長時間コードを書いていると、「0とOが見分けにくい」「括弧が読みづらい」「日本語コメントだけ行間が崩れる」といった小さなストレスが積み重なります。フォントは見た目の好みだけでなく、ミスの減少やレビューの速さ、疲れにくさにまで影響する“開発環境の土台”です。
しかし、プログラム用フォントは種類が多く、合字の要不要や、ターミナルのアイコン表示、半角と全角の整い方など、選定軸を知らないまま選ぶと失敗しがちです。
本記事では、日本語が混ざる開発環境で後悔しないために、プログラムフォントの選び方を目的別に整理し、定番の日本語対応等幅フォントを比較しながら紹介します。さらに、VS Codeでの設定手順、合字の扱い、ターミナルでの表示崩れを防ぐフォールバックの考え方、そしてチーム導入時に不安になりやすいライセンス確認まで、一気通貫で解説します。読み終えたときに、あなたの環境で「これにしておけば安心」と言えるフォントと設定が決まるはずです。
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プログラムフォントで作業効率が変わる理由
等幅が必要になる場面
プログラムフォント(プログラミング向けフォント)を選ぶうえで最初に押さえたいのは、「等幅」であることです。等幅フォントは、英数字や記号だけでなく、(日本語対応フォントであれば)日本語も含めて各文字の横幅が一定になるよう設計されています。これがなぜ重要かというと、コードやログは「位置」で意味が決まることが多いからです。
たとえば次のような場面では、等幅であることが直接的な効率につながります。
インデントで構造を読むとき
Python や YAML のようにインデントが構文の一部になっている言語・形式では、スペースの数が正しいかどうかが重要です。等幅なら、インデントの深さが視覚的にそろうため、階層構造を瞬時に把握できます。反対にプロポーショナル(可変幅)だと、同じスペース数でも見た目の幅が揺れて「どこまで下げているのか」が分かりにくくなります。差分レビューで行単位・列単位に比較するとき
変更点を目で追うとき、人は「列位置」のズレに敏感です。等幅で桁がそろっていると、同じ列の値が並び、誤差や変更の有無が見つけやすくなります。JSON、設定ファイル、ログなども同様です。表形式の出力や CLI の整形を読むとき
kubectlやgitの出力、CIログ、監視のメトリクスなど、コマンドライン上では「列そろえ」が頻繁に登場します。等幅でないと列が崩れて、どの値がどの項目に属するのか理解しづらくなります。カーソル移動・選択範囲の把握
エディタ上でカーソルを動かすとき、等幅だと1文字移動=一定距離なので、視線と操作が一致します。微細なことに見えますが、長時間の編集作業ではストレス差が積み上がります。
等幅は「コードを読む・書く」に最適化された前提条件です。ここを外すと、どれだけ字形が好みでも、作業全体で不利になりやすいため、まずは等幅から選ぶのが失敗しにくいです。
見間違いを減らす字形の条件
プログラムフォントが一般の等幅フォントと決定的に違うのは、見間違いを減らす設計が強いことです。コードは1文字の違いでバグになります。にもかかわらず、英数字と記号には紛らわしい組み合わせが多く、視認性が低いフォントではミスの温床になります。
代表的な見間違いポイントは次の通りです。
0(ゼロ)と O(オー)
どちらも丸い形で、特に小さいサイズでは区別がつきにくくなります。プログラムフォントでは、ゼロに「点」や「斜線(スラッシュ)」を入れて区別することがあります。1(いち)と l(エル)と I(アイ)
これも典型的です。lが縦棒に見えるフォントだと、変数名や型名の読み違いが起こります。プログラムフォントはlにカーブや足を付け、Iに上下の横棒を付けるなど、区別を強くする設計が多いです。-(ハイフン)と _(アンダースコア)と ―(ダッシュ)
記号の種類を見分ける必要がある場面(Markdown、正規表現、CLIオプション)で、似た線が混ざると読み取りが遅くなります。:(コロン)と ;(セミコロン)、,(カンマ)と .(ピリオド)
小さな点が潰れると、文法要素の判別が困難になります。{ } [ ] ( ) < > の括弧類
括弧の形が弱いと、ネスト構造を追いづらくなります。括弧が見やすいフォントは、コード理解のスピードに直結します。
見間違いを減らすためには、「字形の特徴が立っている」だけでなく、サイズを下げたときに潰れないことも重要です。高解像度ディスプレイなら細い線でも見えますが、画面共有やノートPC環境では潰れやすいこともあります。フォント選びでは、普段の作業サイズ(例:12~16px)で一度確認し、0O1lI や {}[]()、=> != <= >= のような記号列が明確かをチェックすると失敗しにくいです。
