ここ数年、「参政党」という名前をニュースやSNSで目にする機会が増えています。
一方でネット上では賛否両方の情報が飛び交い、
「新しい保守系の政党らしい」
「極端で危ない政党だという話も聞く」
「宗教やビジネスとの関係が噂されていて不安」
など、判断に迷っている方も少なくありません。
本記事は、特定の政党を支持・不支持することを目的としたものではありません。
公開されている公式情報や報道・解説記事などをもとに、
参政党とはどのような政党か(基本情報)
どのような特徴・政策を掲げているか
なぜ支持を伸ばしているのか
どのような批判や懸念が指摘されているのか
ネット情報をどう見極めればよいか
を、政治初心者の方にもわかりやすく整理いたします。
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参政党は、2020年に結成された比較的新しい政党で、「投票したい政党がないなら自分たちでゼロからつくる」というスローガンを掲げています。
日本の歴史や文化を重視し、「日本人ファースト」「国益重視」「反グローバリズム」といった方向性を打ち出す保守系の新興政党として位置づけられることが多いです。
地方議員の多さや草の根活動、SNS・動画発信などを通じて支持を拡大し、短期間で一定の議席を獲得しています。
一方で、イデオロギーや発言内容、科学・医療への姿勢、宗教・ビジネスとの関係などについて、さまざまな批判や懸念も指摘されています。
参政党に限らず、政治の情報は賛否両方の立場が存在するため、複数の情報源を確認し、「事実」と「意見・評価」を分けて考えることが重要です。
参政党とは?基本情報をわかりやすく整理
いつ・誰がつくった政党か
参政党は、2020年4月に結成された日本の新しい政党です。
比較的最近できた「新興政党」にあたります。
中心となった人物は、参議院議員の神谷宗幣(かみや そうへい)氏です。
神谷氏は、もともと大阪府吹田市の市議会議員として活動していた経歴を持ち、その後、政治・歴史・経済に関する講演やインターネット番組を通じて支持層を広げてきた人物です。
政党名の「参政」は、「国民が政治に参加する」という意味合いを込めたものとされています。
どんな理念・スローガンを掲げているか
参政党の公式サイトなどでは、主に次のようなメッセージが掲げられています。
「投票したい政党がないなら、自分たちでゼロからつくる」
「今のままの政治では日本が日本ではなくなってしまうという危機感」
「大企業や宗教団体などの支援に依存しない、国民参加型の政党」
一方で、政治学者やメディアの分析では、参政党は「右派」「ナショナリズム色の強い政党」「右派ポピュリズム政党」といった分類がなされることもあります。
また、「日本人ファースト」「国益重視」「反グローバリズム」といったキーワードで特徴づけられることが多い点も押さえておくとよいでしょう。
ここで重要なのは、
党自身がどのように自らを説明しているか(公式の自己紹介)
第三者がどう評価・分類しているか(外部からのラベル)
を区別して理解することです。
議席数・勢力の概要
参政党の勢力は、ここ数年で急速に拡大しています。主なポイントを表に整理します。
| 項目 | 概要(イメージ) |
|---|---|
| 結成年 | 2020年4月に結成された新興政党 |
| 初の国政議席 | 2022年参議院選挙で比例代表から1議席を獲得 |
| その後の国政議席 | 衆議院選挙でも比例代表で議席を獲得し、両院に進出 |
| 2025年前後 | 参議院で複数議席を持つ中規模の野党へ成長 |
| 地方議員 | 全国で100名以上の地方議員を擁するとされる |
特に、地方議員の多さと地方組織への注力は、他の新興政党との大きな違いとしてよく指摘されます。
参政党の主な特徴と政策の方向性
ここでは、参政党が公式に掲げている主な方向性を、「賛否」ではなく事実ベースで整理いたします。
基本理念・価値観の概要
参政党は、自らを「国民が政治に参加する政党」と位置づけています。
公式サイトや支部サイトでは、次のような理念・価値観が強調されています。
日本の歴史や文化を重視し、「日本らしさ」を守ること
天皇を中心とした国の在り方を尊重し、安定的な皇位継承を重視する姿勢
