「触っていないのに使用時間が増える」「なぜか24時間近い表示になる」「休止時間やアプリ制限が効かない」――スクリーンタイムが“バグっている”ように見えると、本人利用でも不安になりますし、親子管理なら家庭内の揉め事に直結しやすくなります。ところが、この手のトラブルはiOSの不具合だけが原因とは限りません。複数端末の合算、日付と時刻のズレ、例外設定の増やしすぎ、ロック未設定など、仕組みや設定の組み合わせで「異常」に見えているケースが非常に多いからです。
本記事では、よくある症状をパターン別に整理したうえで、原因を最短で切り分けるチェック手順と、優先順位つきの復旧ステップをわかりやすく解説します。さらに、保護者がつまずきやすい“破綻ポイント”を先回りして潰し、スクリーンタイムを家庭で安定運用するための設定の考え方とルール作りまでまとめました。読み終えたときに「バグかも」と焦える状態から、「何を確認し、どう直し、どう再発を防ぐか」が整理できるはずです。
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スクリーンタイムの仕組み
スクリーンタイムを理解するうえで重要なのは、単に「使った時間を記録する機能」ではないという点です。スクリーンタイムは、以下のような複数の要素が組み合わさって動作しています。
使用状況の計測(アプリ、Web、通知、画面点灯など)
集計の単位(1日、1週間、時間帯)
端末間の共有(同じApple Accountの複数端末を合算する設定)
制限の適用(アプリ使用時間、休止時間、コンテンツ制限など)
設定変更の保護(スクリーンタイムパスコード、ファミリー共有の管理権限)
このうち、特に誤解が起きやすいのが「端末間の共有」と「制限の適用条件」です。たとえば、同じApple AccountでiPhoneとiPadを使っていて「デバイス間で共有」がオンになっている場合、iPhoneの画面を見ていても実際にはiPadの使用時間が合算されることがあります。すると、体感では「iPhoneをそんなに使っていない」のに、スクリーンタイム上では長時間の利用として表示され、「バグでは?」と感じてしまいます。
また、制限には例外があり、「許可するアプリ」や「常に許可」などを増やすと、休止時間中でも動いてしまうアプリが出ます。結果として、制限が効いていないように見えることがあります。さらに、スクリーンタイムの設定をロックしていないと、子ども側が設定を変えられてしまい、保護者からは「勝手に解除された」「バグだ」と見える状況も起こり得ます。
つまり、スクリーンタイムの問題は「見えている症状」だけで判断すると遠回りになります。だからこそ、本記事では症状→原因→対処の順番を固定し、切り分けをしながら確実に解決へ近づける構成で進めます。
スクリーンタイムのバグで多い症状を整理する
使用時間が増える 24時間になる 内訳が不自然
まずは「表示がおかしい」と感じる代表的な症状を整理します。表示系の異常は、次のような形で現れます。
触っていない時間帯に使用時間が積み上がる
その日の合計が極端に長く、場合によっては24時間に近い
特定のアプリやWebサイトだけが異常に長い
深夜帯や学校・仕事の時間帯がずっと使用中になっている
「設定」など普段見ない項目が上位に出続ける
通知やバックグラウンド更新が絡んでいるように見える
ここで重要なのは、「触っていない=必ずしもゼロではない」点です。たとえば、画面点灯がなくても、音声再生やバックグラウンド処理、通知の受信などがスクリーンタイムの記録に影響することがあります。また、SafariなどのWeb閲覧は「Webサイト」として表示されるため、アプリ名ではなくサイト名が上位に出て「身に覚えがない」と感じる場合もあります。
ただし、そうした仕様の説明で片付かないほど極端な数値(明らかに24時間、異常に長い、同じサイトが延々と表示される)が出る場合、次の可能性が高まります。
複数端末の合算で“別端末”の時間が混ざっている
日付と時刻のズレで集計が崩れている
OS側の不具合で誤計測が発生している
設定の読み込みに失敗し、表示が壊れている
表示異常は、本人利用でも困りますが、保護者にとっては「子どもが隠れて使っているのでは」と疑心暗鬼になりやすい問題です。したがって、次章の切り分けで「別端末の合算」「時刻ズレ」「設定の矛盾」を先に疑うのが合理的です。
制限が効かない 解除できない 画面が落ちる
