圧を、衛生的な状態で供給できること
排水・通気設備:排水が滞りなく行われること、臭気や害虫が室内に逆流しないこと
貯水槽・排水槽:構造・材質・清掃方法などについて衛生上の配慮が求められること
これらを具体化したものとして、国土交通省の「建築設備設計基準・計画基準」や、飲料水配管・排水設備に関する技術基準告示などがあります。
建築物衛生法と空調設備・給排水衛生設備の関連
いわゆる「ビル管法」と呼ばれる建築物衛生法では、一定規模以上の建築物に対して、空気環境や水質、清掃などの管理基準と、環境衛生上の維持管理体制が求められます。
空気環境の基準(温度・湿度・一酸化炭素・粉じん量など)
空調設備・換気設備の点検・清掃
貯水槽の清掃・水質検査
ねずみ・昆虫などの防除 など
設備担当者は、自社の建物が「特定建築物」に該当するかどうか、またどの範囲の設備が対象となるかを確認しておく必要があります。
定期点検・報告義務と、実務上の注意点
一定規模以上の建築物では、次のような定期点検・報告が義務付けられています。
建築基準法に基づく建築設備定期検査
建築物衛生法に基づく環境衛生管理基準に関する定期検査
実務上は、
検査対象範囲(空調・換気・給排水・防火設備など)の把握
検査結果の指摘事項の内容
是正工事の優先度・予算計画との整合
を常に意識しながら、計画的な改善を進めることが重要です。
代表的な応用事例・改善例
古いビルの空調更新と省エネ・快適性改善の事例イメージ
旧式の空調機で、夏場は冷えムラ・冬場は暖まりにくいといった不満が多い
高効率インバータ機や最新制御システムへ更新し、ゾーン別制御・スケジュール運転を導入
結果として、電力使用量の削減と室内環境の均一化、故障件数の減少を実現
このように、更新投資がエネルギーコスト削減・快適性向上の両方につながるケースも多く見られます。
給排水設備更新による漏水リスク低減・水質改善の事例イメージ
築30年以上の建物で、天井漏水や赤水などのトラブルが散発
配管の一括更新、受水槽・高置水槽の更新・内面塗装の改良、清掃頻度の見直しなどを実施
漏水トラブルが大幅に減少し、水質クレームや水道料金のロスも抑制
長期的な視点で見れば、計画的な更新はトータルコストの抑制にもつながります。
衛生設備改善による利用者満足度向上・感染対策の事例イメージ
旧式トイレ設備で、清掃の手間やにおい、バリアフリー性に課題があった
節水型便器、自動洗浄機構、タッチレス水栓、多目的トイレの拡充などを実施
利用者アンケートでの満足度向上、清掃負荷の軽減、感染症対策への安心感向上に寄与
衛生設備の改善は、単なる「設備更新」に留まらず、施設のイメージアップにも直結します。
よくある質問(FAQ)
「空調設備」と「単体エアコン」の違いは何ですか?
単体エアコンは、1室または限定された範囲を対象とする「機器」を指します。
一方で空調設備は、熱源機・空調機・ダクト・配管・制御などを含めた「システム全体」を指し、建物全体またはゾーン単位の空気環境を総合的に管理するものです。
給排水設備と衛生設備はどちらが上位の概念ですか?
衛生設備が上位の概念です。その中に給水設備・給湯設備・排水設備・通気設備が含まれ、さらに衛生器具・消火設備・ガス設備なども含まれます。
したがって、給排水設備は衛生設備の一部と整理することができます。
更新・改修のタイミングはどのように判断すべきですか?
一般的な寿命の目安は参考になりますが、実際には次の要素を総合的に判断する必要があります。
故障頻度・修繕費用の増加
法定点検での指摘内容
エネルギーコスト・水道コストの増加傾向
テナント・利用者からのクレーム(暑い・寒い・臭い・漏水など)
これらが目立ってきた段階で、中長期の更新計画を立てることが望ましいです。
法定点検と任意の保守点検の違いは何ですか?
法定点検:建築基準法や建築物衛生法などで義務付けられている点検・検査であり、対象建築物・設備・周期が決められています。結果の行政報告が必要な場合もあります。
任意の保守点検:設備の安定稼働や故障予防を目的として、オーナー・管理者が自主的に実施する点検です。
両者は相互補完的な関係にあり、法定点検だけではカバーしきれない日常的なメンテナンスを、任意の保守点検で補うことが重要です。
業者選定の際に確認すべきポイントは何ですか?
対象設備に関する実績・専門分野
緊急対応や24時間対応の有無、拠点の距離
見積書の内容(仕様・範囲・保証・保守条件)が明確かどうか
担当者の説明の分かりやすさ・提案力・コミュニケーションの取りやすさ
単純な価格比較だけでなく、長期的なパートナーとして信頼できるかどうかも重要です。