日本語コメントが多い環境の注意点
日本語コメントや仕様メモ、README、チケット記述など、日本語を読む比率が高い環境では、欧文フォントだけに最適化された選び方だと不満が出やすくなります。理由は主に3つあります。
日本語の可読性が欧文フォントと別問題になる
欧文フォントがいくら美しくても、日本語グリフ(文字の形)が不自然だと読み疲れます。日本語は画数が多く、潰れやすいので、同じサイズでも欧文より「読みやすい設計」が必要です。半角・全角の幅比率が崩れると、見た目も整形も崩れる
日本語を含む等幅環境で重要なのが、一般に言われる「半角1:全角2」の比率です。これが崩れると、ASCIIアートや表の罫線、インデントの見た目がズレたり、縦位置の揃い方が不自然になります。特に、英数字等幅+日本語プロポーショナルの混在は、文章のリズムが崩れて読みづらくなります。全角スペースや不可視文字が紛れ込みやすい
日本語入力では全角スペースが混ざりやすく、コードや設定に入るとトラブルの原因になります。フォントによっては全角スペースを可視化できたり、区別しやすい表現になっているものがあります。加えて、エディタ側の不可視文字表示と組み合わせるとさらに安全です。
日本語が多い開発現場では、「欧文の格好良さ」よりも「日本語も含めた読みやすさ」「混在時に崩れないこと」を優先すると、長期的な満足度が上がりやすいです。
プログラムフォントの選び方は目的で決める
日本語重視か英数字重視か
フォント選びで迷う最大の原因は、「候補が多すぎる」ことです。ここで効くのが、目的を先に固定する方法です。特にわかりやすい軸が 日本語比率 です。
日本語重視(コメント・ドキュメント・設計メモが多い)
日本語の画数が潰れにくい
欧文と日本語の太さ・高さのバランスが自然
日本語混在でも行間が落ち着く
半角・全角の幅比率が破綻しない
このタイプは、いわゆる「日本語対応のプログラミングフォント」「合成フォント」と呼ばれるカテゴリが強いです。
英数字重視(コード中心、ドキュメントも英語寄り)
英数字の判別性が高い(
0/O、1/l/Iなど)演算子や括弧の視認性が高い
斜体・太字の見栄えが良い(強調表示が多い場合)
こちらは欧文フォント単体でも満足しやすいですが、日本語が混ざるならフォールバック設計が鍵になります。
実際の作業は「コード+コメント+ログ+チケット+README」が混ざります。自分の一日の画面を思い出し、文章の半分以上が日本語なら日本語重視から入るのが近道です。
合字を使うか使わないか
合字(リガチャ)は、!= や =>、<= のような記号の並びを、視覚的に1つの記号として表示する機能です。可読性が上がると感じる人も多い一方、好みやチーム文化によっては敬遠されることもあります。
合字の判断は、次の観点で整理すると迷いにくいです。
合字が向くケース
演算子が密集する言語(関数型、フロントエンド、DSLなど)で視認性を上げたい
記号列を「意味のまとまり」として捉えたい(
=>を矢印として読む等)目が疲れやすく、記号の連続を読む負担を下げたい
合字を避けた方がよいケース
画面共有やペアプロで、相手の表示と違うことが混乱につながる
初学者で、記号列の「構成」をそのまま学びたい
特定の記号を一文字ずつ厳密に追う作業が多い(レビュー、セキュリティ観点)
重要なのは、合字は フォントだけで決まらず、エディタ設定でON/OFFできる点です。つまり、合字対応フォントを選んでも、必要なときだけONにできます。まずは合字OFFで基本の読みやすさを確認し、満足したら合字を試す流れが安全です。
ターミナルでアイコンを使うか
最近はターミナルの見た目を整える文化が広がり、プロンプトに Git 状態やアイコンを出す、ls を装飾する、ファイル種別アイコンを表示するなど、視覚情報を活用する人が増えています。ここで問題になるのが、アイコンが「豆腐(□)」になる現象です。
これは、使用しているフォントにアイコン用の文字(グリフ)が含まれていないことが原因です。その対策としてよく使われるのが Nerd Fonts 系のフォントです。Nerd Fonts は、開発者フォントにアイコンや Powerline 記号などを追加した「拡張版」を提供するプロジェクトとして知られています。
この軸は次のように意思決定できます。
ターミナルは最小限(装飾しない)
