咳をすると右胸が痛い…知恵袋で調べる前に知っておきたい原因と対処法

咳をしたタイミングで、右胸の一部がズキッと痛むと「肺に何かあるのでは」「肋骨が折れていないか」「がんや心臓の病気だったらどうしよう」と不安になる方は少なくありません。
しかも夜間や休日に症状が出ると、「今すぐ病院に行くべきなのか」「もう少し様子を見てもよいのか」の判断に迷いやすいものです。

本記事は、「咳をすると右胸が痛い」という症状で不安を抱えている成人の方を主な対象として、考えられる原因や危険なサイン、受診の目安や何科に行けばよいかを整理して解説いたします。
ただし、ここでお伝えする内容はあくまで一般的な医療情報であり、個別の診断や治療方針を決めるものではありません。少しでも「いつもと違う」「おかしい」と感じる場合は、自己判断に頼りすぎず、医療機関にご相談ください。

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咳をすると右胸が痛いときにまず知っておきたいこと

本記事の対象読者と前提

本記事は、次のような状況にある方を想定しています。

• 咳をしたときに右胸の一部、または右側全体に痛みを感じる

• 痛みは気になるが、救急に行くべきか、翌日以降の外来でよいのか判断に迷っている

• まずはインターネットや知恵袋などで情報を集めている

一方で、以下のような症状がある場合は、本記事を読み進める前に、救急車の要否も含めて早急に医療機関へ連絡することを強くおすすめいたします。

• 立っていられないほど強い胸の痛み

• 急に息が苦しくなって呼吸がしづらい

• 冷や汗・顔面蒼白・意識がもうろうとする

• 咳や痰に明らかな血が混じる

これらは命に関わる病気のサインである可能性があるためです。

「咳＋胸の痛み」は軽い原因から重い病気まで幅がある

「咳をすると胸が痛い」という症状は珍しいものではなく、咳のしすぎによる筋肉痛や肋骨周囲の炎症など、比較的軽い原因で起こることも多くあります。

しかし一方で、

• 肺炎・気管支炎などの呼吸器感染症

• 気胸や胸膜炎など、肺やその周囲の膜の病気

• 肺塞栓症や心膜炎、心筋梗塞など心臓・血管の病気

といった、放置すると命に関わる可能性のある病気が隠れている場合もあります。

「咳をしなければあまり痛くないから大丈夫」と自己判断してしまうと、受診が遅れ、重症化を招くおそれがあります。痛みの程度だけで軽重を決めつけないことが重要です。

右胸だけ痛いときに考えられる大まかなパターン

右側だけが痛む場合、おおまかに次のようなパターンが考えられます。

• 筋肉・肋骨・肋軟骨や肋間神経の問題
  咳のしすぎで筋肉や肋間神経、肋軟骨が炎症を起こしたり、まれに肋骨にヒビが入ることがあります。押すと痛い、体をひねると痛みが強くなるなど、体の動きと痛みが連動しやすいのが特徴です。

• 右肺や右側の胸膜の問題
  右側の肺炎や胸膜炎、右側の気胸などでは、右胸に限局した痛みとして自覚されることがあります。呼吸や咳で痛みが強くなり、息苦しさや発熱を伴うことが多いとされています。

• 皮膚や神経の病気（帯状疱疹など）
  皮膚表面のピリピリした痛みから始まり、後から赤い発疹が帯状に出てくる帯状疱疹なども、片側の胸の痛みの原因として知られています。

左右どちらに痛みが出るかだけでは、軽いか重いかを判断することはできません。あくまで「可能性がある原因の一つ」として捉え、他の症状や経過と合わせて考える必要があります。

咳で右胸が痛くなる主な原因と特徴（比較表）

ここでは、咳で右胸が痛くなる代表的な原因を、分かりやすく整理します。
あくまで一般的な傾向であり、「どれに当てはまるか」を自己診断する目的ではない点にご注意ください。

原因別の特徴を比較

（※表はイメージであり、実際の診断は医師による診察・検査が必要です。）

咳のしすぎによる筋肉痛・肋間神経痛・肋軟骨炎

強い咳が続くと、肋骨の間にある筋肉（肋間筋）や肋間神経、肋骨と胸の中心をつなぐ肋軟骨に負担がかかり、炎症や筋肉痛を起こすことがあります。

• 押すと痛い

• 体をひねる・起き上がるなどの動きで痛みが増す

• 咳や深呼吸で痛みが強まる

といった特徴があることが多く、骨折や重い病気がなければ、安静や鎮痛薬などで少しずつ改善していきます。ただし、痛みが強い、日に日に悪化する、呼吸が苦しくなるなどの場合は、別の病気が隠れていないか確認するためにも受診が必要です。