次に、制限系・動作系の不具合です。こちらは表示異常よりも生活への影響が大きく、特に親子運用では深刻化しがちです。
よくあるのは以下です。
アプリ使用時間の制限を超えてもアプリが使える
休止時間中にアプリが普通に開けてしまう
「1分だけ許可」などの挙動が期待と違う
設定を変更しても子どもの端末に反映されない
スクリーンタイムの画面が開けない/設定アプリが落ちる
制限を解除しようとするとパスコードが分からない
逆に、解除できず生活に支障が出る(連絡手段が塞がる等)
このタイプは「設定ミス」だけでなく「権限のズレ」や「同期の遅延」が絡みます。たとえば、ファミリー共有で保護者が管理している場合、子どもの端末で勝手に触っても設定が変わらない(あるいは変えられてしまう)という“権限の境界”があります。そこが曖昧だと、保護者の操作が反映されず「バグ」と見えたり、子どもが抜け道を見つけてしまい「勝手に解除された」と感じたりします。
また、設定アプリが落ちるレベルになると、単純な設定ミスではなく、OSの不具合や設定データの破損、アップデート直後の不整合なども疑う必要があります。その場合でも、やるべきことは「手当たり次第」ではなく、優先順位を守って進めることが重要です。
親子のスクリーンタイムで起きやすい崩れ方
親子運用で特に起きやすい“破綻パターン”は、症状が複合する点に特徴があります。たとえば次のような連鎖です。
子どもの端末で「制限が効かない」
保護者が設定を確認するが、設定値は合っているように見える
スクリーンタイムの表示が不自然で「本当に使っていない」と子どもが主張する
保護者が疑い、家庭内で揉める
焦って例外設定や許可アプリを増やし、さらに制限が甘くなる
最終的に「スクリーンタイムは使えない」と諦める
この悪循環を止める鍵は、次の2点です。
切り分けの順番を固定する(合算・時刻・設定・同期・OSの順)
設定を単純化してから強化する(例外を増やすのではなく、最小構成→必要分だけ追加)
さらに、親子運用では「家庭内の運用ルール」がないと、スクリーンタイムだけで全てを裁こうとして破綻しがちです。制限を強めたときに発生する例外(学習アプリ、連絡手段、塾の連絡、通学中の緊急対応など)をどう扱うかを決めておかないと、必要な場面で解除が頻発し、結果的に制限自体が形骸化します。
このあたりを踏まえ、次章で原因を切り分け、次々章で具体的な復旧手順を示します。
スクリーンタイムが変になる原因を切り分ける
デバイス間で共有と複数端末の影響
スクリーンタイムで最初に確認すべき代表格が「複数端末の合算」です。これは、本人利用でも親子運用でも、誤解の原因になりやすいポイントです。
典型的な例
iPhoneはそれほど使っていないが、家ではiPadで動画を見ている
Macでオンライン授業や作業をしている
子どもが家族のiPadを一時的に使った
端末を買い替えた後、古い端末が手元に残っていて使われている
Apple Accountを家族で共有している(推奨されませんが実態として起こり得ます)
この場合、iPhoneのスクリーンタイムに“別端末の利用時間”が入ってきます。すると、本人は「触っていない」と感じ、保護者は「隠れて使っている」と疑い、問題がこじれます。
ここで大切なのは、「デバイスごと」と「合算」の視点で見直すことです。スクリーンタイムの画面には、端末単位で見られる情報もあります。もし合算が原因であれば、「この時間帯はiPadの使用だった」などの説明がつくことが多く、バグ疑いを早期に解消できます。
また、ファミリー共有の運用でも、親の端末と子どもの端末を混同していないか確認が必要です。子どもが親のApple Accountでサインインしている場合、スクリーンタイムは本来想定された運用から外れ、集計も制限も混乱します。親子管理は「子どものApple Accountを分け、保護者が管理者として紐づける」方が安全です。
切り分けのポイント
同じApple Accountで複数端末にサインインしていないか
使っていない古い端末が残っていないか
家族でApple Accountを共有していないか
子どもの端末が誰のApple Accountになっているか
この確認で説明がつく場合は、まず“バグではなく合算の問題”と判断できます。逆に、端末が1台しかなく、合算設定も関係ないのに異常が出る場合は、次の項目へ進みます。
日付と時刻 タイムゾーンのズレ