→ エディタ向けフォント最優先でOK。ターミナルは標準等幅でも困りにくい。ターミナルも快適にしたい(アイコン・Powerlineを使う)
→ Nerd Fonts 対応フォント(または Nerd Fonts パッチ適用版)を導入するか、ターミナルだけ別フォントにする。エディタとターミナルを同じフォントで統一したい
→ 日本語対応+Nerd Fonts 相当の要件を満たす組み合わせが必要。現実的には「用途別に分ける」方が簡単なことも多いです。
おすすめの日本語対応プログラムフォント
日本語と英字のバランスが良い定番
日本語対応のプログラムフォントは、「日本語の読みやすさ」と「英数字の判別性」を両立する設計が多い一方、字面の好みが分かれます。ここでは“定番として試す価値が高い”系統を中心に、選びやすい観点で整理します。
HackGen 系
文字判別性や日本語混在の見やすさを重視した設計として知られ、導入例も多い系統です。全角スペース可視化など、開発時のつまずきを減らす思想が好みに合う人もいます。UDEV Gothic 系
ユニバーサルデザイン(UD)思想の日本語と、読みやすい欧文等幅を組み合わせたコンセプトのものがあり、長時間作業で疲れにくいことを重視する場合に選択肢になります。PlemolJP 系
日本語と欧文のバランスを取った構成で、UI全体に馴染みやすい字面として好まれることがあります。フォントは「継続更新」も重要なので、更新が追われている系統は安心材料になります。Ricty 系
日本語環境で長く使われてきた定番の系統で、等幅・混在時の整い方を重視する人に根強い人気があります。Source Han Code JP 系(源ノ角ゴシック等の系統)
日本語の可読性が高く、画数が多い文字でも潰れにくい方向性のため、日本語が多い現場で合う場合があります。
ここでのポイントは「どれが最強か」ではなく、あなたの環境でストレスが減るかです。まずは2~3個を入れて切り替え、次の観点で比較すると決めやすいです。
コード:
{}[]()、!= <= >= =>が読みやすいか変数名:
0O1lIが即座に区別できるか日本語:小さいサイズでも潰れないか
行間:詰まりすぎず、間延びしないか
太字:シンタックス強調で太字になったときに違和感がないか
全角スペース可視化など支援機能が強い
日本語混在の開発で地味に効くのが、全角スペースや不可視文字の扱いです。全角スペースは、次のような場面で問題になります。
YAML のインデントが崩れる
コピペした設定値に余分な空白が混ざる
文字列比較で意図しない差分が出る
SQL や正規表現で、空白の意味が変わる
対策はエディタ側の不可視文字表示でもできますが、フォントが全角スペースを明確に描画してくれると、「視線だけで気づける」場面が増えます。特にレビューやデバッグでは、操作の手数を減らすほど効率が上がるため、支援機能の思想が強いフォントは試す価値があります。
さらに、見分けづらい文字(- と ー など)を区別しやすくするデザイン、括弧を強調するデザインなど、“バグを減らすための字形”を重視しているかも、支援機能の一部と捉えると選びやすいです。
チーム配布や商用でも扱いやすい
会社やチームでフォントを統一したい場合、技術面だけでなくライセンス面の安心が重要になります。多くの開発者フォントはオープンなライセンスで提供されており、一般に「利用するだけ」なら問題が起きにくいケースが多いです。ただし、次のような行為が絡むと確認が必要になります。
社内でインストール手順をまとめて配布する
フォントファイル自体を社内共有ストレージに置く
開発ツールやアプリにフォントを同梱して配布する
フォントを改変して使う(パッチ適用、合成、名称変更など)
このため、チームで扱うなら「ライセンスが明記されている」「配布元が公式で追跡できる」「READMEやライセンスファイルが整備されている」フォントを選ぶと安全です。後述のチェックリストで、運用上の落とし穴を潰します。
おすすめフォント比較表
以下は、選定時に迷いやすい要素を「比較観点」として整理した表です。実際の評価は環境差が出るため、まずはこの観点で候補を絞り、実機で確認する流れがおすすめです。
| 観点 | 何を見ればよいか | 日本語多めで重要度 | 英数字多めで重要度 |
|---|---|---|---|
| 日本語可読性 | 小サイズで潰れない、字形が自然 | 高 | 中 |
| 英数字判別性 | 0/O/1/l/I、記号の区別 | 高 | 高 |
| 括弧・演算子の見やすさ | {}[]()、!=、=> など | 高 | 高 |
| 半角全角の整い | 1:2比率、混在時のズレ | 高 | 中 |