肋骨のヒビ・骨折

激しい咳が続いたり、転倒・打撲などの外傷があった場合、肋骨にヒビや骨折が生じることがあります。

• 同じ位置が鋭く痛む

• 笑う・くしゃみ・寝返りなど、ちょっとした動きでも痛い

• 深く息を吸うと痛みが増す

といった特徴があり、レントゲンやCTで確認することがあります。痛みを我慢していると呼吸が浅くなり、肺炎のリスクが高まることもあるため、「もしかして折れているかも」と感じたら早めに受診してください。

肺炎・気管支炎など呼吸器の感染症

風邪やインフルエンザなどが悪化し、肺炎や気管支炎になると、咳とともに胸の痛みを自覚することがあります。

代表的な症状には、

• 38度前後の発熱

• 黄色や緑色の痰

• 強いだるさや息切れ

• 呼吸や咳で胸の痛みが増す

などが挙げられます。高齢者や基礎疾患（心臓・肺・腎臓の病気など）がある方では、重症化しやすいため、早めの受診が推奨されます。

気胸・胸膜炎など肺を包む膜の病気

肺がしぼむ「気胸」や、肺を包む膜（胸膜）に炎症が起きる「胸膜炎」では、片側の胸に突然の鋭い痛みが出て、呼吸や咳で痛みが強まることがあります。

• 急にズキッとした痛みが出た

• 息を吸うと痛くて、浅い呼吸しかできない

• 階段を上がるとすぐに息切れする

といった症状があれば、早急な受診が必要です。若い痩せ型の男性や喫煙者に多いタイプの気胸も知られています。

心臓・血管の病気が隠れているケース

胸の痛みというと左側をイメージしがちですが、心臓や血管の病気によって右側や中央に痛みを感じることもあり得ます。

• 心筋梗塞や狭心症

• 心臓を包む膜の炎症（心膜炎）

• 肺の血管が詰まる肺塞栓症 など

これらでは、

• 胸の奥が締めつけられるように痛い

• 冷や汗・吐き気・息切れ・めまいを伴う

• 安静にしていても痛みが続く、または繰り返す

といった特徴を示すことが多く、救急対応が必要になる場合があります。

それ以外に考えられる原因（帯状疱疹など）

帯状疱疹は、体の片側に沿ってピリピリ・ヒリヒリする痛みが出た後、数日してから赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れる病気です。

胸の片側に痛みを感じる場合、最初は皮膚の見た目に変化がなくても、帯状疱疹が隠れていることがあります。発疹が出てから治療を始めるより、早期に受診した方が痛みを抑えやすくなることもあるため、「皮膚の表面が妙に敏感で触ると痛い」といった感覚があるときは皮膚科や内科で相談するとよいでしょう。