スクリーンタイムが「その日」単位で集計される以上、日付と時刻のズレは致命的になり得ます。海外渡航や時差、あるいは手動で時刻を変更した場合、集計の境界が崩れて「深夜に使用が積み上がる」「昨日と今日の合計が混ざる」などが起きやすくなります。
保護者運用で意外と見落とされるのは、子どもが時刻設定を触ってしまうパターンです。制限を避けようとして意図的に触る場合もあれば、単に誤操作の場合もあります。いずれにしても、時刻がズレると、休止時間やアプリ制限の判定自体が狂う恐れがあります。
確認すべきこと
日付と時刻が「自動設定」になっているか
タイムゾーンが正しいか
端末の地域設定が意図した国・地域か
深夜帯に不自然な利用が出ていないか
端末の時計表示が現実の時刻と一致しているか
時刻の問題は、直すのは簡単ですが、気づかなければ永遠にハマります。表示異常や制限不具合が同時に起きている場合は、特に優先度を上げて確認してください。
アプリ制限 休止時間 許可アプリの設定ミス
次に、設定の中身の問題です。スクリーンタイムは機能が多いため、設定が複雑になるほど「意図と違う挙動」が起きやすくなります。よくある誤解とミスを整理します。
よくあるミス1:許可アプリや常に許可を増やしすぎる
休止時間を設定しても、許可アプリに入っているものは使えます。学習や連絡を考慮して例外を追加するのは必要ですが、例外が多すぎると、休止時間の意味が薄れます。子ども側は「制限が効いていない」と感じ、保護者側は「抜け道」と感じやすくなります。
よくあるミス2:カテゴリ制限と個別アプリ制限が混在して矛盾する
カテゴリで制限をかけたつもりでも、個別アプリが許可になっている、あるいは逆に個別で厳しくしたつもりがカテゴリの例外で開ける、という矛盾が起こり得ます。設定が増えるほど、何が効いているのか分からなくなります。
よくあるミス3:曜日別の制限で、平日と休日が逆転している
曜日別に設定している場合、学校のある日の制限を強くしたいのに、設定が逆になっていることがあります。本人は「制限が効かない」と言い、保護者も原因が分からず混乱します。
よくあるミス4:設定をロックしていない
スクリーンタイムの設定がロックされていない場合、子どもが設定を変更できます。保護者から見ると「勝手に解除」「バグ」ですが、実際にはロックが外れているだけというケースがあります。
したがって、設定は「多機能だからこそ、シンプルに」が鉄則です。まず最小構成で安定させ、必要な例外だけを足す方が、結果的に強い運用になります。
iOS不具合の可能性とアップデート観点
ここまでの切り分けで説明がつかない場合、OS側の不具合や、アップデートに伴う一時的不整合が疑われます。スクリーンタイムはOSの深い部分と結びついているため、アップデート直後に挙動が変わったり、集計が乱れたりすることがあります。
ただし、OS不具合を疑う場合でも、やることは決まっています。
設定や時刻、合算など“ユーザー側で原因になり得る要素”を先に排除する
その上で、再起動、アップデート、スクリーンタイムの再設定など、復旧手順を試す
それでも直らない場合は、必要情報を揃えてAppleサポートへ相談する
「OSのバグだから仕方ない」で止めてしまうと、家庭内の運用は崩れたままになります。実際には、再設定や設定の整理で安定するケースも多いので、次章の手順を順番どおりに実行することが重要です。
スクリーンタイムのバグを直す手順 優先順位つき
手順1 まず安全側の確認をする
表示異常が出ると、「乗っ取りでは」「知らない操作をされているのでは」と不安になるのは自然です。ただし、そこで焦って大きな操作(初期化、アカウント変更、怪しいツール導入)に進むと、取り返しのつかない損失につながりかねません。
まずは、安全側に倒すための確認を行います。
安全側チェック(本人利用・親子管理共通)
端末のロックが他人に解除され得る状態になっていないか(パスコードが簡単すぎる、共有している等)
Apple Accountのパスワードを他人に知られていないか(使い回し、家族内共有の慣習など)
サインインしている端末一覧に心当たりのない端末がないか
家族でApple Accountを共有していないか(共有していると、誰が何をしたか分かりにくくなります)
時刻設定がズレていないか
直近で端末を買い替えた、引き継いだ、修理した等のイベントがないか