憲法については、「日本人が自らの手で創る“創憲”」という考え方
既存の既得権益政治から距離を置き、一般の国民が参加する政党運営
こうした要素から、一般的には「保守寄り・ナショナリズム色の強い政党」とみなされることが多いといえます。
経済・税制・財政の考え方(ざっくり)
報道や公式情報によれば、参政党は次のような経済・税制・財政方針を掲げています。
消費税の廃止・大幅な減税など、家計の負担軽減を重視
積極財政(政府支出を増やして経済を立て直す)志向
減税や社会保険料の見直しによって、国民の可処分所得を増やすことを重視
詳細な制度設計よりも、「生活を守る」「国民が豊かに暮らせるようにする」といったメッセージが前面に出る傾向があります。
教育・子育て・少子化対策
参政党は、教育・子育て分野を政策の柱のひとつとして掲げています。主な方向性は以下のとおりです。
子育て世帯への給付金や支援制度の拡充
教育国債などを用いた教育・人材投資の拡大
日本の歴史や文化を重視する教育の推進
子どもの個性を尊重し、画一的な教育からの見直しを目指す姿勢
少子化の進行に対して、「子どもを持ちやすい環境づくり」と「教育への投資」を重視していると整理できます。
外交・安全保障・移民政策
外交・安全保障・移民政策については、次のような立場が打ち出されています。
「いき過ぎた移民政策」を問題視し、外国人受け入れの制限・見直しを求める
経済連携や国際条約における「国益の確保」を重視
日本の主権と文化・価値観を守るという観点から、安全保障強化を主張
国境管理・移民・グローバル化に対して、慎重かつ警戒的な立場を取る政党といえます。
参政党はなぜ注目されているのか?支持される理由
既存政党への不信感の受け皿として
戦後長く続いた自民党中心の政治に対し、
「既存政党は本当に国民の方を向いているのか」
「自分たちの声は政治に届いていないのではないか」
といった不信感や不満が蓄積してきたと分析されています。
物価高・実質賃金の伸び悩み・地方の衰退などの問題が続くなか、
既存の大政党に任せていても状況が変わらないのではないか
新しい選択肢を探したい
という層の一部が、参政党に投票することで「意思表示」をしていると考えられます。
地方議員の多さ・草の根活動
参政党の特徴として、国政よりも早く「地方議員の獲得」に力を入れてきたことが挙げられます。
全国各地の地方選挙に候補者を擁立
地元での勉強会や講演会、街頭活動を継続
選挙の時期だけでなく、平時から地域活動を行う
このような「草の根の活動」を重視するスタイルが、支持者との距離を縮め、地方での票につながっているとみられます。
SNS・動画発信のわかりやすさ
参政党は、YouTubeなど動画プラットフォームを積極的に活用している点も大きな特徴です。
長時間の講演動画や、テーマ別の解説動画を多数配信
歴史・政治・経済など、学校ではあまり学ばない内容も扱う
SNSとの連動で、短い切り抜き動画も拡散されやすい
こうしたオンラインでの情報発信が、「政治に詳しくないが、なんとなく関心を持ち始めた」層の入口になっている面もあると考えられます。
参政党への主な批判・懸念点
ここからは、参政党に対して投げかけられている批判や懸念を整理します。
※以下は、「こうした指摘がある」という事実の紹介であり、その是非を断定するものではありません。
イデオロギー・発言内容への批判
学術研究や一部の報道では、参政党が「極右」「右派ポピュリズム」と分類されるケースがあります。
これは、
強いナショナリズム(自国優先・日本人ファースト)
グローバリズムへの批判
移民政策に対する警戒感
などの傾向を理由としたものです。
また、党関係者の発言や動画の内容をめぐり、
発達障害に関する認識
LGBTなど性的マイノリティに関する発言
歴史認識や民族・国籍に関する表現
などについて、「偏見を助長する」「差別的である」「科学的知見に反する」といった批判が行われることもあります。
科学・医療・陰謀論との関わりに関する指摘
一部の論考や批判記事では、参政党やその支持者の一部が、
新型コロナウイルスやワクチン政策に対する強い批判
国際機関やグローバル・エリートに関する陰謀論的な言説
などを展開していると指摘しています。