今すぐ救急受診を検討すべき危険なサイン（チェックリスト）

ここでは、特に見逃したくない危険なサインを整理します。
以下は一例であり、少しでも不安が強い場合はためらわずに医療機関へ相談してください。

【今すぐ救急受診を検討】レッドフラッグ症状

次のうち一つでも当てはまる場合、救急車の要否も含めて「今すぐ」受診を検討してください。

• 突然、これまでに経験したことがないほど強い胸の痛みが出た

• 胸の痛みとともに、息が苦しくて会話がつらい、横になれない

• 冷や汗が出る、顔色が明らかに悪い、意識がもうろうとする

• 咳や痰に鮮やかな血が混じる

• 片方の足が急に腫れて痛くなり、その後胸の痛みと息苦しさが出てきた（肺塞栓症のサインの一つ）

これらは、急性心筋梗塞や肺塞栓症、緊張性気胸など、命に関わる病気に見られることがあり、自己判断で様子を見るのは非常に危険です。

【当日〜翌日までに受診】できるだけ早めに診てもらいたい症状

• 38度前後の発熱が続き、咳とともに胸が痛む

• 呼吸をするときの痛みが日ごとに強くなっている

• 痛みで夜眠れない、仕事や日常生活に支障が出ている

• 数日〜1週間以上、咳と胸の痛みが続いている

こうした場合は、仕事や予定よりも健康を優先し、当日〜翌日までを目安に内科・呼吸器内科を受診してください。

【注意しながら様子見】ただし悪化したらすぐ受診

• 咳をしたときだけ一瞬ズキッと痛むが、普段はほとんど痛みを感じない

• 風邪の症状が軽く、全身状態は良好

• 日ごとに少しずつ痛みが改善しているように感じる

このような場合でも、痛みが強くなったり、息苦しさ・発熱・だるさなど新たな症状が出てきた場合は、様子見を中止して受診しましょう。

受診するなら何科？診療科の選び方と受診のタイミング

まず相談しやすいのは内科・呼吸器内科

「咳＋胸の痛み」という組み合わせでは、まずは内科あるいは呼吸器内科がもっとも相談しやすい選択肢です。

• 咳や発熱、だるさなど全身の症状も含めて診てもらえる

• レントゲンや血液検査など、必要な検査をまとめて行いやすい

• 必要に応じて、循環器内科や整形外科など他科に紹介してもらえる

近くに呼吸器内科がない場合は、一般内科（内科・総合内科）でも相談可能です。

心臓や血管の病気が心配なとき（循環器内科）

胸の痛みに加えて、

• 階段を上がるときの強い息切れ

• 動悸、脈の乱れ

• 冷や汗、吐き気、めまい

といった症状がある場合、心臓や血管の病気の可能性も考えられます。まずは内科で相談し、必要に応じて循環器内科を紹介してもらう流れが一般的です。

肋骨のケガ・骨折の心配があるとき（整形外科など）

転倒や打撲など明らかな外傷の後に右胸が痛くなった場合や、激しい咳の後から一点が強く痛む場合は、整形外科でも評価を受けることができます。

ただし、咳や呼吸に伴う痛みがある場合は肺や胸膜の異常が隠れていることもあるため、呼吸器内科と連携して検査を進めることもあります。

受診前にメモしておくとよい情報（問診チェックリスト）

受診をスムーズにするため、以下の点をメモしておくと役立ちます。

• いつから痛みや咳が始まったか（例：3日前から など）

• どこが痛いか（指1本で示せる範囲か、広い範囲か）

• どのようなときに痛みが強くなるか（咳・深呼吸・体をひねる・寝返りなど）

• 発熱・痰・息切れ・だるさ・冷や汗・動悸など他の症状の有無

• 持病（心臓病・肺の病気・糖尿病など）、現在飲んでいる薬、喫煙歴

• これまでに似た痛みを経験したことがあるか

これらの情報が整理されていると、医師は原因を絞り込みやすくなり、必要な検査も選びやすくなります。

病院に行くまでの自宅での対処法とNG行動

ここでは、医師から「緊急性は高くない」と判断されたケースを想定し、一般的なセルフケアのポイントをまとめます。
※受診前の段階では、これらの対処法で受診を先延ばしにしないでください。

自宅でやってよいこと（医師の指示がない範囲で）

• できるだけ安静に過ごす（痛みが強い運動や作業を避ける）

• 室内を適度に加湿し、冷えを防ぐ

• 水分をこまめに摂り、のどの乾燥を防ぐ

• 市販の鎮痛薬を使用する場合は、用法・用量を守り、長期連用しない

• 咳をする際には、胸に軽く手やクッションを当てて支えるなどして負担を軽減する

控えたほうがよいこと・NG行動

• 痛みが強いのに無理をして運動や肉体労働を続ける

• アルコールで痛みをごまかそうとする

• 市販薬を飲み続けて、受診を何週間も先延ばしにする

• インターネットの情報だけで「大丈夫」と自己判断し、危険なサインがあるのに受診しない

知恵袋でよくある質問とその考え方（Q&A形式）

Q1. 咳をしなければ痛くないなら様子見で大丈夫？

A. 筋肉や肋骨周囲の問題である可能性もありますが、それだけで安心とは言い切れません。

• 咳や深呼吸でだけ痛む場合でも、肺や胸膜の病気が原因となっていることがあります。

• 発熱・息苦しさ・だるさなど他の症状の有無が重要な手がかりになります。

数日様子を見ても痛みが改善しない、あるいは悪化していく場合は、受診をおすすめいたします。

Q2. 若くても肺炎・気胸・心臓病になることはある？

A. はい、年齢が若くてもこれらの病気になることはあります。

特に、気胸は若い痩せ型男性に比較的多いとされ、肺炎は年齢を問わず起こり得ます。また、心臓の病気も若年層でまったく起こらないわけではありません。

「若いから大丈夫」と決めつけず、症状の経過や強さを見て、必要に応じて受診を検討してください。

Q3. レントゲンで何もなければ安心してよい？

A. レントゲンで大きな異常が見つからなければ安心材料の一つにはなりますが、絶対的な保証ではありません。

• レントゲンでは写りにくい小さな病変や、血管・心臓の異常などは、別の検査が必要なこともあります。

• 検査時点では異常がなくても、その後に新たな病気が起こる可能性もあります。

「レントゲンで何もないのに痛みが長く続く」「症状が悪化している」といった場合は、再度受診することが重要です。

Q4. 受診するタイミングを逃さないためのポイントは？

• 「痛みが強くなっている」「息苦しさが増している」「新しい症状が出た」場合は、様子見をやめて受診する

• 仕事や家事を理由に受診を先延ばしにしない

• 夜間や休日で迷うときは、救急相談窓口に電話してアドバイスを受ける

これらを意識しておくことで、受診のタイミングを逃しにくくなります。