ここで“明確な不正利用の兆候”が見つかった場合は、スクリーンタイムだけの問題ではありません。Apple Accountの保護(パスワード変更や二要素認証の確認など)を優先しつつ、並行してスクリーンタイムの切り分けに戻るのがよいです。
逆に、兆候が見つからない場合は、過度に不安を膨らませず、次の設定見直しへ進んでください。
手順2 スクリーンタイム設定を見直す
次に、設定を点検し、意図と現状のズレを洗い出します。ここでのコツは「確認項目を増やしすぎない」ことです。迷子にならないよう、順番を固定します。
点検の順番
スクリーンタイムがオンかオフか(意図どおりか)
デバイス間で共有がオンかオフか(合算が起き得るか)
休止時間の設定と、休止時間中に許可するもの
アプリ使用時間の制限(カテゴリと個別のどちらで管理しているか)
許可アプリ(常に許可)が多すぎないか
設定がロックされているか(パスコード)
親子管理の場合は、ここで「保護者の端末で設定しているのか」「子どもの端末で設定しているのか」も整理してください。ファミリー共有であれば、保護者側が管理者として設定するのが基本です。子どもの端末で触っているうちに設定が混線しやすいため、管理者側で統一する意識が重要です。
さらに、制限が効かない場合は「強制ブロック」の扱いが重要になります。強制ブロックが弱いと、子どもは延長や回避の余地を見つけやすくなります。逆に強すぎると生活に支障が出ます。次の章で“破綻しない設定”として具体化しますので、ここでは現状がどうなっているかだけを把握してください。
手順3 スクリーンタイムを一度オフにして再設定する
設定を見直しても改善しない場合、スクリーンタイムを一度オフにしてから再設定する手順に進みます。これは「設定が複雑化して矛盾している」「同期がねじれている」「表示が壊れている」といった場合に有効です。
ただし、いきなり全てを作り直すと、再現性が分からなくなります。ここでの基本方針は以下です。
再設定の方針
現状の設定をメモする(制限時間、休止時間、許可アプリ、例外など)
まずは最小構成で再設定する(休止時間だけ、もしくは特定カテゴリだけ)
数時間〜1日様子を見る(すぐに決めつけない)
正常に動いたら、必要な制限を段階的に追加する
親子管理で揉めている場合、最小構成に戻すことは心理的に抵抗があるかもしれません。しかし、複雑な設定のまま“直そう”とすると、どこが原因か永遠に分かりません。短期的な不安より、長期的な安定を優先し、「一度整地してから建て直す」イメージで進めるのが結果的に早道です。
手順4 端末を再起動し iOSを最新にする
スクリーンタイムはOSの中核機能に近いため、再起動とアップデートの影響を受けます。ここまでの切り分けや再設定をした上で、最後に実施すると、効果の検証もしやすくなります。
再起動の意義
一時的なプロセスの異常やキャッシュの不整合を解消する
設定変更の反映を促す
画面が落ちるなどの症状が軽減することがある
アップデートの意義
スクリーンタイム関連の不具合修正が含まれている可能性がある
既知の問題が改善されることがある
セキュリティ面でも重要(親子管理の不安軽減につながる)
アップデートの前後で挙動が変わる場合、後で原因を追うために「いつ」「どのバージョンにしたか」をメモしておくとよいです。Appleサポートに相談する際にも、時系列情報は有効です。
手順5 パスコードが絡む場合の正規手順
スクリーンタイムのトラブルで最も深刻になりやすいのが、パスコードが絡むケースです。たとえば以下です。
子どもがパスコードを知らないのに制限が外れてしまう
保護者がパスコードを忘れ、設定が直せない
解除できず、必要なアプリ(連絡手段など)まで塞がってしまう
端末買い替え後にパスコードが分からず詰む
ここで重要なのは、正規手順で対処することです。安易に外部ツールや非正規手段に頼ると、セキュリティやデータ保護の観点で大きなリスクが生じます。
基本的には以下の方針になります。
パスコードを忘れた場合:Apple公式の案内に沿ってリセット手順を進める
ファミリー共有の場合:管理者(保護者)側の端末から管理する
“誰が管理者か”を整理し、子どもの端末だけで解決しようとしない
家庭内でパスコード運用が曖昧だと、再発します。再発防止としては「保護者が管理し、保護者が忘れない形で保管する」「子どもに共有する場合でもルールを決める」など、運用の設計が欠かせません。
親子管理でスクリーンタイムを破綻させない設定
強制ブロックを使い抜け道を減らす