党側や支持者側は、「隠された真実に光を当てている」「既存メディアが報じない視点を示している」と主張することが多く、評価は大きく分かれます。
宗教・ビジネスとの関係をめぐる噂・論争
ネット上やQ&Aサイトでは、次のような書き込みも見られます。
「特定の宗教団体とつながっているのではないか」
「マルチ商法的なビジネスと関係があるのではないか」
ただし、これらの情報の多くは、
匿名の投稿
個人の体験談や印象
推測や噂に近い内容
が混在しています。
したがって、「そういう噂が存在している」ことと、「事実として証明されている」ことを区別し、情報の出どころや根拠を慎重に確認する必要があります。
他の政党と比べるとどう見える?ざっくり比較
主要政党との立ち位置の比較(ざっくり表)
あくまで大まかな傾向として、参政党と主要政党の違いを表形式で整理します。
| 項目 | 参政党 | 自民党 | 立憲民主党 | 国民民主党 | 日本維新の会 |
|---|---|---|---|---|---|
| 立ち位置のイメージ | 右派・ナショナリズム色が強い新興政党 | 中道〜保守の与党 | 中道〜リベラル系の野党 | 中道〜やや保守 | 改革志向の中道〜保守 |
| 経済・財政 | 消費税廃止・積極財政志向 | 財政規律と景気対策の両立 | 分配重視・社会保障重視 | 「給料が上がる経済」を掲げる | 規制改革・成長戦略を重視 |
| 移民・グローバル | 反グローバリズム色が強く、移民政策に慎重 | 経済連携を進めつつ一定の慎重さ | 多様性・人権を重視 | 現実的な外交・安全保障を志向 | 経済合理性と改革を重視 |
| 組織の特徴 | 地方議員の多さ・草の根活動・ボランティア色が強い | 長期政権・全国組織・業界団体 | 既存野党の中心政党のひとつ | 労組などとの関係を持つ中道勢力 | 大阪発の改革政党として地方に強い |
※非常に大まかな整理であり、各党の全ての政策・立場を網羅するものではありません。詳細は各党の公式サイトや選挙公約をご確認ください。
他の新興政党との違い
れいわ新選組、日本保守党など、他の新興政党と比べた場合、参政党には次のような特徴があると指摘されています。
地方議員数の多さ
他の新興政党よりも早く、地方議会での議席獲得を重視してきたとされます。組織戦略
「国政選挙だけで話題を取る」のではなく、日常的な地域活動を通じて支持基盤を固める戦略を取っていると分析されています。支持層の特徴
既存政党への不満を持つ層や、ネットを通じて政治に関心を持ち始めた層などが一定数含まれているとみられます。
こうした点から、「一時的なブームで終わるのか、一定の勢力を維持するのか」が今後の焦点とされています。
ネット情報に振り回されないための見極めポイント
情報源を確認するチェックリスト
参政党に限らず、政治の情報をインターネットで調べる際には、次のポイントを意識すると、極端な情報に振り回されにくくなります。
誰が発信しているか
政党本人・支持者・批判者・専門家・匿名アカウントなど、立場によって見方は大きく変わります。いつ書かれた情報か
選挙前後の情報は感情的になりやすく、数年前の記事は情勢が変わっている可能性があります。根拠や出典があるか
公的なデータ・公式発言・裁判記録などの一次情報にリンクしているかを確認します。極端な表現が多すぎないか
「絶対」「100%」「陰謀」「売国」など、感情を煽る言葉ばかりが並んでいないか注意します。事実と意見が分けて書かれているか
「〜という事実がある」と「〜と感じる/思う/主張する」が区別されているかを確認します。
賛成派・反対派どちらの意見も見るときのコツ
賛成派・反対派の両方の意見を見ることは大切ですが、その際には次の点に気を付けると良いでしょう。
具体性があるか
具体的な発言・法案・数値データなどが示されているか。検証可能か
元の動画・公式資料・統計などにさかのぼれるか。論理の筋が通っているか
個人攻撃に終始していないか、結論ありきの主張になっていないか。
このような視点で読むことで、賛否どちらの情報も、より冷静に評価しやすくなります。
自分で判断するための3つの質問
最終的な判断は、読者ご自身の価値観や優先順位によって異なります。
その際、次の3つの質問を自分に投げかけてみると整理しやすくなります。
自分や家族にとって、一番大事なテーマは何か?