| 全角スペース可視化 | 全角空白が見える/気づける | 中〜高 | 中 |
| 合字の好み | ON/OFFできるか、違和感ないか | 中 | 中〜高 |
| 太字の視認性 | 強調表示が読みやすいか | 中 | 中〜高 |
| ターミナル拡張 | アイコンやPowerlineの表示 | 中 | 中〜高 |
VS Codeでプログラムフォントを設定する手順
設定画面でfont familyを変更する
VS Code では、設定画面からエディタのフォントを簡単に変更できます。まずは GUI で試し、問題がなければそのままでも十分です。手順は次の通りです。
OSへフォントをインストール
Windows:フォントファイルを右クリックしてインストール(または設定から追加)
macOS:Font Book(標準アプリ)でインストール
Linux:ユーザーフォントディレクトリに配置しキャッシュ更新など(環境による)
VS Code を再起動
フォントはインストール後すぐ反映されない場合があるため、VS Code の再起動は最初にやっておくと切り分けが楽です。設定を開き、font family を検索
設定(Settings)を開き、検索欄にfont familyと入力します。Editor: Font Family にフォント名を入力
フォント名は OS が認識している表示名を入力します。うまく反映されない場合は、表記揺れ(スペースやハイフン)を疑います。表示確認(コード・日本語・記号)
サンプルとして以下の文字列を貼り付けると確認が速いです。0O 1lI != == <= >= => {}[]()日本語コメント(画数が多い文字を含める)
GUIでの設定は直感的ですが、環境差や同期設定などで思わぬブレが出ることもあるため、次の「settings.json」方式も押さえると安心です。
settings.jsonで確実に指定する例
確実性と再現性を重視するなら、settings.json に設定を書いてしまうのが最も安定します。GUI 操作と違って、テキストとして残るため、バックアップやチーム共有もしやすくなります。
基本の考え方は「優先順に並べる」ことです。フォントはすべての文字を持っているとは限らないため、第一候補だけでなく、フォールバックを用意すると表示崩れに強くなります。
例(概念):
第一候補:日本語対応等幅フォント
第二候補:英数字判別性が高い等幅フォント
第三候補:OS標準の
monospace(保険)
実際に指定する際は、フォント名をカンマ区切りで並べます。これにより、第一候補にない文字が出たときに第二候補へ落ち、豆腐や崩れを減らせます。
また、ターミナル内蔵(VS Code の統合ターミナル)も同様にフォント設定ができます。エディタとターミナルを別にしたい場合は、エディタ用とターミナル用を分けると混乱が減ります。
合字を有効化する場合の設定
合字を使う場合、VS Code 側の合字設定を有効にする必要があります。代表的な流れは次の通りです。
合字対応フォントを選ぶ
合字はフォントが対応していないと表示されません。まずは合字対応かどうかを確認します。VS Code の合字設定を有効にする
設定でfont ligaturesを検索し、有効化します。見え方をチェックする
特にチェックしたいのは、演算子が「読みやすくなる」一方で「元の記号列が分かりにくくならないか」です。レビューや学習の観点で不安があるなら、合字は無理に使う必要はありません。場面に応じて ON/OFF を使い分ける
合字は好みの領域なので、常時ONではなく「集中して読むときだけON」「普段はOFF」のような運用も現実的です。
ターミナルと開発環境全体を揃えるコツ
Nerd FontsとPowerline記号の考え方
ターミナルを整える際に出てくるのが、Powerline 記号やアイコン文字です。これらは通常のフォントには含まれないことが多く、フォントを変えただけでは表示できません。そこで使われるのが Nerd Fonts のような “アイコン入り” フォントです。
ただし、ここで注意したいのは「エディタ向けの読みやすさ」と「ターミナル向けのアイコン対応」は、必ずしも同じ最適解にならないことです。全部を1つのフォントで賄おうとすると、どちらかが中途半端になりがちです。
おすすめは、次の3パターンから選ぶことです。
パターンA:エディタ優先、ターミナルは最小限
エディタに最適な日本語等幅を採用し、ターミナルは装飾しない/標準等幅で済ませます。最もシンプルです。パターンB:用途別に分ける(現実的で失敗しにくい)