親子管理において、「制限が効かない」と感じる最大の原因は、設定が弱いのではなく例外と延長の扱いが曖昧なことが多いです。ここを放置すると、子どもは「ここを押せば延長できた」「このアプリは許可だから開ける」など、穴を見つけてしまいます。保護者はそれを“抜け道”と感じ、結果としてスクリーンタイムへの信頼を失います。
破綻を防ぐための原則は次のとおりです。
休止時間中は、基本的に“使えない”状態を作る
連絡手段や学習に必要なものだけを最小限許可する
延長を許可する条件を、家庭内ルールとして明確にする
設定変更は保護者が管理し、子どもが勝手に触れないようロックする
「強制ブロック」を強めるほどトラブルがゼロになるわけではありませんが、“甘い設定で揉め続ける”よりは、まず強めに作ってから調整する方が家庭内では安定しやすい傾向があります。
例外を作りすぎない 許可アプリの考え方
親子管理では「例外」が増えがちです。学習、連絡、部活、塾、通学、家族連絡、学校アプリ、交通系アプリ、地図、カメラ、メッセージ等、必要なものは確かにあります。しかし、必要性の判断を曖昧にしたまま例外を増やすと、休止時間や制限の意味が薄れます。
そこで、許可アプリ(常に許可)を設計するときの実務的な考え方を提示します。
許可アプリの設計ルール(おすすめ)
緊急連絡と安全に直結するもの
電話、メッセージ、地図など。家庭の方針によりますが、緊急時に必要なものは最優先です。学習に不可欠なもの
ただし、学習アプリを許可に入れる場合は“学習の時間帯”とセットで考えないと、名目だけが残ります。生活インフラ
交通系、学校連絡、健康管理など。必要性が明確なもの。娯楽は原則、許可に入れない
娯楽系を許可に入れると、休止時間の骨格が崩れます。使わせたいなら「使用時間の枠」で管理する方が意図が明確です。
このルールに沿って見直すだけでも、「制限が効かない」「抜け道がある」という不満は減りやすくなります。加えて、例外は“増やすより削る方が難しい”ので、最初は少なめにして、困ったら追加する順序が安全です。
運用ルールとトラブル時の家庭内手順
スクリーンタイムが破綻する家庭の多くは、「技術で解決しよう」としすぎています。実際には、どれだけ設定を固めても、以下のような“現実の揺らぎ”が出ます。
学校行事やテスト期間で例外が必要
体調不良で家にいる日があり、普段と違う
連絡が必要な場面が増える
OSアップデートや端末変更で挙動が変わる
表示が乱れ、子どもが「使ってない」と言う
この揺らぎに耐えるには、家庭内の運用ルールが不可欠です。おすすめは「揉めやすい場面」を事前に想定し、手順化しておくことです。
家庭内で決めておくとよい運用ルール
延長は誰が判断し、何分まで許可するか(例:30分単位、理由が必要など)
休止時間中にどうしても必要な場合の扱い(連絡、学校連絡等)
表示がおかしいときは、まず何を確認するか(合算、時刻、設定ロック)
アップデートはいつするか(例:週末に保護者が実施)
“破った場合の扱い”をどうするか(罰よりも再発防止の話し合いへ)
ここまで決めておくと、スクリーンタイムが多少不安定でも、家庭内は破綻しにくくなります。技術面の対処と、運用面の対処をセットにすることが、親子管理では最も効果的です。
それでも直らないときの最終手段
Appleサポートに相談する前にまとめる情報
切り分けと手順を一通り実施しても改善しない場合、Appleサポートへの相談が現実的です。相談の質は「情報の揃い方」で大きく変わります。事前に整理しておくと、やり取りがスムーズになります。
準備しておく情報(メモ推奨)
端末の機種(iPhoneのモデル、iPadのモデル)
iOS/iPadOSのバージョン
症状の具体例(いつ、どんな表示、どんな操作で発生するか)
いつから起きたか(開始日、きっかけになりそうな出来事)
直前に行った操作(アップデート、機種変更、Apple Account変更等)
ファミリー共有の有無、誰が管理者か
デバイス間で共有をオンにしているか
スクリーンタイムのパスコードの状況(分かる/分からない)
可能ならスクリーンタイム画面のスクリーンショット(個人情報に配慮して保管)
サポートに伝えるべき核心は「再現性」と「時系列」です。単に「バグです」ではなく、「この操作でこうなる」「この日から変」「この設定にしても直らない」と具体化すると、解決に近づきます。
端末初期化を検討する基準と注意点