例:収入・物価、子育て・教育、安全保障、人権・多様性、環境問題など。参政党は、そのテーマについてどのような主張をしているか?
公式サイトの政策集や代表・候補者の発言を確認します。他の政党は、そのテーマについてどう主張しているか?
他党の公約と比べて、どこが似ていて、どこが違うのかを書き出してみると整理しやすくなります。
こうしたプロセスを通じて、「なんとなくのイメージ」ではなく、具体的な情報と自分の価値観にもとづいて判断できるようになります。
よくある質問(FAQ)
参政党は極端な政党なのですか?
一部の研究者や報道では、参政党を「極右」「右派ポピュリズム」と分類することがあります。
ただし、こうしたラベルは、
どの政策分野を重視するか
どの政党と比較するか
によって評価が変わる側面があります。
重要なのは、ラベルだけで判断するのではなく、
実際の政策・公約
議会での投票行動
関係者の具体的な発言内容
を確認したうえで、ご自身がどう評価するかを考えることです。
参政党は宗教やマルチ商法と関係があるのですか?
ネット上やQ&Aサイトでは、宗教団体やマルチ商法との関係を指摘する書き込みも見られます。
しかし、その多くは、
匿名による投稿
個別の体験談や印象
出典が不明確な噂
が混ざっています。
このテーマについて特に気になる場合は、
当事者や政党が公式にどのように説明しているか
信頼できるメディアがどのように報じているか
といった複数の情報源を確認し、その上でご自身で判断されることをおすすめいたします。
参政党に投票すると日本はどう変わるのですか?
どの政党に対しても言えることですが、「この政党に投票すれば日本は必ずこう変わる」と単純に言い切ることはできません。
政権与党になるか、野党にとどまるか
他党との連立・協力関係がどうなるか
実際にどの政策が法案として通るか
によって、現実に起こる変化は大きく異なるためです。
参政党の場合、
減税・積極財政
子育て支援・教育投資
移民政策の見直し
反グローバリズム的な姿勢
などが前面に出ているため、これらの政策がどの程度実現するかがポイントになります。
ただし、具体的な影響を見積もるには、参政党だけでなく、他党との議席配分や連立の組み合わせなども含めて考える必要があります。
どの情報を信じればいいのかわからないときはどうすればよいですか?
迷ったときは、次の3ステップを目安にしてみてください。
事実情報を確認する
議席数・選挙結果・法案の内容など、数字や公式文書で確認できるものは、選挙管理委員会や信頼できるニュースサイトでチェックします。公式情報と第三者の分析を両方見る
政党の公式サイト・公約と、第三者による分析・批判記事の両方を見て、立場の違いを意識しながら読み比べます。極端な表現に注意する
「絶対にダメ」「絶対に正しい」といった断定的な表現だけでなく、その根拠が示されているかどうかを確認します。
それでも判断が難しい場合は、「今回は白票や棄権ではなく、別の政党を選ぶ」という選択肢も含め、より納得できる選択肢を探してみることも一つの方法です。