エディタは日本語等幅、ターミナルは Nerd Fonts 対応フォントにします。アイコンを使う人に向きます。パターンC:統一を優先(こだわり派)
エディタもターミナルも同一フォントで統一します。実現できれば気持ち良いですが、候補が限られ、調整コストが増える傾向があります。
どれが正しいというより、「自分がどこにストレスを感じているか」で決めるのが合理的です。
フォントフォールバックで崩れを防ぐ
表示崩れの多くは、「そのフォントが持っていない文字が出たとき」に発生します。代表例は次の通りです。
絵文字、特殊記号、罫線、矢印
ターミナルのアイコン文字
CJK拡張漢字
まれな記号や数学記号
このとき OS はフォールバックフォントを自動で選びますが、意図しないフォントが選ばれると、行の高さが変わったり、太さがズレたりして見た目が崩れます。対策としては、フォールバックを自分で制御するのが有効です。
フォールバック設計のコツは次の通りです。
第一候補:日常的に表示する文字(コード+日本語)をカバーするフォント
第二候補:記号や英数字の判別性が強い等幅
第三候補:アイコン用途(必要なら)
最後:
monospace(保険)
この順序を決めておくと、「なぜかここだけ崩れる」問題が減り、環境が変わっても再現性が高くなります。
WindowsとmacOSとLinuxの注意点
OSごとにフォント周りのクセがあるため、つまずきやすいポイントを先に押さえておくと時短になります。
Windows
フォント名の表記揺れ(Regular/Medium など)で指定が外れることがあります。
ターミナル(Windows Terminal)と VS Code は設定が別です。まずは VS Code だけ整え、次にターミナルを整える順が切り分けしやすいです。
ClearType やスケーリング設定の影響で見え方が変わるため、フォント比較は“普段の倍率”で行うのが重要です。
macOS
インストール後にアプリ再起動が必要なことが多いです。
文字のレンダリングが滑らかな一方で、細い字形は小サイズで薄く感じることがあります。気になる場合はサイズを少し上げる、太字の見え方も確認するなど、調整で解決できることもあります。
Linux
ディストリビューションやデスクトップ環境によってフォント管理が違います。
フォントキャッシュの更新が必要な場合があります。
同じフォントでもヒンティング設定で印象が変わるため、比較は同条件で行うことが重要です。
表示崩れとライセンス不安を解消するチェック
よくある表示崩れの原因と直し方
フォントを変えたのに「なんだか変」「一部だけ崩れる」というとき、原因はだいたいパターン化できます。症状別に、確認手順を整理します。
症状1:日本語だけ別のフォントっぽい、行間が不自然
原因:日本語グリフがない/弱く、OSが別フォントにフォールバックしている。
対策:
日本語を含む等幅フォントを第一候補にする
font familyの優先順を見直し、日本語対応フォントを先頭に置くそもそも日本語を含まない欧文フォント単体を使っていないか確認する
症状2:罫線や表がズレる、インデントの見た目が合わない
原因:半角・全角の幅比率が崩れている、または混在時の調整が弱い。
対策:
日本語等幅で 1:2 を意識したフォントに切り替える
エディタのタブ幅・スペース表示を見直す(タブとスペース混在も原因になる)
表示検証用に、同じテキストで複数フォントを比較する(感覚ではなく差分で見る)
症状3:ターミナルのアイコンが豆腐(□)になる
原因:アイコン文字のグリフがフォントに含まれていない。
対策:
ターミナル用フォントを Nerd Fonts 対応にする
もしくはアイコン表示をオフにする(プロンプトテーマ側の設定)
統合ターミナルと外部ターミナルで設定が一致しているか確認する
症状4:合字が出ない/期待と違う
原因:フォント非対応、またはエディタ側が無効。
対策:
合字対応フォントか確認する
VS Code の合字設定を有効化する
見え方が不安なら、合字を無理に使わずOFFで運用する
症状5:太字が潰れる、強調表示が読みづらい
原因:太字のデザインが強すぎる/レンダリング環境との相性。
対策:
フォントサイズを1段階上げる
可能なら fontWeight 周りの設定を確認
別フォントで太字の印象を比較する(好みの差が出やすい)
OFLの要点と安全運用チェックリスト
フォントの利用で不安になりやすいのがライセンスです。多くの開発者フォントで採用される代表的なライセンスの一つが SIL Open Font License(OFL) です。OFL は、一般に「利用・改変・再配布」を認める設計である一方、条件もあります。