初期化は最終手段です。初期化で直る可能性はありますが、データ消失や設定再構築の負担が大きく、親子運用では家庭全体の手間になります。初期化を考える前に、次の点を必ず確認してください。
初期化の前に確認すべきこと
パスコード問題は正規手順で解決できないか
設定の再設定、再起動、アップデートで改善しないことを確認したか
端末固有の不具合として他の症状も出ているか(設定アプリ全般が不安定等)
バックアップが取れているか(復元できないと損失が大きい)
初期化後のスクリーンタイム再設定を、最小構成から組み直す計画があるか
初期化後に同じ複雑な設定を一気に戻すと、再び矛盾や混乱が起きやすくなります。初期化をするなら、むしろ「最小構成で安定→段階的に強化」という本記事の方針が、最も効果を発揮します。
よくある質問 スクリーンタイムのバグQ&A
触っていないのに増えるのは乗っ取りですか
結論から言うと、乗っ取りを断定する前に確認すべきことが多くあります。スクリーンタイムの使用時間が増える原因は、複数端末の合算、時刻ズレ、バックグラウンド処理、Webサイト表示の誤解など、仕様や設定で説明できることが多いからです。
不安な場合は、次の順で確認してください。
同じApple Accountで他の端末を使っていないか(iPad、Macなど)
使っていない古い端末が残っていないか
日付と時刻が自動設定になっているか
家族でApple Accountを共有していないか
Apple Accountに不審なサインインがないか
これらで説明がつけば、乗っ取りの可能性は下がります。逆に、心当たりのない端末がサインインしているなどの兆候があれば、スクリーンタイム以前にアカウント保護を優先してください。
子どもが制限を回避している気がします
回避に見えるケースは大きく2つあります。
設定が甘く、例外や延長で開けてしまう
設定がロックされておらず、子どもが設定を変更できる
まずは「設定がロックされているか」「許可アプリが多すぎないか」「強制ブロックが適切か」を確認してください。そのうえで、家庭内ルールとして「延長は保護者が許可する」「延長の条件を明確にする」などを整えると、回避の余地は減ります。
また、スクリーンタイムは過去に抜け道が問題視された経緯もあるため、OSを最新に保ち、運用ルールを補強する姿勢が重要です。技術だけで完璧にしようとすると、逆に破綻しやすくなります。
スクリーンタイム画面が開けず落ちます
設定アプリが落ちる場合は、軽微な設定ミスではなく、OSの不具合や設定データの不整合が絡んでいる可能性があります。対処の順番としては以下です。
端末を再起動する
iOSを最新にする
スクリーンタイムを最小構成で再設定する(可能なら)
それでも改善しない場合、症状の再現手順と発生時期をメモし、Appleサポートへ相談する
“落ちる”症状は、無理に設定をいじるほど悪化することもあります。安全に進めるため、段階を踏み、直らない場合はサポートに引き継ぐのが確実です。
パスコードを忘れました
パスコードを忘れた場合は、正規手順でのリセットが基本です。親子管理の場合、管理者(保護者)側の端末から子どもの設定を管理していることが多いため、保護者側で手続きを進めるのが筋になります。
再発防止としては、パスコードを「保護者が確実に保管できる形」で管理し、家庭内で共有のルールを明確にすることが重要です。曖昧な共有は、トラブルと揉め事の火種になりやすいからです。
まとめ スクリーンタイムのバグは切り分けで解決に近づく
スクリーンタイムの「バグ」に見える問題は、実際には複数の原因が絡むことが多く、闇雲に操作すると遠回りになります。解決への近道は、順番を守って切り分けることです。
まず、複数端末の合算やApple Account共有がないか確認する
次に、日付と時刻、タイムゾーンを確認する
その上で、休止時間・アプリ制限・許可アプリ・ロック設定を点検する
改善しなければ、スクリーンタイムを最小構成で再設定し、再起動とアップデートを行う
パスコード問題は必ず正規手順で対処し、最終的にサポートへ相談する
親子運用では、設定だけで完璧を目指すより、運用ルールとトラブル時手順をセットにすることが、破綻しないための現実的な解決策です。スクリーンタイムは「使いこなすほど強い」反面、「複雑にしすぎると崩れる」性質があります。最小構成で安定させ、必要な制限を段階的に足し、家庭内ルールで補強する。この方針で進めれば、バグに振り回されにくい状態に近づけます。