ここでは、法律相談ではなく「現場で事故を避けるための実務的な確認観点」として整理します。チームで統一したり配布したりする場合は、必ずフォントの配布元が提示するライセンス文書(LICENSE など)を読み、疑義があれば法務・管理部門に確認してください。
安全運用の考え方(ポイント)
利用するだけ(自分のPCに入れて使う)は比較的問題になりにくい
配布する(フォントファイルを他者に渡す)ときは条件確認が必要
改変する(パッチ、合成、名称変更など)場合はさらに注意が必要
フォントごとに例外や追加条件がある場合もあるため、「OFLだから一律OK」と決めつけない
ライセンス不安を消すチェックリスト
以下を満たせば、多くのケースで「うっかり事故」を避けやすくなります。
配布元が公式(GitHub公式、公式サイト等)である
ライセンスが明記され、LICENSE ファイルが同梱されている
会社やチームで配布する場合、LICENSE と著作権表示を一緒に配布している
ツールやアプリへ同梱する場合、同梱条件(表示義務・再配布条件)を確認している
改変やパッチ適用をする場合、名称や再配布条件のルールを確認している
不明点があれば、ライセンス原文と配布元のFAQを一次情報として参照し、必要なら相談している
「フォントを選ぶ」こと自体は楽しいのですが、組織で使う場合は“楽しい”だけでは済まないことがあります。最初にチェックリストを通しておくと、後から差し替えや説明対応に追われずに済みます。
よくある質問
合字は有効にした方が良いですか
合字は必須ではありません。読みやすいと感じるなら有効にする価値がありますが、チームの画面共有やレビューで「表示が違う」ことがストレスになる場合は、無効のままでも問題ありません。おすすめは次の運用です。
まず合字OFFでフォントの基本性能(判別性・日本語可読性)を評価する
気に入ったら合字をONにして、違和感がないか確認する
迷うならOFFに戻せるよう、設定方法を把握しておく
合字で得られるメリットは「読みやすさの向上」ですが、得られる安心は「いつでも戻せる」ことです。無理に固定せず、作業内容に合わせて切り替えるのが安全です。
日本語等幅が崩れるのはなぜですか
日本語等幅が崩れる原因は大きく2つです。
日本語の等幅を前提にしていないフォントを使っている
欧文等幅フォント単体だと、日本語は別フォントにフォールバックし、結果として混在表示が不自然になります。フォールバックが意図しない順序で起きている
第一候補に日本語が弱いと、OSが別フォントを差し込みます。すると行間や太さがズレて“崩れた”印象になります。
対策は、日本語対応等幅を第一候補にし、フォールバック順序を設計することです。さらに、エディタで不可視文字表示をONにしておくと、全角スペースなどの混入にも気づきやすくなります。
会社PCで入れても問題ないですか
「自分のPCにインストールして使う」だけなら、多くのフォントで問題が起きにくいケースが多い一方、会社の規程やセキュリティポリシーにより、ソフトウェア導入のルールが定められていることがあります。社内ルールがある場合はそれが最優先です。
また、次のようなケースではライセンス確認が重要になります。
チームメンバーへフォントファイルを配布する
会社の標準イメージにフォントを含める
自社ツールにフォントを同梱して配布する
不安がある場合は、フォントのライセンス文書を添えて、管理部門へ確認するのが安全です。
ターミナルでアイコンが豆腐になる理由は何ですか
理由は単純で、「そのアイコン文字がフォントに入っていない」からです。ターミナルテーマやプロンプトがアイコン文字を出していても、フォントにグリフがなければ表示できません。
対策は次のいずれかです。
ターミナル用フォントを Nerd Fonts 対応にする
プロンプトやツール側でアイコン表示をオフにする
エディタとターミナルでフォントを分け、用途ごとに最適化する
プログラムフォント選びは、最終的には「自分の目と作業内容」に最適化する行為です。迷ったら、次の順で進めると最短で納得しやすくなります。
日本語比率で大枠を決める(日本語多めなら日本語対応等幅から)
2〜3個入れて、同じサンプル文字列で比較する
VS Code の設定を
settings.jsonで固定し、再現性を確保するターミナル装飾が必要なら、Nerd Fonts など用途別最適化を検討する
チーム運用ならライセンスのチェックリストを通す
この手順で進めれば、「見た目は良いけど微妙にストレスが残る」状態から抜け出しやすくなります。